平成 25 年度更新 〈公債費負担適正化計画〉 について

平成 25 年度更新 〈公債費負担適正化計画〉 について
郡上市では、平成 18 年度決算において「実質公債費比率」が 18%に達し、地方債の
借入にあたっては「公債費負担適正化計画」を策定し、岐阜県の許可を得ることが義務付
けられたため、平成 19 年度から計画を策定し、公債費負担の管理を計画的に行っていま
す。
9 月の議会により決算が確定しましたので、各数値を決算額に置きかえて計画を更新し
ました。
◇ 実質公債費比率の値
平成 24年度決算での「実質公債費比率」は18.5%となり、前年度決算から 1.5%下
がりましたが、まだ県内市町村の中では高い値となっています。
実質公債費比率による基準
18%~
地
方
債
許
可
基
準
協議団体
25%~
「公債費負担適正化
計画」を策定し、県の
許可を得て、全ての
借入が可能。
35%~
早
期
健
全
化
基
準
郡上市
18.5%
財
政
再
生
基
準
まちづくり、
道路整備、
防災対策、
合併特例など
の借入を制限。
一般的許可団体
さらに
教育、福祉
等の借入
を制限。
起 債 制 限 団 体
県へ協議し、同意が無くても
全ての借入が可能。
【3 ヶ年度の平均値】
上段:更新後計画/下段:前年度計画
実
H19
H20
績
H21
値
H22
計画値
H23
H24
H25
%
%
%
%
%
%
%
16.9
20.2
21.8
21.7
21.1
20.0
18.5
%
17.2
計画期間は、実質公債費比率が 18%を下回る年度までとなっていますので、今回の計画
は平成 25 年度までの計画となっています。
地方債許可団体基準
◇ 24 年度の借入と返済(一般会計)
公債費負担を軽減するため、借入額の抑制と繰上償還を行うこととしており、「公債費
負担適正化計画」では投資的な事業に使う借入を平成 23 年度までは 28 億円、平成 25
年度までは 25 億円と徐々に減らすこととしています。
平成 24 年度では前年度からの繰越事業分も含めて、投資的な事業に使うため23億 2,
420万円の借り入れを行いました。普通交付税の補てんとして発行する「臨時財政対策
債」を含めると、33億9,720 万円の新規借入となります。一方で、60 億994万9
千円償還しましたので、地方債現在高は26億1,274万9千円減少しました。
※ 臨時財政対策債 とは?
国の財源不足により、本来は国から交付されるべき普通交付税が交
付できないため、代替の財源として地方自治体が発行する地方債です。
その元利償還金の全額を、後年度の普通交付税交付時に自治体に戻す
こととなっていますので、実質的に自治体の負担は発生しません。
したがって、他の投資的な事業に使う借入とは別のものとし、借入
額抑制の対象とはしていません。
【借入額】
平成 23 年度事業分
平成 24 年度事業分
2 億 5,270 万円
20 億 7,150 万円
臨時財政対策債
10 億 7,300 万円
【元金返済額】
定期償還額
49 億 7,775 万 9 千円
繰上償還額
10 億 3,174 万円
合計
60 億 994 万 9 千円
合計
33 億 9,720 万円
約 26 億1千万円の地方債現在
高が減少
地方債の新規借入は、平成 19 年度の地方債から抑制しており、合併の特別事情が影響
していた平成 16~17 年度と比較すると、事業分はおよそ半分の借入額となっています。
建設事業等地方債
臨時財政対策債
◇ 今後の見込(一般会計)
【元利償還金】
すでに返済のピークは過ぎていますが、合併前後に借り入れたものの返済が平成 31 年
度前後まで続くため、元利償還金は平成 29 年度までは緩やかな減少となります。しかし、
借入額の抑制を続けることで、平成 30 年度の対前年度では 2 億円以上減少すると見込ん
でいます。
繰上償還を除く元利償還金
元金のみの償還額
【地方債現在高】
元金償還額以上の借入を行いませんので、地方債現在高は年々減少していきます。建設
事業等に用いた地方債の現在高は、平成 22年度末と比較すると平成31年度末では半分
近くにまでなると考えられます。また、臨時財政特例債の発行額は想定する上限額で積算
していますので、発行額を抑制することができれば、さらに現在高の総額を圧縮すること
ができます。
◇ 今後の見込(公営事業の元利償還金に対する繰出)
【準元利償還金】
※ 準元利償還金 とは?
一般会計から公営事業会計へ繰り出したもののうち、公営事業会計
の元利償還金に使われたと考えられるものを「準元利償還金」といい
ます。地方債の借入がある会計に対して、一般会計から繰り出しを行って
いる場合はこの経費が発生します。
準元利償還金は、一般会計の元利償還金に次いで、実質公債費比率に与える影響が大き
いので、比率を下げるためには公営事業会計の健全経営は重要な要素です。公営事業会計
への繰出金には、一般会計が負担するべき経費の基準が定められており、通常はこの基準
に沿った繰り出しを行います。しかし、経営状況が思わしくない事業の場合は、基準を超
えて繰り出しをしなければならなくなり、一般会計の負担がさらに増してしまいます。
郡上市の準元利償還金は、25 年度以降は約 15 億~17億円程度と予測しています。そ
のうち、最も多くを占めるのが下水道事業に対するもので、毎年約 9 億~10 億円程度が
必要と考えられます。22 年度から 23 年度にかけて大幅に減少しているのは、下水道事
業の「資本費平準化債」を用いる影響です。またその他の事業では、借入額が多い病院と
簡易水道に対するものがほとんど横ばいと考えられるため、全体では一般会計に比べて大
きな減少は予測していません。
合計
下水道のみ
病院 他
病院以外で〈病院 他〉に含まれるもの
・水道 ・簡易水道 ・ケーブルテレビ ・国保直営診療 ・介護サービス ・宅地開発
【公営事業の地方債現在高】
公営事業会計の地方債現在高も、新規借入額の抑制に伴って徐々に減少していきます。
病院
水道
下水道
簡易水道
資本費平準化債の導入について
下水道事業では、主に次の2点によって『世代間の不平等』が生じてきます。
① 下水道施設は、長い年月をかけて利用する施設であることから、建設時の世代
が建設費用の全てを負担するのではなく、後の世代も平等に建設費用を負担す
るように、借入によって資金を調達しています。しかし、施設の耐用年数より
も借入金の返済期間が短い場合は、返済が早く進むため一部の世代に負担が偏
ってしまいます。
② 下水道施設の運営には多くの経費がかかりますが、稼働して間もない時期は加
入者が少ないため収入が少なく、稼働初期の世代では多くの税金を下水道事業
に用いることとなり、世代によって税金の使いみちに偏りが出てしまいます。
市では、このような世代間の不平等を解消するため、平成 23 年度から「資本費平
準化債」を用いることとしました。
この「資本費平準化債」は、施設建設時の借入金の返済資金とするために、新た
に借り入れを行うものですが、一方で建設時借入金の返済期間が耐用年数まで長く
なるのと同じ効果を生むことから、一部の世代に偏っていた負担を平等化し、また
これまで下水道事業に用いていた多くの税金を、他の事業の資金として用いること
ができるようになるという効果があります。