金融危機と日本の不動産投資の現状 - 東京海上アセットマネジメント株式

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金 融 危 機 と日 本 の不 動 産 投 資 の現 状
代表取締役社長 植 松
丘
(政 策 研 究 大 学 院 大 学 客 員 教 授 )
はじめに
1998 年 からスタートしたわが国 の不 動 産 証 券 化 は、バブル経 済 崩 壊 による資
金 パイプの目 詰 まりにより価 格 下 落 の一 途 を辿 っていた不 動 産 市 場 に、資 本 市
場 からの新 しい資 金 パイプラインを提 供 し、長 引 く不 況 で割 安 感 が生 まれたわが
国 不 動 産 市 場 を投 資 市 場 に生 まれ変 わらせ内 外 の投 資 資 金 の流 入 をもたらし
た。そのことによってわが国 の不 動 産 市 場 は活 況 に転 じた 1 。
不 動 産 市 場 に流 入 す る資 金 も、 ハゲタカ系 の資 金 から年 金 基 金 な どの長 期
運 用 を目 的 とする資 金 に変 化 し、2003 年 以 降 は誰 も損 をしていない不 動 産 投
資 市 場 を形 成 し、拡 大 の一 途 を辿 ってきた(図 -1、2)。
図 -1 J-REIT と私 募 不 動 産 ファンドの運 用 資 産 額 の推 移
16
運用資産総額:私募ファンド
兆円
運用資産総額:J-REIT
13.5
14
13.2
12
9.8
10
7.4
8
5.5
6
4.5
4.4
4
3.3
2.2 2.1
2.6
6.1
5.4
6.7
6.1
7.4
6.8
3.4
2
0
04年12月 05年6月 05年12月 06年6月 06年12月 07年6月 07年12月 08年6月 08年12月
資料:住信基礎研究所「不動産私募ファンドに関する実態調査」
このように、不 動 産 を投 資 対 象 とするという新 しいビジネスモデルの導 入 によっ
て、順 調 に回 復 してきた日 本 の不 動 産 市 場 であったが、2008 年 7 月 以 降 急 激
な変 化 に見 舞 われている。図 -1 および図 -2 からは J-REIT、私 募 ファンド、CMBS
ともに、マーケットが足 踏 みないし収 縮 していることが明 瞭 に見 て取 れる。
表 -1 は 2008 年 以 降 における不 動 産 会 社 (投 資 法 人 を含 む)の主 な破 綻 をま
とめたものであるが、破 綻 件 数 は 2008 年 7 月 以 降 に急 速 に増 大 している。
原 因 は言 うまでもなく米 国 のサブプライムローン問 題 が端 緒 である。日 本 では
2008 年 の初 め頃 までは、これはアメリカの問 題 として、日 本 経 済 および不 動 産
市 場 への影 響 は少 ないとする見 解 が一 般 的 であった 2 。しかし、証 券 化 とグロー
バル化 の進 展 は、アメリカの住 宅 問 題 を瞬 く間 に世 界 の金 融 市 場 の問 題 へと波
及 させ、さらに金 融 市 場 における急 激 な信 用 収 縮 がついに実 体 経 済 に及 び、
非 正 規 雇 用 者 の解 雇 などかなり深 刻 な影 響 が出 始 めている。
本 稿 では、まずサブプライムローン返 済 の延 滞 件 数 の増 加 が、グリーンスパン
前 FRB 議 長 をして「100 年 に 1 度 の大 不 況 」と嘆 かせるまでの大 問 題 に波 及 す
るに至 った過 程 を簡 単 に振 り返 り、その影 響 が日 本 の不 動 産 市 場 へ現 在 どこま
で及 んでいるかを概 観 し、その上 で今 後 の回 復 への道 筋 を考 察 することとする。
表 -1 2008 年 以 降 の不 動 産 会 社 の主 な破 綻 例 (2009 年 4 月 20 日 時 点 )
会社名
レイコフ
グローバンス
近藤産業
スルガコーポレーション
ゼファー
マツヤハウジング
ハウジング大興
アーバンコーポレイション
セボン
創建ホームズ
都市デザインシステム
Human21
リプラス
シーズクリエイト
ランドコム
エルクリエイト
ニューレジデンス投資法人
ノエル
ダイナシティ
ディックスクロキ
モリモト
レアルシエルト
フレッグインターナショナル
クリード
東新住建
栄泉不動産
日本綜合地所
ニチモ
パシフィックホールディングス
エスグランドコーポレーション
大阪ワールドトレードセンター
アゼル
申立て日
2008年3月20日
2008年5月26日
2008年5月30日
2008年6月24日
2008年7月18日
2008年7月29日
2008年7月30日
2008年8月13日
2008年8月25日
2008年8月26日
2008年8月29日
2008年9月19日
2008年9月24日
2008年9月26日
2008年9月29日
2008年10月2日
2008年10月9日
2008年10月30日
2008年10月31日
2008年11月14日
2008年11月28日
2008年11月27日
2008年12月18日
2009年1月9日
2009年1月9日
2009年1月29日
2009年2月5日
2009年2月13日
2009年3月10日
2009年3月12日
2009年3月26日
2009年3月30日
種別
民事再生
民事再生
破産
民事再生
民事再生
民事再生
民事再生
民事再生
民事再生
民事再生
民事再生
民事再生
破産
民事再生
民事再生
破産
民事再生
破産
民事再生
民事再生
民事再生
民事再生
民事再生
会社更生
民事再生
民事再生
会社更生
民事再生
会社更生
民事再生
会社更生
破産
資料:各種ホームページより東京海上不動産投資顧問作成
今 世 界 で何 が起 こっているのか
サブプライムローンというと、低 所 得 者 向 け住 宅 ローンと訳 されるのが一 般 であ
るが、必 ずしも低 所 得 者 だけが対 象 なのではない。高 所 得 者 でも過 去 において
ローンの延 滞 が多 いなど、いわゆるブラックリス トに載 っている人 たちに対 する住
宅 ローンも含 まれている。したがって、サブプライムローンというのは、アメリカでも
っとも信 用 力 が低 い人 に対 する個 人 向 け住 宅 ローンというのが正 確 である。
米 国 でサブプライムローンが、ローン全 体 に占 める比 率 は 20%程 度 に過 ぎな
い。最 も残 高 が積 み上 がった 2006 年 で約 6,000 億 ドルである。したがって、サブ
2
プライムローンの延 滞 が増 加 したからといって、それだけでは世 界 経 済 を揺 るが
すような大 きな問 題 とはならなかったはずである。
そこ にはサ ブ プライ ム ロ ーンを 含 む 住 宅 ロ ーン 債 権 が 、 証 券 化 さ れ て RMBS
(Residential Mortgage Backed Security)に仕 立 てられていたことが大 きく関 わ
っている。
米 国 サブプライムローン大 手 のニュー・センチュリー・フィナンシャルが、債 務
不 履 行 の増 大 を主 な理 由 に破 綻 したのは、2007 年 4 月 2 日 のことである。しか
し、このときは、まだ RMBS の価 格 は安 定 しており、大 きな問 題 にはならなかった。
問 題 が大 きくなった直 接 のきっかけは、やはり 2007 年 7 月 10 日 に Standard
&Poor ’s と Moody’s という二 つの格 付 け機 関 が相 次 いで RMBS を一 斉 にしかも
大 量 に格 下 げしたことである。同 日 だけで Moody’s は 399 本 、S&P は 612 本 と
いう大 量 の RMBS について格 下 げを行 っている。
格 下 げされたことで、証 券 化 商 品 の価 格 が急 速 に下 落 し、そのため BNP パリ
バは基 準 価 格 が提 示 できなくなり、傘 下 の 3 本 のファンドの換 金 を停 止 せざるを
得 なくなった。このことが一 気 に問 題 を大 きくした。いわゆるパリバ・ショックであ
る。
アメリカでは、サブプライム RMBS を担 保 にした再 証 券 化 商 品 の ABCP(Asset
Backed Commercial Paper)が MMF(Money Management Fund)によって大 量
に購 入 されていたが、1 ヵ月 後 の満 期 日 8 月 9 日 には、格 下 げのため規 定 により
すべてが買 い替 え不 能 となった。そのため、サブプライムローン関 連 商 品 は最 終
的 には投 売 り状 態 とならざるをえなくなった。
こうなると、証 券 化 によってリスクが細 分 化 されて分 散 している(ばら撒 かれてい
る)ために、銀 行 同 士 で誰 がいくら持 っているかわからないという疑 心 暗 鬼 が起 こ
り、その結 果 、短 期 市 場 金 利 が跳 ね上 がることとなった。
銀 行 自 身 で保 有 しているこれらの ABS 商 品 についても、価 格 の暴 落 で評 価
損 ・実 現 損 を計 上 せざるを得 なくなり、そのため銀 行 の資 本 は毀 損 し、新 BIS 基
準 対 応 のため、銀 行 は資 産 を圧 縮 せざる得 なくなり信 用 収 縮 問 題 に発 展 した。
信 用 収 縮 の問 題 は、2008 年 の 2 月 以 降 は、企 業 の信 用 リスクを証 券 化 した
CDS(Credit Default Swap)市 場 に波 及 し、ついに実 体 経 済 に大 きな影 響 を与
えるまでに至 ったのである。
不 動 産 をめぐる金 融 市 場 の状 況
このような経 過 から、今 日 の日 本 の不 動 産 市 場 の問 題 は金 融 市 場 の問 題 とし
て捉 えなければならない。2008 年 7 月 以 降 に不 動 産 会 社 の破 綻 が急 増 したのも、
金 融 市 場 における急 激 な信 用 収 縮 が引 き起 こした貸 し渋 り、貸 し剥 がしによる
急 激 なキャッシュフロー不 足 が直 接 的 な原 因 である。このキャッシュフロー不 足 の
状 況 は以 下 のようにデット、エクイティどちらにおいても顕 著 に見 受 けられる。
(1) デット市 場 の現 状
CMBS 市 場 の状 況
1998 年 か ら ス タ ー ト し た 日 本 の CMBS の 市 場 は 、 2007 年 末 に は 2 兆
4,000 億 円 に ま で 拡 大 し た ( 図 -2)。 CMBS と い う 商 品 は 、 商 業 不 動 産 に
対する貸付債権を流動化する手法であるが、見方を変えると、貸し手の
貸 し 倒 れ リ ス ク を フ リ ー に さ せ る 手 法 と い う こ と が で き る 。こ の 手 法 は 、
3
1998 年 に 外 資 系 投 資 銀 行 に よ っ て 日 本 に 持 ち 込 ま れ 、こ の こ と に よ っ て
日本でも非常に高いレバレッジを効かした不動産投資を可能にさせた。
図 -2 CMBS 市 場 と地 価 動 向
国内におけるCMBS発行額
億円
六大都市市街地価格指数
140
30,000
24,267
25,000
120
100
20,000
14,655
80
14,326
15,000
60
9,017
10,000
40
5,692 5,656 5,685 6,396
3,740
5,000
1,235
20
0
0
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
資料:Morgan Stanley、Moody's、(財)不動産研究所より東京海上不動産投資顧問作成
2005 年 頃 に、日 本 の不 動 産 市 場 もそろそろ調 整 局 面 を迎 えるのではないか
という警 戒 感 が生 まれたが、それを一 気 に吹 き飛 ばしてバブル化 させた背 景 には、
こうした CMBS という貸 し倒 れリスクをフリーにする手 法 を持 った外 資 系 投 資 銀 行
によるデットの強 力 な資 金 供 給 が存 在 した。このことは、図 -2 でも明 らかなように
地 価 動 向 と一 致 する。
結 局 、ここ数 年 の日 本 の不 動 産 市 場 の活 況 は、外 資 系 投 資 銀 行 による
CMBS 市 場 の拡 大 を背 景 に成 り立 っていたということができる。しかし、その役 割
を一 手 に引 き受 けていた外 資 系 投 資 銀 行 は、すべて退 場 あるいは商 業 銀 行 の
傘 下 に 収 め ら れた 。 今 や 純 粋 に 投 資 銀 行 と し て 存 在 し て いる 証 券 会 社 は 野 村
證 券 のみを残 すこととなったが、投 資 銀 行 が商 業 銀 行 グループの傘 下 に収 めら
れたことの影 響 はかなり大 きい。
商 業 銀 行 の場 合 は、BIS 基 準 による自 己 資 本 の厚 みを要 求 されるため取 れる
リスク の 量 が 極 め て 限 定 さ れる 。 す な わち 、 投 資 銀 行 の 事 実 上 の 消 滅 は 、 日 本
の不 動 産 市 場 にとって 2 兆 4,000 億 円 ものデットの資 金 パイプラインを失 ったこと
と同 じインパクトを持 っている。CMBS は、2009 年 に 7,000 億 円 、2010 年 には 1
兆 2,000 億 円 が償 還 期 を迎 える(いずれも Moody’s 調 べ)。いずれにしても、投
資 銀 行 が消 滅 したこれからの日 本 の不 動 産 市 場 は、これだけのリファイナンス資
金 を、追 加 エクイティと BIS 基 準 の適 用 を受 ける商 業 銀 行 からの借 入 金 によって
賄 わなければならないのである。
4
図 -3 国 内 銀 行 の不 動 産 業 への貸 出 残 高 と全 貸 出 に占 める割 合
億円
700,000
16%
2007年6月末
588,461億円
14.6%
600,000
15%
500,000
2004年6月末
520,497億円
13.1%
400,000
14%
300,000
13%
200,000
2003年12月末
481,611億円
11.8%
100,000
12%
11%
0
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
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08
資料:日銀「貸出先別貸出金」より東京海上不動産投資顧問作成
邦 銀 の貸 し出 し状 況
では、商 業 銀 行 の貸 出 状 況 はどうであろうか。図 -3 は邦 銀 の不 動 産 業 への
貸 出 残 高 とその全 貸 出 に占 める割 合 を示 したグラフである。2003 年 12 月 末 時
点 での不 動 産 業 への貸 出 残 高 は 48 兆 円 で、全 貸 出 に占 める割 合 は 11.8%で
あったが、以 降 急 速 に残 高 を増 加 させピークの 2007 年 6 月 末 時 点 では 59 兆
円 の 14.6%まで拡 大 した。その後 は、貸 出 割 合 は急 速 に下 がっているが、不 動
産 業 への貸 出 残 高 はほぼ横 ばいである。
邦 銀 は、不 動 産 業 への貸 出 は 2008 年 以 降 もほぼ 60 兆 円 を維 持 しているの
である。にもかかわらず資 金 需 要 逼 迫 が原 因 で破 綻 する不 動 産 業 者 が急 増 し
たのは、日 本 の不 動 産 市 場 に 2 兆 円 を超 える資 金 を供 給 してきた投 資 銀 行 が
CMBS 市 場 のクラッシュとともに、 事 実 上 消 滅 したことが大 きい。2 兆 円 の資 金 パ
イプラインを失 った日 本 の不 動 産 市 場 は、邦 銀 からの融 資 に殺 到 せざるを得 ず、
不 動 産 に対 するファイナンスは当 然 ながらタイトにならざるを得 ない。
2 兆 円 の資 金 を不 動 産 市 場 に邦 銀 だけで供 給 せよというのは、BIS 基 準 の関
係 からいっても土 台 無 理 な話 であり、融 資 先 は厳 選 されざるをえない。その結 果 、
投 資 物 件 としての安 全 性 やトラックレコードの乏 しいマネジメント会 社 の信 頼 度 が
低 い案 件 に対 しては、貸 し渋 りや貸 し剥 がし現 象 が発 生 するのは避 けることがで
きないように思 われる。
(2)エクイティマーケッ トの現 状
J-REIT マーケットの状 況
J-REIT 市 場 は、42 銘 柄 が上 場 され時 価 総 額 も 6 兆 7,000 億 円 市 場 に成 長
し たが、2007 年 の 6 月 以 降 下 落 し、2008 年 10 月 のューシティレジデンス投 資
法 人 の破 綻 など紆 余 曲 折 を経 て、2009 年 4 月 30 日 現 在 の時 価 総 額 は 2 兆
4,812 億 円 となっている。
他 方 、総 資 産 額 は 2009 年 4 月 17 日 時 点 で 7 兆 8,416 億 円 、対 前 年 比 9.3%
5
増 となり、時 価 総 額 との乖 離 が顕 著 となった(図 -4)。
図 -4 J-REIT の時 価 総 額 と総 資 産 額 の推 移
億円
90,000
時価総額
総資産
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
02年3月
03年3月
04年3月
05年3月
06年3月
07年3月
08年3月
09年3月
資料:Bloombergより東京海上不動産投資顧問作成
私 募 ファンドの状 況
<外 資 系 私 募 ファン ドの状 況 >
CM BS 市 場 が崩 壊 してレバレッジ効 果 に よるハイリターンが期 待 できなくなっ
ている現 在 のような状 況 下 においても、2008 年 9 月 15 日 のリーマンショック以 降
も 、すでに 6 本 の日 本 を含 むアジア向 け不 動 産 投 資 ファンドが組 成 されている
(表 -2)。このようなファンドが組 成 されていて投 資 機 会 を窺 っていることは、注 目
すべき事 柄 である。
欧 米 投 資 家 にとって、グローバル化 した経 済 の中 でアジアへの不 動 産 投 資 は
最 も分 散 投 資 効 果 が 期 待 できること 3 、それにこれから今 回 の経 済 収 縮 の影 響
が 現 れると予 想 されている日 本 の不 動 産 には再 び割 安 感 が生 まれるという期 待
が主 な動 機 づけとなっている。いずれにしてもわが国 の不 動 産 の国 際 金 融 市 場
における位 置 づけが、かつてとは比 べ物 にならないほど大 きくなってきているとい
うことは確 かである。
表 -2 2007 年 9 月 以 降 の海 外 投 資 家 の資 金 による主 なファンドレイズ
発表日
ファンド名
2009年1月 ジャパン・プロパティファンド
2008年11月 MSREFⅦインターナショナル
2008年10月 インビスタ・リアルエステート
2008年10月 Merrill Lynch Asian Real Estate
2008年10月 SCJREP Asia ファンド4号
2008年9月 -
母体の
国籍
INGリアルエステート
蘭
モルガン・スタンレー
米
インビスタ/キャピタルリアルティー 英
メリルリンチ
米
セキュアード・キャピタル・ジャパン 米
ケネディクス・ドイツ投資家
日本/独
設立母体
日本への
資産規模 投資規模
1,500億円 1,500億円
150億円 150億円
6,500億円 3,000億円
3,000億円 2,100億円
280億円 280億円
資料:各社プレスリリースより東京海上不動産投資顧問作成
6
<国 内 系 私 募 ファンドの状 況 >
国 内 私 募 ファンドの運 用 資 産 規 模 は、2008 年 12 月 時 点 で 13.2 兆 円 となっ
ており、2007 年 12 月 から約 3.4 兆 円 拡 大 している(図 -1)。
私 募 ファンドは、J-REIT と比 べて小 さな資 産 規 模 で運 用 することができるとい
う手 軽 さがあるうえに、J-REIT 市 場 が最 終 出 口 の役 割 を担 っていたことから、こ
れまで市 場 規 模 を拡 大 してきた。しかしながら、金 融 商 品 取 引 法 の施 行 でこうし
た手 軽 さがなくなって、これまでのビジネスモ デル自 体 に閉 塞 感 が生 まれてきた。
そこへ、リーマンショックなどもあって、銀 行 間 でのカウンターパーティリスクの高
ま りと急 速 な信 用 収 縮 によって、J-REIT 市 場 のフ ァ イナンスはデット、エクイティと
もに難 渋 を極 めることとなった。
このため J-REIT は、外 部 成 長 余 力 を失 い、私 募 ファンドや新 興 の不 動 産 業
者 が目 論 んできた出 口 としての機 能 を失 った。
出 口 を失 った私 募 ファンドや新 興 不 動 産 会 社 のビジネスに対 しては資 金 回
収 可 能 性 の信 頼 度 が低 下 し、金 融 マーケットの需 給 逼 迫 の中 で急 速 に行 き 詰
ま っている。そのため、資 金 の早 期 回 収 のため相 当 な安 値 で不 動 産 を売 却 せざ
るを得 ない事 態 が続 いている。
私 募 ファンドは、もともと J-REI T と違 って日 々の値 動 きがない商 品 なので、年
金 などの長 期 投 資 の機 関 投 資 家 に向 いている。日 本 では、私 募 ファンドがオポ
チュニスティックファンドからスタートしたという経 緯 もあって、いつどのようにして売
却 してキャピタルゲインを実 現 するかという出 口 論 といかに高 くレバレッジを効 か
せるかが重 要 な問 題 となったが、本 来 、長 期 安 定 運 用 を目 指 す機 関 投 資 家 向
け投 資 は、コア投 資 が中 心 でありこれらはあまり大 きな問 題 ではない。
したが って 、 投 資 銀 行 が 事 実 上 消 滅 した 現 在 の よう な 金 融 環 境 は 、 これ ま で
高 値 取 得 を 可 能 に さ せ て きた 高 い レ バレ ッ ジ に よ る 取 得 を 困 難 に し 、 逆 に 長 期
安 定 投 資 を目 指 す機 関 投 資 家 にとっての優 良 な投 資 機 会 到 来 といえる。
今 回 の金 融 危 機 は、日 本 の不 動 産 投 資 市 場 をオルタナティブ投 資 の対 象 か
ら長 期 安 定 投 資 対 象 へ と変 質 さ せ て、 不 動 産 金 融 市 場 の 構 造 を 大 き く転 換 さ
せる転 機 となることが予 想 される。
不 動 産 マーケット概 観
以 上 述 べてきたような不 動 産 を取 り巻 く金 融 環 境 において、現 物 の不 動 産
市 場 はどのような状 況 であろうか。現 時 点 で判 明 している情 報 で、売 買 、賃 貸 の
両 市 場 について概 観 してみることにする。
(1 )不 動 産 売 買 市 場 の特 徴
不 動 産 取 引 は、2009 年 1 月 を底 に徐 々に回 復 基 調 にあるが、図 -5 を見 ても
明 ら かのように、3 月 の売 買 事 例 でも 74 件 で、昨 年 3 月 の 118 件 に比 べて 37%
減 少 している。
7
図 -5 売 買 例 件 数 の推 移
200
件
10%
売買事例件数
180
対前年同月比
0%
160
-10%
140
120
-20%
100
-30%
80
-40%
60
-50%
40
-60%
20
0
-70%
08年4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
09年1月
2月
3月
資料:日経不動産マーケット情報をもとに東京海上不動産投資顧問作成
最 大 の理 由 は、これらの物 件 に対 するデット・ファイナンスの市 場 が非 常 に厳
しくなっていることである。前 述 したように、日 本 の不 動 産 市 場 からは 2 兆 円 を超
えるデットのプロバイダーがいなくなり、残 っているプロバイダーは邦 銀 のみという
のが現 状 である。邦 銀 だけでは一 気 に殺 到 する資 金 需 要 に対 応 することは難 し
く 、 また 当 然 そ こ には よ り 安 全 な 貸 付 へ と 選 択 が 起 こ ら ざ るを 得 な い 。 株 価 の 下
落 などで資 本 の厚 みが薄 くなった商 業 銀 行 にとって、大 規 模 でより安 定 的 なコア
の資 産 へ の 貸 付 へと 資 金 を 移 動 さ せるのは、各 銀 行 にと ってはそれなりに合 理
的 な選 択 でありやむを得 ない。
こうしたデットの逼 迫 状 況 を見 越 して、一 部 の目 聡 い外 資 系 投 資 ファンドがエ
クイティ投 資 からデットの供 給 へとビジネスの力 点 を移 しているが、スプレッドがか
なり高 いこともあり、不 動 産 市 場 にとっての救 世 主 とはなっていない。
(2) 不 動 産 市 場 の特 徴
賃 貸 オフィス
東 京 23 区 においては、2008 年 から 2011 年 の間 に年 平 均 100 万 ㎡のオフィ
スビル新 規 供 給 が予 定 されている 4 が、現 在 までの東 京 都 心 5 区 の平 均 募 集 賃
料 と空 室 率 の推 移 は図 -6 とおりである。2003 年 以 降 、順 調 に下 がってきた空 室
率 も 2008 年 からは上 昇 に転 じている。大 阪 でも同 様 の現 象 が見 られる(図 -7)。
この傾 向 は、札 幌 、仙 台 、名 古 屋 (図 -8)、福 岡 といったその他 の地 方 都 市 でも
同 様 である。
東 京 都 心 5 区 での募 集 について、2008 年 までは依 然 として強 気 の募 集 が続
いていたことが図 -6 からは見 て取 れるが、こうした状 況 はすでに終 わり、東 京 のオ
フィスビルの賃 貸 料 も下 落 に転 じている 5 。
8
図 -6 東 京 主 要 5 区 平 均 募 集 賃 料 と空 室 率
円
18,000
8%
平均募集賃料
16,000
空室率
7%
14,000
6%
12,000
5%
10,000
4%
8,000
3%
6,000
2%
4,000
1%
2,000
0
0%
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09.3
資料:シービー・リチャードエリス「OFFICE MARKET REPORT」
図 -7 大 阪 市 平 均 募 集 賃 料 と空 室 率
12,000
円
12%
平均募集賃料
空室率
10,000
10%
8,000
8%
6,000
6%
4,000
4%
2,000
2%
0
0%
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09.3
資料:シービー・リチャードエリス「OFFICE MARKET REPORT」
9
図 -8 名 古 屋 市 平 均 募 集 賃 料 と空 室 率
12,000
円
12%
平均募集賃料
空室率
10,000
10%
8,000
8%
6,000
6%
4,000
4%
2,000
2%
0
0%
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09.3
資料:シービー・リチャードエリス「OFFICE MARKET REPORT」
賃貸住宅
賃 貸 住 宅 の市 場 は、デット・ファイナンスの調 達 面 で非 常 に厳 しい局 面 が続
いているが、住 宅 賃 貸 借 のマーケットは安 定 しており、そのパフォーマンスも金 融
危 機 とは無 関 係 に安 定 的 に推 移 している。図 -9 は 2000 年 1 月 を基 準 にして、
東 京 23 区 の中 古 マンションの賃 料 指 数 と丸 の内 、大 手 町 、有 楽 町 地 区 のオフ
ィス賃 料 指 数 、それに TOPIX の推 移 との比 較 を試 みたものであるが、1996 年 以
降 の東 京 23 区 のマンションの賃 貸 借 市 場 は、都 心 のオフィス賃 料 のボラティリテ
ィとは比 較 にならないほど安 定 していることが示 されている。
にもかかわらず、賃 貸 住 宅 投 資 に対 するデット・ファイナンスがタイトである。
わが国 経 済 は人 口 減 少 問 題 を抱 えているが、国 立 社 会 保 障 ・人 口 問 題 研 究
所 は東 京 、神 奈 川 、千 葉 、埼 玉 の 1 都 3 県 の世 帯 数 は 2020 年 まで増 加 すると
推 計 し て い る ( 図 -10 ) 。 し た が っ て 首 都 圏 に お け る 賃 貸 住 宅 市 場 は 、 今 後 も 長
期 安 定 的 に推 移 していくことが予 測 され、デットファイナンスを拒 否 する直 接 の理
由 とは思 われない。
この問 題 について、銀 行 サイドから明 確 な説 明 がなされていないが、オフィスビ
ルなどと比 較 して、物 件 が小 ぶりであるために一 件 当 たりのローン金 額 が少 額 と
なり、得 られるフィーと審 査 に要 する手 間 暇 とが割 に合 っていないということはあり
得 る。特 に金 融 商 品 取 引 法 や犯 罪 収 益 移 転 防 止 法 、個 人 情 報 保 護 法 などの
施 行 により、デットプロバイダーに課 せられる負 担 が大 きくなったことは事 実 であり、
邦 銀 にとって限 られた貸 出 枠 の中 で、コストとのバランスからはやむを得 ない面 も
ある。
10
図 -9 住 宅 賃 料 Index と各 種 指 標 の比 較
1.8
住宅賃料指数(東京23区中古マンション)
オフィス賃料(丸の内、大手町、有楽町地区)
1.6
TOPIX
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
資料: リクルート住宅価格指数、生駒データサービスシステム「不動産白書」、Bloombergより東京海上不動産投資顧問作成
図 -10 将 来 推 計 世 帯 数 推 移 (2005 年 を 100 として指 数 化 )
110
105
100
全 国
東 京
東京圏(1都3県)
95
90
85
2000年
2005年
2010年
2015年
2020年
2025年
資料:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2005年8月)を基に東京海上不動産投資顧問作成
商業施設
商 業 施 設 は、2003 年 以 降 2007 年 まで、不 動 産 ファンド市 場 の拡 大 に伴 なっ
て、旺 盛 な投 資 がなされてきた。しかし、サブプライムローン問 題 が、実 体 経 済 に
次 第 に深 刻 な影 響 を与 え始 めたことが明 らかになるに伴 ない、商 品 販 売 額 の落
11
ち 込 みが鮮 明 となってきている(図 -11)。
図 -11 商 業 販 売 額 前 年 同 期 比 増 減 率 (%)
15
卸売業
小売業
10
5
0
▲5
▲ 10
▲ 15
▲ 20
▲ 25
▲ 30
06年1月
4月
7月
10月
07年1月
4月
7月
10月
08年1月
4月
7月
10月
09年1月
資料:経済産業省商業販売統計より東京海上不動産投資顧問作成
こうしたことを予 見 したように、J-REIT の日 本 リテールファンドの投 資 口 価 格 の
下 落 が 顕 著 である( 図 -12) 。 配 当 原 資 である 賃 料 収 益 の 安 定 性 に 対 す る不 安
が主 たる要 因 であるので、リファイナンスリスクも指 摘 されている。J-REIT の情 報
開 示 は、国 際 的 にみてもトップ水 準 にあるが、商 業 の先 行 きが不 透 明 な状 況 に
あっては、こうした商 業 特 化 型 J-REIT は、テナントの売 上 情 報 の開 示 など投 資
家 の不 安 感 を取 り除 くための十 分 な情 報 開 示 が必 要 である。
図 -12 J-REIT 価 格 の推 移
110
日本リテールファンド
日本ビルファンド
野村レジデンシャル
100
90
80
70
60
50
40
30
08年1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月 09年1月
2月
3月
4月
資料:Bloombergより東京海上不動産投資顧問作成
12
物流倉庫
物 流 倉 庫 も商 業 施 設 と同 様 に、2003 年 以 降 2007 年 まで旺 盛 な投 資 がなされ
てきた。しかし、「2008 年 半 ばから一 部 の新 規 供 給 物 件 で空 室 が目 立 つようにな
ってきた」 6 。商 業 の低 迷 は、当 然 のことながら物 流 施 設 の需 要 にも相 当 の影 響
を与 えており、2008 年 から物 流 施 設 の空 室 率 は急 騰 し、以 降 高 止 まりして推 移
している(図 -13)。
図 -13 首 都 圏 の大 型 マルチテナント型 物 流 施 設 の空 室 率
20%
18%
16%
14%
12%
10%
8%
6%
4%
2%
0%
04年3月
9月
05年3月
9月
06年3月
9月
07年3月
9月
08年3月
9月
09年3月
資料:シービー・リチャードエリス
これからの日 本 の不 動 産
以 上 、サブプライム問 題 に端 を発 した経 済 の混 乱 と日 本 の不 動 産 市 場 への
影 響 波 及 の経 路 と現 状 について述 べたが、今 回 はアメリカでおこった問 題 が 世
界 へ波 及 するスピードが非 常 に速 いところに特 徴 がある。
その理 由 と してはグローバル化 と学 習 効 果 の 二 つを挙 げたい。1998 年 の ロ
シ ア 危 機 の と き も 、 ア メ リ カ の CMBSの 市 場 は 一 時 的 に 機 能 し な く な っ
た け れ ど も 、こ の と き は 影 響 が 海 外 へ 波 及 す る こ と は な か っ た 。こ の 10
年間の金融のグローバル化は目覚ましく、グローバル化の先進国ほどい
ち 早 く 影 響 を 受 け て い る 。 日 本 もその一 員 であるからこそ、大 きな揺 さぶりを
受 けているのである。そして、日 本 の不 動 産 も国 際 ポートフォリオに組 み入 れられ
ている以 上 、こうした揺 さぶりを受 けるのは覚 悟 の上 のことである 7 。
こうした揺 さぶりを乗 り越 えるために採 った日 本 の企 業 の行 動 は素 早 かった。
バブル崩 壊 時 の 反 省 か ら、非 正 規 雇 用 従 業 員 の 大 量 解 雇 や 金 融 機 関 の 貸 し
出 し 厳 格 化 など、各 企 業 はいち早 く冬 ごもりの準 備 に入 っ た。オフィスビルの急
激 な空 室 率 の上 昇 も各 テナント企 業 にとっては合 理 的 な行 動 といえる。
その意 味 では、日 本 の景 気 の急 速 な冷 え込 みは、各 企 業 が余 力 を残 して、
冬 籠 りに入 ったために起 きている「合 成 の誤 謬 」の結 果 ということもできる。
しかし、これまでの世 界 の金 融 秩 序 が崩 壊 した以 上 、新 しく築 かれる国 際 金
融 秩 序 がどのようなものであるのかを見 極 めるためには、こうした各 企 業 の冬 籠 り
13
準 備 は必 要 なス テップであり、 経 済 の回 復 力 温 存 行 動 とし て前 向 きに捉 えるべ
きものである。
現 在 のような状 況 の下 であっても、当 社 は 3 月 末 には、最 も困 難 とされている
賃 貸 マンションのリファイナンスに成 功 しているし、4 月 末 には 100 億 円 弱 の都 心
の新 築 オフィスビルへの新 規 投 資 を行 ったが、そこでも邦 銀 からノンリコースロー
ンを合 理 的 な条 件 で導 入 することに成 功 している。
両 物 件 とも、邦 銀 の冬 籠 り時 代 というマーケットの変 化 に対 応 した物 件 を選 定
し たからこそ可 能 であったのであり、このことは現 在 のような金 融 環 境 であっても、
そ れが金 融 マーケットニーズに対 応 した投 資 であれば、 デットの調 達 は可 能 なこ
とを示 している。
日 本 銀 行 は、5 月 1 日 に 2009 年 度 後 半 以 降 、国 際 金 融 市 場 が落 ち着 きを
取 り戻 し、わが国 経 済 は緩 やかに持 ち直 すとの見 通 し 8 を発 表 したが、筆 者 自
身 も、早 ければ今 夏 にも次 に出 来 上 がる新 しい金 融 秩 序 の芽 が生 まれる可 能
性 があると述 べてきた 9 。それがどのようなものであるかは今 なお不 明 であるが、き
ちんとマーケットの変 化 に対 応 し た方 針 を打 ち立 てて投 資 を行 うことが、日 本 の
不 動 産 投 資 市 場 の秩 序 回 復 の近 道 であると考 える。
(本 稿 は「明 海 フロンティア」第 8 号 への寄 稿 文 を加 筆 修 正 したものである。)
1
植 松 丘 「 活 況 を 呈 す る 日 本 の 不 動 産 投 資 市 場 」 FUND MANAGEMENT46
号 ( 2006 年 ) 16~ 25 頁
2
多 田 宏 行「 サ ブ プ ラ イ ム・ロ ー ン 問 題 と 日 本 」
( 平 成 20 年 度 春 季 全 国 大 会
シ ン ポ ジ ウ ム ) 不 動 産 学 会 誌 第 22 巻 2 号 ( 2008 年 ) 18 頁
3
立 松 博 史「 グ ロ ー バ ル マ ネ ー の 変 貌 と 不 動 産 市 場 の 展 望 」第 4 回 野 村 不 動
産 グ ロ ー バ ル 投 資 コ ン フ ァ ラ ン ス 資 料 ( 2009 年 ) 35 頁
4
野 村 不 動 産 「 東 京 オ フ ィ ス マ ー ケ ッ ト 動 向 調 査 」 レ ビ ュ ー 2008 年 夏 季 号
PartⅡ ( 2008 年 ) 2 頁
5
2009 年 5 月 5 日 日 本 経 済 新 聞 朝 刊
6
野 村 不 動 産 「 東 京 圏 大 規 模 物 流 施 設 マ ー ケ ッ ト 動 向 調 査 」 レ ビ ュ ー 2009
年 冬 季 号 ( 2009 年 ) 1 頁
7
中 野 淳 一 「 不 動 産 保 有 構 造 の 変 化 と 経 営 戦 略 」 ISHIZUE 第 107 号 ( 2001
年 ) 34~ 35 頁
8
日 本 銀 行 「 経 済 ・ 物 価 情 勢 の 展 望 ( 2009 年 4 月 )」( 2009 年 ) 2 頁
9
植 松 丘 「【 特 集 】 不 動 産 金 融 マ ー ケ ッ ト に お け る 緊 急 支 援 政 策 を 読 む ~ 市
場 か ら の 提 言 」 RMJ3 月 号 ( 2009 年 ) 25 頁
14
投資勧誘方針
1. 勧誘の基本方針
お客様の知識、投資経験、財産の状況、投資目的等を総合的に勘案し、お客様のご意向と実情に沿った
勧誘・アドバイスに努めます。
2. 勧誘の時間帯、場所、方法
お客様にご迷惑をおかけする時間帯や場所、方法での勧誘を行うことはいたしません。
なお、勧誘に関しご迷惑となる時間帯や場所、方法がございましたら担当者にお申し付けください。
3. 取扱商品の説明
お客様の判断と責任において取引が行われるよう、お客様の知識、投資経験等に照らし、商品内容やリス
ク内容等の適切かつ十分な説明に努めます。
4. 法令の遵守、内部管理体制の整備
投資勧誘にあたっては、関係法令を遵守し、本勧誘方針に沿った適切な勧誘が行われるよう、内部管理体
制の整備等に努めます。
5. 知識、技能の習得、研鑚
当社の役職員は、お客様の信頼に応え、適切な投資勧誘を行うために、知識、技能の習得、研鑚に努めま
す。
金融商品取引法に基づく広告等の表示
●当社の取り扱う金融商品又は当社が提供する業務は、その種類・内容、契約期間等の個別性が強く、手
数料、報酬及び諸費用等(以下「報酬等」といいます)の額についても個別に決定されるため、予め、具
体的な金額、上限額および計算方法を表示することができません。報酬等の具体例としては、不動産信
託受益権の取得/売却時の媒介報酬、運用/助言報酬、私募の取扱手数料等がございますが、個別
の案件における具体的な金額および計算方法等につきましては、当社担当者にご確認下さい。
●当社が取り扱う金融商品については、元本や利回りの保証はございません。賃料相場、地価相場等の
不動産の市況や、金融市況、社会情勢等、様々な要因により、その価値が毀損・減少する可能性があり
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