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esp@cenet を使って
自分でできる対応特許検索
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サイトプロデューサー
野崎篤志
esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
はじめに
本レポートをダウンロードしていただき、ありがとうございます。
日本の特許電子図書館(IPDL)、米国の Patent Full-Text and Full-Page Image
Databases、そして欧州特許庁の esp@cenet の 3 極データベースをはじめと
して、無料で使用できるデータベースが整備されてきました。
本レポートでは欧州特許庁の esp@cenet を使って、対応特許検索・パテ
ントファミリー調査を行う方法について解説しています。
esp@cenet が無料だからといってバカにしてはいけません。
esp@cenet では無料で提供されているますが、実は収録されている元の
データは有料で提供されているものです。覚えておけば非常に役に立ちま
すし、費用の節約にもなります。
このレポートを読んで、あなたがご自分自身でパソコンを操作して、
esp@cenet を使った対応特許検索・パテントファミリー調査の方法を体得
していただきたいと思います。
2006 年 12 月 10 日
野崎篤志
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esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
目次
はじめに ...................................................................................................................................2
目次 ..........................................................................................................................................3
1. ESP@CENET とは ...............................................................................................................4
2. 対応特許とは........................................................................................................................5
3. 対応特許検索を行うメリット ...............................................................................................6
4. ESP@CENET を使った対応特許検索 ...................................................................................7
4-1. ESP@CENET へのアクセス...............................................................................................7
4-2. ESP@CENET のインターフェース ....................................................................................8
4-3. NUMBER SEARCH のインターフェース .............................................................................9
4-4. EP 特許の対応特許を検索する .....................................................................................10
4-5. 日本特許の対応特許を検索する ...................................................................................14
URL 一覧 ................................................................................................................................20
ご質問・ご要望は・・・.........................................................................................................20
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esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
1. esp@cenet とは
esp@cenet(エスパセネットまたはイスパセネットと読みます。エスパセ
やイスパセと省略形で呼ぶことが多いです。ちなみに、私はエスパセと読
みます)は、ヨーロッパ特許庁(EPO: European Patent Office)が無料で提
供している特許検索データベースです。
「ヨーロッパ特許庁のデータベースだから
ヨーロッパの特許しか調べることができないんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、esp@cenet にはヨーロッパの特許(EP 特許、ド
イツ・イギリス・フランス特許など)以外に、アメリカ特許、日本特許、
WO 特許(国際特許)など、全世界の特許を収録しています。
情報が豊富に収録されている esp@cenet。このレポートでは esp@cenet
を使った対応特許検索の方法を解説していきます。
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esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
2. 対応特許とは
対応特許検索・対応特許調査という言葉は聞いたことがあるでしょう
か?とその前に、対応特許とは何か知っていますか?
対応特許とは、1 つの発明に基づいて複数の国(アメリカ・ドイツなど)
や機関(EPO など)に対して出願された特許を指します。そもそも特許
は、日本の特許は日本でしか効力が及ばず、米国の特許は米国でしか効力
が及ばない、つまり権利を取得した国・地域でしか効力が及びません。
例えば日本企業のA社が日本特許庁に特許出願を行います。日本で登録
特許になれば、その特許で権利主張を行うことができますが、アメリカで
は権利主張を行うことができません。もしもアメリカでも権利主張をした
いのであれば、アメリカ特許庁(USPTO)に出願しなければいけません。
このようにある 1 つの発明に基づいて、まず日本企業であれば日本へ特許
出願をします。その後、この日本特許を基にして、優先権主張を行い、ア
メリカや欧州特許庁など外国へ特許出願を行います。
このようにしてアメリカや欧州特許庁へ出願された特許を日本特許の対
応特許と呼びます。また、対応特許の集まりをパテントファミリー(特許
ファミリー)と呼びます。esp@cenet を使うと、この対応特許検索・パテ
ントファミリー調査を無料で行うことができるのです。
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esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
3. 対応特許検索を行うメリット
対応特許を調べるとどのようなメリットがあるのでしょうか?以下に 2
つのメリットを挙げてみました。
気になる特許が外国へも出願されているか確認できる
競合他社と日本国内のみならず、海外でも激しい競争を繰り広げてい
るとします。そのような場合、競合他社の出願した特許が海外へも出
願されていないか絶えずチェックして、競合他社の出願動向の把握と
自社の出願戦略に役立てましょう
気になる特許が英語(またはドイツ語など日本語以外の外国語)である
場合、対応特許として日本特許があれば、日本語で内容を確認できる
海外の企業から警告状が送られてきました。警告状に外国語の特許明
細書が添付されていました。特許の内容を確認するためには外国語の
明細書を読まなければなりませんが、やはり手間がかかります。その
ようなときに対応特許検索をして、日本特許が対応特許として発行さ
れていないか調べてみましょう。もしも対応特許として日本特許が発
行されていれば、特許の内容を把握する労力は半減するでしょう。
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esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
4. esp@cenet を使った対応特許検索
それでは実際に esp@cenet を使った対応特許検索の方法について見てい
きましょう。ここでは、ある日本特許の公開番号が分かっていて、その日
本特許の対応特許を調べる、という状況を想定しています。
4-1. esp@cenet へのアクセス
早速、esp@cenet のウェブページへアクセスしてください(日本語イン
ターフェースがありますが、英語版をベースに説明していきます)。
http://ep.espacenet.com/
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4-2. esp@cenet のインターフェース
まず esp@cenet のインターフェースから説明しましょう。
トップページの左側には、
サーチ項目
説明
Quick Search
初心者用検索
Advanced Search
高度な検索(検索項目の組み合わせ)
Number Search
番号検索(出願・公開・優先権番号)
Classification Search
分類検索
の 4 つのサーチメニューが並んでいます。今回は「ある日本特許の公開
番号が分かっていて、その日本特許の対応特許を調べる」という状況を想
定していますので、Number Search を使います。
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4-3. Number Search のインターフェース
esp@cenet の Number Search のページへ行きましたか?
http://ep.espacenet.com/numberSearch
Number Search のページは
1. Database
2. Enter number
の 2 つに分かれています。
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項目
説明
1. Database
Select the patent database in which you wish to
search(あなたが調べたいデータベースを選択して
ください):
■選択項目
EP – esp@cenet
World Wide
WIPO – esp@cenet
2. Enter number
Enter either an application, accession, publication
or priority number with or without country code
prefix(出願番号、またはアクセッション番号、公
開番号、優先権番号を国コードを付けて/付けずに
入力してください)
■入力例
US7000000
EP1234567
WO03075629
4-4. EP 特許の対応特許を検索する
まずサンプルとして、EP1234567 の対応特許を検索してみましょう。次
ページに示すように、データベースは“World Wide”をプルダウンメニュ
ーから選択し、“EP1234567”とブランクに入力してみましょう。
1. Database
World Wide
2. Enter number
EP1234567
データベース“EP – esp@cenet”を選択すると EP1234567 がヒットしま
せん。EP – esp@cenet は最新 24 ヶ月分の EP 特許を調べるためのデー
タベースだからです。
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SEARCH ボタンを押すと、EP1234567 の特許の書誌的事項が表示されま
す。この表示形式では発明の名称、出願人、発明者、特許分類(国際特許
分類・欧州特許分類)、公開番号、公開日が表示されます。
Applicant:出願人(企業・機関)
発明の名称
IPC:国際特許 分類
Inventor:発明者
EC:欧州特許分類
Publication Info:公開特 許情報(公開番 号 – 公開 日)
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発明の名称“A combined intraframe and interframe transform coding method.”
をクリックしましょう。すると、ドキュメントビューに切り替わります。
対応特許をチェックするためには、View INPADOC patent family をク
リックします。
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左上を見てください。
Family list
9 family members for: EP1234567
とあります。これが EP1234567 のパテントファミリーです。つまり、
EP1234567 の対応日本特許は JP2002256010(特開 2002-256010)、対応米国
特許は US7091258(登録)、US2002152930(公開)となります。特許番号
の先頭 2 桁は国コードです。CA はカナダ、DE はドイツ、EP は欧州特許、
JP は日本、US は米国です。また、特許番号の末尾に A1、A2、A3 や B2
などの記号がついていますが、この記号は権利状況を示しています。A は
公開系公報、B は登録系公報であることを意味します。よって EP1234567
の対応日本特許は登録まで至っていること(特許第 3683861 号)も、この
ファミリーリストから把握することができるのです。
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4-5. 日本特許の対応特許を検索する
前節ではサンプルとして EP 特許の対応特許を検索する例を示しました。
日本特許の対応特許を検索もまったく同じ流れです。
それでは、何が異なるのか・・・・?それは特許番号の入力形式です。
日本の特許番号を esp@cenet で検索する際は、esp@cenet の入力形式に変
換した上でブランクに入力する必要があります。
特許番号の入力方法ですが、基本は
(公開)
国コード + 暦 + 6 桁一連番号
(登録)
国コード +
7 桁一連番号 + B2
の組み合わせとなります(以下の esp@cenet 形式への変換例を参照)
esp@cenet 形式
特許番号
特開 2005-100461
→
JP2005100461
特許第 3267512 号
→
JP3267512B2
特開昭 46- 12345
→
JP46012345
特開平 2-
1080
→
JP2001080
特開平 10- 30153
→
JP10030153
特開 2004-201405
→
JP2004201405
※桁揃えを忘れないようにするのがコツです
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それでは、中村修二氏(現在カリフォルニア大学教授)の職務発明裁判
で有名になった特開平 4-164895(特許第 2628404 号)“”を例にして、対
応特許を検索していきましょう。
まずは日本の特許番号から、esp@cenet 形式への変換です。
esp@cenet 形式
特許番号
特開平 4-164895
→
JP4164895
特許第 2628404 号
→
JP2628404B2
いずれの番号を入力しても同じ結果が得られます。ここでは登録番号の
方を使っていきましょう。
データベース“Worldwide”を選択し、ブランクに JP2628404B2 を入力
して SEARCH ボタンを押します。
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特許第 2628404 号の特許の書誌的事項が表示されます。登録番号で検索
していますが、以下の書誌的事項では公開番号である JP4164895 がひょう
じされています。
発明の名称をクリックすると、ドキュメントビューが表示されます。
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View INPADOC patent family をクリックして対応特許をチェックする
と、ファミリーリストが表示されます。
検索した特許第 2628404 号は 5 つ目のグループに入っています。職務発
明で話題となった 404 特許は DE(ドイツ)、EP(欧州)、JP(日本)、US
(米国)の 4 つの地域・機関に出願されていたことが分かります。また、
404 特 許 に は JP4284623 ( 特 開 平 04-284623 )、 特 許 第 2556211 号
(JP2556211B2)という日本の対応特許があることも分かりました。
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esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
いかがだったでしょうか?
esp@cenet を使うと、対応特許検索・パテントファミリー調査を、自分
で、無料で、簡単にできることがお分かりいただけたかと思います。
是非ともご自分で、実際に esp@cenet を使って、対応特許検索・パテン
トファミリー調査の方法を体得してください。
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esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
ちょっとしたコツ――――――――――――――――――――――――――
Family list
9 family members for:
の上に
□ Compact | Print
とあります。上の図では Compact にチェックを入れているため、発明の名称と
特許番号・公開日のみが表示されています。Compact のチェックを外すと、発
明の名称、発明者、出願人、EC(欧州特許分類)、IPC(国際特許分類)、特許
番号・公開日が表示されます。
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URL 一覧
■ヨーロッパ特許庁
http://www.european-patent-office.org/
■esp@cenet
http://ep.espacenet.com/
■esp@cenet Number search
http://ep.espacenet.com/numberSearch
ご質問・ご要望は・・・
本レポートについてご質問などがありましたら、
webmaster@e-patentsearch.net
までご連絡下さい。お恥ずかしい話、レポートの内容に誤り等がありまし
たら、ご指摘いただければ幸いです。
レポートタイトル
図解 esp@cenet を使って自分でできる対応特許検索
レポート作成日
第1版
レポート作成者
野崎
2006 年 12 月 10 日
篤志
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