JOMF NEWS LETTER No.261 (2015.10) ［新シリーズ］海外派遣者のオーラルケアをサポートして第１回シリーズ開始にあたり JOMF 安保清史海外拠点への医師派遣に並んで JOMF の中核を成す活動でもある、専門科目海外医療巡回。その中でも、いちばん多くの地域で実施しているのが歯科巡回です。JOMF は日本の歯医者さんとともに、2002 年のマレーシア、クアラルンプールに始まり 13 年間、海外に派遣されている日本人の方々のオーラルケアをサポートして来ました。この海外歯科巡回にまつわる話とともに、海外の主要国・地域の歯科医療事情、加えて海外における歯科お役立ち情報を、10 月から 1 年間、シリーズで取り上げることにしました。書いてくださるのは、JOMF 医療巡回の生みの親的存在の田中健一先生（北京天衛診療所歯科医師）と、歯科巡回相談に永年参加下さっている萩原麻美先生（東京小児療育病院西多摩療育支援センター歯科医師）、そして英国留学などを経験し今年マニラの歯科巡回に参加いただいた三上ゆう子先生（ほりぐち歯科歯科医師）です。初回の今月は、イントロダクションとして、JOMF の専門科目海外医療巡回の歴史と始まった背景をご紹介します。 JOMF は、海外に在留している日本人が、日本人の医師から、専門科目の医療相談を受けることができるよう、日本人が多く滞在する主要都市へ専門の日本人医師を派遣して、医療相談会や健康診断などを実施しています。 JOMF の医療巡回のルーツは、1984 年、JOMF 設立当初より実施していた、厚労省傘下の特殊法人労働福祉事業団からの委託事業としての海外医療巡回にまで遡ります。当時 JOMF は、労働福祉事業団（後の労働者健康福祉機構）の委託を受けて、労災病院や大学病院の医師と共に、世界各国の都市を医療巡回していました。ピーク時の 1998 年には、14 チームで 40 カ国 70 都市を巡回し、相談者総数は 5 千人を越えました。こうした中、JOMF 独自の医師派遣による相談会の実施が要請されるようになったのです。JOMF の海外医療巡回は、2001 年にジャカルタカウンセリングからの要請を受けてジャカルタで小児科相談会を実施したのが始まりで、歯科相談会をはじめたのは、翌年 2002 年のクアラルンプール歯科相談会です。そのきっかけを作ってくれたのが、田中先生です。その後、バンコク、マニラ、クアラルンプール、シンガポールの小児科相談会などが加わり、2004 年度から本格化。専門科目も、小児科、歯科、皮膚科、心療内科と増えてきました。そして、医療相談会や健診だけでなく、会場となっている日本人学校での保健授業（歯みがき教室など）や、保護者講演会（子育て講演会など）、教員研修なども実施するようになりました。相談者数は徐々に増え、2014 年度は、7 か国 12 都市で、歯科、小児科、診療内科などの相談会を実施し、初めて相談者総数が 2 千人を超えました。今年度は、ミャンマーのヤンゴンを新しく加え、8 カ国 13 都市で医療相談会を展開する予定です。次回は、JOMF の歯科巡回相談を始めた頃から現在まで、ずっと歯科巡回相談に携わり、多くの歯科派遣医師を育ててくれた田中先生に歯科巡回相談創成期、拡大期のお話をご紹介いただきます。どうぞお楽しみに。海外専門科目医療相談の詳細については下記ＵＲＬをご参照ください。 http://www.jomf.or.jp/about/jigyou/special.html