地域航空の可能性と課題

105
地 域 航 空 の可 能 性 と課 題
坂
本
英
夫*
TheProbabilityandtheProblemsoftheRegionalAirlineOperations
inJapan
HideoSAKAMOTO
1.は
じ
め
に
近 年,わ が 国 に お い て は 高 速 道 路 ・新 幹 線 ・航 空 に よ る高 速 交通 の 発 展 は著 る しい もの
が あ り,国 土 の 時 間 的距 離 の縮 小 が 達 成 さ れ つ つ あ る と い え よ う.し か し,一一方 で,そ れ
ら高 速 交 通 の 恩 恵 に浴 して い な い 地 域 も存 在 して い る.こ の よ うな 地 域 は概 して部 分 的 ・
飛 地 的 に局 在 して い る の で,鉄 道 や道 路 に よ る 高 速 交 通 を はか る こ と は困 難 な点 が あ る.
そ こで,航 空 機 を もっ て 交通 面 の 隣 路 を 打 開 しよ う とす る動 き が 出 て い る.乗 客 数 と設 備
投 資 の 上 か ら,小 型 の 航 空機 で 比 較 的 短 距 離(150㎞ 程 度)を 運 航 す る,い わ ゆ る コ ミュ
ー タ ー航 空 の 構 想 が こ れで あ る .欧 米 で は,小 型機 の 運 用 形 態 に は3種 類 あ る とい わ れ て
い る(今 野 修 平,1985).1つ
は コ ミュ ー タ ー で,定 期 航 空 で あ る.第2は
で,不 定 期 の チ ャー タ ーで あ る.第3は
自家 用 機 で あ る.わ が 国 で,小
方 の 活 性 化 を は か るべ く,注 目 を あ び て い るの が,第1番
(西 岡 久雄,1985,佐
本 稿 で は,と
エア タクシー
型 機 を活 用 して 地
目 に あ げ た コ ミュ ー タ ーで あ る
藤 文 生,1985).
くに辺 地 で の 地 域 航 空 の 可 能 性 を検 討 す る と と もに,問 題 点 を 探 り,か つ
具体 的 な場 と して 北 海 道 と近 畿 地 方 を例 に して 考 察 を 進 め る こ と に した.
1.全
国地 域 航 空 シ ス テ ム推 進 協議 会 構 成 会 員(市 町 村)へ
1983年 に,日 本 航 空 協 会(事 務 所,東 京,航
空 会 館 内)に 事 務 局 を もっ 全 国 地 域 航 空 シ
ス テ ム推 進 協 議会 が 設 立 され,多 数 の 道 府 県,市
はか る ことに な った(第1表).市
の ア ンケ ー ト調 査
町村 が結 集 して,地
方の航空活動振興 を
町 村が 同 上 協 議 会 へ 加 入 す る こ と は,空 港 を もっ こと,
あ る い は既 存 空 港 を 改 善 す る こ と を希 求 して い る あ らわ れ とみ て よ い が,そ れ らの 空 港 の
規 模 や 設 置 目 的 が 不 明 で あ った の で,各 構 成 員(市
町村)に
ア ンケ ー トを 発 送 し,回 答 を
求 め た.既 設 の 空 港 を もつ 市 町 を 除 い た50市 町 村 に ア ンケ ー トを 出 し,3週
もの に催 促 し,結 局,49市
町 村 か ら回 答 を 得 た.実 施 は,昭 和60年8月
間 後,未 着 の
下 旬 に 開 始 し,回
答 は お おむ ね10月 上 旬 ま で 得 た.
空 港 開 設 に つ い て は,た い て いの 市 町 村 が 計 画 して お り,回 答49市 町 村 の う ち,46市 町
村 が 自 己市 町 村 内 も し くは 付 近 に設 置(共
*地 理 学 研 究 室(昭
和61年9月18日
受 理)
同 設 置 を 含 む)を 考 え て い る1)空 港 の 規 模 につ
奈
106
第1表
良
大
学
紀
要
第15号
全 国 地 域 航 空 シス テ ム 推 進 協 議 会 会 員(地 方 公 共 団 体 一
道 府 県 、 市 町 村)
昭 和61.2.4現
道府県
加入月 日
市町村
(道府 県)
高 知
兵 庫
愛 媛
鹿 児島
長 崎
大 分
宮 崎
三 重
徳 島
福 井
香 川
熊 本
沖 縄
北海道
和歌山
長 野
石 川
岐 阜
広 島
秋 田
青 森
茨 城
58.6.24
石巻市
釧 路市
帯広市
津 市
(宮
山 梨
宮 城
福 島
岩 手
群 馬
崎 玉
山 形
新 潟
京 都
栃 木
愛 知
滋 賀
富 山
い て,①
7.20
8.1
8.9
8.25
7.20
羽 幌 町(
北)
7.13
東利尻町(
浜頓別 町(
広尾町(
礼文 町(
苔前 町(
初 山別村(
浦河 町(
奥尻 町(
北)
7.18
北)
7.18
北)
7.20
北)
7.20
北)
7.25
北)
7.26
11.i
(兵
姫路 市
滝川 市
神戸 市
高 山市
御坊 市
鹿屋 市
出水 市
枕 崎市
室 蘭市
11.1
11.9
11.14
11.21
11.25
11.28
59.4.9
4.11
4.21
5.1
5.10
5.30
6.13
7.18
8.21
8.31
9.17
10.29
11.2
60.4.1
4.1
4.1
4.24
4.25
(北)
11.15
(兵
庫)
12.1
(岐
阜)59.
北)
7.6
北)
7.6
北)
・
7.9
北)
(和 歌 山)
4.2
(鹿 児 島)
4.9
(鹿 児 島)
4.10
(鹿児 島)
4.13
(北)
4.20
え り も町(
北)59.
4.2
伊 達市 (北)
登 別市 (北)
旭川市 (北)
伊万里市(佐 賀)
熊 野市 (三 重)
4.20
高鷲 町(岐
阜)
4.2
4.20
60. 1.7
本渡市 (熊 本)
加世 田市(鹿 児島)
久慈市 (岩 手)
小浜市 (福 井)
9.6
瀬戸 内町(鹿児島)
余 市町(
北)
足寄町(
北)
信楽町(滋
賀)
八雲町(
北)
7.6
7.25
8.22
9.13
12.26
10.1
北)
3.1
4.1
4.1
4.1
5.io
崎)
川)
5.10
川)
il.i8
2.4
北)61.
4.15
4.15
4.18
4.19
4.24
5.10
5.17
5.21
ロ ペ ラ機 中 心,②
滑 走 路 が2000mで
よ び ⑤ そ の 他(未
内海町(香
岩内町(
4.1
7.27
北)
門川町(宮
土庄町(香
10.22
名寄市 (北)60.
美唄市 (北)
宇都宮 市(栃 木)
津 山市 (岡 山)
大館 市 (秋 田)
会津若 松市(福 島)
日向市 (宮 崎)
滑 走 路 が800∼1000mで,プ
プ ロ ッ プ 機 中 心,③
4.2
新居 浜市(愛 媛)
前橋 市 (群 馬)
10.9
6.25
11.9
10.27
10.3
庫)
9.6
手)58.
lo.3i
10.24
lo.i4
形)
10.22
9.27
千歳市
中村市 (高 知)
庄内広域行 政協議会
佐伯市 (大 分)
豊岡市 (兵 庫)
10.18
6.25
7.25
米 沢市(山
軽 米町(岩
北 檜山町(
利尻町(
枝幸町(
中標津町(
7.29
重)
(北)
9.6
機 就 航 可 能,お
7
(北)
加 入月 日
(道 府 県)
八戸 町(青
森)60.
横浜 市 (神 奈 川)
6.24
城)58.
(北)
(三
市 町村
加入月 日
在
(北
滑 走 路 が1200∼1500mで,タ
ジ ェ ッ ト機 中 心,④
定 を 含 む),と
)は 北 海 道
滑 走 路 が2500mで
ーボ
大 型 ジエ ッ ト
分 け て 回 答 して も ら っ た.こ
の う ち,①
は い わ ゆ る コ ミ ュ ー タ ー 航 空 を 意 味 す る が,32市
町 村 が 希 望 して い る.②
は北 海 道 の初 山
別,名
岡,新
計8市
寄,余
して い る.③
市,枝
幸 の4市
は 登 別,室
蘭,酒
町 と,石
田,神
巻,津,豊
戸,姫
居 浜 の4市
で,合
路 お よ び 滋 賀 県 信 楽 町 の 計6市
町が希望
町 が 希 望 して
107
坂本:地 域航空 の可能性 と課題
い る.こ の② と③ の 中 間 型 に北 海 道 八 雲 町 が あ り,自 衛 隊 八 雲 基 地(1800m)の
活用の要
望 が 出 て い る.④ は な し,⑤ は3で あ っ た.な お,回 答 数 が 市 町 村 数 を上 回 る の は,神 戸
市 が ① と③ の 併 設 構 想 を もつ こ と に よ る.
空 港 開 設 に よ り期 待 され る こ との う ち,最
発展 で ある(第2表).い
第2表
空港規模
期 待
工 業 誘 致
も多 い の は企 業(工 場)や 大 学 な どの 誘 致 ・
ず れ も地 元 へ の 収 入 増 につ なが る効 果 を も って い る.県(道
空 港 設 置 に よ り期 待 され て い る こ と
800∼
1,200^
1,000m
1,500m
2,000m
2.5
4
人
4
4
患 者 ・災 害
3.5
3.5
1.5
光
有
21
客
名
産 業 航 空
10
2.5
県 都 往 復
13
3
東 京 往 復
7.5
そ
6
の
合
他
66.5
0.5
28
13.5
8.5
13.5
1
16
10
2.5
7
1
io7
計
2
12
12
40.5
合計
そ の 他
5.5
観
府)
28.5
3.5
24
163
空 港 規 模 は 滑 走 路 の 長 さ。 全 国 地 域 航 空 シス テ ム推 進 協 議 会 会 員(市 町 村 、 空 港 未 設 置)ア
ン
ケ ー ト回答 に よ る。
複 数 回 答 は1位2点
、2位1点
第3表
、 多 数 で3位 以 下 は 各0.5点
空 路 で 結 び つ き た い 都 市(空 港)
計
州
九
● 国
畿
咽
近
中
部
中
東
関
北
東
道
海
北
4
4
00
∩乙
り0
9自
2
り乙
9
-⊥
4
0乙
9白
ーユ
1
9白
4
9自
QU
3
り乙
7
3
1
-⊥
-⊥
6
ρ0
7
9白
4
4
8
41
■
⊥-・
91﹂1⊥﹂1⊥己
⊥
121 43
23 11
7
ンケ ー ト回答 。
-⊥
19
3
2
5
、 調 査 中)。
10
4
15
41 15
町 村)ア
空 港 既 設 会 員 は 除 く。7会 員 は非 記 入(含
ρ0
π0
可⊥
9自
QU4■
⊥-
東
大
名福札千県県付県
成
﹁O
京田 阪屋 岡 幌 歳 都 市 港 市
数
方
計 村
都空都
町
当
古
市
方
内
近外
合 答
回
先
全 国 地 域 航 空 シス テ ム 推 進 協 議 会 会 員(市
108
奈
庁 所在 地 へ の 往 復 が 第3位
良
大
学
紀 要
第15号
に あ げ られ る が,意 外 に 少 な い の が,患 者 や 災 害 時 の輸 送,産
業航 空 な ど非 定 時 的 利 用 で あ っ た.
空 路 に よ り連 絡 を も ち た い相 手 の 都 市 を あ げ て も ら った(第3表).相
手 の都 市 は 空港
の 有 無 を 問 わ な い と した.東 京 に対 して は 中 型 空 港 以 上 の 設 置 を 希 望 す る 自 治体 に 強 く,
道 府 県 庁所 在 地 に対 して は800∼1000mの
し,小 型 空港 で も,乗
小 型 空 港 希 望 の 自治 体 に 多 い傾 向 が あ る.し
か
りか え に よ って 東 京 あ るい は 大 阪 と空 路 で 連 絡 す る意 図 が うか が わ
れ る.
地 方別 に 分 け て み る と指 向 の 相 違 が あ らわ れ る.北 海道 の 市 町 村 は札 幌 お よ び道 内主 要
都 市 との連 絡 を 希 望 す る と こ ろが 多 い が,一 方 で,東 京 を 指 向 す る もの は千 歳 お よ び付 近
の 乗 りか え 空 港 との 連 絡 を希 望 して い る.関 東 は 数 が 少 な い が,東
京 お よ び成 田 を 希 望
し,国 内 の他 地 域 を 全 く指 向 して い な い こ とは 特 徴 的 で あ る.近 畿 は 中型 空 港 を建 設 して
東 京 と連 絡 す る指 向 が み られ る.九 州 は 中心 都市 の 福 岡 との 連 絡 の ほか,相 手 の 固有 名 詞
で は,都 市 名 で は な く,空 港 名 を あ げて 乗 りか え 機 能 を 明 示 した回 答 が い くつ か あ った.
空 路 利 用 に対 す る意 識 の 先 進 性 が うか が わ れ る,
0方 ,具 体 的 な 指 向 先 の 側 か らみ る と,東 京,札 幌,大 阪,福 岡 な どへ の希 望 が 多 い.
注 目す べ き こ とは,北 海 道 の 場 合 を 除 くと,県 庁 所 在 地 都 市 へ の 指 向 は弱 く,さ らに 県 庁
所 在 地 以 外 の 県 内 都 市 との 連 絡 希 望 は全 くな い.第3表
る とい え一 般 的 回 答 が 第3位
よ うに順 位 が 下 る.第2表
の 期 待 され る便 益 の 集 計 とか み 合 わ せ る と,コ
に 対 して は,社 会 的 ・生 活 的 便 益 よ りは,む
い意 向 が0貫
で は 県 庁 所 在 地 との連 絡 を希 望 す
に あ っ たが,具 体 的 な 指 向 先 の 希 望 を あ げ る とな る と,こ の
ミュー ター航 空
しろ 空 路 を テ コに して 経 済 的 便 益 を は か りた
して い る,そ の ため に は1府 県 内 の 交 流 よ りは,東 京 お よ び広 域 中心 都 市 と
の連 絡 を 強 め る必 要 性 が 優 先 して い る と解 釈 で き る.
空港 の 地域 に 対 す る経 済 効 果 は年 々増 大 しつ つ あ るが,地 方 に お いて もそ の傾 向 が 出 て
い る(西 岡 久雄,1983a,b,1985a,b).し
か し,空 港 を 作 れ ば企 業 が 立地 す るで あ
ろ う とい うの は 早 計 で あ る.す な わ ち,工 業 地 域 計 画 と空 港 建 設 は ワ ンセ ッ トで推 進 しな
け れ ば な らな い.空 港 は手 段 で あ って,空 港 計 画 と一 体 化 した 産 業 の 振 興 計 画 の 樹 立 が
欠 か せ な い.さ
きの 協 議 会 会 員(市 町 村)に 対 して,市(町
先 端産 業 集 団 が あ りま す か,と
端 産 業)共
たず ね,回 答 を 得 た(第4表),表
で は(工
し くは
業 団 地+先
在
す
な
北
7
4
し
8
1
設
中
計
画
中
計
東
る
建
建設
工 業団地あ るいは先端産業の有無
北海道
合
に工 業 団地,も
に あ る,と い う重 複 分 も加 算 して あ る.「 あ る」 と答 え た市 町村 が21,「
第4表
存
村)内
関
東
中 部
近畿 ・
中 ・四 国
1
2
17
6
州
合
計
4
5
21
3
3
17
2
i
2
九
i
2
2
4
3
2
11
9
2
10
50
全 国 地 域 航 空 シ ス テ ム推 進 協 議 会 会 員(市 町 村)へ の ア ンケ ー ト回答 に よ る 。 既 設 空 港 所 在 の 自治
体 は 除 く。 合 計 は 回 答 市 町 村 数 。
坂本:地 域航空 の可能性 と課題
中 」 や 「計 画 ・構 想 中 」 を 加 え る と,工
理 念 に 沿 っ た ケ ー ス は3分
2.交
の2に
業 地 域(計
画)と
109
空 港 建 設 は ワ ン セ ッ ト,と い う
達 す る.
通不便な地域の空路 への意 向
地 域 航 空 シス テ ム推 進 協 議 会 の メ ンバ ー市 町村 の す べ て が 交 通 不 便 な地 域 に位 置 して い
るので は な く,そ れ よ り もっと交通 条件 の 劣 る地 域 が 全 国各 地 に あ る よ う に見 受 け られ る.
協 議 会 の メ ンバ ー以 外 で 交通 不便 な 地 域 に位 置 す る市 町村 で は,は た して,ど の 程 度 空 路
開 設 に関 心 が あ るか 調 査 した.
■冒
記
号
3
2
第1図
地 方 生 活 圏 別 の高 速 交 通 機 関 整 備 状 況(1985年4月
記 号 の数 は 下 記 交 通 系 の 整 備 数(例,記
号3は3系
時 点)
と も整 備)「 整 備 」 の 基 準:圏 域 人 口の 過 半 数 が
各 距 離 圏 内 に 入 って い る場 合.道 路 系:高 速 イ ン タ ー チ ェ ン ジよ り30㎞ 圏 内,鉄 道 系:新 幹 線 駅 よ り
30㎞ 圏 内,航 空 系:ジ ェ ッ ト機 就 航 空 港 よ り50㎞ 圏 内.
〔出典 〕 国土 庁 計 画 ・調 整 局 『日本21世 紀 へ の 展 望 一
省 印 刷 局,1984,149頁.
国 土 空 間 の 新 しい 未 来 像 を 求 め て 一
』大蔵
110
奈
国 土 庁 の 調 査(1985年4月
良
大
学
紀
現在 の 交 通 状 況)に
要
第15号
よ る地 方 生 活 圏 別 の 高 速 交 通機 関 整 備 状
況 にお いて,道 路 系 ・鉄 道 系 ・航 空 系 の3交 通 手 段 の 重 な りが 示 さ れ て い る(第1図).
各 系 の 整 備 合 格 条 件(地 域)を,道
路 系 は 高 速 道 路 イ ンタ ー チ ェ ン ジよ り30km以 内,鉄 道
系 は新 幹 線 よ り30km以 内,航 空 系 は ジ ェ ッ ト機 就 航 空 港 よ り50km以 内 と して い る.各 生 活
圏 の 人 口の 約 半 分 以 上 が含 ま れ れ ば,そ の 生 活 圏 が 合 格 条 件 に 入 る と して い る.3機
も未 整 備 の 地 方 生 活 圏 の 数 は,離 島 以 外 に も,北 海 道10,東
4,中
国4,四
国5,九
北11,関
東2,中
関と
部7,近
畿
州8で あ る.
空 路 新 設 は この よ うな 地 域 に 適 して い る と い え よ うが,そ れ で も決 定 的 に不 便 な 地 域 と
み なせ な い地 域 もあ る,も う少 し交 通 条 件 の き び しい場 所 で な け れ ば 空 路 利 用 へ の 要 望 が
起 らな い と考 え られ た の で,次 の よ うに 条 件 を き び し く した.国 土 庁 の あげ た3機 関 と も
未 整 備 の 地 方 生 活 圏 の 中 で,さ
46km,都
らに 都 道 府 県 庁 か ら車 で3時
間 以 上(平
均 時速 を北 海道
府 県35kmと して)か か り,か っ タ ー ボ プ ロ ップ発 着 空 港 か ら,北 海 道80km,都
府
県50km以 遠 の 地 と した.こ れ らの 中 か ら,中 心 的 な都 市 お よ び 比 較 的 人 口の 多 い町 を え ら
び,結 局,39市
町村 に ア ンケ ー トを 発 送 した(1985年8月
下 旬).3週
間 後 に未 着 自治 体
に催 促 状 を 出 し,合 計38市 町 村 か ら回 答 を 得 た.
「市 町 村 内 に 空 港(航 空 便)へ の 期 待 や 要 望 が 起 って い る か 」 との 質 問 に対 して,「
る」 は22,「
な し」 は15で あ った.こ
こで,ま ず 「な し」 と答 え た 市 町 村 につ いて,そ
理 由 を整 理 して み た い.交 通 不 便 の はず で あ るが,6町
北 海 道 の 瀬 棚,大 成,歌
あ
の
村 が 交 通 条 件 上 の 理 由 を あ げ た.
登 の3町 は 高 速 バ ス運 行 の実 施 と見 込 み で 空 路 へ の 機 運 が な い こ
と を あ げ た.福 井 県 高 浜 町 は 京 都 駅 まで2.5時 間 で ゆ け る こ と,兵 庫 県 香 住 町 は 日本 海 岸
自動 車 道 に期 待 して い る こ と,福 島 県 金 山町 は豪 雪 の た め 空 路 設 定 不 能 が 理 由で あ る.
空 路(空 港)へ
の 期 待 や 要 望 の な い市 町 村 に,交 通 条 件 以 外 に 理 由を あ げて も ら った.
これ は,考 え られ う る9つ の 理 由 を 列 挙 し,そ れ を選 択 して も ら っ た(そ の 他,の 項 に も
理 由 を記 入 して も ら う よ う に したが,そ
こへ の 記 入 は な か った),回
と,人 口(利 用 者)が 少 くて 採 算 が とれ ま い13,空
答 の 多 い順 に あ げ る
港 建 設 の 適 地 が な い10,航
空への
財政 的支 援 が 困 難7,近
くの 市 町 村 が 空 港 設 置 の準 備 中 な の で それ に依 存6,道
想 ・計画 外 な の で3,理
由 はわ か らな いが とに か く空 港へ の 要 望 は 出て い な い1,合
とな る.期 待 ・要 望 の な い 市 町村 のす べ て が 平 均 して2∼3個
府 県 の構
計40
の 項 目に チ エ ック した こ と
に な る.そ の ほか の 選 択 項 目 と して,[〉 急 い で 旅 行 す る機 会 が 住 民 に は あ ま りな い.[〉 住
民性 と して 空 の 旅 を 危 険 と み なす.[〉 航 空 便 は 高 運 賃,の3つ
を 用 意 した が,こ れ らに対
して の チ ェ ッ クは なか っ た.
以 上 の 回 答 を ま とめ る と,空 港(空 路)の 実 現 性 は経 済 性(採 算 と財 政)に か か って お
り,そ れ を 前 提 に して,他
の 交通 機 関 利 用 との 選 択 が 考 え られ て い る こ とが わ か る.あ れ
ば 便 利 だ けれ ど も,が 本 心 で あ って,全
く不 必 要 と い う意 味 で の 回 答 は 少 な か った.
空 港(空 路)の 要 望が 存在 す る市 町村 は 次 の 通 りで あ った.北 海道 一 根 室 市,中 頓 別 町,
音 威 子 府 村,福
島県 一 い わ き市,東
京 都 一 小 笠 原 村,石 川 県 一 輪 島 市,珠 州 市,京 都 府 一
舞 鶴 市,宮 津 市,久 美 浜 町,兵 庫 県 一 村 岡 町(た だ し豊 岡 市 へ 依 存?),和
市,那 智 勝浦 町,島 根 県 一益 田市,海 土 町,西
御 荘 町,城 辺 町(県 南 で1空
港?),高
これ ら市 町 村 内で 空 港(空 路)設
歌 山県 一新 宮
ノ島 町,香 川 県 一 内 海 町,愛 媛 県 一 津 島 町,
知 県 一 宿 毛 市,熊 本 県 一 牛 深 市.
置 へ の 進 展 の 度 合 い を たず ね た 回 答 結 果 は 次の 通 りで
あ る.a)空
港 建 設 適 地 を 調査7,b)市
る5,d)担
当 部 課 が 決 った2,で
町 村 議 会 で 審 議7,c)都
あ る.こ の う ち,a)で
道 府 県 と相 談 して い
は,益 田 市 が 適 地 を決 定 し,
坂本:地 域航空の可能性 と課題
建 設 計 画 に対 す る 国 の ヒア リ ングが 終 了 して い る.宿
111
毛 市 で は 空 港 予 定 地 を 決 定 して い
る.選 択 肢 に は,ほ か に 「全 国 地 域 航 空 シス テ ム推 進 協 議 会 に 加 入 準 備 中 」 とい う項 目 を
提 示 した が,回 答 記 入 は な か った.府 県 レベ ル で の 空 港 計 画 構 想 に つ いて は,質 問 の 〔そ
の他 〕で の 回答 に,三 重 県(熊 野),京
兵 庫 県(但 馬)が
都 府(北
部),愛
媛 県(南
予),石
川 県(能 登),
あ る.上 述 の 市 町 村 の 構 想 と重 複 して い る もの も あ る.島
笠 原 村 が 兄 島 に都 営 第 三 種 空 港 設 置 を 議 決 し,関 係 機 関 に 要 望 中 で あ る.こ
と して は,小
の よ う に,
「全 国 地 域 航 空 シス テ ム 推 進 協 議 会 」の 構 成 員 以 外 の 自治 体 で も,空 港 設 置 の 動 きは 活 発
化 して い る.
空 港 設 置 の 期 待 ・要 望 が あ る 市 町 村 に,そ の 実 現 を 妨 げて い る と考 え られ る要 因 を 自 由
記 入 して も ら っ た.こ れ に は14自 治 体 が 回 答 した(複 数 項 目 回答 あ り).こ
大 別 す る と,採 算 性 に 問題 あ り,と す る もの が10で,こ
懸 念 す る もの を 含 ん で い る.つ ぎ に 財 政 が 問 題 で,市
の用 地(適 地)が
少 な い6.そ
町 村 の 財 源 難 を あ げ た もの8.空
の ほ か の 要 因 は,運 賃 が 高 い,既 設 空 港 へ 車 で3時
民 の 反 対 運 動 ・主 張 等 へ の危 惧,観
算 性 と財 政 補 助 問 題(つ
れ らの 回 答 を
れ に は人 口が 少 な く利 用 者 の 数 を
光 ル ー ト計 画 未 決 定,な
ま り財 源 難)が
ど各1で
あ っ た.こ
こで も採
主 要 な要 因 と して あ げ られ て い る.結 局,空
置 構 想 の 有 無 に か か わ らず,経 済 問 題 が 最 大 の 障 害 で は な い か,と
港
間,住
港設
い う関 係 者 の 意 識 の 強
さが わか っ た 。
空 路 で 結 び つ け た い 相 手 の 都 市(ま
在 地12,県
5,名
内都 市7,県
古 屋3,福
岡1で
外 都 市4,県
た は 空 港)を
内 空 港3で,そ
あ げ た の は20市 町 村 で,県(道)庁
所
れ以 外 の 大 都 市 で は,大 阪7,東
京
あ っ た(複 数 回 答 を 含 む).
ア ンケ ー トの 最 後 に,対 象 の 市 町 村 の 地 理 的 位 置 を 「交通 不 便 で あ る」 とみ な した こ と
につ いて の 感 想 を求 め た 。(第5表)。
交通 条 件 の 不 良 な こ とを どの 市 町 村 も否 定 しな か っ
た こ と は当 然 の こ とな が ら,空 港 へ の 態 度 差 の 大 き さ と比 べ て 興 味 深 い.ま
た,前
述の
「あ れ ば 便 利 だ と思 うが … … しか し」 と い う意 識 が この表 に もあ らわ れ て い る.
第5表
「貴 地 は交 通 不 便 」 とみ な した こ と に つ い て
空 港 設 置 の 要 望 ・機 運 が
あ る市 町村
1
そ う思 わ な い
9白
そ う思 った
00
そ う だ と して も空 港(航 空 便)は 不 要 な 土 地 柄
4
実 現 は と もか く、 空 港 は 必 要 だ ろ う
に0
そ
の
0
8
12
計
交 通 不 便 な 市 町 村 に対 す る ア ンケ ー ト回 答
0
4
0
2
17
他
合
3.既
ない市 町村
0
29
1
15
重 複 回 答 を 含 む。
設 空 港 所 在 地 へ の ア ン ケ0ト
辺 地 に あ る空 港 が ど の よ うに 利 用 され て い る か を 市 町 村 ア ンケ ー トに よ り調 査 した.こ
の場 合,辺 地 に あ る空 港 とは 東 京 お よ び 大 阪 と直 接 の 航 空 路 線 を もた な い もの を 指 す.そ
の た め,北 海 道 の 一 部 を 除 け ば,離 島 の 空 港 と な る.ア
て い る市 町村 の ほか,そ
も含 ま れ る.ア
の市 町村 に 隣 接 して,空
ンケ ー ト発 送 は1985年8月18日
ンケ ー ト発 送 先 は,空 港 が 所 在 し
港 に近 く,利 用 者 も多 い とみ られ る もの
で,回 答 未 着 に対 して は9月 中 旬 に 催 促 し
奈
112
た.64市
良
大
学
紀
要
町村 に 対 して55の 回答 を得 た.な お,空
か った が,そ の 隣 接 市 町 村 の 回答(回
収)率
第15号
港 の 所 在 市 町 村 の 回 答(回
収)率
は高
は低 目で あ った.こ れ らの 回答 は,各 市 町 村
の 関 係 者 の判 断 に 基 く もの で あ って,航 空 便 の 利 用 状 況 を 数 量 的 に計 算 した 上 で の もの で
は な く,信 頼 性 は 相 対 的 な段 階 に 止 ま るが,他
に 資料 が存 在 しな いの で,傾
向 を 知 る手 掛
り程 度 に した い.
辺 地 へ の 旅 行 者 は一
一般 に季 節 変 動 が あ り,年 末 年 始 と年度 末 は帰 省 客 が 多 く,夏 は 観 光
客 が増 え る.こ れ に対 して,春 や秋 は観 光 客 が 減 り,比 較 的 安 定 した客 層 が 存 在 す る.航 空
便 利 用 者 で,地
元 住 民 と外 部 か らの 訪 問 者 の 多 少 を 夏 と春 秋 にわ けて た ず ね た(第6表).
第6表
航 空便利用者の概況
空
港
所
在
地
回答 市 町村数
合計
住
住
住
夏
民 〉
民=訪
民 く
北海道
10
佐
渡
長崎県
3
15
2
訪問者
問者
訪問者
鹿 児島県
沖縄県
計
15
11
54
2
5
3
2
8
3
1
4
2
3
12
い ち が い に いえ な い
春
秋
種
類
目
・
的
(春 秋)
9
28
1
1
よ く わ か ら な い
2
2
1
1
住
住
住
4
6
9
8
27
2
3
2
3
15
1
2
3
1
1
2
1
1
3
7
3
民 〉
民=訪
民 く
訪問者
問者
訪問者
5
いちがい にいえない
来訪者の
io
よ く わ か ら な い
1
ビ
公
建
帰
観
釣
野
ジ
ネ
務
ス
出
設
光
り
鳥
合
の
計
客
6
張
業
2
省
客
客
会
2
実 施 、 〉 、=、<は
6
3
1
i
22
5
1
1
3
1
2
2
2
1
2
5
3
4
1
7
14
6
1
1
14
東 京 ・大 阪 か らの 直 通 便 の な い 空 港 所 在 地(含
数 、1985年8月
1
6
2
隣接)市
17
11
55
11
町 村 へ の ア ンケ ー トの 回 答 、数 字 は 市 町 村
数 の相 対 的 大 小 に つ いて の判 断 に よ る。
予 想 した通 り,航 空 便 利 用 につ いて は,夏 は 外 部 か らの 訪 問 者 が 住 民 よ り多 い と答 え た
ケ ー スが 顕 著 で あ り,春 秋 は そ の 逆 で あ る.観 光 客 の 影 響 が 大 き い の は長 崎 県 と鹿 児 島 県
の 場 合 で あ る.長 距 離 交通 機 関 に と って 重 要 な 意 味 を もつ の は,閑 散 期 の 固 定 客 層 で あ る
が,こ
れ を 春 秋 の 来 訪 者 の 種 類 と して た ず ね た.選 択 肢 を 与 え な か っ たの で 漠 然 と した 回
答 もあ り,意 味 の 上 で も重 複 す る場 合 もあ った が,整 理 して 大 き くま とめ た.ビ
が0番
ジネ ス 客
多 く,つ いで 観 光 客 とな る.春 秋 期 で も,長 崎 県 や 鹿 児 島 県 は 釣 り客 を も加 え た 観
光 ・レジ ャー利 用が 多 い.北 海 道 と沖縄 の辺 地 航 空 は生 活 路 線 の色 彩 が か な り出て い る が,
逆 に い え ば 観 光 ・レ ジ ャ ー面 で の 開 拓 の 余 地 が 残 され て い る と もい え る.
地 元 住 民 の う ち,ど
うい う職 業 に利 用 者 が 多 いか を たず ね た(第7表).全
回答 をみ る
と,多 忙 な 職 業 の 人 が航 空 便 を 利 用 す る こ とが 多 い よ うで あ る.し か し,沖 縄 県 で は職 業
に関 係 な く住 民 が む らな く利 用 す る と 回答 した 市 町 村 が 多 く,航 空 が 地 域 に根 付 い て い
坂 本:地 域航空の可能性 と課題
第7表
空
港
計(市
多
い
職
業
北海道
10
長
員
長
師
者
9
建
小
農
水
企
旅
業
業
業
業
員
業
3
業
業
設
売
林
産
支
館
店
の
佐
渡
長崎県
3
首
市 町 村 会 議
農 漁 協 組 合
医
工 場 関 係
そ
職
住
民
辺 地 空 港(空 路)、 住 民 の 利 用状 況
所
在
地
町 村 数)
利用の
113
鹿児 島県
15
15
4
4
6
2
11
1
4
2
12
2
1
4
2
1
2
2
1
6
2
3
5
3
計
関
1
1
4
3
11
1
1
1
32
係
路
13
7
38
4
6
6.5
6
0.5
空
路
4
5.5
2.5
路
7
空
1.5
3
12.5
3
路
3
8.5
いちがいにいえぬ
102
8
25
11
36
10
9
23
11
10.5
29
3
東 京 ・大 阪 か らの 直 通 便 の な い空 港 所 在 地(含 隣 接)市
は複 数 回 答 あ り。1985年8月
1
12
7
5
非
2
4
3
空
14
8
1
3
非
5
2
1
い ち が いに い え ぬ
の 東京 へ
利
用
す
る 県都へ
手
段
26
10
他
合
に
無
空
計
54
11
8
1
3
3
沖縄県
3
町 村 へ の ア ンケ ー トの 回 答 。 職 業 の 種 類 欄
実施。
る こ とを感 じさせ る.こ れ に 対 して,北 海 道 で は 利 用 者 が 職 業 に 左 右 され る傾 向 が み ら
れ る.
ふ つ うの住民 が,東 京 あ る いは県(道)庁
所 在 地 へ 行 くの に空 路 を 利 用 す る か ど うか は,
沖 縄 県 とそ れ 以 外 とで は異 な る.沖 縄 県 で は東 京 へ も那 覇 へ も航 空 便 を 利 用 す る.そ れ 以
外 の 地 域 で は,東 京 へ は概 して 航 空 便 で,県(道)庁
所在 地 へ は航 空 便 以 外 を 利用 す る 傾
向が あ る.長 崎 県 や 鹿 児 島県 は利 用 の 仕 方 が や や 複 雑 に な る.
空 港(航 空 便)に
対 して 改 善 を 望 む こ とを 答 え て も ら っ た(第8表).こ
選 択 肢 と 自 由記 入(そ の 他),計10の
れ は9つ
の
項 目で,複 数 回答 の場 合 は順 位 を つ けて も ら った.
全 体 と して,運 賃 の値 下 げ と航 空 機 の 大 型 化 ・ジ ェ ッ ト化 へ の 要 望 が 強 い.し
か し,運
賃 値 下 げ の 要 望 は,自 治 体 が 補 助 金 の 支 出 を 避iけて い る節 が感 じ られ る.後 述 の よ うに,
コ ミュ ー タ ー航 空 は不 採 算 路 線 が 一 つ の 前 提 の よ う に な っ て い る し,し か も コ ミュ ー タ
ー航 空 が 地 域 住 民 の プ ラ ス に な る な ら ば ,財 政 支 出 の 問 題 は 避 け て 通 れ な い は ず で あ
る.
現在 の 空 路 以 外 に も,他 に 望 ま しい路 線 が あ る と考 え られ る場 合,先 方 の 市 町 村 名 を あ
げ て も ら った.回 答 の あ った もの を 以 下 列 挙 す る.〔 空 港 名 とそ の 所 在 地 〕 一 希 望 す る先
方 の市 町村.こ
の 順 で あ げ るが 空 港 名 と所 在 地 名 が 一 致 す る と き は 後 者 は省 略 す る.空 港
に隣 接 した市 町村 の 回 答 の 場 合 は(市 町 村 名)を
入 れ る.
114
奈
第8表
良
大
学
紀
要
第15号
現 空港への改善要望点
北海道
佐
8.5
大 型 化 ・ ジ ェ ッ ト化
空港の多機能 化
10.5
増
便
運賃 の 使 用 料 ・税 の 減 免 で
値下 げ 固定費の補助金 で
計器着 陸で欠航減
新規空 路の開設
it
渡
鹿児 島県
長崎県
2
5.5
3
3
7.5
io.5
1.5
5
1.5
沖縄県
18.5
11.5
合
計
6
40.5
5
29
7
30
9
6.5
33.5
13.5
5
1
4.5
3
2
7.5
3.5
1
14
2.5
4.5
4
13.5
3
1.5
1
空港 の位 置変更
2
1.5
そ
0.5
0.5
空 港 へ の ア クセ ス短 縮
の
2
0.5
他
得
点
8.5
43
計
合 、1位
は2点 、2位 は1点
、3位 以 下 は0.5点
3.5
0.5
61
38
東 京 ・大 阪 に 直通 便 を もた な い空 港 の 所 在 地(含 隣 接)市
6
33.5
184
町 村 へ の ア ンケ ー ト回答 。 複 数 回 答 の場
。
〔稚 内 〕 一 大 阪
〔利 尻,東
利 尻 町 〕-6∼9月
は 札 幌 と,お
よ び 稚 内 ∼ 旭 川 間.
〔礼 文 〕 一 札 幌.
〔紋 別 〕 一 千 歳,稚
内.
〔中 標 津 〕 一 東 京.
〔佐 渡,両
津 市 〕 一 東 京.
〔壱 岐 〕(郷
〔
対 馬,美
ノ浦 町)一
対 馬.
津 島 町 〕 一 大 阪,(厳
〔福 江 〕 一 大 阪,(富
江 町)一
〔上 五 島,有
川 町 〕 一 大 阪,松
〔種 子 島,中
種 子 町 〕 一 東 京,枕
〔屋 久,上
本.
〔沖 永 良 部 〕(知
県 町)一
大 阪,(上 対 馬 町)一
福 岡.
山.
崎,名
古 屋,鹿
久 町)一
屋,(西
福 岡,大
之 表 市)一
福 岡,東
京.
阪.
a>
利 町 〕 一 瀬 戸 内 町,(名
〔徳 ノ 島 〕 一 那 覇,(伊
〔宮 古,平
大 阪,(上
屋 久 町 〕 一 那 覇,(屋
〔喜 界 〕 一 鹿 児 島.
〔奄 美,笠
原 町)一
大 阪,熊
仙 町)一
名 町)一
瀬 市)一
東 京,大
阪,種
子 島.
那 覇.
徳 ノ 島.
良 市 〕 一 東 京,大
阪,(下
地 町)一
東 京,大
阪,福
岡,(上
野 町)一
東 京,
福 岡.
〔与 那 国 〕 一 那 覇.
1979年9月20日
付 で,ゼ
ネ ラル航 空研 究 会 の 伊 藤 良 平 理 事 長 が 空 港 所 在 地 へ の ア ンケ ー
ト調 査 を お こ な っ た う ち,二
地 点 間 輸 送 の 開 設 希 望 を た ず ね た 項 目 が あ る.そ
稿 と 関 連 す る の で 紹 介 す る(伊
〔稚 内 市 〕 一 旭 川 市,紋
〔美 津 島 町 〕 一 福 岡 市,長
の一 部 は 本
藤 良 平,1980).
別 市,釧
路 市.
崎 市.
〔与 那 国 町 〕 一 石 垣 市.
本 稿 は 辺 地 の 空 港 に 対 象 を 限 っ た た め,わ
ず か3例
し か 該 当 して い な い が,こ
の6年
の
115
坂本:地 域航空 の可能性 と課題
間 に,新 路線 開 設 希 望 先 が 遠 隔 化 して い る こ とが これ だ けで もみ て と れ る.か つ て 筆者 は
沖縄 を 中心 と した 南 西 諸 島 の 空 路 改 善 に つ い て 考 察 した(坂 本 英 夫,1984).そ
ひ とつ と して,辺
地(離 島)か
の うち の
らの 本 土 直通 便 の必 要 性 を 指 摘 した.わ が 国 の 交通 体 系 は
東 京 を 中心 と した 階層 的 な シ ス テ ムを 形 成 して い るが,視 覚 的 な 表 現 を と れ ば 階層 的樹 枝
状 の交通 体 系 といえ る.た とえば,空 路 利 用 で 東 京 か ら沖 縄 県 の 与 那 国 島へ 行 くた め に は,
東 京 か ら那 覇 まで 乗 び,乗
りか え て 那覇 か ら石 垣 ま で飛 び,さ
らに 乗 りか えて 石 垣 か ら与
那 国 まで 飛 ぶ 必 要 が あ る.辺 地 開 発 の促 進 の ため に は,地 方 の小 拠 点(た
と え ば石 垣 市 と
か 宮 古 市)と 本 土 との 直 通 便 開 設 が 望 ま しい こ とを 指 摘 した.
全 国 地 域 航 空 シ ス テ ム推 進 協 議 会 の 会 員(市 町 村)お
よ び既 設 空 港 所 在 地 の 自治 体 の 中
に は,前 述 の ご と く,東 京 ・大 阪 ・福 岡等 との 空 路 新 設 の 希 望 が 多 い.交 通 経 済 上,そ の
実 現 に 向 け て の 推 進 は 合 理 的 で あ る と思 わ れ る.た だ,わ が 国 の 航 空 路 は 過 密 状 態 に な っ
て お り,新 規 空 路 の 割 り込 み を 調 整 す る必 要 が あ る.管 制 シ ス テ ムが ア メ リカの よ うに 長
短 の2通
りに な って い な いの で,関 東 ・近 畿 ・東 北 ・沖 縄、
な どの 複 雑 空域(天
野,1981)
に新 規 路 線 を割 り こま せ る技 術 的 問 題 の 解 決 が急 が れ る.
4.地
域 航 空 の 費 用 と補 助 政 策
コ ミュ ー タ ー 航 空 は 採 算 性 が 低 い と い わ れ る が,こ
短 距 離 と い う 点 か ら,日
ニ エDO228,定
本 エ ア コ ミ ュ ー タ ー(株)の
員19名,プ
ロ ペ ラ機)を
奄 美 大 島 一 徳 之 島 線(139km,ド
モ デ ル に し た3)1回(片
道)運
ル
航の 直接 費 は
料
費 税料 助
料 料陸 膿
の 内 訳 け は 次 の 通 り.
燃 燃着 着
18,250円 で あ る.そ
こ で 簡 単 な 試 算 を し て み る .比 較 的
13,114円
4,316円
700円
120円
合
計
18,250円(A)
一
一方 ,運 航 回 数 と は直 接 関 係 な しに,差 当 り必 要 な固 定 費 を航 行 関 係 に限 って 計 算 す る
と,年 間 お よ そ1億8500万
円 と な る.内 訳 は 次 の 通 りで あ る.
機材整備費
人 件 費(乗 務2)
機 材 リー ス※
合
35,000千
円
20,000千
円
130,000千
円
計185000千
円
(※ ドル ニ エ 機 は 買 取 り で な く リ ー ス で あ る)
1日5往
復(1日10回
る 金 額 は185,000千
結 局,運
用 に は,そ
航 の1回
フ ラ イ ト)の 運 航 と す る と,上
円 ÷(365×10)で
記 の 固 定 費 の1回
あ る か ら,50,685円
当 り 費 用 は,A+B-18,250+50,685-68,935円
と な る(こ
と な る.実
の ほ か 空 港 に お け る 各 種 サ ー ビ ス も算 入 す る 必 要 が あ る し,間
ル ス や 会 社 の 経 営 費 も 加 算 さ れ る べ き で あ ろ う.し
な く と も これ だ け の コ ス ト(68,935円)が
トで19人 満 席 と し た 場 合,コ
が あ る が,満
会 社 は 増 便 を 考 え る と い わ れ る が,小
無 理 で あ ろ う.年
間 を 通 じ て50%を
こ で は1回
あ る3,628円
つ う,大
す る).
際の 運航 費
接 費 と して,セ
ー
の フ ラ イ トで,少
掛 っ て い る と し て 話 を す す め る.1回
ス トの19分 の1で
席 で あ る こ と は 少 な い.ふ
か し,こ
フ ラ イ トに 要 す
れ をBと
の フラ イ
を 上 廻 る運 賃 を 徴 収 す る 必 要
型 機 で は 乗 客 が 年 間 平 均60%を
こ せ ば,
型 で は 損 益 分 岐 点 が 高 い の で 乗 客 が60°oで は 増 便 は
越 す 程 度 の 乗 客 率 を 考 え る と,平
均10人
と して 少 く と
116
奈
良
大
学
紀
要
第15号
も6,894円 の 運 賃 を 徴 収 しな けれ ば経 営 が 成 り立 た な い1)日 本 エ ア コ ミュ ー タ ーの 運 賃 は
高 い とい わ れ るが,奄 美 大 島 一徳 之 島 間 の 片 道 運 賃 は7,320円 で あ る の も,会
社 と して は
それ な り に価 格 を お さ えて 算 出 した数 字 だ とい え よ う.
200
100円
0
ZOOkm
100
第2図
1.長 崎 一 壱 岐 、2.壱
5.那 覇 一 慶 良 間6新
離 島 空 路 の 運 賃 単 価(1984)
岐 一 対 馬 、3.長
島 一 大 島 、7新
崎 一 上 五 島 、4.上
島 一 調 布 、8.新
五島一福江、
潟一佐渡、
9.奄 美 一 徳 之 島 、10.奄 美 一 徳 之 島 、11奄 美 一 沖 永 良 部 、12.奄 美 一 与 論 、
13.函 館 一 奥 尻 、14稚
内 一 利 尻 、15稚
離 島 空 路 の 運 航 距 離 と単 価(円/km)の
内 一 礼 文 、S.Kirkwal‐Sanday(イ
関 係(第2図)を
み ると両者 の 間 は負の 相 関
が あ る.た だ し,距 離 が 大 き くな って も運 賃 の 逓 減 効 果 は 小 さ く,100kmを
円/kmを
ギ リ ス)
こ え て も60
下 廻 る こ とが 困 難 で あ る.こ れ は乗 客 の 少 な い こ とが原 因 で あ り,乗 客 数 を増 や
す こ とが 運 賃 切 下 げの 基本 条件 とな る.そ の ため に は航 空 会 社 よ り も,む
しろ地 元 の 文化
的 ・経 済 的 努 力 に よ り来 島者 増 加 を うな が す こ とが 大 切 で あ る.
辺 地 の 空 港 所 在 地 の市 町村 へ の ア ンケ ー ト調 査 で,「 航 空 便 の 維 持 の ため に お こな って
い る経 済 的 援 助 」 を た ず ね た.そ の 回 答 を 列 挙 す る.沖 縄 県 で は,平 良 市 が 航 空 会 社 へ 資
本 参 加,粟 国 村 が 住 民 利 用 の場 合 に 運 賃 割 引 補 助 を して い る.補 助 は 「な し」 と答 え た の
が,竹 富,下 地,具 志 川,与 那 国 の 町 村 で あ っ た.な お,南 西航 空 は1973年 にDHC6を
購 入 す る際 に,そ の 購 入 費 の90%を
国 ・県 の 補 助 に よ って 得 た.
鹿 児 島 県 で は奄 美 の 島 々 を結 ん で い る 日本 エ ア コ ミュ ー タ ー に対 し,資 本 金1億5000
万 円 の う ち,親 会 社 のTDAが60°09000万
円 を,地
元14市 町 村 が40°06000万 円 を 出 し て
い る.
長 崎 県 で は,有 川 ・勝 本 ・上 五 島 の 各 町 が 航 空 会 社 へ 出資 し,美 津 島 ・勝 本 ・富 江 の 各
町 が 空 港 タ ー ミナ ル ビル会 社 へ 出 資 す る と と も に管 理 負 担 金 を 支 出 して い る.上 県 町 は 空
港 設 置 お よ び 拡 張 へ の 補 助 を した 旨 の 回 答 が あ っ た.有 川 町 は,航 空 会 社 が 経 営 上 赤 字 の
場 合 は赤 字 補 墳 を す る こ とに な って い るが,ま だ その 例 は な い,と の こ とで あ る.厳 原 ・
豊 玉 ・上 対 馬 は経 済 的 援 助 せ ず の 回答 で あ った.長 崎 県 の 市 町村 ご との 援 助 の 状 況 は以 上
の よ うにや \複雑 で あ る.新 潟県 の佐 渡 で は,新 中 央 航 空 株 式 会 社 へ の 赤 字 補 填 につ いて,
117
坂 本:地 域航空の可能性 と課題
新 潟 県 が3分 の2,島
内10力 市 町 村 が3分 の1の 割 合 で 実 施 して い る.1984年
で は両 津 市
は1,010千 円 負 担 した.
北 海 道 で は5)礼 文 ・利 尻 ・東 利尻 ・稚 内 ・奥 尻 ・函館 の各 市 町 が 格 納 庫(稚
空 港 内)の 建 設 補 助 を した.な お,格 納 庫9000万 円(×2)の
円ず つ,計12,000万
うち,各3分
内 と函 館 の
の2,6000万
円 に 道 費 が 補 助 支 出 され た.利 尻 ・礼 文 両 島 で は,1983年 よ り住 民 利
用 の 運 賃 を0部 補 助 して い る.つ ま り住 民 割 引 が あ る.稚 内市 は空 港 ビル 会 社(第3セ
タ ー方 式)へ
ク
の 資本 参 加 を して い る.紋 別 市 ・中 標 津 町 ・東 利 尻 町 な ど は 自 己 出 資 の 市
(町)振 興 会 社 に航 空 会 社 代 理 店 業 務 を させ て い る.そ の ほか,北 海 道 の 援 助 は 特 筆 す る
必 要 が あ る.日 本 近 距 離 航 空(株)に
末2億
円の う ち1億7000万
対 して,機 材(ツ
イ ンオ タ ー)の 購 入 補 助 が1973年
円実 施 され た し,1975∼1980年
オ タ ーの 機 材 整 備 費 補 助(1984,1985年
は 運 航 費 補 助 が あ った.ツ
イン
度 各3000万 円)と 会 社 設 立 以 降 の 出 資 合 計8000万
円 は 強 力 な バ ック ア ップ とな って い る.
こ こで ノル ウ ェ ーの 離 島辺 地 航 空 の補 助 制度(小
げ て み た い.ノ ル ウ ェ ー は2000m級
な の で,と
型 航 空 機 事 業 研 究 会,1980)を
と りあ
の 山岳 と フ ィ ヨル ドの発 達 に よ って,陸 上 交 通 が 不 便
くに 北 部 ・西 部 で 小 型 航 空(DHCお
よ び ヘ リ コプ タ ー)が 活 躍 す る.離 島 ・
辺 地 路 線 の運 航 は ヴ イ デ ロェ ー(wideroe)航
空 が 担 当 して い る.補 助 金 は 中 央 政 府 と の
事 前 年 次契 約 に よ って 交 付 され る.政 府 の委 託 に よ って,会 社 は 不採 算 路 線 の 運 航 をす る
わ けで,補 助 金 は そ れ へ の 補 償(あ
が 見 積 られ,そ
る い は対 価)と
み な され る.年 初 に 会 社 の 費 用 や 報 酬
の 差額 が 補 助 金 と して 交 付 され る.予 測 の つ か な か った 事 態 に よ る欠 損 に
はあ とで 補 償 が あ り,見 積 り よ り も
第9表
営
(内
業
ノル ウ ェ ー、 ヴ ィデ ロ ェー ズ社
1976年 度 損 益 計 算 書
収
訳)
70,894
定
41,703
期
雑
政
(内
業
費
訳)
航
空
便
府
収
補
助
入
金
用(B)
航 空 機 運 航 費
整
備
費
機 械 分 解 費
計 算 書 は 第9表
49
28,925
ネ を 返 却 し た6)航 空 機 と 予 備 部 品 の
減 価 償 却 期 間 は8年,そ
ト
費
減 価 償 却(通 常)
〃(当
送 収益 が 予
10,667
1,782
5,896
理
ク ロ ー ネ で あ っ た が,輸
32,324
4,708
管
の 通 り で あ る.当
府 か ら の 補 助 金 は31,975,000
67,906
セ ー ル ス コ ス
般
初,政
想 を 上 廻 っ た た め3,050,000ク
空 港 内 サ ー ビス 費
一
営業利益
営業外 収入
営 業外 費用
税 引前利益
税 金引当金
当期純収益
1976年 度 の ヴ イ デ ロ ェ ー 社 の 損 益
217
ャ ー タ ー 便 等
の分の金額
は 政 府 に 返 還 さ れ る.
入(A)
チ
営
多 くの 収 入 が あ れ ば,そ
初)
(C)=A-B
4,619
7,037
873
2,988
(利 息 等)(D)
493
(利 子 等)(E)
2,440
(F)=(C十D)-E
1,041
(G>
(H)=F-G
単 位:1,000ク ロ ー ネ、 出典:小 型 航 空機 事 業 研 究 会
:英 国 にお け る離 島 ・辺 地 航 空 政 策 と小 規 模 航 空 輸
送 事 業 、 第3分 冊 、 航 空 振 興 財 団 、1980。
の他 の機
械 ・車 輌 ・機 器 は10年 間 で あ る.同
社 は ツ イ ンオ タ ーDHC6,300型
10機,シ
コ ル ス キ ーS58Tヘ
タ ー3人
乗 り1台
線 で52°oで あ っ た.旅
11路 線(う
ち1路
ー)で31万215人(う
ー 線 は8
,167人)で
リコプ
を 所 有 す る.
座 席 利 用 率 は48.5°oで,最
435
606
ロ ー
高 の路
客輸送人員 は
線 は ヘ リ コプ タ
ち ヘ リ コプ タ
あ っ た.乗
客数
の 最 大 の 空 港 は ス トック マ ル ク ネ ス
(ヴ ェ ス テ ル ー レ ン諸 島)の33,300
人 で,っ
30,200人,ブ
い で ハ ン メ ル フ ェ ス トの
イ ン マ ル ク ・バ ド ソ エ
奈
118
の28,300人
で あ っ た.航
良
大
学
紀
第15号
空 会 社 は 民 間 企 業 で あ る か ら 利 益 が な け れ ば な ら な い し,株
配 当 の 義 務 も あ り,資
本 蓄 積 も 欠 か せ な い.ヴ
ロ ー ネ の 内 訳 け は,配
当480,000,積
た.最
要
近 の 状 況 は 好 調 で,同
ィ デ ロ ェ ー 社 の1976年
立 金113,000,特
し くDASH-7を6機
33°oか ら,1984年
保 有 して い る.総
の21°oへ と 減 少 し た(P.L.ニ
が1日
数 も増 え,ツ
担 当 して い る.地
期 の
ウ ェ ー デ ン の 地 方 空 路 線 はS
方 路 線 の 開 設 に 当 っ て は,自
治 体
客 が15名 未 満 の 場 合 は 差 額 を 自 治 体 が 支 払 う こ と に な る,
小 の 航 空 会 社10数
材 も ピ ス ト ン機 だ け で な く タ ー ボ プ ロ ッ プ の 利 用 も 多 い(中
営 業 収 支 状 況 は1980年
る.イ
イ ン オ タ ー-12
い う 条 件 が つ く場 合 に 限 り運 航 依 頼
イ ギ リス の 国 内 近 距 離 航 空 網 は よ く発 達 して い て,中
れ て い る.機
の 特別
ッ セ ン,1985).
あ た り15名 の 運 賃 支 払 い 旅 客 数 を 保 証 す る,と
を 引 き 受 け る.乗
れ にSASと
収 入 中 の 助 成 金 の 割 合 は,初
そ の ほ か の ヨ ー ロ ッパ 諸 国 に つ い て は 情 報 が 乏 しい が,ス
ASの 子 会 社 リニ エ リ ー ク(LF)が
ク ローネで あ っ
あ り,こ
契 約 に よ る チ ャ ー タ ー 輸 送 を 加 え る と100万 人 近 くな る.機
に 加 え,新
度 純 利 益606,000ク
別 積 立 金13,000,各
社 の 利 用 客 は1984年656,000人
主 に
代 に 入 って 上 昇 気 味 で あ り,採
社 によ り運 営 さ
条 潮,1985).
算 性 が 好 転 して い る とみ な され て い
ギ リ ス は 航 空 事 業 は 自 立 採 算 を 原 則 と して お り,1960年
代 か ら1970年
代 に か け て,
ス コ ッ トラ ン ド高 地 ・島 喚 部 に 対 し て ス コ ッ トラ ン ド省 に よ る 補 助 金 政 策 が 例 外 的 に お こ
な わ れ た 程 度 で あ る.そ
と の 理 由 と して,次
の 根 拠 は 不 採 算 路 線 が 少 な い こ と で あ る.不
の3つ
が あ げ ら れ て い る.第1は,離
が 免 除 な い し低 額 で あ る こ と,第2に
島 ・辺 地 の 空 港 施 設 等 の 使 用 料
路 線 運 営 は 競 争 的 環 境 の 中 で お こ な わ れ,非
事 業 者 は 経 営 改 善 か 撤 退 を 迫 られ る こ と,第3に
第10表
採算路線の少 ない こ
効率的 な
相 対 的 に 高 運 賃 で あ る こ と,な
イ ギ リ ス ・北 海 道 の陸 続 き2地 点 間 航 空 運 賃(1984)
ど で あ る.
イギ リスの 運 賃 につ い て
検 討 す る た め に,北
距 離
ロ ン ドン
〃
一
〃
〃
輸送人員 ※
円/
(km)
km
ノ リッ ジ
187
81
?
平 均 す る と,イ
ギ リス が キ
ティーサイ ド
362
45
128
ロ 当 り52円,北
海 道 が43円
マ
262
50
654
298
49
119
267
60
ン チ ェ ス タ ー
リ ー ズ
〃
ハ ンバ ー サ イ ド
〃
グ ラス ゴ ー
558
31
グラスゴー
402
49
(1000人)
30
47
43
〃
紋別
269
45
15
〃
中標別
354
44
46
女満別
354
38
136
釧路
309
40
270
〃
稚内
329
44
函館
216
46
27
206
平 均43
※北 海 道 の人 員 は1983年 、 ロ ン ド ンの 空 港 は ヒー ス ロウ。
円/㎞ の標 準 偏 差 は イギ リス13
.3、 北 海 道2.85
資 料:イ ギ リス は 中 条 満(1985)、 北 海 道 は北 海 道 空 港 港湾 課
(1985)北 海 道 の 空 港 ・ によ る
海道の
準
に 対 し て,イ
ギ リ ス は 標 準 偏 差 が13.3と
5
〃
た,北
る バ ラ ツ キ が 少 な い(標
偏 差2.85)の
308
一
き らか に イ ギ リス の
距 離 当 りの運 賃 は路 線 に よ
53
232
〃
れ ぞれ の 各 路 線 を
方 が 高 い.ま
60
882
内
函館
札幌(千歳)一
表).そ
で,あ
平 均52
札 幌(丘 珠)稚
〃
海道 の
場 合 と 比 較 して み た(第10
バ ラ ツ キ の大 き さが 相 対 的
に 目 立 つ.乗
客の少ない路
線 は 運 賃 を 高 く して い る こ
と が 考 え ら れ,上
述 の 第3
の 理 由 を あ る 程度 裏 付 けて
い る.
中 条 潮 氏 も述 べ て い る よ
うに
,ヨ ー ロ ッパ 諸 国 の 補
助 方 式 か ら 得 る 点 は,不 採
算 国 内路 線 が 航 空 会 社 の 内
坂本:地 域航空 の可能 性 と課題
部 補 助(つ
119
ま り採 算 路 線 か らの 収 益 を ま わす こ と)に よ って 維 持 され る こ との な い よ う配
慮 が 払 わ れ て い る点 で あ る(小 型 航 空 機 事 業 研 究 会,1980).も
う一一歩 進 め て 当然 の 前 提
と して 忘 れ て は な らな い こ とは,地 方 の 辺 地 路 線 は 採 算 路 線 もあ る が,不 採 算 路 線 で あ る
ことが普通 で あ り,そ れ を前 提 と して政 府 補 助 が 実 施 され て い る ことで あ る.コ
ミュ ー タ ー
航 空 が生 活 路 線 と して の 役 割 を持 つ な らばs機 材 購 入 費 を は じめ 各 種 固 定 費 に対 して 大 幅
な助 成 が 円滑 な 運 営 に欠 か せ な いで あ ろ う.ま た,わ が 国 で は 航 空 を ぜ い た く行 為 と み な
す 姿 勢 が 行 政 に 残 って お り,航 空 燃 料 税 が 掛 け られ て い る.少 な くと も,辺 地 ・離 島線 は
その 撤 廃 が 望 ま しい.
5.コ
1)北
ミ ュー ター 航 空 可 能 性 の地 域 的 考 察
海道
広 大 な ひ ろが りを 持 つ 点 で,北
うに 見 え るが,問 題 点 は 多 い.ま ず,人
海 道 は コ ミュ ー タ ー航 空 の 可 能 性 が 大 き い よ
口 が 道 央 に集 中 して い て,道 東 ・道 北 は 人 口が 少
な い.つ ま り,利 用 者 の 絶 対 数 の 少 な い こ とが 難 点 で あ る.井 田 仁 康(1983)に
よ る と,
都 市 間 の 時 間 的 距 離 が 一 定 以 上 の 場 合,航 空 旅 客 流 動の 発 生 要 因 は 都 市 の 人 口 規模 に よ る
と こ ろが 大 き い,と い う.第2の
問 題 点 は,冬 の 嵐,あ
る い は夏 の 霧 が 欠 航 要 因 とな りや
す く,航 空 へ の 信 頼 度 を 下 げ る.も っ と も,計 器 着 陸 装 置 が 整 備 され れ ば,か な り この 問
題 は緩 和 され る.第3に,道
路 の渋 滞 が 少 な くて,内 地 に比 べ て道 路 交 通 の 能 率 が よ い の
で,自 動車 輸 送 との 競 合 が き び しい(後 述).第4に
道 民 性 と して 旅 を 急 が な い.以 上 の
よ うな 条件 が 北 海 道 の 航 空 経 営 を き び しい もの に して い る.
上記 の第3番 目の理 由 と関 連 して,近 年 の 傾 向 と して は高 速 バ ス の 発 達 が み の がせ な い.
内 富 幌 河 棚
稚 豊 羽 浦 瀬
札 幌 を起 点 と した 主 な 高 速 バ ス は 次 の よ う な路 線 が あ る.
ま た,旭
6時 間30分
5,700円(軽
5時 間50分
4,800円
3往 復
4時 間
3,100円
3往 復
3時 間45分
2,300円
1往 復
4時 間50分
4,700円
2往 復
食,そ
の 他 サ ー ビ ス 込 み)5往
復
川 を 起 点 と し た 高 速 バ ス は 次 の よ う な 路 線 が あ る.
稚 内5時
間20分4,400円4往
復
紋 別3時
間5分2,900円5往
復
こ こ で,参
考 に な る こ と は,
ラ ス 国 鉄 特 急)と
12,200円 で,所
日本 近 距 離 航 空 の 札 幌(丘 珠)一 紋 別 線 が,高 速 バ ス(プ
の 競 争 に 敗 れ つ つ あ る こ と で あ る.
要 時 間50分 で あ る.た
リ ム ジ ンバ ス 代650円
が 加 算 さ れ る.
ま た,原
い な け れ ば な ら な い の が 空 路 の 条 件 で あ る.一
(2,900円)で
日本 近 距 離 航 空 の 同 路 線 は1日1便
だ し, 両 端 の バ ス に よ る ア ク セ ス は1時
間 強 で,
則 と して 離 陸 の20分 前 ま で に 空 港 に 来 て
方,
紋 別 か らの 高 速 バ ス は,3時
間5分
旭 川 に到 着 し,国 鉄 の 特 急 に接 続 す る.接 続 時 間25分 で 旭 川 か ら札 幌 ま で
特 急 で1時 間43分(4,100円)を
7,000円 で す む.時
要 す る.結
間の 差 で 約3時
間,金
局,合
計 で5時
間13分 を 要 す る が,運
額 差 に して5,850円,ど
賃は
ち らの 便 を 選 ぶ か は 人
に よ り異 な るが,空 路 の 方 が 旗 色 が 悪 い.こ の よ うな競 合 す る交 通 機 関 の存 在 を 意 識 しな
くて は コ ミュ ー タ ー設 定 は机 上 の 空 論 と な る.
前 述 の通 り,空 港 は社 会 基盤(イ
ンフ ラス トラ ク チ ァー)と
して 推 進 す べ きで あ って,
そ れ に 地域 計 画 が 一 体 とな らな け れ ば な らな い.「 全 国 地 域 航 空 シ ス テ ム推 進 協 議 会 」 の
北 海道 会 員(市
町 村)で,工
業 団 地 が あ るの は,釧 路,帯 広,千
歳,室 蘭,登
別,滝 川,
120
奈
良
大
学 紀
要
第15号
美 唄,羽 幌,浜 頓 別,広 尾 な どで あ る.企 業 立 地 ガ イ ド ・北 海 道 事 情85'(北 海 道 企 業 立 地
推 進 局)8)によ れ ばsい
わ ゆ る先 端 産 業 の お もな 企 業 の 立 地 マ ップ を み る と,同 協 議 会 の メ
ンバ ーで は,千 歳,帯 広,室 蘭,滝
川,中 標 津 が 示 され て い る.工 業 団 地 と空 港 を セ ッ ト
とす る必 要 性 は 今 後 ます ま す増 大 す る こ とが 予想 され るが,北 海 道 の 先 端 産 業 は,札 幌,
函 館,千 歳,旭
川 に半 導 体 関係 が 集 ま り,道 東 ・道 北 は 空 白 に近 い.道 東 ・道 北 の 工 業 団
地 の工 業 製 品 は 重 厚 長 大 が 特徴 で 空 輸 の 必 然 性 が 小 さ いの で,今 後 の 転 換 が 検 討 され るべ
きで あ ろ う.
ア ンケ ー ト回 答 の 結 果 か ら もわ か る よ うに,道 民 が 道 外 へ 行 く と きは 最 寄 りの 空 港 か ら
の 空 路 を利 用 す るが,札
幌 へ行 く場 合 は,相 当 距 離 の あ る場 合 で も国 鉄 や 車 を利 用 す る傾
向が あ る.し た が って,コ
ミュ ー タ ー航 空 も この 点 を 念 頭 に お い て 組 み 立 て な けれ ば な ら
な い.た だ,航 空 便 だ け の 採 算 性 だ け に 限 定 す るの で は な く,空 路 開 設 に よ る広 い波 及効
果 を考 慮 す る 立 場 に立 て ば,第 三 セ ク タ ー方 式 に よ り コ ミュ ー タ ー航 空 を 推 進 す る方 途 も
あ る.ネ
ッ トワ ー ク も,ノ ル ウ ェー で 行 な わ れ て い るよ うに,両 端 が 都 市 で,路
線 バ スの
よ う に途 中着 陸 を す る方 式 が よ い と思 わ れ る.北 海 道 と して は,一 度 に沢 山 を着 手 す る こ
とな く,ま ず1つ の 路線 を 実験 的 に開 設 して み る こ とが 安 全 で あ ろ う.差 当 り,夏 期 の み,
千 歳 一利 尻 一 礼 文 一 稚 内 を 結 ぶ 路 線 が 考 え られ る.こ れ は,地 元 か ら要 望 が 出て い るプ ラ
ンに沿 っ て い る し,新 空 港 の 建 設 は不 要 で あ り,実 験 と して は 成 功 しや す い で あ ろ う.
中 途 で 寄 航 す るの は,コ ス トが か さむ が,そ
方 式 を と らな け れ ば,ポ
こで 乗 客 を 拾 って(あ
る い は お ろ して)ゆ
く
ケ ッ ト状 に分 布 す る辺 地 は永 久 に浮 上 で きな いで あ ろ う.
つ ぎ に,道 内 各 地 の 拠 点 開発 の ため に,今 ま で,内 地 と の 直通 便 の なか った空 港 の 直 通
便 開 設 が 望 ま れ る.稚 内,中 標 津 が そ うで あ る.道 内便 を丘 珠 で途 中着 陸後,東 京(羽 田)
往 復 と い うの は,無 理 で あ ろ うか.東 京 ・大 阪 か ら,稚 内 ・中 標 津 ・紋 別 へ 行 くの に,現
在,非 常 に 不 便 で あ る.つ ぎ に,室 蘭 ・伊 達 ・登 別 の 西 胆 振 地 区 に2000m級 の滑 走 路 を も
つ 中 型 ジ ェ ッ ト空 港 は可 能 性 が あ る.こ こは 比 較 的,千 歳 空 港 に 近 いが,千 歳 空 港 は 札 幌
の 玄 関 的 役 割 を も って お り,西 胆 振 地 区 は裏 手 に あ た る.噴 火 湾 北 岸 や 後 志 南 部 の拠 点 開
発 の ひ と つ に 空 港 建 設 計 画構 想 が 入 って い るの は 妥 当 と い え る.室 蘭 は最 近,先 端 産 業 の
進 出 もみ られ,広
い工 業 団 地 もあ る.洞 爺 ・登 別 へ の 観 光 客 利 用,ニ
セ コの ス キ ー利 用,
伊 達 市 ・洞 爺 の 高 級 野 菜 移 出 に も使 用 で き る.
空 港 の 存 在 そ の もの の経 済効 果 は企 業 用 自家 用 機 と企 業 事 業 所 が 結 びつ く こ とに よ り一
層 拡 大 す る.先 端 産 業 の 立 地 が ふ え た千 歳 市 や 函 館 市 はす で に そ の 効 果 を享 受 しつ つ あ る
とみ て よ い.上 述 の 室 蘭 付 近 の 空 港 も,建 設 され た場 合,定 期 航 空 よ りは企 業 自家 用 機 ・
貨 物 機 の 利 用 に よ る間 接 的経 済 効 果 が 大 きい だ ろ う.ま た,今
日,空 路 に よ る人 的 交 流 は
地 方 に立 地 した 工 場 の 経 営 に と って 必 須 条件 とな りつ つ あ る.(農
ンタ ー,1985).遠
村 地 域 工 業導 入促 進 セ
隔 農 村 地 域 の 多 い北 海道 で は,企 業 誘 致 の た め に は,こ の こ とを 念 頭
に お いて ネ ッ トワ ー クを再 編 成 す る状 況 に あ る.
2)近
畿
コ ミュ ー タ ー航 空 は 大 都 市 圏 内 に お いて も発 展 の余 地 が あ る と考 え られ る.そ
の 理 由 と して,第1に
高 い 運賃 を 払 え る 人 が 多 い こと,第2に
多 忙 な 人 が 多 い こ と,第3
に 自動 車 交通 の 道 路 渋 滞 が あ る こ と,等 が あ げ られ る.近 畿 地 方 は それ に加 え て,大 阪 か
ら半 径100km位 離 れ た 地 域 は 海 や 山 に へ だ て ら れ て 時 間 的 距 離 が 大 き い こ と が あ げ られ
る.も
うひ とつ,大 阪 人 は 日本 一 せ っか ち で あ る こ と も要 因 とな ろ う.
泉 州 沖 に新 大 阪 国 際 空 港 が 開 設 され た場 合,大 阪 の 都 心 との 連 絡 に南 海 電 車,高
が 考 え られ て い るが,少
速道路
くと も ホ ーバ ー ク ラ フ トの 利 用 と か ヘ リコ プ タ ー は考 え る必 要 が
坂本:地 域航空 の可能性 と課題
121
あ る.現 在,阪 神 高 速 道 路 は しば しば 停 滞 を お こす の で,高 速 とい う役 割 を果 さな い こ と
が 知 られ て い る.ヘ
リ コプ タ ー利 用 に よ って,国
際 空 港 と大 阪 都 心 ・新 大 阪 ・大 阪 空 港
(伊 丹)・ 京 都 ・神 戸 を連 絡 す る こ とが 考 え られ る.
空 港 と地 下 鉄 を もた な い百 万都 市 は現 代 都 市 の 資格 が な い と筆 者 は信 じて い る が,横 浜 ・
京 都 ・神 戸 は そ の 点 で 問 題 が 多 い.計 画 中 と さ れ る 神 戸 沖 空 藩 な コ ミュ ー タ ー空 港 と して
ス タ ー トす るに せ よ,い ず れ は全 国 各 地 と結 ぶ 可 能 性 が あ る.ア メ リカの 小 型 機23万 機 の
うち,大 部 分 が個 人 用 あ る い は事 業 用 で あ り,公 共 交通 は わ ず か2∼3°o程
(今 野 修 平,1985).こ
度 と い われ る
の こ とを もと に想 定 で き る こ とは,企 業 用 自 家 用 機 の ス テ ー シ ョ
ンと して の 役 割 は神 戸 沖 空 港 の 地 位 を 高 め るで あ ろ う.同 様 の 経 済 効 果 は 新 羽 田 空 港 や 横
浜 に も見 込 まれ る.
京 阪 奈 研 究 学 園 都 市 の 青 写 真 に空 港 計 画 が 見 当 らな い の は,空 路 を 新 大 阪 国 際 空 港 と現
大 阪 空 港 に依 存 す る想 定 に 基 くもの で あ ろ う.高 速 道 路 で そ れ らの 空 港 とを 結 びつ け る と
い って も,道 路 が 渋 滞 して い て は 高 速 に は な らな い.
近 畿 で,高 速 交 通 に最 も恵 ま れ て い な い の は 紀 伊 半 島東 南 部 で,大 阪 ・名 古 屋 の いず れ
へ も不便 な地 域 で あ る.こ こは空港 立地 に よ る恩 恵 を 享 受 で き る見 込 み の 高 い 地 域 で あ る.
周 年 観 光 も可 能 で あ り,水 源 もあ るの で フ ァイ ン ケ ミカ ルや バ イオ テ クノ ロ ジ ー関 連 の 産
業誘 致 も出 来 る余 地 が あ る.た だ し,問 題 は 空 港 適 地 が 限 定 され て い る こ とで あ る.
要
約
と
結
論
以 上 述 べ た こ と は次 の 通 り要 約 で き る.
1.全
国 地 域 航 空 シス テ ム推 進 協 議 会 構 成 員(市 町 村,空
港 未 設 置)へ
の ア ンケ ー ト調 査
の結 果.
1)小
空 港 設 置 を 希 望 す る市 町 村 は 約7割
で,そ の 他 は中 規 模 空 港 お よ び未 決 定.
2)空
港 設 置 に よ り最 も期 待 され て い る こ とは 地 域 へ の 経 済 的 効 果(収
3)空
路 に よ り連 絡 を もち た い 先 方 は,府
入 増)で あ る.
県 内都 市 よ り も,東 京 ・大 阪 を 筆 頭 とす る広
域 中心 都 市 で あ る.た だ し,北 海 道 で は札 幌 指 向 が 強 い.
4)工
業 団 地(ま た は先 端 産 業)が 市 町 村 内 に存 在(ま
た は 計 画 ・構 想 中)の
もの は3
分の2に 達 す る.
2.交
通 不便 な地 域 を え らび ア ンケ ー ト調査 を お こな っ た.そ の 結 果 は つ ぎ の通 りで あ る.
1)空
路(空
港)へ の 実 現 要 望 ・期 待 の 存 在 状 況 は,調 査 した市 町 村 の6割
があげて お
り,そ れ らは 実 現 へ の 体 制 づ くりが 進 行 して い る.
2)空
路(空
港)へ の 実 現 阻 害 要 因 の 最 大 の もの は 経 済 の 問 題 とみ られ て い る.す な わ
ち,不 採 算 性 の 可 能 性 と補 助 の た め の 市 町 村 の 財 源 難 が 懸 念 され て い る.
3.辺
地 に あ る既 設 空 港 所 在 地 ヘ ア ンケ ー ト調 査 を お こな っ た.そ の 結 果 は次 の 通 りで あ
る.
1)利
用 状 況 に地 域 差 が あ る.長 崎 県 や 鹿 児 島 県 は 観 光 ・レ ジ ャー 客 が 多 い が,北 海 道
は ビ ジ ネ ス 客,沖 縄 県 は生 活 路 線 の 色 彩 が や や 強 い.
2)沖
縄 県 は全 住民 が 利 用 す るの に対 して,北 海 道 で は 住 民 の うち,多 忙 な職 業 の 人 が
利 用 す る傾 向 が あ る.
3)交
通 手 段 と して,沖 縄 で は東 京 へ も那 覇 へ も空 路 を 利 用 す る が,そ れ 以 外 の地 域 で
は,東 京 へ は 空路 で,県(道)庁
所 在 地 へ は海 上 ・陸 上 の 交 通 機 関 を 利 用 す る傾 向 が
122
奈
良
大
学
紀
要
第15号
あ る.
5)新
規 開 設 希 望 路 線 は,現 在 路 線 よ り遠 隔 地 との 結 合 要 望 が あ るが,九 州 で は隣 接 県
へ の 要 望 も強 い.
4.地
域 航 空 の 費 用 と補 助 に つ い て.
1)日
本 エ ア コ ミュ ー ター(株)は
高 運 賃 と い われ て い る が,そ の 直 接 運 航 費 を検 討 し
て み る と,そ の 運 賃 水 準 はや む を 得 な い もの とみ られ る.
2)各
地 の 航 空 補 助 の 方 式 は多 種 多 様 で,辺 地 離 島空 路 は地 方 自治 体 の 支援 に よ って 成
り立 って い る 場 合 が 多 い.
3)ノ
ル ウ ェ ー の 辺 地 ・離 島航 空 に対 す る地 方 政 府 補 助 方 式 は 参 考 に な る.す な わ ち,
不 採 算 路 線 で も,会 社 の 利 潤 部 分 を も見 込 ん だ 経 営 表 を見 積 り,そ の 見 込 み赤 字 差額
を 年度 初 め に補 助 支 出 し,黒 字 の 場 合 は そ の 部 分 を 返 納 させ る方 式 で あ る.
4)ヨ
ー ロ ッパ 諸 国 の 財 政 か らの 補 助 方 式 は 路 線 ご と に お こ な わ れ,会
(補 て ん)は
5)辺
社の 内部 補 助
しな い.
地 航 空 を ぜ い た くな 交 通 手 段 と み な す こ と は時 代 に そ ぐわ な い.し たが って,通
行 税 や燃 料 税 を 撤 廃 す る こ とが 望 ま しい.
5.樹
枝 状 階 層 型 の 空 路 シス テ ム は,国 土 の 末 端 の辺 地 の レベ ル ア ップ を 阻 害 して い る.
辺 地 の 中心 都 市(例,稚
6.地
内,石 垣)か
らの本 土 直 通 便 を 設 け る必 要 が あ ろ う.
域 航 空 の 可 能 性 を北 海道 と近 畿 で 検 討 した.
1)北
海 道 は 広 大 で あ る が,札 幌 と各 地 を結 ぶ べ き新 空 港 の 適 地 は 意 外 と少 な い.国 鉄
の ほか,高
速 バ スが 強 力 な 競 争 相 手 と な って い る.北 海 道 の 地 域 航 空 と して は,両 端
が 都 市 で,途
中 着 陸 す る路 線 バ ス方 式 が 考 え られ る.西 胆 振 に 中 型 空 港 を 室 蘭 に近 く
建 設 して,工
業 ・企 業 自家 用 ・観 光 等 に供 す る多 目的 用 途 を見 込 む こ とが で き る.
2)近
畿 で は,関 西 新 空 港 に っ な が る新 設 道 路 も交通 渋 滞 が 予 想 され,神 戸 ・大 阪 港 へ
は ホ ーバ ー ク ラ フ トが 利 用 さ れ て も,内 陸 へ は ヘ リコ プ タ ー輸 送 の需 要 が 生 じう る.
京 阪 奈 研 究 学 園 都 市 お よ び京 都 市 は 空 港 か ら遠 い不 便 な 都 市 と な る お そ れ が あ る.こ
れ に 対 して,空
港 建 設 に積 極 的 な 神 戸 市 に お け る空 港 は,将 来,国
内 外 と結 び,ま
た
立 地 す る企 業 の 自家 用 機 発 着 の重 要 な 拠 点 と な ろ う.そ の ほか,近 畿 地 方 にお け る辺
地 コ ミュ ー タ ー航 空 の 最 も必 要 性 が 高 い 地 域 は紀 伊 半 島 南 部 で あ る.
以 上 の 点 か ら結 論 と して 考 え られ る こ とを 若 干 述 べ て み た い.
地 域 航 空 は,本 来,高
速 交 通 機 関 が 欠 如 して い る地 域 に必 要 で あ る とい う社 会 的 要 請 の
産 物 の はず で あ る.こ れ が 財 政 補 助 の理 論 的 支 柱 と な る.し か し,一 方 で 自治 体 が め ざす
の は,地 域 航 空 に よ る経 済 的振 興 とみ られ,単
に,交 通 不 便 を解 消 す る こ とに 止 ま らな い.
この 両 者 の 趣 旨 に は違 い が あ る.そ の違 い を 少 しで も小 さ くす る論 旨 と して 次 の よ う に立
論 で き よ う.地 域 航 空 は 社 会 的 要 請 が あ るが,不 採 算 路 線 とな りや す い.そ れ を 維 持 す る
た め に は 財政 援 助 が 必 要 で あ るが,採 算 に の せ る方 策 と して,企 業 誘 致 等 に よ る空 路(空
港)利 用 度 の 上 昇 を は か る,と.実
際 に は,自 治 体 等 の 支 援 が な くて も赤 字 経 営 の な い コ
ミュ ー ター航 空 が 内外 に あ るの で,そ
れ と類 似 の 路 線 か ら開 設 を 始 め た方 が 無難 で あ る.
現 存 の 地 方 空 港 は,そ の 前 身 が 第 二 次 大 戦 中 の 軍 用 飛 行 場 で あ っ た ものが 大部 分 で,都
市 な らび に産 業 の配 置 の上 か らみ て,必 らず しも適 切 な位 置 に 立 地 して い る とは い え な い.
したが って,各
地 で お こ りつ つ あ る空 港 設 置 の 要 望 は,そ の 立 地 条 件 の 上 で妥 当性 を も っ
て い る もの が 少 な くな い.だ か らと い って,現 実 的 な視 角 を 持 た ず に熱 情 だ け で 建 設 計 画
坂本:地 域航空 の可能性 と課題
を 推 進 す るわ け に は いか な い.運 輸 省 が,競
123
争 機 関 と して の 国 鉄 の 新 線 ・新 幹 線 開 業 を 軽
視 した需 要 予 測 を た て た た め に,定 期 便 の休 航 や 減 便 を み た 空 港 は帯 広,仙
台,新 潟,福
井等 が あ げ られ る.・その ため,国 の 空 港 整 備 費 が 無 駄 に な り,そ れ を き び し く批 判 した監
察 報 告 が あ る(総 務 庁 監 察 局,1984).現
在 の 行 政 改革 路 線 は 空 港 建 設 の 国 庫 支 出 に対 し
て も,抑 制 的 かつ 選択 的 とな るで あ ろ う.新 幹 線 近 傍 の 空 港 と交 代 して,辺 地 で の 空 港 開 設
は当 然 の 流 れ の よ うに見 え るが,そ
こで の 空 港 計 画 は総 合 的 な 地 域 計 画 に組 み こまれ る必
要 が あ る.
本 稿 は未 だ 存 在 しな い もの を,あ
り得 べ き姿 と して 推 論 した た め,分 析 的 ・実 証 的 な 研
究 で もな け れ ば,立 場 に も一 貫 性 の み られ な い と こ ろが あ る.ま た,コ
実 施 形 式 が 確 立 され て いな いの で,ア
たが,チ
ミュ ー タ ー航 空 の
ンケ ー トも定 期 路 線 方 式 を前 提 の よ うに して 実 施 し
ャー ター便 方 式 や 自家 用 企 業 輸 送,貨 物 輸 送,ヘ
リ コプ タ ー な どに つ い て も も っ
と検討 すべ きで あ ったか も しれな い.ま た,空 港 と空 路 を厳 密 に分 けて 論 を進 め れ ば よ か っ
たの で はな いか と思 わ れ る.今 後 の 課 題 で あ ろ う.
付記
本 研 究 を 実 施 す る機 会 を与 え て い ただ い た青 山学 院 大 学 西 岡 久 雄 教 授 に御 礼 申上
げ た い.調 査 に際 して は,北 海 道 土 木 部 空 港 港 湾 課 星 野 浩 一,日
本近距離航空株式会社北
村 進,同 北御 門 洋,北 海 道 企 業 立 地 推 進 局 羽 賀 哲 朗 の各 氏 に御 厚 意 を 得 た.紙 面 を借 りて
御 礼 申上 げ た い.
文
献
天 野 和 治(1981):交
通 戦 争 の 現 場,勤 草 書 房
井 田仁 康(1983):日
本 に お け る国 内 旅 客 流 動 の 地 域 的 パ タ ー ンと その 要 因,新
地理31-3.PP.
1^-12.
伊 藤 良 平(1980):地
方 都 市 に お け る小 型 機 用 空 港 の建 設 に関 す る調 査 研 究,ゼ
(東 京 都 港 区 新 橋1-18-2,航
小 型 航 空機 事 業 研 究 会(1980):ノ
空 会 館 内),冊
子.
ル ウ ェ ー にお け る離 島 ・辺 地航 空 輸 送 の 現 状,執 筆 者 中 条 潮(英
国 に お け る離 島 ・辺 地 航 空 政 策 と小 規模 航 空 輸 送 事 業,第3分
今 野修 平(1985):地
ネ ラル航空研 究 会
域 開 発 と地 域 航 空,(北
冊,所 収)航 空 振 興 財 団.
海 道 東 北 開 発 公庫 ・北 海 道 拓 殖 銀 行 ・北 海 道 新 聞 社:
北 海道 地域 航 空 シ ンポ ジウ ム報 告 書,所 収,PP.3^-13)お
よ び(東 南 開 発 研 究20-2,東
北開
発 研 究 セ ン タ ー,PP.32∼36).
坂 本 英 夫(1984):沖
縄 県 内 の二 重 辺 境 性 克服 と農 業 の 集 約 化,奈 良 大 学 紀 要13,PP.24∼36.
佐 藤 文生(1985):日
本 の 航 空 戦 略,サ
総 務 庁 行 政 監 察 局(1984):航
イ マ ル 出 版 会.
空 行 政 の 現 状 と問 題 点 一
総 務 庁 の行 政 監 察 結 果 か らみ て一,大
蔵
省 印 刷 局.
中条 潮(1985):欧
航空政策一
州 の コ ミュ ー タ ー航 空 の 現 状 と課 題,PART1,一
全 国 地域 航 空 シ ス テ ム推 進 協 議 会,昭
西 岡 久 雄(1983a):地
究 一,同
方 空 港 と地 域 経 済,(関
英国の小規模航空輸送 と
和59年 度 研 究 調 査 報 告 書 所 収,PP.67∼129.
西 空 港 調 査 会 編,航 空 と空 港 一
その社会経済的研
会 刊,所 収,PP.191∼223.)
同(1983b):臨
空産 業および臨空工業一
臨 空 産 業 の 立 地 にっ いて 一(皿),青
2,PP.105^-133.
同(1985a):地
域 航 空 輸 送 の 経 済 効 果,航 空 と 文 化16,(通
同(1985b):地
域 開 発 と 小 型 航 空,青 山 経 済 論 集37-1,PP.106∼132.
巻290).
山 経 済 論 集35-
124
奈
同(1985c):地
大学校
P.L.ニ
良
学
紀
方 の 時 代 の 深 意 と地 域 航 空 一
要
第15号
い ま な ぜ コ ミュ ー タ ーか 一,自
治 研 修302(自
治
地 方 自治 研 究 資料 セ ンタ ー,第 一 法 規 出 版 刊)PP.29∼36.
ッセ ン(1985):ノ
ル ウ ェ ー に お け る コ ミュ ー タ ー 航 空 の 運 営 に つ い て,地
タ ー航 空 研 究 会 シ ンポ ジ ウム 講 演 集,ゼ
ブ
大
ネ ラル 航 空 研 究 会&デ
・ハ ビ ラ ン ド
域/コ
ミュー
エ ア ク ラフ ト
オ
カ ナ ダ社,所 収,PP.5∼20.
農 村 地 域 工 業 導 入促 進 セ ン ター(1985):遠
隔 農 村 地 域 工 業導 入促 進 調 査 報 告,昭 和59年 度 農 林 水産
省 委 託.
ホ ワ イ トお よ び シニ ア,木 村 辰 男 訳(1986):交
通 運 輸 の 地 理,地 人 書 房.
註
1)他
の3自 治 体 は 空 港 設 置 を 否 定 して い る わ け で は な い.そ の う ち,会 津 若 松 市 は 計 画 を 秘 して い
る とい わ れ る.
2)奄
美 大 島 の 北 部笠 利 町 に奄 美 空 港 が あ り,島 の 南 部 瀬 戸 内 町 との 間 は 曲 折 して88㎞ の 道 路 で 不 便
で あ る.瀬 戸 内 町 は国 定 公 園 で 風 光 に勝 れ,最 近,空 港 建 設 計 画 が あ るの は この ため で あ る.
3)南
日本新 聞,特 集 記 事1983年9月8∼20日,奄
美 の 翼,エ
ア コ ミュー タ ーの 試 み,掲 載 の コ ス ト
計 算 を 再 構 成 利 用 した.
4)H.P.ホ
ワ イ トお よ びM.L・
シ ー ニ ア 『交 通 運 輸 の 地 理 』(木
村 辰 男 訳)大
明 堂,1986.の
次 の 文 が 参 考 に な る.「 航 空 会 社 は と くに この 座 席 利 用 率 に関 心 を も って お り,運 賃 は こ れ を 基礎
に して で きて い る.あ る特 定 の サ ー ビス で の50%の
座 席 利 用 率 は,産 出 され る座 席 キ ロの半 分 が 売
れ る とそ の 航 空 会 社 が 期 待 で き る こ とを 意 味 す る.従
の 仮 定 の 下 で 費 用 を償 うよ うに 定 め られ る.(訳
5)ア
って,運 賃 は,全 座 席 の 半 分 が売 れ る もの と
書72頁)」.
ンケ ー ト以 外 に,北 海 道 庁,日 本 近 距 離 航 空(株)本
社 な らび に札 幌 支 店 で の 聞 き と り調 査 結
果 を加 え た.
6)運
航 費 の 主 な もの は,賃
金 お よ び 厚 生 費 に1,270万5,000ク
ネ,飛 行 場 使 用 料473万8,000ク
ロ ー ネ,ヘ
料 に787万3,000ク
リ コ プ タ ー ・チ ャ ー タ ー 料 に349万9,000ク
旅 費 ・宿 泊 ・ホ テ ル ・移 動 費 に260万6,000ク
7)こ
ロ ー ネ,燃
ロー
ロ ー ネ,
ロ ー ネ な ど で あ る.
の バ ス に か ぎ らず,各 社 と も高 速 バ ス は 各種 の サ ー ビス が あ る.そ れ らを 列 挙 す る と,自 動 車
内 公衆 電 話,ビ
デ オ,オ
ー デ ィ オ,ト イ レ付,お
しぼ り,毛 布,ス
リ ッパ,新
聞,お
茶,キ
ャン
デ ィ,ジ ュ ース等.「 飛 行機 なみ の サ ー ビス で お もて な しいた します 」 とあ るパ ンフ レ ッ トも あ り,
あ き らか に 空 路 との 競 争 を意 識 して い る.
8)最
近,下
記 の 資 料 も企 業 誘 致 用 に作 成 され た.北 海 道 ・北 海 道 企 業 誘 致 推 進 会 議(1985):85'
北 海 道工 業団地ガイ ド.配 布 取 扱 い は北 海道 企 業 立 地 推 進 局(⑰060札
幌 市 中 央 区 北3条 西6丁
目
北 海道 庁,商 工 観 光 部 内).
9)1985年6月29日
付 の 朝 日新 聞 に よ れ ば,ポ
ー トア イ ラ ン ド沖 に空 港 島 を 建 設 し,差 当 り2,000m
の 滑 走路 を 考 え,中 型 ジ ェ ッ ト機 就 航 を 可 能 な ら しあ る,と い う もの.第3種
Summary
Recentlythepeoplelivingintheremoteregionshavebeenwishingstillmore
toestablishtheairroutewiththeSTOL(theShortTake-offandLanding)
port.WhiletheSTOLairsystemhasmanyproblems,ithastheprobability
fortheexphasiontoo.Theautherresearchedtheaspirationandtheanxietyof
空 港.
坂 本:地 域航空の可能性 と課題
thelocalgovernmentofficialsaswellastheactualstateabouttheregional
airlineoperations,partlyexistingandcoming,bythemailquestionnairing.
AndheinvestigatedtheconditiontothepossiblelocationoftheSTOLby
countingthecostanalysisandthetime-distance.Thesummaryoftheresultsis
shownbelow.
1.Themanyofficialsoflocalgovernmentpointedouttheeconomicproblemsas
themainfactorwhichseemedtodisturbtherealizationofSTOLoperation.
Thoughtheanswererstothequestionnairexpectedalmosttheeconomicdevelopmentbytheopeningoftheairroute,theyweredoubtfulwhethertheSTOL
operationisprofitableornot.
2.Theanswerersoftheremoteregionswiththeexistingairportwishedfor
thereductioninflightfairandtheplacingoflargersizedjetliner.
3.Asthemeansoftransportremotedregions,theinhabitantsgenerallyuse
theairroutetoTokyoMetropolitan,whearastheyvisittotheirprefecture
metropolisonthelandtrafficorseanavigator.Therefore,theyalmostwish
fortheopeningofnewairrouteswhichhavealongerdistancethantheexistingones.
4.Itisoftenseenintheremoteregionsthattheairlineoperationsdepend
onthefinancialsupportsaboutthevarioussidesbythelocalcommunities.
5.Inordertotakethemoreeffectofdevelopmentworksinremoteregions,
itistobedesiredthatthethroughairroutesfromthesetothecentralparts
ofJapan,especiallyTokyo,OsakaandNagoyashouldbedirectlyestablished.
6.InHokkaido,theSTOLhavemanyrivalssuchastherailways,thehigh
speedbuses,theautmobilesandtheshipsfortheislandsoffthecoast.The
autherproposesthatiftheSTOLgetsthenewportontheremotepartsof
Hokkaidothisportshouldbeplacedontheway-betweenSapporoandtheanotherendofexistingroute.
125