1 0 6 昭和 4 6 . 1 0 第1 1号鋳鉄管随筆主流とする広域行政の考え方との聞にはまだまだ開きがあり、時三代の j 荒れということだけでは展開は望み得ない。同一市町村内の水道普及率 100%達成をまって初めて解決できる問題であろうか。行政は等しく平等で、あることが理想であるが、企業経営は住民福祉の公平化とは必ずしも一致しない D 国鉄経営が中央経済路線と地方行政路線をめぐって論議されてきた実情を、水道企業も他山の石として考えなければならない。さもなくば、今後必ず多くの論議を生むところとなりそうである。ちなみに水道事業においては上水道地域と簡易水道地域が存在しているが、この経営のあ 3 . 地方公務員法、地方公営企業法等、取扱い法令の多様性水道事業者としては水道法を基本として事業を進めることは申すまでもないが、経営の実際にあたっては、地方公務員法、地方公営企業法、地方公営企業労働関係法、労湖基準法等、まことに多種多様、複雑多岐な諸法令に準拠しなければならなし凡その考え方の背景は同一で、あっても、同一地方公共団体のその他の行政部門とは拠(よ)るべきところを異にしていることが多く、業務遂行にかなりの支障を与えている。これは、表面化しない見えざる水道事業の盲点、である。り方は、今後も守らねばならない一つの方向ではなかろうか。エノハ釣り福岡県企業局長岩辺清磨工ノハ釣りの楽しさ陸封されたものだそうである。ホンマスはサヤマメのことを九州ではエノハと呼んでいケよりも上流にのぼり、本能の命ずるままにる。渓流釣りの面白味を知ったのは、小学校激流や滝を遡り、そこで夏を過ごし、秋をま時代のことである。とくにエノハ釣りに興味って産卵する。親魚はそこで、弱りはてて死を覚えてすでに 40数年になる。んでしまう。瞬化した子魚は川を下る。そしと渓谷の女王とともいわれるこのエノハの容て海でホンマスに成長するのである。しかし姿は、その鮮麗さにおいては、まさに川魚の仔魚が、異状渇水または何かの原因で、海に女王である口ヤマメもご山女魚とと書かれる下ることができず、渓流に残され、幼魚のまのも、その姿からそう書かれるようになったまの形で成長し、長い長い年月を経て、エノのだろう。人里を遠く離れた山奥の渓流に棲ハになったものといわれている。み、その数も少なく、一般の人とは縁の遠い珍重な魚で、まさにまぼろしの魚である。このエノハは、サケ科に属するホンマスのこうしたまぼろしの魚エノハを、深山の渓谷にはいり、探りながら釣り歩るくのは、また格日リである。 1 0 7 随筆山鳥渓流釣りの楽しさは、ただエノハを釣るだけではない。静かな谷間のせせらぎや小鳥の附き声を耳にし、美しい山の景色を眺めなが力されておられることは、この上もない喜びである口エノハの性質はかなり複雑で¥動作がすばら、竿を静かに動かしていると、岩苔の香りやく、ずるがしこいことにかけては、渓流魚が谷聞を流れてくる風にのって鼻をつく。の中で第ーである。大の食いしんぼうであるこのように、長い間エノハを釣っていると、が、反面また非常に用心深い。チラット動く山の釣でなければ味あうことのできない沢山人影や、水面をかすめる鳥の影でさえも、姿の楽しみが、だんだんと加わってきて、今でを消しでかくれ場から出てこない。そのくせ架山をさまよい、は、釣りばかりではなしに、 j に水の中では眼を光らせ、流れてくる餌をね大自然にとけこんでいく楽しさも加わって、らっている。餌を見つけたら、隼のごとくと釣りの趣味をますます深くさせてくれる。びかかっていく、時には水面を泳ぐとかげやエノハ釣りは、出漁のたびに、いつもピクへびにまでとびかかって戦を挑むことすらあを重くできるものはないにしても、こういっる。生きた虫以外は食べなし」こんな性質をたかずかずの楽しみを十分昧あうことができ持っている点では、女王どころか、まさにと渓る。日ごろ、ごみごみした都会の生活に追い谷の暴君ミといった方が適切かも知れない。回わされている人には、とくにこうした楽しみを味わってもらいたいものである。工ノハの苦難の一生エノハの産卵は、秋から晩秋にかけて行なエノハの習性う口かえった稚魚、は、丸 3年で親魚、になって釣りは、海づりでも、川づりでも、魚の習卵を産む。私は紅葉の晩秋、矢部川上流、御性を知ることが大切なことである。特異な習側の山奥の渓谷にはいり、渓流にさしかかっ性をもっエノハは、とくにそうである。た樹の校に身を托し、エノハの産卵を見たこエノハは、川魚のうちでも非常に冷たい水とがある。恋に狂った雌雄魚の群が、流れの X 1，で、摂氏 7、 8度位から 1 5、 6度位に棲む 1 ゆるやかな浅瀬に躍るようにしてやってくる。の水に桜んでいる。九州￨では、この程度の水群といっても、数は 2、3匹か、 4、5匹であ温の川といえば、大体標高5 00メートル位以上る。適当な産床と思われる小砂利の川床を、の渓流で、水量も毎秒0 .5立方メートル位以上拝を堀る。雌雄魚、と思われるエノハがヒレでj の川で、そんな川が割合に少なく、エノハの魚、がこの産床に卯を産みつけると、雄魚はそ棲んでいる川も非常に少ない。九州の川は、ほとんど釣り歩るいて回ったが、大分県、宮崎県、それに熊本県の深山のれに精i 夜、すなわち白子をかけ、その雄魚は産床に小砂利をかける。こうして生殖は終わる口渓谷にはほとんど棲んでいるようである。そ子孫繁栄のためとはいえ、産卵期になると、れに形も大きいものは、 30センチから 40セン日頃の鮮麗な容姿はなく、やせ細った姿に真 0数も割合豊富で、ある。チ程度のものも多し ' 黒いさびを出し、ぱらぱらになったヒレには福岡県は非常に少なし」矢部川、室見川、那血がにじみ、へとへとになって深かみに帰っ珂川、それに岩岳川の上流に棲んでいるのみていく親魚の姿を見ていると、涙ぐましいほで、数も少なく形も小さく、年々減っていきどである。卵の数も、他の魚と異なって大変つつあり、心細いわもいがする。しかし最近、少なし ' 0産床に産みつけられた数は 300粒であ矢部川、岩岳川では、地元の方々が増殖に努ったようだ。それが果して稚魚にかえるのは 1 0 8 昭和 4 6 . 1 0 第1 1号鋳鉄管随筆何匹であろうか。翌年雪もとけ、 4月桜の花の咲く頃には、りと毛パリ釣りがあるが、エサ釣りについてまず述べることにしよう。その卵が長さ 4、 5センチの王女となって、まず用具については、つり竿、ミチイト、清流に締麗な姿を現わすのである。こうしてハリス、釣、鉛、目印などが必要で、ある。つ王女が女王となり、渓流から姿を消して行くり竿は、できるだけ強くて軽く先調子のもののが 8年から 1 0年位である口を選ぶこと。長さは 4、 5メートル位あれば最近たびたび日本を襲う集中豪雨に、たち間に合う。糸は仕掛けをできるだけ小さく、まち渓谷は洪水に見舞われ、濁水はおそろし号か 0.8 号、ハリスは 0 .6 号か 0. 4 ミチイトは1.0 い勢で岩石を押し流し、川岸の樹木を根こそ号がよい、鉛は板鉛を適当な大きさに切って、ぎに倒し、大災害の連続である。こうした洪ハリスに巻付ける。重さは川の流れによって水の被害は容赦なく、エノハに襲いかかって取替え、エサの流れが不自然にならぬよう調くるのである口整する。洪水のほかにも、さまざまな苦難が待ち構第 2に、エサについては、どん食な魚なのえている。近ごろ、水資源の利用や砂防工事で人影さえ見せなければ大低のエサは食べる。のためのダムが建設され、エノハの棲む流域川によって多少違うが、日頃食べつけているも狭められ、一人前の親魚となるにも、幾多川虫類が無難で、ある口キジ、エピヅjレ、栗虫、の難関が横たわっている口おそらく 1 0年もの柳虫、イクラ、クモ、昆虫類でも結構だ。生涯を無事におわるのは、生をうけた稚魚の何%であろうか。第 3に、服装については、白色や光るものは絶対に避けること。崖や薮などを歩き回る本年解禁になって間もなく、大分県の山奥ので、軽装にして動作がしやすいようにする O に出かけた。大きな岩の上に腰を下し、青々とくに夏は長靴または脚祥を用い、マムシにとした山と空を眺め、ノリ巻きの握飯を食べ、かまれないように注意すること。川の水を両手で口に運び、時間をおしみなが第4に、ねらい場所は、落ち込みから流れ 0センチほどのきれいら竿を操ったとたん、 1 出し、それに瀬ぎわのかけあがり。夏になるな女王がかかった。おそらく 3年ものであろと、とくに夕暮れには瀬尻の浅瀬に大ものがう。昔ならよろこんでピクに入れたかも知れ出ている。ない O しかしその時、私は女王にこういって第 5に、つりの技であるが、これはエノハ川にかえした。とお前はまだ王女なんだ、もうの習性からみて流し釣りがよい。いつも上流少し大きくなってわれと対決しよう、神から荒れてくるのを f 寺っている。に向って食耳の j 授かった尊い命だ、大切にして種族の繁栄に努力せよミ渓流は流れが大変複雑で、河川の下流部とは違って千差万別で、ある。落差と屈曲が交互そして釣をょして帰った。し変化が多い。滝あり、落込みあり、淵あり、その時、エノハと話ができない人は、エノ岩を噛んで、流れる水流は、エノハのすみ場にハを釣る資格はない。エノハととりかわす言は無慈悲である。したがってどこにでもエノ葉とは何か、ということを考えたからである。ハがいるわけではない D こんなわけで、ねらい場をまず決めること。エノハの釣り方決めたら姿を見破られないように近づき、姿せっかく釣りを好む人のために、釣り方のや竿の影を絶体に水にうっさないように、足要領を書くことにしよう。釣りには、エサ釣音もたてず姿勢も低くして下流から上流ヘ上 1 0 9 随筆聡って行く。振り込みも竿を振り回すことは避とくに初夏の夕暮れ、浅瀬、で毛パリ釣りをけねばならない。楽しむのも面白い。釣技のコツはあくまで毛す生餌点は、ポイントの 1メートルから 2メパリを昆虫に誤認させ、とびついたエノハにートル上流で、餌がポイントを流れる時は、瞬間的にアワセることである。自然の姿で流れるよう調整し、投げ込んだら、ミチイトは垂直に張り目印にアタリがわかる舜間的にあわようにする。アタリがあったら H せる。あわせ方は、餌が20センチ程度動く程度で、大きなアワセ方は禁物である。最後に、毛パリ釣りにふれておこう。毛パリは、ほんもののエサではなく、昆虫に見せかけ、するどいエノハと瞬間的に戦を挑むものである。それだけに高度の技が要求される。エノハ釣りは、いたずらに数を釣るのではなく、妙技を味合うことになる。毛パリ釣りはそれを十分満喫させてくれる。緊急事態対処雑感別府市水道局管理課長生野友也本年 7月の猛暑にあえぐ土曜日の午後であ断水になったと知らじてきた。 s配水池は、った。街直からの電話により、市の高台地区その山手にある O浄水場からの流下水と、市をまかなう S配水池が空になり、 S町一帯が内地区のー水系の余水をポンプアップする 2 、 ¥