自己点検・評価報告2012

平成24年度 第三者評価
青山学院女子短期大学
自己点検・評価報告書
平成24年6月
青山学院女子短期大学
目次
自己点検・評価報告書 ……………………………………………………………………
1. 自己点検・評価の基礎資料……………………………………………………………
2. 自己点検・評価報告書の概要…………………………………………………………
3. 自己点検・評価の組織と活動…………………………………………………………
4. 提出資料一覧……………………………………………………………………………
【基準Ⅰ
基準Ⅰ-A
基準Ⅰ-B
基準Ⅰ-C
2
3
22
24
26
建学の精神と教育の効果】 ………………………………………………… 28
建学の精神 …………………………………………………………………… 29
教育の効果 …………………………………………………………………… 31
自己点検・評価 ……………………………………………………………… 46
【基準Ⅱ 教育課程と学生支援】 ……………………………………………………… 49
基準Ⅱ-A 教育課程 ……………………………………………………………………… 50
基準Ⅱ-B 学生支援 ……………………………………………………………………… 68
【基準Ⅲ
基準Ⅲ-A
基準Ⅲ-B
基準Ⅲ-C
基準Ⅲ-D
教育資源と財的資源】 ……………………………………………………… 85
人的資源 ……………………………………………………………………… 86
物的資源 ……………………………………………………………………… 92
技術的資源をはじめとするその他の教育資源 …………………………… 96
財的資源 ……………………………………………………………………… 98
【基準Ⅳ
基準Ⅳ-A
基準Ⅳ-B
基準Ⅳ-C
リーダーシップとガバナンス】 …………………………………………… 101
理事長のリーダーシップ …………………………………………………… 101
学長のリーダーシップ ……………………………………………………… 104
ガバナンス …………………………………………………………………… 106
【選択的評価基準 1. 教養教育の取り組みについて】 ……………………………… 109
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青山学院女子短期大学
自己点検・評価報告書
この自己点検・評価報告書は、一般財団法人短期大学基準協会の第三者評価を受けるた
めに、青山学院女子短期大学の自己点検・評価活動の結果を記したものである。
平成24年6月28日
理事長
安藤 孝四郎
院長
山北 宣久
学長
八耳 俊文
ALO
清水 康幸
-2-
青山学院女子短期大学
1. 自己点検・評価の基礎資料
(1) 学校法人及び短期大学の沿革
青山学院の歴史
明治初頭、米国メソジスト監督教会の宣教師、ドーラ・E・スクーンメーカー女史、ジ
ュリアス・ソーパー博士、ロバート・S・マクレイ博士がそれぞれ開校した女子小学校、
耕教学舎、美會神学校が青山学院の源流である。三つの学校は名称の変更、移転を繰り返
し、青山の地に東京英和学校と東京英和女学校としてたどり着いた。両校はその後、青山
学院・青山女学院と名称を改めた。1923(大正 12)年、関東大震災の復興事業の際、両
校は合同することとなり、1927(昭和 2)年、男女の教育機関としての青山学院となった。
戦後は学制改革に伴い、順次、幼稚園、初等部、中等部、高等部、大学、女子短期大学、
大学院、専門職大学院を開設し、教育・研究環境の拡充をしてきた。
青山学院女子短期大学の沿革の概要
青山学院は、大学から幼稚園まですべて共学としたが、短期大学のみ女子の学校とした。
これは、一つには明治・大正・昭和の三代にわたって、わが国の女子教育界において先駆
的役割を担ってきた青山女学院の伝統を直接に継ぐものを残そうとの趣旨から考えられた
のである。青山学院女子短期大学は、青山学院の源流の一つとして 131 年前に生まれた、
女子小学校が始まりであり、名称変更、移転などさまざまな変遷を経て、
「青山女学院」と
なり、併設されていた「英文専門科本科」は、1903 年に発令された「専門学校令」によっ
て、翌年わが国初の女子高等教育機関である専門学校として認可された。その後も改組改
称を経て、1949 年の「学校教育法」の改正により、1950 年に「青山学院女子短期大学」
として新たな一歩を踏み出した。
発足時は文科(国文と英文)と家政科であった。1962 年には国文と英文を学科として独立
させ、国文、英文、家政の 3 科に児童教育学科を増設、以降 1969 年教養学科、1989 年に
は芸術学科を順次増設し 6 学科となった。
1963 年以降には、各学科により深い学びの場として、専攻科(1 年制)を開設した。学
位授与機構による認定専攻科としては、1996 年に国文専攻が 1997 年に教養専攻が認定を
受けている。
また、2006 年には、それまでの「児童教育学科 2 年」と「専攻科児童教育専攻 1 年」
の課程を再編し、過密なカリキュラム編成を解消するとともに、3 年間一貫した有機的な
カリキュラム編成のもと、教員養成を主たる目的としていた「児童教育学科」を、より幅
広く総合的に現代子ども人間学を探究することを目指す 3 年制の「子ども学科」に改組し
た。
さらに、2012 年、国文、英文、家政、教養、芸術の 5 学科を融合し、日本・国際・人
間社会の 3 専攻を持つ、現代に不可欠な教養を広く共通に学び、現代を生きる人間力の育
成のため、2 年制の短期大学の特性を最大限生かした「現代教養学科」に改組し、
「子ども
学科」との 2 学科体制となった。
-3-
青山学院女子短期大学
(2) 学校法人の概要
■ 学校法人が設置するすべての教育機関の名称、所在地、入学定員、収容定員及び在籍
者数
(2012 年 5 月 1 日現在)
教育機関名
所在地
入学
定員
収容
定員
在籍
者数
青山学院大学
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
神奈川県相模原市中央区淵野辺5-10-1
3,712
14,962
18,379
青山学院大学大学院
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
486
1,039
982
青山学院専門職大学院
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
230
520
415
青山学院女子短期大学
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
580
1,580
1,994
青山学院高等部
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
500
1,500
1,261
青山学院中等部
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
240
720
781
青山学院初等部
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
128
768
752
青山学院幼稚園
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
40
120
120
(3) 学校法人・短期大学の組織図
■ 短期大学教職員数(2012 年 5 月 1 日現在)
専任教員(53 名)
非常勤教員(246 名)
専任事務職員(34 名)
非常勤事務職員(2 名)
-4-
青山学院女子短期大学
■ 組織図
女子短期大学 教育研究部門
2012 年 4 月 1 日現在
※は募集停止
女子短期 大学
国
文
学
科
英
文
学
科
※
家
政
学
科
※
教
養
学
科
※
芸
術
学
科
※
現 代 教 養 学 科
英
文
学
専
攻
※
英
語
学
専
攻
※
日
本
専
攻
国
際
専
攻
人 間 社 会 専 攻
子
専
図
ど
も
攻
書
学
科
(3年制)
科
館
教 育 メ デ ィ ア 運 用室
総 合文 化研 究所
宗 教 活 動 セ ン ター
-5-
国
文
専
攻
英
文
専
攻
家
政
専
攻
教
養
専
攻
芸
術
専
攻
青山学院女子短期大学
学校法人青山学院 事務組織図
監
2012 年 4 月 1 日現在
査
室
募 金 事 業 局
理 事長
総 局 長
法人本部事務局
総
務
部
総 務 ・ 安 全 対 策 課
法
務
課
人
事
部
人
給
研
財
務
部
本 部 財 務 グ ル ー プ
事
与
修
課
課
室
本 部 資 金 グ ル ー プ
大 学 青 山 経理 グル ープ
大学相模原経理 グル ープ
女子短期大学経理グ ル ープ
管
理
部
管
施
理
設
課
課
総 合 企 画 部
企 画 グ ル ー プ
事 業 開 発 ・ 推進 グ ル ープ
広
広
報
部
報
課
本 部 秘 書 室
資 料 セ ン タ ー
宗教センター事務室
相
模
原
分
室
女 子 短 期 大 学 分 室
校 友 セ ン タ ー
院
長
大 学 長
大 学 事 務 局 (別に定める)
女子 短期
大 学 長
事
学
図
務
生
書
部
部
館
庶
務
課
教
入
試
務
広
報
課
課
学
学
生
生
相
談
課
室
図
書
課
教育メディ ア 運 用室
学
生
寮
高等部長
高
等
部
事
務
室
中等部長
中
等
部
事
務
室
初等部長
初
等
部
事
務
室
幼稚園長
幼
稚
園
事
務
室
-6-
青山学院女子短期大学
(4) 立地地域の人口動態・学生の入学動向・地域社会のニーズ
■ 立地地域の人口動態(短期大学の立地する周辺地域の趨勢)
所在地
東京都渋谷区渋谷 4-4-25
位 置
本学は、渋谷区の東、港区に隣接している場所に立地しており、東京メトロ「表参道駅」
より徒歩 5 分、JR・東急・京王・東京メトロ「渋谷駅」より徒歩 12 分の場所に立地して
いる。渋谷区の人口は、204,753 人(2010 年国勢調査)であり、2005 年度の国勢調査時
と比較すると約 1,400 名程度増加している。また、渋谷区の総人口に対しての 65 歳以上
の高齢者の割合は 18.1%(2005 年)
、同じく外国人居住者の割合は 2.8%(2005 年)とな
っている。
なお、渋谷区の人口動態の特徴としては、昼間人口の割合が夜間人口(常住人口)と比
較して 272.4%(2005 年)と極めて高く、区外からの通勤・通学者の数が多いと言える。
周囲の状況
本学のキャンパスの敷地内には女子短期大学の他、法人本部、大学、大学院、専門職大
学院、高中部、初等部、幼稚園が設置されている。大学の就学キャンパスについては、2013
年度より、7 学部(文学部、教育人間科学部、経済学部、法学部、経営学部、国際政治経
済学部、総合文化政策学部)について、4 年間一貫して青山キャンパスにて学ぶ体制に移
行する予定であり、現在、青山キャンパス内の再開発を進めている。
青山キャンパスの周囲には、国連大学や各国の大使館などがある一方、先端文化、ファ
ッションを発信する施設が多い。また、キャンパス南側の初等部があるエリアは、閑静な
街並みとなっている。
■ 学生の入学動向
過去の実績と未来の予測
本学への入学者は全国各地からではあるが、約 3/4 の学生は、自宅からの通学が可能な
首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の出身者となっている。本学では 2012 年
度に大規模な学科改組を実施したことにより、入学定員は従来の 6 学科計 900 名から、2
学科計 580 名に減少した。このため、2012 年度の入学者数は大幅に減少しているが、出
身地の動向については、改組前と大きく変わらず、過去 5 年間についてもほぼ変動なく推
移している(別表「学生の出身地別入学者数及び割合」を参照)
。
今後も、経済的事情により自宅外通学を必要とする首都圏以外の入学者の増減は起こり
得るが、入学動向に大きな変動はないものと予測する。
-7-
青山学院女子短期大学
別表:学生の出身地別入学者数及び割合
2008 年度
地域
2009 年度
2010 年度
2011 年度
2012 年度
入学
者数
割合
(%)
入学
者数
割合
(%)
入学
者数
割合
(%)
入学
者数
割合
(%)
入学
者数
割合
(%)
北海道
14
1.2
10
0.9
17
1.6
17
1.6
8
1.2
東北
51
4.5
44
3.9
53
4.9
35
3.3
17
2.5
北関東(※)
86
7.6
78
7.0
82
7.5
76
7.3
43
6.3
南関東(※)
550
48.8
591
52.7
544
50.0
470
44.8
331
48.5
東京
248
22.0
245
21.9
244
22.4
258
24.6
171
25.0
中部
105
9.3
97
8.7
93
8.5
100
9.5
59
8.6
近畿
5
0.4
7
0.6
6
0.6
19
1.8
10
1.5
中国
11
1.0
9
0.8
6
0.6
10
1.0
6
0.9
四国
8
0.7
4
0.4
7
0.6
7
0.7
0
0.0
九州・沖縄
37
3.3
18
1.6
18
1.7
41
3.9
21
3.1
その他
11
1.0
18
1.6
19
1.7
15
1.4
17
2.5
1,126
-
1,121
-
1,089
-
1,048
-
683
-
(高卒資格・外国等)
合計
(※)北関東:茨城県、栃木県、群馬県
南関東:埼玉県、千葉県、神奈川県
■ 地域社会のニーズ
2010 年度に本学が開学 60 周年を迎えたのを機に、記念事業として本学に隣接する六本
木通りの擁壁の落書きを消去し、壁画制作を実施した。壁画の制作に際しては、東京都の
「落書き消去支援活動」に加えて、警視庁の「犯罪を起こさせないまちづくり」による落
書き消去活動から、塗料や道具などの資材提供・技術的支援を受け、学生部によるボラン
ティア募集に応じた延べ 130 名の学生と教職員が春休みを利用して制作した。この取り組
みは地元の新聞やテレビで紹介された。
また、2011 年 3 月 11 日の東日本大震災発生時には、渋谷区の避難場所として、青山学
院記念館および青山学院講堂を、帰宅困難な一般の方に提供し、約 8,000 名が夜を明かし
た。一大ターミナル駅に隣接した本学院の立地条件に見合った取り組みであった。
■ 地域社会の産業の状況
渋谷区は、東京都心に位置し、渋谷駅を中心に一大ターミナルを形成している。渋谷駅
周辺には百貨店、ファッション専門店、飲食店などが密集しており、平日・休日問わず賑
わっている。また、本学に近接する表参道・原宿周辺は、世界的に有名なブティックを始
めとするアパレル関連の店舗、事務所および美容室が多く集まる地域である。渋谷区の就
業者は、そのほとんどが商業・サービス業などの第三次産業に従事しており、就業者全体
に占める割合は 88.8%(2005 年)に達する。
-8-
青山学院女子短期大学
■ 短期大学所在の市区町村の全体図
本学
渋谷区ホームページより抜粋
-9-
青山学院女子短期大学
(5) 課題等に対する向上・充実の状況
① 前回の第三者評価結果における三つの意見の「向上・充実のための課題」で指摘され
た事項への対応について(領域別評価票における指摘への対応は任意)
改善を要する事項
対
(向上・充実のための課題)
策
成
果
評価領域Ⅱ 教育の内容
・講義内容に加えて、授業計画を明示 ・2005 年当時のシラバスは、その後 2 度に ・2009 年の改訂で 15 回分の授業
したシラバスを作成する必要がある。
わたって改訂を行った。
計画と評価基準を具体的に記す形
にし、2012 年の改訂で授業の達
成目標を明示することとした。
・授業評価の教員実施率を上げ、それ ・2004 年当時の教員実施率は約 49%であ ・実施率は次第に上がり、2011 年
を取り込んで学生の要望を汲んだ授 ったが、その後実施率を高める努力を行っ 度には専任教員は 90%にまで向
業改善に取り組んでいただきたい。
てきた。
上した。
評価領域Ⅲ 教育の実施体制
・2300 名の学生に対して 140 台のコン ・現在は情報処理実習室 2、マルチメディア ・4 教室のうち 1 教室以上はほとん
ピュータの台数は、情報化時代の今日 教室 2、計 4 室であり、学生用コンピュータ ど自由に使える状態であり、また文
の社会情勢から見て少ないと言わざる が 144 台と若干増えたものの、設置状況は 献検索には図書館のコンピュータ
を得ない。平成 16 年に開講された情 あまり変わっていない。
も使用できるため、特に不足はして
報関連科目 32 授業のうち 13 が抽選
いない。
になった現状を見ても改善する必要が
・2012 年度より「情報処理」科目が
認められる。
全学必修となったため、抽選の必
要はなくなっている。
評価領域Ⅴ 学生支援
・就職相談にあたって個々の学生に的 ・施設の都合上、就職相談のための専用の ・従来の窓口での相談から、落ち
確に対応できる環境整備が望まれる。
部屋は確保できていないが、2010 年から空 着いて相談できるようになった。し
き教室を利用し、週に 3 度は就職相談を行 かし常設の相談室がないことは依
えるようにした(原則として予約制)。
然として課題である。
・数年前から企業でのインターンシップを開 ・インターンシップや各種講座は有
始した。
意義に活用されているが、利用者
・就職試験対策講座を数種類実施している の広がりに課題を残している。
(模擬面接、筆記試験対策、エントリーシー ・子ども学科では保育関係の就職
ト対策、マナー対策など)。
先とは日常的に密接な関係にあ
・2012 年度より 1 年生に「キャリア・ライフ・ り、求人情報が多数寄せられる。現
デザイン」科目を必修とし、1年次から就職 在は教員と副手が個別相談に応じ
並びに卒業後の心構えを育成することとし ており、ほぼ 100%の就職率を保
た。
っている。
・バリアフリーの観点から、障害者の配 ・建物入り口の階段にスロープを設置した。
・建物の1階までは車椅子での入
慮や安全性について改善を求めた ・障害者用トイレを設置した。
場が可能になったが、まれに松葉
い。
杖での階段昇降が見られるなど、
・盲人用の案内パネルを廊下に貼った。
まだ不十分な状況が残っている。
- 10 -
青山学院女子短期大学
改善を要する事項
対
(向上・充実のための課題)
策
成
果
評価領域Ⅶ 社会的活動
・学生による地域活動、地域貢献ある ・学生向け掲示板に、各種のボランティア募 ・学友会クラブ「あおやまボランティ
いはボランティア活動の実績が十分で 集の案内を貼るなどして、積極的に呼びか アワーク」が活動を続けている。
はない。建学の精神に鑑みても、地域 けを行った。
・2009 年度発足の「ECO ファース
活動・貢献等についての企画・参加を ・東日本大震災を受け、本学の呼びかけで ト委員会」はエコキャップ回収活動
積極的に行う等、学生への一層の啓 2011 年 7 月、2012 年 2 月に学生ボランテ を行い、途上国へポリオワクチンを
蒙、促進がなされることが望ましい。
ィアを募り、学生・教員・卒業生等、合わせ 寄付している。
て 50 数名の参加により支援活動を実施し ・2010 年の開学 60 周年をを記念
た。
して、学院に隣接する六本木通り
擁壁を対象に「青山壁画プロジェク
ト」を実施。教職員、学生を合わせ
て、延べ約 130 名が参加、2011 年
3 月に着手し 4 月上旬に壁画が完
成した。
・東日本大震災復興支援ボランテ
ィアは 2012 年の夏にも実施する予
定である。なお独自に青山学院大
学が主催するボランティア・センタ
ーに参加し、支援活動を行ってい
る学生もいる。
評価領域Ⅸ 財務
・英文学科(英語学専攻)における定 ・この時の定員超過率は 1.42 であった。そ ・2 回の例外とは、2007 年度の
員超過を是正されたい。
の後改善に努力し、2 回の例外を除き概ね 1.43、2009 年度の 1.55 である。
1.1 台を維持してきた。
評価領域Ⅹ 改革・改善
・青山学院は幼稚園から大学まで擁す ・指摘の意味は、短期大学としての独自性 ・2012 年度の学科改組に至るプロ
る伝統ある総合学園であるがゆえに、 を、法人に対して強く打ち出すべきだという セスでは、本学の理念や改組方針
短期大学としてのあるべき姿、将来構 趣旨と思われる。もとより本学としてはそのよ を法人に対して粘り強く提起し続
想を単体としてとらえる視点が法人全 うな立場を貫いてきたつもりである。
け、7 年越しで改組が実現した経
体に埋没してしまう点が懸念される。
緯がある。特に学生定員の減少を
今後は伝統ある短期大学としてその特
伴う改組は財政的困難を生むだけ
色と理念をより明確に打ち出して運営
に、法人の理解なしには実現し得
されることを強く望むものである。
ないものであった。
- 11 -
青山学院女子短期大学
(6) 学生データ
① 入学定員、入学者数、入学定員充足率、収容定員、在籍者数、収容定員充足率
学科等の名称
事項
現代教養学科
入学定員
2008 年度
-
2009 年度
-
2010 年度
-
2011 年度
-
日本専攻
現代教養学科
備考
130
(新設)
入学者数
-
-
-
-
161
入学定員充足率(%)
-
-
-
-
123
収容定員
-
-
-
-
130
在籍者数
-
-
-
-
161
収容定員充足率(%)
-
-
-
-
123
入学定員
-
-
-
-
190
国際専攻
現代教養学科
2012 年度
(新設)
入学者数
-
-
-
-
221
入学定員充足率(%)
-
-
-
-
116
収容定員
-
-
-
-
190
在籍者数
-
-
-
-
221
収容定員充足率(%)
-
-
-
-
116
入学定員
-
-
-
-
160
人間社会専攻
(新設)
入学者数
-
-
-
-
193
入学定員充足率(%)
-
-
-
-
120
収容定員
-
-
-
-
160
在籍者数
-
-
-
-
193
収容定員充足率(%)
-
-
-
-
120
学科等の名称
事項
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
2012 年度
国文学科
入学定員
190
190
190
190
募集停止
入学者数
209
223
232
225
-
入学定員充足率(%)
110
117
122
118
-
収容定員
380
380
380
380
190
在籍者数
456
436
459
460
233
収容定員充足率(%)
120
114
120
121
122
英文学科
入学定員
160
160
160
160
募集停止
英文学専攻
入学者数
218
183
185
183
-
入学定員充足率(%)
136
114
115
114
-
収容定員
320
320
320
320
160
在籍者数
426
407
380
380
196
収容定員充足率(%)
133
127
118
118
122
- 12 -
備考
青山学院女子短期大学
学科等の名称
事項
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
2012 年度
英文学科
入学定員
120
120
120
120
募集停止
英語学専攻
入学者数
138
187
122
151
-
入学定員充足率(%)
115
155
101
125
-
収容定員
240
240
240
240
120
在籍者数
304
328
310
283
156
収容定員充足率(%)
126
136
129
117
130
入学定員
150
150
150
150
募集停止
入学者数
204
190
190
180
-
入学定員充足率(%)
136
126
126
120
-
収容定員
300
300
300
300
150
在籍者数
385
399
381
373
184
収容定員充足率(%)
128
133
127
124
122
入学定員
140
140
140
140
募集停止
入学者数
178
176
196
166
-
入学定員充足率(%)
127
125
140
118
-
収容定員
280
280
280
280
140
在籍者数
337
356
378
374
171
収容定員充足率(%)
120
127
135
133
122
入学定員
40
40
40
40
募集停止
入学者数
61
53
48
40
-
入学定員充足率(%)
152
132
120
100
-
収容定員
80
80
80
80
40
在籍者数
109
117
108
87
41
収容定員充足率(%)
136
146
135
108
102
入学定員
100
100
100
100
100
入学者数
118
109
116
103
108
入学定員充足率(%)
118
109
116
103
108
収容定員
300
300
300
300
300
在籍者数
329
333
340
330
326
収容定員充足率(%)
109
111
113
110
108
家政学科
教養学科
芸術学科
子ども学科
- 13 -
備考
青山学院女子短期大学
学科等の名称
事項
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
2012 年度
専攻科
入学定員
40
40
40
40
40
国文専攻
入学者数
28
22
25
21
28
入学定員充足率(%)
70
55
62
52
70
収容定員
40
40
40
40
40
在籍者数
28
24
25
21
28
収容定員充足率(%)
70
60
62
52
70
専攻科
入学定員
50
50
50
50
50
英文専攻
入学者数
32
62
53
44
26
入学定員充足率(%)
64
124
106
88
52
収容定員
50
50
50
50
50
在籍者数
34
63
54
45
26
収容定員充足率(%)
68
126
108
90
52
専攻科
入学定員
40
40
40
40
40
家政専攻
入学者数
14
31
25
25
20
入学定員充足率(%)
35
77
62
62
50
収容定員
40
40
40
40
40
在籍者数
14
31
25
25
20
収容定員充足率(%)
35
77
62
62
50
専攻科
入学定員
50
募集停止
-
-
-
児童教育専攻
入学者数
1
-
-
-
-
入学定員充足率(%)
2
-
-
-
-
収容定員
50
-
-
-
-
在籍者数
1
-
-
-
-
収容定員充足率(%)
2
-
-
-
-
専攻科
入学定員
30
30
30
30
30
教養専攻
入学者数
16
13
24
20
24
入学定員充足率(%)
53
43
80
66
80
収容定員
30
30
30
30
30
在籍者数
17
13
24
21
25
収容定員充足率(%)
56
43
80
70
83
専攻科
入学定員
10
10
10
10
10
芸術専攻
入学者数
8
16
13
16
12
入学定員充足率(%)
80
160
130
160
120
収容定員
10
10
10
10
10
在籍者数
8
16
13
16
12
収容定員充足率(%)
80
160
130
160
120
- 14 -
備考
青山学院女子短期大学
② 卒業者数(人)
区分
2007 年度
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
国文学科
227
228
200
215
219
英文学科
294
345
341
343
279
英文学専攻
177
185
207
174
170
英語学専攻
117
160
134
169
109
182
170
200
182
183
家政学科
2
児童教育学科
教養学科
181
151
170
164
188
芸術学科
35
42
51
54
44
105
103
110
109
168
95
137
129
117
国文専攻
23
26
21
25
16
英文専攻
39
29
57
47
42
家政専攻
14
14
31
23
25
児童教育専攻
78
1
教養専攻
7
17
12
22
18
芸術専攻
7
8
16
12
16
1,089
1,136
1,202
1,197
1,139
子ども学科
専攻科
合計
③ 退学者数(人)
区分
2007 年度
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
国文学科
9
14
10
6
6
英文学科
17
14
15
12
20
英文学専攻
11
11
8
5
9
英語学専攻
6
3
7
7
11
家政学科
4
7
7
4
4
児童教育学科
0
教養学科
4
7
3
6
9
芸術学科
7
5
3
6
2
子ども学科
3
1
5
2
3
専攻科
3
6
8
8
7
国文専攻
0
2
1
0
3
英文専攻
3
4
6
5
3
家政専攻
0
0
0
1
0
児童教育専攻
0
0
教養専攻
0
0
1
1
1
芸術専攻
0
0
0
1
0
47
54
51
44
51
合計
- 15 -
青山学院女子短期大学
④ 休学者数(人)
2007 年度
区分
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
前期
後期
通年
前期
後期
通年
前期
後期
通年
前期
後期
通年
前期
後期
通年
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
休学
国文学科
1
1
1
0
2
0
0
0
2
0
1
3
1
2
0
英文学科
1
4
3
2
4
5
2
5
3
2
2
2
5
3
11
英文学専攻
0
3
1
2
3
5
2
3
0
0
1
2
1
2
3
英語学専攻
1
1
2
0
1
0
0
2
3
2
1
0
4
1
8
家政学科
1
1
0
0
1
0
1
2
0
0
1
1
0
0
0
児童教育学科
0
0
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
教養学科
0
0
1
0
1
0
0
2
1
0
7
3
0
0
1
芸術学科
0
1
1
0
1
1
0
2
3
0
0
1
0
0
0
子ども学科
0
1
0
1
1
1
0
3
1
1
1
0
0
1
2
専攻科
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
国文専攻
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
英文専攻
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
家政専攻
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
児童教育専攻
0
0
0
0
0
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
教養専攻
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
芸術専攻
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
8
6
3
10
7
3
14
10
4
12
12
6
6
14
合計
⑤ 就職者数(人)
区分
2007 年度
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
国文学科
146
124
85
98
88
英文学科
179
189
145
130
113
家政学科
133
100
104
94
84
児童教育学科
2
教養学科
121
89
76
73
82
芸術学科
9
14
9
9
7
88
77
97
98
子ども学科
専攻科
142
75
101
76
82
合計
732
679
597
577
554
- 16 -
青山学院女子短期大学
⑥ 進学者数(人)※本学専攻科進学、大学・短大進学、留学、専門学校進学の合計
2007 年度
区分
2008 年度
2009 年度
2010 年度
2011 年度
国文学科
45
52
50
39
77
英文学科
70
112
99
102
98
家政学科
34
52
45
41
41
0
児童教育学科
教養学科
42
41
54
46
68
芸術学科
13
18
23
23
20
7
10
4
6
5
2
4
7
4
209
284
285
262
314
子ども学科
専攻科
合計
(7) 短期大学設置基準を上回っている状況・短期大学の概要
① 教員組織の概要(人)
非
常
勤
教
員
設置基準
専任教員数
学科等名
助
手
で定める
教員数
教授
准教授
講師
国文学科
1
0
英文学科
2
家政学科
計
〔イ〕
〔ロ〕
0
1
(0)
-
28
0
0
2
(0)
-
33
3
0
0
3
(0)
-
17
教養学科
0
0
0
0
(0)
-
16
芸術学科
0
0
0
0
(0)
-
6
現代教養学科日本専攻
7
4
0
11
(5)
-
現代教養学科国際専攻
8
4
0
12
(6)
-
現代教養学科人間社会専攻
7
5
1
13
(8)
-
子ども学科
7
3
1
11
(8)
-
-
(6)
(27)
-
-
(6)
(27)
(6)
(小計)
35
16
助教
2
53
〔ロ〕
(合計)
35
16
2
53
96
50
246
② 教員以外の職員の概要(人)
事務職員
専任
兼任
計
31
2
33
3
0
3
1
5
6
35
7
42
技術職員
図書館・学習資源センタ
ー等の専門事務職員
その他の職員
計
- 17 -
備
考
青山学院女子短期大学
③ 校地等(㎡)
共用する
区分
専用
共用
他の学校
計
(㎡)
(㎡)
等の専用
(㎡)
基準面積
(㎡)
30,704
校舎敷地
小計
2,342
30,704
2,342
33,046
2,706
20,722
23,428
33,410
23,064
56,474
その他
合計
備考(共有
の面積
の状況等)
(㎡)
30,704
2,342
運動場用地
人当たり
[注]
(㎡)
校地等
在学生一
15,800
36
④ 校舎(㎡)
区分
専用
共用
共用する他の学校等
(㎡)
(㎡)
の専用(㎡)
32,001
校舎
基準面積
計(㎡)
備考(共有の状況等)
(㎡)[注]
32,001
7,231
⑤ 教室等(室)
講義室
演習室
実験実習室
情報処理学習室
語学学習施設
36
7
72
2
2
⑥ 専任教員研究室(室)
専任教員研究室
60
⑦ 図書・設備
図書
学術雑誌
〔うち外国書〕 〔うち外国書〕
(種)
学科・専攻課程
電子ジャー
(冊)
ナル〔うち
視聴覚資料
機械・器具
標本
(点)
(点)
(点)
外国書〕
現代教養学科日本専攻
71,200
104
0
(国文学科含む)
[4,000]
[0]
[0]
現代教養学科国際専攻
91,400
97
0
[31,300]
[57]
[0]
現代教養学科人間社会専攻
78,200
131
0
(家政学科、教養学科、芸術学科を含む)
[8,100]
[34]
[0]
50,100
50
0
[5,300]
[0]
[0]
290,900
382
0
[48,700]
[91]
[0]
(英文学科含む)
子ども学科
計
- 18 -
1,270
3,050
3,320
1,150
8,790
青山学院女子短期大学
図書館
面積(㎡)
閲覧席数
収納可能冊数
2,638
329
260,000
面積(㎡)
体育館
体育館以外のスポーツ施設の概要
2,480
(8) 短期大学の情報の公表について
① 教育情報の公表について
事項
1
公表方法等
大学の教育研究上の目的に関すること
本学ホームページ
パンフレット(学院、短大進学案内)
2
教育研究上の基本組織に関すること
本学ホームページ
パンフレット(短大進学案内)
3
教員組織、教員の数並びに各教員が有する学位及び業績に
本学ホームページ
関すること
4
入学者に関する受入方針及び入学者の数、収容定員及び在
本学ホームページ
学する学生の数、卒業又は修了した者の数並びに進学者数
パンフレット(短大進学案内)
及び就職者数その他進学及び就職等の状況に関すること
5
授業科目、授業の方法及び内容並びに年間の授業の計画に
本学ホームページ
関すること
6
学修の成果に係る評価及び卒業又は修了の認定に当たって
本学ホームページ
の基準に関すること
7
校地、校舎等の施設及び設備その他の学生の教育研究環境
本学ホームページ
に関すること
8
授業料、入学料その他の大学が徴収する費用に関すること
本学ホームページ
9
大学が行う学生の修学、進路選択及び心身の健康等に係る
本学ホームページ
支援に関すること
② 学校法人の財務情報の公開について
事項
公開方法等
財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書 学院ホームページ
及び監査報告書
パンフレット(学院)
(9) 各学科・専攻課程ごとの学習成果について
・学習成果をどのように規定しているか
・どのように学習成果の向上・充実を図っているか
○一般教育科目
共通教育科目は、キリスト教学、外国語科目、健康教育科目、主題科目に加え、教職
課程、司書課程という資格課程を有しているため(2012 年からは、情報科目、キャリア・
ライフ・デザイン科目が加わる)
、共通の「教育目標」を掲げることは出来るが、共通
- 19 -
青山学院女子短期大学
の「学習成果」を規定することは極めて困難である。したがって、現時点では学習成果
を規定していない。しかし、主題科目以外の科目群については、科目群ごとの学習成果
を規定することは可能である。
個々の授業科目については、2012 年度からシラバスに授業の到達目標を明記すること
になったので、学習成果の質的・量的データは、授業中のレスポンス・ペーパー、レポ
ート、試験等、学生による授業評価等で測定し、成績を判定している。
○国文学科
個々の授業科目についてはシラバスで学習成果を示しているが、学科としての学習成
果は明確に規定されておらず、それを量的・質的データとして測定する仕組みも出来て
いない。ただし必修である 1 年次の特別演習の経験や、非常勤講師との懇談会などを通
じて学生の到達点を測るとともに、個々の授業では最終試験だけでなく学習のプロセス
を重視した評価を行っている。
○英文学科
個々の授業科目についてはシラバスで学習成果を示しているが、学科としての学習成
果は明確に規定されておらず、それを量的・質的データとして測定する仕組みも出来て
いない。個々の授業科目の評価や改善は、学生による授業評価の活用を含め、各教員に
よってなされている。
○家政学科
個々の授業科目についてはシラバスで学習成果を示しているが、学科としての学習成
果は明確に規定されておらず、それを量的・質的データとして測定する仕組みも出来て
いない。特に、実験・実習系科目と講義科目では、学習成果データを測定する統一基準
は難しい。個々の授業科目の評価や改善は、学生による授業評価の活用を含め、各教員
によってなされている。
○教養学科
個々の授業科目についてはシラバスで学習成果を示しているが、学科としての学習成
果は明確に規定されておらず、それを量的・質的データとして測定する仕組みも出来て
いない。学習成果はレポートや論文の質に表れると考え、学科全体の学習成果は各演習
から特徴ある論文を集めた「卒業論文選集」の形で提示している。個々の授業科目の評
価や改善は、学生による授業評価の活用を含め、各教員によってなされている。
○芸術学科
個々の授業科目についてはシラバスで学習成果を示しているが、学科としての学習成
果は明確に規定されておらず、それを量的・質的データとして測定する仕組みも出来て
いない。当学科は実技系科目と理論系講義科目とを組み合わせた科目構成であり、年度
途中で 2 回行われる「講評会」と、必修である卒業研究の成果としての「卒業展」にお
いて学習成果が提示される。優秀作品は大学に保管され、到達目標の具体例として学生
たちに明示される。個々の授業科目の評価や改善は、学生による授業評価の活用を含め、
各教員によってなされている。
○子ども学科
個々の授業科目についてはシラバスで学習成果を示しているが、学科としての学習成
果は明確に規定されておらず、それを量的・質的データとして測定する仕組みも出来て
いない。ただし、共通する学習成果の観点として、「多角的な視点で捉える、自ら考え
- 20 -
青山学院女子短期大学
自らの言葉で表現する、自らの持ち味を活かす、他者と協働する、育ち合う」を提示し
ている。さらに頻繁にもたれる学科会議において、個々の授業や学生の情報を共有し合
い問題解決にあたっている。
(10)オフキャンパス、遠隔教育、通信教育その他の教育プログラム
■オフキャンパス
1.学生部企画として、従来から次のようなオフキャンパス・プログラムを実施してきた。
①カンボジア・スタディツアー(2 月、6 日程度)
②沖縄・スタディツアー(2 月、4 日間)
③清里キープ協会のワークキャンプ(9 月、3 日間)
④那須塩原・アジア学院のワークキャンプ(9 月、3 日間)
これらのプログラムは参加学生から大変好評であったが、あくまで課外活動の位置づけ
であった。そこで 2012 年度の現代教養学科開設に際しては、その教育的意義に鑑み、
「現
代教養学科コア科目」中の「共生」科目群の一部である「共生社会実習」として単位化を
図った。むろん学生部企画としての性格は持続しており、参加者の一部が単位を希望し履
修登録をすることになる。この場合は、事前・事後のレポート提出はもとより、単位認定
基準に照らし厳格に評価を行う。
2.短期語学留学
本学では、夏休みと春休みの 2 回、短期語学留学を実施している。海外の英語学校で実
践的な英語力を身につけ、現地の文化や暮らしを体験することを目的に、夏期は 3~4 週
間をオセアニア地域で、春期は 1 月下旬からの約 2 ヶ月間を米国姉妹校(Notre Dame of
Maryland University)付属などの英語学校で行っている。2012 年度からは本学の語学科
目の一部として単位認定されることになった。
■遠隔教育
実施していない。
■通信教育
実施していない。
■その他の教育プログラム
1.キリスト教教育活動
毎年、夏(軽井沢)と冬(天城)の 2 回、宗教活動委員会の主催で学生及び教職員が参
加してキャンプを行ってきた。これらは礼拝、聖書の学び、講演、話し合い、労働奉仕な
どを内容としており、本学の教育理念を実現するうえで大きな成果を果たしている。その
延長として、2011 年の夏および 12 年の冬には東日本大震災のボランティア活動を実施し
た。2012 年の改組に伴い、
「キリスト教学実践」という体験型の授業科目(集中授業。マ
ニラの孤児院、ハンセン病療養施設での実習を伴う)を設置した。
2.同窓会活動
同窓会では 6 つの学科会活動(国文学科会/英文学科会/家政学科会/児童教育学科・
子ども学科会/教養学科会/芸術学科会)が活発に行われ、様々な講座や学習会、作品発
表会などが定期的に開催されている。学科会には専任教員(主に学科主任)が顧問となり、
講座の計画や講師の人選などに協力している。また子ども学科は、同窓会とは別に「子ど
も研究会」を組織し、本学教員とともに、保育現場で働く卒業生を主体とする研究発表や
- 21 -
青山学院女子短期大学
経験交流を行っている。
このように、本学の同窓会は、卒業生にとっての生涯学習の場ともなっており、本学教
員もまたこれに全面的に協力する体制をとっている。
(11) 公的資金の適正管理の状況
公的資金の管理については、
「青山学院女子短期大学公的研究費の運営及び管理に関する
規則」等により、運営及び管理並びに監査の体制を定めている。
公的研究費の適正な執行に関して、法人事務局の監査室による定期内部監査を実施して
いる。この監査対象者は、監査室の監査抽出基準から抽出される。
また、内部監査による調査結果について教授会等で報告し、教職員に対し不正使用防止
等の周知に努め、適正な経費執行を求めている。
さらに、運営及び管理に係る体制を統括するため公的研究費運営管理委員会を置き、規
則の整備及び周知、不正防止計画の策定及び推進、不正行為についての調査、認定及び是
正措置等を、内部監査実施部門としての監査室と連携し、適正かつ効率的に取り扱うこと
を目指している。
2.自己点検・評価報告書の概要
基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果
A 建学の精神
建学の精神は、
「学校法人青山学院寄附行為」
、
「青山学院教育方針」
、本学学則第 1
条の教育理念等において明示されており、それは本学の各学科教育方針、学位授与方
針、教育課程編成・実施に至るまで具体化されており、全教職員に徹底している。
B 教育の効果
建学の精神並びに本学の教育理念・方針は、様々な媒体を通じて学内外に表明され
ており、学生にも周知されている。期待される学習成果については、個々の授業科目
はシラバスで明示されているものの、
学科全体としては抽象的表現にとどまっている。
学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みは「学生による授業評価アンケー
ト」など限定的手段にとどまっており、PDCA サイクルも各教員に任されているなど、
教育の質保証の面で課題を残している。
C 自己点検・評価
全学自己点検・評価委員会のもと 12 の部局等委員会を設置し、全教職員参加によ
り日常的に活動している。ただし、部局等委員会は複数の委員会から構成されている
ため相互の連絡調整に課題を残している。
基準Ⅱ 教育課程と学生支援
A 教育課程
本学の教育課程は各学科ごとに特色ある編成を行い、それぞれの学問的専門性とと
もに学際性・総合性を重視したカリキュラム改革を積み重ね、全体として教養教育の
実をあげてきた。ただし、各学科ないし個々の授業改善の努力とは別に、学科全体の
学習成果やアセスメントを明確にする点ではいまだ十分とは言えない。2012 年度に実
施した改組において、これらの課題を克服することが重要となっている。
- 22 -
青山学院女子短期大学
B 学生支援
学生の学習や学生生活に対する満足度は高く、就職や編入などの進路実績も高い。
奨学金制度も充実しており、学生支援の体制も整っている。しかし近年は就職状況の
厳しさが増しており、一層の進路支援体制の強化が求められている。2012 年度改組以
後は、2 年間一貫の少人数ゼミナールとあわせ、専任教員により学業・生活・進路の
支援が十分にできるようアドバイザー制度を改善した。また e-ポートフォリオの有効
な活用・定着も課題である。
基準Ⅲ 教育資源と財的資源
A 人的資源
教員数は短期大学設置基準を充足しており、採用・昇任手続きも厳格に実施されて
いる。
教員の研究活動も活発で成果を上げており、
それを支える諸条件も整っている。
FD 活動も定着している。全体として人的資源は、質量ともに高い水準が維持されて
いる。今後は学生定員の減少に伴う教員数の調整が必要となるが、教育研究水準を落
とさないよう努力する必要がある。
B 物的資源
校地、運動場、図書館、体育館等の施設をはじめ短期大学設置基準を充足しており、
バリアフリーの対応の遅れを除けば、物的資源はほぼ適切な条件を備えている。
C 技術的資源その他
技術的資源は概ね整備されており、その計画的な維持・整備も行われている。
D 財的資源
2012 年度の改組により学生定員を削減したことに伴い、
今後数年間は財政的な困難
を伴うが、法人との間で人件費の圧縮、学費の増額、外部資金の獲得増などの努力を
前提に2016 年まで学院全体でカバーし 2017 年度から正常に復する計画となっている。
基準Ⅳ リーダーシップとガバナンス
A 理事長のリーダーシップ
青山学院の運営は学校法人青山学院寄附行為ならびに同細則に則って厳格に実施さ
れており、理事長は法人を代表する存在として理事会や評議員会をはじめとする会議
を主宰し、十分なリーダーシップを発揮している。
B 学長のリーダーシップ
本学学長は理事の一員として学院の運営に参加するとともに、学内においては決議
機関たる教授会を主宰する。副学長以下各部の役職者からなる協議会や各種委員会が
設置され、教育方針や人事、予算の確定などの重要事項はすべて全教員で構成される
教授会において決定される。学長は学内運営全般に対して十分なリーダーシップを発
揮している。
C ガバナンス
青山学院には寄附行為により常任監事1人と監事 2 人が置かれ、定期的に監査活動
を行っている。理事長のもとには監査室が置かれ、設置学校の事業計画や財務状況の
監査を日常的に実施している。本学の運営もこの監査体制のもとに適切に運営されて
いる。
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青山学院女子短期大学
3.自己点検・評価の組織と活動
■ 自己点検・評価委員会(担当者、構成員)
本学では、
「青山学院女子短期大学自己点検・評価委員会規則」に基づき、全学自己点検・
評価委員会を組織している。
2012 年度 全学自己点検・評価委員会 担当者・構成員
氏名
所属
委員長
清水 康幸
現代教養学科人間社会専攻
委員
岡崎 和夫
現代教養学科日本専攻
委員
高野 嘉明
現代教養学科国際専攻
委員
橋本 典子
現代教養学科人間社会専攻
委員
横堀 昌子
子ども学科
委員
柴家 直子
事務部教務課
委員
榎本 千絵里
事務部庶務課
委員
久米 聡
学生部学生課
■ 自己点検・評価の組織図(規程は提出資料)
学 長
全学自己点検・評価委員会
管
理
運
営
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
キ
リ
ス
ト
教
教
育
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
教
育
課
程
等
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
教
育
活
動
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
学
生
募
集
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
学
生
生
活
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
研
究
活
動
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
- 24 -
広
報
活
動
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
図
書
館
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
卒
業
生
進
路
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
国
際
交
流
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
施
設
設
備
自
己
点
検
・
評
価
委
員
会
青山学院女子短期大学
■ 組織が機能していることの記述(根拠を基に)
本学では 2005 年度に㈶短期大学基準協会による認証評価を当評価機関によるものとし
ては第 1 期の審査後、2007 年度には自己点検・評価報告書「青山学院女子短期大学 2007
-自己点検・評価報告」を刊行した。また、2008 年度には、前述の報告書に記載の問題点
および問題点に対する改善策について、その後の改善状況を確認するために改善成果報告
書を作成した。これらの執筆・検討作業は、全学自己点検・評価委員会の指導の下、各部
局等自己点検・評価委員会(組織図参照)が行っている。
なお、今回の認証評価にあたっては、2010 年度より全学自己点検・評価委員会を中心に
準備を進め、各部局等自己点検・評価委員会が自己点検・評価した内容に基づき各部局担
当者が報告書原稿の執筆作業を行い、事務局で組織されたプロジェクトチームで編集作業
を行った。
■ 自己点検・評価報告書完成までの活動記録
2010 年 8 月
短期大学基準協会による新評価基準等に関する ALO 対象説明会
2011 年 6 月
短期大学基準協会による平成 24 年度第三者評価申込
2011 年 7 月
本学の平成 24 年度第三者評価実施について教授会報告
2011 年 8 月
短期大学基準協会による平成 24 年度第三者評価 ALO 対象説明会
2011 年 11 月
認証評価のための第一期事務プロジェクト
(報告書作成のための前準備)
自己点検・評価報告書 執筆説明会の実施
(担当部局対象)
2011 年 12 月
各部局における自己点検・評価、および執筆作業
~2012 年 3 月
2012 年 3 月
報告書原稿締切
2012 年 5 月
認証評価のための第二期事務プロジェクト
(報告書原稿の編集、校正)
2012 年 6 月
理事長、院長、学長、ALO による報告書原稿点検
報告書完成、提出
- 25 -
青山学院女子短期大学
自己点検・評価報告書 提出資料一覧
記述の根拠となる資料等
本学該当資料
資料
番号
基準Ⅰ:建学の精神と教育の効果
A 建学の精神
建学の精神・教育理念についての印刷物
青山学院総合案内 2012
1
青山学院女子短期大学学則(第 1 条、第 3 条、および
2
B 教育の効果
教育目的・目標についての印刷物
別記第 1)
シラバス
8
青山学院女子短期大学自己点検・評価規則
3
青山学院女子短期大学自己点検・評価委員会規則
4
学位授与の方針に関する印刷物
青山学院女子短期大学学則(別記第 2)
2
教育課程編成・実施の方針に関する印刷物
青山学院女子短期大学学則(別記第 2)
2
入学者受け入れ方針に関する印刷物
青山学院女子短期大学学則(別記第 2)
2
青山学院女子短期大学入学者選抜試験に関する規則
5
青山学院女子短期大学入学者選抜試験関係業務に関
6
学生が獲得すべき学習成果についての印刷物
C 自己点検・評価
自己点検・評価を実施するための規定
基準Ⅱ:教育課程と学生支援
A 教育課程
する細則
履修要覧
7
シラバス
8
学生便覧等(学則を含む)、学習支援のために
履修要覧
7
配付している印刷物
学生生活の手引
9
青山学院女子短期大学学則
2
カリキュラムに対応した授業科目担当者一覧(教
員名、担当授業科目、専門研究分野)
シラバス
B 学習支援
短期大学案内・募集要項・入学願書
短期大学案内
10
募集要項
11
入学願書
12
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青山学院女子短期大学
基準Ⅲ:教育資源と財的資源
D 財的資源
「資金収支計算書・消費収支計算書の概要(過
財務関連提出資料(2012 認証評価)
13
去 3 年)」[書式 1]、「賃借対照表の概要(過去 3
年)」[書式 2]、「財務状況調べ」[書式 3]
資金収支計算書・消費収支計算書(過去 3 年)
13 に含まれる
貸借対照表(過去 3 年)
13 に含まれる
中・長期の財務計画
中・長期の財務計画
14
事業報告書(過去 1 年)
学校法人青山学院 2011 年度事業報告書
15
事業計画書/予算書(評価実施年度)
学校法人青山学院 2012 年度事業計画書
16
学校法人青山学院寄附行為
17
学校法人青山学院寄附行為細則
18
基準Ⅳ:リーダーシップとガバナンス
A 理事長のリーダーシップ
寄附行為
- 27 -
青山学院女子短期大学
【基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果】
(a) 基準Ⅰの自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:学長)
建学の精神は、
「学校法人青山学院寄附行為」とそれを受けての「青山学院教育方針」
ならびに「青山学院女子短期大学学則」の第 1 条にある本学教育理念に明示されており、
様々な冊子や会議・会合の機会において全学的に周知されている。建学の精神は、各学科
の教育研究の目的、学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針にも具現化されており、
さらには教員の研究プロジェクト推進のための総合文化研究所の運営にも現れている。
したがって、建学の精神を具体化した教育目的・目標は確立しているといえるが、その
効果を量的・質的データとして測定することは難しい。学科会や教務委員会等において情
報の交換や意見を交わすことにしているが、個別の授業においての量的・質的データは「学
生による授業評価アンケート」で測っているのみであり、全学的な教育の効果は卒業時の
アンケートだけでしかない。質の保証についても、関連法規を確認・周知し法令に合った
うえで教育を行うのはもちろん、学生の出欠を含めて各学科会にて個別の学生への指導を
行っているが、個別の教員の行う教育の PDCA サイクルを全体で実施するには至っていな
い。一方、学院全体での 2009 年度からの短期大学の長期・中期計画においては、青山学
院大学への編入学制度の拡大や FD 組織の立ち上げを目指し、FD 組織は 2010 年度からル
ーチンに対応することとし、編入制度は 2011 年度末まで 3 年間の PDC を行い、2012 年
度からは新たなアクションを始めることとしている。
自己点検・評価に関しては、委員会規則にもとづく組織として定められており、委員長
である副学長のもと役割を果たしている。
(b) 基準Ⅰの自己点検・評価に基づく行動計画を記述する。
(担当部局:学長)
学生調査を入学時・卒業時に行っているので、卒業時における教育の効果はある程度見
えてくるが、同時に重要なのは卒業後に現れる教育の効果であり、約 10 年ごとに行う正
式な調査が 2001 年以降行われていないのは問題である(後述のように、限定的ながら総
合文化研究所では実施している)
。今後は、この調査を充実させ、教育の効果を測っていく
必要がある。
また、これまでの教育内容をより現在に合った内容とするべく新 2 学科へと改善したの
であるから、いままでの調査とは別に、新 2 学科体制における教育の効果を、合わせて調
査すべきであろう。さらに、個別の学習成果を今以上に明示できるようにし、アセスメン
ト手法を確立し、PDCA サイクルを組織としても確立することが必要であろう。自己点
検・評価に関しても、FD 活動を内に含む全学自己点検・評価委員会と 12 の部局等委員会
との連絡調整が十分でないため、相互の繋がりを密にする必要がある。
- 28 -
青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅰ-A 建学の精神
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:学長)
建学の精神並びにそれを具現化した青山学院教育方針や短大教育を具現化した女子短
期大学の教育理念は、多くの学内外への冊子などに記され、様々な会合で理事長、院長、
学長等によって、学生、教職員やその他の方々へと語られている。また、寄附行為を始め
多くの規則も建学の精神に沿って制定されている。多くの会議も祈りによってはじまり、
祈りによって終わる。特に「学校法人青山学院寄附行為」の第 2 条にある「建学の精神に
基づく教育を行うことを目的とする」という 1 文と、第 4 条の建学の精神「青山学院の教
育は、永久にキリスト教の信仰に基づいて、行わなければならない」という 1 文は、教職
員や理事・評議員が日頃から念頭に置いているものであり、青山学院教育方針および各設
置学校の教育理念と相まって、学内で共有され確認されている。
女子短期大学の教育理念は青山学院教育方針を受け、さらに、青山学院創立者の一人で
あるスクーンメーカー女史から受け継がれてきた、
「全人的で世界的な視野に立つ高度な教
養教育を授ける」方針をも受けている。6 学科すべての教育研究上の目的にも共通して語
られており、例えば子ども学科の「主体的に時代を支え切り拓くことのできる」
、芸術学科
の「これからの時代を担う創造性豊かな人間の育成」とあるように、すべて教養ある人間
の育成を目指しているといえる。この精神は、教員の研究に対しても、個別の教員の研究
テーマを超えた総合的な研究を行う研究プロジェクトに研究費を支出し、幅広い見方を統
合する研究を勧めていることにも現れている。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:学長)
キリスト教信仰にもとづく科目、活動が多い本学は、建学の精神とそれを具体化した本
学の教育理念を学生に対し真に実行し伝えていくうえで、有利な条件を備えている。しか
し、建学の精神を文言や言動で伝えることは出来ても、それが学生の中でどのように受け
入れられ熟成し現れてくるかということに関しては、学生と卒業生を分けて考えねばなら
ないであろう。この目的に沿った幅ひろい卒業生調査は、重視しなければならないもので
ある。現在の学生は、他者や社会と関わりたい、力になりたいという気持ちはあるが、そ
れを具現するために自発的に取り組むまでには至らないという傾向が強い。いわば自身の
明確な意思というより、流れの中で動いていく学生を、どのように自主的に決定し行動さ
せるようにするかということが、大きな課題であろうと考える。2012 年度に始まる学科改
組では、人間力を高めることをうたい、授業科目や学外授業において、全学期を一貫した
小人数の演習クラスを通じて、ポートフォリオやアドバイザー制度を活用して教員が積極
的に関わっていくことになっている。
- 29 -
青山学院女子短期大学
[区分]
基準Ⅰ-A-1 建学の精神が確立している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:学長)
本学の建学の精神は、
1964 年 11 月に学院によって定められた青山学院教育方針として、
具現化されている。この方針は、教職員に配布される手帳の 1 ページ目に載るのみではな
く、各設置学校や学院本部が作成する報告書・学校案内にも、また入学式、卒業式等の式
次第にも冒頭に記され、学内外に常時、あまねく示されているものである。90 字一文の短
い文ではあるが、この方針を受けて各設置学校や学院本部は、教育理念・学内規則を制定
し方針の具体的内容を実行している。本学では、この教育方針を受けての教育理念を学則
第 1 条 1 項に規定し、合わせて 6 設置学科の教育研究上の目的、学位授与の方針、教育課
程編成・実施の方針、入学者受け入れの方針を、学則第 3 条の 2 の別記第 1、第 2、に定
めているところである。
建学の精神のみならず教育理念を学内外に示すことにおいても、本学は、学校案内に、
入学式・卒業式の式次第に、
配布冊子や保証人宛の会報等にも冒頭に示すばかりではなく、
学長の告示や新任教職員の研修においても教育方針と教育理念を受けての訓話が行われ、
教授会・協議会等の会議における開会祈祷の内容もまた教育方針と教育理念を受けてのも
のであり、教員は毎回確認をおこなっていることになる。また、外部にも開かれている礼
拝、春夏の宗教活動委員会主催のキャンプにおいても、教育理念を具現化した内容が営ま
れ、参加学生に教育理念を実体験させている。更には、学院全体での季節ごとの礼拝や各
設置学校の各種礼拝も、建学の精神・教育理念を確認する場でもある。
本学の教育理念の最後の部分には、「全人的で世界的な視野に立つ高度な教養教育を授
ける」とある。この全人的な教養教育は、学院創立者の一人であるスクーンメーカー女史
から受け継がれてきたものであり、全学科に共通している。多方面にわたる共通教育科目
を開講し、学生の学習意欲に応えるとともに、専門科目においても幅広く開講し選択の幅
を広げている。教員研究活動への調査研究費の支給とは別に、本学設置の総合文化研究所
が個別の研究テーマを超えた総合的な研究を行う研究プロジェクトに研究費を支出し、幅
広く統合的な研究を勧めていることも、教育理念を具現化したものである。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:学長)
キリスト教信仰にもとづく科目、活動が多く、個別の科目の専門性を追求するのみなら
ず、多くの科目の中から多方面に学ぶ教育を行っている本学は、建学の精神と本学の教育
理念を学生に対し真に実行し伝えていくうえで、有利な条件を備えている。
しかし、建学の精神を文言や言動で伝えることが出来ても、それが学生の中でどのよう
に受け入れられ熟成し現れてくるのであるかということに関しては、例えば卒業生に対す
る調査が重要な意味を持ってくる。過去に本学では 1983 年、1993 年そして 2001 年と約
10 年ごとにプロジェクトチームを組んで詳細な卒業生調査を行い、更には研究所プロジェ
クトチームが別の見地から 1997 年と 2007~8 年に調査研究を行って、教育方針と教育理
念が生きていることを確認している。問題は、今現在の学生であろう。他や社会と関わり
たい、力になりたいという気持ちはあるが、それを自身で具現するために自発的に取り組
むまでには至らないのが、多くの学生の姿である。このような学生を、どのように自主的
- 30 -
青山学院女子短期大学
に決定し行動させるようにするかということが、青山学院教育方針を受けての教育理念を
本物とするための大きな課題であろうと考える。
[テーマ]
基準Ⅰ-B 教育の効果
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:現代教養学科、子ども学科)
【現代教養学科】
1.教育目的・目標が確立している。
本学の教育理念・教育目的および一般教育科目・各学科の教育目標は、寄附行為に
定められた青山学院教育方針に基づいて具体化されており、すべて学則に定められて
いる。またホームページをはじめ各種の印刷物にも紹介され、学内外に表明されてい
る。また、これらは入学案内や入学時オリエンテーションにおいてすべての学生に周
知されている。
2.学習成果を定めている。
期待される学習成果については、個々の授業科目についてはシラバスで定めている
が、一般教育科目ならびに学科全体としては抽象的な表現にとどまっている。また、
大学ないし学科全体として、学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みにつ
いては、
「学生による授業評価アンケート」や学科会等における情報交換など限定的な
手段にとどまり、多くは個々の教員の判断に委ねられている実情がある。
3.教育の質を保証している。
関係法令の変更についてはその都度確認・周知し、法令遵守に努めている。学習成
果に関するアセスメント手法としては「学生による授業評価アンケート」以外に全学
的に定められた手法はなく、PDCA サイクルも個々の教員に任されている。しかし、
個々の授業科目については到達目標や成績評価基準がシラバスに明記されており、1
回の試験やレポートだけでなく、そこに至るプロセスを含んで丁寧な指導と評価を行
っている教員が多数である。
【子ども学科】
「教育の効果」について、
「教育目的・目標が確立している」では、子ども学科の教育
目的・目標を建学の精神に基づき明確に示し、ホームページ、進学案内掲載などにより公
表にも努めている。また、科全体で目的目標を点検しているということができる。
「学習成果を定めている」では、本学の建学の精神に基づき、その観点を示している。
即ち「愛と奉仕に生き、社会のあらゆる局面で積極的な貢献をなし得る覚醒した女性の育
成を目指し、現実に即した有用な専門の学芸のみならず、全人的で世界的な視野に立つ高
度な教養教育を授ける」に基づき、学科における学習成果の観点を、子ども学科の教育目
的・目標に盛り込み、
「多角的な視点で捉える、自ら考え、自らのことばで表現する、自ら
の持ち味を活かす、他者と協働する、育ち合う」として示している。また、学科の学習成
果を量的・質的データとして測定する仕組みは作っていないが、年間十数回開かれる学科
会において、ほぼ毎回成果が上がっていないケースとその状況、対応策等について情報や
意見を出し合い確認、共有に努めている。学科の学習成果については、大学案内及び短大
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青山学院女子短期大学
ホームページにおいて学生の言葉で、その成果を掲載している。学習成果の点検について
は、前述の学科会において検討し、情報を共有している。
「教育の質を保証している」では、学校教育法、短期大学設置基準等の関係法令の変更
などを適宜確認し、法令順守に努めるという点においては、インターネットや教授会資料
として配付情報を共有し順守に努めている。また、学習成果を焦点とする査定(アセスメ
ント)の手法に関しては、教員各自、あるいは教科目毎で情報交換を行い、授業の改善に
活かしている。
教育の向上・充実のための PDCA サイクルについては各教員に委ねられているといえる。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:現代教養学科、子ども学科)
【現代教養学科】
従来の国文学科・英文学科・家政学科・教養学科・芸術学科の 5 学科は、2012 年 4 月
から現代教養学科に融合され、新たに日本専攻・国際専攻・人間社会専攻の3専攻に再編
された。従来の学科の特色や伝統を生かしつつ、
「21 世紀に生きる女性のための現代型教
養教育」を目指している。具体的には、課題を発見する力、社会の中で行動する力、分析
し判断する力、
コミュニケーションを取る力など、
人間として自らが豊かに生きると共に、
他者と共に支え合いながら社会を形成していく力を養成することである。そのために、科
目群を全学的な共通科目、現代教養コア科目、専攻科目という 3 つに分類し、それぞれの
教育目標も明確にした。
今後の課題としては、①こうした教育目標を科目群ごとに「学習成果」としてより明示
的な形で示すこと、②その学習成果のアセスメント手法を確立すること、③PDCA サイク
ルを組織として確立することである。ただし、いずれも理論的・実践的に容易ではない問
題を含むため、次のような手順で実施していきたい。
① 学習成果の定立については、個々の科目においてはすでに新年度シラバスにおいて
実施している。今後は科目群全体のそれを定めていきたい。
② アセスメント手法の確立については、科目の性格の多様性から一律にはいかない困
難を伴うが、
「学生による授業評価アンケート」の工夫改善を含めて、できるだけ早
期に実現したい。
③ PDCA サイクルの確立についても同様の困難を伴うが、各科目群の運営母体の会議
を工夫することにより、個々の教員の努力や成果を組織的知見にまで高めるべく、
FD 活動をより活発化することで課題を果たしていきたい。
【子ども学科】
改善計画として、まず「 教育の目的・目標の確立」に関しては、特に問題点を見出す
に至らず、現在の状況を継承していく予定である。
「学習成果を定めている」の項目に関し
ては、学科の学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みを現在は持っていない。
今後は、学習成果をテーマとして教員が発表し討議する機会を持つことについて検討した
い。
「教育の質を保証している」の項目に関しては、学習成果を焦点とする査定の手法につ
いては、今のところ、基本的に現状のやり方を継承するが、複数の材料によって査定する
ことを検討したい。教育の向上・充実のための PDCA サイクルに関しては、
「授業の計画
→学習成果の報告→振り返り→改善」
という流れで報告し、
意見交換を行うようにしたい。
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青山学院女子短期大学
[区分]
基準Ⅰ-B-1 教育目的・目標が確立している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
本学の教育理念は以下のように明記されている。
「愛と奉仕に生き、社会のあらゆる局面で積極的な貢献をなし得る覚醒した女性の育成
を目指し、現実に即した有用な専門の学芸のみならず、全人的で世界的な視野に立つ高度
な教養教育を授ける。
」
本学の高度な教養教育を支えている一つの柱は、一般教育科目という組織で運営されて
いる共通教育科目である。共通教育科目は、キリスト教学、外国語科目、健康教育科目、
主題科目の科目群に加えて、教職課程と司書課程の 2 つの資格課程を有しており、それぞ
れの立場から教育理念を共有し確認している。
【国文学科】
キリスト教の精神に従って、高度な教養と実際に役立つ専門の学芸を授け、全人的で世
界的な視野に立ち、社会に積極的に貢献しうる女性の育成を目指すという、青山学院女子
短期大学の教育理念に沿って、国文学科では、学則や大学案内でも示しているように、世
界の中の日本という視点から日本語と日本文学に取り組むことを目指している。それは、
日本とは何か、日本人とは何か、と深く問う姿勢であり、21 世紀の将来を見通した息の長
い教養を身につけることに繋がると考えている。すなわち、日本の言葉と文学、文化等を
学ぶことによって、読解力、表現力を養い、幅広く息の長い包括的な教養や思考を身に着
けた人間の育成を考え、実行している。
学習全体を通して、その達成を図る一つの大きな目標は、卒業年次に課せられる選択必
修科目の卒業論文・卒業制作等の完成である。1 年次の演習の発表、質疑応答、レポート
作成等を通して、学生は読解力、分析力、理解力さらには自己表現力、プレゼンテーショ
ン能力を高められ、学生の希望調査に基づいたクラスで、自分のテーマを選び、教員の指
導を受けながらも、自分の能力の限りを尽くし卒業論文・制作を手掛け、仕上げていって
いる。
この学習成果は殊の外重要なので、
各担当教員は緻密な年間スケジュールのもとに、
春・夏・秋それぞれの時期までの、学習成果の到達目標を定め、達成可能な指導、設定が
なされている。年間を通して、全体会、グループ別指導、個人指導をいろいろ組み合わせ、
教員の指導のもとに学生同士が常に意見を交換しうる状況を設定し、互いに個々を高め合
っている。
【英文学科】
英文学科(英文学専攻および英語学専攻)の教育目的・目標は、本学の教育方針を踏ま
えたうえで、学則別記第 1 において、
「英文学科は英語運用能力の訓練にとどまらず、広
く世界の文化を理解できる教養と知識を身につけた人間の育成をめざす。
」とされている。
これらは、大学案内や履修要覧等にも明記され、学生・教職員はもとより内外にも周知徹
底されている。
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青山学院女子短期大学
【家政学科】
キリスト教の精神に従って、現実に即した有用な専門の学芸のみならず、全人的で世界
的な視野に立つ高度な教養教育を授け、社会のあらゆる局面で積極的な貢献をなし得る女
性の育成を目指すという、本学の教育理念に沿って、家政学科は、快適で人間性豊かな生
活のあるべき姿を地球規模の視点から学び、現代社会の主体的な一員として生活できる知
識・教養・技術を身につけた人間の育成を目指している。
学習の集大成は、卒業年次に課せられる選択必修科目「家政学研究」の卒業論文・卒業
制作の遂行である。1 年次の「生活論演習」
「生活実験実習」で課題発見、調査、要約作成、
レポート作成、プレゼンテーションを通して、学生は分析力、理解力を高められ、学生の
希望調査に基づいたゼミナールで、自分のテーマを選び、教員の指導を受けながら、卒業
論文・制作を行っている。その過程で、総合的知見と柔軟な思考力を涵養している。各担
当教員は綿密な年間スケジュールをもとに、学生の到達目標達成に努めている。実験・制
作系ゼミでは主に個別指導によって、論理的思考力、技術力を高め、社会科学系ゼミでは、
全体会、グループ別指導、個別指導を通して学生同士の意見交換を通して個々を高めあっ
ている。
単に、生活の技術的な面を学ぶだけでなく、2 年次の「生活原論」と「生活人間論」を
通して、高度な倫理観を併せ持ち、現代社会で主体的な人間として生活する人間の育成を
考え、実行している。
【教養学科】
(1) 学科・専攻課程の教育目的・目標を建学の精神に基づき明確に示している。
建学の精神にのっとり、教養学科では幅広くかつ深く学ぶことを通して、広い視野と優
れた判断力を養成することを目指している。このことは、学校案内などに明確に示されて
いる。
(2) 学科・専攻課程の教育目的・目標は学習成果を明確に示している。
学習成果は、洞察力・建設的批判力・問題設定能力・分析力・問題解決力という広い意
味での思考力として、示されている。演習をとおしての、異質の他者とのコミュニケーシ
ョン能力も、教育目的・目標である。
(3) 学科・専攻課程の教育目的・目標を学内外に表明している。
学校案内はじめ、各種の印刷物により学内外に表明している。
(4) 学科・専攻課程の教育目的・目標を定期的に点検している。
学生の状況、学習成果を顧み、教育目的・目標が適切か、定期的に点検している。
【芸術学科】
青山学院のモットー、「地の塩、世の光」を社会において実現すべく21世紀の社会に貢
献しうる「覚醒した女性」、即ち自立した心を養い、高度の教養と実際に役立つ専門的な
学芸を身に付けた学生を育成することを目的としている。芸術学科は芸術の知的理解と芸
術の創造行為を実践的にバランスよく身に付け、それを芸術人間学という体系的な学問と
して学び、その結果、混迷している時代を切開き、将来を担うべく創造豊かな人間性を持
つ学生を育成する。この目的・目標は芸術学科創設時から確認されている。
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青山学院女子短期大学
【子ども学科】
(1) 学科の教育目的・目標を建学の精神に基づき明確に示している。
本学の教育理念である「愛と奉仕に生き、社会のあらゆる局面で積極的な貢献をなし得
る覚醒した女性の育成を目指し、現実に即した有用な専門の学芸のみならず、全人的で世
界的な視野に立つ高度な教養教育を授ける」に基づき、子ども学科の教育目的を次のよう
な人間像・女性像によって示している。
“子ども”を通して“人間”を探究する~私たちは子どもに人間の原点を見出そうとし
ています。ここからすべてが始まるとともに、ことあるごとに立ちかえってゆくべきとこ
ろ、ここに軸足をおいて人間と社会を探究していくことをめざします。それは単に子ども
のまなざしを捉えることにとどまりません。誰もが子ども時代を過ぎし、それを抱えなが
ら生きています。子どものまなざしに大人のまなざしを重ねることによって世界は見えて
くるものだと考えています。
広く深い視野で自ら考え、創造する~世界を多角的な視点でとらえられるような豊かな
感性を養い、自ら考える人をめざします。与えられる、あるいはすでにあるものではなく、
自らのことばで表現しそこから現在を生き、未来へとつながる生活と文化を創り出してい
くのです。既存の保育の枠組みにフィットする人ではなく、子どもにかかわる新しい世界
を切り拓いていく、そんな人になってほしいと願っています。
愛と奉仕の精神をもって、社会に生きる~生活や文化をより豊にしようとする実践は、
一人ではできません。信頼と愛をもって他者とかかわり、協働する営みを通してはじめて
可能になるのです。すべての人と社会に貢献し、覚醒した大人の女性として積極的に責任
を果たす、のびやかな人間性と自分の持ち味を活かして他者と関係を結び、相手の育つ力
を支え、自らも成熟に向かい、ともに育ち合う。そんな実践のたしかな担い手になってほ
しいと願っています。
(
「2012 青山学院女子短期大学 Campus Guidebook」P.29 より)
(2) 学科の教育目的・目標は学習成果を明確に示している。
学科の教育目的において、多角的な視点で捉える、自ら考え、自らのことばで表現する、
自らの持ち味を活かすという個を育てる学習成果の観点を示しており、加えて、他者と協
働する、育ち合うという社会で生き仕事をするための学習成果の観点を示している。
(3) 学科の教育目的・目標を学内外に表明している。
大学案内である『青山学院女子短期大学 Campus Guidebook』
、及び短期大学ホーム
ページに掲載している。
(4) 学科の教育目的・目標を定期的に点検している。
年度末の科会において数回にわたり、新年度の大学案内とオリエンテーション、科目の
担当等について話し合う際に、科会において全教員で共有し、点検を行っている。
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青山学院女子短期大学
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
2012 年度からは、現代教養学科(日本専攻、国際専攻、人間社会専攻)と子ども学科の
2 学科体制となり、共通教育科目群は大きな変更を行う。とりわけ人文系、社会科学系、
自然科学系に分類される多くの主題科目は現代教養学科の専門科目に移行される。また、
一般教育科目という組織が解体され「共通科目運営委員会」が運営母体となる。従って、
いかにして委員相互の共通認識を担保し、各学科及び専攻と連携し、教育理念を堅持して
いくかが重要な課題である。
【国文学科】
建学の精神に基づく目的・目標に問題はないが、履修要覧等でより明確に提示する必要
があろう。学習成果を学科全体として基準・方針等を共有しているとは言い難いので、成
文化する必要もある。
【英文学科】
2011 年度にはまだ、学科・専攻課程とも学習成果の評価方法についての共通認識がなか
ったため、教育目的・目標と学習成果を関連付けて示すことはできていない。
【家政学科】
建学の精神に基づく教育目的・目標は、履修要覧等に示してあるが、選択科目が<生活
と社会システム><生活と環境><生活と文化>の 3 つの系に分かれているので、家庭科
の教職を目指す学生のように 3 系全体を満遍なく学習する学生と 1 つの系を中心に学習す
る学生に分かれる。
すなわち、
学生は自分自身に合った家政学を構築していることになる。
したがって、非常勤講師にも教育目的・目標を示してあるが、個々の講義自体が教育目
的・目標に対してどのような位置づけになるかを学科全体で共有しているとは言い難いの
で、学生の学習成果の実態について研修し、教員間で認識を共有する必要がある。
【教養学科】
問題点:さまざまな入試により学生の能力が多様化し、良い面もあるが、基礎学力の差
が学生間にみられる。能力の高い学生をさらに伸ばし、学力不足の学生の力を補うには、
少人数できめ細かな指導が必要となる。
今後の課題:豊かに提供されている可能性を学生が十分に生かすように、学習内容につ
いてのアドヴァイスが求められる。就職活動やアルバイトに過度に妨げられずに勉学に専
念できる環境づくりが必要である。
【芸術学科】
創設初期から現在に至る 23 年間に試行錯誤があったが、目標と現実の懸隔を我々は認
めざるを得ない。特に 2011 年現在、芸術の知的理解と創造行為をバランスよく学ぶよう
にカリキュラムを立てているが、芸術の知的理解と実践とのバランスは学生個人に任され
ており、これを自覚的にかつ創造的に行うことには難しさがある。しかもそれらを社会に
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青山学院女子短期大学
結び付けて実践することには難しさが伴う。専攻科では自己の中心的課題を見つけ、それ
ぞれ、知的理解の中心として哲学・美学、美術史のいずれか一つ、他方、創造行為として
は絵画、デザイン、織のうちから一つを選び、特定の一分野を深めることになっているが、
バランスよく学ぶことは難しくなっている。
【子ども学科】
(1) 学科の教育目的・目標を建学の精神に基づき明確に示している。
児童教育学科から子ども学科を通じた 50 年間において熟考され実践されてきており、
継承することを第一義とする。しかし理想を高く掲げた子どもの育ちと発達を保証する保
育の営みを主眼とする学びは、卒業後の実際の保育現場の状況と乖離していることへの対
応に苦慮する卒業生が昨今見受けられる。いかなる状況にでも対応できる強い意志と、柔
軟な適応能力のある愛と奉仕の精神を具現化できる学生の育成が今後強く望まれることを
学生に伝えていく。
(2) 学科の教育目的・目標は学習成果を明確に示している。
学科の教育目的において、
「多角的な視点で捉える、
自ら考え、
自らのことばで表現する、
自らの持ち味を活かすという個を育てる」という学習成果の観点に加えて、他者と協働す
る、育ち合うという社会で生き仕事をするための観点を示している。卒業時に行う 3 年間
の満足度調査ではほぼ毎年 93~95%の卒業生が満足、とても満足と表明しているが、さら
に深い学びのできる環境を創造していく。
(3) 学科の教育目的・目標を学内外に表明している。
大学案内である『青山学院女子短期大学 Campus Guidebook』
、及び短期大学ホーム
ページに掲載しているが、
今後、
特にホームページに随時学科の取り組みを公開していく。
(4) 学科の教育目的・目標を定期的に点検している。
年度末の科会において数回にわたり、新年度の大学案内とオリエンテーション、科目の
担当等について話し合う際に、科会において全教員で共有し、点検をさらに詳細に行う。
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青山学院女子短期大学
基準Ⅰ-B-2 学習成果を定めている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
全学的には「全人的で世界的な視野に立つ高度な教養教育を授ける」との建学の精神に
基づき、専門的な学問をするための礎となるとともに、様々な場面で意思決定を行う時の
よりどころとなる知識、そして広く社会全般に役に立つ教養を身につけることを学習成果
として要求している。しかし、共通教育科目全体としては統一的な学習成果を明確には示
していない。
学習成果の量的・質的データは、授業中のレスポンスペーパー、レポート、試験等で測
定、収集し、教員はその都度、授業の成果を確認している。また、前・後期に実施される
「学生による授業評価」では、科目単位にアンケートを取り、学生自身の認識を確認する
とともに、その結果は担当者にフィードバックし、授業改善に供している。
「学生による授
業評価」の結果は、閲覧できるようにしている。また、年間を通じて 1 度ではあるが、専
任・非常勤講師が一堂に会し、学習成果の点検を含め意見交換する場を設けている。
【国文学科】
国文学科の学習成果は、キリスト教信仰に基づく本学の教育目的・目標に沿って、主に
シラバスによる種々の科目で示している。また、年度初頭の学科の履修指導等や個人別履
修指導などで、学生の幅広い興味と関心の喚起を図り、各自の自由な学習・研究態度の確
立を促すようにしている(専門科目の必修はできるだけ少なくしている)
。必修、選択必修
科目は 1 年次の特別演習、近代文学史Ⅰ、2 年次の卒業論文・卒業制作等の科目だけであ
る。1 年次の特別演習では、演習を通して、図書館の利用の仕方や基本文献の調べ方を学
び、自分で問題を追究する力を養うことを示している。
学習成果の定期的点検は、特に 1 年次の特別演習などで行っている。例えば一昨年度、
受講者の授業での分担発表と質疑応答等で、意見の交流はなされても、発表者がうまく答
えられなかった点を、発表者の宿題とするか、教員が代わりに答えるかする場合が多かっ
たことを、昨年度は、ヒントを与えつつ受講者全体に考えさせ、新たに意見を出させ、討
論するというシステムを取り入れるなど、工夫を凝らしている。大事なことは、その折、
考え、意見を出し合い、どれが優れた考えかを把握し、皆が共有する意義を必ず指導して
いることである。
【英文学科】
英文学科の教育課程編成・実施の方針として、
「英文学科には(1)英文学専攻と(2)英語
学専攻の二つの専攻がある。両専攻とも各種の「主題科目」等の教養科目で視野を広げる
一方、英語のネイティブ・スピーカーが担当する英語教育プログラムを中心に少人数の英
語教育を行い、
「読む」
「書く」
「話す」
「聞く」という高度な英語運用能力を育成する。さ
らに(1)では英米文学、(2)では英語学、英米文化、異文化コミュニケーション、比較文化
を中心とする多様な授業が配置されているので、英語圏諸国の様々な側面を学ぶことがで
きる。2年次の個別指導ゼミでは各人の関心あるテーマをさらに掘り下げて学習できるよ
う指導している。
」
(学則別記 2)と明記している。
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青山学院女子短期大学
これに基づき、個々の授業レベルでは具体的な学習成果を示している。特にネイティ
ブ・スピーカーによるコーディネート授業については、同一教材・同一進度で行われてお
り、学習成果は明確に定められている。しかし、学科・専攻課程全体としては学習成果を
具体的かつ明確に示しているとは言えない。学習成果およびその評価方法について統一さ
れていないため、学内外への公表も定期的な点検もなされていないのが現状である。
【家政学科】
家政学科は、シラバスで、教育目標に基づく授業のねらい(目的)及び授業計画、授業
の進め方、評価の方法を公表し、学生の学習成果の評価を行っている。しかし、教員間で
評価方法の統一基準はなく、教員の判断に任されている。
実験・実習のようにその都度評価できる科目もあるが、多くの講義科目では困難を感じ
ている教員が多い。量的・質的学習成果を示す仕組みを構築することが必要である。教員
によっては、
講義内容の理解度を測る小テストやリアクションペーパーを利用しているが、
全体には広がっていない。例えば、
「基礎栄養学」のように、栄養素等の役割や各栄養素等
の日本人(成人女性)の食事摂取基準の数値を毎回の栄養素ごとに問えば、学生も慣れて、
その部分の学習成果は高まっていることはわかるが、例えば 2 回程度の小テストで 72 点
が 82 点と高まったというような大雑把な把握しかできない。各栄養素の化学・代謝まで
問うには大掛かりなテストをすれば時間がかかる。すると、講義時間が減るというジレン
マがある。
年度初頭の履修指導等や個人別履修指導では、学生の幅広い興味と関心を「自分自身の
家政学」の構築のために、興味と関心を幅広く、深めるためにどのような講義を選択する
かの助言を行っている。
【教養学科】
(1) 学科・専攻課程の学習成果を建学の精神に基づき明確に示している。
教養学科では建学の精神にのっとり、基準 I-B-1 に述べた教育目標のもとに広い視野と
優れた判断力を育成することを目指しており、抽象的ではあるが大学案内や履修指導関係
印刷物に示している。
(2) 学科・専攻課程の学習成果を学科・専攻課程の教育目的・目標に基づいて明確に示
している。
学科の教育目的・目標は抽象的・理念的な面もあり、学習成果もその限界を免れない。
(3) 学科・専攻課程の学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みを持っている。
学習成果は、レポートや論文の質となって表れている。量的に計測するのは難しい。講
義に関しては、試験やレポートの評価により成果が測定されている。
(4) 学科・専攻課程の学習成果を学内外に表明している。
「卒業論文集」などの学習成果は、印刷物としてまとめられているので、受験生対象に学
科を紹介する場合に役立っている。教養学科全体では、各演習から特徴ある卒業論文を集
め、卒業論文選集という形で提示している。しかし、明確に文章化されたものではない。
(5) 学科・専攻課程の学習成果を定期的に点検している。
科目の担当教員が個々に点検している。
教養学科のカリキュラムを十分に生かすことのできた学生は、多様な科目が相互に関連
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青山学院女子短期大学
していることに気づき、自己の関心の傾向をも反省することができている。専門化が進む
現代において、さまざまな専門をつなぐ総合力も、教養学科での学習の成果といえる。
【芸術学科】
「履修要覧」において、芸術専門科目を明示し、それらの科目構成が一本の樹木になる
ように作られている。中心科目は「芸術人間学」、美学、美術史(西洋、日本)が知的理解
科目、構成Ⅰ、Ⅱ、Ⅲが実技科目、芸術各論、構成論がそれらを結ぶ「枝」の科目、建築
論、文学論、音楽論、演劇論、映像論が周辺科目として大きな「葉」を形成し、芸術と宗
教、芸術と思想、芸術と社会、芸術と自然、芸術心理学が関係科目として「葉の塊」を形
成する。そして全体の成果を表すものとして「卒業研究」を課している。樹木全体の構成
は各自の選択構成によるが、「卒業研究」の成果は学年末に開かれる「卒業展」で示され
る。途中の学習成果は年2回行われる「講評会」で、専任教員、実技の非常勤の教員出席
のもとで明らかにされる。さらに目標とすべき作品については、保持している卒業生の優
秀作品を具体的に示すことによって学生に明示している。ただし、学習成果を言葉で表現
するのは難しい。
【子ども学科】
(1)学科の学習成果を建学の精神に基づき明確に示している。
本学の教育理念である「愛と奉仕に生き、社会のあらゆる局面で積極的な貢献をなし得
る覚醒した女性の育成を目指し、現実に即した有用な専門の学芸のみならず、全人的で世
界的な視野に立つ高度な教養教育を授ける」に基づき、学科における学習成果の観点を、
子ども学科の教育目的・目標に盛り込んでいる。それらは、多角的な視点で捉える、自ら
考え、自らのことばで表現する、自らの持ち味を活かす、他者と協働する、育ち合うとい
う学習成果の観点である。
(2)学科の学習成果を学科の教育目的・目標に基づいて明確に示している。
学科の教育目的において、多角的な視点で捉える、自ら考え、自らのことばで表現する、
自らの持ち味を活かす、他者と協働する、育ち合うという学習成果の観点を示している。
(3)学科の学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みを持っている。
学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みを作っていないが、年間相当な回数
開かれる学科の科会において、ほぼ毎回成果が上がっていないケースとその状況、対応策
等について情報や意見を出し合い共有に努めている。また 1 年次の子ども学基礎論(初年
次教育の科目)
、2 年次及び 3 年次における卒業研究をテーマとする演習の学習成果の向上
のため情報を出し合い改善に努めている。
3 年次の子ども学特別研究は卒業研究として論文または作品制作を課しており、発表す
ることを必須としている。すなわち論文の場合は論文発表会、卒業制作の作品の場合は作
品発表会または卒展での発表を 1 月末または 2 月初旬に 1 日かけて実施している。これに
は教員だけではなく 1,2 年生も参加して上級生の卒業研究の成果を享受している。
(4)学科の学習成果を学内外に表明している。
大学案内において、
学生の声を掲載しているが、
その中に学習成果が盛り込まれている。
2012 年度の大学案内を例に取ると、子ども学科・座談会{3 年間の豊かな学び}をテーマと
して、6 名の学生が、自分のことばで学んだことについて語っている。このように表現で
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青山学院女子短期大学
きる力を身につけたということは学習成果であると考えている。
大学のホームページで、外部において学習成果をあげた学生について掲載している。
また、(3)に述べた特研発表会は学内での公開をしており、ホームページでもこの発表の
内容の詳細な報告を掲載している。また、すべての学生の卒業研究のレジュメを『児童教
育研究』という冊子にまとめ発行しており、2011 年度で通算 49 号を数えている。
(5)学科の学習成果を定期的に点検している。
年間相当な回数開かれる学科の科会において、ほぼ毎回のように、成果が上がっていな
いケースとその状況、対応策等について情報や意見を出し合って、共有することに努めて
いる。また 1 年次の子ども学基礎論(大学での学習へのモチベーションを喚起し、基礎的
力を養う初年次の授業科目)
、2 年次及び 3 年次の演習の学習成果を上げることについて情
報や工夫を出し合って、改善に努めている。また、複数の教員で担当する科目(例えば、器
楽、実習指導)では、定期的に会議を開き、学習成果について情報交換し、次年度の授業や
指導に反映させるよう努めている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
2012 年度からは、
「共通科目運営委員会」が運営母体となる。委員会での議論を経て、
キリスト教学、外国語科目、健康科目、情報科目、キャリア・ライフ・デザイン科目それ
ぞれについて明確な学習成果を明示する必要がある。
また、学習成果の量的・質的な測度基準を策定し、さらに明確にする必要がある。
【国文学科】
学習成果は、基準を設けて明確に示しておらず、量的・質的データとして測定する仕組
みが十分とは言えない点がある。学習成果を提示し、教員が指導する点について、特に担
当が非常勤講師の場合に多少のバラつきがある。国文学科は年に一度の教員懇談会を設け
て、多くの非常勤講師との精緻な打ち合わせや意見交換を行っており、日常的にも頻繁な
交流があるが、今のところ限界があるのは否めない。さらに、個々の学生に習得知識やス
キルに差ができる点については、少人数制を徹底するなどの必要がある。
【英文学科】
授業のシラバスや学生による授業評価を点検しつつ、個々の授業の学習成果を規定し、
さらには学科の目的・目標に基づいた学科全体の学習成果の基準を明確に示す必要がある。
また、量的・質的学習成果を客観的に測定する仕組みを構築し、学内外に公表し定期的に
点検する必要がある。
【家政学科】
シラバスのなかで学習成果を示し、評価を行っている。実験・実習のような技術系科目
は、その都度、学習成果をある程度評価できる。専任教員が担当する講義科目は充分とは
言えないが、意見交換などを通して意思を揃えようとしている。しかし、非常勤講師が担
当する、約半数の選択科目は、学習成果および評価についての意思統一が充分であるとは
言い難い。
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青山学院女子短期大学
量的・質的学習成果や単位認定を公表できる仕組みを考える必要がある。
【教養学科】
問題点:当該区分に係る観点(1)~(5)にわたり学習成果はやや抽象的ながら定められ、示さ
れ、点検されているが、その受け止め方は教員個々に任されている。
今後の課題:学習成果について、教員相互の共通理解が課題である。
【芸術学科】
学生各自の全体計画を一年生の履修指導の際に明確に示すが、どのような「樹木」を形
成していくのか学生自身が認識しているとは言い難い。特にカリキュラムの構成上の問題
が大きく影響するように思われる。場所的制約、つまり教室の大きさに選択が左右されて
しまうことになる。2011年には、「講評会」も時間的制限を受けざるを得なかった。学生
が満足でき的確な指導を受けたと自覚できるような「講評会」の在り方が追究されるべき
であろう。
教員と学生の十分なコミュニケーションをどのようにして行い、それを現実の成果に結
び付けるかは大きな課題であろう。高校での美術教育の相違による個々人の実践の技術的
な訓練の必要性も議論して進めることは重要である。評価基準の確定も当然議論して行う
べきであろう。
【子ども学科】
(1) 学科の学習成果を建学の精神に基づき明確に示している。
大学の教育理念に基づく学科の教育目的・目標において学習成果の観点を盛り込んでいる。
(2) 学科の学習成果を学科の教育目的・目標に基づいて明確に示している。
学科の教育目的・目標の中に学習成果の観点を盛り込んでいる。
(3) 学科の学習成果を量的・質的データとして測定する仕組みを持っている。
そのような仕組みを持っていないが、定期的な会議を開き情報交換に努めている。今後
は、学習成果をテーマとして教員が発表し討議する機会を持つことについて検討したい。
(4) 学科の学習成果を学内外に表明している。
学生の声を通して学習成果を学内外に表明することを継続したい。
(5) 学科の学習成果を定期的に点検している。
科会において点検し、次の学期や次年度に反映させるという今の方法を継続したい。
基準Ⅰ-B-3 教育の質を保証している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
Web サイトの学校教育法及び短期大学設置基準を閲覧し、確認に努めている。主題科目
の社会科学関係科目群に置かれた「キャリア・ライフ・デザインⅠ・Ⅱ」は中央教育審議
会の答申を受けて、2011 年度に新たに設置した科目である。
学習成果に対するアセスメント手法の一つは、前期・後期に実施される「学生による授
業評価」である。これには通常のフォームに加えて、各担当者が任意に質問項目を設け、
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青山学院女子短期大学
授業の重要なポイントに対する学生の学習成果を確認できるようにしている。
それ以外は、
共通教育担当教員各自の裁量に任されている。
PDCA サイクルによる教育向上・充実のための取り組みは、基本的には教員によるポー
トフォリオをとおしての活動によるところが大きいが、全学自己点検・評価委員会主導で
授業改善に向けたフォーラムを開催し、意見交換をし、教育向上・充実に努めている。
なお、教職課程で実施されている履修カルテの作成は PDCA サイクルを有効に機能させ
る取り組みといえる。
【国文学科】
教育の質を保証するために、学校教育法、短期大学設置基準等の関係法令の変更などを
適宜確認して、法令順守に努めている。教育の質の保証は、教員の専門的学問領域の一層
の考究とともに、教育者としての受講者への深い配慮と指導力、さらには少人数制による
学生把握は、欠かすことのできない極めて重要な要素となっている。専攻科国文専攻は学
位認定の専攻科ゆえ、国文学科の専任教員はもとより、担当する多くの非常勤講師は、業
績等の審査を受けて評価されており、質的レベルの高さは保証されている。教育者として
の資質も高い。例えば、卒業制作の創作指導担当(非常勤講師)で、小説指導は、何度も
芥川賞候補となっている教員であり、
短歌指導は、
釈迢空賞の受賞者として知られており、
学生たちから厚い信頼を得ている。
学習成果を焦点とする査定(アセスメント)の手法等、基準が設定されてはいないが、
各教員は試験の結果だけで評価をすることはまずなく、学習のプロセスを重視しており、
半期あるいは年間を通して、学習成果の達成の過程を注意深く見守っている。
【英文学科】
専任教員においては、協議会に出席する主任を通じて、または教授会を通じて関係法令
の変更などを適宜確認している。非常勤講師については、学科単位で行われる懇親会の場
や教務課・庶務課からの連絡によって周知し、全学で法令順守に努めている。シラバスに
各授業の評価基準を示してはいるが、学習成果を焦点とする査定の手法を有しているとは
言えない。教育の向上・充実のための PDCA サイクルに関しては、シラバスに個々の授業
の概要や目的、評価の方法、計画や内容を示し、計画に沿った授業、成績評価を実施し、
学生による授業評価も合わせて授業を点検し、授業改善を行っているので、個々の授業レ
ベルでは大方サイクルを有していると言える。ただし学科全体として組織だったサイクル
を確立しているとは言えない。
【家政学科】
教育の質を保証するため、関係法令および改正を適宜確認し、種々の関連団体からの提
言情報を回覧し、周知を行っている。しかし、教育の向上・充実のための PDCA サイクル
については、教員間で違いがあることは否めない。特に、成績評価について、演習科目、
実験実習科目、卒業論文・制作などは結果だけで評価することはなく、プロセスを重視し
ているが、講義科目は教員の専門分野での従来の評価方法であることが多い。
授業方法の改善では、
「学生による授業評価」と「専任教員による授業公開」があるが、
前者を受ける教員は多いが、後者では、時間割の都合にもより教員の参加者が少ない。
「学
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生による授業評価」は学科全体では 5 点満点で 4 点を超え 4.28 前後であるが、点数が上
昇しているわけではなく、授業方法の改善が十分になされているかどうかは疑問である。
【教養学科】
(1) 学校教育法、短期大学設置基準等の関係法令の変更などを適宜確認し、法令順守に
努めている。
教養学科以外の学科とも共通して、教務委員会の指導のもと、関係法令をふまえた教育
の質確保に努めている。
(2) 学習成果を焦点とする査定(アセスメント)の手法を有している
「学生による授業評価」や教員個々の査定はあるが、学科全体として「学習成果を焦点
とする査定の手法を有している」とは言えない。
(3) 教育の向上・充実のための PDCA サイクルを有している
シラバスに授業の内容や評価方法を示し、計画に沿って授業を行い、試験やレポートに
より学習成果を測定している。
「学生による授業評価」をあわせて、個々の教員は改良し、
次年度の授業につなげている。PDCA サイクルは個々の教員に任されており、学科全体と
して取り組んでいるわけではない。
【芸術学科】
教育の質を問題にする場合、教員自身のこの問題に対する自覚と研究実績を上げる努力
を問わなくてはならない。特に20世紀後半から21世紀にかけては新しい科学技術の発展と
展開の結果、特に芸術においては、先端技術と関わる芸術表現、つまりコンピューターア
ーツの分野で新しい芸術現象がみられる。教員が新しい問題とどう向き合うのか、これを
道具として使用する単なる経験のレヴェルではなく新しい現象を学問的に位置づけて、現
実を分析し学生を論理的に納得させなければならない。したがって教員は自分の研究活動
や学会活動と学生の教育との有機的連関を日常的に追究すべきである。芸術学科の場合、
学生数が少ないので学生とのコミュニケーションの機会を作ることは比較的容易である。
特に「卒業研究」では具体的事例を示しつつ学生との対話を通して問題を共有し新たな現
象について考察できていると思われる。さらに年に2回、学外から研究者や芸術の実践者
を招き講演会を実施し、学生と共に学ぶ機会を作っている。これは学生の考えを刺激する
効果を得ている。「卒業展・修了展」は芸術学科の教育の質を具体的に示す機会となって
いる。
【子ども学科】
(1) 学校教育法、短期大学設置基準等の関係法令の変更などを適宜確認し、法令順守に
努めている。
学校教育法、短期大学設置基準等の関係法令の変更などは、学長から短期大学協会の学
長会の報告がインターネットにより全教員に伝達され、また文部科学省等の国の方針につ
いては、科会や教授会で資料配付がされるため、適宜確認され、法令遵守に努めている。
(2) 学習成果を焦点とする査定(アセスメント)の手法を有している。
学科全体としては有していない。教員各自、あるいは 4 つの科目領域とフィールドワー
クの領域毎で情報交換を行って、授業の改善に活かしている。
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(3) 教育の向上・充実のための PDCA サイクルを有している。
学科全体としては有していない。教員各自に委ねられている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
学習成果に対する有効なアセスメント手法を開発し、組織的に実施する必要がある。
授業に対する教員相互のピアレビューは数年継続されているが、
それほど活発ではない。
授業方法の FD 研究会の開催も含め全学的な活動にしていく必要がある。
なお、2012 年度から始まる e-portfolio の実施は、共通教育のみならず本学全体の教育
向上・充実に有効活用していきたい。
【国文学科】
教育の質の保証に関して、特に教員のレベルの高さにおいては、さほどの問題を感じな
いが、学習成果を焦点とする査定について、基準を定め、教員がそれらを熟知する必要が
ある。一方、学習成果と関連して、あるいはそれ以前の問題として、近年、精神的な病気
を抱える学生が増えており(その大半は高校時代までに少なくとも軽度の疾患に掛かって
いる)
、授業を休まざるを得ない者がおり、その対応は看過できないものとなっている。学
生相談室との緊密な連携を取っているが、
すべての教員に情報が行き渡らないことがあり、
近年の懸案事項となっている。
【英文学科】
個々の授業レベルおよび学科全体のレベルで量的・質的な学習成果に関する理解を統一
し、学習成果を焦点とする組織的な査定方法を構築し、PDCA サイクルに組み込む必要が
ある。
【家政学科】
シラバスに、各科目の成績評価基準を示しているが、量的・質的な学習成果についての
統一基準はない。基準を定め、それを各教員が順守する努力を重ねる必要がある。
授業方法の改善については、現在、
「学生による授業評価」を最後の 1~2 週の授業時間
で行っているが、授業期間の中途で行うことも考えられる。しかし、授業時間中に行われ
ると授業時間が減ることになり、これに達成度の判定などが加わると、さらに授業時間が
減るというジレンマが起こる。
「専任教員による授業公開」は現在、時期を決めて、その期間内で行っているが、期間
を決めず、
いつでも誰でも、
授業参観できるようにするなど制度改正を考える必要がある。
【教養学科】
問題点:当該区分に係る観点(3)について
大学の教育においては、教員の自由裁量の範囲が広い。そのことは創造的かつ魅力的な
授業をするために大切である。ただ、教育の質的向上・充実が個々の教員に任されている
ため、それぞれ自分の専門に閉じこもり、学生のためになっていない場合もある。
今後の課題:教員の相互批判や、教員相互の授業参観などが自由闊達になされるようにな
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ることが望まれる。
【芸術学科】
全学的にFD研究会を持ち、様々な考えを共有し研究と教育の在り方を検討しているが、
方法論に終始して内容との有機的連関にまで至っていない憾みがある。特に研究業績をい
かに評価するかは難しい問題である。芸術学科のように全教員が異なる分野に属している
場合、相互理解の努力は成し得ても、相互批判、評価は難しい。
「講評会」は学生に対して効果があるが、マンネリ化しがちである。学生の教育の質を
保証するためにどのようにこれを展開するかは大きな課題である。
【子ども学科】
(1) 学校教育法、短期大学設置基準等の関係法令の変更などを適宜確認し、法令順守に
努めている。
今のところ、現状のやり方を継承する。
(2) 学習成果を焦点とする査定(アセスメント)の手法を有している。
今のところ、基本的には現状のやり方を継承するが、複数の材料によって査定すること
を確認したい。
(3) 教育の向上・充実のための PDCA サイクルを有している。
科会で PDCA サイクルに従って、授業の計画→学習成果の報告→振り返り→改善の流れ
で報告し、意見交換を行うようにしたい。
[テーマ]
基準Ⅰ-C 自己点検・評価
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:ALO)
本学の自己点検・評価活動は、2003 年以降規則を設けて実施されており、全学自己点検・
評価委員会のもとに 12 の部局等委員会を設置し、全教職員参加のもと日常的に活動して
いる。これまでに 5 年ごとの報告書を 2 回発行しており、2005 年には短期大学基準協会
の認証評価を受け、適格と認定されている。自己点検・評価活動の成果は日常的に活用さ
れている。
2012 年には全学的な改組を実施し、現代教養学科を開設したが、これもこれまでの自己
点検・評価活動の結果である。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:ALO)
12 の部局等委員会が複数の委員会等から構成されているため、相互の連絡調整を一層緊
密にすることが課題である。
2012 年度実施の改組が十分な成果を収められるよう、自己点検・評価活動の一層の取り
組みが必要とされている。なお今年度は、第 3 回目の自己点検・評価報告書の発行が予定
されている。
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[区分]
基準Ⅰ-C-1 自己点検・評価活動等の実施体制が確立し、向上・充実に向けて努力して
いる。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:全学自己点検・評価委員会)
(1) 自己点検・評価のための規程及び組織を整備している。
2003 年 4 月に「青山学院女子短期大学自己点検・評価規則」並びに「青山学院女子短
期大学自己点検・評価委員会規則」を制定・施行しており、2007 年 4 月に前者を改正・
施行している。組織は、常設の全学自己点検・評価委員会の下に、12 の部局等委員会を設
置している(管理運営/キリスト教教育/教育課程等/教育活動/学生募集/学生生活/
研究活動/広報活動/図書館/卒業生進路/国際交流/施設設備)
。
(2) 日常的に自己点検・評価を行っている。
全学自己点検・評価委員会は常設であり、各学科等から委員が選出され、定期的に委員
会が開催されるとともに教授会に年間活動報告がなされている。部局等委員会は本学組織
規則に定める各種委員会等を基礎として構成し、活動状況を全学委員会および教授会に報
告している。
(3) 定期的に自己点検・評価報告書等を公表している。
全学自己点検・評価委員会では 5 年ごとに報告書を作成することにしており、これまで
各部局等委員会による点検・評価をもとに以下の報告書を刊行し、
大学の内外に公表した。
① 『青山学院女子短期大学 2002 年-自己点検・評価報告』
(2003 年 3 月発刊)
② 『青山学院女子短期大学 2007 年-自己点検・評価報告』
(2008 年 3 月発刊)
なお、2005 年には短期大学基準協会の認証評価を受け、適格と認定された。
(4) 自己点検・評価活動に全教職員が関与している。
すべての教員が上記部局等委員会等に属しており、また職員も各種委員会等の正規構成
員ないし担当事務局として参加しているため、全教職員が本学の自己点検・評価活動に関
与している。
(5) 自己点検・評価の成果を活用している。
① 本学の教職員及び各機関は、自己点検・評価の活動を尊重し、教育研究及び管理
運営等の各分野において、それぞれの質的水準の向上と活性化に努めている。
2012 年度に実施した全学的な改組方針も、これらの自己点検・評価活動の結果で
ある。
② 学長は、理事会と協議の上、自己点検・評価の結果に基づく改善策を可能にする
人的、物的及び財政的な条件整備に努めている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:全学自己点検・評価委員会)
(1) 自己点検・評価のための規程及び組織を整備している。
特に問題はないと考えられる。
(2) 日常的に自己点検・評価を行っている。
全学委員会に比し、部局等委員会は複数の各種委員会等から構成されるため、ともすれ
ば相互の連絡調整において十分とはいえない状況が見られる。
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青山学院女子短期大学
(3) 定期的に自己点検・評価報告書等を公表している。
2012 年度が 3 回目の報告書公表年に当たっており、準備が進められている。
(4) 自己点検・評価活動に全教職員が関与している。
特に問題はないと考えられる。
(5) 自己点検・評価の成果を活用している。
2012 年度実施の改組が十分な成果を収められるよう、自己点検・評価活動の一層の取り
組みが必要とされている。
基準Ⅰについての特記事項
(1) 建学の精神と教育の効果について努力している事項
本学の教育理念の「キリスト教信仰に基づく女子高等教育」と「全人的で世界的な視野
に立つ高度な教養教育」は、学院創立者の一人であるスクーンメーカー女史から受け継が
れてきたものである。女史は女子小学校の開学のみにとどまらず寄宿制学校の必要性を痛
感し、始めは三田の地に開学より 14 ヵ月後の 1877 年 1 月には築地明石町に、校舎、教員
も生活する寄宿舎を備えた学校を開いた。ここでは、数学・地理歴史・天文・博物・動植
物・地質・物理・化学・生理衛生・倫理・心理・経済政治・教育・音楽・画法・裁縫・割
烹・作法・聖書・英語・和漢学と、アカデミックであると同時に幅広い教養人の育成を、
教員との寮生活の中においても成し遂げてゆくことを目指したものといえる。
本学の学生寮はこの伝統を受け継ぎ、単なる女子学生寮ではなく、いわゆる教育寮と位
置づけて、渋谷区猿楽町の地に 118 名定員で、教職員からなるシオン寮運営委員会のもと
住み込みの寮監の指導で運営されている。
朝の礼拝に始まり、帰宅時間厳守で二人部屋での共同生活は、多くの決まりごとと学生
主体の行事があり、
それらは寮監を中心としたキリスト教信仰に基づく教育の一環であり、
また全人的な学生を育てることに寄与している。
寮生は、自発的に学校行事やクラブ活動などの課外活動に参加することが多く、また卒
業後は各地に戻り、地域において独自に活躍しているものが多いことも特色といえる。
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【基準Ⅱ 教育課程と学生支援】
(a) 基準Ⅱの自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:ALO)
一般教育科目並びに各学科の教育課程は、それぞれの教育目標や学位授与の方針に沿っ
て特色ある編成を行い、全体として見るべき成果を収めてきた。特に、立脚するそれぞれ
の学問の専門性を大事にしつつも、より学際性や総合性を重視するカリキュラム改革を重
ねてきており、本学の標榜する教養教育の実をあげてきたことは評価できよう。FD 活動
が定着してきていることも評価される。ただし、個々の授業改善の努力とは別に、各学科・
専攻課程の学習成果やアセスメントを全体として明確にする点については、いまだ十分と
は言えず、課題を残している。
学生支援についても、本学の学習や学生生活に対する学生・卒業生の満足度は高く、就
職や編入などの進路実績も概ね高いといえよう。しかし、近年の経済情勢の影響もあり、
一時期は就職実績が下がった(今日では挽回しつつある)
。今後共一層の進路支援の充実が
求められている。
(b) 基準Ⅱの自己点検・評価に基づく行動計画を記述する。
(担当部局:ALO)
本学は 2012 年4月から、大きな学科改組を実施した。それはこれまでの本学の教育活
動の実績を踏まえ、短期大学や女子高等教育をめぐる情勢の変化に鑑みて、本学の特色で
ある教養教育をより 21 世紀に求められる「人間力」養成へと純化するためのものである。
こうして子ども学科以外の 5 学科を融合・再編成し、2012 年 4 月より新たに現代教養
学科を新設、学生定員を約 6 割に減らし、少数精鋭による教育効果の向上を図ることとな
った。従来の学科編成の原理が各分野の学問を拠り所にした縦割りの限界があった点を克
服すべく、学科の共通科目としての「現代教養コア科目」群を設置し、かつ学科を日本、
国際、人間社会という 3 つの専攻に区分し、それぞれの専門科目を配置するとともに、専
攻を超えた履修を可能にするよう工夫した。また 2 年間一貫の少人数によるゼミナールを
設置することで、各専門分野の深い学びをも可能にすることを目指している。
現代教養学科においては、学生の学習支援や進路支援についても大きな改善を図りつつ
ある。就職、編入、留学等の多様な進路に応じて、入学から卒業まで、さらには卒業後ま
でを見越した一貫した支援体制を目指している。具体的には、まず新しいアドバイザー制
度の活用が挙げられる。2 年間を通して、学問入門演習―専攻基礎演習―卒論演習と続く
少人数の演習担当者(専任教員)がアドバイザーとして、学生の学業・生活・進路の支援
に当たるシステムである。これと並行して、全学的な就職支援や編入支援の体制、学生相
談室の充実などの施策をとることは言うまでもない。また着手したばかりであるが、e-ポ
ートフォリオの活用と定着も重要な課題である。これにより、学生の学習や課外活動が蓄
積され、教員による学習支援、生活支援、進路支援がより効果的に推進されることが期待
できる。
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青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅱ-A 教育課程
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
「高度な教養教育を授ける」という教育目標を実現するため、共通教育科目をキリスト教
学、外国語科目、健康教育科目、主題科目に区分し、教育的観点、学生のニーズ、良い学
習環境の提供といった点に留意し、充実した科目群を編成している。バランスの取れた履
修を誘導するために、必修、選択必修、選択の組み合わせを工夫するとともに、興味ある
分野に関しては、ある程度追究できるようなシステムにしている。また、年 2 回行ってい
る「学生による授業評価」を参考に科目群の整備に努めている。
学生は科目編成及び履修システムの意図を十分に理解し、自らの学習の組み立てをして
おり、満足度も高い。
共通教育は「教職課程(中学校教諭 2 種免許)
」と「司書課程」の 2 つの資格課程を有
しており、それぞれの課程の基準に準拠しながら、科目を配置している。毎年、多くの学
生が履修し、資格を取得している。教員免許取得の学生は、その 1 割近くが実際に教職に
就いている(臨時任用・卒後採用を含む)
。
【国文学科】
国文学科では教育目標に沿って、授業科目の四つの系列に即して、それぞれ丁寧な指導
を行っている。それらは、
「日本語学の分野」
「日本文学の分野」
「創作の分野」
「隣接する
分野」である。それぞれの分野は、内容的には関連するものが多く、柔軟な構造をとって
おり、学生の授業評価アンケートでも、全体的に高い評価を得ている。1 年生のオリエン
テーションなどには卒業生を呼んで、在学中の学習や就職先での活躍ぶりを話してもらっ
ているが、卒業生たちの国文学科への評価は高い。卒業時のアンケートでも、十分満足し
て卒業していく学生が大半を占めている。
【英文学科】
英文学科では、学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針、入学者受け入れの方針な
ど明示すべきものは全て学則や履修要覧で明示している。
ただし学習成果の査定に関して、
個々の授業はシラバス内の「授業の到達目標及びテーマ」と成績評価を組み合わせること
で対処できているが、個々の授業を超えた体系的な量的・質的学習成果を組織的に定め、
その査定法を各専攻および学科単位で構築し、定期的・組織的に査定を実施するシステム
はまだできていない。
【家政学科】
家政学科では教育目的に沿って、授業に関して具体的に 3 つの系列にわけている。それ
は「生活と社会システム」
「生活と環境」
「生活と文化」である。それぞれの分野は独立し
ているように見えるが、1 人ひとりが興味を持ったテーマについて、3 つの系を縦横にク
ロスしながら問題点を深く掘り下げている。中学校教諭 2 種免許状(家庭科)取得希望者
は 3 つの系列を満遍なく履修することになる。
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青山学院女子短期大学
1 年生オリエンテーションに参加した卒業生は、1 つの系列を中心にして、他の系列で
周囲を固めるというシステムを評価する話をしてくれる。
【教養学科】
教養学科では、学位授与の方針を明確に示し、学習成果に応じて、学位を授与している。
教育課程は、幅広く学ぶための講義と学びを深めるための少人数演習と外国語や情報処
理からなる。講義は、A:思想と文化、B:社会と人間形成、C:科学と生活環境に分類さ
れ、学生が体系的に、偏ることなく履修するように編成されている。
シラバス、履修指導、授業内容、成績評価などにより、教育の質の保証がなされるよう
図っている。教育課程は定期的に見直され、改善されている。
学習成果は、とくに卒業論文集を公にすることによって、自他に公表している。
卒業生は、四年制大学編入、留学、就職など多様であるが、それぞれの場面で、教養学
科で学んだことが役立っている様子である。
きめ細かな指導をとおして成長していく学生が多いということが、教育課程の特徴とな
っている。
【芸術学科】
芸術の知的理解(学科目)と創作行為(実技科目)をバランスよく学び芸術人間学を修める。
芸術の様々な現象を学問的に探究すると共に実践的な創作活動を経験することによって、
また途中の指導を通して、現代の人間の在り方を考える。芸術学科の教育課程の全体は積
み上げ方式になっており、1年生には「芸術人間学」「西洋美術史」「芸術論演習」を必
修として課し、芸術一般論、芸術の歴史、学問入門演習で基礎的教育をする。同時に実技
では「構成Ⅰ」として絵画、彫刻、デザイン、織の全部門を学んだ後、後期はこれらから
2部門を選択し学ぶ。2年生では「美学Ⅰ」「日本美術史」「芸術各論Ⅰ、Ⅱ」を、実技科
目では「構成Ⅱ」として絵画、デザイン、織から1部門を選択し学ぶ。これらは必修科目
である。2年生後期になると「卒業研究」として論文あるいは絵画、デザイン、織から1部
門を選ぶ。「卒業研究」では、全体人数が少ないため指導教員のアドバイスを毎週受ける
ことができる。対話を通して芸術について論じ合い、その成果は「卒業展・修了展」で発
表される。
【子ども学科】
「教育課程」について、
「学位授与の方針を明確に示している」では、学位授与の方針
を学則に規定し、
「履修要覧」によって教職員・在学生にあわせて周知、ホームページで学
外にも公開、受験生や保護者にも社会的に表明している。
「教育課程編成・実施の方針を明確に示している」では、学科の理念を反映して教育課
程を体系的に編成し、学内外に公表してきている。
「入学者受け入れの方針を明確に示している」では、学科の理念に共感し、学ぶ意欲を
持った学生を入学につなげるための方針の開示・伝達を、様々な取り組みや広報媒体を通
して行っているほか、オープンキャンパスその他の直接対話の機会に行っている。
「学習成果の査定(アセスメント)は明確である」では、教員が学科のディプロマ・ポ
リシーを理解したうえで教育内容を設定し、学習成果を明らかにしながら教育を展開して
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青山学院女子短期大学
きている。
「学生の卒業後評価への取り組みを行っている」では、学科としてとくに保育現場・福
祉施設等に就職した卒業生を中心に卒業後の社会貢献の状況について情報を収集し、卒業
生を支援する要点を得るとともに、それらを学科への評価と受けとめ、教育の成果・課題
を学科の教育内容にも反映している。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
一般教育科目並びに各学科の教育課程は、それぞれの教育目標や学位授与の方針に沿っ
て特色ある編成を行い、学内外に明らかにするとともに、見るべき成果を収めてきた。し
かし、シラバスについては今年度から「到達目標」を明確に書くよう改善されたものの、
学科・専攻課程としての学習成果やアセスメントを明確にする課題は残っている。
この課題は、授業の多様性を考慮すると容易なことではないが、学科・専攻課程として
の組織的な検討が急がれる。学生の卒業後評価については、就職先や進学先などに対する
一定の調査を行ってきてはいるものの、子ども学科以外はあまり組織的・継続的とは言え
ない。今後はより組織的な取り組みを具体化する必要がある。
【子ども学科】
「教育課程」における各点検・評価項目に関する現状は要約のとおりであるが、改善点
については以下のようになる。
まず、学内外に対して、学位授与の方針をより積極的に広報し、学科の理念や教育課程
編成の方針、魅力、特性をより理解してもらう努力が必要である。また、学科の理念とあ
わせて在学生にも重ねて伝えながら、学生が本学科で学ぶ意欲の向上につなげていく必要
がある。
教育課程については、今後も教員間の協議・学生評価を反映しながら定期的に見直し、
改善を継続する必要がある。子ども学科は非常勤講師による授業も多様に置いていること
や、免許・資格取得のために学外における多様な実習プログラムもあり、学内授業のみな
らずその時々の学生の状況を把握しながら教育を展開する工夫も必要である。そのような
学科の特性があること等からも、教員間で成績評価や学生指導の要点等、確認をより徹底
し、共有し、教育の質の担保と向上に継続的に取り組んでいく必要がある。また、学習成
果の測定が困難な内容も一部あるため、具体的な検討については継続する必要がある。
入学者選抜制度は、毎年改善を加えてきているが、入学前の学習成果を明確に把握する
ための入学試験改善案を随時協議、方針も確認しながら選抜制度の運用に具体的に反映す
る必要がある。
この区分の点検・評価に関し、概ね問題はないと認識しているが、以上のようないくつ
かの見直し・改善点を見出している。今後それらについて改善の努力をしていきたい。
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青山学院女子短期大学
[区分]
基準Ⅱ-A-1 学位授与の方針を明確に示している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:各学科)
【国文学科】
国文学科では、学位授与の方針として、卒業の要件、成績評価の基準などは明確に示さ
れている。卒業要件等は履修要覧等で示されており、国文学科は 70 単位以上を取得しな
ければならない。そのほかに国語の教職免許、司書の取得に関しても、全学的な指導が行
われて、
資格取得の要件が明確にされている。
専攻科国文専攻は学位認定の専攻科であり、
修了には 30 単位でよいが、一年制の専攻科ゆえ学士認定を考えるなら、修了後さらに1
年間、科目等履修生となる必要があることや、その直後に提出する学位授与機構による試
験(論文審査)のことまで、学期初めの履修指導はもとより、その後も学生へ適切な指導
を行っている。これらは主に大学案内を通じて学内外に表明されている。
【英文学科】
英文学科の学位授与の方針は、学則別記第 2 に「英文学科では、幅広い教養教育と英語、
英米文学、英米文化の学習を通して、英語文化圏を中心とするグローバルな社会に対する
理解と、
高度な英語運用能力の獲得を学位授与のために必要としている」
と記されており、
学科の卒業要件(70 単位以上等)
、および各授業の成績評価の基準、教職・司書の資格取
得の要件も、履修要覧において学内外に公表されている。これらは入学時はもちろん 2 年
次の履修指導等においても徹底されている。
【家政学科】
家政学科では、学位授与の方針として、履修要覧で卒業の要件(70 単位以上等)
、シラ
バスで成績評価の基準などは明確に示されている。
家政学科の目的は、教育目標である「現代社会の主体的な一員として生活できる知識・
教養・技術を身につけた人間」を育成することであり、
「家政学研究(卒業研究)
」の遂行
を通して、総合的知見と柔軟な思考力を持ち、
「生活原論」と「生活人間論」を通して、高
度な倫理観を併せ持ち、また、高等教育のファースト・ステージとして、家政学の幅広い
諸分野の基礎知識を修得した場合に、短期大学士(家政学)を授与する。
これらは、1・2 年の学期はじめの履修指導、1 年次終わりの家政学研究の説明会などで
適切な指導を行っている。
【教養学科】
(1) 学科・専攻課程の学位授与の方針は、それぞれの学習成果に対応している。
①学科・専攻課程の学位授与の方針は、卒業の要件、成績評価の基準、資格取得の要件を
明確に示している。
教養学科の学位授与の方針は、明確に学則に規定されている。卒業要件、成績評価の基
準、資格(司書資格)取得の要件も、
「授業要覧」および履修指導時に配布する教養学科独
自の印刷物に明確に示されている。
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青山学院女子短期大学
(2) 学科・専攻課程の学位授与の方針を学則に規定している。
学則に規定している。
(3) 学科・専攻課程の学位授与の方針を学内外に表明している。
学則や履修要覧だけでなく、ホームページや学校紹介においても、学位授与の方針は、
学内外に表明されている。
(4) 学科・専攻課程の学位授与の方針は、社会的(国際的)に通用性がある。
国際的および国内的通用性については、国内・国外(米国など)の大学に編入する際に、
単位、学位(準学士)を認められていることからも明らかである。
(5) 学科・専攻課程の学位授与の方針を定期的に点検している。
問題点があった場合、学科の会議などで、検討し、改良している。
【芸術学科】
学則に「卒業要件」として総単位数70単位以上、その内訳は「共通教育科目」18単位、
「専門科目」48単位、その他「任意に選択した授業科目」4単位が「短期大学士、芸術学」
の学位授与として決めている。このことは様々な印刷物によって明らかにされている。さ
らに内容的に「卒業研究」に学びが収斂していくように、また、その過程で芸術に関する
学科目と実技科目をバランスよく学ぶように各学年に必修科目を指定している。結果とし
て核となる科目を必修で学び、周縁科目として、「建築論」「音楽論」「文学論」「演劇
論」「映像論」から2科目以上、関連科目として「芸術と自然」「芸術と社会」「芸術と
心理」「芸術と宗教」「芸術と思想」から2科目以上を選択必修としている。芸術学科の
特徴は必修科目が多いことである。基礎から「卒業研究」までに適度な自由選択を許しな
がら必要な知識と技術が習得できるようになっている。現実には「任意に選択した授業科
目」は多くの場合芸術学科の設定した科目が選択されている。
【子ども学科】
(1) 学科の学位授与の方針は、それぞれの学習成果に対応している。
①学科の学位授与の方針は、卒業の要件、成績評価の基準、資格取得の要件を明確に示し
ている。
子ども学科では、卒業要件として、共通教育科目 18 単位以上、専門教育科目 72 単位以
上、任意に選択した授業科目 10 単位以上、計 100 単位以上が必要である。成績評価の基
準は、授業の平常点(小レポート含)
、実技や製作物、レポート、試験から構成されている。
また、実習は、実習評価表で評価している。成績は、試験あるいは平常成績との総合で判
定し、AA、A、B、C 及び不可で評価している。資格習得の要件は、卒業要件を満たし、
かつ、それぞれの免許・資格の最低修得単位数(幼稚園 50 単位以上、保育士 94 単位以上、
司書 23 単位以上)の習得である。
(2) 学科の学位授与の方針を学則に規定している。
青山学院女子短期大学学則第 1 章総則第 3 条の 3 および別表第 2 において、学位授与の
方針を示している。
そのために必要な卒業の要件を学則第 5 章第 24 条および別表第 2 に、
成績評価の基準は学則第 5 章第 27 条に、さらに資格取得の要件については学則第 5 章第
25 条に示している。
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青山学院女子短期大学
(3) 学科の学位授与の方針を学内外に表明している。
学位授与の方針は学則に規定されており、教職員に周知している。また「履修要覧」に
記載し在学生に周知しているほか、本学の「ウェブサイト」に掲載し、学外に表明してい
る。
(4) 学科の学位授与の方針は、社会的(国際的)に通用性がある。
「短期大学士」は学校教育法および学位規則に定められた学位であり、「幼稚園教諭二
種」
「保育士」
「司書」は法律に規定する資格である。本学科の学位授与の方針は社会的(国
際的)に通用性がある。
(5) 学科の学位授与の方針を定期的に点検している。
学位授与の方針は、学科会議、教務委員会、評議会、教授会において定期的に確認を行
い、学校教育法の改正や本学の学科改編時、その他必要に応じて見直しを行い改正してい
る。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:各学科)
【国文学科】
卒業、単位取得、国語の教員免許や司書等の資格取得の要件は、学則によって規定され
ており、細かい指導も随所で行われているが、学位授与の方針が事細かに表明されている
とは言い難い。新学科である現代教養学科開設に伴い、これらの点検・見直しが図られた
が、今後、年ごとに一層の点検は必要であろう。
【英文学科】
英文学科の学位授与の方針は、やや一般的な表現であるため、社会的(国際的)にどの
程度通用性があるかは、学習成果を規定する作業に対応させながら、さらに検討する必要
がある。
【家政学科】
学位授与の方針は、履修指導等で説明をしているが、学生によっては興味ある科目や編
入学先の単位認定科目の単位取得に注目しがちで、全体を見渡す余裕がない者もいる。1
年生のみならず 2 年生に向けても、事細かに説明・指導する必要がある。
【教養学科】
問題点:当該区分に係る観点(4)に関して
短期大学士の高等教育における位置づけが、国際的に見て、定まっていない面がある。
今後の課題:短期大学士の学位が国内的・国際的に高く評価されるようになるために、学
位の質や認知度を高め、四年制大学と単位互換制度を設けられるようにする必要があると
思われる。
【芸術学科】
基礎から「卒業研究」まで必修科目が多いので自由度が少ないように思えるが、選択の
仕方によってかなり本格的な学習が可能で、これを活用して大学への編入を実現している
卒業生も多い。課題は、それらの科目がそれぞれ各学年に設定されており、要するに縦割
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りの科目編成になっており1年生と2年生が共通に選択できる科目がないことである。学年
を超えた友人関係、学問的な刺激の応酬ができるようにカリキュラム編成ができることが
理想的である。共通科目で芸術に関係する科目の選択も可能であるが入門的なので専門科
目との関係付けをどうするかが課題である。「共通英語」の後の英語教育、また「外国語」
の実質的な効果に課題を残す。
【子ども学科】
学位授与の方針をディプロマ・ポリシーとして策定するのがやや遅れたため、まだ学位
授与方針が内外に十分に知られていない。より積極的に広報し、学科のポリシーを理解し
てもらう努力が必要である。
基準Ⅱ-A-2 教育課程編成・実施の方針を明確に示している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
共通教育科目は「現実に即した有用な専門の学芸のみならず、全人的で世界的な視野に
立つ高度な教養教育を授ける」という教育理念を具現化するために教育課程を体系的に編
成している。
「キリスト教学」
「外国語科目」
「健康教育」
「主題科目」
「教職課程科目」
「司
書課程科目」がその区分である。さらに、主題科目は「人文系科目」
「社会科学系科目」
「自
然科学系科目」
「総合科目」に分類され、わかりやすい体系となっている。
資格課程はそれぞれに必要な科目群を整備している。なお、教職課程および司書課程は
今年度設置認可を申請し、認可された。
【国文学科】
国文学科の教育課程編成・実施の方針として主として大学案内において、具体的には、
一に「読むこと・感じることを学ぶ」
、二に「表現することを学ぶ」
、三に「考えることを
学ぶ」
、四に「生き方について考える」という四つの目標を設けている。一では、小説、詩
歌、評論から映画、演劇にわたる幅広いジャンルの作品に接することによって、言葉に対
する感受性と論理性を磨き、読む力を総合的に高めていく。二では、短歌・俳句・詩・童
話・小説などの創作指導に力を入れており、自己表現や、考えを的確に表現する力を養っ
ている。三では、高校までの受け身の勉強から脱し、自分のテーマを見つけて追究するこ
とを大きな目標として掲げている。例えば、
「国文学実地研究」では教室を離れて、文学館、
博物館、歌舞伎座などへ出向き、自らの意志で観賞、鑑賞を行っている。さらに四では、
現在、女性の社会進出が一層進み働く女性の問題も突きつけられている時代でもあり、21
世紀をどう生き抜き、社会に貢献していくかを考えている。
四つの目標は極めて分かりやすく、それぞれに細かい目標やそれぞれの科目の内容が明
示されている。シラバスには到達目標という表現はされていなかったが、授業のねらい、
授業内容、授業時数、成績評価の方法・基準、教科書・参考書など、具体的に明示されて
いる(2012 年度シラバスから到達目標が明示された)
。
教育課程は、教員の専門性・業績等に基づいた教員配置になっており、特に学位認定の
専攻科である国文専攻は公的な資格審査を受けた結果、教員の適格者が配置されている。
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教育課程の見直しは、過去何度か行っており、2004 年度入学者から適用すべく大きな改
正を行ったあと、細かい科目やその内容の見直しはしばしば行っている。例えば、卒業演
習として位置付けていた民俗・文化演習を、より高度な内容と指導に鑑み、2011 年度から
卒業論文の中に組み込ませたり、実践話術や書道など、人数制限科目を増やしたり、人数
の制限を一層強めるなどして、学生一人一人に指導が行き渡るように配慮していることな
どである。
【英文学科】
英文学科の教育課程編成・実施の方針は、学位授与の方針同様に履修要覧内の学則別記
第 2 に掲載され、互いに対応するように工夫されつつ、学内外に公表されている。その体
系性は、英語運用能力を高める授業を多く配置する一方で、英米の文学、英語学、文化、
歴史等の概論を配置した 1 年次で入門を行い、2 年次に演習(ゼミ)を配置し、卒論を含
む専門を各自選択して学べるように工夫されている。教育の質保証に向けた成績評価も、
十分厳格に適用されている。
個々の科目のシラバスには必要な項目がほぼ明示されている。
学科内の教務委員と主任が非常勤も含む教員の資格・業績を把握し、適切な教員配置を心
がけている。ただし個々の授業レベルを超えた、体系的な量的・質的学習成果が未確定な
ため、一般的方針は明示されているが、学科全体で学びの成果を定期的・具体的に把握す
ることは十分とは言えない。
【家政学科】
家政学科の教育課程編成・実施の方針は履修指導等で説明している。教育課程は、生活
を総合して考える 5 科目を必修とし、1 年次は「生活論演習」と「生活実験実習」で家政
学の諸分野を具体的に理解させ、2 年次には「生活原論」
「生活人間論」によって生活と人
間をより深く探求し、各人の学習効果を、卒業研究「家政学研究」として集大成している。
選択科目は、個々の学生の希望や目標に応じた学習が実現できるように、
(生活と社会
システム)
(生活と環境)
(生活と文化)という 3 つの系に区分されているが、総合性と専
門性の両面から、真に豊かな生活を実現するための知識と技術を習得させるため、各分野
の科目の中から履修する科目を複数薦めている。また、家政学研究の各科目とその関連科
目を示し、学生が興味を持つテーマについて、3 つの系を縦横にクロスしながら問題点を
深く掘り下げるよう指導している。
【教養学科】
(1) 学科・専攻課程の教育課程は、学位授与の方針に対応している。
教養学科の教育課程は、幅広く学ぶための講義と学びを深めるための少人数演習及び外
国語や情報処理からなる。
講義は A:思想と文化(日本史・西洋史・社会思想史・美術史・文化人類学・比較文化
論・倫理学など)
、B:社会と人間形成(法律学・経済学・社会学・政治学・国際関係論・
社会心理学・教育心理学・臨床心理学など)
、C:科学と生活環境(科学文化史・現代科学・
生態学・環境科学・人文科学・情報科学・環境デザイン論など)に分類されている。
学生は、個々人の関心に沿って履修するが、偏ることがないように、A/B/C それぞれか
ら少なくとも 2 科目以上学ぶことになっている
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学びを深めるためには、少人数の専門演習を選択し、その専門の学びを深め、卒業論文
にまとめることにより、成果を確認している。
(2) 学科・専攻課程の教育課程を体系的に編成している。
①学習成果に対応した、分かりやすい授業科目を編成している。
上記(1)に述べたように、講義科目は、A:思想と文化、B:社会と人間形成、C:科
学と生活環境、と学生にも分かり易い名称によって分類され、科目が配置されている。
専門演習は、講義科目に対応する専門となっている。それぞれの専門演習には「関連
科目」が定められ、体系的に学ぶように、講義と専門演習との連関が図られている。ま
た、個々の学生の体系的学習のために、きめ細かな履修指導を行っている。
②成績評価は教育の質保証に向けて厳格に適用している。
講義においては出席の確認がなされ、多くの場合、コメントペーパーによって理解度
が、その都度、確かめられている。演習においては、参加者の発表やレポートが課され、
担当者以外の参加者の積極的な議論参加が求められている。少人数であるため、理解度
や成長度は厳密に測られている。
③シラバスに必要な項目(達成目標・到達目標、授業内容、準備学習の内容、授業時
間数、成績評価の方法・基準、教科書・参考書等)が明示されている。
教務委員会の指導のもと、達成目標・到達目標・授業内容・授業時間数・成績評価の
方法・教科書や参考書は、シラバスに明記されている。
(3) 学科・専攻課程の教育課程は、教員の資格・業績を基にした教員配置となっている。
各科目の担当者はすべて、専攻科教養専攻において学位授与機構の審査・認定を受けて
おり、研究業績も十分である。授業においても、研究環境を生かし、それぞれ研鑽をおこ
たらず、専門において新しい成果を取り込むように工夫している。
(4) 学科・専攻課程の教育課程の見直しを定期的に行っている。
教養学科が発足して以来、数回に及ぶカリキュラム改革を行っている。2012 年度からの
学科改組も、教育課程のさらなる改善となる見直しである。
【芸術学科】
芸術学科は「履修要覧」において、1年次、2年次に履修すべき科目を必修科目として明
確に示し、教育課程編成・実施の方針を周知徹底している。必修と選択必修が教育課程の
中核を形成するが、学生には科目選択の自由をできるだけ確保するようにしている。
「芸術人間学」を中心とし、「美学」「美術史」「芸術各論」を講義科目とし、また「構
成Ⅰ」、「構成Ⅱ」を実技科目として指定している。演習科目として「芸術論演習」を全
員に課し、文献の読み方、レポートの書き方、発表の仕方を指導している。周縁科目とし
て様々な芸術論、関連科目として芸術をめぐる宗教、思想、社会、自然、心理との連関を
学ぶ。
卒業研究は論文と実技に分かれ、その選択に伴って課せられる科目が異なる。講評会で
は学生は自分の作品を前にして、作品を通しての自己分析が問われる。論文に関してはそ
の途中の段階で、文献検索の方法、文献の読解、レポートの書き方、発表の仕方が実践的
に指導される。実技に関しても途中の指導が重視される。指導の方法は各教員にゆだねら
れるが、1,2年の教育課程の提示と実践は特に問題がないと思われる。
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【子ども学科】
(1) 学科の教育課程は、学位授与の方針に対応している。
子ども学科に 3 年以上在学し、共通教育科目については 18 単位以上、専門教育科目に
ついては 72 単位以上、任意に選択した科目 10 単位以上、合計 100 単位以上を修得した者
に対し、本学の学則に基づき、短期大学士(子ども学)の学位を授与している。
(2) 学科の教育課程を体系的に編成している。
①学習成果に対応した、分かりやすい授業科目を編成している。
子ども学科では専門教育科目を「人間理解と感性開発の科目群(コア科目)
」
「教育と
保育に関する科目群」
「こころとからだに関する科目群」
「福祉とケアに関する科目群」
「芸術と文化に関する科目群」
「ゼミナール」
「子どもたちの中で学ぶフィールドワーク」
の科目群を設定し、かつ選択科目を多く設置することによって、学生がわかりやすく授
業を履修できるようにしている。
②成績評価は教育の質保証に向けて厳格に適用している。
成績評価については各教員がシラバスに設定した基準通りに行っている。最終年次に
関しては成績不良者に対して再試験を実施している。
③シラバスに必要な項目(達成目標・到達目標、授業内容、準備学習の内容、授業時間
数、成績評価の方法・基準、教科書・参考書等)が明示されている。
平成 23 年度のシラバスには、
「授業科目名」
「単位数」
「開講学年」
「テーマ」
「担当者
名」
「ねらい」
「授業計画」
「進め方」
「テキスト」
「参考文献」
「評価方法」が記載されて
いる。
④通信による教育を行う学科・専攻課程の場合には印刷教材等による授業(添削等によ
る指導を含む。
)
、放送授業(添削等による指導を含む。
)
、面接授業又はメディアを利用し
て行う授業の実施方法を適切に行っている。
通信による教育は子ども学科では行っていない。
(3) 学科の教育課程は、教員の資格・業績を基にした教員配置となっている。
子ども学科は学校教育法及び幼稚園教諭養成所指定規則、指定保育士養成施設指定基準
に基づいて、11 名の専任教員を配置している。教員については、本学任用時における資格・
業績に関する審査の実施をし、文部科学省あるいは厚生労働省による教員資格審査を経て
きている。
(4) 学科の教育課程の見直しを定期的に行っている。
教育課程の見直しは、学科会議で定期的に行っており、学問の専門性と学生のニーズの
バランスがとれた教育課程編成を常に心がけている
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
従来「人文系科目」
「社会科学系科目」
「自然科学系科目」に区分されていた、いわゆる
教養科目(本学では主題科目)が、2012 年度以降は新学科である現代教養学科の専門科目
に移行される。この専門科目は、原則として、現代教養学科の日本専攻、国際専攻、人間
社会専攻及び子ども学科に対し、学科及び専攻の枠を越えて履修できるようにしている。
この仕組みを学生に周知させ、科目履修の自由度を認識させることが重要な課題である。
これを実現することが、現代教養学科の中に 3 専攻を置いた大きな理由である。
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【国文学科】
教育課程を新学科の学位授与の方針に対応させ、教育課程編成・実施の方針を履修要覧
等で明確に成文化する必要がある。
【英文学科】
個々の授業レベルを超えた、体系的な量的・質的学習成果が未確定なため、新学科にお
いては学科全体で学習成果を具体的に把握し、定期的に教育課程編成・実施、および教員
配置にフィードバックする作業が必要である。
【家政学科】
高校までの勉強をふまえ、本学科で学習したい内容が明確になっている学生や個別履修
指導を求める学生は教育課程編成・実施の方針をある程度理解していると思われる。学習
したい内容が明確でない学生は、教育課程の編成・実施の方針を理解しているとは言い難
い。個別履修指導に参加させる方法の工夫が必要である。
また、時間割の制約から、学習したい科目が重なっているとの不満もあるのも事実であ
る。
【教養学科】
当該区分に係る観点(1)
(2)
(3)
(4)に関して問題点は特にないが、そのことが学生
側に十分に理解されているか、効果的に生かされているかについては、学科全体の履修指
導や個人別履修指導において、さらに強調して、結果を出すことが課題である。
【芸術学科】
2年生になって、就職活動と学習活動とのバランスの取り方が難しいためか、時として
バランスを失う学生が見いだされる。教育課程の方針を年度初めに明確に示すが、一年間
を通してそれを常に意識することは難しい。とはいえ、2年間の成果としての「卒業展」1
年間(専攻科)の成果としての「修了展」をすることで、教師も学生も芸術学科の教育課
程の編成と実施の方針を確認できている。
【子ども学科】
シラバスなどで到達目標をはじめとする学習成果に関して、明確に表明されていないと
ころがあったため、2012 年度からは、より明確化したシラバスを使用することになってい
る。これを契機により学習者のニーズを中心においた教育課程編成を行い、実施する必要
がある。
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基準Ⅱ-A-3 入学者受け入れの方針を明確に示している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:入学者選抜方法検討委員会)
2011 年度入試は、従来の 6 学科体制(国文、英文、家政、教養、芸術、子ども)で入学
者を受け入れる最終年度であったが、長年にわたり『進学案内』等に示してきた各学科の
教育課程の特色や各種入試の趣旨を踏まえて、アドミッション・ポリシー(
「入学者受け入
れの方針」
)を定め、入学試験を実施した。2012 年度入試については、その広報・実施に
先立ち、子ども学科以外の 5 学科を統合した現代教養学科の設置申請があったため、新た
に現代教養学科 3 専攻(日本、国際、人間社会)のそれぞれにおけるアドミッション・ポ
リシーを定め、それに則って各種の入学試験を実施した。以下、新しい 2 学科体制(現代
教養、子ども)における現状について、観点ごとに述べる。
(1) 各学科・専攻課程の学習成果に対応する入学者受け入れの方針を示している。
一般入試 2 科目型と一般入試 3 科目型は、基礎学力を重視した入試形態であり、個別
の学科・専攻の教育課程と対応した方針を特に示してはいない。大学入試センター試験
利用入試に関しては、各学科・専攻の特性を考慮した科目設定・点数配分をしている。
自己推薦入試に関しては、募集要項において、評定平均値などの出願資格のほか、各学
科・専攻がこの入試で求める入学者像を「主旨」として明示している。そのほか、社会
人入試、外国人留学生入試、帰国子女入試、キリスト者入試、卒業生子女入試などの特
別入試では、多様な背景を持つ学生を受け入れることによって、多文化社会で生きる力
を養うことを目的とする本学の全学科・専攻の教育課程を、学生の側から豊かに具現化
することを目指している。
(2) 入学者受け入れの方針は、入学前の学習成果の把握・評価を明確に示している。
一般入試では、高等学校の教育課程に基づいた問題作成に留意し(青山学院高等部の
協力を得て、随時その検証も行っている)
、
『進学案内』などにそれを公開することで本
学が求める学力を示してきた。大学入試センター試験利用試験も同様の趣旨で実施して
いる。特別入試では、小論文と面接を課すことによって、受験生が身につけてきた全般
的な学力を把握している。推薦入試(指定校、キリスト教同盟校)では、各高校におけ
る評定平均値を出願資格として設けた上で、小論文と面接を実施している。
(3) 入学者選抜の方法(推薦、一般、AO 選抜等)は、入学者受け入れの方針に対応して
いる。
一般入試については、各科目の出題代表者が集まる入試問題作成委員会において、
個々の問題を総合的視野から検討し、適正な出題であるかどうかを検討している。推薦
入試と特別入試については、学科および専攻が出題および採点の主体として責任を負う
ことで、アドミッション・ポリシーとの対応を担保している。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:入学者選抜方法検討委員会)
子ども学科も含めて、
主体的に学ぶ意欲と幅広い教養を重視する本学教育課程の性質上、
意欲と学力がともに高い学生を今後もいかに確保するかが、最大の課題である。
(1) 各学科・専攻課程の学習成果に対応する入学者受け入れの方針を示している。
・指定校および同盟校に対する、評定平均値以外の受け入れ方針の周知徹底、等。
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青山学院女子短期大学
(2) 入学者受け入れの方針は、入学前の学習成果の把握・評価を明確に示している。
・アドミッション・ポリシーおよび各種入試の「主旨」のさらなる見直し、等。
(3) 入学者選抜の方法(推薦、一般、AO 選抜等)は、入学者受け入れの方針に対応している。
・少人数ゼミナールを特色とする教育課程に合致した新しい入学者選抜方法の検討、等。
基準Ⅱ-A-4 学習成果の査定(アセスメント)は明確である。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
シラバスには学習内容はかなり詳細に記述しており、各回の授業で何を習得させたいか
を明確に示している。それらは半期 15 回ないし通年 30 回の授業で達成可能であることを
計算して計画してはいるが、必ずしも計算通りにはいかない。時間が足りないのを補講で
補うこともあるが、場合によっては授業計画を修正することも皆無ではない。従って学習
成果の 100%達成可能が担保されているわけではない。
「学習成果に実際的な価値があるか」という項目については、
「学生による授業評価」で、
受講生が受講科目に対してどのように評価しかつ価値をみいだしているかをうかがい知る
ことができる。共通教育科目は「高度な教養教育を授ける」という目的を実現するための
一つの重要な柱と位置付けているので、十分な検討を踏まえたうえで配置している科目群
であり、各々の科目には実際的な価値があると考えている。
学習成果はシラバスの成績評価基準に沿って、
学期末試験、
授業内のレスポンスシート、
レポート、平常点などの要素を総合して測定している。
【国文学科】
国文学科では、
学習成果について細かい取り決めがあるわけではないが、
演習科目では、
毎時間予習をさせて出させる演習メモ等を用意している専任教員が複数おり、講義科目で
も、授業中の小テスト、感想文、レポートを出させて、学習成果を測ることはしばしば行
っている。国文学科の学年全体の取得全科目の成績平均点は、近年は 82 点(100 点満点)
を超えることが何度かあり、就職や編入実績は全国でもかなり高いレベルにあると言え、
学習成果の査定がある程度実施されていると考えられる。青山学院大学を中心とする進学
先での、卒業生の評価はかなり高いものがある。
【英文学科】
現状では学習成果は、個々の授業シラバス内の「ねらい」に明示されており、AA~C の
成績に応じてその学習成果が評価されている。ただし、各シラバスの「ねらい」は担当教
員に委ねられ、
やや具体性に欠けるものも多く、
半期や通年の期間に達成できるかどうか、
どの程度実際的な価値があるのか、成果をどのように測定するのか、等々の問題は、もっ
ぱら各担当教員の判断に任せられているのが現状である。
他 方 、 ネ イ テ ィ ブ ・ ス ピ ー カ ー に よ る ICE(Introductory College English) 、
INCH(Intermadiate College English)のようなコーディネート授業においては、同一教
材・同一進度をもって厳格な学習成果のアセスメントが実施されている。これらの科目は
英語の 4 技能の習得にねらいが特化されている分、アセスメントも明確化しやすい特性を
持つが、この方式が他の科目にまで及ぼすことができるかどうかは難しい。
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青山学院女子短期大学
【家政学科】
シラバスの中で学習成果を示し、評価を行っているが、実験・実習のようにその都度評
価できる科目もあるが、多くの講義は不十分である。教員によっては、講義内容の理解度
を測る小テストやリアクションペーパーを利用しているが、全体には広がっているとはい
えない。
しかし例えば、
「ビジュアルデザイン論」のように、達成目標が、(1)「PowerPoint」な
ど PC のアプリケーションの基本操作が行えること(達成度平均点 55 点)
、(2)色彩効果、
図形の視覚効果を理解しコントロールできるようになること(達成度平均点 65 点)
、(3)
自分のテーマに即した表現を選ぶことができる、ないしテーマと表現を適切に結び付けら
れること(達成度平均点 40 点)
、(4)複数の画面の連鎖をたどる流れ(手続き)のデザイ
ンができるようになること(達成度の評価なし)など、具体的に設定されている場合は、
学習成果のアセスメントが明確になる。
「基礎栄養学」のように、栄養素等の役割や各栄養
素等の日本人(成人女性)の食事摂取基準の数値を毎回栄養素ごとに問えば、学生も慣れ
て、その部分の学習成果は高まっていることは分かるが、2 回程度の小テストでは例えば
72 点が 82 点と高まっていると、大雑把な把握しかできない。各栄養素の化学・代謝まで
問うには大掛かりなテストが必要であり、時間がかかる。すると、講義時間が減るという
ジレンマがある。
【教養学科】
(1) 学科・専攻課程の教育課程の学習成果に具体性がある。
学習成果は、試験・レポート・論文などにより、具体的に示されている。特に、各専門
演習別に印刷される「卒業論文集」および各専門演習から 1 編選ばれた論文からなる「卒
業論文選集」は、教養学科の教育課程の学習成果を内外に具体的に提示している。ただし、
あらかじめ卒業論文評価の観点として、問題設定力・研究調査力、文章構成力、論理性、
実証性、等に関する共通の了解はあるものの、それらが専門演習別に明文化されているわ
けではない。
(2) 学科・専攻課程の教育課程の学習成果は達成可能である。
ほとんどすべての学生が学習成果をあげて、卒業していることから分かるように、教育
課程の学習成果は達成可能である。
(3) 学科・専攻課程の学習成果は一定期間内で獲得可能である。
上記(2)に述べたように卒業までに学習成果を獲得している。
(4) 学科・専攻課程の教育課程の学習成果に実際的な価値がある。
教養学科の教育課程においては、少人数演習における議論や意見交換により、異質な他
者とのコミュニケーション能力が獲得されている。また、主体的に取り組む卒業論文によ
って、問題設定能力・研究調査能力が鍛えられ、論文をまとめることにより、文章構成力・
発表力が身についている。これら、教養学科の教育課程の学習成果は、社会に出てから必
要かつ有用な実際的価値である。
(5) 学科・教育課程の学習成果は測定可能である。
以上、(1)~(4)とも重なるが、レポート・試験・論文をもとにした総合的成績評価によ
り、ある程度測定可能となっている。
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青山学院女子短期大学
【芸術学科】
学習成果の査定の方法はシラバスに明示されている。講義科目は多くの場合「記述式」
の試験及びレポートを中心に普段の授業への参加状況などを勘案して査定する。査定その
ものは担当者に任されている。実技科目や「演習」の場合、作品創作中での担当者からの
アドバイスをどう生かしたかが作品に具体的に現れており、途中での講評会、更に最後の
講評会では途中経過を重視しつつ最終成果である作品や論文を査定する。講評会は専任全
員と実技科目に関わった講師が参加し採点する。採点方法、査定の方法は学生にも明確に
されている。ここでは途中経過での学生との対話の質も問われる。「演習」では途中の学
生のレポートや発表も重視される。
作品を通しての学生同士、
教師と学生との対話により、
このような科目での学習効果は上がっている。
【子ども学科】
(1) 学科の教育課程の学習成果に具体性がある。
子ども学科の教育課程は、各授業、科目群のほかに、幼稚園教諭二種免許、保育士資格
取得のための授業群から成り立っている。各授業ではそれぞれの教員が、学科のディプロ
マ・ポリシーを理解した上で、教育内容を設定し、その学習成果を明らかにしており、ま
た免許・資格課程に関しても幼稚園教諭・保育士として必要な資質・能力を勘案して学習
成果を設定しており、具体性があるといえるが、設定が困難、あるいは不十分な科目があ
るのも事実である。
(2) 学科の教育課程の学習成果は達成可能である。
設定されている学習成果は、若干難易度が高いといえるが、固定的に学生に提示するだ
けでなく、入学時の様子等から判断して柔軟に対応している。また 1 年次 4 月からの履修
指導にはじまり、日々の指導、あるいは学科会議などを通じた意見交換などによって、多
くの学生が落後することなく学習成果を身につけて卒業しているため、教育課程の学習成
果は達成可能だといえる。
(3) 学科の教育課程の学習成果は一定期間内で獲得可能である。
2006 年に子ども学科が改組されて以来、日々の努力の結果、ほとんどの学生が 3 年間
で卒業していることから判断すると、実際に学習成果を一定期間内で獲得することは可能
だといえる。
(4) 学科の教育課程の学習成果に実際的な価値がある。
子ども学科を卒業した学生の多くは幼稚園教諭、保育士として就職しており、学習した
内容を実際の職場で生かしているため、教育課程の学習成果に実際的な価値があるといえ
る。また他の職業に就いた学生も学科での学習の成果が生かされることが多いため、その
点からも実際的な価値があるといえる。
(5) 学科の教育課程の学習成果は測定可能である。
シラバスに評価方法が数量化された形で掲載されており、実際の授業でもそれにしたが
い、客観的な基準で採点されている。量的測定が困難な授業についても、できるだけ客観
的基準を設定することにより、測定可能にしている。
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青山学院女子短期大学
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
シラバスには授業のねらいや詳細な授業内容、評価基準を記述している。しかし、学習
成果に関しては、必ずしもすべての科目で明確になっているとは言えず、具体性に欠ける
表現もある。2012 年度からはシラバスに「到達目標」を明記するようになったので、改善
に努めたい。
【国文学科】
シラバス等で授業内容は規定しているし、成績評価の基準などは示されているが、学習
成果についての規定は不十分であった。2012 年度からはシラバスに「到達目標」を明記す
るようになったので、改善に努めたい。
【英文学科】
英文学科のカリキュラムは、英語運用能力養成科目群、ゼミ基礎科目群~ゼミ群、文学
関連科目群、英語学関連科目群、文化関連科目群、職業関連科目群などに大別できる。そ
こで例えば、各グループに応じて 2 年間の学習成果を 4 段階(4 学期分)制定し、英語力
の場合には英検や TOEIC など既存の判定数値を各段階の参照項とするなど、学科全体で
組織的かつ具体的な学習成果の確定が必要だろう。2012 年度からはシラバスの「ねらい」
を「授業の到達目標及びテーマ」とより具体的な文言に改めるなど、学習成果がより測定
しやすくなるので、組織的な学習成果を検討していきたい。
【家政学科】
量的・質的な学習成果や単位認定基準を公表できる仕組みを考える必要がある。
【教養学科】
観点(2)については、自主的に論文を書く力が不足している学生、勉学以外の事柄(ア
ルバイトや人間関係)に気をとられ、十分に学習に集中できない学生がいるという問題が
ある。
基礎学力が不足している学生も入学しているので、さらにきめ細かに、しかし学生本人
のプライドを傷つけないように配慮して指導していくことが、課題である。
【芸術学科】
学習成果として論文やレポート、作品を提示することはできても、その学習成果を未来
に向けてどのように生かし、さらにどのような課題を自覚し実行していくか、というとこ
ろまで明確にすることはできていない学生が少なくない。
【子ども学科】
学習成果という概念が全科目に浸透しておらず、あるいは授業内容によっては設定する
ことが難しいところもある。そのため学習成果をより具体的に、そして測定することが可
能なように設定していくことが重要であり、今後の課題である。
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青山学院女子短期大学
基準Ⅱ-A-5 学生の卒業後評価への取り組みを行っている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:教務委員会、学生部委員会、子ども学科)
【教務委員会】
編入学等の進学先での卒業生評価については、組織だった取り組みは行っていないが、
青山学院大学については、編入学生の成績について追跡調査を行っている。卒業生の成績
は概ね良好である。また青山学院大学には成績優秀者に対する表彰制度があるので、その
情報を得ることができる。2011 年度には国文学科の卒業生が、青山学院大学の学業優秀者
として表彰されている。
【学生部委員会】
(1) 卒業生の進路先からの評価を聴取している。
企業等からの評価の聴取は、以下のような形で行われている。
a)本学学生課就職担当を訪れる企業人事担当者からの個別聴取(随時)
、b)人事担当者
を招いて行う就職懇談会(青山学院大学主催のものと、本学主催のものがある。2011 年度
は各 1 回ずつ行われた。
)
、c)本学教職員の側が企業訪問して行う個別聴取(2009 年度
10 社、2010 年度 26 社)
、d)企業へのアンケート(2011 年度回答 43 社[2012 年 2 月
現在]
)
。
(2) 聴取した結果を学習成果の点検に活用している。
企業等からの評価に関しては、上記a)b)により、本学卒業生が就職後も概ね高い評
価を受けていることが確認され、
全般的には学習成果を挙げていると判断されうる。
但し、
これらは人事担当者の概括的な把握あるいは逆に個別卒業生への印象に基づく。それも重
要ではあるが、学習成果のより客観的な分析と、カリキュラムや学生指導への体系的な反
映への活用のため、c)の聞き取りを行った。そこでは、本学卒業生の学習成果として何
が評価され、また成果を挙げていると言えるとしてもどういう点がまだ不十分か、そして
企業がそもそも学習成果として何を求めているか、といったことを調査した。その結果、
学問で培われる幅広い教養に加えて、コミュニケーション力、分析力・課題発見力、主体
的に動こうとする意欲と力、関係調整力、仕える姿勢等が強く求められていることが確認
された。2012 年度に本学が改組するに当たっての教育目標の点検に際しては、この聞き取
り調査も大きな役割を果たした。新しい学科では、上記に挙げたような力や姿勢、一言で
言えば「人間力」を形成する教育へのシフトを社会的要請に合致するものとして行うこと
とし、これまで以上に人間力を身につけるためのカリキュラムを構成することとした。
【子ども学科】
子ども学科の近年の卒業生の進路は約 8 割が幼稚園・保育園・施設などであり、残りが
企業・編入学・留学などである。
卒業生の進路先からの評価は面談などを通してできるだけ聴取し、そこで得られた結果
は学習内容の改善などに生かすようにしている。
卒業生の進路先として、とくに実習先である幼稚園・保育園・福祉施設に就職した卒業
生については、随時評価をうかがっている。実習中の専任教員が必ず在学生の実習中に直
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青山学院女子短期大学
接訪問し、実習生の現地指導にあたるほか、実習先との対話をしているからである。訪問
時、各教員がその実習先に卒業生が就職しているか事前に把握して訪問、実習生の様子・
実習課題とともに卒業生の働きぶりと大学の教育活動に関する課題を聞き、協議する体制
をとっている。
また、実習終了後、実習課題を協議する学科主催の実習協議会において、あるいは定期
的に開催する子ども学科の学科会議で卒業生の状況を随時報告し合い、卒業生の様子や実
習先以外を含めた外部評価を共有することとしている。
実習先ではないところに勤めた卒業生については、電話などを活用して聴取している。
全体として本学科の卒業生は、子どもや保育を単なる技術や表面的な「形」ではなく本質
的に把握する力を持っていると評価されることが多い。これは本学科が保育の技術のみに
偏向せず、教養教育に基づいて保育を根底から捉えるよう志向してきた結果であろう。
今回、自己点検のこの機会に、改めて外部からの卒業生評価として、実習先幼稚園、保
育園、福祉施設の中から抽出した各 10 か所の就職先の、ヒアリングによる卒業生調査を
行った。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:教務委員会、学生部委員会、子ども学科)
【教務委員会】
青山学院大学については、編入学生の成績について追跡調査を行っているが、他大学に
も働きかける方法を検討する必要がある。
【学生部委員会】
企業等からの評価に関しては、改組後の「人間力」形成教育の学習成果が十分に上げら
れているか、ということを検証しフィードバックする手法が必要である。今年度から、d)
企業へのアンケートを始めたのは、そのためである。学習成果が卒業後にどれだけ上げら
れているかということは、一朝一夕に評価できるものでなく、また必ずしも数値化できる
ものではない。しかし、長期的な評価比較が可能となるよう、まずアンケートを継続する
ことと共に、数値の部分と記述の部分を組み合わせながらできるだけ客観的な分析を試み
ることが求められる。またその結果をカリキュラムに継続的に反映させていくことも課題
である。
【子ども学科】
今後の課題としては、実習先以外の就職先・進路先からも、機会を得てさらに評価を聞
き、課題をとらえ、学科の教育活動に反映していくことである。
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青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅱ-B 学生支援
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:ALO)
【教育資源の有効活用】および【学生への学習支援】に関しては、全学的にも各学科に
おいても概ね適切になされていると判断される。教職員の FD 活動や学生による授業評価
アンケートの取り組みも定着しており、入学者のうち約 96%は卒業を果たしている。
【学生の生活支援】については学生部を中心にきめ細かい対応を行っており、特に奨学
金については本学院並びに本学独自の制度が多様に設置されており、経済的支援の側面だ
けでなく、成績優秀者や特筆すべき活動をしている学生への奨励をも含むなど、充実して
いる。
【進路支援】については、就職や資格取得、編入支援、留学支援など多様に実施してお
り、それぞれ成果を収めている。しかし、近年の経済状況の影響もあり、特に就職支援に
関してはこの 3 年ほど厳しい状況が続いており、さらに徹底した対応が求められている。
【入学者受け入れ方針】については様々な広報手段を通じて周知させており、多様な選
抜を公正かつ厳正に実施している。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:ALO)
【教育資源の有効活用】については、これまで定着させてきた FD 活動をさらに充実さ
せることが重要である。
【学生への学習支援】については、今年度より改善を図った新アド
バイザー制度を定着させることが重要である。特に欠席や学習の遅れが見られる学生に対
しては、迅速な対応が求められる。
【学生の生活支援】については、メンタルケアを必要と
する学生への支援が重要となる。
【進路支援】については、それぞれの進路に応じた支援体
制を引き続き強化する必要がある。
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青山学院女子短期大学
[区分]
基準Ⅱ-B-1 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて教育資源を有効に活用している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
共通教育科目に所属している教員は 8 名である。当然のことながら、共通教育科目すべ
てを担当することは不可能である。そこで、各学科専任教員の専門を生かして関連科目の
担当をお願いしている。それでも共通教育科目の様々な分野とコマ数を充当するには、か
なり不足するので非常勤講師に頼る部分は少なくない。
共通教育科目に関連する施設設備としては、学内 LAN に接続されているコンピュータ
設備、主として情報系科目に、CALL 設備は外国語科目に良く利用されている。また、各
教室には学内 LAN が配線され、AV 機器と連動して様々な教材の示範に利用され学習成果
獲得に寄与している。
図書館に関しては、毎年新入生に対し、年度初頭に図書館職員による「図書館ガイダン
ス」が行われ、資源の有効利用が図られている。
【国文学科】
国文学科の教員は、専門性に基づいた科目を担当し、学習成果の獲得に向けて、全学で
行う FD 研修会等で研修を行っている。全学的な FD 活動では本学科の教員が、どのよう
な授業を行って、どのような効果を上げているかの具体的な報告を行い、全体での質疑応
答や討議を行った。それらの経験をもとに授業や教育方法の改善を行っている。一方、学
生による授業評価の結果を十分認識しており、授業改善のために活用している。
これらの学習成果については、
「学生による授業評価」を尊重する国文学科の姿勢が一
貫しており、アンケートに基づく教員の改善への努力が、次回アンケートの結果となって
表れており、この 3 年間の国文学科(専攻科を含む)の学生評価は高い。より良い授業の
ための話し合いは、学科全体だけでなく、個々に常に行われており、教員の授業への熱意
ある取り組みが恒常的に図られている。
特に 2 年次の卒業論文、専攻科の修了論文演習等は学生の自由意思を尊重し、作品やテ
ーマを選んで、自分で考え、自分で調べ、自分で表現する能力を養う。卒業論文だけでな
く、国文学科の特色である創作の授業でも同様である。授業は少人数で、教員とのコミュ
ニケーションを中心に進められ、学ぶことの楽しさを実感できるように工夫されている。
さらに、学生たちが今後どう生きていくのかといったことも考えさせている。こうした取
り組みは、学生が社会に出てから報告書をまとめたり、公の場で自分の意見を発表したり
するための準備としての意義をも持っている。
【英文学科】
非常勤を含む英文学科教員が「学位授与の方針」及び「成績評価基準」の記された履修
要覧を念頭に置きながら、担当科目の評価方法を含むシラバスを作成し、授業を行い、成
績を出していること、ほとんどの教員が学期ごとに学生による授業評価を受け、結果をそ
れぞれに活用していること、講演会や公開授業等の FD 活動への参加状況、等々を総合的
に考慮すると、少なくとも英文学科専任教員は全員学生に対して入学から卒業に至るまで
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青山学院女子短期大学
の十分な指導ができるし、本学科が学習成果の獲得に向けて教育資源を有効に活用してい
ると言えるだろう。ただし、ICE、INCH 等のチーム・ティーチング科目を除くと、授業
内容について担当教員間での意思の疎通、協力、調整をしているとは言いがたく、学科の
教育目的・目標を共有してはいるが、その達成状況を系統立てて把握・評価しているとも
言えない。
【家政学科】
教員は、専門性に基づいた科目を担当している。卒業論文・制作では、テーマについて
は学生の自由意思を尊重しながら、専門性ばかりではなく生活に関わる総合性について学
生と意見交換し、決定している。その中で、自分で考え、調べ、論理的思考、報告書のま
とめ方、自分を表現する能力を涵養している。
また、学習成果の獲得に向けて、全学で行う FD 研修会、授業公開、学生による授業評
価などをもとに授業・教育方法の改善を行っている。
【教養学科】
(1) 教員は、学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて責任を果たしている。
①教員は、学位授与の方針に対応した成績評価基準により学習成果を評価している。
おおよその共通認識はあるものの、各教員に解釈の幅があるのが現状である。
②教員は、学習成果の状況を適切に把握している。
十分になされている。
③教員は、学生による授業評価を定期的に受けている。
なされている。
④教員は、学生による授業評価の結果を認識している。
授業評価の結果がグラフとして各教員に戻されることにより、認識している。
⑤教員は、学生による授業評価の結果を授業改善のために活用している。
十分になされている。
⑥教員は、授業内容について授業担当者間での意思の疎通、協力・調整を図っている。
印刷物や会合により、専任教員については、相互理解が進んでいる。非常勤講師は、
それぞれの担当に専念している。
⑦教員は、FD 活動を通して授業・教育方法の改善を行っている。
近年活発に行われている。
⑧教員は、学科・専攻課程の教育目的・目標の達成状況を把握・評価している。
講義、卒業論文などを通して、把握・評価している。
⑨教員は、学生に対して履修及び卒業に至る指導ができる。
すべての学生がいずれかの少人数演習に所属しているため、十分な指導がなされてい
る。非常勤講師も、献身的に指導している。
(2) 事務職員は、学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて責任を果たしている。
十二分に責任を果たしている。
(3) 教職員は、学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて施設設備及び技術的資源を有
効に活用している。
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青山学院女子短期大学
①図書館の専門事務職員は、学生の学習向上のために支援を行っている。
十分なされている。学科全体に対するオリエンテーションだけでなく、希望すればい
つでも特定の授業向けにオリエンテーションを行ってもらえる。個別の学生の質問に
対しても適切に対応している。
②教職員は、学生の図書館の利便性を向上させている。
教員と職員の協力により、
蔵書内容の検討など、
予算やスペースの限界があるなかで、
十分な努力がなされている。
③教職員は、学内のコンピュータを授業や学校運営に活用している。
十分に活用している。
④教職員は、学生による学内 LAN 及びコンピュータの利用を促進している。
個人差はあるが、おおむね十分に促進している。
⑤教職員は、教育課程及び学生支援を充実させるために、コンピュータ利用技術の向上
を図っている。
個人差はあり、進んだ教職員から学ぶことにより全体の技術向上が図られている。
【芸術学科】
学生が一学年40名規模でそれぞれ異なる分野の教師が5人体制の場合、何を以て学習成
果とするか教員間で相異があると言わざるを得ない。しかし、学習成果の獲得のため、そ
れぞれの分野で教科書の他に、図書館の書籍、図版、ビデオなど活用させて教育がなされ
ている。更に、美術館見学などなるべく本物と対峙する機会を作る努力をしている。また
卒業生の作品、論文なども学生には身近な例証として成果獲得に有効である。ギャラリー
で開催される展示も学生たちはよく見ている。
【子ども学科】
子ども学科では定期的に開催される学科会議で教員と副手が教育の実態や学生の状況を
丁寧に協議しており、これが学生支援の組織的な母体となっている。具体的には、学位授
与の方針に対応した成績評価基準により、学習成果を評価したうえで、問題を抱える学生
について全ての教員・副手が情報を交換し、支援のあり方を考え、実行しており、担当教
員に一任することで終わらないように留意している。
他方、授業内容についても学科のなかで普段から研鑽を積み重ねている。すなわち、全
学で実施されている学生による授業評価を定期的に受け、その結果を認識しているだけで
なく、日常的にもほぼ毎回の授業で学生の感想・疑問を書いた短文を集め、直後の授業内
容に反映させたりしている。また、①複数の教員で同時に担当する授業(幼稚園実習や保育
実習など)、②リレー式に担当する授業(コア科目など)、③同時間帯に開設している同科目
名の授業(ゼミナールなど)については、担当者の間での連絡・協議を欠かさないようにし
ており、成績評価に際しても同一基準で当たるようにしている。さらに、②については主
幹となる教員が全回に参加し、内容の統一を図るように努めており、③については学科会
議などで授業内容の交流を進めている。これらの活動は全学レベルの FD と対応しており、
そこで不足する内容を学科レベルで積極的に取り上げているものである。
こうして教員・副手は学科の教育目的・目標の達成状況を把握・評価したうえで、学生
に対して履修・卒業に至る指導が貫徹するように努めている。
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青山学院女子短期大学
なお、これらの取り組みは専任の教員だけにとどまるものではない。非常勤講師から授
業内容を発表してもらい、学生との対応に関する経験や教訓を共有する講師懇談会や、実
習先である幼稚園・保育園・施設の代表者と実習中の学生の状況について意見交換をする
実習懇談会などを定期的に開き、できるだけ広範な関係者の協力で教育活動を進めるよう
にしている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
ICT スキルを使うことがすべて良いとは限らないが、様々な授業で、もう少し有効な利
用が展開されるよう、FD/SD 研修を充実すべきである。
【国文学科】
学習成果の状況を適切に把握できているとは言えないので、具体的な目標・方針を明文
化する必要がある。
そのためには FD 研修を一層細密に行うことが要請されよう。さらに、
例えばカリキュラム上、学生が履修を希望する科目を自由に選択できない場合もある。特
に演習科目や卒業論文・制作等では、到達目標達成と緻密な指導を図るために、少人数制
を守っているので、必ずしも第一志望のクラスに入れないことがあり、学生の不満が全く
ないわけではない。
【英文学科】
一般的な表現に留まる学科の教育目的・目標を、より具体的な量的・質的データにもと
づく学習成果へと系統立てて組み直し、組織的に達成状況を把握し、教員同士がより密接
な意思の疎通を図るシステムづくりが改組後の喫緊の課題と言えるだろう。またこの課題
を解決するために、PC やインターネット等の情報機器をどのように使用しうるのかを強
力なリーダーシップの下で検討する必要があるだろう。
【家政学科】
学習成果について、規定が明確でないので、各教員にまかされているのが現状であり、
FD 研修会等を頻繁に行う必要がある。
学習成果の獲得については、卒業論文・制作等では、到達目標達成のため緻密な指導が
必要であるため、少人数制をとらざるを得ない。そのため、学生は希望するゼミナール等
に入れないことがあり、学生の不満が全くないわけではない。第一志望でない分野の面白
さを学生にアピールする履修指導も必要である。
また、時間割の制約から、学習したい科目が重なっている場合もある。専門科目につい
ては、分野の違う科目の組み合わせを行っているが、逆に、食と被服など幅広く学べられ
るから本学家政学科を選んだという学生にとっては不満となっていることもある。
【教養学科】
観点すべてにつき、現状の教育資源はかなり有効に活用しているが、社会における情報
技術の革新が速すぎて、設備・人材ともに革新をフォローしていくことが難しい課題とな
っている。
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青山学院女子短期大学
【芸術学科】
芸術学科開設以来の懸案であるが、1年生と2年生の混合した科目やクラス編成が必要で
ある。最も近い年齢の学生間の対話は、多様な視点を受け入れる点で有効である。しかし
毎年努力したが、カリキュラム上困難である。学生の学習成果の発表にもう少し機器が有
効に使用されると良い。
【子ども学科】
現状欄に記載のような取り組みを重ねているにもかかわらず、学生の生活・意識と彼女
らを取り巻く諸状況の年々の変化は早く、この蓄積を常にバージョンアップする必要があ
る。そのためには、学科における現有教職員の配置人数で学生への対応をしていくにはお
のずと限度がある。
また、従来は多様な分野の専門をもつ教員が学科に属していることで対応できた問題が、
今後はいっそう複雑になることを考えると、学科内にない他の専門分野からの援助も必要
となってくるであろう。
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基準Ⅱ-B-2 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて学習支援を組織的に行っている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
共通教育科目に関する事柄は履修要覧に詳細に記述されている。年度初頭にはその履修
要覧をもとに共通教育科目履修説明会を実施しており、加えて個人別履修指導の時間を設
け丁寧に指導している。教員は少なくとも 1 週間の内 1 日は時間を決めてオフィスアワー
を定めており、学生の相談を受けるとともに、履修指導を含め、助言をする機会を持って
いる。
基礎学力が不足している学生に対する補習授業等は実施していないが、外国語科目の共
通英語では「基礎英語(基礎)
」というクラスを設け、英語の基礎学力が不足している学生
に対応している。
【国文学科】
学習成果の獲得に向けて、学習の動機づけに焦点を合わせた学習成果の内容や科目選択
のためのガイダンスは、4 月当初の学年ごとの全体履修指導や、個人別履修指導でかなり
丁寧に行っている。また、1 年次の 11 月末に、2 年次必修選択科目である「卒業論文」
「卒
業制作」の説明会を行い、クラス分けのために希望調査と担当教員の紹介等を行い、さら
に個別指導を通して、学生の卒論等の動機付けに指導・支援を行っている。
一方、国文学科では、欠席が多く、学力不足の学生について、必修・選択必修科目担当
の教員に依頼する年 2 回の欠席調査により、専任教員が数人ずつ担当し、呼び出して聞き
取り調書を作成し、指導を行っている。呼び出しに応じない、あるいは電話等の連絡がつ
かない学生の場合は、保証人と連絡を取るなど、きめ細かな対応をしている。また、学生
の学習上、進路上の悩みなどの相談には、アドバイザー制度に則り、各専任教員が適切な
指導助言を行っている。なお、学生相談室との連携も密であり、特に学科主任は、相談員
とともに学生の勉学、病気等への相談や支援を行っている。
【英文学科】
英文学科では入学時のオリエンテーションにおいて、各方面で活躍する卒業生や現役上
級生を招いて体験談を話してもらい、学びや進路決定の動機づけとし、また教員からは英
語の学習法、大学生らしい授業態度やキャンパスライフ、外国語学習とグローバル社会の
ありようなどについて、話を聴く場を設けている。また同じ時期に数日間に渡り、複数回
の履修指導の場を作り、個別相談を行っている。英語の基礎学力が不十分な学生を対象と
した「総合英語基礎」科目を設置している。1 年次は 1 クラス 50 人前後にクラス・アドバ
イザーとして専任教員を配置し、学生の諸問題に対応する体制を整えている。ただし、学
生 1 人 1 人のきめ細やかなニーズに対応しきれていない面もある。英文学科では英語力の
習熟度を測る目安の一つとして TOEIC 試験を 2 年間に 3 回行っているが、教員と学生両
方の間で狙いや動機づけを共有するための工夫がさらに必要だろう。
【家政学科】
学習成果の獲得に向けての学習支援は、4 月に学年ごとの全体履修指導、個人別履修指
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導で行っている。特に、個人別履修指導は学生のやりたいことを中心とした科目選択の例
示を含めて、指導している。オリエンテーション時のクラス会では、個々の学生に問題の
有無を問い、学習の動機づけの低い学生には、クラス・アドバイザー自身が相談に乗るか、
相談する教員を紹介するなどを行っている。
また、1 年次の 11 月末に行う 2 年次の家政学研究の説明会では、卒業生の扱ったテーマ
を例示して、詳しく指導している。また、過去の卒業論文や卒業制作の保管してある研究
室を知らせ、そこでの個人別相談は副手を交えて行っている。
【教養学科】
(1) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、学習の動機付けに焦点を合わせた学習
の方法や科目の選択のためのガイダンス等を行っている。
教養学科の履修指導でガイダンスするだけでなく、教養学科オリエンテーションにお
いて、教員のシンポジウムを通して「教養とは」ということについて多様な見方を示し、
学習の動機付けを図っている。教養学科のカリキュラムを通して、学習成果を挙げるに
あたっての多様性がわかり、新入生に新鮮な動機付けを与える結果となっている。
(2) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、学生便覧等、学習支援のための印刷物
(ウェブサイトを含む)を発行している。
全学的な学生便覧だけでなく、専門演習を説明するための「専門演習ガイド」などの
印刷物を教養学科独自に作って配布している。
(3) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、基礎学力が不足する学生に対し補習授
業等を行っている。
少人数演習においてはきめ細かに指導できている。
(4) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、学習上の悩みなどの相談にのり、適切
な指導助言を行う体制を整備している。
一週間に一度会う、少人数演習の担当教員が学習上の悩みの相談にのっている。非常
勤教員も含めて教員と学科主任の連絡は良好にとられており、学科主任も相談にのる場
合がある。
(5) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、通信による教育を行う学科の場合には、
添削等による指導の学習支援の体制を整備している。
当学科は通信による教育は行っておらず、該当しない。ただし、学習上の問題に関し、
教員は、メールをとおしての相談にのっている。
(6) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、進度の早い学生や優秀学生に対する学
習上の配慮や学習支援を行っている。
少人数演習における論文やレポートについては、個人指導しているので、優秀学生は
どんどん発展していくことができる。編入や留学など、高等教育の次のステップを目指
す学生には相談にのり、学習支援をしている。
(7) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、留学生の受け入れ及び留学生の派遣(長
期・短期)を行っている。
留学生がいる場合、演習担当教員がとくに配慮している。留学生の派遣については、
経済的な問題もあるので、学生個人の希望に任されているが、教員も奨励するようにし
ている。
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【芸術学科】
芸術学科は総学生数が少ないため、個々の教員の学生に対する目が重層的に実行され、
学生支援は行き届いている。特に2年生の「卒業研究」の時間には学生と教員との対話は
日常的に行われている。芸術学科主催の年2回の講演会は実技科目に関わるものと論文に
関わるものと各1回行なうことを芸術学科開設以来続けている。この講演会は授業の一環
として、授業を補う目的で組織的になされている。美術館見学を行ない、学生の作品に対
する経験を豊かなものにしている。卒業研究については、最後に「卒業展・修了展」の作
品・論文のうちから学生の優秀作品を一点選んで顕彰している。その際、教員同士の相談
に基き多様な選択をして、選ばれる作品に分野の傾きがないように努力している。学生の
優秀作品を後輩のために残している。また専攻科の「絵画」の学生には版画制作を奨励し、
美術学校が参加している版画展に積極的に作品を送っている。
【子ども学科】
子ども学科の学習成果の獲得に向けて学習の動機づけに焦点を合わせた学習の方法や
科目の選択のためのガイダンスは、入学直後から卒業年次の秋に至る 2 年半のあいだ継続
するプログラムが組まれている。すなわち、「共通教育科目履修指導」「専門教育科目履修指
導」「個人別履修指導」「幼稚園教諭・保育士資格ガイダンス」「保育実習ガイダンス」「司書ガ
イダンス」、各ゼミにおける年度初頭の、学生の主専攻・副専攻の確認等である。
学生便覧などの学習支援のための印刷物としては、全学的なもの以外に、つぎのような
ものを出している。
「子ども学科 履修ガイド」
「子ども学科 フィールドワークガイド」
「子
ども学科 保育実習の手引き」等である。
学習上の悩みなどの相談にのり、適切な指導・助言を行なう体制については、基準Ⅱ-B-1
で述べたように、頻繁に開かれる学科会議が中心となっている。そのほか、ゼミナールや
アドバイザーグループなどの単位での学生対応も積極的になされている。その結果、留年・
休学・退学に至る学生はかなり少ない。ただ、近年ではメンタル面で抱えている状況のた
めに留年などに至る場合も若干みられる。なお、別の箇所でふれた 1 年次における幼稚園・
保育園での見学・実習から始まる実践現場との接触が結果的に学生の学習意欲を喚起し、
立ち直りを促している面もある。
留学生については特別の入試を実施し、可能な限り受け入れるようにしている。他方、
派遣については学生の希望を尊重するとともに、学内・学科内での履修との整合性を図り
より個別に対応している。
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(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:各学科)
【一般教育】
教職課程では昨年度から用紙で履修カルテを作成し、学習支援の一助としてきた。2012
年度から e-portfolio システムを導入し、電子媒体で学習カルテを作成することになる。
e-portfolio の利用は教職課程のみならず、キャリア教育でも効果的な利用ができると考え
られるので、研修会を実施し教職員にシステム利用のスキルを習得させ、強力な教育支援
の道具として定着させたい。
【国文学科】
アドバイザー制度はかなり良く機能しているが、1 年次(専攻科も含め)にアドバイザ
ー教員への申し込みを、忘れるなどしてしない学生が 2 割前後おり、それらの学生の悩み
などへの適切な指導ができていない。アドバイザーへの申し込みを強く促すなどの対応が
必要である。一方、成績優秀な学生への学習上の配慮や支援は、個々の教員に任されてい
る状況で、組織的に行ってはいない。これらも組織化の方向性を検討する必要があろう。
【英文学科】
・学科単位で組織的かつ系統立てた学習成果を確定し、英語運用能力養成科目などは英検
や TOEIC などを利用した数値目標も適宜導入する必要がある。
・コミュニケーションの道具である英語が自己目的化し、
「外国人と話したい」とか「異文
化を知りたい」と言った漠然とした目的か、
「編入試験向けの受験英語」といった目先の目
的でしかないために、地道な積み重ねが不可欠な語学学習に興味を失ってしまう学生がい
る。興味のある教養科目の内容や趣味などと有機的に結びつけて動機づけをさせ、具体的
な使い道を考えさせるなど、個々人のニーズに即したきめ細やかな英語指導と実際に英語
を使用する=アウトプットする場を数多く確保する仕掛けが、IT 技術の有効活用を含めて
組織的に授業の内外で構築される必要がある。
【家政学科】
家政学科で学習したい内容が明確になっている学生や個別履修指導を求める学生には、
適切に支援は行われている。学習したい内容が明確でない学生、学習の動機づけの低い学
生には、アドバイザー、教務委員会委員(教員)名をあげて、相談するよう薦めており、
ある程度支援は行きとどいている。しかし、アドバイザーなどを訪ねない学生もいる。
また、1 年次の必修科目を休みがちな学生は、呼び出しをかけて、相談に応じている。
保証人を通しても呼び出しに応じない学生には、学生相談室相談員からも連絡をしてもら
っているが、それでも支援が届かないこともある。これらの学生の多くは、高校時代から
その徴候がみられているようである。
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【教養学科】
問題点がある観点のみに関して記す:
(3) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、基礎学力が不足する学生に対し補習授
業等を行っている。
基礎学力不足の学生は欠席しがちになることも多い。わずかだが存在するそのような学
生への対応に、苦慮している。
(4) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、学習上の悩みなどの相談にのり、適切
な指導助言を行う体制を整備している。
現代の学生には、基礎学力はあっても、「ひきこもり」というような問題をかかえてい
る者もいる。
(7) 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて、留学生の受け入れ及び留学生の派遣(長
期・短期)を行っている。
学生が積極的に留学を位置づけるよう動機付け、具体的な相談体制を確立する必要がある。
【芸術学科】
学生相互の刺激がもっと多くなり、互いに高め合うことができることが望ましい。2年
生には特にアドバイザーの先生の力を借りることが必要である。物事を多視眼的に考える
ために、オフィス・アワーを公表しているアドバイザーの先生とのコンタクトがさらに望
まれる。
【子ども学科】
基礎学力が不足する学生に対しては、実習の少人数クラスでの指導や 1 年次より行う各
ゼミにおける個人別指導の他は、
特に補習授業などは学科としては特段に実施していない。
ただ、秋に実施する特別入試で合格した生徒に対して、合格時期から入学までの数か月間
を有効に使うようにという目的で学科として課題を与えたり、来学可能な範囲で入学前の
集まりを持ったりしている。また、入学直後の入門ゼミや器楽の授業などのグループ分け
で一定の工夫をしている。
他方、学習進度の早い学生や優秀学生に対する学習上の配慮や学習支援は学科としては
組織的に行なっていない。今後の検討課題である。
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基準Ⅱ-B-3 学科・専攻課程の学習成果の獲得に向けて学生の生活支援を組織的に行っ
ている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:学生部委員会)
(1) 学生の生活支援のための教職員の組織(学生指導、厚生補導等)を整備している。
生活支援のための教職員組織としては、学生部が置かれている。その中に議決機関とし
て学生部委員会、事務組織として学生課(学生生活担当、厚生担当、就職担当、保健室)と
学生相談室が配置されている。
(2) クラブ活動、学園行事、学友会など、学生が主体的に参画する活動が行われるよう
支援体制が整備されている。
クラブ活動、大学祭、学友会に関しては、学生部教員が顧問となって随時相談指導に当
たっている。また学生課が学生生活担当中心に、これらの活動を掌握する体制をとってい
る。
(3) 学生食堂、売店の設置等、学生のキャンパス・アメニティに配慮している。
授業期間中は学生食堂、売店が開かれ、多くの学生が利用している。
(4) 宿舎が必要な学生に支援(学生寮、宿舎のあっせん等)を行っている。
本学の教育寮として、学生寮(シオン寮)を有し、専任職員の寮監を置いて運営にあた
っている。
(5) 通学のための便宜(通学バスの運行、駐輪場・駐車場の設置等)を図っている。
本学の立地条件上、特に通学バスや駐輪場・駐車場は設定されていない。
(6) 奨学金等、学生への経済的支援のための制度を設けている。
奨学金は、経済支援型として、日本学生支援機構奨学金の他、青山学院万代奨学金(貸
与)
、本学独自の授業料減免奨学金(給付)
、本学独自の一般奨学金(給付又は貸与)がある。
さらに、青山学院スカラーシップ(給付。寄付者の条件に基づき、経済支援のみならず成
績優秀者や特筆すべき活動をしている学生への奨励も含む)
、本学独自の特別奨学金(奨励
型の給付奨学金)も設けられている。
(7) 学生の健康管理、メンタルヘルスケアやカウンセリングの体制を整えている。
学生の健康支援としては、保健室、学生相談室があり、それぞれ専任職員が配置されて
運営がなされている。学生相談室は室長が統括する。そして学生相談室別室を設け、個別
面談にふさわしい環境を整えている。
(8) 学生生活に関して学生の意見や要望の聴取に努めている。
年に二度、学生生活調査を行い、学生の意見や要望の聴取に努めている。また学友会と
学長との懇談会も年に一度開かれている。学生からの意見箱も設置されている。
(9) 留学生の学習(日本語教育等)及び生活を支援する体制を整えている。
留学生で日本語学習が必要な者に関しては、「日本語」という授業が用意されている。
また、生活支援として、要望に応じ学生寮への入寮が認められる。さらに私費留学生授業
料減免制度がある。
(10) 社会人学生の学習を支援する体制を整えている。
社会人学生に関しては、学科主任、アドバイザーが個別に相談に乗って対応している。
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(11) 障がい者の受け入れのための施設を整備するなど、障がい者への支援体制を整えて
いる。
障がい者受け入れの施設としては、学内においては障がい者用トイレが設置されている。
また各建物の入り口にスロープが設置されている。
(12) 長期履修生を受け入れる体制を整えている。
長期履修生の受け入れは、制度化されていない。
(13) 学生の社会的活動(地域活動、地域貢献、ボランティア活動)に対して積極的に評
価している。
学生の社会的活動に対しては、(6)における本学独自の特別奨学金、青山学院スカラー
シップなどにより評価をあらわし、さらに活動を継続していくよう奨励を与えている。ま
た、ボランティアを行うクラブ活動についても支援している。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:学生部委員会)
観点(1)
(2)
(3)
(4)
(7)
(8)
(10)
(11)
(13)に関しては、組織としては現状で行
われている支援の方向性に基づき、より充実させていくことが課題と言える。
(5)は特別な組織的支援は今後とも必要ないと考える。(6)の奨学金に関しては、以前
の課題であった不公平の問題はかなり解消されてきているが、経済的に困窮している学生
がぎりぎりまで相談に来ないで、救済が非常に困難になるケースが増えているという問題
が生じてきている。この点に関する今後の課題は、学生の状況をタイムリーに具体的に把
握しうる、きめ細やかなサポート体制(各部署の連携、アドバイザー制度の機能向上等)を
充実させることである。
(9)については、留学生の生活支援のためのさらなる奨学金が必
要と考え、制度構想中である。(12)長期履修生受け入れに関しては、まだ検討に入って
いない。今後の課題と言える。
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基準Ⅱ-B-4 進路支援を行っている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:<就職>学生部委員会、<進学>教務委員会)
【学生部委員会】
(1) 就職支援のための教職員の組織を整備し、活動している。
就職支援にあたる事務組織は学生部学生課となる。その中の就職担当が中心となって、
在校生及び卒業生の就職指導と斡旋、情報資料収集と提供、調査統計資料の作成、求人先
の開拓等に当たっている。また学生部委員の中でインターンシップ・就職担当の教員を置
き(現在 3 名)
、学生課と連携しつつ、学生への就職支援の在り方を教育的観点も含め検討
する体制をとっている。
(2) 就職支援室等を整備し、学生の就職支援を行っている。
学生の就職相談は学生課の窓口で行われている。そのほか、就職資料室があり、企業の
紹介や先輩の就職体験記などが閲覧できるようになっている。
(3) 就職のための資格取得、就職試験対策等の支援を行っている。
資格取得としては教職課程、司書課程が設置されている。就職試験対策としては、模擬
面接講座、筆記試験対策講座、筆記試験模擬テスト、エントリーシート対策講座などが行
われている。また課外活動プログラムとして、マナーや話し方などのキャリアサポート連
続講座が複数開講されている。
(4) 学科・専攻ごとに卒業時の就職状況を分析・検討し、その結果を学生の就職支援に
活用している。
就職状況の分析・検討は、本学の特性上、子ども学科(そのうち幼稚園・保育所・施設
等に就職する者)とその他に分けて行われている。子ども学科においては独自に就職状況
の分析・検討とその活用が行われている。他の学科に関しては、学生課就職担当が分析検
討した結果が『就職のしおり』にまとめられ、就職ガイダンス等で活用されている。
【教務委員会】
本学では、就職か進学か、いかなる職場を選択するかといった進路をめぐる問題は、基
本的には学生個人の問題であるとの立場をとっている。大学としては、学生本人の自主的
な最終判断がより適切なものとなるよう次の事柄に留意し、指導を行っている。
○入学当初から充実した学生生活を送るように勧める。
オリエンテーション時に、就職、進学、留学した卒業生を招き、大学生活の過ごし
方を話してもらっている。また、学科ごとに、活動・勉強の経験談を聞く会を、年数
回開いている。
○学生が自主的な活動ができるように本学独自の資料を整え提供する。
就職資料室、編入学資料室を設けている。
○個別相談は年間を通じていつでも対応する。
編入学等の進学支援については、日常的には事務部教務課によって行われている。その
業務は、編入学に関する情報収集・提供、編入学にかかわる事務手続きの処理などであり、
編入学に関する行事スケジュール(編入学ガイダンス、卒業生によるガイダンス等)に沿
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青山学院女子短期大学
って、集団指導と個別指導で対応している。
学科主任、教務委員会委員、アドバイザー制度の教員は、個別に学生からの相談を受け
た場合に必要な助言をしている。編入学支援に関しては、一般的な相談以外に、特定の学
問分野や英語などの特別指導を行っている教員もいるが、必ずしも組織的な取り組みとは
言えない。
留学に関しては、国際交流委員会および同委員が中心となって、姉妹校留学、その他の
海外留学を支援している。姉妹校については、毎年 10 名程度、相互に学生を招いたり、
訪問したりして、姉妹校の具体的な情報を提供している。短期語学留学も夏期と春期の年
2 回行っている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:<就職>学生部委員会、<進学>教務委員会)
【学生部委員会】
(1) 就職支援のための教職員の組織を整備し、活動している。
在学期間が短い短大において、明確な目的意識をもって就職活動を展開するように学生
を導くためには、キャリア教育が極めて重要になってくる。そこで 2012 年度入学生より、
「キャリア・ライフ・デザイン(CLD)」科目を授業として置き、CLDⅠは履修を義務づ
けることにした。その授業と就職担当事務との連携をどのように図っていくかが今後の課
題である。
(2) 就職支援室等を整備し、学生の就職支援を行っている。
就職相談のための部屋やブースを設けることができないかの検討、またキャリアカウン
セラーなどの専門家による就職相談が必要かどうかの検討が今後の課題である。また、昨
今の就職状況の厳しさの中で、就職活動を途中であきらめてしまう学生への対応が求めら
れている。上記の課題検討の際には、このことを念頭に置いて進める必要がある。
(3) 就職のための資格取得、就職試験対策等の支援を行っている。
一般企業への就職に、より直結するような資格取得が必要と考えられる。まずは 2012
年度は、共通英語(選択必修)として TOEIC を置くことにしている。この授業が学生のニ
ーズに合ったものであるかどうかを検証すること、そして就職支援に繋がるその他の資格
の検討が、今後の課題である。
(4) 学科・専攻ごとに卒業時の就職状況を分析・検討し、その結果を学生の就職支援に
活用している。
就職状況の分析検討結果を、ガイダンスという形で一方的に情報伝達するだけでは、学
生が自分の問題として受け止めて考え自ら活用していくようになるのに充分とは言いがた
い。そのために、上記(1)で挙げた CLD の授業やアドバイザー制度をどのように活用する
かが今後の課題である。
【教務委員会】
進路支援に対しては、全学的なガイダンスの実施やそのための事務組織はあるものの、
学科としての組織的な取り組みは、ごく一部を除いて行われていないのが実情である。教
員は一般的なアドバイスにとどまることが多い。中には個人的に熱心な進路支援を行って
いる教員もいるが、今後はより組織的に教員が進路支援に関与する体制が求められる。
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青山学院女子短期大学
基準Ⅱ-B-5 入学者受け入れの方針を受験生に対して明確に示している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:入学者選抜方法検討委員会)
(1) 学生募集要項は、入学者受け入れの方針を明確に示している。
推薦入試の募集要項には、本学が求める入学者像を「主旨」として明示している。
(2) 受験の問い合わせなどに対して適切に対応している。
本学ウェブサイトや『進学案内』に e メールアドレスや電話番号を公開し、専任職
員が対応している。指定校には、教職員が随時高校訪問を行い、情報交換を行ってい
る。
(3) 広報又は入試事務の体制を整備している。
入試広報課(専任職員 3 名)を置いている。また、高校等での進学相談には入学広
報アドバイザー5 名、入試業務には事務各部からのプロジェクト要員も実務に関わる。
全体の企画策定等は、広報企画・入学者選抜方法検討・入試総合などの委員会にて行
う。
(4) 多様な選抜を公正かつ正確に実施している。
一般入試では学力を、推薦入試では学習意欲をそれぞれ重視しているが、後者にお
いても可能な限り客観的で公正な選抜を行っている。また特別入試では、海外帰国者、
キリスト者、社会人、卒業生子女など、本学独自の教育課程を進める上で重要な背景
を持つ学生を募集しているが、志願者の特性に配慮しつつ、推薦入試と同様の方法で
選抜している。
(5) 入学手続者に対し入学までに授業や学生生活についての情報を提供している。
推薦入試や特別入試に合格し、早期に入学手続を行った者に対しては、読書レポー
トなどの課題を課している。
(6) 入学者に対し学習、学生生活のためのオリエンテーション等を行っている。
入学式直後から集団での学生生活オリエンテーションや履修指導を実施するほか、
年度初頭には個人別相談の機会を複数回設けている。また、従来は学科ごとに、それ
ぞれの教育課程を反映した 1~2 日にわたるオリエンテーションを行ってきたが、
2012 年度に発足する現代教養学科では、
「現代教養コア入門」という集中講義科目(オ
ムニバス形式)を年度初頭行事期間中に実施し、本学での学びの動機付けを行った。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:入学者選抜方法検討委員会)
(1) 学生募集要項は、入学者受け入れの方針を明確に示している。
一般入試でも、受け入れ方針を明確にすることが必要かどうか、検討する。
(2) 受験の問い合わせなどに対して適切に対応している。
特に差し迫った問題・課題はない。
(3) 広報又は入試事務の体制を整備している。
特に差し迫った問題・課題はない。
(4) 多様な選抜を公正かつ正確に実施している。
引き続き「公正かつ正確」な選抜を組織的に実施するほか、さらに「多様」な選抜方
法の可能性を模索する。
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青山学院女子短期大学
(5) 入学手続者に対し入学までに授業や学生生活についての情報を提供している。
従来は、高等学校での生活を卒業時まで充実させることを第一に考えてきたため、あ
まり積極的な情報提供に取り組んではこなかった。そのニーズを検証し(入学後の聞
き取り調査など)
、需要に応じて具体的方策を検討する。
(6) 入学者に対し学習、学生生活のためのオリエンテーション等を行っている。
現代教養学科「現代教養コア入門」は、単位化された授業とオリエンテーションを組
み合わせる新しい試みとなるので、その効果や問題点を検証する。
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青山学院女子短期大学
【基準Ⅲ 教育資源と財的資源】
(a) 基準Ⅲの自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:ALO)
人的資源については、教員数において短期大学設置基準を充足しており、厳格な採用、
昇任手続きが行われ、教員の研究活動も活発で成果を挙げており、それを支える研究教育
上の諸条件も整っている。FD 活動も適切に行われている。全体として、人的資源に関し
ては、量的にも質的にも高い水準が維持されている。
物的資源については、校地、運動場、図書館、体育館等の施設をはじめ短期大学設置基
準を充足しており、バリアフリーの対応が遅れている点を除けば、ほぼ適切な条件を整え
ている。
技術的資源等については概ね整備されており、その計画的な維持・整備も行われている。
学生や教員の情報技術の向上のための施策にはなお課題を有するが、今後の情報システム
更新計画とあわせ解決を図っていく必要がある。
財的資源については、これまでのところ概ね適切に管理運用されているが、2012 年度の
学科改組に伴い、学生納付金の減少など財政上の悪化が想定されている。
(b) 基準Ⅲの自己点検・評価に基づく行動計画を記述する。
(担当部局:ALO)
人的資源については、必要な教員任用は行い教育研究水準を維持しつつも、財政上の観
点から学生数に見合った数にまで調整していく予定である。
物的資源ならびに技術的資源等に関しては、基本的に現水準を維持していく。
2012 年度の学科改組に伴う財政上の困難に関しては、法人との間で人件費の圧縮、学費
の増額、施設の有効利用、外部資金の獲得増、寄付金の増加などの努力を前提に 2016 年
度までは学院全体でカバーし、2017 年度からは正常に復する計画となっている。そのため
には、収支構造につき、より具体的・計画的に策定していく必要がある。
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青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅲ-A 人的資源
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:学長)
教員数は短期大学設置基準に定める教員数を充足しており、
「青山学院女子短期大学専任
教員の任用及び昇任に関する規則」に則って任用・昇任を行い、学位、教育実績、研究業績
等を確保している。補助教員は実験・実習・実技関連授業を中心に副手を配置して、教育
の充実を行っている。
専任教員の研究活動は学内誌「青山學院女子短期大學紀要」ならびに「総合文化研究所
年報」のみならず、各方面の専門誌などによって発表されており、研究を支えるための各
自の個室の研究室配置ならびに調査研究費支給、研究日設定、1 年間の複数の研究休暇制
度もあり、また外部研究費の獲得件数も多く、活発な研究が行われている。そしてこれら
の研究業績はすべて毎年発行の本学紀要に掲載すると共に、インターネットで検索するこ
とも可能である。
研究・教育の向上を目指す FD 活動も、授業アンケート、講演会、本学教員によるパネ
ルディスカッション、授業公開などを実施し、効果を上げている。
「青山学院女子短期大学事務分掌規則」に沿って運営されている本学事務組織は、人員
配置、施設、設備を効率的に配置し、全学院と連携しあって運営されており、学生に対し
ても教職員に対してもきちんとした対応が出来ている。
教職員の人事管理に関しても「学校法人青山学院寄附行為」に沿ってさまざまな規則が
制定されており、それに沿っての運営や教職員への周知もまた監査規則等でチェックされ
ていて、全体として適切に行われているといえる。またこれらの諸規則は、学内ポータル
サイトで常時公開されている。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:学長)
これまでの教員への質の確保は、規則に則り十分行われてきているが、2012 年改組にあ
って学科内容、教育科目の改変を受けてのさらなる体制整備への具体的検討を進めなけれ
ばならない。特に本学の副手に関する規則は制定されておらず、本学案をもって法人との
話し合いを進めねばならない
FD 活動に関しての担当部局は、全学自己点検・評価委員会であるが、今後は独自の委
員会形式をとって FD 活動推進の母体をはっきり定める必要があろう。
事務組織に関しても、2012 年改組にあっての組織内容の変更を受けて、さらなる体制整
備への具体的検討を進めなければならない。
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青山学院女子短期大学
[区分]
基準Ⅲ-A-1 学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて教員組織を整備し
ている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:ALO)
(1) 短期大学及び学科・専攻課程の教員組織が編成されている。
2011 年度における教員の編成は、学長 1、国文学科 6、英文学科 12(英文学専攻 6、英
文学科英語学専攻 6)
、家政学科 5、教養学科 8、芸術学科 5、子ども学科 11、一般教育科
目 7、合計 55 名を配している。
(2) 短期大学及び学科・専攻課程の専任教員は短期大学設置基準に定める教員数を充足
している。
本学の学科・専攻課程の専任教員は、短期大学設置基準に定める教員数を充足している。
(3) 専任教員の職位は真正な学位、教育実績、研究業績、制作物発表、その他の経歴等、
短期大学設置基準の規定を充足している。
専任教員の任用・昇任は「青山学院女子短期大学専任教員の任用及び昇任に関する規則」
に則り厳格な審査を経て決定しており、短期大学設置基準に定める要件を充足している。
(4) 学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて専任教員と非常勤教員(兼
任・兼担)を配置している。
2011 年度における非常勤講師の数は、国文学科 48、英文学科 51、家政学科 25、教養
学科 30、芸術学科 6、子ども学科 37、一般教育科目 83、合計 280 名に及ぶ。
(5) 学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて補助教員を配置している。
本学では補助教員は置かれていないが、職員である副手を配置している。2011 年度は
合計 25 名が配置されていたが、2012 年度は学科改組に伴い、18 名が配置されている。
(6) 教員の採用、昇任はその就業規則、選考規程等に基づいて行っている。
教員の採用は「青山学院女子短期大学専任教員の任用及び昇任に関する規則」にしたが
って行われている。
専任教員任用の必要があるとき、
当該学科主任は学科の意向に基づき、
候補者複数を学長に申し出る。学長は学科主任会の議を経て、候補者を 1 名に絞り任用教
授会に諮る。任用教授会は、学長、当該学科主任、当該学科より 1 名、当該学科以外の教
員 2 名を選出し、選考委員会を構成する。任用教授会は選考委員会報告書に基づき、専任
教員の任用の可否を投票によって決定する。昇任についても同様の手続きによって行われ
ている。任用及び昇任の候補者は院長に報告され、常務委員会の議を経て理事会において
決定される。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:ALO)
(1)(2)…専任教員の配置は短期大学設置基準に定める要件を満たしているが、2012 年
度改組方針で学生定員の削減を予定していたため、この間は短期大学設置基準ぎりぎりの
人数で抑えてきた。今後も法人の人件費抑制方針のため、新たな専任教員任用が難しい状
況があるが、学生の教育環境の低下を来さないよう注意する必要がある。
(3)(6)…特に問題はない。
(4)…非常勤講師の数は非常に多いが、2012 年度改組により子ども学科を除く学生定員を
約 6 割に削減したことに伴い科目数を整理し、非常勤講師の数も大幅に減った。
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青山学院女子短期大学
(5)…2012 年度改組に伴い副手の人数を削減せざるを得なかったが、甲種(週 6 日勤務)
と丙種(週 6 日未満勤務)をうまく組み合わせ、日常の研究・教育活動に支障をきたさな
いよう注意する必要がある。
基準Ⅲ-A-2 専任教員は、学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて教育
研究活動を行っている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:ALO)
(1) 専任教員の研究活動(論文発表、学会活動、国際会議出席等、その他)は学科・専
攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて成果をあげている。
研究論文発表に関しては、全体として高い成果を挙げている。学会活動についても毎年
の学会大会への参加や研究発表が行われており、理事や学内誌編集委員等の役職に就いて
いるものも少なくない。国際学会での発表や国際会議への参加等も活発に行われている。
(2) 専任教員個々人の研究活動の状況が公開されている。
毎年の『青山學院女子短期大學紀要』に研究業績一覧を掲載している他、2008 年 10 月
から「教育研究業績管理システム」を稼働させており、教員の研究業績、研究者情報、社
会貢献等の情報をデータベース化している。これにより各種補助金申請や許認可申請時の
基礎資料、また自己点検・評価活動の基礎資料として活用することは勿論、本学ホームペ
ージに教員プロフィール及び最新情報の外部公開をリアルタイムで行い、教員の研究活動
の情報を広く社会に公開する手段となっている。また 2012 年 3 月には「青山学院女子短
期大学教育情報の公表に関する要綱」が制定され、教育情報の公開に関する総合的な方針
が確立した。
(3) 専任教員は、科学研究費補助金、外部研究費等を獲得している。
科学研究費補助金については、専任教員の申請数・採択数ともに近年増加傾向にあり(過
去 5 年間で 48 件)
、他大学・機関の研究者との共同研究を含め、研究活動は活発に行われ
ている。外部研究費についても、数は多くないものの委託研究を受けている。
(4) 専任教員の研究活動に関する規程を整備している。
以下のような規程が整備されている。
①専任教員の個人研究費:
「青山学院女子短期大学実験調査研究費使用規則」
②公的研究費:
「青山学院女子短期大学科学研究費補助金取扱要綱」
「青山学院女子短期大
学公的研究費の運営及び管理に関する規則」
「青山学院女子短期大学研究受託規則」
③在外研究・国内留学・特別研究期間制度:
「青山学院在外研究に関する規則」
「青山学院
国内研究に関する規則」
「青山学院女子短期大学特別研究期間制度に関する規則」
④青山学院女子短期大学総合文化研究所:
「青山学院女子短期大学総合文化研究所規則」
⑤青山学院学術褒賞:
「青山学院学術褒賞規則」
(5) 専任教員の研究成果を発表する機会(研究紀要の発行等)を確保している。
①1952 年より毎年『青山學院女子短期大學紀要』
(A5 版、およそ 300 頁、2010 年よりB
5 版に変更)を刊行しており、2011 年 12 月には第 65 輯を発行した。例年、各学科の専任
教員により、様々な専門分野にわたる十数編の論文を掲載している。紀要の内容は、本学
ホームページ及び本学図書館ホームページにインターネット接続することで本文を見るこ
とができる。なお紀要には専任教員の「業績一覧」の頁も設けている。
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青山学院女子短期大学
②青山学院女子短期大学総合文化研究所は 1991 年に設置以来 20 年目を迎えた。毎年複数
の研究プロジェクトを設置し、その成果を『青山学院女子短期大学総合文化研究所年報』
に掲載している。2011 年 12 月には第 19 号を発行した。毎年 2 つのプロジェクトの成果
として 10 編程度の論文を掲載している。年報の内容は、青山学院学術情報システム及び
学術情報センターのホームページにインターネット接続することで本文を見ることができ
る。
(6) 専任教員が研究を行う教員室、研究室等を整備している。
すべての専任教員に個室の研究室が確保されており、実験系ないし芸術系の教員には実
験室や特別教室が付設されている。
また各学科には共同研究室があり、
会議や資料の保管、
学生窓口、等に活用されている。
(7) 専任教員の研究、研修等を行う時間を確保している。
専任教員には週に 1 日の「研究日」が確保されており、その時間を研究や授業準備等に
充てることができる。また長期在外研究制度(毎年 1 人、1 年間)
、短期在外研究制度(3
~6 ヶ月)
、国内留学制度(毎年 1 人、1 年間)
、特別研究期間制度(毎年 1 人、1 年間)
が整備されている。短期在外研究を除き、他の 3 つの研究制度は毎年ほぼ確実に活用され
ている。
(8) 専任教員の留学、海外派遣、国際会議出席等に関する規程を整備している。
専任教員の留学については、上記の長期・短期在外研究制度が活用されており、規則と
しては上記(4)の③参照。海外出張等については、
「学校法人青山学院国外出張旅費規則」
(1992 年 3 月制定、2007 年 4 月改正)がある。
(9) FD活動に関する規程を整備している。
本学においては全学自己点検・評価委員会がFD活動の実質的担い手となっているため、
現在のところFD活動に関する規程は制定されていない。早急に規程を設けるべく検討中
である。
(10) 規定に基づいて、FD活動を適切に行っている。
①学生による授業評価アンケートの実施:2005 年以降、前期・後期末に専任教員及び非常
勤講師を含めた全授業担当者にアンケート実施を依頼し、
ほぼ 9 割の教員が実施している。
その結果は報告書にまとめて公開している。
②FD講演会の実施:2008 年度以降、年に一回外部講師を招いて講演会を実施している。
③本学教員によるパネルディスカッションの実施:互いの授業方法の工夫などを交流し合
うため、年に一回テーマを定めて実施している。
④専任教員による授業公開:2008 年度後期より、前期と後期の 2 回、2~3 週間の期日を
定めて授業公開を行い、参観者から回収したアンケートを整理し教員間に公開している。
歴代事務部長の方針で、全職員が参観していることが特徴である。
(11) 専任教員は、学習成果を向上させるために短期大学の関係部署と連携している。
教員の研究教育活動は多岐にわたるため、図書館をはじめ教務課・学生課・庶務課等の
事務組織との連携は勿論、教務委員会・学生部委員会・宗教活動委員会等の学内諸委員会
との連携は欠かせない。全体として関係部署との連携は良好である。
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青山学院女子短期大学
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:ALO)
本学専任教員の研究活動は、全体として活発に行われており、成果も挙げていると判断
される。研究活動を支える物的条件や制度、規則類も整っている。
ただし、FD 活動に関する規則がないことは問題である。FD 活動そのものはほぼ定着し
ているものの、全学自己点検・評価委員会に委ねている現状は早急に解決されなければな
らない。
基準Ⅲ-A-3 学習成果を向上させるための事務組織を整備している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:事務部長)
本学の事務組織の概要は、自己点検・評価の基礎資料(様式 4(3)学校法人・短期大学の
組織図)のとおり。
各部署の業務としては「青山学院女子短期大学事務分掌規則」に規定されている。また、
教員で組織される各種委員会へも、事務職員からメンバーとして、あるいは、事務担当と
して参加している。
2011 年度における事務組織構成人員は、事務部長以下専任職員 42 名(シオン寮寮監 1
名、厨房用務員 2 名含む)
、事務嘱託 2 名、その他派遣社員 4 名、パートタイム職員を採
用、専任職員 3 名以上の部署には課長職(職位 5 級以上)を配置し、指揮命令系統をはっ
きりさせている。各事務室には、一人1台事務用パソコンが用意されており、備品等も整
備されている。
本法人本部総務部に総務・安全対策課を置き、防災対策はじめキャンパス内全般の安全
対策を担当しており、情報セキュリティを管理するための体制としては、「学校法人青山
学院情報セキュリティに関する規則」を制定し、理事長を最高責任者とし、設置学校及び
事務組織の各部門に管理責任者を置き、所管する組織又は分野の指揮監督を行い、その責
任と義務を果たしている。職員の職務内容改善(SD)としては、
「学校法人青山学院一般
職員人材育成評価制度に関する規則」の下、人事考課制度等を実施。学習成果を向上させ
るために関係部署との連携として、法人全体で月 1 回全学院事務連絡会、本学女子短期大
学事務部内では月 2 回事務連絡会を開催し、関係部署との連携を図っている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:事務部長)
2012 年度 4 月より青山学院女子短期大学としては、開学以来 60 年間に例を見ない学科
改組の結果、国文・英文・家政・教養・芸術の各学科を融合させた新学科、現代教養学科
を誕生させることとなり、その新学科体制での事務組織の在り方の検討、また、図書館業
務については、2012 年度より専任職員 3 名を残し、全面委託を予定しており、その他人
員配置の見直しについて検討が必要となる。
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青山学院女子短期大学
基準Ⅲ-A-4 人事管理が適切に行われている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:<教員>ALO、<職員>事務部長)
【ALO】
(1) 教職員の就業に関する諸規程を整備している。
規則としては、
「学校法人青山学院寄附行為」に基づき「学校法人青山学院就業規則」
「学
校法人青山学院諸規則管理規則」等が定められ、その下に給与・手当・厚生等の様々な規
則類が制定されている。また職員には「学校法人青山学院事務組織規則」をはじめとする
職制や管理運営体制が定められ、
「学校法人青山学院一般職員人事考課制度に関する規則」
により定期的な人事考課も行われている。これら全ての運営は、
「学校法人青山学院監事監
査規則」等により定期的な内部監査制度によりチェックされている。
(2) 教職員の就業に関する諸規程を教職員に周知している。
本学の教員や職員は、その就任に当たって学院全体のオリエンテーション及び本学独自
のオリエンテーションにおいて、就業規則その他全般にわたって教職員としての服務につ
いて理解を深めている。日常的には、教員に対しては学長から教授会の場で、職員に対し
ては事務部長から諸会議を通じて、服務上の諸注意を行っている。
(3) 教職員の就業を諸規程に基づいて適正に管理している。
概ね、適正に管理されていると判断される。
【事務部長】
教職員の就業規定としては労働基準法その他の法令並びに「学校法人青山学院寄附行為」
及び関連諸規則に基づき、
「学校法人青山学院就業規則」として規定され、本学院就任説明
時に配布資料としており、学内ポータルサイトにおいて他の諸規則とともに、常時公開さ
れ周知されている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:<教員>ALO、<職員>事務部長)
【ALO】
教員の場合、職員に比して、教育研究活動の具体的場面では個々の裁量に任せられる面
が多い。このため、時として授業への遅刻・休講が多い、事務手続きが大幅に遅れるなど
の例が散見される。これらは日常的な注意喚起によって改善されるものと思われる。
【事務部長】
問題点としては、本学においては教育補助者として、副手をおいているが、その勤務形
態等安定した状況にはないのが実情であり、副手に関する規則制定案は作成し提案はされ
ているが、いまだ成案となっておらず、法人所管の規則として制定に向け、法人に改めて
働きかける必要がある。
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青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅲ-B 物的資源
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:事務部長)
2012 年度 4 月より青山学院女子短期大学として学科改組の結果、新学科の現代教養学
科を設置することとなるが、その新学科体制も含め、学科・専攻課程の教育課程編成・実
施の方針に基づく校地、校舎、運動場、図書館、体育館の短期大学設置基準の規定は充足
しており、授業を行う講義室、演習室、実験・実習室についても適正な数を有し、設備、
機器・備品も整備している。施設設備の維持管理においても、固定資産管理に係る経理規
定等の諸規定により維持管理している。火災・地震・防犯対策等については、学校法人と
して危機管理委員会を開催しており、火災や地震の発生に備えて、毎年授業期間中に学生
が参加できる避難訓練を実施している。省エネルギー・省資源対策についても教授会や事
務連絡会等で省エネルギーを呼びかけている。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:事務部長)
障がい者対応については、専用のトイレ、各建物の 1 階にスロープの設置はしているも
のの、建物にエレベーターが無いため、2 階以上の教室への移動に不便な状況であり、充
分な対応とは言えない。現在障がい者の学生は在籍していないが、受け入れる場合は、時
間割の教室配置等に配慮が必要となる。抜本的な解決としては、学院全体で進められてい
る、青山キャンパス再開発計画の中で検討が必要となる。
[区分]
基準Ⅲ-B-1 学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて校地、校舎、施設
設備、その他の物的資源を整備、活用している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:<全般>事務部庶務課、<図書館>図書館委員会)
【事務部庶務課】
校地、運動場、校舎の面積は、短期大学設置基準の規定を充足しており適正と考えてい
る。障がい者専用のトイレを有しており、各建物の 1 階にはスロープを設置している。学
科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて授業を行う講義室、演習室、実験・
実習室は、適正な数を有しており、また設備、機器・備品については整備している。図書
館の面積は、適切な面積を有しており、蔵書数は 29 万冊以上で、毎年学術雑誌、AV 資料
を追加整備している。また、図書検索システムを導入しており、併設している大学の図書
館の蔵書も検索でき、有効に活用している。体育館は、適切な面積を有している。
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青山学院女子短期大学
[当該区分に係る自己点検・評価のための観点]
(1)校地の面積は短期大学設置基準の規定を充足している。
校地の面積は 30,704 ㎡で短期大学設置基準の規定を充足している。
(2)適切な面積の運動場を有している。
運動場の面積は 2,342 ㎡で適切な面積を有している。
(3)校舎の面積は短期大学設置基準の規定を充足している。
校舎の延面積は 25,831 ㎡で短期大学設置基準の規定を充足している。
(4)校地と校舎は障がい者に対応している。
障がい者専用のトイレを設置しており、各建物の 1 階にはスロープを設けている。
(5)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて授業を行う講義室、演習室、
実験・実習室を用意している。
各学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて、講義室、演習室、実験・
実習室を用意している。
(6)通信による教育を行う学科の場合には、添削等による指導、印刷教材等の保管・発
送のための施設が整備されている。
通信による教育は実施していない。
(7)学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて授業を行うための機器・備
品を整備している。
各学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて、授業を行うための機器・
備品を整備している。
(10)適切な面積の体育館を有している。
体育館の面積は 2,480 ㎡で適切な面積を有している。
【図書館委員会】
(8)適切な面積の図書館又は学習資源センター等を有している。
図書館の面積:図書館総面積は、地下 1 階、1 階、2 階の閲覧室と地下 3 層の書庫を
合わせて 3,251 ㎡である。
(9)図書館又は学習資源センター等の蔵書数、学術雑誌数、AV 資料数及び座席数等が十
分である。
蔵書数は約 290,000 冊、学術雑誌数(継続購入中)は約 380 タイトル、AV 資料数は
約 8,700 点、座席数は 329 席である。
①購入図書選定システムや廃棄システムが確立している。
購入図書選定システム:収集の方針、収集する資料の種類、収集の体制、選書基準が明
記された「青山学院女子短期大学図書館資料収集規則」に基づき、購入図書を選定して
いる。選定後は、
「青山学院女子短期大学図書館における図書費の予算の配分及び執行
に関する内規」に基づき、図書館委員会委員による承認を経て、購入・予算執行が行わ
れている。学生が購入を希望する資料は、図書館長の下に置かれた選書小委員会におい
て審議されている。
廃棄システム:
「青山学院女子短期大学図書館資料管理規則」に基づき、紛失後 2 年以
上経過した図書、破損、汚損又は摩耗が甚だしく、補修不可能な図書、内規に規定され
た、保存価値を失ったと認められる図書を除籍・廃棄している。
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青山学院女子短期大学
②図書館又は学習資源センター等に参考図書、関連図書を整備している。
シラバスで紹介された図書の購入、指定参考図書(教員推薦)の購入により、学習に
不可欠な参考図書、授業に直結した関連図書の整備を重点的に行っている。学科構成に
相応しい図書資料を総合的に収集、整備すると共に、学生の人格の形成及び向上に必要
な一般教養書の選定、就職活動支援のための図書の選定など、常に学生の要望に応えら
れる蔵書構成となるよう心掛けている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:事務部庶務課、図書館委員会)
【事務部庶務課】
校地、運動場、校舎の面積は、短期大学設置基準を充足しているが、バリアフリーの対
応が遅れており整備に努めることが望ましいと思われる。教室の設備に関しては、老朽化
したものから更新の計画をしている。
【図書館委員会】
(8)適切な面積の図書館又は学習資源センター等を有している。
問題点・課題点はない。
(9)図書館又は学習資源センター等の蔵書数、学術雑誌数、AV 資料数及び座席数等が十
分である。
蔵書数、学術雑誌数、AV 資料数、座席数については問題点・課題点はない。
①購入図書選定システムや廃棄システムが確立している。
既存学科と新学科が併存する期間は、図書費の予算配分及び執行について、実状に合
った運用に留意しなければならない。予算削減が見込まれるため、支出の抑制が課題と
なる。その方策として、厳選した選書の徹底、継続購入雑誌・図書の見直し、さらに青
山学院大学図書館との分担収集方針の明確化が挙げられる。分担収集・分担保存は、書
庫スペース狭隘化への対策としても切迫した課題である。
②図書館又は学習資源センター等に参考図書、関連図書を整備している。
学生数規模は縮小するが、学習と教育研究支援という図書館の目的は変わることはな
く、今後さらに多様化する利用者のニーズに十分に応え得る体制を整備していかなくて
はならない。
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青山学院女子短期大学
基準Ⅲ-B-2 施設設備の維持管理を適切に行っている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:事務部庶務課)
固定資産管理に係る経理規定等諸規定については、整備済みである。諸規定に従い施設
設備備品に関して、維持管理を行っている。消耗品については、規程は存在しないが適正
に管理をしている。火災・地震・防犯対策等については、各学校から危機管理委員を選出
し、学校法人として危機管理委員会を開催している。また、毎年、火災や地震の発生に備
えて授業期間中に学生が参加できる避難訓練を実施している。教職員には教授会や事務連
絡会等で省エネルギーを呼びかけており、使用していない教室の照明を消したり、余分な
照明器具を外している。教室のエアコンの設定温度は、文部科学省の指導等を周知させて
いる。デマンド制御装置を設置しており、デマンドの監視をしている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:事務部庶務課)
すでに整備済みである固定資産管理に係る経理規定等諸規定については、不具合が生じ
た場合に見直す必要がある。財務諸規程を含む消耗品規程は存在しないが、消耗品の性質
上、今後も作成する必要はないと考えている。また、貯蔵品については、法人本部が貯蔵
しているものが多く、本学内には、貯蔵品がほとんどないため、貯蔵品の管理規程は不要
と考える。火災・地震・防犯対策等については、危機管理マニュアルの改訂をおこない、
全教職員に配付する必要がある。省エネルギーについては、教職員、学生に対して周知徹
底をさらに図る必要がある。
[当該区分に係る自己点検・評価のための観点]
(1)固定資産管理規程、消耗品及び貯蔵品管理規程等を、財務諸規程を含め整備している。
固定資産管理に係る経理規程等は整備している。
(2)諸規程に従い施設設備、物品(消耗品、貯蔵品等)を維持管理している。
諸規程に従い施設設備、物品等の維持管理をしている。
(3)火災・地震対策、防犯対策のための諸規則を整備している。
火災・地震・防犯対策等については、諸規程の整備はされていない。
(4)火災・地震対策、防犯対策のための定期的な点検・訓練を行っている。
火災・地震・防犯対策等については、法定点検等定期的な点検と定期的に避難訓練
等を行っている。
(5)コンピュータシステムのセキュリティ対策を行っている。
併設している大学の担当部署が、本学のセキュリティ対策も担当して行っている。
(6)省エネルギー・省資源対策、その他地球環境保全の配慮がなされている。
省エネルギー推進委員会において組織的に省エネルギー対策に取り組み、CO2 排出
量や電力の使用量の公表をしたり、学生・教職員に対し構内放送や掲示等により、
省エネルギーの取組みに協力を呼び掛けている。
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青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅲ-C 技術的資源をはじめとするその他の教育資源
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:ALO)
本学の一般教育科目並びに各学科の教育課程に基づき学習成果を獲得させるための技術
的資源は、概ね整備されていると判断される。またその計画的な維持・整備も行われてい
る。情報技術の向上のための学生に対するトレーニングについては、入学当初に初歩的な
オリエンテーションを行い、授業や演習等において必要な訓練を受けている。情報処理の
授業が必修となっている学科も多い。日常の学生生活においては、学生ポータルシステム
が活用されている。教員に対するトレーニングについては、個々の教育方針やスキルに依
存する面もあり、必ずしも十分とはいえない。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:ALO)
近年はコンピュータを使用する授業が増えたため、授業時間外にコンピュータ室を使用
する際に空きが少ないとの声もあったが、今年度より学生定員を減らしたため、こうした
問題はより緩和されるであろう。また今年度より、学生の学習支援や進路支援に役立てる
ため、e-ポートフォリオ・システムを全学的に導入した。これに伴う教員向けの研修会を
すでに 1 度実施したが、さらに継続的に研修を積む必要がある。
基準Ⅲ-C-1 短期大学は、学科・専攻課程の教育課程編成・実施の方針に基づいて学習
成果を獲得させるために技術的資源を整備している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:事務部庶務課、教育メディア運用室運営委員会)
【事務部庶務課】
情報系の技術的資源としては、学内 LAN を各教室に設置しており、インターネットを
利用した授業に対応している。コンピュータ・リテラシー教育と実務的な情報処理教育の
ためには情報処理実習室を設置し、教育課程編成・実施の方針に基づいて充実を図ってい
る。また、ネットワーク機器の更新も学院内で計画的に行われている。
情報系以外の技術的資源においても、計画的に維持管理し、教育課程編成・実施の方針
に基づいて教室等の技術的資源の分配をし、授業に必要な AV 機器の設置や備品等の購入
等、学生に対し学習環境整備に努めている。
【教育メディア運用室運営委員会】
ICT に係る青山学院の組織として、青山学院 ICT 戦略策定委員会、青山学院基幹ネット
ワーク委員会がある。それらの上部組織に繋がる教育メディア運用室、教育メディア運用
室運営委員会がある。これら2つの組織のもと、学内 LAN をはじめ情報系設備、CALL
系設備を運用・管理しているとともに、システムの最適化と充実を図っている。
情報処理施設としては、情報処理実習室 2 室、マルチメディア教室 2 室があり、これら
の 4 施設は CALL
(Computer Assisted Language Learning)
システムと共存させている。
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青山学院女子短期大学
教育支援のアプリケーションとしては、教員ポータルシステム、学生ポータルシステム
を導入し、教材配布あるいはレポート収集などに利用している。
学生用としては 144 台のコンピュータが配置されている。前回の認証評価の際、収容定
員からすると台数が少ないとの指摘を受けたが、4 施設のうち 1 施設は、月~金の 25 コマ
の内、2 コマを除いて常に 1 施設以上が自由に使用できる施設として確保でき、また文献
検索等の作業には図書館にも学生が利用できるコンピュータ設備があるので、不足はして
いない。
現在のシステムは 2009 年 3 月に導入されたシステムであるが、大きな障害もなく、安
定した状態で授業等教育用に利用されている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:事務部庶務課、教育メディア運用室運営委員会)
【事務部庶務課】
コンピュータを使用した授業が増えてきたため、授業時間外に使用する場合、空きが少
ない。また、教室に設置してあるプロジェクター等を活用するにあたって、操作のサポー
トをする人員の確保が必要になってきている。
情報系以外の技術的資源においても、授業用機器備品を逐次設置しているが、既存の機
器備品の更新も並行して行っていく必要がある。授業用の機器備品の設置が増えているた
め、メンテナンスの方法を検討する必要がある。
【教育メディア運用室運営委員会】
当然のことながら、すべての教員がこれらの設備を利用しているわけではない。教員の
スキルに依存している部分が大きいので、研修等を通して、教員のスキルアップを目指さ
なければならない。
2013 年 3 月に現在のシステムを更新する予定である。これは前述の青山学院 ICT 戦略
委員会のもと青山学院の全部署のコンピュータシステム(事務系を除く教育研究系のみ)
を更新する。その際、本学のニーズを把握し、本学に適したシステムを導入することが重
要である。
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青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅲ-D 財的資源
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:学長)
本学は、6 学科入学定員 900 名、収容定員では 1900 名という大規模な女子短期大学で
あり、幼稚園から大学院までを擁する青山学院の設置学校の一つとして、確実に学生が集
まる学校であった。しかし、本学受験生数の減少や将来的にも短大志望者数の低下が見込
まれる中で、
現在の 6 学科体制から、
5 学科を改組した入学定員 480 名の現代教養学科と、
従来からの 3 年制入学定員 100 名の子ども学科の 2 学科で 2012 年度にスタートすること
となった。
新学科の内容は、本学の基本理念である教養教育と全人的教育を柱とし、現代に求めら
れる人間力を高めることを中心にしている。キャリア教育に関しては必修の授業を設置し
ただけでなく、2 年間を通して実社会を見据えた就職支援のための教育・指導を行い、他
方で大学編入や留学への道を今以上に広げることで、一定程度の質の高い学生を集めるこ
とが出来るであろう。また、教員による外部資金獲得も活発で、2011 年度の科研費取得件
数は 14 件(うち研究代表者 10 件)に上っている。
入学定員が 64%、収容定員が 66%と学生数が約 3 分の 2 に減ることにより、従来より
も質の高い学生を集め、より少人数授業で指導することが出来、就職や編入も従来以上の
好結果が期待される。一方で、教職員数が変わらないため量的な経営問題が残る。2011
年 3 月 18 日の臨時教授会では、2017 年度までの具体的な数値を挙げて、人件費の圧縮、
学費増額、
施設の有効活用、2016 年度までの赤字の学院全体でのカバー等の対応を承認し、
さらに 3 月の理事会においてこの件が承認された。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:学長)
2012 年 4 月より始まる 2 学科体制は、2017 年度以降の安定的な経営を見通し、それま
では学院全体のサポートを受けて進むこととなる。財政状況の改善に本学独自でとれる方
策は、まず施設や制度の改善であろう。大学と重なる食堂、体育館、図書館、学生寮、中
軽井沢寮の運営や、事務組織の広報、就職等、重なる部分の一部統合、さらには、司書や
教職のみならず、大学の青山スタンダード科目など、重なる授業科目も単位互換などで両
学の調整が出来れば、学生へ直接に資する予算へ割くこともできよう。さらに、本学の特
色を生かした補助金の更なる獲得も図り、対策を講じていく必要がある。
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青山学院女子短期大学
基準Ⅲ-D-1 財的資源を適切に管理している。
(a) (b)自己点検・評価を基に現状・課題を記述する。
(担当部局:財務部)
1.財政の状況
①収入
2010 年度資金収支計算書における収入合計は 31.9 億円である。内訳は、
学生納付金収入 26.4 億円、手数料収入 0.8 億円、寄付金収入 0.4 億円、補助金収入 1.5
億円、その他 2.7 億円となっている。このうち、もっとも大きなものが学生納付金収
入で収入の 82.7%を占めている。その他、手数料収入 2.5%、寄付金収入 1.3%、補助
金収入 4.8%である。寄付金については入学時の募集の他、毎年 12 月に再募集を行っ
ているが年々減少しているため、学生納付金収入への依存度が高くなっている。
過去 3 年間の資金収支は、2008 年 32.9 億円、2009 年 34.9 億円、2010 年 31.9 億円
であり、極端な増減は見られない。しかし、2012 年度新学科を開設するに伴い、学生
数は減少し、学生納付金が減少するため、別途収入を増やすことを検討する必要があ
る。
②支出
2010 年度資金収支計算書における支出合計は 30.9 億円で、中でも最も比
重を占めるのは人件費で 20.3 億円である。次いで教育研究経費は 7.5 億円、管理経費
1.5 億円、施設関係設備関係支出 1.6 億円となっている。管理経費には入学定員確保の
ための広報活動費が含まれ、年々このウエイトが増えている。短大においては、施設・
設備取得のための借入金は現在ない。
過去 3 年間の資金支出は、2008 年 33.0 億円、2009 年 33.5 億円、2010 年 30.9 億
円であり、極端な増減は見られない。しかし、2012 年度新学科を開設するに伴い学生
数は減少するが一学年あたり 300 人程度の減少であり、多額の支出減少は考えにくい。
そのため、今まで以上に無駄な支出を抑えなければならない。
2.財務比率
①人件費比率
2008~2010 年度 3 年間の平均人件費比率は 63.9%で、かなり高い
割合を占めている。過去 3 年間の人件費比率は、2008 年 63.3%、2009 年 65.1%、2010
年 63.4%である。今後、教職員の高齢化によりさらに人件費比率の上昇が予測される
ため、超過勤務の見直し等人件費の適正化が急務である。
②教育研究比率
過去 3 年間の教育研究比率は、2008 年 28.7%、2009 年 27.8%、
2010 年 27.9%で、あまり高くない割合で推移している。この原因は、人件費比率の高
さが影響を及ぼしていると思われる。人件費比率を下げ、同時に少しでも教員研究比
率を上げる努力をするべきであろう。
3.外部資金導入(補助金)
①経常費補助金
過去 3 年間の補助金収入は、2008 年 1.7 億円、2009 年 1.8 億円、
2010 年 1.5 億円であり、ほぼ安定しているように見える。しかし、一般的に一般補助
の割合は年々減少し、特別補助へウエイトが移行しているため、一層、本短期大学の
個性化や特色化による補助金獲得を考えるべきである。
②科学研究費補助金
過去 3 年間の科学研究費補助金は、2008 年 4230 千円、2009
年 4100 千円、2010 年 3880 千円である。他に収入増加があまり見込めないため、科
学研究費の申請をすることもひとつの方策である。
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青山学院女子短期大学
基準Ⅲ-D-2 量的な経営判断指標等に基づき実態を把握し、財政上の安定を確保するよ
う計画を策定し、管理している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:学長)
本学は、6 学科入学定員 900 名、収容定員では 1900 名という大規模な女子短期大学で
ある。幼稚園から大学院までを擁する青山学院の設置学校の一つとして、東京近辺のみで
はなく関東一円、さらには北海道や九州からも学生が集まる。しかし、短期大学を志向す
る受験生数の減少もあって本学の受験者数も毎年減少し、入学定員を割ることは無いもの
の、上位層のみの受け入れは年々難しくなってきている。また卒業後の進路を見ても、大
学編入数より就職を希望する学生の数が増える一方、就職先件数は増加しているとは言え
ない。
以上の現状を踏まえ、抜本的な改組への検討を 2005 年 4 月より開始し、その結論とし
て、現在の 6 学科体制から、5 学科を改組した入学定員 480 名の現代教養学科と、従来か
らの三年制入学定員 100 名の子ども学科の 2 学科で 2012 年度にスタートすることが、
2011
年 1 月の理事会において決定された。
入学定員が 64%、収容定員が 66%と学生数が約 3 分の 2 に減ることにより、従来より
も質の高い学生を集め、より少人数授業で指導することが出来、就職にしても従来より良
い結果が期待される。一方で、教職員数が変わらないのでは量的な経営問題が残るのであ
り、収支について学院本部の経営執行会議と協議を重ねた。その結果、2011 年 3 月 18 日
臨時教授会にて、2017 年度までの具体的な数値を挙げて人件費の圧縮、学費増額、施設の
有効活用、2016 年度までの赤字の学院全体でのカバー等の対応を承認し、さらに 3 月の
理事会においてもこの件が承認された。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:学長)
2012 年 4 月より始まる 2 学科体制は、2017 年度以降の安定的な量的経営を見通し、そ
れまでは学院全体のサポートを受けて進むこととなる。まずは本学において財政状況を少
しでも改善する努力が必要である。短期大学を志向する受験生の数の低下の中にあって、
質の高い学生を確保していくことを前提に、本学独自でとれることは施設や制度の有効利
用であろう。青山キャンパスには大学も共存している。食堂、体育館、図書館、学生寮、
中軽井沢寮などの施設の他、事務組織についても、広報、就職等、重なる部分が多い。授
業科目においても、司書や教職のみならず、大学の青山スタンダード科目など、重なる部
分がある。これらのうち両学の重なる部分の調整が出来れば、学生へ直接に資する予算へ
割くこともできるであろう。さらには、学生数に比して学院大学への推薦編入者数が少な
いことへの改善にも、つなげることが出来るであろうと考える。
- 100 -
青山学院女子短期大学
【基準Ⅳ リーダーシップとガバナンス】
(a) 基準Ⅳの自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:ALO)
本学の運営は「学校法人青山学院寄附行為」ならびに「学校法人青山学院寄附行為細則」
によって規定されている。法人を代表する理事長、設置学校の教育を総理する院長の下、
理事会、常務委員会、評議委員会等の機関が置かれ、また役員として理事、評議員、監事
が置かれている。それらの機関及び役員は定期的に会議を持ち、職責を果たしており、日
常の学院運営が行われている。
このように理事長のリーダーシップならびに教学運営体制は確立している。本学の学長
もまた理事の一員として、これらの学院運営に参加している。
本学においては、学長のリーダーシップの下、副学長以下本学の各部を代表する役職者
からなる協議会や全教員が参加する各種委員会が設置され、教育方針や人事、予算の確定
など重要事項はすべて全教員からなる教授会において決定される。事務部長は職員を統括
し、学長を助け、学内業務全般を支えている。
本法人には、
「学校法人青山学院寄附行為」により監事 2 名(内 1 名は常任監事)が置
かれ、定期的に監査活動を行っている。また理事長のもとに監査室が置かれ、各設置学校
が立てる事業計画や財務状況に関する内部監査を実行している。本学の運営も、この監査
体制のもとで適切に運営されている。
(b) 基準Ⅳの自己点検・評価に基づく行動計画を記述する。
(担当部局:ALO)
以上のように、本学の教学運営体制は適切に運営されてきたが、2012 年度からの学科改
組により、学生定員の減少に伴う収入源、教員数の漸減が避けられない。そのため、少な
い教員で従来通りの運営を維持するためには委員会の整理統合が必要となり、また収入源
を補うためには寄付金収入の増加や外部資金の獲得等の努力が一層必要とされる。
[テーマ]
基準Ⅳ-A 理事長のリーダーシップ
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:学長)
「学校法人青山学院寄附行為」ならびに「学校法人青山学院寄附行為細則」は、関連法規
に沿って整えられており、かつ、その通りに運用されている。学院を代表する者が理事長
であることは、
「学校法人青山学院寄附行為」第 13 条に定めている。さらには同寄附行為
第 6 条において、設置学校を統括し、法人における教育を総理する院長を置くことが定め
てあり、青山学院の管理運営体制の中心はこの両名にある。両名とも本部棟に執務室を持
ち、寄附行為ならびに寄附行為細則に則って連日務めを果たしている。理事長その他の役
員の選任も、法の規定に基づいた寄附行為及び同細則によって行われており、退任、解任
の条文も定まっている。
理事長・院長以外に常務理事 3 名と事務局を統括する総局長を中心とする経営執行会議
が、学院全般の経営と運営に関する重要事項を毎週協議して業務執行の意思決定を行って
いるが、この議長も理事長が務めており、月に 1 回開催される理事会、理事長の補佐機関
- 101 -
青山学院女子短期大学
の常務理事会の議長と合わせて、リーダーシップをもって会議をまとめている。
学院内の教学に関する事項を協議する為の院長の補佐機関として、院長が議長となり主
に短期大学を含む設置学校の教育に関する件を扱う常務委員会も月 1 回開催されるが、理
事長、常務理事が必ず列席し議論に加わり、会議の結果は理事会で扱われることとなる。
理事会は、経営執行会議メンバー計 6 名、各設置学校の教職員計 5 名、これ以外の理事
計 7 名によって構成され、学院顧問、学院宗教部長、大学副学長、学部長、短大副学長、
他の設置学校長の列席で、理事長が議長となり 8 月を除き毎月開催され各設置学校や学校
法人独自の業務を決し、理事の職務の執行を監督している。5 月と 1 月、3 月には同日に
臨時理事会、評議員会、理事会が開催され、臨時理事会と評議員会では、年 3 回それぞれ
事業報告と決算や他、補正予算や他、翌年度事業計画と翌年度予算他が扱われる。以上の
すべての会議には監事が列席しており、監事の監査を受けた決算その他が臨時理事会と評
議員会に報告されている。また、法人監査室は、法人本部を含む各設置学校のすべてに監
査を行っており、この結果もよりよき学院経営へと反映されている。また、外部評価を重
視し、設置学校の外部評価とは別に学院全体の外部評価も毎年別々に 2 機関に依頼し、そ
の報告を理事会やホームページ等で開示し改善に努めている。
理事長、常務理事、常任監事は、各設置学校の教職員とは別にその職責を果たすための
活動、調査に必要な経費が補助されており、学内外の必要な情報を収集し、院長をはじめ
とした教職員の情報収集と合わせ、理事会等にまた学院経営に生かされている。
2009 年度より理事長主導の下、174 項目の課題を掲げ、それに対応する長期計画・中期
計画・当年度事業・実行計画を各部局、設置学校が提示し、
「学校法人青山学院課題検討・
推進委員会」にて計画の確定、
「学校法人青山学院課題実行・評価委員会」が実行の評価を
行っている。情報公開に関しても課題の中に含まれ、さらに理事長の下で法人本部広報部
が資料収集・実行案の作成も行い、
各部局の法に定められた形での情報公開を助けている。
学校教育法第 9 条の規定の準用は、設置学校の長及び役職者に対して、
「学校法人青山
学院寄附行為細則」の退任及び解任の条にて、定めている。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:学長)
リーダーシップを発揮する為にも、本学院の規模ではそれを助ける常務理事や理事の増
員が必要であろう。この場合、寄附行為の改定を行う必要が伴う。
[区分]
基準Ⅳ-A-1 理事会等の学校法人の管理運営体制が確立している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:学長)
「学校法人青山学院寄附行為」ならびに「学校法人青山学院寄附行為細則」は、関連法規
に沿って整えられており、かつ、その通りに運用されている。学院を代表する者が理事長
であることは、
「学校法人青山学院寄附行為」第 13 条に定めている。さらには同寄附行為
第 6 条において、設置学校を統括し、法人における教育を総理する院長を置くことが定め
てあり、青山学院の管理運営体制の中心はこの両名にある。両名とも本部棟に執務室を持
ち、寄附行為ならびに寄附行為細則に則り、連日執務をこなしている。
法人本部は、理事長・院長、常務理事 3 名と事務局を統括する総局長を中心とする経営
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青山学院女子短期大学
執行会議によって運営され、学院全般の経営と運営に関する重要事項を毎週協議して業務
執行の意思決定を行っているが、この議長も理事長が務めており、月に 1 回開催される理
事会、理事長の補佐機関の常務理事会の議長もまた理事長が務めている。
学院内の教学に関する事項を協議する為の院長の補佐機関として、院長が議長となり主
に短期大学を含む設置学校の教育に関する件を扱う常務委員会も月 1 回開催されるが、理
事長、常務理事が必ず列席し議論に加わり、会議の結果は理事会で扱われることとなる。
学院の行事は、年度初めに入学式、新任教職員研修、新学年度礼拝、新任教職員歓迎会
等、多くの行事を持つが、すべてに理事長、院長が出席し、両名またはどちらかが建学の
精神に沿った挨拶を行い、行事をまとめている。秋には、小平霊園学院関係者墓前礼拝、
創立記念礼拝、学術褒賞授与式、永年勤続者表彰式、創立記念交歓会、冬には点火祭、ク
リスマス礼拝、新年には、新年礼拝、賀詞交歓会、名誉教授贈呈式、教職員退職者歓送会
と、多くの行事があり、理事長、院長が主催であり両名またはどちらかが建学の精神に沿
った挨拶を行い、行事をまとめている。
理事会は、経営執行会議メンバー計 6 名、各設置学校の教職員計 5 名、これ以外の理事
計 7 名によって構成され、学院顧問、学院宗教部長、大学副学長、学部長、短大副学長、
他の設置学校長の列席で、理事長が議長となり 8 月を除き毎月開催され、各設置学校や学
校法人独自の業務を決し、理事の職務の執行を監督しているが、5 月と 1 月、3 月には同
日に臨時理事会、評議員会、理事会が開催され、臨時理事会と評議員会では、年 3 回それ
ぞれ事業報告と決算他、補正予算他、翌年度事業計画と翌年度予算他が扱われる。以上の
すべての会議には監事が列席しており、監事の監査を受けた決算その他が臨時理事会後の
評議員会に報告されている。また、法人監査室は、法人本部を含む各設置学校のすべてに
監査を行っており、この結果もよりよき学院経営へと反映されている。
理事長、常務理事、常任監事は、各設置学校の教職員とは別にその職責を果たすための
活動、調査に必要な経費が補助されており、学内外の必要な情報を収集し、院長をはじめ
とした教職員の情報収集と合わせ、理事会等にまた学院経営に生かされている。
2009 年度より理事長主導の下、174 項目の課題を掲げ、それに対応する長期計画・中期
計画・当年度事業・実行計画を各部局、設置学校が提示し、
「学校法人青山学院課題検討・
推進委員会」にて計画の確定、
「学校法人青山学院課題実行・評価委員会」が実行の評価を
行っている。情報公開に関しても課題の中にあるが、さらに理事長の下で法人本部広報部
が資料収集・実行案の作成を行っている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:学長)
短期大学の改組改革も理事会で承認され、次年度にスタートすることとなった。今後も
更なる充実のため、本学と法人執行部や理事会との協力体制を進めていくことが課題であ
ろう。
- 103 -
青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅳ-B 学長のリーダーシップ
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:事務部長)
学長は、
「青山学院女子短期大学学長候補者選出に関する規則」に基づき、本学内で学
長候補者として選出され、理事会で選任される。専任教員全員を構成員とする教授会をは
じめ、学長、副学長等の本学の管理運営を司る役職を構成員とした協議会や、各委員会、
事務部局を含め統括し、リーダーシップを発揮し本学管理運営にあたっている。また、学
長は学校法人青山学院の理事として、法人所管の、常務委員会、常務理事会、理事会、評
議員会にも出席し、法人運営に参加している。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:事務部長)
2012 年 4 月より始まる学科改組による 2 学科体制、さらに同じく 4 月より、新学長就
任が重なり、学科改組による入学定員減にともなう収入減に対する財政状況改善、短期大
学全体に対する受験生の数の低下への対応、学院大学への推薦編入者数改善や施設面での
共有等大学との連携、その他課題が山積している。この各種課題に対しては、学長のリー
ダーシップの下、前述した短大内役職を構成員とする協議会を中心に課題ごとに検討して
いくこととなる。
[区分]
基準Ⅳ-B-1 学習成果を獲得するために教授会等の短期大学の教学運営体制が確立し
ている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:事務部長)
本学の教学運営体制としては先ず教授会(
「青山学院女子短期大学教授会及び任用教授
会規則」
)がある。教育・研究、学則、教育課程、試験、教員の任免、予算等、本学の運営
に関するあらゆる事項を審議し、議決する。教授会は原則月2回開催され、専任教員全員
(教授・准教授・専任講師)によって構成され、学長が招集し、議長となる。教授会の議
事録は、毎回前回記録を確認し、年度毎にファイルし、管理している。
本学の管理運営を司る役職としては、学長、副学長、宗教主任、各学科主任及び一般教
育科目主任、図書館長、総合文化研究所長、学生部長、事務部長があり、この役職者を構
成員として協議会があり、教授会審議事項に関する協議、教授会提出案件の整理、学科そ
の他の部署に関する事項・問題の連絡・調整・協議等、本学の運営に関する重要事項が学
長の諮問により審議される。
他に、教育研究に関する意思決定組織として、専任教員の所属ごとに学科会及び一般教
育科目会、常置委員会として宗教活動委員会、図書館委員会、総合文化研究所運営委員会、
学生部委員会が置かれ、それぞれ宗教主任、図書館長、総合文化研究所長、学生部長が主
宰する。
このほか、
学長から諮問された特定の課題に応じて以下の委員会が置かれている。
2012 年段階の設置委員会は次の通りである。
- 104 -
青山学院女子短期大学
①全学自己点検・評価委員会
②紀要委員会
③教務委員会
④諸規則検討委員会
⑤国際交流委員会
⑥入学者選抜方法検討委員会
⑦広報企画委員会
⑧予算委員会
⑨教育メディア運用室運営委員会
⑩奨学基金運営委員会
⑪防災委員会
⑫シオン寮運営委員会
⑬学生相談室運営委員会
⑭改組改革委員会
⑮入試問題検討委員会
⑯入学者選抜資料作成委員会
⑰危機管理委員会
⑱公的研究費運営管理委員会
学長は、
「青山学院女子短期大学学長候補者選出に関する規則」に基づき、本学内で学
長候補者として選出され、理事会で選任される。教授会をはじめ上記協議会・委員会、事
務部局を含め統括し、本学管理運営にあたっている。また、学校法人青山学院の理事とし
て、法人所管の、常務委員会、常務理事会、理事会、評議員会にも出席し、法人運営に参
加している。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:事務部長)
2012 年度よりの学科改組に伴う新学科設置のため、2010 年度より新学科設置準備委員
会を立ち上げ、設置認可をはじめ新学科設置のための諸問題を検討してきた。このような
中で、2012 年度以降、現学科と新学科が併存する時期が生じ、複数の委員会委員を一人の
教員が兼務する事態となっているため、委員会の整理統合が必要となろう。
- 105 -
青山学院女子短期大学
[テーマ]
基準Ⅳ-C ガバナンス
(a) テーマ全体の自己点検・評価の要約を記述する。
(担当部局:学長)
監事に関しては「学校法人青山学院寄附行為」第 7 条によって監事の中から常勤者であ
る常任監事を定めなければいけないとされ、選任方法も同寄附行為第 9、10 条で定められ
ている。任期は同寄附行為第 11 条、職務は第 18 条で定め、監事監査は「学校法人青山学
院寄附行為細則」第 6 章に定められ、実際にこれに沿って学院全般に対し監査活動が行わ
れている。またこれとは別に、内部監査は同寄附行為細則第 6 章によって理事長の下に監
査室が設置され、法人規則に基づいて監査が実施されている。
評議員会も、
「学校法人青山学院寄附行為」第 5 章によって理事数の 2 倍を超える評議
員数(現在理事 19 名、評議員 49 名)で寄附行為に沿って選任され、私立学校法第 42 条
に沿った寄附行為第 32 条によって運営されている。
本法人の運営にしても、寄附行為その他の法律に沿った学内規則にのっとって運営され
ている。
法人本部を含め各設置学校は、毎年度の予算案とは別に中・長期計画に基づき毎年度事
業計画案を立て、両案は評議会を経て理事会にて決定される。また、予算執行も関連規則
が整備されており、それに沿って運営されており、財務情報、教育情報も、学院や各設置
学校にて、ホームページその他にて公表されている。
(b) 自己点検・評価に基づく改善計画を記述する。
(担当部局:学長)
現状は法律に則った学内規則に基づいて運営されており、規則の面では特に課題はない
が、それに沿った運営は組織にもまして各個人一人ひとりの力によるところもあり、研修
等での今以上の個人の能力の向上も必要であろう。
[区分]
基準Ⅳ-C-1 監事は寄附行為の規定に基づいて適切に業務を行っている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:常任監事)
監事(内 1 名は常任監事)は、法人全体の政策内容及び業務の執行が妥当かつ適法・適
正になされているかを、会議出席・往査・ヒヤリング・重要書類閲覧等を通して監査して
いる。そして、その結果を監査報告書にまとめ、5 月の理事会、評議員会で報告している。
なお、監査は会計監査人、監査室と連携して実施し、理事会・評議員会などで意見を述べ
ている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:常任監事)
2012 年 4 月に開設される現代教養学科は、学生の入学定員が 480 名であり、短期大学
の一つの学科としては、大きな規模の学科となるので、適切な管理運営をおこなっていく
ことが課題となる。
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青山学院女子短期大学
[当該区分に係る自己点検・評価のための観点]
(1)監事は、学校法人の業務及び財産の状況について適宜監査している。
常任監事は、常勤で業務及び財産の状況に関して重点監査項目を定めて監査し、毎月
監事会を開催して監査意見をまとめている。
(2)監事は、学校法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べて
いる。
監事は、学校法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べている。
(3)監事は、学校法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成
し、当該会計年度終了後2月以内に理事会及び評議委員会に提出している。
監事は、学校法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、
当該会計年度終了後2月以内に理事会及び評議委員会に提出している。
基準Ⅳ-C-2 評議員会は寄附行為の規定に基づいて開催し、理事会の諮問機関として適
切に運営している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:事務部長)
本学院評議員会は「学校法人青山学院寄附行為」に規定され、理事 17 名以上 19 名以
下に対し、2 倍以上の 47 名以上 49 名以下の評議員をもって組織され、私立学校法第 42
条の項目については、「理事会において決定するにさきだち、あらかじめ評議員会の意
見を聴かなければならない」としており、適切に運営されている。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:事務部長)
評議員会について、現段階では問題点は見当たらない。
基準Ⅳ-C-3 ガバナンスが適切に機能している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:事務部長)
本法人の運営に当たっては、
「学校法人青山学院寄附行為」に基づいて、役員として 17
名以上 19 名以下の理事及び 2 名の監事を置き、さらに理事の中から、本法人を代表して
本法人の業務を総理する理事長 1 名、理事長を補佐して本法人の業務を分掌する常務理事
若干名を選任するほか、監事のうち 1 名を常任監事としている。本法人の最高意思決定機
関は、理事で組織し、理事長が議長となって月 1 回開催する理事会であり、学校法人の業
務を決し、理事の職務の執行を監督している。また、本法人の運営全般について、監事に
よる業務及び財産に関する監査を実施するほか、47 名以上 49 名以下の評議員で構成する
評議員会を置き、年 2 回以上理事長が招集して、理事会が行う本法人の業務の決定が適切
であるかをチェックしている。
これに加えて、本法人には、設置する学校を統轄し、本法人における教育を総理するた
め、院長が置かれている。院長は、寄附行為及び学校法人青山学院寄附行為細則に基づい
て職務を行い、理事会に対して責任を負っている。
理事長及び院長には、寄附行為細則に基づき、それぞれの補佐機関として、常務理事会
及び常務委員会を置いている。常務理事会は、理事総数の 3 分の 1 以上の理事によって構
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青山学院女子短期大学
成する会議体で、理事長が議長となって月 1 回開催し、本法人全般の経営及び運営に関す
る重要事項について協議して、業務執行の方針を決定する。常務委員会は、院長及び設置
学校の長等の役職者などによって構成する会議体で、院長が議長となって月 1 回開催し、
設置する学校の重要事項及び設置する学校に共通する事項並びに本法人全体の教学に関す
る事項について協議して、各学校の状況について報告を受ける。なお、各学校にはそれぞ
れ長が置かれ、寄附行為細則に各々職務権限を定めている。
本法人ならびに各学校は、中・長期計画に基づき毎年度事業計画を立てたうえで予算案
を立て、理事会において審議決定している。決定された事業計画と予算は関係部門に速や
かに開示しており、予算執行に当たっては、
「学校法人青山学院経理規則」に基づき「学校
法人青山学院予算執行に関する内規 」の下迅速化かつ責任体制を明確にしている。月次資
産表は毎月作成し理事長に報告しており、財務状況として毎年理事会承認後、資金収支計
算書、消費収支計算書、および貸借対照表等、学校教育法施行規則、私立学校法の規定に
基づき、教育情報も併せて、学院ホームページにて公表している。公認会計士よりの監査
に対しては適切に対応している。
寄付金の募集については、理事長の下、法人本部の募金事業局において適正に対応して
おり、学校債の発行はこれまでに実施していない。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:事務部長)
本学では 2012 年度学科改組により、募集定員が減少することもあり、収入減が見込ま
れるうえ、学生納付金収入への依存度を抑える意味でも、なお一層の寄付金収入を増やす
努力が必要となる。
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青山学院女子短期大学
【選択的評価基準1.教養教育の取り組みについて】
基準(1) 教養教育の目的・目標を定めている。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①本学の教育方針は、青山学院の建学の精神にもとづき学則や各学科の教育目標に具体化
されている。本学の教育方針の後段では、次のように規定されている。
「本学は、愛と奉仕に生き、社会のあらゆる局面で積極的な貢献をなし得る覚醒した
女性の育成を目指し、現実に即した有用な専門の学芸のみならず、全人的で世界的な
視野に立つ高度な教養教育を授ける。
」
ここでいう「全人的で世界的な視野に立つ高度な教養教育」は、共通教育科目をはじめ
各学科の学位授与方針や、様々な行事や課外活動においても一貫している。すなわち、本
学の教養教育の方針は正課並びに正課外の取り組みを含んで成り立つものであり、その総
体が本学の教養教育の実態をなしている。
②教育課程の特色
共通教育科目には、キリスト教学、外国語科目、健康教育科目、主題科目(人文・社会・
自然科学・総合科目からなる)があり、さらに教職課程と司書課程の2つの資格課程を有
している。これらは全学科の学生を対象にしており、本学の教養教育の基礎となるもので
ある。
各学科の教育方針等は、学則の「別記第 1 各学科の教育研究上の目的」
「別記第 2 学
位授与の方針/教育課程編成・実施の方針/入学者受入れの方針」に具体的に明文化され
ている。そこでは、
「幅広く息の長い包括的な教養や思考を身につけた人間の育成」
(国文
学科)
、「広く世界の文化を理解できる教養と知識を身につけた人間の育成」(英文学科)
、
「広い視野と優れた判断力をもつ人間の育成」
(教養学科)など、表現は違えどもいずれも
「教養教育」をキーワードにしている。
③正課外の取り組みとしては、キリスト教活動、学生部を中心とした各種の講座、ワーク
キャンプ、スタディツアー等の取り組みがある。さらに同窓会による卒業後の学習活動も
積極的に展開されている。その内容は基準(2)で紹介する。
【子ども学科】
激しく変動する社会にあって、時代の要請に応えつつも物事の本質をしっかり見極め、
理論と実践を統合し、愛と奉仕の精神をもって人として確かな歩みを続けていける保育実
践・子ども学研究の分野での人材の育成をめざす。具体的には、世界を多角的な視点でと
らえられるしなやかな知性と豊かな感性をベースに、自分のことばで考え、表現すること
のできる人。また、自ら行動することを通して現在を生き、未来へとつながる生活と文化
を創り出し、新しい子どもとのかかわりの世界を切りひらいていける人を育てるという学
科の目的・目標は単に幼児教育者、保育者を養成することにとどまらない。広く深く豊か
な教養を身につけた大人として、ちいさな子どもの傍らにいる存在となる人材の育成、す
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青山学院女子短期大学
なわち、自己の持ち味を生かしながら、相手の育つ力を支え、自らをも高めていき、共に
育ち合う保育実践・子ども学研究の確かな担い手となる人材を育成していく。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①共通教育科目は、いわば学科横断的な教養教育の取り組みではあるが、旧来の人文・社
会・自然科学という枠組みをそのまま残していることに象徴されるように、各学科の専門
科目との内的な関連が必ずしも明確ではなかった。また一般教育科目所属の教員は、通常
は「卒論ゼミ」を持たないなど、教員の専門性を十分に活かす体制になっていなかったと
いう問題点があった。
②他方で、各学科の教員はともすれば自らの専門性には関心があっても、全学生に
どのような教養を身に付けされるのかという共通認識が十分に形成されていないと
いう問題があった。学生サイドから見ても、他学科の科目は履修しにくいシステム
になっており、これまでの教育課程改革で他学科の学生が履修できる科目を拡大し
てきたとはいえ、学科の垣根は依然として高かった。
【子ども学科】
専門の学びと教養を身につける学びは不可分の関係にあり、細かく分けて取り組むこと
ができないが、専門領域からのアプローチだけではなく、教養教育としての方向からの科
目構成のアプローチをしていくのも必要な課題と考えている。具体的にはチームティーチ
ング、オムニバス形式の授業等、現在も実施しているがその方式の授業の定式化を検討し
ていく。
(c) 自己点検・評価を基に改善計画を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①2006 年に児童教育学科は 3 年制の「子ども学科」に改組した。そこでは「子ども人間
学」を探求するという学科のコンセプトを明確にし、
「主体的に時代を切り拓くことのでき
る人間の育成」をうたい、カリキュラムも従来の構成を大きく変えた。他の学科について
も、抜本的な再検討が必要とされた。
②そこで 2005 年以降、改組改革委員会から新学科設置準備委員会へと引き継がれる検討
作業を通じて、子ども学科を除く 5 学科が一体となった教養教育の体制を作りあげること
となり、その結果として 2012 年発足の「現代教養学科」への 5 学科の融合とそのもとで
の 3 専攻体制として実現することとなった。ここでは、
「21 世紀に生きる女性のための新
しい教養教育」すなわち「人間力」形成という目標を掲げて、より具体的な目的の共有を
図ることとなった。ここでいう「人間力」とは、課題を発見する力、社会の中で行動する
力、分析し判断する力、コミュニケーション力などをさし、人間として自らが豊かに生き
るとともに、他者と互いに支え合う社会を形成していく力である。そして、各専攻の教育
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青山学院女子短期大学
目標は、次のように定められた。
「日本専攻は、いま私たちが暮らす日本についての深い教養と日本語力を身につける
ことで、歴史的および世界的な視野から日本の文化や社会を見つめ直す力をもった人
間の育成をめざす。
」
「国際専攻は、広く世界の文化や社会を理解し、多様な価値観を持つ人々と対話でき
る教養と英語運用能力を身につけることで、積極的に世界に羽ばたく力をもった人間
の育成をめざす。
」
「人間社会専攻は、人間、社会、環境と生活について幅広く学び、複雑な現代社会を
読み解く教養を身につけることで、広い視野と総合的な判断力と行動力をもった人間
の育成をめざす。
」
【子ども学科】
教養教育の領域分類の再検討と、専門分野の科目の教養的要素の分析をしてより有機的
なカリキュラム構成をしていく。現代教養コア科目群の新設に伴い、子ども学科において
も「21 世紀に生きる女性のための新しい教養教育」すなわち「人間のちから」の形成とい
う目標を掲げて、より具体的な目的の共有を図ることとなった。ここでいう「人間のちか
ら」とは、課題を発見する力、社会の中で行動する力、分析し判断する力、コミュニケー
ション力などをさし、人間として自らが豊かに生きるとともに、他者と互いに支え合う社
会を形成していく力である。
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青山学院女子短期大学
基準(2) 教養教育の内容と実施体制が確立している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①教養教育の内容
共通教育科目の科目構成は前述のとおりであるが、主題科目の中に総合科目とい
う 4 人の教員のオムニバス形式による通年科目があり、学際的なテーマを専門を異
にする複数の教員が交代で講義することにより、より幅広く総合的な認識を深める
ことができるようになっている。また、近年は「手話」「Japanese Culture」(日本
文化を英語で紹介する)、
「国際協力」
(夏休みを使って国際交流実践を行う)等のユ
ニークな科目も新設してきた。
各学科のカリキュラム編成にあたっては、学問体系に基づく細分化されたカリキ
ュラムというより、より学際的で総合的な知識の獲得を目指し、これまで幾度とな
く科目の再編成を行ってきた。教育方法や指導上の工夫としても、少人数のゼミナ
ールを重視し、多くの学科で卒業論文(卒業研究)を課すなど、獲得した知識を総
合し、社会人として必要な判断力や思考力を養うことに力を注いできた。これらの
取り組みが一定の成果を挙げてきたことは明らかである。
②正課と課外活動を融合させた取り組み、および課外活動の実態
教養教育は、正規のカリキュラムによってのみ遂行されるものではない。先述の
ように、本学の教養教育の特色は正課とそれ以外の課外活動との密接な連関の中で
行われていることである。以下、特徴的な取り組みを紹介する。
ア 2007 年度に文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム(特色 GP)」に選
定された「健康教育授業を軸とした健康支援」の取り組みである。これは 2000 年
度にスタートした新しい健康教育カリキュラムを軸に、それまで取り組まれてきた
課外活動等を再編強化したものであり、具体的には、(1) 体育の授業を全学必修の
「健康教育科目」として再編成し、科目内容は選択制とし、これを軸に、(2)学生の
体力向上・健康増進支援を目的とする「健康支援プログラム」によって健康教育科
目を側面から支え、(3)学生・教職員が思う存分スポーツ活動を楽しむことができる
よう「課外活動プログラム」を充実させたものである。この採択理由として、次の
ような評価を受けた。
「(前略)心や体の健康が十分ではない学生が増加している今日、教養教育科目
の中で健康教育科目に着目して全学必修科目とし、さらに自分の体を自分で管
理し、楽しんでスポーツを行う仕組みを作ったという点でユニークです。短期
大学の教育課程における教養教育の持つ意味を新たに考える試みであり、他大
学の参考になる取組として高く評価できます。」
このように、正課と正課外の取り組みを結びつけ、
「教養教育の持つ意味を新たに
考える試み」と評価されたことは極めて重要な意義を持つものである。この取り組
みの実施体制は、体育研究室、学生部、保健室などの有機的な連携によっている。
- 112 -
青山学院女子短期大学
イ
キリスト教活動
本学のキリスト教活動は、正課であるキリスト教学Ⅰ・Ⅱ(必修)の授業を中軸
に、日常的には教員と学生の委員からなる宗教活動委員会(事務組織としては宗教
活動センター)を中心に、様々な活動を展開している。年間行事としては、サマー
キャンプ・イン軽井沢や天城冬の集いなどの修養会、チャペル・コンサート(年 2
回)、チャペル・アワー等があり、また各種の行事には聖歌隊、ハンドベル、ゴスペ
ル等のサークルが参加している。さらに本学の教育施設であるシオン寮(学寮)は、
日々の生活を朝の礼拝をもって始め、週に 1 度の夕拝(年間 20 回程度)を持つなど、
キリスト教的な生活環境の中で心身の修養と団体生活の訓練を行っている。このよ
うな行事や取り組みは学生の主体的な参加によって実現しているものであり、キリ
スト教活動は日常の学生生活に溶け込んでいる。
ウ
学生部による課外活動
学生部を中心に、各種講習会やワークショップ、スタディツアーなどが活発に展
開されている。これらは正課の授業等では汲み上げきれない様々な学生の文化的要
求を満たすために長年取り組まれてきた。講習会としては種々変遷もあったが、最
近の例を挙げると、手話講習会、上級救命講習会、芸術鑑賞会(歌舞伎・文楽・能
など)、ランチタイムコンサート、護身法講習会、ウォーキング講習会などがあり、
さらに就職支援の一環として、就職模擬面談講座、就職筆記試験講座、エントリー
シート対策講座、マナー・メイクアップ講座、等が取り組まれている。
ワークキャンプやスタディツアーとしては、カンボジア・スタディツアー、沖縄
スタディツアー、清里キープ協会のワークキャンプ、アジア学院のワークキャンプ
等があり、3 日程度から 1~2 週間にわたる宿泊形式の学習である。いずれもボラン
ティアやフィールドワークに関心のある学生たちの要求に応えるとともに、
「愛と奉
仕に生き、社会のあらゆる局面で積極的な貢献をなし得る・・・・全人的で世界的な視
野に立つ高度な教養教育を授ける」との本学の教育方針に沿った取り組みである。
エ
短期語学留学
本学では、国際交流委員会が中心となり、夏休みと春休みの 2 回、短期語学留学
を実施している。語学研修と国際理解教育を目的としているが、夏期は 1 ヶ月程度、
春期は 2 ヶ月程度、オセアニア地域や米国の姉妹校付属の英語学校で実施している。
ただし、2011 年度までは単位にはならない課外活動の扱いであった。
オ
同窓会による学習活動
ここで同窓会の活動を取り上げるのは違和感を持たれるかもしれない。しかし、
本学の同窓会は日常的に活発な学習活動を展開しており、そこに専任教員が深く関
わっている。具体的には、各学科の卒業生により 6 つの「学科会」という学習組織
が運営されており、毎月のように各種の講座や作品発表会などが開かれている。学
科会では専任教員(主に学科主任)が顧問になり、講座の計画や講師の人選などに
協力している。また子ども学科は独自に「子ども研究会」を組織し、本学教員とと
もに、保育現場で働く卒業生の研究発表や経験交流を行っている。このように、本
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青山学院女子短期大学
学の同窓会は、卒業生にとっての生涯学習の場ともなっており、本学の教員もまた
これに全面的に協力する体制をとっている。
【子ども学科】
子ども学科では子どもを通して人間と社会を学び、教養ある大人として自らを育てるこ
とができ、しなやかな知性と豊かな感性を持ち、他者と共生し新しい生活と文化を創造で
きる人材の育成を目指している。そのためカリキュラムは、以下の 4 点から構成されてい
る。
1、人間理解を深め、感性を耕し、知的好奇心を育む「子ども学コア科目」
2、専門ごとに学びを深める4つの領域
「教育と保育」
「こころとからだ」
「福祉とケア」
「芸術と文化」
、
3、他の学生や教員との人格的交わりを通してものごとの本質を探究していく少人数制の
「ゼミナール」
4、子どもを含めたさまざまな人々とのふれあい、生活することから学ぶ「フィールドワ
ーク」
またこれらのカリキュラムは、段階を追って発展的に学ぶことができるようにそれぞれ
が三段階に編成されている。保育者養成プログラムは上記カリキュラムに有機的に組み込
まれている。また学びが複眼的になるように、豊富な選択科目を個々の学生がそれぞれ目
的をもって履修できるよう工夫しており、深い専門性と幅広い視野を同時に身につけるこ
とが可能なカリキュラムとなっている。
このような 3 年間にわたる学びの集大成が、3 年次の「子ども学特別研究」において課
される卒業論文または卒業制作であり、その発表会である。論文の場合は論文発表会、卒
業制作の作品の場合は作品発表会または卒展での発表を、1 月末から 2 月初旬に 1 日かけ
て実施している。これには教員だけではなく、1、2 年生も参加して上級生の卒業研究の成
果から学ぶ貴重な機会となっている。
また子ども学科は、本学教員と卒業生から構成される「子ども研究会」を組織しており、
保育現場で働く卒業生を主体とする研究発表や経験交流を毎年行っている。卒業生が定期
的に母校の教員たちと研究活動を行っている例はおそらく希有であり、本学の教養教育が
卒業後も継続されていることはきわめて重要な意義を持つものと言えよう。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①共通教育科目のうち、主題科目は人文、社会、自然科学という枠組みを大枠で維持して
きたため、それらを総合する契機が弱かった。また学科の専門科目との連関を図ることも
困難であった。また現代的な課題としての情報リテラシーを身につける情報処理関係科目
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青山学院女子短期大学
も、学科によって必修だったり選択だったり、一貫した位置づけが弱かった。さらに、キ
ャリア教育の必要性が叫ばれる中、それに見合った科目配置が十分ではなかった。このよ
うな一貫した共通教育のコンセプトが形成されていなかったことが問題である。
②各学科の専門科目においては、教養教育を重視しつつも、学科の壁ともいうべき教育課
程における縦割り構造の限界があった。2 年間という短い教育期間で達成可能な教養教育
の目標に即して、実施体制のあり方を含め、大胆な学科再編成が求められた。2012 年の全
面的な学科改組は、こうした問題意識に基づく検討の結果であった。
【子ども学科】
特に初年度教育を重視している。子ども学基礎論という1年次の前期のゼミナールでの
学年共通での学びや、子ども学コア科目の科目群による学びの拡がりと深化を、学びの主
体である学生が自己の内により有機的に結びつけていけるよう促す手立てを強める課題が
残されている。
(c) 自己点検・評価を基に改善計画を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
まず、2012 年度改組においては、共通科目として、従来のキリスト教学、外国語科目、
健康教育科目に、新たに情報科目、キャリア・ライフ・デザイン科目を必修として加え、
主題科目を専攻科目へと移行・再編成した。教職課程と司書課程は、共通教育科目とは別
枠とした。そして、従来の一般教育科目という教員組織をなくし、教員は専攻に移籍する
こととし、新たな運営組織として「共通教育科目運営委員会」を設置した。
次に、現代教養学科の共通科目として、「現代教養コア科目」を設置し、その中をさら
に「現代社会と女性」
「共生」
「表現」という 3 つの科目群に分け、
〔自分を知る-共に生
きる-発信しコミュニケートする〕というコンセプトを明確にした。運営組織として「現
代教養コア科目運営委員会」を設置することとした。
さらに、
「現代教養学科」の内部を日本専攻、国際専攻、人間社会専攻の 3 専攻に区分
し、従来の教育課程の特徴を生かしつつ、さらに新たな特色を発揮できるよう再編した。
【子ども学科】
子ども学科は、1 年次より 3 年間を通して専門教育科目と教養科目を学ぶカリキュラム
であるが、多くの場合、選択科目となっている。選択の方法の丁寧なガイダンス、課外活
動への主体的な取り組みなどを促進し、子ども−生活−学びをリンクさせていく中で、そう
した生活や文化をより豊かにしようとする実践により、他者とかかわり、協働する営みを
通してはじめて教養が身についていくことが可能となるような仕組みを構造的に形成する
必要がある。
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青山学院女子短期大学
基準(3) 教養教育を行う方法が確立している。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①各学科の専門科目においては、少人数の演習が重視されており、卒業論文(卒業制作を
含む)を必修としている学科も多い。一つのテーマを深く掘り下げることにより、教養を
「身につける」カリキュラム構成となっている。
②現代型の教養教育として、実践的・体験的プログラムが求められるが、それは既述のよ
うに学生部の課外活動(ワークキャンプ、スタディ・ツアーなど)
、宗教活動センターのキ
リスト教活動(夏・冬のキャンプ、キリスト教施設訪問)等の一環として行われてきてい
る。
③語学と異文化間コミュニケーション教育の実践として、夏と春に 1 ヶ月程度の短期留学
が大きな効果を上げている。これは国際交流委員会が運営している。
④アドバイザー制度が設けられている。これには、1 年次のクラスアドバイザーと 2 年次
のアドバイザー・グループの 2 種類があり、前者は大学が教員を指定するが、後者は学生
が教員を選び、日常の学習や生活、さらに進路の相談に応じるものである。
【子ども学科】
2 年次より卒業研究に繫がる「子ども学特別研究」というゼミナールがあるが、その研究
領域を主専攻として位置づけ、副専攻として他の領域を選択することにしている。
そのことにより、複眼的な思考形態や、より豊かな教養を身につけることができる。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①演習の教育的効果が大きいことは言うまでもない。しかし、従来は演習の位置づけや設
置の仕方が学科によって異なっており、一貫していない。子ども学科はすでに 3 年間を通
して演習が設置されており、他の学科も 2 年間を通して設置することが望ましい。
また、演習を専任教員以外(非常勤講師)が担当している学科がほとんどである。この
ことは学生指導上の一貫性に問題を生ずる可能性がある。学生一人ひとりについて教養教
育の成果を確認し、身につけさせていくためには、専任教員が責任をもって関わるのが理
想である。
②アドバイザー制度にも問題点がある。1 年次のクラスアドバイザーは、人数が多すぎて
十分に機能しきれない憾みがある。また 2 年次のアドバイザーは自由選択のため、アドバ
イスが必要な学生が必ずしも登録するわけではない。
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青山学院女子短期大学
③課外活動やキリスト教活動等の中には、
教養教育上極めて有意義なものが少なくないが、
従来はこれらが本学の教養教育全体の中に明確に位置づけきれていなかった。運営体制と
しても、教務関係の部署と学生部、宗教活動センター等との連携が十分であったとはいえ
ない。
④短期語学留学もまた、教養教育全体の中に明確に位置づけ、運営していく必要がある。
国際交流委員会と教務関係部署との連携が求められる。
⑤各学科、各科目、各部署で様々に展開されている教育を、各学生が自分の中で統一し、
まとめ上げていく方法、また演習担当教員やアドバイザー教員が学生の状況を的確に把握
する方法が十分でない。
【子ども学科】
履修登録に際してのチェックはしているが、その後の受講を継続しているかのチェック
は本人任せであるので、実態は把握できていないのを改善する必要がある。
(c) 自己点検・評価を基に改善計画を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①2012 年度改組においては、演習を入学から卒業までの 2 年間を一貫して設置し、担当
者は全専任教員が担う体制を取ることとした。
②従来のアドバイザー制度の弱点を克服するため、演習担当教員が1年次、2年次のアド
バイザーとなるようにした。また従来型の学生が教員を選ぶアドバイザー・グループも存
続させる。これにより、専任教員は演習を通じて全学生の相談に応じることが可能になる
とともに、従来のアドバイザー・グループの利点をも活かすことができる。
③課外活動の一部を正規の科目として単位化し、全体としての教養教育に組み込んでいく
こととする。例えば現代教養コア科目中に「共生社会実習」
「共生社会特別演習」としてワ
ークキャンプやスタディツアーを組み入れ、キリスト教活動の一部を「キリスト教実践」
として組み入れる。短期留学も語学科目の一部として単位化する。
④e-ポートフォリオを導入し、学生の学びを蓄積できるようにする。それにより、学生は
2 年間の学びを絶えず振り返ることができ、主体的に学んでいくことができる。
【子ども学科】
すべて半期科目なので、前期、後期それぞれでのチェックをアドバイザーがしている。
1 年次前期・後期にそれぞれ少グループで行う基礎ゼミにあたる授業(必修)をはじめ、
特に 2 年次以降は 2 年間メンバー固定のゼミナールが必修なので、その担当教員によるチ
ェックとアドバイスを強めていく。非常勤講師の担当のゼミナールに関しては、領域毎の
チーフ教員によるアドバイスをしていく。
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青山学院女子短期大学
基準(4) 教養教育の効果を測定・評価し、改善に取り組んでいる。
(a) 自己点検・評価を基に現状を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①学生による授業評価アンケート
現状では、個々の授業に対する教育効果の測定方法としては、ほとんど唯一の手段とな
っている。専任教員のほぼ 9 割が参加しており、授業改善に役立てている。
②課外活動に対するアンケート
課外活動に参加した学生に対しては、必ずアンケートや感想文、あるいはレポートを課
しており、学生が学んだ内容を把握している。
③学生生活調査
4 月(新入生対象)と 12 月(全学生対象)に実施している。ここで学生が授業や
課外活動からどのようなことを学んだか、ある程度の把握は可能である。
④卒業生調査
これまで大規模な卒業生調査は、10 年おきくらいに実施してきた。卒業後の生活歴や短
大で学んだことがどのように生かされているかなど、アンケート調査とインタビュー調査
の 2 本立てで調査してきた。また同窓会役員との頻繁な話し合いを持っており、ある程度
の意識調査としての意義は持っている。
⑤卒業後の企業や進学先等の評価
子ども学科の場合は、就職先の幼稚園・保育園との情報交換を日常的に行っているが、
他の学科については近年緒についたばかりの取り組みである。編入学先の大学については
青山学院大学についてのみ実施している。
【子ども学科】
それぞれの授業の中で、授業の最後にコメント用紙などを配布し、学生からの感想や理
解したこと、疑問点などについて記入してもらい、授業の効果などについて教員が振り返
り、自己評価したり、次の回の授業に活かしている。
幼稚園、保育園、福祉施設に就職した卒業生の動向については、日常の実習園・施設訪
問の際の聞き取りの他、学科主催で園長等を招いて行う実習協議会において卒業生の状況
を把握している。また 2011 年度には幼稚園、保育園、福祉施設の各 10 ヶ所のヒヤリング
調査を実施した。
(b) 自己点検・評価を基に課題を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①学生による授業評価アンケートは、個別の授業に関する評価なので、大学・学科の全体
としての教育効果を測ることは困難である。その前提として、学科・専攻としての「学習
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青山学院女子短期大学
成果」およびアセスメントが明確に規定されていないという問題がある。
②学生生活調査では、新入生が期待するところ、12月段階での満足度はある程度把握可
能である。
しかし、
実際にどのような力がついたかを客観的に測定することは困難である。
より科学的な調査・測定方法の開発が必要である。
③卒業後の測定・評価方法の一つとして、卒業生調査が重要となる。ただし大規模な調査
を頻繁に実施することは難しい。また、短大を取り巻く状況が大きく変化している中で、
これらの調査による教育効果の分析を、現在のカリキュラム等にどう反映させるかは簡単
ではない。
④教養教育の効果は卒業後に現れると考えられるので、企業や進学先等の評価は重要であ
る。これは前述の通り、まだ緒についたばかりである。さらに組織的・系統的な調査方法
の確立が課題となる。
【子ども学科】
授業の内容も多岐に渡り、時間的に余裕が持てないこともある中、すべての授業で学生
による授業評価を実施しているとは言えない状況がある。卒業生調査はこれまでも実施し
ているが、方法論の吟味を含め、さらに系統的な調査が必要である。
(c) 自己点検・評価を基に改善計画を記述する。
(担当部局:新学科設置準備委員会、子ども学科)
【新学科設置準備委員会】
①学生による授業評価アンケートの項目を見直し、また活用の仕方を工夫することで、一
層授業改善に役立てるよう改善をすすめる必要がある。
②個々の授業だけでなく、学科・専攻の教育効果を客観的に把握できるような調査方法を
検討する必要がある。そのためには「学習成果」およびアセスメントを早急に確立する必
要がある。
③学生の教育効果をある程度客観的に把握できる調査方法の検討が必要である。
④企業等による卒業生評価の方法論、および実施体制を確立する必要がある。
⑤卒業生による本学カリキュラム教育体制に対する評価、あるいは意見を取り入れる方法
について検討する必要がある。そのためには、同窓会との連携を深めるとともに、同窓会
活動に参加しきれていない卒業生に対する働きかけや組織化の可能性を探る必要がある。
【子ども学科】
①学生による授業評価アンケートの項目を見直し、また活用の方法を工夫することで、一
層授業改善に役立てるよう改善をすすめる。
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青山学院女子短期大学
②個々の授業だけでなく、学科の教育効果を客観的に把握できるような調査方法を検討す
る必要がある。そのためには「学習成果」およびアセスメントを早急に確立するよう努力
する。
③より多くの授業において、コメント用紙を含めた受講者の声や意見を汲み上げ、より充
実した授業を目指すよう努め、より学生の教育効果を客観的に把握できる調査方法の検討
をしていく。
④実習園(幼稚園・保育所)
、卒業生が就職した園・施設等からの情報収集は、学科と実習
先との懇談会、実習中の教員訪問その他の機会に随時意識的に行ってきており、教育効果
や課題に関し一定の内容を得てきているが、さらに情報収集ならびに評価方法論の実施体
制を検討する必要がある。
⑤現在も「子ども研究会」に参加する卒業生からの本学カリキュラム教育体制に対する評
価、あるいは意見を取り入れているが、さらに広範な卒業生からの意見聴取の方法につい
て検討する必要がある。
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