LP陽性となった意識消失発作を伴うJ波症候群の一例 石川県 1 村井

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LP 陽性となった意識消失発作を伴う J 波症候群の一例
◎村井 翔太郎 1)、世戸 弘美 1)、山崎 桂子 1)、中本 有美 1)、西田 栄子 1)、橋本 憂奈 1)、
藤岡 央 2)、飯沼 由嗣 3)
金沢医科大学病院 中央臨床検査部 1)、同 循環器内科 2)、同 臨床感染症学 3)
【はじめに】近年 J 波症候群は特発性心室細動
ホルター心電図:PVC 8105 回/24 時間。第 20 病
との密接な関係について相次いで報告されて
日 ECG:正常洞調律+PVC、Ⅱ,Ⅲ,aVF J 波陽性。
いる。一方 J 波症候群に認められる早期再分極
加算平均心電図:fQRSd:125µV(+)、
(J 波)は一部若年健常人にも認められ両者の鑑
RMS40:7.4μV(+)、LAS40:64ms(+)以上より
別は未だ明確ではなく診断に苦慮することが
LP 陽性。
多い。今回、加算平均心電図(心室遅延電位,
【入院経過】第 26 病日 EPS による VT/VF
Late Potential:LP)陽性となった意識消失発作を
study において誘発は無く、Tc-99mMIBI 心筋
伴う J 波症候群の一例について経験したので報
血流 SPECT は有意な虚血性変化を認めず、
告する。
Head up tilt 試験は陰性であった。PVC 治療を
【症例】67 歳男性、運転代行業<主訴>繰り
目的として左室後壁基部に対しカテーテルア
返す意識消失発作<既往歴>無し<家族歴>
ブレーション(RFCA)が実施され、第 34 病日
父:胃癌
Loop
【現病歴】<意識消失発作 1 回目>2015 年
RFCA 後のホルター心電図は PVC
1 月、AM 5:30 外気温氷点下 2℃での散歩中に意
/24 時間と減少し、第 42 病日退院となった。
識消失。通行人の通報により近医に心肺停止
以降は外来通院 follow となる。現在 Loop
状態で救急搬送され蘇生に成功。偶発性低体
recorder 解析においてイベントは無く、意識消
温症と診断され、11 日後に退院。<意識消失
失発作は認めていない。
発作 2 回目>2015 年 3 月、AM10:00 眼前暗黒感
【考察】J 波症候群患者の J 波は下壁誘導にお
及び冷汗、意識消失し転倒。1,2 分後に意識は
いて増高を認めることが多く、LP 陽性の機序
自然回復するも同病院に救急搬送。精査は希
は心外膜の伝導遅延によると推定されている。
望されず帰宅、本業継続。<意識消失発作
本症例においても臨床症状・検査所見の一致
3 回目>2015 年 12 月、通勤途中に自動車で電
から J 波症候群の VT/VF による意識消失発作
柱に衝突し田んぼに転落。事故前後の記憶は
と推測された。RFCA 後の意識消失は認めず
無く運転時の眠気及び意識消失等については
PVC から VT/VF への移行の可能性が低下した
不明。救急隊到着時に前胸部痛の訴えあり。
ものと考えられた。
当院に救急搬送、交通外傷、多発肋骨骨折及
【結語】意識消失患者において J 波及び LP 陽
び血気胸にて入院となった。
性であることが J 波症候群の臨床診断に結びつ
【入院時検査所見】血液検査:CK
507U/L、
recorder 移植が施行された。第 36 病日
いた症例であった。
LDH 357U/L、RBC 4.7×106/μL、Hb 11.8g/dL。
脳波検査:てんかんを強く疑う所見無し。3DCTA:虚血を生じる狭窄所見無し。
【心電図検査(ECG)経過】入院時 ECG:正常洞
調律、Ⅱ,Ⅲ,aVF J 波陽性。第 8 病日 ECG:正常
洞調律+PVC、Ⅱ,Ⅲ,aVF
J 波陽性。第 13 病日
連絡先 076-286-2211 (内線 4247)
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