平成 27 年度 公益財団法人納税協会連合会会長賞 私達を支えてくれて

平成 28 年度
近畿税理士会会長賞
ありがとう
御杖村立御杖中学校
二年
阪口
慶
ある日祖父の家を訪ねると、祖父が
「じいちゃんの左耳、聞こえにくくなってしもてん。」
と、言いました。私は、どうしたのだろうととても心配になりました。そして
とうとう祖父の左耳は聞こえなくなりました。これはおかしい、と思い病院で
いろいろな検査をしてもらうことになりました。すると鼻から耳につながるリ
ンパ節に悪性リンパ腫ができていることが分かりました。そのリンパ腫がほか
の部分にもできていないかを調べるために、PET 検査という検査をしてもらい
ました。この PET 検査というのは、特殊な検査薬で『ガンに目印をつける』と
いうものです。これは一回するのに一人十万円前後するそうです。
検査の結果、祖父の悪性リンパ腫は全身に転移していることが分かりました。
その悪性リンパ腫をなくすために祖父は、抗がん剤治療をしてもらうことにな
りました。抗がん剤は八回投与してもらいました。食欲が無くなったり、髪の
毛がぬけたり、手足がむくんだり、様々な副作用で祖父は苦しんでいました。
治療終了後、再度 PET 検査で確認すると祖父の悪性リンパ腫は無くなっていま
した。祖父にとってはつらい治療だったと思いますが治療のおかげで、だんだ
んと元気を取り戻し以前の祖父に戻りつつあります。
抗がん剤治療が終わり、祖父が
「じいちゃんらの年になったらこんだけしてもうても安うで済んだわ。」
と言っていたのでなぜだろうと思い調べてみることにしました。調べてみると
『後期高齢者医療』という言葉が出てきました。
後期高齢者医療というのは、七十五歳以上の人が加入する医療制度です。こ
れに入ると医療費の自己負担が一割になるそうです。また、一ヶ月の外来での
自己負担額は最高一万二千円だということも分かりました。祖父が投与した抗
がん剤は高額なものだとききました。服用する薬もたくさんありました。祖父
は、保険料も納めていますが、それだけではとうてい足りません。その足りな
い分は、税金から支払われているということを知りました。
この制度があったから、祖父も家族も安心して治療を受けることが出来まし
た。税金が祖父の命を長らえさせてくれました。
今の日本は少子高齢化の社会だといわれています。私が大人になったとき、
何人の高齢者を支えなければならないか分かりません。私が払う税金や保険料
が何人の支えになるかも分かりません。しかし、今の制度で多額の税金を使わ
せてもらい、祖父を助けてもらえたのだから、私も将来きちんと税金を払える
大人になり、恩返しができたらと思います。
治療が無事に終わり、祖父にも家族にも笑顔が戻りました。後期高齢者医療
制度に感謝します。ありがとうございました。