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パワフィルタ
電源回路の高調波ノイズ対策
パワフィルタ(
KHLCシリーズ)
単体の動作では問題のないメモリやロジック回路が、ボード上に組み込まれ、多段のロジック回
路に構成されるとEMI
/EMC問題が発生します。
これはLSI
やI
C等が複数個組み合わされたロジック回路の中で、それぞれの半導体が作り出
す高調波が、バイアス電源側に漏れ出したり、逆に他の半導体が発生させた高調波が電源か
ら入ってくることによって、複合高調波として電源に分布することが原因です。
パワフィルタ(
KHLCシリーズ)
を電源ライン(
BI
AS回路)
に入れることにより、LSI
やI
C等への
高調波ノイズの進入と漏洩を阻止することで、誰でも簡単にEMI
/EMC問題が解決できます。
電子回路の不要な電波を阻止する根本的なEMC対策
現在、電子機器業界のほとんどの企業で行われているEMI
/EMC
対策は、基板から出てしまった不要な電波(
ノイズ)
をとるために既存
のEMI
/EMC対策部品を追加するという方法がとられています。
しかし、デジタル機器の高速化・高機能化が急速に進むにつれ、ノイ
ズ問題が顕著になり、従来の方法では対応しきれなくなってきています。
パワフィルタ (
KHLC‑
04s)
また、これらの対策部品メーカー側も、部品が使用されている商品が高
性能化するたびに、対応しきれなくなった部品を改良して一時しのぎを
繰り返すだけで、根本的な対策がとられないできているのが現状です。
のパワフィルタは、電源回路に入れることによってI
C等の不要
な電波の進入・漏洩を完全に阻止して、EMI
/EMC問題を根本的に
解決するという全く新しいコンセプトの電源用フィルタです。
パワフィルタ (
KHLC‑
04d)
電源回路には高調波が重畳しやすい
直流
I
Cは、全て直流(
DC)
電源で動作しています。
直流電源は、交流電源と異なり、一定に保たれた(
じっとしている)
電位であるため、I
C自体が作り出す交流信号(
高調波)
は電源端子
を通って、簡単に直流(
DC)
電位に重畳してしまいます。
直流電源は、動かないために高調波がのりやすい
デジタル電子機器のクロックが低い周波数で利用されていた時代
には問題になりませんでしたが、高速伝送が実用化され、周波数が高
くなり高調波の帯域が急激に広がると、パスコンを用いた従来の方法
交流
では対応できないことから、EMI
/EMC問題を引き起こす原因となっ
ています。
ケイアールエフエム株式会社
http:
//www.
kr
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co.
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mai
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es@kr
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SEP 2002
1/4
パワフィルタ
見過ごされてきた直流電源の高調波対策
クロック信号に含まれる高調波分布(成分)を、オシロスコ
ープ(
タイムドメイン)
を用いて観測しても、信号や電源に
重畳されている高調波を観ることはできません。
デジタル技術分野では、スペクトラムアナライザなどの周
波数ドメインの測定機器が使われていないため、高調波
の重畳については理解されにくい状況にあります。
そのため、直流電源に重畳される高調波に対する根本的
な対策がとられないまま、次々と要求されるままに、高速
化対応製品の開発が行われてきたのが現状です。
オシロスコープ(特殊変調波)
スペクトラムアナライザ
横軸が時間変化[電圧成分]
横軸が周波数分布[
成分]
EMI
/EMC問題の最大の原因は直流電源に重畳される高調波
デジタルクロック信号(
矩形波、方形波)
が、正しく、高速に
伝搬(
伝送)
されるためには、その基準の周波数の7次から
11次.
.
.という、元の10倍以上の周波数帯域まで広がる高
調波成分が、信号伝送ラインを伝搬しなければなりません。
デジタルクロック信 号 が高 速化すればするほど、この高調
波の帯域は、急激に広がります。
しかし、これらの高調波は、信号伝送ライン以外の場所では
不要かつ有害なものです。なぜなら、このような高調波を電
源ラインに垂れ流したり、電源を通して他のI
Cに送り込んだ
りすることが、EMI
/EMC問題の最大の原因だからです。
EMI
/EMC問題の放射スペクトラム(
例)
低周波
クロックの立ち上がり速度
<
0.
7ns
>
3.
06n
s
クロック周波数
133MHz
Tf1
Tr1
0 399 931
133 665
クロックの立ち上がり速度
<
0.
35ns
>
3
次
5
次
Tr1
1.
53ns
Tf2
高周波
266MHz
0
266
798
1330
1GHz
7
次
1862
2GHz
9
次
2394
1
1
次
2926
1
3
次
1
5
次
3458
3990
3GHz
4GHz
<デジタルクロックと高次調波成分>
ケイアールエフエム株式会社
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パワフィルタ
パスコンを複数使用しても
広い帯域にわたる高調波は阻止できない
一般に使用されているパスコン(
Bypas
sCapaci
t
or)
は
個々の容量値、製品材料等により、固有の共振周波数を
持つとともに、周波数帯域から見ると非常に狭い周波数範
囲しか、バイパスさせることができません。
0
パワフィルタ
減衰値 (dB)
‑
20
広帯域のデカップリングを行うためには、異なる帯域のコン
デンサを、複数個組み合わせて使用するのが最良であると
云われてきました。
しかし、電子装置の小型化・多機能化・高速化が求められ
る現在、マイクロ波帯域を超えて広がる高調波を阻止する
ためには、コンデンサだけでは不可能で、インダクタなどの
受動素子部品を複数個組み合わせなければ、今日の広帯
域には対応することができなくなりました。
K
HL
C
‑0
2
s
既存のコンデンサ
(1608タイプ)
‑
10
パワフィルタ
既存の
広帯域フィルタ
K
HL
C
‑0
4
d
‑
30
‑
40
‑
50
‑
60
‑
70
‑
80
0
1
00
0
2
00
0
3
00
0
4
00
0
周波数(MHz)
5000
6000
既存のフィルタとパワフィルタとの周波数特性の比較
このようにいくつもの部品を使用しなければならないために、
EMCを考えた回路や実装設計はより複雑化してきました 。
また、多くの部品を実装することによりESR(高周波領域での抵抗成分)
やESL(高周波領域でのインダクタンス成
分)が増加して、発熱や高速の電流変化に反応する電圧降下まで問題になってきました。
広い帯域にわたる高次調波を阻止するパワフィルタ
パワフィルタは、周波数帯域の異なる
コイルフィルタの、20GHz帯域までのパラシティックを計算に入
れてシミュレーションを繰り返しながら、ベストに組み合わせられたハイブリッド・
タイプの帯域阻止フィルタです。
下は、音声帯域の10数kHzから、上はパスコンでは到底対応できないKバンド帯域までの広い帯域にわたり、高調
波(
ノイズ)をカットすることができます。
(近年10GHz帯域まで伸びた3端子の貫通コンデンサが発表されましたが、残念ながら従来通りの回路基板実装
ではGNDの問題で、周波数帯域が半分も伸びません。コンデンサでの広帯域阻止の困難さを物語っています。)
マイクロインダク、
製 品 名
コイルフィルタ、
パワタフィルタの対応周波数帯域
周波数帯域(
G
H
z
)
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
1
1
1
2
1
3
1
4
1
5
1
6
1
7
1
8
1
9
2
0
K
H
L
C
‑
0
7
d
K
H
L
C
‑
0
6
d
パワ
フィルタ
K
H
L
C
‑
0
6
s
K
H
L
C
‑
0
4
d
K
H
L
C
‑
0
4
s
K
F
1
‑
0
9
‑
5
コイル
フィルタ
K
F
2
‑
1
3
‑
4
K
C
3
‑
0
5
T
マイクロ
インダクタ
K
C
3
‑
0
6
T
K
C
3
‑
0
7
T
K
C
3
‑
0
8
T
※
標準的な周波数特性の製品を表示しました。帯域は、−20dBラインの帯域です。
マイクロインダクタは、OEM出荷品です。
ケイアールエフエム株式会社
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パワフィルタ
<既存のパスコンを使用した場合>
Vcc
+電源
信号
ライン
I
C1
信号
ライン
I
C2
信号
ライン
I
C3
信号
ライン
パスコンでは
切れとれなかった
不要な電波が
すべて電源ラインに
重畳される
−電源
<パワフィルタ(KHLC)を使用した場合>
Vcc
+電源
KHLC
信号
ライン
I
C1
KHLC
信号
ライン
I
C2
完全にカット
KHLC
信号
ライン
I
C3
電源ラインの
不要な高調波を
信号
ライン
−電源
ケイアールエフエム株式会社
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