終了報告書 - グローバル理工人育成コース

東南アジア超短期派遣プログラム(タイ)
報告書
東京工業大学
グローバル人材育成支援室
2016 年 3 月 7 日〜16 日
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目次
1 海外派遣プログラムの目的 ..................................................... 5
2 研修日程と参加者の紹介 ....................................................... 6
2.1 派遣プログラム日程 ........................................................ 6
2.2 参加者紹介 ................................................................ 7
3.タイの概要 ................................................................. 8
4. 訪問先の詳細 ............................................................... 12
4-1. チュラロンコン大学について .............................................. 12
4-1-1. キャンパスの概要 ................................................... 12
4-1-2. 講義(Lecture)の概要 ................................................ 12
4-1-3. 研究室訪問の概要 ................................................... 14
4-1-4. 東工大の説明会 ..................................................... 15
4-1-5. 視覚障碍者向け体験施設の見学 ....................................... 15
4-1-6. 学生交流 ........................................................... 16
4-1-7. その他 ............................................................. 16
4-2. バンコクの交通事情 ...................................................... 17
4-2-1. 鉄道 .................................................................. 17
4-2-2. 水上交通 ........................................................... 21
4-2-3. その他 ............................................................. 22
4-2-4. バンコクの交通渋滞 ................................................. 23
4-2-5. 交通体験 ........................................................... 24
4-3. 廃棄物処理施設 ......................................................... 27
4-4. フアサイ王立持続能プロジェクト .......................................... 29
4-5. チャンフアマン王立農園 CHANG HUA MAN ROYAL PROJECT ........................... 31
4-6. タイ国立科学技術開発庁 .................................................. 34
4-7. 国際防災機関 ............................................................ 36
5.その他 .................................................................... 38
5-1. 食事 ................................................................... 38
5-2. 街の様子 ............................................................... 38
5-3. アユタヤ観光 ........................................................... 39
6.
参考文献 .................................................................. 41
7.所感 ........................................................................ 42
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1 海外派遣プログラムの目的
本プログラムは、グローバル理工人育成コースの下記の 4 つのプログラムのうち、「4.実践型海
外派遣プログラム」の一環として実施された。
1. 国際意識醸成プログラム
国際的な視点から多面的に考えられる能力、グローバルな活躍への意欲を養う。
2. 英語力・コミュニケーション力強化プログラム
海外の大学等で勉学するのに必要な英語力・コミュニケーション力を養う。
3. 科学技術を用いた国際協力実践プログラム
国や文化の違いを超えて協働できる能力や複合的な課題について、制約条件を考慮しつつ本
質を見極めて解決策を提示する能力を養う。
4. 実践型海外派遣プログラム
自らの専門性を基礎として、海外での危機管理も含めて主体的に行動できる能力を養う。
グローバル理工人育成コースにおける「4. 実践型海外派遣プログラム」のねらいは、1∼3 のプロ
グラム履修後に学生を海外に派遣し、現在までに育成された能力を活用し、自身の今後の研究や
キャリア形成の参考となるような経験を積むことであり、本コースの集大成として位置づけられ
ている。この実践型海外派遣プログラムは、下記の 3 つの能力の育成を目指すものである。
1. 自らの専門性を基礎として、異なる環境においても生活でき、業務をこなす力を持ち、
窮地を乗り切るための判断力、危機管理能力を含めて自らの意思で行動するための基礎
的な能力を身につけている。
2. 異文化理解が進み、相手の考えを理解して自分の考えを説明できるコミュニケーション
能力、語学力、表現力を身につけている。
3. 海外の様々な場において、実践的能力と科学技術者としての倫理を身につけ、チームワ
ークと協調性を実践し、課題発見・問題解決能力を発揮して、新興国における科学技術
分野で活躍するための基礎的な能力を身につけている。
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2 研修日程と参加者の紹介
2.1 派遣プログラム日程
本年度の派遣プログラムの日程は、以下の表に示すとおりである。
平成 27 年度
日付
欧東南アジア超短期派遣プログラム(タイ)日程表
行動予定
訪問内容
3 月7日(月) 東京-バンコク TG 683
宿泊場所
バンコク
10:45〜15:50 (HND-BKK)
3 月 8 日(火) チュラロンコン大学訪問
キャンパスツアー
バンコク
学生交流
3 月 9 日(水) AM: チュラロンコン大学研究室訪問
PM:廃棄物関連処理施設訪問
研究室見学
バンコク
Northaburi Incinerator
3 月 10 日(木) アユタヤ見学
アユタヤ遺跡
バンコク
3 月 11 日(金) Mrigadayavan Palace and Museum
(青山学院大学と
フアヒン
チャンフアマン王立農園
合同訪問)
3 月 12 日(土) フアサイ王立持続可能プロジェクト
バンコク
3 月 13 日(日) 自由行動
バンコク
3 月 14 日(月) タイ国立科学技術開発庁訪問
東工大の研究発表
国際防災機関訪問
チュラロンコン大学主催
バンコク
ナイトクルーズでの
送迎会
3 月 15 日(火) 視覚障碍者向け研究施設訪問
Farewell Party
スワナムプール空港
発 23:15〜(TG682)
3 月 16 日(水) バンコク-羽田
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機内泊
2.2 参加者紹介
国際開発工学科 2 年
土木環境工学科 3 年
秦 桜蘭(リーダー)
無機材料工学科 2 年
出浦 敬之(サブリーダー)
生命工学科 3 年
松本 拓巳(エディタ)
国際開発工学科 3 年
内橋孝介
顧 任遠
土木環境工学科 3 年
国際開発工学科 3 年
土木環境工学科 2 年
織茂奈津美
蒋エキテイ
上田莉奈
国際教育推進機構
グローバル人材育成推進支援室
理工学研究科
UEA/特任教授
事務員
土木工学専攻准教授
太田絵里
萬代久美子
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竹村次朗
3.タイの概要
(執筆担当:秦桜蘭)
人口
タイ王国の人口は 6,795 万人(2015 年)である。
人口増加率は 0.337%(2013 年)。人口密度は 133.8
人/ km² (2014 年)である。
図 1 タイの人口推移 1980~2014
面積
タイ王国の面積は 513,100 である(日本の約 1.4 倍)。その中陸地面積は 510,890.00 km²である。
農地面積は 218,600km²、全体の 42.788%を占める。森林面積は 190,016 km²、全体の 37.193%を占
める。(2012 年)
宗教
タイ国民の 95%以上が仏教を信仰している。その中の大多数は上座部仏教(日本の大乗仏教と
違って、スリランカ、ビルマ、カンボジア、ラオスなど南方ルートを通って伝わった仏教の一種)
である。その他にはイスラム教 3.8%、キリスト教 0.8%、ヒンドゥー教などを信仰する人もいる。
タイ国憲法では信仰の自由が保護されているが、仏教徒でなければ国王になることはできない。
現在、タイには約 3 万の仏教寺院があり、約 40 万人の僧侶がいるといわれている。彼らは「サ
ンガ」と呼ばれる仏教僧団に所属し、戒律に基づいた生活を送っている。
政治体制
政治体制は立憲君主制である。国王が国家元首であるが、その権限はタイ王国憲法によりさま
ざまな制限が加えられている。現在の国家元首はプミポン・アドゥンヤデート国王(ラーマ 9 世、
1946 年 6 月即位)。
また国民議会(220 名)は両院制で、上院の元老院と下院の人民代表院からなる。
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地理、気候
大きく四つの地域に分けられ、北部は山岳地が広が
り、タイ国内最高峰であるドーイインタノン(2576m)も
この地域にある。東北部はほぼ全域コーラート台地が
広がり雨量が少なく農作物が育ちにくい環境である。
中央部にはチャオプラヤー川が形成したチャオプラヤ
ーデルタと呼ばれる豊かな平地が広がり、世界有数の
稲作地域である。南部はマレー半島の一部である。錫、
ゴム、パーム油などの産地として知られるほか、観光
地として知られている島も多くある。
タイ王国は熱帯性気候である。平均気温は約 29℃、
タイ地図
最高気温は 30~35℃と言われるが首都バンコクでは暑
いときには 40℃もなる。平均湿度は 70~80%である。
タイは大きく分けて3つの季節がある。11 月~2 月は乾季、毎日さわやかな晴天が続く。3 月~
5月は暑期、夜になっても気温は下がらず、朝から暑い日が続く。6 月~10 月は雨期、雨が降っ
たりやんだりする。
産業
タイの主要産業は自動車、電化製品、衣料品などを中心とする輸出産業と観光業である。図「3」
と「4」のように、農業は就業者の約 40%弱を占めるが,GDP では 12%にとどまる。一方,製造
業の就業者は約 14%に達してないが、GDP の約 34%(図「4」第二産業の一部)、輸出額の 90%弱
を占める。タイでは観光産業に非常に力を入れている。首都バンコクのように近代的な都市の他
に北部の山岳地や南部の美しい海のあるリゾート地が数多くあるほかに、仏教国家として独特の
文化や、数多くの世界遺産など大変魅力的な国である。
就業者数産業別割合
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タイ王国GDP構成比
一次産業(農林水産) 11.4%
二次産業(鉱業、電力を含む) 43.8%
三次産業(通信や金融、小売などサービス関連) 44.8%
教育
タイの教育制度は 6 年間の初等学校、3 年間の前期中等学校、3 年間の後期中等学校となってい
る。なお、義務教育は前期中等学校までの 9 年間である。
近年では高等教育への進学率が高まっており、大学進学率が 35.8%(2003 年教育省教育委員会
の統計)になるなど。東南アジア諸国において、高い識字率(1995 年で 95%を超え)と大学進学率
を誇る。
社会
毎日、8 時と 18 時の 2 回、バンコク中心部のフワランポーン駅や BTS 等公共機関などでは、国
旗掲揚・降納と同時に国歌がスピーカーから流される。国歌が流れる間は、その場にて脱帽し直
立不動の体勢をとらねばならない(不敬罪に問われ警察官に逮捕される場合がある)。タイでは王
室批判等は不敬罪に問われることがある。
経済
2013 年のタイの GDP は約 3871 億ドル(世界 30 位)であり、東南アジアではインドネシアに次
ぐ経済規模である。同年の一人当たりの GDP は 5,674 ドル(世界 94 位)である。タイ統計局によ
ると、2009 年の世帯当たりの平均所得は月 2 万 903 バーツ(9万6千円)。一人当たりの平均所
得は月 6319 バーツ(2 万 1 千円)。
タイは教育程度の高さと賃金の安さにより、日本や欧米諸国の企業が多く進出している。また
関税特典がある ASEAN 諸国内への輸出拠点として活躍している。
経済の安定や外国企業の積極的な進出を背景、1985 年から 1995 年にかけての 10 年間では年間
平均 9%の経済成長率を記録した。しかし、1997 年のアジア通貨危機によって経済は悪化した。し
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かし、外国への輸出を積極的に行ったことから 1999 年、経済成長率は好景気に逆転した。けれど、
クーデターによるあおりを受け、またリーマンショックもあり 2009 年は-2.3%とマイナス成長。
その後 2010 年は 7.8%と再び高成長。近年は年ごとに経済成長にばらつきがある。
図5 タイ王国経済成長の推移
文化
礼儀作法の多くは国法で規定されている。挨拶をするときには、ワイと呼ばれる合掌をする。
そのほかには華僑・華人、国王、宗教など様々な要素がある。
タイでは中国系は人口の 14%を示している。極端な意見ではタイ人で華人の血が流れていない
人を捜すのが難しいとも言われる。
また、チャクリー王朝(タイ王室)に対する国民の尊崇の念は非常に高い。王室批判等は不敬
罪に問われることがある。
仏教国であるタイでは、寺院に入る際、肌の露出が高い服は拝観を拒否される。女性が僧侶の
身体に触るのは禁忌である。
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4. 訪問先の詳細
4-1. チュラロンコン大学について
(執筆担当:内橋 孝介他)
4-1-1. キャンパスの概要
ワチラーウット王によって 1917 年に設立された、タイを代表する大学である。タイの若者の文
化の発信地であるバンコク市街のサイアム通りに面しており、1,844,800m2(東工大大岡山キャン
パスの約 7.5 倍)の敷地面積を持つ巨大なキャンパスである。キャンパス内には伝統的な建造物や
近代的な施設とともに緑が多く、約 4 万人の学生が各々の勉強や課外活動をして過ごしている。
チュラロンコン大学の風景
4-1-2. 講義(Lecture)の概要
私たちはいくつかの講義に出席する機会があり、それらの講義で学生の発表を見学することが
できた。
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講義聴講①
データベース設計:
学部 2 年生の講義で、当プログラムのチュラ大側窓口である Proadpran 先生が担当している。リ
レーショナルデータベースの設計として、データの正規化の手法を学ぶことがテーマである。講
義の中で課題を出題し,学生を指して前に出て答えさせる形式。また,チュラロンコン大学で開
発した学習マネージメントシステム(LMS)である「Course Villa」というシステムを活用してお
り,システムを通して事前に課題を出題したり,出欠を確認したり、(LMS)回答を指名する学生
をシステム上でランダムに選出したりしていた。
講義聴講②
プロジェクトの要件定義:
学部 3 年生の授業で、グループワークのプロジェクトが中心。各グループが課題を設定し、その
ソリューションを検討し、ソリューションを実装するためのアプリケーションを設計し、グルー
プごとに発表していた。
講義聴講③
プロジェクトの外部設計:
今回聴講した講義はアクティブラーニング教室で開講されていた。学部 3 年生の授業で、あるプ
ロジェクト(ミュージアムのシステム)が課題として提示されており、グループワークでそのアプ
リケーションの設計を作成する。各種設計図として作成した成果物をこの日の授業では別のグル
ープが互いにレビューするという内容だった。
これらの授業では印象に残っていることがいくつかある。学生たちは自分たちの発表をする前に
まず、それぞれのグループでプレゼンを交換し合い、お互いのプレゼンの長所や短所を指摘し合
っていた。また、授業中に居眠りをしていたり、授業に集中せず他のことをしている学生が全く
見当たらず、全員が能動的に授業に参加していた。
チュラ大生の授業風景
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4-1-3. 研究室訪問の概要
研究室訪問①
ビッグデータ解析:
主にビッグデータの解析を扱う研究室である。各学生が従事している研究内容を発表したが,歩
行者や二輪車等の位置情報を自動車に通信して死角の事故を防止するシステムや、広大なキャン
パス内を運行しているバスの効率性を上げるものウェブサイトの文面を解析してサイトの内容や
ユーザーの趣向を分類するシステムなどであった。研究室の Kultida 先生は日本に留学経験があ
り,日本語が大変流暢だった。
研究室訪問②
画像データ解析:
主に画像データから文字や人の顔などを認識・識別するシステムを扱う研究室である。学生の発
表では,自動車のナンバープレートや人の顔の認証などを扱っていたが,
「友達と会ってもスマホ
ばかり見ていないで友達と話そう」というユニークな顔識別システムを提案する学生もいた。
研究室訪問③
ものづくりセンター:東工大のものづくりセンターに類似している。学生が主体
的にものづくりを行える。粉を使った3D プリンター、スマホの写真をすぐに取り込めるタッチ
パネル、空気圧を利用した人口の手関節のようなもの、などを見学。
研究室訪問④
義肢装具製作:素材にカーボンファイバーを使うなどして義足の軽量化をめざす。
また、老化と共に衰える大臀筋と大腿筋の人口ジョイントをつくる装置などを見学。
研究室訪問⑤
波高測定装置:海岸を模したプール型の設備を用いた波の実験装置を用い波高を
測定する。プールの中は、砂や砂利等が置いてあり、海岸浸食により堤防が沈下する様子を観察、
測定することができる。
チュラ大のものづくりセンター
波動実験施設
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4-1-4. 東工大の説明会
日本や東工大に興味を持つ学生 20 名程度に集まってもらい,東工大を紹介する説明会を開催し
た。前半 30 分は東工大の留学受入プログラムについて紹介し、後半 30 分は派遣参加学生による
東工大紹介のプレゼンテーションを実施した。説明会終了後,実に多くの学生が竹村先生に質問
に集まり、日本や東工大へのチュラ大生の関心の高さを実感した。
東工大の説明
4-1-5. 視覚障碍体験施設の見学
Dialogue in the dark:文字通りの視覚障碍体験施設。真っ暗な部屋に入り、視覚障碍者の生
活を体験する。バスに乗る、買い物をする、道を歩くなど様々な体験をする。すべてが真っ暗な
世界で、お天気が良くてもバスに乗っていても景色も見えない。道もわからない。自分が健康で
あることの大切さを有難く思うとともに、他者に対する思いやりの重要性を実感した。
Dialogue in the Dark
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4-1-6. 学生交流
バンコク滞在中は、多くの時間をチュラロン
コン大学の学生と過ごした。真面目であり、か
つ親切な学生が多く、全ての学生が英語を流暢
に話していた。彼らとは何度か食事を一緒にと
り、タイ料理の食べ方や調味料の使い方を教わ
った。休日にはバンコク市内の観光案内をして
もらい、より交流を深めることができた。また、
私たちの帰国前日には、チャオプラヤ川でのデ
ィナークルーズに招待してもらい、様々な体験
を共有することができた。
最終日の豪華客船
4-1-7. その他
チュラロンコン大学の学部生は制服を着用している。
チュラ大生の制服
学生食堂は一皿当たり約 100 円と、リーズナブルにタイ料理を楽しむことができる。
学食の食事
チュラロンコン大学の図書館は、学生たちの交流・休息の場として充実した設備が整っている。
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学内の図書館の一室
休憩場所
4-2. バンコクの交通事情
(執筆担当:
上田莉奈)
4-2-1. 鉄道
鉄道マップ
上の図は現在のバンコクの鉄道網で、現在、バンコクには渋滞の影響を受けず快適に移動でき
る電車が 3 種類ある。
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BTS
BTS は Bangkok Mass Transit System のことで高架鉄道である。スカイトレインとも呼ばれる。
料金は 15~52 バーツ。緑色のスクンビット線と黄緑色のシーロム線がありサイアムで乗り換える
ことができる。また、サラデーンとアソークで MRT に、パヤータイで ARL に乗り換えることがで
きる。現在、パープルラインとレッドラインが日本の ODA の資金協力によって建設中である。
ほとんどの駅にエスカレーターが設置されていないため大きな荷物を持って利用するのは大変で
ある。
自分の行き先までの料金を路線図で確認して、券売機にお金を入れてボタンを押すとカードが
出てくる。券売機ではコインしか使えないため十分なコインを持っていないときはカウンターに
行って両替してもらわなければならない。カードを改札に入れるとゲートが開く。ここでバンコ
クの電車すべてに共通していることだが改札の扉が閉まるのがとても早いので注意が必要である。
もたもたしているとリュックが挟まってしまうこともある。
ラビットカードという PASMO のようなチャージ式のカードもある。BTS の券売機は混んでいる
ことが多いので便利である。こちらのカードは入場するときに改札にタッチして、改札から出る
ときも改札にタッチするという日本同様のシステムである。このカードは大学の近くのショッピ
ングセンターのフードコートでも使うことができたが、他の BTS や ARL、バスなどの交通機関で
は使用することができない。
料金を示した路線図と券売機
BTS の改札
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ホーム
上が一回券で下の二つがラビットカード
MRT
MRT とは Mass Rapid Transit のことで北バスターミナルのあるモーチットとタイ国鉄の終点の
駅であるファランポーンを結ぶ地下鉄である。一番上の路線図の青い線が MRT を表している。ス
クンビットとシーロムで BTS に、マッカサンで ARL に乗り換えることができる。料金は 16~42 バ
ーツである。MRT は日本の ODA によって建設されていて、MRT のどの駅にも下のような碑が設置し
てある。将来的には延伸されて山手線のように環状になる計画がある。
券売機のタッチパネルに表示されている駅の中から自分の行きたい駅をタッチしてお金を入れ
ると黒の磁気性コインが出てくる。これを改札にタッチすると入場できる。改札から出るときに
はコイン投入口にコインをいれるとコインが回収されゲートが開く。
どの駅にも入り口に荷物検査のゲートがあった。
料金表
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券売機
改札
ARL(エアポートレイルリンク)
エアポートレイルリンクは空港と市内を結ぶ電車で 15 分に 1 本の間隔で運行されている。マッ
カサンで MRT に、終点のパヤータイで BTS に乗り換えることができる。しかし、空港と市内を結
ぶ電車なのにエスカレーターがついていないためスーツケースを持って乗り換えをするのはなか
なか体力を消耗する。MRT と同様に券売機にお金を入れると磁気式コインが出てくるので、これ
を改札にタッチして入場する。出る時は写真のように改札にコインを入れる。料金は 15~45 バー
ツ。終点のスワンナプーム空港では乗客が全員降りた後に清掃が入り、清掃が終わってから乗れ
るようになっている。
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電車
4-2-2. 水上交通
チャオプラヤーエクスプレス
チャオプラヤーエクスプレスはバンコクの中心を通るチャオプラヤー川で運行されている水上
ボートである。旗の色によって特急や急行などと分かれていて停留する船着場が異なる。料金は
9~32 バーツで乗り場の手前にあるカウンターで支払うか、船の中で支払う。
観光客としてはチャオプラヤー川沿いの有名なお寺や王宮に行く時によく使う乗り物である。
船着場
ルートと時刻表と料金表
渡し船
渡し船は両岸にある船着場を結んでいて、チャオプラヤー川の橋がかかっていないところは渡
し船で渡ることができた。料金は 3 バーツで、出発してから 1〜2 分で到着するので椅子は少なく
乗り降りしやすい構造になっていた。
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チケット売り場
水上バス
4-2-3. その他
バス
バスには行き先などは書かれておらず数字しかない。このバスの番号がそのバスの路線を表し
ていて番号がわからないと乗ることができない。現地の人でもすべての番号を把握しているわけ
ではなく自分の普段使う番号しか知らないようだ。同じ路線でも様々なバス会社がある。
アナウンスはないので外の様子をよく見て自分の降りたいところの手前で降車ボタンを押す。
バス停できちんと待っていたとしてもドライバーの気分によっては素通りされてしまうこともあ
る。
料金はバス会社や路線によって異なるが、私たちがファランポーン駅からサパーンタクシン駅
までのおよそ 3km 乗った時は 7 バーツだった。バスは他の交通手段に比べてかなり格安で使いこ
なすことができれば大変便利である。運転手とは別に料金を領収する人がバスに乗っていて、そ
の人にお金を払う。バスはドアを開けたまま走ることもあるので、どこかに捕まっていないと道
路に放り出されてしまう可能性もある。
バスのチケット
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タクシー
バンコクのタクシーは下の写真のようにとても派手である。どのタクシーにもメーターが付い
ているが、相手が外国人だとわかると交渉してもなかなかメーターを使ってもらえないので事前
に料金交渉が必要である。タイ人の場合は基本的にメーターで、郊外の遠いところに行くときだ
け事前に料金交渉となるそうだ。
トゥクトゥク
メーターがないので事前に料金交渉してから乗る。値段はタクシーと変わらない。
4-2-4. バンコクの交通渋滞
バンコクでは通勤通学のラッシュアワーに発生する慢性的な渋滞が深刻である。渋滞が発生し
ている時間帯は車では身動きが取れなくなってしまうので、なるべく鉄道を利用するようにした。
また、渋滞の発生している時間帯にタクシーを利用しようとすると行き先によっては断られるこ
とも多い。チュラロンコン大学の学生の中に大学からそれほど遠くに住んでいるわけではないの
にもかかわらず、毎日の渋滞のために授業の三時間前に家を出なければならない人や家から毎日
通うことができないので一人暮らしをしなければならなくなってしまった人もいた。このように
バンコクの渋滞は非常に深刻で市民生活に悪影響を及ぼしている。
夕方 5 時半頃のラチャプラロップ通りの様子
夜 7 時頃のパヤータイ通りの様子
理由としては以下のようなものがある。
・公共交通機関が発達していない。
都市のサイズは大きいのに鉄道網が発達していないので、鉄道網が網羅していない地域に住んで
いる人は必然的に自家用車あるいは乗り合いのバンなどを利用するしかない。
・車の数が多い
近年バンコクの車の数は急増している。車で通勤することが社会的ステータスとなっている。電
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車や他の手段で通勤できる人でも車を使って通勤しているため道路には車が溢れてしまっている。
・ 都市の大きさに対して道路自体の面積が不足している。
バンコクの道路はタノンと呼ばれる大通りとソイと呼ばれる小さな通りによって構成されてい
る。バンコクには主要な道路は数えるほどしかなく、少ないタノンに車が集中してしまう。また、
タノンから伸びているソイと呼ばれる小さい通りは行き止まりであることが多いので抜け道とし
て使うことはできない。
図29
バンコクの道路の様子
・ 信号が少ない
大きな交差点でも信号が設置されていないところが多く、警察官による交通整理が行われている。
4-2-5. 交通体験
タイ滞在 2 日目にはチュラ大生と一緒に大学からアジアティークというチャオプラヤー川沿い
にある新しいナイトマーケットにいった。始めに大学からサムヤーン駅まで歩いて MRT でファラ
ンポーン駅まで行った。サムヤーン駅はショッピングセンター直結の駅でチュラロンコン大学の
学生がたくさんいた。その次にフアランポーン駅から少し歩いたところにあるバス停から 1 番の
バスに乗って船着場の近くで降りて、サトーン船着場まで歩いた。グループワークの交通の班で
は、タイの交通の問題として、バスが危険で気軽に利用できないという問題を取り上げた。チュ
ラ大生から聞いていた通り、バスの料金はそのバスが来るまでいくらかわからないし、ドアを開
けたまま急発進、急停車するので何度かバスから振り落とされそうになった。
そしてサトーン船着場からアジアティークへは無料水上シャトルが出ているので、それに乗っ
てアジアティークまで行った。水上シャトルは川の上を走っているので比較的涼しく、渋滞もな
く速いので快適だった。今回利用したサトーン船着場からは上で説明したチャオプラヤーエクス
プレスも利用できる。
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交通体験ルート
(チュラロンコン大学〜アジアティーク)
バスに乗車
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アジアティーク行き無料シャトルの乗り場
水上シャトルの中からの景色
アジアティークの入り口の様子
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4-3.
廃棄物処理施設
(執筆担当:顧 任遠)
3 月 9 日タイ王国超短期派遣チームのみんな
と一緒にバンコク近辺の廃棄物処理施設を訪問
した。タイには大きなゴミ焼却施設が二つあり、
それはバンコク近郊のサムットプラカーン県に
ある廃棄物の焼却・リサイクル工場 Bangpoo
Environmental Complex(BPEC)とタイ東部チョ
ンブリー県シラチャ市にある廃棄物の最終処分
ゴミ処理施設のゴミ
場 及 び リ サ イ ク ル 工 場 Eastern Seaboard
Environmental Complex(ESBEC)である。ノンタブリ県は人口約 120 万人のバンコクのベットタ
ウンで商・工業施設の開発の進んでいる。大きなショッピングセンターがあり、これらのゴミも
この施設で受け入れている。現在廃棄物発生量は年間 120 万 ton、10 年後には 148 万 ton にまで
増加することが予想されているが、それに対して埋め立て処分場の容量には限りがあるため、現
状の直接投棄による処分から、分別、再利用、リサイクル、減量化(コンポスト、一部焼却等)
を取り入れた廃棄物管理システムへの変更を目指している。日本もタイも一日一人の一般ごみの
排出量は 1 キロと同じである。
今回訪問したノンタブリーごみ焼却施設(Nonthaburi Incinerator, 以下 NI)はノンタブリ県病
院廃棄物焼却施設と廃棄物処理場の2つの施設がある。焼却は医療廃棄物のみが対象である。県
病院からの生 化系ごみを特別処理するために,別々病院からこみ集まって赤いゴミ箱にいれ焼却
する。NI は数年前まで古い焼却設備を使ってきた。老朽化の上機能はごみ生成のスピードに追い
つけないため(前は一日処理可能のごみ量は 500kg 前後),新しい焼却炉に変え一時間の処理可能
量も 300kg に上った(一日 24 時間連続運行可能で一日 7200kg のごみが処理可能になった)。
医療廃棄物以外は直接投棄。比較的規模が小さいが、確実に周辺地域のごみ処理に貢献してい
る。具体的なごみ処理だが,最初は中、大型トラックが担当エリアのごみを集めて,それを一気に
処理施設に運んでくる。運んできたら,まず焼却炉か何キロも離れているごみ広場におろし,スヴエ
ンチャーズによるリサイクルできるものの分離作業をする。スヴエンチャーとはインフォーマルウ
ェストコレクターをまともな職業として生きている人間である,
いわば非正式ごみ収集員であ
る。彼らは何でも交わっているごみから金になれるもの(いわば資源ごみ)を見つけ出して,その
資源ごみを専門リサイクル業者に売って収入になる。
今年からごみによるメタンガスを利用する発電プロジェクト計画も始まっている。埋立地から
集めていたメタンガスを燃やして発電をすることもごみ処理施設の方たちは検討しているみたい。
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スカベンチャーたち
埋め立て処分場の上で記念写真
28
4-4. フアサイ王立持続能プロジェクト
(執筆担当:出浦 敬之)
長い歴史の中で、タイは東南アジアでは唯一植民地支配を受けていない国である。それは 13 世紀
以降、タイは数多くの優れた王のもとで、今日の発展の礎を築いてきたからだと言える。そのた
め政治が選挙で選ばれた内閣によって担われるようになった現在においても、タイの人々は国王
を崇拝の対象としている。国王は仏教の教えのもとでタイ社会に貢献している。現在の王室は、
山岳民族の人々の生活向上や全国各地の環境保全、伝統文化の保存など、400 以上の活動を「王
立プロジェクト」として立ち上げた実績を持つ。タイでは、王族らが地域国民の自立と生活向上
をめざし、様々な事業を支援している。特に、農業開発、一村一品、人工雨プロジェクト、医療
プロジェクト、教育支援等があり、その中でも農業国であるタイを象徴し、化学肥料を使わない
農作物の生産支援が有名。現王ラーマ 9 世はまた農村地域のコミュニティーの持続可能な発展に
尽力している。今回はその王立プロジェクトの一つである、
「フアサイ王立持続可能プロジェクト」
を視察した。
フアサイは北部の都市チェンマイの近郊にある。フアサイを含むタイ中西部は山間部で、古くか
ら豊富な水資源、豊かな生態系を形成していた。しかしながら、1924 年にパイナップルなどのプ
ランテーションが始まると、化学肥料の過剰な使用などで 30 年後には土地が荒廃してしまった。
そこで、1983 年から荒廃した土地の再生を目的として、フアサイ王立持続可能プロジェクトが開
始された。このプロジェクトは自然資源と環境の復興、水資源の発展からのアプローチで地域の
環境と住民の生活を向上させる計画である。
具体的な取り組みとしては、数多くの作物の安定した生産や、地盤改良、地域に広く水を行き渡
らせるためのダムや丘の上の貯水タンクなどがある。水資源は 4 基のダム建設や地下水、地盤の
調査を行い、公共用水の供給量の増加や洪水などの水害の減少を達成した。そうして植物の高い
生存率を継続的に保つ。また、安定した生態系のバランスは下流に繋がる水路によってマングロ
ーブ林にもたらされる。見学した施設は、そういった持続的で包括的な自然資源の保護を可能と
し、荒野にて農作物を育てる試験場。図 1 は岩だらけで乾燥した土地に、岩を砕いた上で強く長
い根が張る特殊な植物を植えると土が柔らかくなる実験の様子である。特殊な植物を円状に上、
その中に木を植える。土の上に枯葉をかぶせた状態、空気孔を作った状態、等々様々な条件下で
の植物の生長状況を調査する。また、森林内に池を作り魚を養殖する実験も行われている。池は
灌漑、治水等々の役割を果たし、魚、土の相互の養分を補助するなど、総合的農業が成り立つ。
このような取り組みの結果、持続的に化学肥料を使わない質の高い農産物が持続的に生産される
こととなり、自身の生活の向上につながっている。また、ハーブを使った代替医療を実践するハ
ーブ園にも訪れた。マッサージに使用するハーブボールの実演製作体験、赤米の伝統的な脱穀方
法体験、キノコの栽培見学、マルベリー茶(消化促進、血圧安定作用)の制作実演製作体験、ハ
ーブのバームの製作実演を見学した。
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固い土への植林の実験
ハーブを使った代替医療を実践するハーブ園
キノコの栽培
ハーブバームの製作実演
このプロジェクトにおいて国王は自然資源の問題の解決だけでなく、その地域に暮らす人々の
生活の改善も目標としていた。実際、安定的な農業や漁業が可能になることによって、古くから
この地域で暮らす人々の収入が増加した。また、教育の質(健康、栄養学、政治、地域のマネジ
メントなど)や、予防の徹底、ファミリープランニングなど健康面の生活の質も向上した。
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4-5. チャンフアマン王立農園 Chang hua man royal project
(執筆担当:ショウ エキテイ)
チャンフアマン王立農園はタイのペッチャブリー県にある。一つの王立プロジェクトとして、
ラーマ 9 世に創立された農園である。ラーマ9世はいろんな王室プロジェクトを自ら指導し、タ
イの農業と地方経済活性化を推進している。地方調査なども積極的におこなう。したがって、ラ
ーマ 9 世はタイ国民から敬愛されている。
タイ国王の視察時の別荘
国王が視察している様子
チャンフアマンプロジェクトもそうである。天然農作物を作るだけではなく、当地農民の生活
を支援することもプロジェクトの一つの目指しである。最初は 250rai の土地を利用し、どう農薬
を使わず農作物を作れるかを実験する。そのあと、当地の農民たちに牧場の生活も体験できるよ
うに、牛も飼って、牧場にもなった。いま、この農園は農民たちの学習センターだけでなく、世
界中の観光者たちにも農業生活を体験させできるところになった。この農園もペッチャブリー県
の人気な観光スポットである。
今回実際その農園に行って、目で見ると、すごく美しいところだと思う。緑の農園は山に囲ま
れて、当時の気温が非常に高かったが、爽やかな気持ちになる。入り口のところで売店があって、
商品の値段はやや高いけど、農薬を使わず作った農作物からできた食べ物であるので、その値段
が受けられると思う。学習センターもあって、農園の土の環境が展示している。
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農園の土環境を説明する展示台
農園を見学する前にまず農園のビデオを見た。全部タイ語であるが、タイ人の友達と画面を合
わせて見ると、内容を次のように理解した。2010 年に現王ラーマ 9 世により設立された試験農園。
近隣に離宮を構える王は、ある日離宮を離れる際にジャガイモを置いて行った。その後離宮に戻
ると、そのジャガイモが発芽していた。農作物の生産には適さないと考えられていた荒野でのこ
の事実をみた王は、この土地が十分に経済的価値のある農作物を化学肥料なしで生産できると考
え、本土地を購入し、近隣農民のための試験場、研修施設等の機能を備えた農園を開設した。国
際の観光客のために、英語の翻訳があればよりよいと思う。無料のバスと自転車を利用して、農
園をめぐるのが可能である。美しい風景を楽しみながら、農園を見学することができる。自給自
足そしてエコノミーを目的として、農園を建設した。いろんな種類の果物と野菜を作っている。
風車とソーラーパネルも設置している。
ジャガイモ畑
レモン木の畑
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風車
トウモロコシの畑
芋の畑
当地のりんごの木
この農園は高地に位置するため、風能を利用することが可能である。20 個の風車があって、最
高発電効率は 50kWh である。そして、前の図より、タイならでは植物を含めて、様々な作物があ
る。たとえば、トウモロコシ、ジャガイモ、レモン、パパイン、バナナなど。作物でガソリンも
作れる。牛も飼っている。
グリーンガソリンスタンド
牛たち
観光客たちに農業生活を楽しませるために、自分の手で作物を作れる。売店で作物の種も買え
る。本当に美しくて、楽しいところと思う。
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4-6.
タイ国立科学技術開発庁
(執筆担当:織茂奈津美)
タイ国立科学開発庁(NSTDA)は、タイ王国内閣科学技術省監督下の独立研究所であり、1991
年 12 月 30 日に設立され、タイにおける科学全般の研究開発、技術移転、人材育成を担っている
研究所である。この研究所は、タイ国立遺伝子生命工学研究センター(BIOTEC)、タイ国立金属材
料技術研究センター(MTEC)、タイ国立ナノテクノロジー研究センター(NANOTEC)、タイ国立電子
コンピューター技術研究センター(NECTEC)の 4 つの研究所と、タイ技術管理センター(TMC)か
らなっている。
東工大の拠点がある NASDA の外観
酵素を使った様々な製品
私達は NSTDA の本部があるサイエンスパークを訪れた。サイエンスパークは 2002 年に設置され
たタイ王国で初にして最大の科学技術開発区で、80 エーカーの敷地を誇る。私達はこのサイエン
スパークにおいて、NECTEC と MTEC の研究員の研究内容を教えていただいた後、BIOTEC の研究室
を訪れた。NECTEC の方は、タイの交通事故の多さを軽減するために、タイでも普及している iphone
を使って、自分の運転を見直すという、SAFEMATE というアプリの開発を行っており、スマートフ
ォンに本アプリをインストールすると、ジャイロと GPS の機能を利用し、ドライバーの安全が図
れる。具体的に、スピードや急ブレーキ、急な車線変更などが記録される。平均速度、最高最低
速度、走行時間等が計測され、ABC の判定が行われる。
MTEC の方は温室効果ガスを低減するために、ある製品を作る全過程を通じてその商品にどの程
度の二酸化炭素が使われているかを表示するためにライフサイクルアセスメント(LCA)の手法を
用いるカーボンフットプリントのラベリングについての説明。現在タイ国内では約 400 の企業の
約 1700 種類の製品にカーボンフットプリントの表示がある。また研究室訪問では酵素を使って
様々な、製品開発を行っており、実際に出来たものを見せていただくことが出来ました。研究の
技術は日本と比べまだ発展段階であるかもしれないが、研究に対する姿勢や、何よりも、とても
若い方々が活躍していること、女の人が多く活動していることが印象的であった。
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また、サイエンスパークの中には、この NSTDA 以外の研究施設も多く存在しており、東工大の
国際事務局もあることが印象的であった。特に私達が訪れた時にはちょうど、TAIST という東工
大の先生方がタイのサイエンスパークに訪問し、タイの学生が短期で授業を受けることで単位を
取るというプログラムが行われていた時期であり、多くの東工大の先生方にお会いすることが出
来ました。
TAIST ポスター
食堂
またサイエンスパーク内では、パークの中で生活が完結でき、研究員が研究に打ち込めるよう
整備されており、図書館、医療施設、銀行、貯蓄組合、集会場、保育施設、デイケア施設、生活
雑貨店、フードコート、カフェ・レストランなどを備えてあることも印象的でした。
最後に、チュラロンコン大学の学生と共同授業で、交通の改善や、ゴミ処理の改善についての
発表の機会をいただくことが出来ました。交通については、日本とタイでは渋滞という同じ悩み
を抱えているが、経済の状況などから改善策が異なること、ゴミ処理については、日本は分別を
する一方、タイは分別をしておらず改善する必要性について発表しました。2 年、3 年しかこの派
遣に参加しておらず、海外で成果発表を行うという初めての経験が出来たことがとても良かった
です。
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4-7.国際防災機関
(執筆担当: 松本 拓巳)
RIMES(国際防災機関)の概要
国際防災機関(Rigional Integrated Multi-Hazard Early Warning System for Africa and Asia
通称 RIMES)はアフリカとアジアにおける災害時の早期警戒システムを構築している国際的な政
府間機関である。2004 年のインド洋の津波の影響をきっかけに早期警戒システムの構築を主な目
的にアフリカやアジア諸国から発展した。RIMES は 2009 年 4 月 30 日に設立されてタイのアジア
工科大学のキャンパス内に位置しており、同年の 7 月 1 日に国連に登録された。RIMES は13の
加盟国、20の協力国から成り立っており、加盟国はバングラデシュ、カンボジア、フィリピン
を含むアジア諸国で、協力国は中国、タイ、インドネシアを含む。それぞれ、加盟国の気象庁の
機能を果たす政府機関により構成されている。資源管理、防災管理、加盟国の気象庁等関係省庁
の研修等について、資金、データ、人材等々を共有することで、加盟国の防災関連の予測、警報
機能を高める役割を果たすような研究活動をしている。
例1)
プロジェクトの例:農作物管理
サイトを特定したパイロットプロジェクト、気象データと農作物のデータを使う。Bulletin Boad、
データベース等により情報をユーザーに提供。
例2)洪水、地震、津波の早期警報システムを整備
プロジェクトはミャンマー、パキスタン、ネパール、バングラデシュ等の加盟国で実施されてい
る。これらの国々は、津波、自身、洪水等の被害が大きいが、人的資源、資金、データ、システ
ム等を各国で整備し防災管理を行うには限界があるため、RIMES として組織的にデータ収集、分
析を行うことでこれらの国への情報提供、警報システム整備等を行っている。
私たちは 3 月 14 日に実際に国際防災機関の施設に出向いて、実際に働いている現場を見学した。
RIMES についてからそれぞれの洪水、ハザードマップ、地震等を研究している数人の従業員から
RIMES での主な活動のご教授頂いた。また発表が終わった後は実際に防災システムがどのように
して使われて、世界に発信されているのか見学、質疑応答等を通して多くの事を学んだ。
以下に見学時に撮影した会社内の風景や研究に関する写真を載せる。
見学内でこの RIMES が各地域の過去の津波等の自然災害のデータを仕入れて、実際にこれから起
こるであろう、震災の予測(シミュレーション)を行い災害時に対応している。
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実際にシミュレーションを行っている写真
黄色の国は協力国、青は加盟国
津波の被害シュミレーションのマップ
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5.その他
(執筆担当:秦桜蘭)
5-1.
食事
タイでは主食は米である、タイ米が広く食べら
れている。そのほかに麺類は比較的に軽食に位置
づけされる。肉料理以外海鮮料理も非常に人気が
あり、主に揚げ物、焼き物、スープに使用される。
また市場では干物が種類多く存在する。
野菜も果物も非常に種類が豊富である。野菜で
は空心菜、オランダガラシ等が頻繁に使われてい
る。新鮮な果物は道市場で販売されて、スイカ、
バナナ、パイナップルなどまたは濃厚なフルーツ
ジュースは手軽に入手することができる。
東南アジア諸国と同様にタイも調味料に魚醤が
よく使われている。また、プリッキーヌーと呼ば
れる小粒の唐辛子が頻繁に使用される。タイ料理
では、一つの料理に辛味、酸味、甘味などが混ざ
り合い、複雑な味を醸し出している。
図 55 タイの食事
5-2.
街の様子
タイは日本と比べると非常ににぎやかである。活気ある町並みはとても魅力的だと思う。
仏教国であるタイは町中にお寺で溢れ、ブッダの肖像がいろんなところに置かれている。仏教
の文化はいろんなところに浸透し、その中で一番面白く感じたのはマクドナルドの前に立つドナ
ルドだ。両手を合わせ、礼拝の姿勢で通りかかる人々を魅せるドナルドは日本ではなかなか見る
ことができない光景である。幸福と健康を祈るプアンマーライ、鮮やかな麹色の袈裟を着る敬虔
な僧侶…タイの町で仏教国の魅力を思い存分に体感することができる。
そのほかに壁画もタイ町の魅力の一つだと思う。にぎやかな大通りからチラッと見える横町に
多くの壁画が描かれている。またすでに町と一体化になった壁画もたくさん存在する。タイの町
をゆっくり回りながら独特な壁画を発見し、楽しむことも非常にいい経験でした。
また、夜では朝とは別な賑やかさが体験できる。仕事や学校帰りの人々を迎えるのは暗闇でも
照らせる夜市だ。静かな日本とはかなり違うこの場ではご当地グルメや小物売り場が溢れて、人々
を一日の疲れから解放する。
38
タイ国内の観光地
5-3.
アユタヤ観光
四日目はバンコクから車で約 2 時間かけてアユタヤに見学に行った。ここはアユタヤ王朝 400 年
に渡り都として繁栄したどころである。しかし、1767 年にビルマ(ミャンマー)の攻撃を受け、
アユタヤ王朝は消滅した。多くの建物や仏像は破壊され、現在は王宮跡と寺院跡が残っている。
1991 年に、周辺の遺跡とともに古都アユタヤとして世界遺産に登録されました。
ワット・プラ・シーサンペット
ワット・プラ・マハタート
ワット・プラ・シーサンペットは歴代の 3 人の王が眠るアユタヤの最も重要な王宮建物ともいわ
れる。ワット・プラ・マハタートはアユタヤ王朝三台目の王、ボーロマ・ラーチャーティラート
1 世によって建てられまして、高さ 50mとも言われた仏塔。
39
残念ながら色彩美が特徴であるタイの寺とは違って、アユタヤの建物は戦争で壊滅的な状況に陥
った。仏像の頭と手は切られ、建物の表面に塗装された金はビルマ軍に持ってかれて、建物もほ
とんど燃やされた。
ワット・ローカヤ・スター
ワット・プーカオ・トーン
ワット・ローカヤ・スターでは大自然の中で横たわる優しいお顔の巨大寝釈迦仏像がある。戦
争で破壊されだが、原住民達の記憶より再び人々の前に姿を現すことになった。ワット・プーカ
オ・トーンは当初はす高さ 80m もありビルマ様式の塔だったが、その後アユタヤ王朝を再興した
ナレスアン王がタイ様式に改造した。また 1956 年には仏歴 25 世紀を祝って、頂上に 2.5kg の黄
金の珠が付けられた。「黄金の仏塔寺院」と呼ばれるこの塔ではアユタヤの街が一望できる。
今度のアユタヤ見学は象に乗るコースに参加しなかっ
たが、どうしてもっということで、結局はほぼ全員が追
加料金で象に乗ってアユタヤを観光した。昔のタイ貴族
の気持ちを体験出来でとってもいい経験だった。しかし、
象たちは鼻でチップを取るように訓練されたことは少
し悲しく感じる。
象乗り体験
40
6.
参考文献
面積
http://top10.sakura.ne.jp/Thailand-p2.html
人口
https://populationpyramid.net/ja/%E3%82%BF%E3%82%A4%E7%8E%8B%E5%9B%BD/2015/
http://ecodb.net/ranking/area/A/imf_area_lp.html
政治体制
外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/thailand/index.html
宗教
http://www.thaiokoku.com/fundamentals/religion.html
地理、気候
http://www.thaismile.jp/index1.html
http://tatsu-web.com/tai/chiri.html
産業
http://www.goldmansachs.com/japan/gsitm/column/emerging/gsne130506/200812.html
社会(一部引用)、経済
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E7%8E%8B%E5%9B%BD
文化
http://www.jtbf.info/thai_society.html
食事
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E6%96%99%E7%90%86
アユタヤ
http://www.thailandtravel.or.jp/detail/sightseeing/?no=581
http://www.thailandtravel.or.jp/area/ayutthaya.html
41
7.所感
バンコクには高層ビルが立ち並び、街並みは東京とはほとんど変わらなかった。また時間が遅
かったのもあり宿泊施設への道中はあまりタイに来たという感覚はなかったが、翌日からタイの
文化、人々に触れることで留学の意義を見出すことができた。正直バンコクは私が想像していた
以上に都市化が進んでいたが、街中にはホームレスやストリートチルドレン、野良犬がたくさん
おり、バンコクの発展によって貧富の差が生じているように思えた。タイ人の外見は日本人とよ
く似ていたが、国民性は日本とは少し異なり、現地の人たちのホスピタリティに触れる機会が多々
あった。現地の学生はかなり真面目で、授業が行われている教室を覗いても、居眠りや、授業に
集中していない学生が全くおらず、チュラロンコン大学の学生の真面目さに感銘を受けた。キャ
ンパス内では学生たちが勉強や友人との交際を楽しんでいた。タイ料理は日本料理とは違い辛み
が強かったが、私はその味を楽しむことができ、値段もリーズナブルで、タイの学生をうらやま
しく思ったほどである。気候は温暖で、日本の冬が苦手な私にとってはかなり過ごしやすかった。
休日には、ワットポーなどのタイの伝統的な文化を楽しむことができた。タイの文化を満喫し学
習するとともに、現地の学生との交流も楽しむことが出来て、有意義な九日間を過ごした。
(内橋孝介)
タイに行く前からずっと仏教国に憧れて、この度タイに行けてとても幸せだと思う。
日常とは違う町で歩くと、新鮮感と危機感を同時に楽しむことができる。今までの価値観が常
に問われる。それはイエローマンゴーとグリーンマンゴーみたいな小さな出来ことであるし、生
活態度や世界観など大きいなことでもある。
イエローマンゴーが日常な人は硬いグリーンマンゴーがおかしく思うが、その一方でグリーン
マンゴーに慣れた人もさっぱりしないイエローマンゴーのことが嫌いかもしれない。価値観の違
いを尊敬し、正誤より異同を認識することは非常に大事なことだと感じた。
また、この度では友達の大切さを改めて感じた。今回のプログラムに参加する学生たちはもち
ろん、去年インドネシアで知り合った友達までおもてなししてくれて、未知な国は一変、暖かく
て親切感が溢れ出す大好きな国になった。今回のプログラムで知り合い、ともに笑う、一緒に真
剣にディスカッションした友たちもまた今後一生の宝物になるだろう。
チュラロンコン大学に数多く優秀な人材が集まっている。彼らとともに今後の世界を変えるこ
とを楽しみにしている。
この旅で考えさせられたことはいっぱいある。タイについて、空港で初めて会う人に免税範囲
を超えたタバコの持ち込みを頼まれて、同じチームの仲間は硬く断った。人の善意を利用して罪
を犯す人は多く存在する。それに対する危機管理意識はとても大事だと思うが、昔自分も知らな
い人にものの持ち込みを頼んだことがあることを思い出すと、なぜか悲しく感じた。
(もちろんこの行為はいいとは言ってない)人は自分一人だと何もできないか弱い生き物だ。
42
善意を持ち、みんなを信じ、お互い助け合うべき我々はいつかに人の善意を利用し、利益を得る
卑劣な行動を行うようになった。これは教育のレベル―や物質の欠乏にどうかかわれているだろ
う?自分はもう少し経験を積み、それに関してもっと深く考えたいと思う。
この広い世界を見る嬉しさ、そしてこのうれしさと伴う代価。今度のプログラムは自分にとっ
ては大切な経験と思い出になる。
(秦桜蘭)
十日間のタイ派遣あっという間に終わった。印象に残ったベストスリーは暑かった、暑かった、
また暑かったであった,バンコク本当に暑かったね。暑い暑い汗ビショビショの十日間はちゃんと
充実していたのも感じたのです。訪問先のチュラロンコン大の体験授業や研究室訪問など,大変
「世界の人々も頑張っているな」と実感した。寺巡りやグランドパレスの訪問もしっかりタイ王
国の厚い厚い歴史を感じできた。その後のチャンフアマン王立農園とフアサイ王立持続可能プロ
ジェクトの視察もタイの国王は昔の輝きに足止まらず、明日への新たな展望を見えてくる。この
旅,楽しさと収穫ばかりであった。
(顧 任遠)
「海外に行きたい!どうせなら留学って名目がついているこれで!」という軽いノリで参加した
派遣だったが、タイ派遣で本当によかったというのが率直な感想である。当初の自分の希望はイ
ギリス派遣であり、タイに行くなど毛頭考えていなかったが…(今考えると色んな意味で必然だ
ったと思う…)。この派遣がよかったという理由はここでは書ききれないほどあるが、個人的にと
ても印象的だった二点について述べたいと思う。一点目はバンコクがものすごいスピードで発展
していること。人々や街にみなぎる熱量は東京では絶対に感じられないし、町並みはすでに東京
と見違えるほどで、街中で高層ビルの工事が行われ、それは夜中まで続いていた。私の専攻であ
る土木の仕事はこういうところにより移り替わっていくのだと肌で感じたのと同時に、これが日
本は衰退していくだけだといわれる所以なのだと思った。二点目はどんな立場の人でも十分に英
語が使えるということ。チュラの学生はいうまでもなく、屋台のおっさんやマッサージ店のお姉
さんでさえ自分よりも遥かに流暢な英語を話していたことは驚いたというよりもショックで悔し
かった。この経験が無駄にならないようにしたい。最後にこの派遣を実現させてくれた東工大、
チュラの方々に本当に感謝します。ありがとうございました。
(出浦 敬之)
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ちょうど一年前でタイに観光したことがある。バスで観光スポットなどをめぐりだけで、今回
の体験はより深刻だと思う。チュラロンコン大学の訪問で印象を残ったのは学生たちの熱情と元
気な様子である。理系の授業にも参加したが、学生のみんなは積極的に前の席に座って、先生の
質問をグループで解決する。これは東工大の授業雰囲気ちょっと違って、楽しい授業でした。ま
た、様々な王立プロジェクトに参観して、タイの農業生活を体験した。風景はとてもきれいし、
いろんな農業知識を学んだ。楽しかった。ゴミ処理場や研究室の訪問もよかった。専門以外のこ
とも学んで、視野も広げてよかった。そして、研究所のスタッフのみんなも親切的に接していた。
訪問以外の時はチュラ大の学生さんたちと一緒にバンコクの観光スポットにいった。想像と違
って、バンコクはたくさんの高層ビルがあって、夜になってもにぎやかである。物価も安い。象
を乗って、タイマッサージを体験し、バンコクを満喫した。チュラ大のみんなはとてもいい人で、
暑い日だったが、熱心で案内してくれました。当地有名な屋台に連れて、本場のタイ料理を味わ
って、すごく美味しかった。ファヒンにいった日の夜、みんなと海岸で晩御飯を食べて、しゃべ
っていた。最後カードゲームもやって、なかなか楽しかった。派遣にいく前に、自分の英語力に
あんまり自信がないので、結構心配した。実際、みんながとてもいい人で、ストレスがなくて、
自然に会話ができた。嬉しかった。チュラ大の学生さんだけではなく、当地の人々みんなは笑顔
をして、優しく接した。タイ料理も美味しかった。
普通の旅行で体験できないことをたくさんやって、有意義な旅だと思う。
(蒋 エキテイ)
このプログラムを通して、ノンタブリー県の廃棄物処理場が最も印象的だった。家庭などか
ら出たゴミが焼却されることなくそのまま積み上げられ土で覆っている状態でマスクなしではい
られないほど異臭を放っていた。近くには廃棄物の積み上げられた山から流れ出た茶色の汚染水
がたまっていた。バンコクを訪れてみて、道路はきれいで、ビルが立ち並びその間を縫うように
して高架鉄道があり、発展した大都市という印象を受けていたが、廃棄物処理場では日本との大
きな違いを感じた。 私は 10 月から始まったチュラ大とのグループワークの授業をとっていたの
でこの派遣に参加することになった。 グループワークで毎週顔を合わせ、12 月には日本で同じ
メンバーと会うことができたので、タイに行く前にすでにチュラ大の学生と友達だったのでさら
に仲良くなることが出来てよかった。 休日にはチュラの学生と王宮や寺院をまわって案内しても
らった。前に自分でバンコクを訪れたときは質問できる人もいなかったので看板を読んだり写真
を撮ることくらいしかできなかった。しかし、今回は友達に質問しながら見てまわることができ
たので今まであまりわからなかったタイの仏教についても知識を深めることができた。 また、グ
ループワークの授業でタイと日本の違いについてディスカッションした後に、グループワークの
テーマである廃棄物、交通、災害に関連した施設を両方の国で訪れることができ、実際に見て比
較することができたので非常に良かった。
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このプログラムがこのようにとても充実したものになったのは素晴らしいコンテンツを用意し
てくださった先生方と毎日のように付き添ってくれた学生さんのおかげです。チュラロンコン大
学の先生方と学生の方々には本当に感謝しています。ありがとうございました。
(上田莉奈)
短期派遣全体を通しては、自分の語学力不足を痛感し、語学力のなさに苦しんだ 10 日間でした。
言いたいこともあまり言えず、本当に必要な疑問などしか質問出来なかったり、学生と話してい
ても、7 割ほどしか理解出来なかったりと、今まで語学の勉強を怠っていた自分を恨み続けまし
た。しかし、タイの学生と交流を図るには英語しかないことで、少しずつ会話の回数を増えたり、
ジェスチャーなどを使って、伝えられるようになったりと、本気で伝えようとさえすれば伝わる
ということも改めて、直に感じることができて本当に良い経験となりました。また、タイは日本
と同じで、母国語が他にあるのにも関わらず、多くの人が英語を話すことが出来、また授業など
は全て英語を使用しており、感銘を受けると同時に、ふとした、分からない言葉などは、タイの
言葉を使っていて、日本と同じ部分も見え、これからの自分の励みともなりました。チュラ大の
方々には朝から晩まで、ずっと、私達のサポートをして下さり、そのおかげでとても充実した派
遣生活を送ることができたことに感謝します。
また数多く訪れた訪問施設では、日本の技術力の高さを改めて感じ、世界が全体として豊かに
なるためにも、日本の技術を様々な国へ提供していく必要性を感じました。日本の技術を用いた、
地下鉄などはとても心地良く乗ることができ、私達の泊まった場所周辺はとても発展しており、
東京と変わらないほどであったことはとても意外でした。しかし、日本では考えられないほど、
貧しい地域もあり、格差の大きさの問題を考えさせられ東南アジア地域の問題を垣間見た気がし
ました。また日本とは、違い王国であること、仏教が根付いていることも、発展の仕方などに関
わっているのではないかと感じ、様々な感性を養うことのできる派遣でありました。
今回の派遣を通じて、語学不足を痛感すると同時に、日本にはない、学生の勉学に取り組む姿
勢を肌で感じ、海外で勉強したいという意識がとても強くなりました。また、将来の留学では、
多くの学生と交流でき、また様々な国籍をもつ学生の集まる大学で勉強がしたいという、具体的
なイメージも持つようになりました。この派遣で得たもの、感じたものを忘れないで、これから
の学生生活をもっと有意義に送りたいです。
(織茂
45
奈津美)
タイの超短期派遣プログラムは自分が想像していた以上に充実したプログラムでした。
何より嬉しかった事が、留学を実際にする前から現地の学生たちと友達になれた事。交換留学と
いう形を取っていたために、12月の中旬にタイの学生たちが本校に出向いてくれて友達になっ
て連絡先を交換して留学までの数ヶ月も連絡を取り合ったりして留学に対して何の抵抗もなく現
地についてからもすぐに馴染む事が出来ました。
自分は英語力に不安があったためになかなか話せないのではないか。という不安もありました。
しかし、タイの学生はいつも優しく話しを聞いてくれ、自分たちと積極的にコミュニケーション
を取ろうとしてくれました。“笑顔の国”のタイを言われるだけあって本当に優しく接してくれ
る現地の学生や先生、そして雨も降らず温かくて過ごしやすい気候、何よりも安くておいしい料
理、そのすべてによってタイに留学しに来て本当に良かった!という気持ちになりました。自分
の中で一番心に残った思い出は一日だけ与えられた一日を使って自由に観光できた事です。今ま
での個人的な旅行は留学のプログラムや家族の旅行はパックに縛られて団体行動が基本でした。
そのために自分の行きたい所に行くというよりも受動的に決められた場所に移動して観光するだ
けでした。しかし移動の慣れていない国ではそれも不安で自ら一人で旅行する事も出来ませんで
した。しかし今回は現地で仲良くなったチュラロンコン大学の生徒さんと一緒に一日の観光ルー
トを相談しながら決める事が出来て、留学ならではとても良い経験が出来たと思います。最後に
このような留学を出来るような機会を作ってくださり誠にありがとうございました。このプログ
ラムで培ったかけがえのない経験を基にこれからも世界で活躍できる一科学者になれるように
日々努力をしていきたいと思います。タイと言う国だったからこそ、密度の濃い10日間を過ご
せたと思います。タイにまた行きたい!
(松本 拓巳)
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