食品中の有機酸の分析 第2報

LC Technical Note
24
食品中の有機酸の分析
第2報
GL Sciences Inc.
前報との比較(Technical Note No. 1)
有機酸のHPLC分析には、陰イオン交換、イオン排除、逆
相 等の分離モードが利用されており、中でも最近は有機酸
専用カラムを用いたイオン排除モードで分析された例が増
えてきています。
しかし、イオン排除モードにて分離を向上させるためには、
分析時間を長くする必要があります。
そこで今回、イオン交換カラムを用いた
『イオン排除モード』と逆相系カラムを用いた『疎水性
相互作用モード』を併用して分析しました。分離モードが
異なる2種類の汎用サイズ(250x4.6mmI.D.)のカラムを用
いることでリン酸と有機酸8成分の迅速一斉分析が可能と
なりましたのでご紹介します。
テクニカルノートNo.1のデータでは、クエン酸と酒石酸、乳酸
とギ酸の分離が困難でしたが、今回はこの点を改善しました。
** 利点 **
1. イオン排除モードに逆相モードを組み合わ
せることで、有機酸8成分を分離!
2. BTB(ブロモチモールブルー)試薬を使用し
たポストラベル法により夾雑物の影響を排除!
3. 汎用サイズ(4.6x250mmI.D.)のカラム2本
で分離できるため、安価で迅速に分析可能!
*HPLC条件*
4
移動相
反応液
カラム
: 3mM HClO4
: 0.1mM BTB + 30mM Na2HPO4
: Inertsil Ph-3 ( 250 × 4.6 mmI.D. )
+ Inertsil CX ( 250 × 4.6 mmI.D. )
移動相流速 : 0.5 mL/min
反応液流速 : 0.5 mL/min
温度
: 35 ℃
検出器
: VIS 440nm
注入量
: 10 μL
10
1
8
3
5
8
2
6
7
mAU
4
6
-2
0
2
9
0
10
20
30
Time (min)
*検出下限値と検量線*
濃度(ug/mL)
相関係数
リン 酸
酒石酸
りんご酸
12
16
13
0.998
1.000
0.999
ギ酸
クエン 酸
乳酸
酢酸
コハク酸
ピ ロ グルタミン 酸
10
15
27
19
15
43
0.999
1.000
1.000
0.995
0.999
0.999
1400000
リン酸
1200000
酒石酸
(1mg/mL)
(1mg/mL)
(1mg/mL)
(1mg/mL)
(1mg/mL)
(1mg/mL)
(1mg/mL)
(1mg/mL)
りんご酸
1000000
面積値(mAU)
成分名
サンプル(標準試料)
1. Phosphoric acid (リン酸)
2. Tartaric acid (酒石酸)
3. Malic acid (りんご酸)
4. Formic acid (ギ酸)
5. Citric acid (クエン酸)
6. Lactic acid (乳酸)(1mg/mL)
7. Acetic acid (酢酸)
8. Succinic acid (コハク酸)
9. Pyroglutamic acid (ピログルタミン酸)
ギ酸
800000
クエン酸
600000
乳酸
400000
酢酸
コハク酸
200000
ピログルタミン酸
0
0
100
200
300
400
500
600
700
800
サンプル濃度(ug/mL)
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GL Sciences LC Technical Note
有機酸分析の特長と分析システムの紹介
*特長*
有機酸分析の低コスト化
安価なシリカ系カラムを用いることで、分離カラム
に要するコストを低減化できます。
分析時間の短縮
一般的な有機酸専用カラムを使用した場合と比較して、1
分析に要する時間を25分に短縮できます。
高分離能
InertsilⓇ CX はシリカゲルベースのカラムのため、
ポリマーベースのカラムに比べて拡散が少なく一定
容積あたりの理論段数は高くなります。
耐圧性が高いシリカ系カラムを用いているため、流速を上
げての短時間分析が可能です。
*イオン排除モード*
中性
弱酸
① 中性物質
強酸
イオン排除モードは、充填剤のイオン交換基と、目的成分
のイオン間の反発力の強弱により分離する方法です。
浸透
溶出時間の決定要因
弱反発
移動相の流れ
③ 強酸性物質
陽イオン交換
充填剤
② 弱酸性物質
1. 「細孔内への浸透」
電荷の大きさ(pKaの大きさ)により、細孔内への
浸透力が決まります。
pKaが大きい=浸透力が大きい
2. 「充填剤の負電荷による静電的排除」
大きな負電荷をもつ(pKaが小さい)物質が、大き
な静電気排除を受け、早く溶出します。
pKaが小さい=溶出が早い
強反発
イオン強度により分離しているため、
陰イオン強度の強い成分ほど早く溶出します。
(溶出順序③→②→①)
*BTB(ブロモチモールブルー)法*
BTB法はUV-VIS440nmにて検出するため、夾雑物の多い農作物やドレッシング、醤油などのサンプルでも
選択性の高い分析ができます(Technical note No.1 参照)
試料なし
pH指示薬(アルカリ性)
移動相通過液
(弱アルカリ性)
pH9
なし
料
試
移動相
(酸性)
pH8
440nm
カラム
試
料
あ
試料あり
検出器
試料検出時
り
(弱酸性)
検出器
pH6
吸収スペクトル
BTB試薬を使用すると、弱アルカリ性
の移動相通過液では440nmの吸収は低
く、弱酸性の試料検出時では440nmの吸
収が高くなります。
この差を利用してピークを検出します。
GL Sciences LC Technical Note
*応用分析例*
有機酸はUV210nmに吸収がありますが、赤ワインやビールなどの醸造食品をUV210nmの低波長領域にて分析すると、
多くの夾雑物が検出され、目的成分のみを定量することが困難になります。
しかし、BTB法を用いることで、検出波長を440nmにシフトできるため、有機酸のみを選択的に検出することが可能です。
12
*赤ワイン中の有機酸分析*
前処理
試料
10
2
1mL
8
希釈
H2O 10mL
mAU
6
6
ろ過
0.45μm GLクロマトディスク
3
4
HPLC
7
8
1. Phosphoric acid (リン酸)
2. Tartaric acid (酒石酸)
3. Malic acid (りんご酸)
4. Formic acid (ギ酸)
5. Citric acid (クエン酸)
6. Lactic acid (乳酸)
7. Acetic acid (酢酸)
8. Succinic acid (コハク酸)
9. Pyroglutamic acid (ピログルタミン酸)
0
2
5
10
Time (min)
*ビール中の有機酸分析*
20
1
8
0
前処理
1mL
6
試料
希釈
H2O 10mL
0.45μm GLクロマトディスク
mAU
4
ろ過
5
HPLC
7
2
2
3
8
9
0
1. Phosphoric acid (リン酸)
2. Tartaric acid (酒石酸)
3. Malic acid (りんご酸)
4. Formic acid (ギ酸)
5. Citric acid (クエン酸)
6. Lactic acid (乳酸)
7. Acetic acid (酢酸)
8. Succinic acid (コハク酸)
9. Pyroglutamic acid (ピログルタミン酸)
6
0
10
Time (min)
20
GL Sciences LC Technical Note
流路図
Pump
Autosampler
0.5 mL/min
GL-7420
GL-7410
Column Oven (35℃)
Detector
GL-7450
Inertsil Ph-3
Inertsil CX
GL-7430
デガッサー内蔵
Pump
GL-7410
0.5 mL/min
溶離液
反応液
分析カ ラ ム
Inertsil Ph-3
Inertsil CX
商品名
Ph
CX
5um 250 x 4.6 mmI.D.
5um 250 x 4.6 mmI.D.
母体シリカゲル
粒径 表面積 細孔径
Cat.No. 5020-01921
Cat.No. 5020-07146
化学修飾
エンドキャップ 炭素量 イオン交換容量
結合基
Inertsil Ph-3 5um 450m 2 /g 100Å
フェニル基
2
Inertsil CX 5um 450m /g 100Å ベンゼンスルホン基
GLクロマトディスク
使用装置
無
10%
-
無
14%
0.5meqv/g
水系 25A 0.45 um フィルター
Cat. No. 5040-28512
価格 ¥ 21,000 (100個入)
4
HPLC装置:GL-7400 シリーズ
1
5
有機酸分析システム
番号
1
2,3
4
5
6
品名
キャリアリザーバー
ポンプ×2台
UV検出器
カラムオーブン
オートサンプラー
型番
GL-7480
GL-7410
GL-7450
GL-7430
GL-7420
2
6
3
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※尚、各試験法は、変更される場合がありますので、分析の前にご確認されることをお薦めします。
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TEL.029(858)3700
TEL.043(248)2441
TEL.048(667)1611
TEL.045(475)1144
TEL.052(931)1761
TEL.082(233)1101
TEL.092(291)5200
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FAX.06(6357)4580
FAX.024(536)1518
FAX.029(858)3780
FAX.043(248)2485
FAX.048(667)1656
FAX.045(475)1145
FAX.052(931)1814
FAX.082(233)1110
FAX.092(291)2552
カスタマーサポートセンター T E L . 0 4 ( 2 9 3 4 ) 1 1 0 0
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東
大
東
筑
千
北
横
名
広
九
京 営 業
阪
支
北 営 業
波 営 業
葉 営 業
関 東 営 業
浜 営 業
古 屋 営 業
島 営 業
州 営 業
部
店
所
所
所
所
所
所
所
所
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