“略奪される日本経済:堀川直人著”を読んで

“略奪される日本経済:堀川直人著”を読んで・・・
宇都宮セントラルクリニック 理事・放射線科医 佐藤俊彦
皆さま、いつも大変お世話になっております。
GW は、ゆっくりされ、英気を養われたことと思います。
私は、例年のごとく、GW の前半はバンコク病院の田中さんのところでゴルフ合宿をし、
後半はサムイ島の W-re threat hotel に読書(何もしない・・・)の行程で出かけました。 バ
ンコクでは、40 度以上の炎天下のゴルフで熱射病になりかけました。かなりの暑さと日照
に悩まされる結果となりましたが、サムイ島は雲が多く、30 度前後で極めて過ごしやすく、
高速艇で 1 時間半程度の沖合のタオ島やナンユアン島は、スキューバやシュノーケルを楽
しむフランス人ツアー客でいっぱいでした。次いで多かったのが韓国人でした。
では、どうしてフランス人なのか?川村 朋子先生によれば、
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“フランス人は経済危機からアジアに逃避”(4 月 30 日付、ラ・トリビューン(フランス)
http://www.latribune.fr/actualites/economie/france/20120430trib000696178/les-francais
-sont-de-plus-en-plus-nombreux-a-fuir-la-crise-en-asie.html )
―アジアにおけるフランス人人口は、ロンドン在住フランス人の数より少ないとはいえ、就業者、
学生、退職者とも他地域とは比較にならない勢いで増加しているといいます。昨年度の仏人アジ
ア在住者は前年比 11%増加し、特にインドネシアでは 22%増、中国では 11.4%増となっていま
す。公式ベースで外国在住フランス人は 160 万人であり、うち 11 万人がアジア太平洋地域に在
住していると報道しています。
―在中国フランス商工会議所(CCIFC)によれば、1,379 のフランス企業が中国に進出しており、
アジア金融の中心地である香港、シンガポールでは毎年平均して 10%ずつ在住フランス人が増
加しています。
―タイやインドネシアでも、就業者の移住は少ないものの 2007 年度より在住者が 15%増加して
おり、生活費が安価なアジア地域に移住する退職者が増加していることを物語っています。
―東日本大震災と福島原発事故の余波を受け多数のフランス人が帰国した日本についても、ほと
んどの元在住者が戻ってきており、
公式ベースで 7,500 人と 2000 年度比で 41%増加しています。
―地理的に遠いアジア地域に、ビジネス関係者ばかりでなく、学生、退職者までもが移住してい
る点には、欧州経済危機の根深さが伺えます。また、大震災から 1 年しか経過しておらず、首都
圏大震災発生確率が 4 年以内に 7 割とも言われているにもかかわらず、大多数の避難外国人が日
本に戻ってきている点には注意したいところです。
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川村 朋子先生
(元外交官。大臣官房儀典官室、在フランス大使館、在ガボン大使館にて勤務。現在
は在仏日系企業に勤務。留学、外務省時代、現在と在仏歴通算 10 年。リヨン第二大学歴史学修士、リヨン
政治学院 DEA(博士予備課程に相当)。主な論文に「アンシャンレジーム期のリヨンの倒産・破産状況」「日
本の軍事問題の現状」がある。)
ゲルマン民族の大移動ではないですが、ヨーロッパは、確実に住民が南下しているように
思います。街の中の繁華街も、プーケット同様に欧米人で賑わい、暖かいところを目指し
ての移住が開始されている感じがしました。
5 月に太陽の地場の反転があるそうです。それにより大きな影響を受けなければいいのです
が、熱塩循環の停止による寒冷化と北極が S 局になることによる氷の融解・電磁波の太陽
風に注意が必要とのことです。
http://sankei.jp.msn.com/science/news/120420/scn12042007190000-n1.htm
すでに、動き出しているそうです。
さて、何冊か読書した中でも特に面白い本でしたので、
“略奪される日本経済:堀川直人著”
をご紹介申し上げます。国際金融アナリストである堀川さんは、東京大学法学部卒業後、
邦銀に入社。米国ペンシルバニア大学経営大学院ウォートンスクールで MBA(ファイナン
ス専攻)を取得後、一貫して国際金融業務に従事。ニューヨーク、ロンドンで通算 15 年勤
務し幅広くファイナンスを手がけていらっしゃいます。米国公認会計士資格も取得されて
います(主な著書:『ウォール街の闇』『国債大暴落の恐怖』『円高は日本の大チャンス』
以上、PHP研究所)。ぼくがこの本で面白いと思ったのは、以前から申し上げておりま
す、複合連鎖危機(地震・津波・原発事故・復興・復旧・日本国債危機(ソブリンリスク)・
社会保障制度崩壊)に関するソリューションを提言しているところです。これまで、私の
著書の中でも、複合連鎖危機は必ず起こるものなので、それに備えて、医者である私なら 3
つのソリューションを提言すると書いてきました。1)徹底的な予防医療で自分の身は自
分で守る。2)公的保険がダメなら、民間医療保険を購入する。3)日本の医療機関が潰
れれば、海外の医療機関とネットワークしてメデイカルツーリズムで対応する。これら 3
つを前作で提言したわけです。
著者が提唱するソリューションとは、“政府紙幣発行という究極の手法”で、国の歳入は、
①租税の徴収、②国債発行、③通貨の発行があるが、このうち③を活用するものです。日
本で流通しているお金には、2 種類あり、日銀が発行している日銀券と造幣局(財務省の独
立行政法人)が発行する政府紙幣(紙幣)であり、1000 円以上は日銀券、500 円以下の硬
化は政府貨幣となります。
政府は、政府貨幣を担保もなしに無制限に発行できます。政府紙幣は、額面金額―(原材
料費+印刷費)が政府の収入となるわけで、国債と異なり、利払いの心配も償還の義務も
ありません。
これに対して、日銀券は、発行した金額は日銀の負債の部に計上されます。したがって、
発行すればするほど日銀の負債は増えるところが大きな違いになります。
日銀が現在持っている約 1000 兆円の負債を消すためにはどうするか?政府紙幣 1000 兆円
を 1 枚発行します。これを日銀券に変更し、“国債償還準備金”として日銀に貯金するこ
とで、政府の債務を一般会計から切り離し簿外処理を行います。政府紙幣というエクイテ
イと国債というデッドの相殺(デッド・エクイテイ・スワップ)を実施するのです。
著者は、これで作った日銀貯金 1000 兆円のうち、400 兆円で“日本再生ファンド”を作る
ことを提言しています。ファンドは、日銀保証の付いた 400 兆円の債権を発行して政府に
渡します。政府は、日銀を通して市場から国債 400 兆円分を吸い上げて償還。同時に保有
している 400 兆円のファンドの債権を放出し、市場から 400 兆円分の現金を吸収します。
事実上、償還する国債と交換で、現金のかわりにファンド債権を手渡すことになります。
残りの 600 兆円は、長期国債あるいは短期国債の償還費用に当てればいいという考えです。
さらに、ファンド再生にて、①エネルギー自給体制の確立、②金融立国、③農業の工業化
事業、④レアアースなどの資源開発事業、⑤M&A によるオンリーワン事業への業態転換の
促進、⑥海外企業への投資事業、⑦胴元経済化への支援事業などを実施するとしています。
経済学を勉強していない私でも、日銀券と政府紙幣の違い、そしてデッド・エクイテイ・
スワップについてわかりやすく書かれていると感じました。皆さま、必読の本だと思いま
す。
これまで、欧州のソブリンリスク、とりわけギリシャを見るに付け、同じようになるので
はないかと?危惧していたのですが、この本には勇気づけられました。
さらに、最後に、今の政治家にはきちんと日本を導く人材がいないので、外国人を起用し
てはどうかという提言です。帝政ロシアの女帝アンナの時代の宮廷はドイツ人支配でした
し、江戸後期にロシアに漂着した大黒屋光太郎がペテルスブルグ宮殿で拝謁したエカテリ
ーナ二世や日露戦争の宰相ヴィッテもドイツ人でした。今の経済がわからない日本の政治
家ではなく、経済はグルーグマン教授、防衛はバウエルさんに依頼してはという提言です。
海外から見た日本の今をきちんと分析されている本だと思います。また、以前、政府紙幣
発行というオプションを民主党政府も検討していると報道がありましたので、もしかする
と実行されるかもしれませんね。
そうなったときにどうなるのか?ますます、情報リテラシーを磨いていかなければならな
いと感じました。
当クリニックでは、循環しているがん細胞 CTC(circulating tumor cells)を検出するテ
ロメスキャンの検査を開始しました。患者さんは、卵巣がんの術後の患者さんで、手術後、
抗がん剤の治療を実施しています。抗がん剤の効果判定のために、PET を実施したのですが、
PET では再発所見は認めず、腫瘍マーカーも陰性ですが、CTC 検査で陽性なので、腫瘤を形
成していないがんがまだ存在するということ、そして抗がん剤の効果が100%ではない
という判断で、PET で明らかな腫瘤形成が認められるまで BAK 療法を実施して注意深く経過
観察することに決めた患者さんです。これまでは、術後抗癌剤を実施して、PET で異常がな
く、完治と考えられていた患者さんでも数カ月後に遠隔転移が出現し、治療が後手後手に
なる例が多数存在していたのですが、この例のように、あらかじめ PET で確認できないが
ん細胞があることがわかれば、副作用のない BAK 療法やがんワクチン療法で治療しながら
経過観察ができ、新しいがんの術後経過観察方法として注目すべき知見であると思われま
す。
テロメスキャンで、蛍光染色されているのががん細胞で、これが10の9乗個に細胞分裂して
増殖すると1cm 大の腫瘤ができるとされている。5−1cm になると初めて画像で確認できるた
めに、これまではこのサイレントな期間をがんは治っていると評価されていた。これを確認す
るのが、テロメスキャンの目的である。
また、CMC 会員様で、BAK 療法を予防に使うメニューを開始されたかたがおられます。
これも注意深く経過を見てまいりたいと思います。
新しい医療技術をいち早く臨床に取り入れていく意向に何ら変わりはありませんので、今
後とも、ご支援の程、よろしくお願いします。