ICT を利用した理科授業(iPad の利用)

ICT を利用した理科授業(iPad の利用)
指導者
1
岩崎 誠
単元名 月や星の動き(4年)
2
本時のねらい
iPad のアプリ『星座表』を利用して星座の動き方を知ることで星は反時計回りにまわっているこ
とを理解することができる
3
準備・資料等
iPad のアプリ『星座表』
、星を結びつけた星座の紙(子どもが選びそうな星座)
4
本時の展開
つかむ
児童の活動と指導の流れ
1.前時の復習から本時の課題を確認する
・星は明るい星や色の違う星があることが分かったよ
時
5
<星はどのように動くのか>
考える
2.予想する
・太陽や月と同じように動くんじゃないかな
・バラバラになっていろいろな所に動くかもしれない
・なにか一定のきまりがあって動きそう
◎支援と☆ICT と評価
◎前時の復習や月の動き方を
想起させることで星の動き方
に意識を向けさせる
3.検証する
15
○グループごとに iPad のアプリ『星座表』を使い自分
達で決めた星座の動きを追う
・僕たちははくちょう座がどのように動くのか調べてみ
よう
・カシオペア座は北の方でぐるぐるまわっているよ
・こと座は東から上って南の空を通り西に沈んだよ
☆星座表は今現在の星の様子
を表しており時間を変えるこ
とで星が動き それに応じて
iPad を動かしながら星座を
追うことができる
◎それぞれのグループが自分
達で決めた星座の動きを発表
することで違いをかんじるこ
とができる その違いから共
通部分を探っていくことで星
の動きについての理解を深め
ることができる
◎それぞれの星座の動きの共
通部分を考えつくことは難し
いので立ってクラスで交流し
たり全員で動きを指ささせた
りして共通することを見つけ
出させる
4.グループごとに発表しクラスで交流する
15
・私たちのグループはしし座を調べました。しし座は東
からのぼり南の空を通って西に沈みました。
・私たちははくちょう座を調べました。はくちょう座は
北の方で時計と反対回りにまわっていました。
・同じ星なのに動き方が少し違うよどちらが正しいのか
な
・よく考えるとどちらも時計と反対回りしているだから
星は時計と反対回りにまわっているんだ
まとめる
◎動き方を予想することがで
きない子どもには星座の紙を
持たせ実際に動かして予想を
考えさせる
学び合う
5
5.クラスでまとめる
星は北の方を中心にして時計と反対回りに動いてい
ることが分かったよ
○北の方としているがその中心には北極星という星が
ありそれを中心に星が回っているように見える
5
理 星の動きが時計と反対回
りにまわっていることが理解
できている
(行動観察・ノート)
5
授業の実際
『星座表』は,無料で使うことのできる天体のアプリである。最大
の特徴は,かざすだけで現在の星空を昼間でも映し出せることである。
しかも,空だけでなく地面に向けてかざしても,地面を突き抜けた星
空の様子を知ることができる。さらに,時間を変えることができるの
で,iPad をかざしながら星の動きを観察することもできる。そして,
星座や星の名前も表示され,アップとルーズも簡単に操作できる子ど
もでも使いやすいアプリである。子ども達は,これまでにこのアプリ
を操作して月の動きについて学習しており,かざして月を見つけるこ
と,時間を進めて月の動きを追うことができるようになっていた。本時では,
『星座表』を利用して
星座の動き方を知ることで星は反時計回りにまわっていることを理解することを目指した。
前時からの課題<星はどのように動くのか>を子どもに問うと,月や太陽と同じように東から出
て南の空を通り西に沈むという意見や,月や太陽と反対に西から出て南の空を通り東に沈むという
意見があった。クラスの半分近くが月や太陽と同じように動くと予想し,残りは月や太陽と反対に
動くやどう動くか予想できないという子どももいた。ここで,どう動くか検証するために今回も
iPad の『星座表』を使うことを示した。星一つ選んで確かめるには,探したり,追ったりするのが
大変なので,星の集まった星座をいくつか紹介して,グループでその中から選び調べさせることに
した。紹介した星座の中には,西の空に沈まないカシオペア座や少ししか沈まない白鳥座を意図的
に入れて,東から南の空を通り西に沈むという説明に当てはまらない物を用意した。子ども達は,
慣れた手つきでグループの3人
と一緒に,自分たちの選んだ星
座を探し,時間を動かしながら
星座の動きを観察した。12星
座の獅子座や乙女座,蠍座など
を iPad でかざしながら東から
南の空そして西へ,さらに床を
通ってまた東へと動かしながら
様子を観察していた。
「やっぱり東から南の空を通り西に沈む,太陽や月と同じや」などと友だちと
しゃべりながら観察することができた。結果をノートに書かせグループでまとめ発表し合うと,ど
のグループも『太陽や月と同じように東からのぼって南の空をとおり西にしずむ』というまとめに
なった。
そこで,
白鳥座を観察したグループに
「本当に東からのぼって南の空をとおり西にしずむ?」
と聞いたところ,
「北の方で回っていたけど他のグループと同じまとめにしてしまった。
」
と答えた。
この発言を全体に広めると,混乱してしまう子どもや,もしかしたら円のように動くんじゃないか
と考える子どもなどが出てきたが,ここでチャイムが鳴ったので次回の授業でもう一度,他の星座
を観察することで星の動きを確かめることにして授業を終えた。
5
星座表
成果と課題
本時では,iPad の『星座表』を使って星の動きを観察したが,夜に共通して観察することのでき
ない星の動きを知るためには,この iPad の『星座表』はとても有効だったと言える。昼間にかざ
して,時間を進めて,動かすこの一連の動作により,どのように星が動いているのかを明確にする
ことができた。その証拠にテストの月や星の動きを問う問題では,9割弱の正解率をあげていた。
また,子どもの振り返りでは,
「時間を動かしたらすぐにどうやってうごいているかわかるから使い
やすい。
」や「本当に星を見ているようで楽しかったです。星の動きも見れたしぜんぜんわからなか
った星座もちょっとずつ名前をおぼえてきました。
」などの記述が見られた。
しかし,本物の星や月を見ているわけではないので,それを実際の夜空で当てはまることが必要
である。今回は,機会があったので4年生で星の観察会を学校で開き,夜に子ども達と実際の月や
星の観察をすることができた。このことにより月や星の動きについて深い理解につながったと思わ
れる。欲をいえば2人で1台 iPad があればさらに良かったかもしれない。