マイコンの機能を拡張する 周辺回路集

第2章
入出力ポートの増設や
A − D の分解能アップなど
マイコンの機能を拡張する
周辺回路集
石井 聡/小島 昇/島田 義人/浜田 智/
Satoru Ishii/Noboru Kojima/Yoshihito Shimada/Satoshi Hamada/
細田 隆之/渡辺 明禎
Takayuki Hosoda/Akiyoshi Watanabe
少ピンのマイコンは,比較的大きなチップ面積を消
費する I/O バッファ数を節約して,小型なパッケージ
要があり,PLD や標準ロジック IC でその機能を補い
ます.
や低コストを実現しています.これらのマイコンでは
また少ピンのマイコンでは,D − A コンバータが内
I/O の本数や I/O の駆動電流が不足する場合が多いの
で,周辺回路を追加する必要があります.
蔵されていない場合が多いので,D − A コンバータ IC
を外付けします.A − D コンバータの分解能が不足す
例えば I/O の本数が不足する場合は,PLD や標準
ロジック IC で増設します.出力電流が不足する場合
る場合も同じです.
本章では,マイコンの機能を拡張する周辺回路を紹
は,トランジスタで補強します.スピードが要求され
る機能は,何らかのハードウェアを外部に追加する必
介しましょう.
〈小島 昇〉
大電流ドライバ
マイコンのA−D分解能の
限界をクリア!
出力電流
UP!
高分解能A−Dコンバータ
大量のデータを
保存
メモリⅠC
マイコン
D−A
コンバータ
アナログ
信号出力
チャネル
数のUP!
カレンダと時刻を
教えてくれる
Ⅰ/O拡張回路
Ⅰ/Oポート数
UP!
リアルタイム・クロックIC
Keywords
VHC,プッシュ・プル,I2C,PID,F − V 変換,EEPROM,リアルタイム・クロック IC,基準電圧源
150
2005 年 7 月号
特集*マイコン活用のための電子回路集
少ピンのマイコンの一番の弱点を汎用ロジックICで補完
2
1
入力ポートと出力ポートの増設
定します.
■ 入力ポート数の拡充
bポート A を読みたい場合
P3̲3 を L ,P3̲4 を L
● 5 個の I/O を 8 入力に拡張
図 1 − 1 に示すように 74HC157 を外付けします.
R8C マイコンの P3̲3 は出力に設定,P1̲0 〜 P1̲3
は入力に設定します.ポート A を読みたい場合は
P3̲3 を
P3̲3 を L にしてから P1̲0 〜 P1̲3 を読みます.ポ
ート B を読みたい場合は P3̲3 を H にしてから
P1̲1 を読む.
P1̲0 〜 P1̲3 を読みます.
● 4 個の I/O を 8 入力に拡張
P3̲3 と P3̲4 は出力に設定,P1̲0 〜 P1̲1 は入力に設
ポートA
ポートB
ワンチップ・
マイコン
R8C/15 など
74HC157/74VHC157
ポートA
ポートB
2
5
11
14
3
6
10
13
4
1Y
7
2Y
9
3Y
12
4Y
1A
2A
3A
4A
1B
2B
3B
4B
1
SELECT
15
STROBE
16
C1
18
17
15
14
P1̲0
P1̲1
P1̲2
P1̲3
H ,P3̲4 を
L
にしてから P1̲0 〜
ワンチップ・
マイコン
R8C/15 など
I C1
74HC153/74VHC153
図 1 − 2 に示すように 74HC153 を外付けします.
I C1
にしてから P1̲0 〜
P1̲1 を読む.
bポート B を読みたい場合
ポートC
ポートD
6
10
5
11
4
12
3
13
1C0
2C0
1C1
2C1
1C2
2C2
1C3
2C3
16
入力
1Y
2Y
7
18
9
17
14
A
2
B
1
1G
15
2G
C1
19
20
P1̲0
入力
P1̲1
P3̲3
P3̲4
出力
8
0.1μ
3Vまたは5V
19
P3̲3
(a)入力ポートの拡張回路その②
出力
A
8
0.1μ
B
14
2
3Vまたは5V
(a)入力ポートの拡張回路その①
SELECT
1C0
STROBE
1C1
6
5
7
1A
1Y
1C2
4
1Y
2A
1C3
3A
3
2Y
4A
1G
1B
1
3Y
2B
3B
4Y
4B
(b)74HC157の内部回路
図 1 − 1 R8C/15 マイコンの 5 個の I/O を 8 入力に拡張する方法
2005 年 7 月号
2C0
2C1
2C2
2C3
2G
10
11
12
13
15
9
同上
2Y
(b)74HC153の内部ロジック
図 1 − 2 R8C/15 マイコンの 4 個の I/O を 8 入力に拡張する方法
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