自動車部門を中心とした 世界のエネルギーおよび

Transport Future Workshop
第2回 自動車とエネルギーに関するワークショップ
自動車部門を中心とした
世界のエネルギーおよび運輸需要予測
平成24年3月29日
日本エネルギー経済研究所
末広 茂
1
はじめに
【背景】
化石燃料の価格高騰や資源問題、地球温暖化問題など、エネルギー・
環境に関するさまざまな課題が表面化している。
新興国のモータリゼーションの進展を背景に、石油需要及びCO2排出
量が増加することが見込まれている自動車輸送部門についての議論は
特に重要になってきている。
【目的】
運輸部門・自動車部門を中心とした2050年までの世界のエネルギー需
要の予測シミュレーションモデルの開発とマクロシナリオの構築
禁無断転載
2
「IEEJ2050モデル」の構造
【分析対象】 世界のエネルギー需要、エネルギー起源CO2排出量
【予測期間】 2010年~2050年 (5年刻み)
【地域区分】 16カ国・地域
【モデル構造】 (A) 最終エネルギー消費部門 (産業、民生、交通)
(B) エネルギー転換部門 (発電、熱供給、水素製造など)
(C) 一次エネルギー消費部門 (CO2排出量含む)
とくに、交通部門については、詳細なサブモデルを構築
地域
モデル区分
北米
①米国、②カナダ
中南米
③ブラジル、④他中南米
ヨーロッパ
⑤OECD欧州、⑥ロシア、⑦他欧州
アジア太平洋
⑧日本、⑨中国、⑩インド、⑪韓国、⑫ASEAN、⑬オセアニア、⑭他アジア
中東
⑮中東
アフリカ
⑯アフリカ
禁無断転載
3
「交通部門」の構造
【モデル構造】 旅客部門:乗用車、バス、バイク、鉄道、船舶、航空
貨物部門:トラック、鉄道、船舶、航空
【乗用車、トラック】 フロー・ストック積み上げモデル
(新車)車種構成・燃費 → (保有)車種構成・燃費
動力技術別
燃料種別
ガソリン
軽油
LPガス
天然ガス
内燃機関
[ICEV]
内燃機関+モーター
【ハイブリッド車[HEV]】
①ガソリン車
⑤ガソリンハイブリッド車
⑥プラグインハイブリッド車
(※電気併用)
②ディーゼル車
⑦ディーゼルハイブリッド車
モーター
【ゼロエミッション[ZEV]】
③LPガス自動車
④天然ガス自動車
電気
⑧電気自動車
水素
⑨燃料電池自動車
⑩プラグイン燃料電池車
(※電気併用)
禁無断転載
4
2050年までの主要な前提
人口
10
GDP
【 Population】
bil.persons
140
tril.$(2oooprice)
【 Real GDP (MER base) 】
non-OECD
:Others
120
8
non-OECD 100
:Others
80
6
non-OECD
:ASIA
non-OECD 60
:ASIA
40
4
2
OECD
0
2000
2010
2020
2030
2040
エネルギー価格
1,000 $/toe(2010price)
20
0
2000
2050
【Fuel Prices】
Oil
OECD
2010
2020
2030
2040
2050
◆2050年には2005年比約1.4倍の90億人。
増加分のほとんどが途上国による。
($120/b)
800
NG-JPN
600
($797/tLNG
NG-EU
400
)
NG-USA
200
Coal
($104/t)
0
2000
禁無断転載
2010
2020
2030
2040
◆世界のGDPの平均成長率は2.8%。
とりわけアジアは5.0%と高水準。
◆原油価格は2050年に実質で120ドル。
ガス価格は800ドル/t-LNGまで上昇。
2050
5
エネルギー需要見通しの結果
一次エネルギー(地域)
【 TPES by region】
Gtoe
25
一次エネルギー(エネ源)
25
Gtoe
【TPES by fuel type】
Renewables
Intl.Air&
20
Bunker
non-OECD 15
:Others
20
15
10
Nuclear
NG
non-OECD 10
:ASIA
5
OECD
5
0
2000
60
GtCO2
2010
2020
2030
2040
2010
2020
2030
2040
2050
【レファレンスケース】現行の各種政策の下、
技術が趨勢的に進展するケース
エネルギー起源CO2
【Energy-related CO2 emission by sector】
◆一次エネルギーは、2005年比約1.9倍に。
40
Generatio
n,etc.
Transport
ation
House,Buil
ding, etc.
Industry
30
20
10
禁無断転載
Coal
0
2000
2050
50
0
2000
Oil
2010
2020
2030
2040
2050
産業:1.8倍、交通:2.0倍、民生他:2.0倍。
◆石油:1.5倍、石炭:1.8倍、ガス:2.4倍。
化石シェアは依然として83%を占める。
◆ CO2排出量は、509億トン、約1.8倍に。
6
輸送需要の見通しの結果
旅客需要(機関別)
100
tril.pkm
【 Passenger demand by mode 】
Air
Water
80
Rail
Bike
60
Bus
40
Car
◆旅客需要は、2005年比約2.7倍に。
(アジア地域は4.4倍)
鉄道4.4倍、航空:3.4倍、乗用車:2.4倍
乗用車の機関分担率は44%
20
0
2000
2010
2020
2030
2040
2050
貨物需要(機関別)
70
tril.tkm
【Freight demand by mode】
Air
60
◆貨物需要は、2005年比約2.7倍に。
Water
50
Rail
40
Truck
30
(アジア地域は4.4倍)
トラックは3.0倍、機関分担率は51%に
20
10
0
2000
禁無断転載
2010
2020
2030
2040
2050
7
自動車保有台数の見通し
自動車保有台数(除二輪)
2.5
bil.unit 【 Automobile stocks(excl.bykes) by region 】
◆自動車保有台数(除二輪)は、
non-OECD
:Others
2.0
1.5
non-OECD
:ASIA
1.0
OECD
0.5
0.0
2000
2010
2020
2030
2040
Ownership rate
(unit/thou.persons)
米国
韓国
ロシア
他欧州
100
アセアン
◆乗用車:7.4億→21億台(2.8倍増)
二輪車:3.0→9億台(3.1倍増)
カナダ
中東
欧州OECD
◆先進国の保有率は、
他中南米
586台→721台/1000人。
中国
インド
増分のうち8割以上が途上国による。
日本
アフリカ
10
[2050年]
トラック:1.3億→3億台(2.4倍増)
オセアニア
ブラジル
[2005年]
バス:0.1億→0.3億台(2.2倍増)
2050
人口当たり自動車保有率
1,000
8.8億→24億台(2.8倍増)。
◆途上国:48台→204台。
先進国の4分の1程度の水準。
GDP per Capita
(thou.$/person)
[2000→2050]
2050年以降も普及余地は大きい。
1
0
禁無断転載
1
10
100
8
自動車保有台数・販売台数の見通し
自動車保有台数
2.5
bil.unit
◆アジア地域の自動車保有台数は、
【Car & Truck stocks by region】
World
2.0
1.8億→11億台(6.0倍増)。
[2005年]
1.5
ASIA
1.0
[2050年]
一方、日本は減少へ。
(7,600万→6,200万台)
0.5
Japan
0.0
2000
2010
2020
2030
2040
2050
自動車販売台数
160
【Car & Truck sales by region】
mil.unit
140
World
120
100
80
ASIA
60
40
20
Japan
0
2000
禁無断転載
2010
2020
2030
2040
◆世界の自動車販売台数は、
6,400万→1.5億台(2.3倍増)。
アジアでは、
1,700万→7,400万台(4.4倍増)。
一方、日本は減少へ。
(590万台→430万台)
2050
9
車種構成の見通し
新車ベース
【Share of Car & Truck Sales by type】
100%
HFCPHEV
HFCV
80%
◆自動車の販売構成比(2050)
世界)ICEV:59%、HEV:39%
アジア)ICEV:60%、HEV:38%
日本)ICEV:54%、HEV:43%
ZEV
EV
GICEPHEV
60%
DICEHEV
HEV
GICEHEV
40%
CNGV
LPGV
20%
DICEV
ICEV
GICEV
0%
2010 2030 2050 2010 2030 2050 2010 2030 2050
W o r ld
保有ベース
Asia
Japan
【Share of Car & Truck Stocks by type】
100%
◆自動車の保有構成比(2050)
世界) CEV:65%、HEV:34%
アジア)ICEV:66%、HEV:33%
日本)ICEV:59%、HEV:40%
HFCPHEV
HFCV
80%
ZEV
EV
GICEPHEV
60%
DICEHEV
HEV
GICEHEV
40%
CNGV
LPGV
20%
DICEV
ICEV
GICEV
0%
2 0 1 0 2 0 3 0 2 0 5 0 2 0 1 0 2 03 0 2 0 5 0 2 0 1 0 2 0 3 0 2 0 5 0
禁無断転載
W o r ld
Asia
Japan
GICEV:ガソリン車、DICEV:軽油車、LPGV:LPG車、CNGV:CNG車
GICEHEV:ガソリンハイブリッド車、DICEHEV:軽油ハイブリッド車、
GICEPHEV:ガソリンプラグインハイブリッド車
EV:電気自動車、HFCV:燃料電池車、HFCPHEV:プラグイン燃料電池車
10
運輸部門エネルギー需要見通しの結果
エネルギー需要
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
Gtoe
◆運輸部門のエネルギー需要は、
世界計で2005年比約2.0倍に。
World
(アジア:3.7倍、日本:0.6倍)
【Energy in Transport sector】
ASIA
Japan
2000
2010
2020
2030
2040
2050
エネルギー起源CO2
12
GtCO2 【CO2 emmision in Transport sector】
Intl.Air&Bunker
PipeLine
Domestic Air
Domest. Water
Rail
Truck
Byke
Road
Bus
Car
10
8
6
4
2
0
2000
禁無断転載
2010
2020
2030
2040
◆運輸部門のCO2排出は2005年比1.8倍へ。
(※発電分を含む)
道路部門からのCO2シェアは
2005年 71%から61%へ低下。
国際航空・船舶部門は
2005年 15%から22%へ増加。
2050
11
日本の輸送需要の見通し
旅客輸送需要
貨物輸送需要
tril.pkm 【 Passenger demand by mode 】
1.4
0.7
1.2
tril.tkm
【Freight demand by mode】
0.6
1.0
Air
0.8
Water
0.6
Rail
Bike
0.4
0.2
0.0
2000
2010
2020
2030
2040
0.5
Air
0.4
0.3
Water
Bus
0.2
Rail
Car
0.1
0.0
2000
2050
Truck
2010
2020
2030
2040
2050
自動車保有台数
80
mil.unit
◆旅客需要は、2005年比 26%減。
【Automobile stocks(excl.bykes) 】
◆貨物需要は、2005年比 12%減。
70
60
50
Truck
40
Bus
30
20
Car
10
0
2000
禁無断転載
◆自動車台数:
乗用車:5,700万→4,800万台
トラック:1,800万→1,400万台
2010
2020
2030
2040
2050
12
日本の運輸部門エネルギー需要の見通し
エネルギー需要(除く国際航空・船舶)
Mtoe 【Energy demand in Transport sector】
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
2000
2010
2020
2030
2040
Bio-diesel
Bio-ethanol
Hydorogen
Electricity
CNG
LPG
Heavy fuel
Jet fuel Oil
Diesel
Gasoline
◆運輸部門(除く国際航空・船舶)の
CO2排出は2005年比41%減
MtCO2 【CO2 emmision in Transport sector】
250
(※発電分を含む)
Domestic Air
Domest. Water
Rail
Truck
Byke
Road
Bus
Car
200
150
100
50
0
2000
禁無断転載
石油シェアは98%→84%へ
石油はまだ太宗を占める
2050
エネルギー起源CO2
300
◆運輸部門(除く国際航空・船舶)の
エネルギー需要は2005年比38%減
2010
2020
2030
2040
道路部門は45%減
2050
13
まとめ
◆世界の輸送需要(人キロ・トンキロ)の伸びは大きい。
・世界の輸送需要:2005年比3倍増 (アジアは4倍増)
・世界の自動車保有台数:9億→24億台 (アジア2億→11億台)
◆運輸部門におけるエネルギー需要・CO2排出の伸びも大きい。
・世界のエネ需要・CO2排出:2005年比2倍増 (アジアは3倍増)
道路部門のCO2排出は2005年比1.5倍
国際航空・船舶部門は2005年比2.8倍
◆日本の輸送需要は減少へ
・輸送需要:2005年比2割減、自動車保有台数:7500万→6200万台
・輸送用エネルギー・CO2排出は2005年比4割減
新興国、特にアジア地域における運輸需要の急増が予想される。
アジアにおける自動車シナリオの詳細な分析が必要。
禁無断転載
14