機械的性質 成分、組織 - 日本ダクタイル鉄管協会

9
0
鋳鉄管
昭和4
4
.1
0 第 7号
日本鋳鉄管協会技術専門委員会委員
機械的性質
成分、組織
l
. まえがき
前号で鋳鉄の 5元素,すなわち C,S
i,1
¥
I
[n,
きたいのは,前号でも述べていますように,鋳
鉄の性質・は冷却速度によって基本的に変化する
ものであることで,一般的に冷却の速いものほ
P, Sの役割りと,材質に及ぼす影響を簡単に
ど組織鍛密で強度は大きく,徐冷されるほど組
説明しました。
織粗大で強度は弱くなるという原則的な傾向の
その中で鋳鉄の性質の支配的な元素として C,
S
iがあり, P, Sは不純物として悪い影響を与
えるものであると述べました。また,鋳鉄の顕
あることです。
2
. 鋳鉄の強さ (J IS規格の内容〉
微鏡組織について?その代表的な 5組織?すな
一般に鋳鉄の強さというとき,引張り強さが
わち遊離黒鉛,セメンタイト,パーライトヲフ
その代表的なものですが,その他普通鋳鉄では
エライトおよびステダイトを紹介し?急冷され
抗折強さが問題になり,ダクタイノレ鋳鉄で、は耐
たとき析出するセメンタイト(化合炭素〉が,
力と伸びが注目されます。さらに鋳鉄の材力を
徐冷される場合あるいは焼鈍などの熱処理を受
表わすものとして?衝撃強さや硬さなどの性質
けたとき分解が生じ,順次ノξーライトからフエ
が問題になります。
ライトへ移行すること,そして組織の変態とと
もに硬く,脆い材質が,強く粘いものに変わっ
ていくことを知りました。
今回から化学成分と組織が,鋳鉄の機械的性
鋳鉄管の材質の基準となっている J 1S (
日
本工業規格〉については,
J 1S
G 5501 ねずみ鋳鉄品
J 1S
G 5502 球状黒鉛鋳鉄品
質の差違にどのように関与しているかを,一般
があり,その中に材質の規定がありますので,
的な図表などを示しながら説明していくことに
ここで簡単に強さの概念について説明しておく
します。ここであらためて念頭においていただ
ことにします。
鋳鉄の話
1) J IS
G
91
0
m
l
l
lゆ に 仕 上 げ た 試 験 片 の 単 位 面 積
によって 2
5
5
0
1
ねずみ鋳鉄品(鋳鉄破i
百が灰色一ねずみ色ー
2
(
m
1
l
l )当りの引張り破断荷重 (
kg),すなわち引
のためこの呼び名がある〉にはう表向 1のように
張り強さ Ckgjmmりを意味しています。表 -1で見
F 01
0
'
"
"
'
F035までの 6種類が格付けされてい
られるように,例えば F 020では鋳造される製
ます。鋳鉄管,付属品に適用されているのは,
品の肉厚によって,その冷却速度が異なるため,
このうち F 020と
:
B
'025の 2種類です。 F O
それぞれの条件に見合ったテストピース径に鋳
とは Ferrous Casting の略でう 20,
.
,2
5は標準
造するのが実体に近いわけで,当然加工仕上げ
0
m
l
l
lゆに鋳造された丸棒から加工
鋳放し直径が 3
寸法もそれぞれ相違して定められています。
表
鋳鉄品の主要肉厚
種
記号
類
供試材の鋳
写l
張試験
放し直径
mm
ねず、み鋳鉄品 1栂
抗 折 試 験
かたさ試験
かたさ
引張強さ
最大荷重
たわみ
mm
kg/mm2
kg
mm
HB
FC 1
0
4以 上
50以 下
30
10以 上
700以 上
3・5以 上
201以 下
ね ず み 鋳 鉄 品 2穏
FC 1
5
4以 上 8以 下
8をこえ 1
5以 下
1
5をこえ 30以 下
30をこえ 50以 下
1
3
20
30
45
1
9以 上
1
7以 上
1
5以 上
1
3以 上
700以 上
400以 上
800以 上
1700以 上
2.0以 上
2・5以 上
4・0以 上
6.0以 上
241以 下
223以 下
212以 下
201以 下
ねず、み鋳鉄品 3種
FC 2
0
4以 上 8以 下
5以 下
8をこえ 1
1
5をこえ 30以 下
3
0をこえ 5
0以 下
1
3
20
30
4
5
24以 上
2
2以 上
20以 上
1
7以 よ
200以 上
450以 上
900以 上
2000以 上
2・0 以 上
3・o以 上
4・5以 上
6.5以 上
255以 下
235以 下
223以 下
217以 下
ねずみ鋳鉄品 4種
FC 2
5
4以 上 8以 下
5以 下
8をこえ 1
1
5をこえ 30以 下
3
0をこえ 50以 下
1
3
20
30
4
5
28以 上
2
6以 上
2
5以 上
2
2以 上
220以 上
500以 上
1000以 上
2300以 上
2・0以 上
3・0以 上
5.0以 上
7.0以 上
269以 下
248以 下
241以 下
229以 下
ねずみ鋳鉄品 5種
FC 3
0
8以 上 1
5以 下
0以 下
1
5をこえ 3
30をこえ 50以 下
20
30
4
5
3
1以 上
30以 上
2
7以 上
550以 上
1
1
0
0以 上
2600以 上
3.5 以 上
5.5 以 上
7・5以 上
269以 下
262以 下
248以 下
ねずみ鋳鉄品 6種
FC 3
5
1
5以 上 30以 下
30をこえ 50以 下
30
45
3
5以 上
32以 上
1200以 上
2900以 上
5.5 以 上
5・5 以 上
277以 下
269以 下
備考
1. かたさ試験はとくに注文者の要求のないかぎ、り行なわない。また、ねずみ鋳鉄品 1械 は 通 常 機 械 試 験 を 行
なわない。
2. 鋳 鉄 品 の 主 要 肉 厚 を と く に 規 定 し な い 場 合 の 機 械 的 性 質 は 、 供 試 材 の 鋳 放 し 直 径 30mmに規定された数値と
する。
3. 鋳鉄品の主要肉厚の定め方、および主要肉厚 4mm未満のもの、およひ~50mm をこえるものの機械的性質の規
定は注文者と製造者との協定による。
これは単に, F 020といっても鋳込まれる径
次に,抗折試験が規定されています。鋳鉄は
によって引張り強さの値も 1
7
k
g
/
l
l
l
m から 24kg/
本来粘さのないものといわれていますが,丸棒
m
m2 以上にまで変化するものであることを意味
の梁曲げ試験を行なえば完全な剛体でなく,若
しており?一定のものでないことを示していま
干の変形性〈粘さ〉をもっているのです。
2
す。このことは次項で具体的な例で示しますが,
鋳鉄の性質をもし引張り強さだけで規定しま
要するに , F 020に相当する性質の鋳鉄溶湯を
すと,例えば硬く,脆いセメンタイト組織が混
鋳造しでもう製品の肉厚ゃう鋳型の断熱性など
在した場合,機械加工が困難で?衝撃に対して
冷却の条件によって,実際に得られる現物の強
極めて割れやすい質であるにもかかわらず,引
さにはう大きな差が現われるということです。
張り強さでは優に 3
0
k
g
/
l
l
l
m2を越えるものが得ら
i
日J
- 1Sでは,このような冷却速度因子を考慮
れます。これはしかし,鋳鉄としての軟かさ粘
せずう肉厚のいかんにかかわらずう引張り試験
さに欠ける片輸の材質であり決して好ましい材
を一定の値のみで規定していた矛盾があった
力ではありません。
ため, 1956年の改正で今のように合理的な決め
方に改められました。
この意味で鋳鉄では引張り強さと,抗折試験
を併用し,バランスのとれた物性を規定するこ
9
2
昭和 4
4
.1
0 第7
鋳鉄管
とになっているわけです。
に相当するもので,その性質が鋼と類似するこ
抗折試験というのはう丸棒を 2点で支持し,
とを示す試験です。
その中央に荷重をかけて折断した荷重と,その
引張り試験で応力と歪の曲線をとりますと,
ときまでの挽み量を測定するもので,この試験
鋼の場合には明らかに弾性変形から塑性変形に
も製品肉厚に応じて丸棒径および支点間の距離
移る点で材接の降伏(荷重が増加せず伸びだけ
が急に大きくなる〉が見られます。ダクタイノレ
がそれぞれに定められています。
最後に硬さが規定されていますが,これも冷
鋳鉄の場合,図に示したように曲線に明らかな
却条件によって顕微鏡組織に疎密ができ,黒鉛
変化点が認められず,徐々に弾性域から塑性域
の大きさ,地質のパーライト,フエライトあるい
に移行します。そこでう鋼の降伏点に対応する
はセメンタイトの量によって硬さが異なってき
点をダクタイル鋳鉄で、は耐力という表現で表わ
ますので,肉厚に応じた正常な組織の標準的な
しています。耐力は永久歪み 0.2%の点の応力
硬さとして範囲が示されているわけです。
σ0・2 で示します。
2) J IS
(
3 5
502
これがダクタイノレ鋳鉄の規格で,記号の FC
応力闘歪線図
応
e
r
r
o
u
sC
a
s
t
i
n
gの D
u
c
t
i
l
e (ダクタイ
Dは F
ヲ
ノレ〉を意味し?表同 2の 4種類に格付けされてい
m
m
ます。このうち,鋳鉄管の規格に適用されてい
(
σ
)
l
国
るのは F CD40とF CD45の 2種です。
以ー
2
表
ダクタイル鋳鉄
引 張 試 験
種類
記
「
ヨ
字
主
コ
引張強さ
kg/mm2
耐
カ
kg/mm2
f
中
び
%
1 税
FCD 4
0
4
0以 上
2
8以 上
1
2以 上
2 手
金
FCD 4
5
4
5以 上
3
0以 上
5以 上
3 草
委
FCD 5
5
5
5以 上
3
8以 上
2以 上
4 種
FCD 7
0
7
0以 上
4
8以 上
1以 上
0.2%
一一骨歪(e:)%
備考耐力は、とくに注文者の要求がないかぎり行なわない。
ダクタイノレ鋳鉄では, F Cの場合のように丸
最後に伸びの規定があります。 F Cでは伸び
棒に鋳造した試験片を用いますと,丸棒の中心
はほとんど検出できませんがうダクタイノレ鋳鉄
部にダクタイノレ鋳鉄特有の内部収縮脅ができや
は鋼と同じように伸び〈延性〉がありう粘い材
すいのでうこの部分を含んだ引張り試験を行な
料であることを示します。引張り強さと伸びの
っても正常な強さを示すことになりません。こ
関係についてはう後項でグラフなどによって説
のためダクタイル鋳鉄で、は,大きな押湯をつけ
明しますがう一般的には引張り強さが大きくな
た Y ブロック (y断面〉に試験体を鋳造し,下
るほど伸びは減少します。これを組織的に説明
部より引張り試験片を切出し加工しています。
ダクタイル鋳鉄では,先の]j'Cほど冷却速度
すると,引張り強さの大きいものはパーライト
組織が主体(厳密には, I
j
'CDG
f5以上ではさらに
による強さの変化がなくう多少肉厚が異なって
襖雑な組織がある)であッて,逆に引張り強さが
も得られる実体強さが,はぼ…定しているため
小さく?伸びの大きい]'CD4りなどではプエラ
単純な規格値となっています。(た/ごし,
イト組織が主体であるということを窓 l
成するわ
yブ
ロックの厚みには製品肉厚に応じ?ム号, B号
の 2種類を使い分けることになっている。〉
けです。
以上,鋳鉄関連規格を機械的性質ぅ組織など
引張り試験の中に, FCでは見当たらなかっ
を通じて概念的に解説してみたわけですが,さ
た耐力と伸びが規定されています。これは鋼の
らに次項で?実際の鋳造品の例で考えてみたい
引張り試験における降伏点 (kg/mmりと伸び(%)
と思います。
鋳鉄の話
3
. 鋳物の実体強度ということ
9
3
度一時間は右側の 5
0
m
mif>鋳造品が,ゆっくり長
い時間掛かるのは当然です。冷却した丸棒を取
前項で, F 020の強度と一概にいっても,鋳
0
m
mゅにな
出して,外周から加工し? どちらも 2
造される製品の肉厚や全体の重量(熱的容量〉な
るように仕上げました。その引張り試験の結果
どによってう J 1Sのテストピース強度に差違
は次のようになりました。
同一一吋畑一一罰吋E
が出ることを述べました。実際の鋳造品では冷
却条件が極めて敏感に材質に影響を与えます。
ここで簡単な実験の 1例を示し,鋳鉄の強さに
試験片
3
0
φ →2
0
φ
5
0
φ → 20O
ついて比較して見ましょう。
実験 1 ねずみ鋳鉄 (FC) の例
同 一 取 鍋 の 溶 鉄 を 同 時 に 2つの小取委│司に移
し?その 1つを 3
0
m
mゅの丸棒に,他の 1つを 5
0
m
mゅの丸棒に鋳造し
鋳造された溶湯の化学成分はどちらも同じで
次の値でした。
C%
3
.5
2
ました。両鋳型の砂
厚は同一で,これを
またう試験後中央部の顕微鏡組織を見ると,
図示すれば右図の通
下の写真のように黒鉛の大きさが全く具なって
りであります口この
います。この結果では,約 2倍の丸棒径に鋳込
とき鋳込まれた湯量
まれた鋳鉄の強さは約%の強さに落ち,黒鉛の
が具なるため,冷却
大きさも同じ倍率で見て数倍の大きさに変わっ
して凝悶して行く温
ていますー。
30
<
T鋳 造 品 中 心 部
Xl00
50O鋳 遺 品 中 心 部
Xl00
実際に厚肉鋳物を鋳造したとき,このような
られ, J 1S試験で、 2
0
k
g
/
m
m2以上の強度が得ら
現象が生じますが,これは中心部のことであっ
れているにかかわらず,実体の鋳鉄管では,引
こ接した表面部は多少冷却が速いため
て?鋳型 l
5.
.
.
,1
8
k
g
/
m
m
zと低い値を示すことが
張り強さが 1
荷物の全
中心部にくらべ て微細な組織であり, j
あります。これは本例といj
じで,テストピース
M
J
I
ミ
J
)
早:
I
j
j
r
r
射についていうと,本例のように強さが
とゴミ体の冷却条件が異なるため,生ずる差違で
半分ということにはなりません。し泊¥L,この
あり?その差 f
J:とくに中大口径管の場合に大き
ような現象があっ cテストピースと実体とが,
し鋳造法的には遠心力(比較的冷却速い) i
直
必ずしも同一強度を示さないということは鋳鉄
管よりう置注異形管(冷却遅しつが大きくなり
鋳物の宿命的な問題で、ありう実際にしばしば問
ます。過去の経験的な数値では?実体強度は鋳
題となることがあります。
0,
.
.
, 75%
程度
造時のテストピースによる強度の 7
例えば,鋳鉄管の規格で材質は F 020と定め
を示すのが通常のようです。
昭和 4
4
.10 第 7号
鋳鉄管
94
のが下図であります。
実験 2 ダクタイル鋳鉄 (FC D) の例
実験 1と同じように?ダクタイル鋳鉄につい
て Y ブロックといわれるテストピースで、厚み 25
棋
m
mのものと 4
5
m
mのものとを同一溶湯で鋳造しま
'
eI グ
した。その化学成分を下表に示します。
沿
炉J
令
720C
4時間
0
t
一一争時間 (
H
r
)
この場合に,同じく J 1 S, Z2201, 4号試
ダクタイノレ鋳鉄で、は, この成分で組織中にセ
メンタイトが出やすく,鋳造のままで材質の比
験を切出して引張り強さと伸びを測定した結果
は次表のごとくでした。
較が難しいため焼鈍を行ないました。厳密には
肉厚に応じて焼鈍時間を変え?フエライト基地
にして比較するのが妥当ですが,この例では同
一熱処理を行なったときの性質の違いを調べて
みることにします。焼鈍温度と時間を示したも
25mmYブロック
下部中心
その顕微鏡組織は下のごとくです。
A5mmYブロック
Xl00
この結果をみますと,肉厚差による強度の差
違が FOのときほど出ていないことがわかりま
下部中心
5
m
m
では 45mmYブロックの方が高く,伸びでは 2
Y ブロックの方が大きい結果を示します。
す。それよりもむしろ,基質組織の差によって
J 1S規格の種類でいえばうちょうど
強さが決まっていることが理解されると思いま
25mmYブロック…一 .F0D40
相当
す。すなわち,黒鉛の大きさでは極めて明らか
45mmYブロック…… F 0D45
相当
5
m
mYブロックの組
な差があるにかかわらず ,2
ということになります。ここで注意すること
織は,ほぼ十分に焼鈍されてほとんど 80%がブ
5mmYブロックをもっと十分時間をかけて
は,4
エライト組織(残りパーライト〉となっている
焼鈍すれば〈パーライトをブエライトに変えて
5
m
mY ブロックでは,パーライト分
のに対し ,4
しまう) ,引張り強さが低下すると共に伸びが
解の時間保持 (7200での〉が不足のため,約
大きくなって,最終的には:B'0D40の材質とな
90%がパーライトのまま残った (10%がフエラ
ることです(逆に 25mmYブロックの焼鈍時間を
イト化〉組織を呈しています。このことが引張
本例の%程度に短くするとヲパーライト組織が
り試験の結果によく表わされています。すなわ
多く残って F 0D 45の材質を得ることもでき
ち,一方は引張り強さが低く伸びの大きいフエ
る
〉
。
ライト組織,他方が引張り強さが高く伸びの少
球状化していることを前提として,残る地質の
ないパーライト組織であったため,引張り強さ
組織がパーライトかブエライトか,あるいはそ
0
このようにダクタイノレ鋳鉄で、は,
黒鉛が
鋳鉄の話
95
の中間混合組織かによって引張り強さや伸びが
は試験片の肉厚差による強度の違いは小さく,
決まってくるということになります。
実物と試験片との強度差という問題について
この組織は鋳造される成分,冷却速度によっ
も,そのそれぞれの組織がどうであるかによっ
て決まるもので,必ずしも熱処理方法だけでな
て引張り強さ?伸び、の両者の差が現われること
く,鋳造のままでも,意図する材質とすること
を理解していただきたいと思います。
が可能であるということで,単に鋳造状態だけ
4
.
の FCの場合とちがって, ダクタイノレ鋳鉄の材
FC, FC Dの機械的性質一般
質は鋳造状態と熱処理状態の両条件で変化させ
ここでは,高級鋳鉄,ダクタイノレ鋳鉄の一般
うるものである点が興味ある問題であるといえ
的な静荷重下における機械的性質を総括的に掲
ましょう。
げ,他の材料とも比較できるようにしておきま
以上の例でもわるように,ダクタイノレ鋳鉄で、
77¥
と
と
した。
ダクタイノレ鋳鉄
高級鋳鉄 フエフイトトフイト
地 地
状細き片状 球 状 │ 球 状 結 節 状 な し な し
普 通
み
鋳ねず鉄
黒鉛の形状
片
kg/mm
5
0
7
0
3
5
4
5
38~55
4
0
6
0
kg/
阻
4
0
5
5
2
0
3
5
2
0
3
0
2
0
3
5
1
6
3
1
2
2
%
kg/mm2
1
0
0
1
8
0
35~60
1
.5
4
kg/
醐
20~30
8~20
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
7
0
0
0
- 1
5
0
0
0
- 2
17000
22000
22000
18000
kg/mm2
5
1
5
2
0
3
0
2
HB
15~20
3
5
5
5
5~20
1
5
2
0
2
5
3
0
4
0
1
8
0
1
9
0
2
6
0 1
1
0
1
5
0 1
5
. 鋳鉄 (FC)の性質を示す図表
FCの各種機械的性質を示す図表は,内外の
40~60
4~20
1
4
0
1
8
0
列記したまでで,不十分のそしりはまぬがれな
いと思いますが,材質紹介の一端を果たせば幸
いと考えている程度で,詳しくは専門書によっ
文献に多数掲げられていますが?ここで、は?そ
ていただきたい。
れらのうちで、われわれが鋳鉄管の品質を知る上
1)鋳鉄組織図 (
E
. Maurerの組織図〉
に多少とも参考になると思われる数例をピック
図-1は E
.Maurer によって提唱された組織
アップして,ごく簡単な解説を付しておくに止
iと冷却速度の関係
図で,鋳鉄 (FC) の C, S
めたいと思います。以下に選んだ図表は?必ず
から鋳鉄組織と,ある程度の強度範図を示すも
しも材質の重点を抑えたというものでなくう単
のとして有名な図表です。この図から
に筆者の気まぐれで,
て強靭な材質のパーライト鋳鉄(高級鋳鉄〉を
自についたものを勝手に
図1.,E
.Maurerの組織図
Co
2
.
0
1
.7
1
.5
M
a
u
r
e
rdH
o
l
t
z
h
a
u
s
e
n
)
珪素%(
α 機しお鋳
2
.
5
りイV ょ強場肉移
よ夕日線︿る厚に
線ンづ C 鉄れ'側
B メ /V ム 鋳 さ は 左
A セロ'ト求域ま
で︿﹂域イ要領
U
図鉄ユ鉄ラのの印
。鋳い鋳エ質入図説
す白すトフ性いのは
ま'やイは的なこで
りはれラ D 械くう造
j~
わO く パ 側 く ま な の
ー 由 - - 約1
0
粍の厚さを有する鋳鋳左境
物 に対
するパーライト手有邸す
哉の
界線
町 四 四 四 約9
0
粍の厚さをする
に対
する右開粍
境 界線
;:;;労~ 1
0ー
の厚さを有する鋳物の
パーライト手島哉の範囲
かり割一
3
.
5
。
議 3.0
1
得るに適当な成分範囲(////部〉
が側多が右弱好物
4
.
5
4
.
3
4.0
FCとし
鋳鉄管
96
昭和 44.10 第 7号
口
d
¥S)
円
ο
鋳鉄の性質を成分的に表現するとき,次の 3
AA
2)鋳鉄の炭素飽和度と引張り強さ
杓額出町一 m
つの表わし方があります。
ハ
UnununU
開附(唱
、J4a
し,逆に金型急冷の場合は右側に移動すること
を理解されたい。
臼
つ
i
) (C十 S
i
)必
i
i
) C十 y
a(Si+p) =C.E96 (炭素当量〉
10
i
) 一一ーとよ一一一=sC(炭素飽和度ま¥
4.23-~ .L ~-CSi)
¥たは共品度
/
3
.
2
、
,
0.70
0.80
0.90
1
.00
1
.10
炭素飽和度 (Sc)
詳しい説明は難しくなりますので省略します
図-3.
)は単に個々の成分を加えたもの, i
i
)は
が
, i
Scと肉厚と引張り強さ(Fc)
50
:
S
iや P がはいった場合に Cが低くなっても, S
i,
・
C.E=4.396
が共品炭素量(最も融点の低い成分;協会誌第
ワ
ム
b
5号状態図参照〉といいます。 i
i
i
) は鋳鉄の含
Aサ ハ
E¥宣)拘額出一小
(唱
を Cに置き換えるためのものでう
4Aqu
臼
つ
Pの和の%が C と同じ働きをするうすなわち鉄
-炭素状態図で,性質を考えるときの (
S
i十 p)
む全炭素量がこの共品炭素量に対する比率で表
i
わしたもので?いま P量を無視すると上記の式
18
で表わされます。
一般的にいいますと, i
)で、パーライト鋳鉄は
大体 5,
.
.
,5
.
5
9
6の範囲, i
i
)では
C. E =3.9
"
"
'
"
4.296, i
i
i
) では
SC=0.8,
.
.
,1
.0
9
6 の範囲が
使われています。
図-2 は SC と3
01>試験片の
弓│張り強さの関係? 図-3 は S Cと鋳造丸棒肉
厚の違いに基づく引張り強さの関係を示してい
ます。
図
凶 4 は S Cとブリネノレ硬さとの関係を
1
.1
図-4. S cとブルネル硬さ
3
0
0
選2
5
0
駆
,
収
Z
ム
J20
0
示すものです。
図
目 5 は F Cの有害元素として前号で述べた
P の含有量と鋳鉄の衝撃値(耐ショック性〉を
示すグラフでう
0.9
1
.
.0
炭素飽和皮 (Sc)
0.8
6以下と
規格において p 0.4 9
規定されているように, Pが高くなると耐衝撃
性が低下することを示しています。
x
1
5
0
∞ 0.75
1
}
'c
の機械的性
質を示す図表は以上にとどめたいと思います。
次号には現在水道用として一般化したダクタイ
ル鋳鉄の諾性質について?多くのデータを掲げ
十分に研究してみたいと考えております。
(つづく〉
※筆者は株式会社栗本鉄工所鉄管技術部次長
0
.
8
0
.
8
5
O
.9
0
.
9
5
1
.0
1
.0
5
1
.1
炭素飽和度 S
c
図-5.
x
紙面の関係もありますのでう
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P%と笥撃{直
1
.3
1
.2
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.1
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o0.1 0.3 0.5 0.7 O
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.1 1
.3 1
.5 1
.7 1
.9 2
.
1
.0 1
.2 1
.4 1
.6 1
.8 2
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4 0
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