第3四半期決算ブリッジレポート

ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
Bridge Report
レオパレス21(8848)
会社名
証券コード
市場
業種
社長
所在地
事業内容
深山 英世社長
http://www.bridge-salon.jp/
決算月
HP
株式会社レオパレス21
8848
東証 1 部
不動産業
深山 英世
東京都中野区本町 2-54-11
アパートの建築請負と賃貸を中心に、住まいに関するサービスをワンストップ
で提供。全国に約 55 万室のアパートを管理。
3月
http://www.leopalace21.co.jp
- 株式情報 -
株価
発行済株式数(自己株式を控除)
337 円
DPS(予)
183,490,095 株
配当利回り(予)
0.00 円
EPS(予)
-%
30.81 円
時価総額
61,836 百万円
PER(予)
10.9 倍
ROE(実)
売買単位
4.8%
BPS(実)
100 株
PBR(実)
199.73 円
1.7 倍
*株価は 2/27 終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPS は前期末実績。
- 連結業績推移 -
決算期
(単位:百万円、円)
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
EPS
DPS
2009 年 3 月(実)
733,235
50,156
46,785
9,951
63.54
30.00
2010 年 3 月(実)
620,376
-29,727
-33,831
-79,075
-521.91
0.00
2011 年 3 月(実)
484,390
-23,607
-31,808
-40,889
-261.03
0.00
2012 年 3 月(実)
459,436
4,585
2,349
1,588
9.40
0.00
2013 年 3 月(予)
463,900
8,000
6,100
5,500
30.81
0.00
*予想は会社予想。
株式会社レオパレス21の 2013 年 3 月期第 3 四半期決算概要会社について、ブリッジレポートにてご報告致します。
1. 会社概要
2. 特長と強み
3. 2013 年 3 月期第 3 四半期決算概要
4. 2013 年 3 月期業績見通し
5.今後の注目点
参考:新中期経営計画「Creating Future」について
1
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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今回のポイント
・2013 年 3 月期第 3 四半期累計期間は、売上高はほぼ計画通りであったが、空室率の低下で空室損失引
当金の戻入があり売上総利益は計画を上回ったことなど、賃貸事業での収益改善により営業利益は計画
および前年同期を大幅に上回った。また、為替差益の計上もあり第 3 四半期累計期間としては 4 期ぶりと
なる黒字化を達成。
・通期予想に変更はない。「Creating Future」における今期のテーマを「成長に向けた土台作り」と設定し、
売上高は前期比並みながらも、大幅増益を実現し、黒字体質の定着を図る。
・好調な入居率は賃貸事業収益の大幅な改善に結び付いている。3Q の空室損失引当金戻入 62 億円に対
し、セグメント利益は 82 億円と、引当金なしでも黒字となり、収益性は確実に向上していると評価できる。ま
た、福島における仮想型太陽光発電所の実証事業も、管理物件という「ストック」を活用する取り組みとし
て、その着眼点はユニークだ。海外事業の展開と共に、どれだけのスピード感で事業を展開していくのか
を注目したい。
1.会社概要
保有地の有効活用を望む土地オーナーに対し、賃貸アパート等の建築と建築後の管理・運営を代行する「一括借上
げ」を業界で初めて導入。売上はアパート入居者からの受取家賃とアパート等の建築請負が中心。全国 3 大都市圏
(東京圏、名古屋圏、大阪圏)を中心に、2012 年 12 月末時点で 546,561 戸を管理。
2012 年 11 月には賃貸事業の海外(韓国)進出を決定。
【沿革】
1973 年
1981 年
1985 年
1986 年
1988 年
8月
7月
4月
4月
1月
1989 年 2 月
5月
10 月
1992 年 3 月
1998 年 3 月
1999 年 10 月
2000 年 7 月
2002 年 10 月
2004 年 3 月
2005 年 1 月
3月
4月
11 月
2006 年 6 月
2007 年 6 月
2009 年 4 月
2010 年 3 月
4月
2011 年 4 月
12 月
不動産仲介業務を中心業務とした株式会社ミヤマ設立
一戸建住宅の分譲販売を開始
都市型アパート「レオパレス 21」の本格的販売開始
賃貸事業部を創設。不動産賃貸事業を本格的に開始
会員制入居システム「キューブクラブ」を発足し、会員募集開始
グアムに 100%出資子会社「Miyama Guam, Inc(現 Leopalace Guam Corporation)」を設立
株式店頭公開
ホテル事業部(現ホテル・リゾート事業部)を創設
社名を「株式会社エムディアイ」(MDI)に変更
本社新社屋完成、現在地へ
管理戸数が 10 万戸に
家具付き月極レンタルルーム「マンスリーレオパレス」の販売を開始
社名を「株式会社レオパレス二十一」に変更
管理戸数が 20 万戸に
東京証券取引所市場第一部に上場
シルバー事業部を創設
管理戸数が 30 万戸に
会員制入居システムを「レオパレス21 賃貸システム」に変更
シルバー事業第一号施設としてグループホーム「あずみ苑並木町」開設(現在 58 ヶ所)
社名を「株式会社レオパレス21」に変更
管理戸数が 40 万戸に
管理戸数が 50 万戸に
管理戸数が 55 万戸に
レオパレスパートナーズ(加盟店制度)を開始
太陽光発電システム、アパート向けホームセキュリティシステムの販売開始
環境配慮型住宅「Leco(レコ)モデル」の販売開始
2
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2012 年 2 月 第三者割当による新株予約権の発行
2012 年 5 月 「お部屋カスタマイズ」の開始
40 周年記念アニバーサリー・モデル「DUAL-L(デュアルエル)」を販売開始
9 月 富士通とレオパレス 21、福島県で仮想型太陽光発電所の実証事業を開始
ホームセキュリティ対応のアパート設置戸数が 10 万戸を突破
11 月 発電事業子会社「株式会社レオパレス・パワー」設立
韓国での企業型住宅賃貸管理会社「ウリレオ PMC 株式会社」設立
12 月 第 1 回新株予約権行使完了、資本金 583 億 1,441 万円に増資
40 周年記念アニバーサリー・モデル「Arma-L(アルマーレ)」を販売開始
太陽光発電システム設置アパートが 5,000 棟突破
2013 年 2 月 第 2 回新株予約権行使完了、資本金 604 億 1,591 万円に増資
「屋根借り太陽光発電事業」を全国展開
【企業理念】
コーポレートスローガンとして、新中期経営計画の標題となっている「Creating Future」を掲げている。
未来志向で顧客と共に新しい価値を創造していくことを企業理念としている。
【ビジネスモデル】
保有地の有効な活用方法を求める土地オーナーに対し、賃貸アパート等の建築および建築後の一括借上げを提案
する。
一括借上げとは、賃貸住宅の建築から管理運営まで、オーナーのアパート経営を総合的に支援するシステムで、具
体的には入居者募集、オーナーに対する賃料支払いや管理・修繕など、本来オーナーが行うべき業務を同社がアウ
トソーサーとして代行してオーナーの負担を軽減し、かつ安定収入の確保に貢献するもの。
同社とオーナーとの契約期間は最長 30 年で、空室の有無に限らず一定期間は固定家賃をオーナーに払うもの。当
初の固定家賃期間終了後は、原則として 2 年毎に周辺の家賃相場実勢をベースに契約を更改していく。
「賃貸事業」における同社の売上は、入居者からの家賃収入となり、オーナーへの支払家賃が売上原価となる。
アパートの「建築請負事業」も主要収益源。
(同社資料より)
固定家賃期間に想定以上の空室が発生した場合、「逆ザヤ」が発生することとなる。
空室発生の抑制(入居率の向上)と適正家賃の獲得が同社の収益向上のための最重要ポイントとなっている。
「新規オーナーの開拓による賃貸アパート建設の供給増加と、入居者の安定的な獲得による家賃収入増大」が同ビ
ジネスモデルにおける収益拡大ストーリーであったが、2008 年のリーマンショックを受けた企業収益の急速な悪化か
ら各企業における人員削減が増加。同社においては法人契約物件を中心に退去が増加したため「逆ザヤ」となり、
3
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賃貸事業の収益が悪化した。また金融機関のローン審査が厳格化したことでアパートの新規供給も急減し、建築請
負事業も大きな影響を受け、収益は低迷した。
こうした状況を受け、一括借上げの基本的な枠組みは維持しつつも、
「請負事業の縮小:高い入居率が見込めるエリアに絞り込んで新規供給」
「賃貸事業の収益改善:賃貸原価の削減、適正家賃の実現」
「一括借上げを行わない施設の建築請負」
「入居者満足度向上のための物件価値向上」
といった施策を取り込み、安定収益獲得のためのストックビジネスへの転換を進めている。
(詳細は後述「3.新中期経営計画」を参照)
【市場環境】
日本のこれからの人口動態は、同社を取り巻く事業環境に以下の 2 つの面から影響を与えることになるものと考えら
れる。
① 世帯数動向
国立社会保障・人口問題研究所の推計(2013 年 1 月)によれば、2010 年に 5,184 万世帯だった日本の一般世帯総数
は 2019 年に 5,307 万世帯でピークに達し、その後 2035 年には 4,956 万世帯まで減少するが、単独世帯に限れば
2010 年 1,679 万世帯から増加が続き、2035 年には 1,846 万世帯に達し、総世帯に占める割合は 2010 年の 32.4%か
ら、2035 年には 37.2%に上昇する。
<日本の世帯数の将来推計>
*2013 年 1 月推計:国立社会保障・人口問題研究所資料より
*2010 年以降は推計。単独世帯比率は右軸。
② 住宅着工戸数
一方、住宅着工戸数は減少傾向がより明白になっている。
着工戸数のピークは総数で 1990 年の 170 万戸、貸家で 1987 年の 85 万戸だったが、2011 年にはそれぞれ 83 万戸、
28 万戸へと急減している。消費税率上昇前の駆け込み需要から 2013 年度は総数 90 万戸台に回復すると見られて
いるが、中長期的には今後も減少傾向が続くと一般的には予想されている。
単独世帯数の増加は、従来からワンルームを中心に事業展開してきた同社にとってはビジネスチャンスの広がりと
も考えられる。
従来の若年層中心から、高齢者まで対象を広げて、いかにしてニーズを取込んでいけるかがカギとなるだろう。
しかし、新規住宅着工の減少など同社を取り巻く事業環境は現時点では決して楽観できるものではなく、同社ではこ
の現実をしっかりと認識したうえで後述する「新中期経営計画」を策定した。この中計によって土台構築を進めながら
次の成長戦略を策定する考えだ。
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【同業他社】
「賃貸住宅の一括借上げ」というビジネスモデルの観点からは以下の各社が比較対象となる。
企業名
市場
(1766)東建コーポレーション
東証 1
65,945
236,824
7,654
4,848
43,931
13.6
1.5
(1878)大東建託
東証 1
673,096
1,166,900
84,000
51,200
152,009
13.2
4.4
(3276)日本管理センター
(8848)同社
時価総額
売上高
営業利益
純利益
純資産
PER
PBR
JQ
8,694
27,907
1,027
1,029
1,891
8.4
4.6
東証 1
60,184
463,900
8,000
5,500
33,831
10.6
1.6
*業績は今期予想。純資産は前期末。単位:百万円。PER および PBR は倍。時価総額は 2013 年 2 月 19 日終値ベース。
同じ賃貸住宅の一括借上げではあるが、手掛ける住宅のタイプは各社それぞれであり、同社の場合は設計の自由
度が高く、また土地オーナーにとって収益性の高い「ワンルーム」を得意としている。
同社は前期黒字転換したものの、その前 2 期連続で損失を計上していたという事もあり、現時点での株価評価は低
いものとなっているが、前回レポート時に比べると、その差は縮小してきたようだ。黒字定着が徐々にではあるが投
資家に認識されて来たとも考えられる。ただ、株価評価をもう一段高めるには、収益性の更なる改善が必要だ。
【事業内容】
「賃貸事業」、「建築請負事業」、「ホテル・リゾート事業」、「シルバー・その他事業」の 4 事業から構成されている。
中心事業は「賃貸事業」、「建築請負事業」で両事業による売上構成比は約 96%にのぼる。
<賃貸事業>
売上高 286,266 百万円、セグメント利益 8,276 百万円
(2013 年 3 月期第 3 四半期累計実績。)
同社の主力事業。建築請負したアパート等の一括借上げによる賃貸物件の賃貸及び管理等を行っている。
賃貸サービスの契約形態には、利用料月払いで初期費用の負担を軽減した「賃貸契約」と、利用料は一括前払いで
全室家具・家電付き、水道・光熱費不要の「マンスリー契約」の 2 種類がある。
同社の売上は入居者からの受取家賃。オーナーへの支払家賃が売上原価となる。
<建築請負事業>
売上高 30,741 百万円、セグメント利益 -617 百万円
(2013 年 3 月期第 3 四半期累計実績。)
アパートなどの建築請負を行っている。近年は、同社が一括借上して賃貸及び管理を行う賃貸物件に加え、建築請
負のみを行う物件の拡大に力を入れている。
また、商業施設や介護施設など同社が一括借上げしないアパート以外の請負にも前期から取組んでいる。
<ホテル・リゾート関連事業>
売上高 4,839 百万円、セグメント利益 -682 百万円
(2013 年 3 月期第 3 四半期累計実績。)
海外子会社レオパレスグアムコーポレーションを通じてグアム島でゴルフ場や野球場などのスポーツ施設やホテル、
コンドミニアムなどのリゾート施設を運営している。
また、国内では全国 8 か所でホテルを運営している。
同事業は、賃貸事業、建築請負事業という同社の主力事業の拡大をサポートするという側面も有している。
例えば土地のオーナーへ提案営業を行う際、ホテルを運営しているという認知度や信頼度から商談がスムーズに進
むケースも多いということだ。
損益計算上の利益はマイナスとなっているが、営業 CF はプラスを維持しており減損処理のリスクは現時点では小さ
い。
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<シルバー事業その他>
売上高 7,986 百万円、セグメント利益 -331 百万円
(2013 年 3 月期第 3 四半期累計実績。)
「あずみ苑」の名称で、関東 1 都 6 県で 58 棟の「有料老人ホーム」、「デイサービス」、「ショートステイ」、「グループホ
ーム」の運営、訪問介護・居宅介護支援など、地域社会に根差した介護事業を行っている。
また、子会社を通じて賃貸入居者向けに家財の少額短期保険を提供している。
「あずみ苑」に関して、当面は現状の棟数を維持していく考え。
2.特長と強み
「3 大都市圏への集中」
全国 546,561 戸の管理戸数(2012 年 12 月末)の内、東京圏 36%、名古屋圏 16%、大阪圏 14%と合計で約 70%が 3
大都市圏に集中。
この 3 大都市圏は人口流入が続いており、人口が集中するエリアに管理物件を集中させることで高い入居率を維持
している。
「高い商品開発力」
「ロフト付き」「一括借上げ」「マンスリー」「ブロードバンド装備」「家具・家電付き」という仕組みを業界で初めて導入し
たことに現れているように、同社は時代のニーズに対応した新しい商品や仕組みを開発することに力を入れている。
家具・家電付き、自分好みの部屋にすることができるマイコレプラン、コンフォートプランといったお部屋カスタマイズ、
セキュリティなど、入居者の目線に立ったサービスやシステムの導入を入居率向上に結び付けている。
お部屋カスタマイズ
(同社資料より)
「ワンルームの優れた商品性」
同じ面積の土地にファミリータイプの住宅を 1 軒たてるよりも、入居率を一定程度に保つことができればワンルーム
の方が通常は家賃総収入は多くなるため、土地オーナーの収益性は高くなる。
また、同社の管理物件が集中する都会には狭小地が多い。ファミリータイプでは建設自体難しい場合でも、ワンルー
ムであれば柔軟な設計が可能であり、土地オーナーに有効なソリューションを提供することができる。
「全国規模での事業展開」
2012 年 12 月末現在で全国に直営 172 店、FC195 店の合計 367 の店舗を有している。このどこの店舗からでも全国
どこの物件も契約することができるため、大学入学、入社や転勤などの際の利便性の高さを入居者に提供すること
ができる。
また全国規模で遊休地や土地オーナーの属性など豊富な土地情報を保有しており、この情報をベースに様々な提
案を行うことができるのも同社の大きな特長となっている。
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3.2013 年 3 月期第 3 四半期決算概要
(1)連結業績
(単位:百万円)
12/3 期 3Q
売上高
13/3 期 3Q 計画
13/3 期 3Q 実績
計画比
前年同期比
332,450
332,000
329,834
-0.6%
-0.8%
売上総利益
37,015
38,900
41,134
+5.7%
+11.1%
販売管理費
35,767
38,400
36,105
-6.0%
+0.9%
営業利益
1,248
400
5,029
12.5 倍
+302.8%
経常利益
-2,578
-1,000
5,843
-
-
四半期純利益
-2,061
-1,400
5,045
-
-
減収も入居率向上などで収益性が改善。売上総利益、営業利益ともに期初計画を上回る。
売上高はほぼ計画通りであったが、空室率の低下で空室損失引当金の戻入があり売上総利益は計画を上回り、前
年同期比でも増加した。賃貸事業での収益改善により営業利益が計画および前年同期を大幅に上回った。また、為
替差益の計上もあり第 3 四半期累計期間としては 4 期ぶりとなる黒字化を達成した。
(2)セグメント別動向
<3Q累計:4-12 月>
(単位:百万円)
売上高
12/3 期 3Q
賃貸事業
セグメント利益
13/3 期 3Q
増減率
12/3 期 3Q
13/3 期 3Q
増減額
279,840
286,266
+2.3%
2,971
8,276
+5,305
40,859
30,741
-24.8%
1,697
-617
-2,314
ホテルリゾート事業
4,339
4,839
+11.5%
-1,151
-682
+469
シルバー・その他事業
7,411
7,986
+7.8%
-477
-331
+145
-
-
-
-1,790
-1,615
-
332,450
329,834
-0.8%
1,248
5,029
+3,781
建築請負事業
調整額
3Q 損益計算書計上額
<賃貸事業>
・入居率の改善やセキュリティシステムなど付帯収入の増加で 64 億円の増収。マンスリー契約から一般契約への契
約形態の切り替えに伴う売上総利益の計画対比減少 26 億円があったが、空室損失引当金戻入が計画に比べ約
44 億円増加したことで大幅な増益となった。
・今期平均入居率目標は前期実績比+1.8P の 83.0%としているが、今期 2013 年 1 月までの平均は 82.60%と前年
同期を 1.81%上回っている。月次で見ても、2012 年 5 月以降は前年同月を 1.5%以上上回っている。繁忙期の 4Q に
高い入居率を確保しておくことは、4 月から始まる翌 2014 年 3 月期において好スタートを切るため重要なポイントとな
るため、目標達成に向け注力する。
・3Q の管理戸数は 546,561 戸(前年同期比-2.6%)。契約済戸数は 449,745 戸(同 -0.5%)。その内、法人契約戸数
は 214,450 戸で前年同期に比べ 4.9%増加し、シェアも 47.7%となり上昇している。(前年同期のシェアは 45.2%)
・同社では 400 店舗の営業体制を目指しているが、2013 年 1 月現在の店舗数は、国内直営店舗 174、海外店舗 8、
パートナーズ 195 の 377 店舗となっている。パートナーズ店舗に関しては研修や指導の徹底によるクオリティ向上を
通じた契約数アップを目指している。都市部での入居率向上を図るため、直営店舗の新規出店も進めている。今期
期初 13 店舗の出店を計画していたが、2013 年 1 月までで既に 15 店舗オープンした。プレゼンス強化のため、更な
る出店を検討している。
・個人向け施策としてはこの他に、「新 TVCM の放映」、「入居者が自分の好みに合った壁紙を選べ、画鋲・棚の取り
付け・落書きも OK なお部屋カスタマイズマイコレプラン、消臭・吸放湿・光触媒セルフクリーニング機能を持った壁紙
7
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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を選択できるコンフォートプラン」などを手掛けている。
・物件価値向上施策としてセキュリティシステム設置に注力している。
2013 年 1 月末のセキュリティ設置済アパートは 122,807 戸で設置率は 22%に達した。3Q 累計の受注額、売上高は
それぞれ 95 億円、91 億円だったが、通期計画(受注 90 億円、売上 85 億円)を既にクリアした。
<建築請負事業>
・中心となるアパートに関しては、引き続き受注エリアを絞り込み、供給抑制を行っているため、前年同期比で減収・
減益となった。売上は計画を下回ったが、売上総利益、営業利益は計画を超過した。
・アパートは供給戸数を抑制しているが、前年同期はゼロだった高齢者施設・店舗等事業用建物は 3Q 累計で 10 棟
を引渡した。一括借上げをしないアパート以外の建築請負を今後も進めていく。
・3Q 累計の総受注高は 585 棟、496 億円と、前年同期を上回っている。前期の黒字転換を機に受注環境は改善中
だ。
・建築請負を行っている支店は 2012 年 12 月末時点で 3 大都市圏を中心に全国で、前期末比1店増の 52 支店。受
注エリア絞込みの結果、建築請負売上高の 77%を 3 大都市圏が占める形となっている。今後も高い入居率が見込
めるエリアに支店を配置し受注活動を展開していく。
他社との差別化を図るために、様々な特徴を持った賃貸住宅を開発・提案しているが、2012 年 12 月より、創業 40 周
年を記念した「アニバーサリー・モデル」第 4 弾として、女性を意識した大容量収納の造作家具付アパート「Arma-L
(アルマーレ)」の販売を開始した。
・建築請負事業における物件価値向上施策として太陽光発電システムに注力している。
2013 年 1 月末時点での太陽光パネル設置棟数は累計 5,230 棟で、発電容量は 51 メガワット。これは、一般家庭約
15,000 世帯分の電力に相当する。
今期の受注および売上の計画はそれぞれ 65 億円、73 億円だったが、3Q 累計実績は 115 億円、89 億円と、通年目
標を既に大きく上回っている。2012 年 7 月 1 日施行の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の活用で、10kW
以上の大型案件の新規受注や増設が拡大している。これを受けて、「屋根借り太陽光発電事業」を開始した。J-PEC
(太陽光発電普及拡大センター)の補助金制度(10kW 未満対象)は来年度も継続される事となっており、取り巻く環
境は良好だ。
<ホテル・リゾート事業>
前期は東日本大震災の影響を受けたが、今期は国内外ともに稼働率、売上・利益は前年同期比で順調に推移した。
<シルバー事業>
ショートステイは稼働率が前年同期、計画を共に若干下回ったが、95.8%と高水準。その他のデイサービス、有料老
人ホーム等(グループホーム含む)は好調で、1Q、2Q に続き 3Q 累計期間も売上総利益は黒字だった。
8
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(3)財政状態及びキャッシュフロー
(単位:百万円)
12 年 3 月末
12 年 12 月末
現預金
41,477
32,883
売掛金
4,541
3,445
完成工事未収入金
12 年 3 月末
買掛金
12 年 12 月末
2,791
2,792
工事未払金
13,313
7,506
1,004
1,085
短期有利子負債
46,265
46,462
18,997
14,471
未払金
14,208
8,886
流動資産合計
83,061
66,014
前受金
58,301
47,400
建物・構築物
55,116
52,941
145,524
125,382
土地
82,105
81,503
長期有利子負債
2,040
1,760
2,906
2,083
退職給付引当金
8,041
8,526
投資有価証券
6,489
6,154
空室損失引当金
19,207
12,935
長期前払費用
18,295
9,575
長期預り敷金保証金
9,853
9,118
固定資産合計
181,659
167,452
長期前受金
42,680
32,835
資産合計
264,783
233,518
固定負債合計
前払費用
リース資産
流動負債合計
負債合計
純資産合計
負債純資産合計
10 年 3 月末
11 年 3 月末
12 年 3 月末
85,427
67,990
230,951
193,372
33,831
40,145
264,783
233,518
12 年 12 月末
自己資本
70,890
33,025
33,804
40,121
自己資本比率
17.9%
11.1%
12.8%
17.2%
有利子負債残高
56,481
39,888
48,305
48,222
現預金
72,431
40,674
41,477
32,883
NDE レシオ
-0.23
-0.02
0.20
0.38
*有利子負債はリース債務含まない。*NDE レシオ=(有利子負債―現預金)/自己資本
収益改善と残存期間経過により、空室損失引当金は前期末比 62 億円の戻入となった。
純資産の増加は、新株予約権行使 35 億円、利益剰余金増加 50 億円、為替換算調整勘定 -22 億円による。
(単位:億円)
12/3 期 3Q累計
13/3 期 3Q 累計
増減額
営業キャッシュ・フロー
-167
-112
+55
投資キャッシュ・フロー
-39
+4
+43
フリー・キャッシュ・フロー
-206
-108
+98
財務キャッシュ・フロー
+75
+24
-51
現金及び現金同等物期末残高
272
325
+53
営業 CF は 55 億円改善した。通期での黒字化を計画している。
9
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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4.2013 年 3 月期業績見通し
(1)連結業績
(単位:百万円)
12/3 期 実績
売上高
構成比
13/3 期 予想
構成比
前期比
459,436
100.0%
463,900
100.0%
+1.0%
営業利益
4,585
1.0%
8,000
1.7%
+74.4%
経常利益
2,349
0.5%
6,100
1.3%
+159.6%
当期純利益
1,588
0.3%
5,500
1.2%
+246.1%
通期予想には変更なし。小幅増収ながらも、大幅増益を見込む。
通期予想に変更はない。「Creating Future」における今期のテーマを「成長に向けた土台作り」と設定し、大幅増益を
実現。黒字体質の定着を図る。
(2)トピックス
◎韓国における賃貸管理事業
前回のレポートで報告したように、2012 年 11 月 1 日、韓国トップの住宅管理業者「ウリ管理株式会社」と韓国で合弁
会社を設立し、韓国において共同で賃貸事業を展開することを発表した。
合弁会社名は「ウリレオ PMC」となった。
賃貸契約形態の移行に伴って今後成長が予想される韓国賃貸市場にいち早く進出するもので、韓国ではまだ例の
ない企業による体系化された賃貸サービスを提供する。
設立(2012 年 11 月)から半年間を準備期間とし、順次事業を展開していく。
◎仮想型太陽光発電所実証事業
2012 年 9 月、従来のオーナー設置の太陽光発電に加え、「屋根貸しモデル」を採用し、福島県内の管理物件 67 棟に
一般家庭約 400 世帯分の電力需要に相当する約 1.2 メガワットの仮想メガソーラーを構築する実証事業を行うと発表
した。2013 年 2 月より順次施工をすすめる予定。
<実証事業の概要>
*屋根借り事業のビジネスモデル
同事業のために設立した発電事業子会社「株式会社レオパレス・パワー」がアパートオーナー所有の同社管理物件
の屋根を借りて賃貸料を支払い、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を活用し売電収入を得る。
*情報収集
富士通との共同実証により、発電量・日射量・温度などの情報を収集・分析し、培った発電条件等のノウハウをもとに
「屋根貸しモデル」を通じた更なる住宅用太陽光発電の普及促進に努める。
*実証実験
影、方角、傾斜角による発電量への影響や、パネル設置による断熱効果などを検証する。
設置場所は、福島市 25 棟、郡山市 13 棟、いわき市 9 棟、相馬市 5 棟、二本松市 4 棟、南相馬市 3 棟など合
計 67 棟。
地図上に太陽光発電システムが導入されたアパートをマッピングし、各棟の発電容量、発電量、日射量、温度を一般
公開することで、近隣住民に対して太陽光発電の優位性をアピールし、太陽光発電の普及活動に貢献していく考え
だ。
◎「屋根借り太陽光発電事業」を全国展開
2013 年 2 月、上記福島での実証実験を、全国にて展開する「屋根借り太陽光発電事業」を始めるとリリースした。
10
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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大手リース会社が設立する特別目的会社(SPC)を用いて、オーナー所有の管理物件の屋根を借り、太陽光発電シ
ステムを設置。SPC は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に基づき発電された電力を電力会社に売電し、
オーナーに毎月一定の屋根賃貸料を支払う。レオパレス21は設置場所の確保により太陽光発電システムを納入す
ることで、収益の確保を図るもの。2014 年 3 月末までに 7,000 棟の設置を目指す。発電容量 100 メガワット、一般家
庭約 3 万 3 千世帯分の電力需要を賄う計画。
電力会社
売電収入
特別目的会社(SPC)
資金供与
事業パートナー
A社
(発電事業主体)
売電
屋根賃貸
使用料
支払
アパートオーナー様
(金融機関)
発電状況
モニタリング
レポーティング
メンテナンス
事業パートナー
B社
(運営・メンテナンス)
太陽光発電システム設計施工
設置場所確保
太陽光パネル設置
レオパレス21
5.今後の注目点
期初から好調な入居率は 4Q(2013 年 1 月)に入っても高水準を維持しており、賃貸事業収益の大幅な改善に結び付
いている。3Q の空室損失引当金戻入 62 億円に対し、セグメント利益は 82 億円と、引当金なしでも黒字となり、収益
性は確実に向上していると評価できる。また、従来のモデルでは成長が望めない請負事業においても、太陽光発電
システムの売上、受注は計画を上回って推移しており、新たなブレークスルーの糸口が見えてきたようだ。福島にお
ける実証事業も、これ単体での収益貢献は望みにくいだろうが、全国展開する「屋根借り太陽光発電事業」とあわせ
て管理物件という「ストック」を活用する取り組みとして、その着眼点はユニークだ。海外事業の展開と共に、どれだ
けのスピード感で事業を展開していくのかを注目したい。
<参考:新中期経営計画「Creating Future」について>
2008 年のリーマン・ショックを契機に業績悪化に陥った同社は「請負事業の縮小」、「賃貸事業の原価低減」を主軸と
する事業構造改革を進めた結果、2012 年 3 月期は 3 期ぶりの黒字化を達成した。
これを受け、「両事業の収益バランスを取った安定的な収益体制の確立」を基本方針とした新中期経営計画
「Creating Future」を 2012 年 5 月に策定した。期間は 2013 年 3 月期から 2015 年 3 月期。
(1) 概要
基本方針
「賃貸事業と請負事業の収益バランスを取った安定的な収益体制の確立」
(1)ストックビジネス(賃貸事業部門)を中心に据えた収益体制の確立
(2)コア事業を主軸としたグループ収益の最大化
(3)ノンコア事業の収益管理体制の構築
(4)低コスト構造の維持と戦略的コストの選択と集中
(5)新たな社会価値を創出する施策の実行と新事業の創出による成長の追求
(2)数値目標
11
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
12/3 期 実績
4,594
45
23
15
338
12.8%
4.7%
9.0 円
0.6%
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
純資産
自己資本比率
ROE
EPS
ROA
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13/3 期 計画
4,639
80
61
55
428
17.0%
14.3%
29.2 円
2.2%
14/3 期 計画
4,674
141
122
110
580
23.1%
21.8%
54.2 円
4.4%
(単位:億円)
15/3 期 計画
4,765
169
151
135
765
29.5%
20.0%
62.4 円
5.2%
(3)アクションプラン
13/3 期 「成長に向けた土台作り」
14/3 期、15/3 期 「新たな成長ステージ」
・コア事業の競争力強化
・コア事業の継続的成長
・既存事業の新規領域への取組
・新規事業への取組
収益体質の確立
賃貸事業
高収益事業としての更なる展開
・チャネル強化
・管理戸数は最大 57 万戸。管理物件の競争力向上
・空室損失引当金戻入を除いた営業黒字とする体制
・入居者向けサービスの強化
の確立
・セキュリティ設置率35%(2012 年 3 月末 10%)
・400 店舗体制(2012 年 3 月末 357 店)
新規領域への取組
請負事業
新たな収益源となる商品・事業領域の確立と展開
・一括借上げアパート以外の受注拡大
・建築バリュエーションの拡大(省エネ、高齢者向け、店舗等)
・高入居率が見込めるエリアでの受注拡大
・太陽光発電システム設置 30%(2012 年 3 月末 18%)
関連事業
顧客の囲い込み
収益の最大化
・顧客の囲い込み(利用促進、事業部連携)
・運営・管理体制の効率化、連携強化による収益の最大化
コストの選択と集中/成長戦略への取組
全体
・低コスト構造は維持するものの、戦略的なコストは投入(人件費、広告宣伝費、販売促進費)
・新規事業(「未来プロジェクト」)への取組
(4)事業別戦略
<賃貸事業>
売上高
売上総利益
営業利益
平均入居率
12/3 期 実績
3,803
386
52
81.2%
13/3 期 計画
3,866
452
95
83.0%
14/3 期 計画
3,890
516
150
85.0%
(単位:億円)
15/3 期 計画
3,915
533
161
85.8%
*空室損失引当金戻入は、期間経過分年間 25 億円の前提
<空室損失引当金とは?>
空室拡大による損失リスクにあらかじめ備えるべく、合理的な見積可能期間内に発生が見込まれる損失の額に対して設
定している引当金。個別賃貸物件ごとの収支実績に基づいて算出し、四半期ごとの洗替を行っている。そのため入居率の
改善、付帯収入の確保、コスト削減により収益が改善した場合は引当金の戻入れが発生する。(売上原価の縮小として計
上)
1. 直営店・パートナーズ店展開
今後も、都市圏においては直営店を、地方や郊外においては FC である「パートナーズ店」を拡大していき、今期
12
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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は直営店 +13 店、パートナーズ店 +30 店を新規開設し、海外 8 店を加えて 400 店舗体制を計画している。
ただ、パートナーズ店に関してはビジネスをスムーズに拡大させるためにはクオリティの向上も重要な課題であ
ると認識しており、研修体制を強化するとともに、「スクラップ&ビルド」も進めていく。
2. 法人営業の強化
経営効率化の観点から、企業においては寮・社宅関係の保有・運営・管理に関するアウトソーシング・ニーズは
益々高まっているため、このニーズを積極的に取り込んでいく。
2012 年 3 月末時点で約 43 千社の法人が 22 万室を利用。全国の上場企業の約 78%が同社を利用しており、ま
た管理戸数における法人利用のシェアが高いことなど、法人顧客からの評価が高いことは、同社の大きな特徴
となっている。
今後も以下の様な施策により法人営業を強化していく。
*法人営業専門の営業体制を構築
*各企業グループ本社機能への営業強化
*提携法人専用サイト「LAM システム」の運営。これは、企業の社内規定等を掲載した部屋探しフォームから、
各社の従業員が希望の部屋をリクエストできる専用サイト
*既存取引先への深耕を継続
*新規取引先の開拓(専任課の新設)
3. 入居者ニーズの取込み
「賃貸の新しい提案は、いつもレオパレスから」というテーマの下、入居者向けサービスを拡充していく。
「マイコレプラン」やセキュリティシステムなどを推進し、①長期入居の促進、②差別化による入居率の向上を目
指す。
商品力、提案力、創造力の高さは同社の大きな強みであり、全国レベルで展開している企業は同社以外にはほ
とんど無い。
4. 外国人留学生への取組
同社を利用している外国人留学生は 2012 年 3 月末時点で約 14 万人。文部科学省所管の独立行政法人日本学
生支援機構によると留学生の約 8 割は民間の宿舎やアパートを利用しており、海外支店、コールセンター、LAM
スクールによって増加傾向にある留学生の取り込みを強化していく。
・文部科学省が推進する留学生 30 万人計画「STUDY in Japan」への賛同を表明している。
・提携学校専用サイト「LAM スクール」を運営している。これは学校法人を通した学生の部屋検索システムで、留
学生が渡日前に国内の部屋を契約する事も可能となっている。
・現在の海外店舗は中国 4 店舗、韓国 3 店舗、台湾1店舗の計 8 店舗。
5. 賃貸原価の低減
一つは空室損失引当金の戻入。
同引当金は 2011 年 3 月末の 326 億円から 2012 年 3 月末までに、対象物件の収益改善と支払家賃固定期間残
存期間の経過により 134 億円減少して、売上原価の縮小となり賃貸事業の収益改善に大きく寄与した。
当経営計画期間中は、2012 年 3 月末対象物件の平均残存期間に基づき、残存期間の経過分のみ年間 25 億円
(3 年間 75 億円)を見込んでおり、収益改善分は盛り込んでいない。
13
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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空室損失引当金残高の推移および計画
(同社資料より)
もう一つは管理コストの削減。
定型業務の見直しによる管理業務費用の見直しと、周辺賃料相場を踏まえたオーナーへの支払家賃の適正化
を進めて行く。
<建築請負事業>
売上高
① アパート
② 事業用建物
③ その他(太陽光等)
売上総利益
営業利益
総受注高
12/3 期 実績
629
438
6
183
167
43
500
13/3 期 計画
602
499
28
74
144
30
768
14/3 期 計画
611
538
51
21
157
35
801
(単位:億円)
15/3 期 計画
674
602
61
9
178
51
789
1. エリア戦略に基づくアパート供給
総体的にはアパート供給の抑制は継続するものの、築 5 年未満の物件の入居率は約 90%と全体の 83.4%を大
きく上回っている。特に、東京、大阪、神奈川、埼玉、兵庫など人口の多い都市部の入居率は 93~95%と高いた
め、今後も高入居率が見込めるこれら都市部にアパートを供給していく。
(同社資料より)
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ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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2. 時代を先取りした商品展開
オーナーおよび入居者のニーズに対応し、以下の様な同社の特徴を生かした商品を投入する。
「狭小地対応:LEFFECT J-Style」
車一台分強ほどの奥行しかない狭小地にも対応可能な住宅。高い入居率が見込める都市部での建築を想定し
ている。
「環境配慮型住宅:Leco モデル」
クリーンエネルギーニーズに対応し、太陽光発電や蓄電池を採用した環境配慮型住宅「Leco モデル」を販売開
始した。
現在、賃貸住宅「Li-stage」、「Sky-stage」、戸建住宅「Wi-stage」を販売中。
賃貸住宅「Sky-stage」は中庭を設置し、採光&通風を取り入れるパッシブ・エコを実現している。
「2 つのロフトスペース:DUAL-L」
2 つのロフトスペース「デュアル・ロフト」とクローゼットにより、居室と同等のスペースを収納として利用可能。
3. 高品質のアパート建築
また、居住性能の向上によるオーナー及び入居者の満足度向上にも力を入れる。
「耐震性」
同社物件は耐震等級 2 相当(建築基準法の 1.25 倍の強度)で設計されており、東日本大震災では 1 棟も倒壊し
ていない。また制震ブレースを採用することで耐震等級 3 に匹敵する建物強度を実現している。
(制震ブレース工法:地震時に建物が揺れるエネルギーを吸収することで、建物の耐震性能を向上させる工法)
「遮音性」
新商品の DUAL-L では音響透過損失値を向上させる「遮音壁」を採用した。
2 階以上には遮音フローリング採用し、足音が響きにくい仕様にしている。
「セルフクリーニングサイディング」
セルフクリーニング機能付きのサイディング(セメントと木質系成分を混合して製造される人工の外壁材)を採用。
壁についた汚れなどを雨などの水滴が自然に洗い流す。
「住宅型式性能認定 劣化対策等級 2 を取得」
劣化対策等級は建物の柱や梁、壁などの構造躯体の材料に着目し、劣化を軽減するための対策を評価する制
度で、2 等級は、50-60 年程度まで長持ちするように対策が講じられているとの評価を示す。
4. 建替え
新築着工戸数は今後も減少することが予想されているが、建替え需要は増加していくと見られている。
同社には築 15 年以上の建替え候補が、東京、神奈川、埼玉、中部、近畿に合計で約 29,000 戸ある。前述のよう
に、築浅物件の方が入居率は高まるため、これらを対象に、トイレと洗面台を独立、キッチンサイズの大型化、セ
キュリティ設備や遮音フローリングの設置などを内容とした建替えを行っていく。
5. 事業用建物の請負
今後大きな成長が望みにくい住宅以外の事業用建物の受注活動を強化していく。
対象の一つが高齢者施設。
15
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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オーナーから建築を請負い、施設の運営をする介護事業者を紹介する。58 施設を運営しているシルバー事業の
「あずみ苑」でのノウハウを活かす。
第 1 号として 2012 年 2 月に東京世田谷区で有料老人ホームを竣工した。(運営は東証上場の介護事業者)
もう一つが店舗・商業施設だ。
外食チェーン、ドラッグストア等店舗を求めている事業者に土地オーナーを紹介する。
賃貸事業において取引のある法人企業 4.7 万社という顧客資産を活用する。
施設形態としては、単独の店舗・商業施設は無論のこと、1-2 階を店舗にし、上層階は賃貸住宅にするという、店
舗・賃貸住宅複合案も提案していく。
いずれも、全国規模で土地情報を保有している同社ならではの強み・特長を活かして事業を展開していく考え
だ。
6. 物件価値向上施策
入居需要を供給が上回る現状、入居者満足度を高め、入居率を向上させるためには賃貸物件の価値を向上さ
せることは重要な課題だ。また、物件価値の向上を家賃単価の上昇に結び付けることは、賃貸事業の収益性向
上のためには不可欠であり、そうした背景から同社では前述の建替え以外に、「太陽光発電システム」や「セキ
ュリティシステム」の設置という物件価値向上施策に力を入れている。
「太陽光発電システム」
2012 年 3 月期より本格的に着手し、年間 3,814 棟、発電量で 3 万 kW の設置を行った。この施策は、CO2 排出量
の削減にも寄与するものである。
今後は年間 1,000 棟、3 年間で 3,200 棟に設置し 2015 年 3 月期までに累計 7,000 棟、設置率 30%を目指してい
る。
「セキュリティシステム」
2012 年 3 月より実施し、需要の高さと積極的な提案により、年間 6 万戸、設置率 10.9%と、一定の実績を残すこ
とができた。
2015 年 3 月期までに累計 19 万戸、設置率 35%を計画している。
将来的には全物件におけるセキュリティシステムの標準装備を目指している。
<ホテル・リゾート事業>
(単位:億円)
12/3 期 実績
13/3 期 計画
14/3 期 計画
15/3 期 計画
売上高
62
66
67
68
営業利益
-16
-10
-7
-6
(国内ホテル)
(単位:億円)
12/3 期 実績
売上高
営業利益
減価償却費
稼働率
13/3 期 計画
14/3 期 計画
15/3 期 計画
22
23
23
23
-0.3
-0.4
-0.1
0.2
5.2
4.3
3.7
3.3
72.5%
73.8%
74.1%
74.6%
(レオパレスグアム)
(単位:百万ドル)
12/3 期 実績
13/3 期 計画
14/3 期 計画
15/3 期 計画
売上高
57
63
66
66
営業利益
-8
-1
2
3
減価償却費
15
15
13
12
16
ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
http://www.bridge-salon.jp/
レオパレスリゾート稼働率
52.8%
70.1%
73.7%
73.7%
ウェスティン リゾート グアム 稼働率
74.2%
74.0%
74.5%
74.8%
<シルバー事業>
売上高
営業利益
デイサービス稼働率
ショートステイ稼働率
有料老人ホーム稼働率
12/3 期 実績
88
-8
62.7%
96.6%
76.4%
13/3 期 計画
91
-8
66.2%
96.7%
84.7%
14/3 期 計画
94
-7
68.4%
96.7%
89.1%
(単位:億円)
15/3 期 計画
96
-6
70.2%
96.7%
91.9%
両事業共、顧客の囲い込み及び運営・管理体制の効率化や連携強化による収益の最大化を進め、早期の黒字化を
めざす。
(5)新規事業「未来プロジェクト」
これまで「住まい」にこだわった事業展開を行ってきたが、今後もそこから離れることなく、住まいというストックを中心
とした事業で成長していくことが基本戦略と考えている。
この基本戦略を具現化するため、2012 年 4 月に企画機能強化を目的として総合企画本部を新設し、新規事業の立
案部署として事業企画部を立ち上げた。
今回の新中計の先を見据え、「未来プロジェクト」と名付けた新規事業の調査、検討、実現を推進していく。
対象としては、「1.既存事業の周辺領域」として、管理戸数 55 万戸、オーナー2.7 万人というストックを活かしたビジ
ネスチャンスの追求と M&A やアライアンスの推進。「2.成長戦略としての新規事業」として、賃貸事業の海外展開、
再生可能エネルギーの事業化、を掲げている。
(賃貸事業の海外展開第一弾である「韓国市場への進出」は後述)
(6)財務
・「持たざる経営への回帰」を標榜し、キャッシュフロー重視の経営を推進する。
・営業 CF については、2013 年 3 月期黒字化、2015 年 3 月期 +133 億円を計画している。
・2012 年 2 月に第三者割当による新株予約権を発行した。全てが行使されれば資金調達額は 126 億円となる。下限
行使価額が決まっていることから、希薄化率は 23.94%にとどまる。また割当先であるドイツ銀行ロンドン支店は同社
の許可がないと行使できない仕組みであるため、自社の株価動向を踏まえた上で行使(新株発行)を進めることが
可能となっている。
・設備投資に関しては、「持たざる経営」という基本方針を継続する。新株予約権行使によって調達した 126 億円の使
途は、以下の通り。
「基幹システム開発費用:50 億円」
「賃貸事業収益改善施策(店舗展開や広告宣伝および販促投資等、客付力および商品企画や施工強化のための
M&A):50 億円」
「所有賃貸物件設備の投資(建替え、リニューアル、太陽光・セキュリティ導入等):26 億円」
・配当方針としては、株主に対する還元を重要課題と認識し早期の復配を目指すが、前期に 3 期ぶりの黒字になった
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ブリッジレポート(8848) 2013 年 2 月 28 日
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ばかりであり、まずは安定的な収益体制の確立が優先と考えている。現在マイナスとなっている利益剰余金を期間
利益の積み上げで回復させていく。
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性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッ
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れますようお願い申しあげます。
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