日時 2016 年 4 月 23 日（土）－ 5 月 31 日（火） 午前 9 時 30 分～午後 6 時 会場 富山市立図書館 本館 3 階 児童図書フロア 富山市立図書館 毎年、たくさんの数の児童図書が出版されます。その中で、子どもたち が実際に手にとる本はわずかです。子どもたちが楽しい本や、すぐれた本 と出会い、豊かな読書体験ができるようにと願うとき、たくさんの本の中から 何を選びどう手渡すかという判断は、容易なことではありません。 そこで富山市立図書館では、昨年１年間に発行された新刊図書の中か ら、すすめる本として、４００冊を選び展示会を開催し、あわせて本の内容 を紹介した展示目録を発行しています。この目録が、子どもたちの読書の 手がかりになれば幸いです。 なお、選定にあたっては、児童文学関係の書評誌や新聞の書評等も参 考にさせていただきました。 凡 例 １． この図書目録は、平成２７年の１年間に発行された新刊図書のうち、当図書館で収集した児 童図書から４００冊を収録しました。 ２． 図書は、ジャンル別に分けています。そのうち、絵本は書名の５０音順、物語・文学・知識の本 は、分類番号順に並んでいます。 ３． 内訳は、絵本１４６冊、物語・文学１８０冊、知識の本７４冊です。 ４． 絵本と知識の本の対象年齢区分は、次の６段階です。 赤ちゃん～、幼児～、小学校低学年（〔小低〕と表示）～、小学校中学年（〔小中〕と表示）～ 小学校高学年（〔小高〕と表示）～、中学生（〔中学〕と表示）～ ５． 復刊やシリーズで続いている作品は、なるべく対象からはずしました。 目 次 絵本 （１４６冊） １～１８ｐ 小学校低学年 （３６冊） １９～２２ｐ 小学校中学年 （４６冊） ２３～２８ｐ 小学校高学年 （６１冊） ２８～３５ｐ 中学・高校 （３５冊） ３６～４０ｐ （２冊） ４０ｐ （７４冊） ４１～４９ｐ 物語 その他の文学 知識の本 くと』で、コールデコット章を受賞した画家による 絵 本 絵が美しい。 〔幼児～〕 あいつとボク あひる 辻村ノリアキ／作 羽尻利門／絵 PHP 研究所 石川えりこ／作 「ぼく」は「あいつ」が好きじゃない。いつもい くもん出版 隣町のおじさんからあひるをもらう。わたしと弟 ばっているし、乱暴で自分勝手だからだ。けれども、 は、あひるを可愛がるが、翌日、母から死んだと聞 運動会の練習で、二人三脚の組をくむことになった。 かされる。命あるものをいただくという食の営みを 性格の違う二人の少年のやりとりを描く。 〔幼児 静かに描いた一冊。 〔小低～〕 ～〕 アンドルーのひみつきち あかいはねのふくろう ドリス・バーン／文・絵 千葉茂樹／訳 フェリドゥン・オラル／文・絵 広松由希子／訳 岩波書 店 復刊ドットコム アンドルーは、ものづくりが大好き。キッチンで 大きな森に、赤い羽根をしたふくろうが住んでい ヘリコプターを作ったり、ミシンでメリーゴーラウ た。ふくろうの子どもは、まだ羽が赤くなく、飛ぶ ンドを作ったり。けれども、いつも家族から文句を ことができない。一緒に遊ぶ友だちもいないと悲し 言われてしまう。そこで、アンドルーは秘密基地を んでいるところに、一匹のねずみがやってくる。 作ることに。すると、ほかにも秘密基地を作ってほ ［トルコＩＢＢＹの年間最優秀絵本］ 〔幼児～〕 しい子たちがやってきた。 〔幼児～〕 あーといってよあー アンナとわたりどり 小野寺悦子／ぶん 堀川理万子／え 福音館書店 マクシーン・トロティエ／文 イザベル・アルス 上を向いた時の「あー」、下を向いての「あー」、 ノー／絵 浜崎絵梨／訳 西村書店 嬉しいときの「あー」 、怒った「あー」 。文字にする アンナの家族は、季節ごとに住む場所を変え、仕 と同じ「あー」でも、声に出してみると全然違う。 事をしている。家族と固い絆でむすばれながらも、 その時の気持ちでも変わる声の不思議さが巧みに 一つの場所に根をはった暮らしに憧れるアンナの 描かれ、読みながら、一緒に声を出したくなる。雑 心象風景が、詩的に美しく描かれる。 ［2011 年ニ 誌「ちいさなかがくのとも」 （2009 年 4 月号）のハ ューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞］ 〔幼児～〕 ードカバー版。 いしゃがよい 〔幼児～〕 さくらせかい／さく あ、はるだね ある日エンさんは、山で大声で泣いているパンダ ジュリー・フォリアーノ／文 ド／絵 金原瑞人／訳 福音館書店 エリン・E.ステッ を見つける。パンダを「ファンファン」と名づけ、 講談社 育てるが、ファンファンは体が弱かった。エンさん まだ寒い頃、辺りは一面茶色だ。一人の少年がそ はファンファンが病気になるたび、自転車に乗せて こへ種をうえる。一週間過ぎ、二週間過ぎてもまだ 医者に通う。繰り返しのリズムが楽しい絵本。 雑 茶色のまま。けれども少年は、地面の下から緑色に 誌「こどものとも年少版」 （2010 年 1 月号）のハー なる気配を感じる。『エイモスさんが ドカバー版。 〔幼児～〕 かぜを ひ 1 いちばんのなかよしさん うしのもーさん エリック・カール／作 風木一人／作 アーサー・ビナード／訳 偕成社 西村敏雄／絵 教育画劇 大きくて力持ちの、うしのもーさん。 「ぼく」や、 いつも一緒に遊んでいた男の子と女の子。二人は 動物たちを大きな背中に乗せてくれる。けれども、 「いちばんのなかよしさん」だった。ところが、女 もーさんにも願いがあった。「ぼくも･･････のって の子が遠くに行ってしまったので、男の子は探しに みたいなあ」そこで、みんなはもーさんを持ち上げ 行くことにする。川を泳いで渡り、山を登って、原 ようと頑張る。みんなの奮闘に心が温かくなる。 っぱを越えていくが･･････。鮮やかな色彩の絵が美 〔幼児～〕 しい。 〔幼児～〕 うめぼしさん いっぽんの木のそばで G.ブライアン・カラス／作 かんざわとしこ／文 いしづちひろ／訳 ましませつこ／絵 こぐ ま社 BL 出版 「うめぼしさん 夏の終わり、男の子がドングリを土の中に埋める。 うめぼしさん」わらべうたのよ うなリズムにのって、梅干しのできるまでが描かれ 芽吹いたオークの木は、男の子が遠くへ引っ越して る。和紙に一粒ひとつぶ描かれた梅干の表情が愛ら も、その地に根をはり、立ち続けた。街の様子や人々 しい。読みすすめるにつれ、梅干しの酸っぱい味が の生活が変化していくのを、オークの木はずっと見 口にひろがってくるような一冊。 〔幼児～〕 守り続ける。 〔幼児～〕 ウルトラマンをつくったひとたち いのりの石 いいづかさだお／さく ヒロシマ・平和へのいのり こやま峰子／文 塚本やすし／絵 フレーベル館 くたけいた／さく 広島電鉄の敷石は、ほがらかな町の人びとを眺め たばたけい／さく ま 偕成社 1966 年、日本の子どもたちが夢中になった「ウル て暮らすのを楽しみしていた。しかし、１９４５年 トラマン」 。今でも多くの人に愛されるヒーローが、 ８月６日、敷石も原子爆弾の爆風を受け、町は地獄 どのように製作されていたか、紹介する。当時、作 のようになる。戦後、交換されたしき石には、観音 画技師を務めていた著者によるわかりやすい解説 像が彫られた。平和を訴える「祈りの石」として、 で、スタジオの熱気が伝わってくる。 〔幼児～〕 世界各国に送られた敷石の物語。 〔小低～〕 エドワードとうま いろとりどり アン・ランド／文 マーカス・フィスター／作 谷川俊太郎／訳 俊太郎／訳 講談社 オーレ・エクセル／絵 谷川 岩波書店 エドワードは馬が大好きな男の子。けれども、マ 退屈しているカラスたちのところへ、鮮やかな色 ンションに住んでいるため、馬が飼うことができな の羽をつけた「いろとりどり」がやってきた。「カ い。そんな時、町に大好きな馬がいると知り、探し ア、カア」としか鳴くことができないカラスに、歌 てまわる。絵は、北欧を代表するグラッフィックデ やダンスを教えてくれる。人生の楽しみ方を教えて ザイナーが手がける。 〔幼児～〕 くれる絵本。 〔幼児～〕 2 おうさまのくつ ヘレン・ビル／文 おしゃれなクララとおばあちゃんのぼうし ルイス・スロボドキン／絵 エイミー・デ・ラ・ヘイ／文 こみやゆう／訳 瑞雲舎 ン／絵 むかし、ある町の靴屋が立派な靴を作った。見た たかおゆうこ／訳 エミリー・サット 徳間書店 クララは、お人形に帽子や洋服を作るのが大好き。 人みんながほめるので、靴はすっかりうぬぼれてし ある時兄が、帽子屋だった亡き祖母の帽子を破って まい、王様のいるお城こそ自分たちにぴったりの場 しまう。落ち込むクララを、お母さんは帽子のたく 所だと思って、お城へ向かう。可愛らしい絵とユー さんある博物館へ連れて行ってくれる。ロンドンの モアあふれる語り口が楽しい絵本。 〔幼児～〕 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館（Ｖ＆Ａ） の出版部門が、博物館を舞台に作った絵本。 〔幼 オオサンショウウオみつけたよ にしかわかんと／ぶん あおきあさみ／え 児～〕 福 おにつばとうさん 音館書店 水のきれいな川にひっそりとすんでいる、オオサ 沼野正子／文・絵 福音館書店 ンショウウオ。オオサンショウウオの生態を丁寧に 昔、信心深い男がいた。仕事の帰りに鬼や妖怪の 描き、人間との共存の願いがこめられた一冊。 〔幼 行列に出くわした男は、鬼に唾をかけられ、姿が見 児～〕 えなくなってしまう。困った男が観音様に寝ずに祈 り続けると、ある晩、お告げがあった。 〔幼児～〕 おかおおかおおかおだよ スマ／文 山村浩二／絵 オニのサラリーマン 童心社 ゆめちゃんは、クレヨンで顔をかくのが大好き。 富安陽子／文 冷蔵庫に郵便ポスト、お地蔵さんにまで顔をかいて、 大島妙子／絵 福音館書店 オニガワラ・ケンは、じごくカンパニーのサラリ 怒られてしまう。そこへやって来たのが、のっぺら ーマン。今日も愛する家族のために頑張って働くが、 ぼうや。目や口をかいてあげるとよろこんで、ゆめ うっかり居眠りしてしまって･･････。地獄で働く鬼 ちゃんを「おばけむら」に案内してくれた。 〔幼 の姿をユーモラスに描く。 〔幼児～〕 児～〕 おねえちゃんにあった夜 おじいちゃんのコート ジム・エイルズワース／文 トック／絵 福本友美子／訳 シェフ・アールツ／文 バーバラ・マクリン スト／絵 ほるぷ出版 長山さき／訳 マリット・テルンクヴィ 徳間書店 ぼくの家には、幼い頃亡くなったおねえちゃんの おじいちゃんは若い頃、生まれた国を出てアメリ 写真が飾ってある。ある日、おねえちゃんはぼくに カにやってきた。洋服の仕立て屋になり、自分の結 話しかけてきた。「自転車にのって、でかけよう」 婚式に立派なコートを縫い上げる。やがてコートは と言うが･･････。「死」というテーマを丁寧な言葉 上着になり、ベストになり･･････。イディッシュ語 で紡いだ一冊。 ［２０１４年銀の石筆賞、ボッケ の民謡「ぼくはすてきなコートをもっている」をも ンレーウ賞］ 〔幼児～〕 とにしたお話。 〔小低～〕 おばあさんのひっこし エドナ・ベッカー／作 福音館書店 3 神沢利子・山田ルイ／訳 古い家にがまんができなくなった、おばあさん。 みんなが寝ているうちに作られた壁は、ベルリン 飼っている牛とロバ、ネコを連れて、引っ越すこと の街をまっぷたつにした。「ぼく」が目を覚ました にする。しかしどの家も、みんなにとってちょうど とき、父さんは壁のむこうから戻れなくなっていた。 いい家ではない。困って、最後にたどり着いた家と 壁のむこうに行く方法をひたすら考えた「ぼく」や、 は？ 危険をおかして壁を越えようとした人たちの物語。 優しい色使いで描かれた絵があたたかい。雑 誌「こどものとも」 （1996 年 3 月号）のハードカバ 〔小低～〕 ー版。 〔幼児～〕 カボチャのなかにたねいくつ? おべんとうだれとたべる？ マーガレット・マクナマラ／作 あずみ虫／さく・え 福音館書店 ン・カラス／絵 真木文絵／訳 Ｇ．ブライア フレーベル館 くまさんのお弁当は、コーンをいれたしゃけサン ある日ティフィン先生が、大・中・小、三つのカ ド。お弁当箱にぎゅっと詰まった料理は、どれもお ボチャを学校に持って来た。チャーリーたちクラス いしそう。アルミ板をハサミで切ってから、絵の具 のみんなは、それぞれのカボチャの中にいくつタネ を塗る技法でできた絵は、独特の質感であたたかみ が入っているか、実際にとりだして数えてみること があり、ぬくもりが伝わってくる。 〔幼児～〕 にする。観察と実践で、科学に興味を持つ心を育て る絵本。 〔幼児～〕 オルゴールのくるくるちゃん かめー甕ー こみねゆら／作 講談社 おにんぎょうのくるくるちゃんは、昔は小さい女 「カオス・シチリア物語」より 飯野和好／作 ビリケン出版 の子と暮していたが、気がつくと、博物館の中でオ 昔、ある村で油屋を営むあるじが、大きな甕を特 ルゴール人形として踊っていた。やがてその役目も 別に作らせた。ところがお披露目の前に、甕は真っ 取って代わられた彼女は、窓辺においやられ、ある 二つに割れてしまう。そこで甕を修理する名人が呼 風の強い夜に窓から外に落ちてしまう。幻想的な雰 ばれるが･･････。イタリアのオムニバス映画の中の 囲気の絵と、意外な結末が魅力的。 〔幼児～〕 １編を、日本を舞台に置き直し描いた作品。 〔幼 児～〕 かとりせんこう カワと 7 にんのむすこたち 田島征三／作 福音館書店 蚊取り線香から煙がながれると、ぽとんと地面に アマンジ・シャクリー／文 落ちてしまうのは蚊だけではない。花も、おじさん まこと／絵 クルドのおはなし 野坂悦子／文 おぼ 福音館書店 のメガネも、ゆうれいまでも「ぽとん」と落ちる。 鍛冶屋のカワには、自慢の７人の息子がいた。し 独特のタッチで描かれる絵にユーモアがあふれて かし、悪魔のせいで両肩からヘビが生えた王様から、 いる。雑誌「こどものとも」 （2009 年 7 月号）のハ 男の子を生贄に差し出すよう命令が。カワは、村の ードカバー版。 〔幼児～〕 子どもたちを守るため、息子たちを山奥へと逃がし た。クルドの言い伝えをもとに生まれた絵本。 〔幼 児～〕 壁 ベルリンひきさかれた家族 トム・クロージー・コール／作・絵 訳 渋谷弘子／ 汐文社 4 きかんしゃキト号 金のおさら ルドウィッヒ・ベーメルマンス／作 を／訳 ふしみみさ バーナデット・ワッツ／作 BL 出版 福本友美子／訳 BL 出版 赤ちゃんのペドロは、小さな赤い機関車「キト号」 イザベルとエリーはとても仲良し。エリーはきれ が大好き。ある日、家族と出かけた先で、一人でキ いな人形の家を持っており、二人はいつもそれで遊 ト号にのりこんでしまう。駅に着き、ぺドロを見つ んでいた。ある日、イザベルは人形の家の小さな金 けた車掌さんは驚き、家に連れて帰る。南米エクア 色のお皿がうらやましくなり、持って帰ってしまう。 ドルを舞台にした絵本。 『特急キト号』 （PHP 研究 女の子の心の動きを、丁寧に描く。 〔小低～〕 所 2006 年刊）の改題、加筆修正。 〔幼児～〕 木のすきなケイトさん くつやのドラテフカ 砂漠を緑の町にかえた ある女の人のおはなし ポーランドの昔話 ヤニーナ・ポラジンスカ／文 H.ジョゼフ・ホプキンズ／文 ー／絵 池本佐恵子／訳 ジル・マケルマリ ワンダ・オルリンスカ／絵 BL 出版 足達和子／訳 福音館書店 若い靴屋のドラテフカは、とても貧乏だが、困っ 木の大好きなケイトは、砂漠の町で働くことにな ているものがあれば、アリやハチでも助けてあげて る。暑くて乾いた気候でも、きっと木は育つと信じ いた。ある時、とらわれたお姫さまを助けるため、 たケイトは、町の緑化に邁進する。 〔小中～〕 魔法使いと対決することになる。ポーランドのルブ リン地方の昔話をもとに再話した絵本。 〔幼児～〕 きょうはだいじゅうたい 哲也／文 劉貞秀／絵 陳馨茹／訳 クリスマスイヴの木 金の星社 今日はお父さんとドライブ。途中で渋滞にはまっ デリア・ハディ／文 てしまったけれど、何でも知っているお父さんと一 三原泉／訳 エミリー・サットン／絵 BL 出版 緒なら、退屈しない。車の列の先には、バスやタク ひょろひょろで、売れ残ってしまった一本のモミ シー、救急車にブルトーザー。移動アイスクリーム の木。クリスマス・イヴの夜、そのモミの木を、橋 屋さんもいるかも！ の下に住む貧しい男の子がもらいうける。男の子が どんどん夢がひろがる楽し い乗り物絵本。 〔幼児～〕 なけなしのお金でキャンドルを買い、モミの木を飾 ると･･････。イヴの夜に起こった奇跡の物語。 〔小 キング牧師とローザ・パークス 低～〕 黒人の平等な 権利を求めて ラファエル・フリエル／原作 クリスマスの森 ザウ／絵 高野優 ／監訳 田中裕子・美濃部美枝子／訳 汐文社 ルイーズ・ファティオ／文 ２０世紀中頃、アメリカ南部の町モンゴメリでは、 黒人は白人とバスの座席が区別されていた。ある時、 ザン／絵 ロジャー・デュボア つちやきょうこ／訳 福音館書店 サンタ・クロースがクリスマスプレゼントを配り 黒人女性ローザがバスで白人の席に座って逮捕さ に出発。けれども、お弁当を食べたサンタはうっか れたことから、黒人たちによるバスのボイコット運 り眠ってしまう。それを見たキツネはこのままでは 動が始まる。それを指導したのは若き日のキング牧 プレゼントが届かないと慌てて……。 〔幼児～〕 師だった。 〔小中～〕 5 くれよんがおれたとき かさいまり／さく 北村裕花／え いろいろな具を炊き込んだ「たきこみごはん」に、 くもん出版 オムライスなどの「がいこくごはん」。体が弱った ゆうちゃんが、さくらの新品のクレヨンを折って ときにぴったりの「おかゆ」･･････。米を使って作 しまった。さくらは「クレヨンをかえして」とも言 った料理にはいろいろな種類がある。たくさんの料 えず、宿題の絵も描けなくなってしまう。次の日、 理が鮮やかに描かれ、見ているだけでも楽しい一冊。 ゆうちゃんは新しいクレヨンを持ってきてくれる 〔幼児～〕 が、さくらは「ありがとう」が言えない。 〔小低 ゴリラのおとうちゃん ～〕 子どものためのラ・フォンテーヌのおはなし 三浦太郎／作 ラ・フォンテーヌ／[原作] マーガレット・ワイ ズ・ブラウン／再話 アンドレ・エレ／絵 こぐま社 のんびりお昼寝中のゴリラのおとうちゃん。「あ あべき そんで～や」とやってきた子どもを持ち上げ、「お みこ／訳 こぐま社 とうちゃんすべりだい」に、「おとうちゃんつうて １７世紀フランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォン んかく」をしてくれる。実際にやってみても楽しい、 テーヌが書いた、イソップのお話をもとにした寓話 からだ遊び絵本。 〔幼児～〕 から、「コオロギとアリ」、「キツネとぶどう」など こんにちは、いたずらっ子エーミル １３話を収録。寓話の世界を、親しみやすい絵で描 く。 〔小低～〕 アストリッド・リンドグレーン／作 ベリイ／絵 子どもばやしのお正月 石井登志子／訳 ビヨルン・ 徳間書店 エーミルは、農場に住む男の子。いつも大さわぎ さげさかのりこ／作 福音館書店 をおこしては、木工小屋で反省させられてばかりい 元日の朝、ハナちゃんは神社へ向かう。これから、 る、いたずらっ子だ。スウェーデンで長い間児童文 神様に奉納する「子どもばやし」が行われるのだ。 学として読みつがれているエーミルの物語を、作者 稽古を重ねてきたハナちゃんたちは、この日を楽し のリンドグ レーンが絵本としてまとめ た作品。 みにしてきた。伝統衣装への着替えの様子から、太 〔小低～〕 鼓や笛の音も交え、子どもばやしの様子を描く。 さあ、しゃしんをとりますよ 〔小低～〕 ナンシー・ウィラード／文 トミー・デ・パオラ ことらちゃんの冒険 石井桃子／お話 深沢紅子／画 ／絵 河出書房新社 福本友美子／訳 光村教育図書 町はずれの小さな家に、くつやさんとおかみさん あるところに、ことらちゃんという大変いたずら のエレンが住んでいた。ある時、結婚記念日に写真 な子ねこがいた。トラに似ているのが何より自慢で、 をとってもらうことにする。けれども二人は、ポー 飼い主の坊やが動物園でトラを見たと聞き、夜中に ズや服装がなかなか決まらない。そこへ、大きなウ こっそり会いに行ってしまう。「山のトムさん」で シがやってきて･･････。どんな写真がとれるかはお 知られる石井桃子、深沢紅子による共作が、４０年 楽しみ。 〔小低～〕 以上ぶりに復刊。 〔幼児～〕 さかさまさかさ ごはん ピーター・ニューエル／作 平野恵理子／作 福音館書店 房 6 高山宏／訳 亜紀書 まずはページをひらいて、絵とおはなしを読んで で紡ぐ。 〔小中～〕 みて、その次に、本の上と下をひっくりかえすと、 じどうしゃトロット あら不思議、同じ絵なのに、さっきは見えなかった 新しい絵とおはなしがでてくる。今から１２０年も ユリ・シュルヴィッツ／さく・え 前に書かれた、さかさ絵の本。 〔小中～〕 く 金原瑞人／や そうえん社 トロットは、あちこち走り回っている元気な小型 サムとデイブ、あなをほる 車。ある日、大きなトラックたちに馬鹿にされたト マック・バーネット／文 ロットは、「ぼくときょうそうしない？」と持ちか 絵 なかがわちひろ／訳 ジョン・クラッセン／ あすなろ書房 ける。はたしてレースの行方は？ サムとデイブは、おじいちゃんの家の庭で穴をほ 小さくても元気 なトロットが勇ましく描かれる。 〔幼児～〕 る。ところが掘っても掘っても、宝物は出てこない。 女王さまの影 疲れた二人が穴の中で眠ってしまうと･･････。奇想 動物たちの視覚のはなし 天外な結末に、もう一度最初のページから読み返し シベール・ヤング／作 千葉茂樹／訳 BL 出版 てしまう絵本。 〔幼児～〕 女王さまの舞踏会で、突然停電が起きた。明かり がつくと、女王さまは自分の影がなくなったことに 30000 このすいか 気づく。魚の名探偵シャコは、すぐれた視力で犯人 あきびんご／作 くもん出版 を見つけだそうとする。カメレオン卿にサメ大佐、 山に囲まれた広い畑に３００００個のスイカが 犯人はいったい誰？ 暮らしていた。まるまると育ったある日、食べられ 動物たちの視覚を学べる絵 本。 〔小高～〕 てしまうことを聞いたスイカたちは、畑から脱走す 女王さまのぼうし る。野を越え、山を越え、スイカたちはどこへ向か うのか？ 奇想天外な物語。 〔幼児～〕 スティーブ・アントニー／さく く サンパギータのくびかざり 松居友／文 ボン・ペレス／絵 せなあいこ／や 評論社 バッキンガム宮殿から、女王さまが出かけようと 今人舎 すると、風がふいて、お気に入りのぼうしを吹きと リンは、病気のお母さんのため、サンパギータの ばしてしまう。ぼうしはトラファルガー広場をこえ、 花のくびかざりを作って売っている。しかし、なか ロンドン動物園をぬけても、まだまだ飛んでいく。 なか売れずに困っていると、黒い服を着た女性が近 女王さまと一緒にロンドンの名所めぐりを楽しめ づいてくる。女の人はくびかざりを全部買ってくれ る絵本。 〔小低～〕 るが･･････。フィリピン・ミンダナオ島の現実を描 ジャガーとのやくそく いた物語。 〔小低～〕 アラン・ラビノヴィッツ／作 自然のとびら ケイ・マグワイア／文 ／絵 ダニエル・クロル／絵 美馬しょうこ／訳 カティア・チエン あかね書房 吃音による悩みを抱える「ぼく」。けれども、動 さいとうみわ／訳 アノニマ・スタジオ 物に話しかけるときは、つまずくことなく言葉が出 季節ごとに違った表情を見せる庭や、食卓を華や せた。大人になり、努力して吃音を克服した「ぼく」 かにしてくれる野菜畑の実り、動物たちが暮らす農 は、動物の研究者になる。野生動物の保護を訴える 場。８つの場所の四季おりおりの情景を、美しい絵 動物研究家の著者による、実話をもとにした絵本。 7 〔小低～〕 生活は一変する。彼らは、ドイツ軍が占領したポー ランドから逃れ、千畝に日本へ行ける通過ビザの発 白い池 黒い池 給を求める人たちだった。 〔小中～〕 イランのおはなし リタ・ジャハーン＝フォルーズ／再話 ミンツィ／絵 もたいなつう／訳 ヴァリ・ スワン 光村教育図書 継母と暮すシラーズは、いつもひどい扱いを受け アンナ・パブロワのゆめ ローレル・スナイダー／文 ていた。ある時シラーズは、亡くなった母の形見の ッド／絵 石津ちひろ／訳 ジュリー・モースタ BL 出版 毛糸玉をよその家の庭に落としてしまう。家主のお ロシアの町に暮らすアンナは、ある雪の夜、劇場 ばあさんは、「頼みごとをやれば返してやる」と言 でバレエを見る。すっかり夢中になったアンナは、 うが･･････。美しい心のあり方を問いかけるイラン やがてバレエ学校に入学し、世界最高のバレリーナ のお話。 〔小低～〕 として活躍した。「瀕死の白鳥」で名をはせたアン ナ・パブロワの生涯を、繊細な美しい絵とともに綴 シルヴィーどうぶつえんへいく ジョン・バーニンガム／さく ろう／やく る。 〔小低～〕 たにかわしゅんた 世界でいちばんすばらしいもの BL 出版 ある晩、シルヴィーは、寝室の壁にドアがあるこ ヴィヴィアン・フレンチ／文 とに気づく。ドアをあけると、下へおりる階段があ レット／絵 り、その先にも通路が続いている。さらに奥のドア 石井睦美／訳 アンジェラ・バ BL 出版 昔、ある美しい王国にルチアという王女がいた。 をあけると、なんとそこは動物園！その晩からシル 王と妃はルチアを大切にし、もっともふさわしい婿 ヴィーは、小さい動物たちを連れてきては、一緒に を探す方法を賢者に尋ねる。賢者のすすめで「世界 眠るようになる。 〔幼児～〕 でいちばんすばらしいものを見せる若者」をつのる が、なかなか見つからない。幻想的な絵が美しい。 しんぞうとひげ 〔小中～〕 しまおかゆみこ／再話 モハメッド・チャリンダ ／絵 世界のまんなかの島 ポプラ社 腹をすかせた「しんぞう」と「ひげ」がいた。腹 わたしのオラーニ クレア・Ａ・ニヴォラ／作 ぺこの「ひげ」は「しんぞう」を食べようとする。 伊東晶子／訳 きじ とら出版 あわてて逃げた「しんぞう」は通りすがりの人間の 地中海の中心にある島、サルディーヤ島。そのま 男に、自分を飲みこんで、体の中にかくまってくれ た中心にあるオラーニ村で「わたし」の父は育った。 るよう頼む。ユニークなアフリカの民話。 〔幼児 迷路のような石畳を行けば、大勢のいとこや、わく ～〕 わくする出来事が待ち受けている。在りしの村の風 俗や文化をきりとった一冊。 ［ボローニャ・ラガ 杉原千畝と命のビザ ッツィ賞ノンフィクション部門優秀賞］ 〔小中～〕 自由への道 ケン・モチヅキ／作 ドム・リー／絵 中家多惠子 ／訳 せんそうしない 汐文社 １９４０年、外交官を務める杉原千畝は、家族と たにかわしゅんたろう／ぶん えがしらみちこ／ ともにリトアニアで暮していた。ある朝、家のまわ え りを大勢のユダヤ人がとりかこんだ日から、一家の 講談社 「こどもと 8 こどもは せんそうしない けん かは するけど せんそうしない」。平易だが、真 〔幼児～〕 理をつく言葉で、戦争と平和を考える絵本。 〔小 太陽の花 低～〕 横塚眞己人／写真・文 ぞうのなみだひとのなみだ フレーベル館 沖縄県の西表島に咲くふしぎな花、オオハマボウ。 藤原幸一／著 アリス館 西へ沈んでいく太陽の光が、オレンジ色になるにつ 野生のゾウの群れの中に、お母さんのそばを離れ れ、それにあわせるように花の色が黄色からオレン ない赤ちゃんゾウのポロンがいた。二頭は、森の奥 ジへと変化する。オオハナボウの花のなぞから、命 へ帰ろうとするが、突然森の終わりに出てしまう。 のつながりがみえる写真絵本。 〔小中～〕 人間が森を開墾して稲作をはじめたのだ。人間とゾ タケノコごはん ウの共生を願う作者による写真絵本。 〔幼児～〕 大島渚／文 そらいろ男爵 伊藤秀男／絵 ポプラ社 戦争で父親を亡くした「さかいくん」という同級 ジル・ボム／文 ティエリー・デデュー／絵 生がいた。戦争は激しくなり、担任の先生も兵隊に 中島さおり／訳 主婦の友社 行くことが決まる。先生にお別れを告げに行った日、 １００年くらい前、空色にぬった飛行機にのった ふるまわれた筍ご飯を頬張りながら、さかいくんは 「そらいろ男爵」がいた。戦争に行くことになった 静かに泣いていた。映画監督の著者の、思い出をも 男爵は、砲弾のかわりに本を持っていった。やがて、 とにした物語。 〔小低～〕 兵士たちは男爵の落とす本に夢中になり、戦いを休 たびにでたファルガさん むようになる。［2014 年「サン＝テグジュペリ賞」 (絵本部門)］ 〔小低～〕 チトラ・サウンダー／文 長谷川義史／訳 そらからみると みねおみつ／作・絵 カニカ・ナイル／絵 光村教育図書 農場で動物の鳴く声に我慢ができなくなったフ PHP 研究所 ァルガさん。荷車に牛をつなぎ、静けさを探して旅 南の島の学校にいちょうの木があった。ある朝、 に出た。ところが、途中でおじいさんや踊り子たち 島に強い風が吹いて、いちょうから一枚のはっぱが と出会い、歌をうたったり、太鼓をたたいたり。旅 飛んでいく。空の旅のはじまりだ。途中で、凧や風 の終わりに ファルガさんが見つけたも のとは？ 船に出会いながらはっぱはどんどん飛んでいく。伊 〔幼児～〕 豆諸島新島から東京スカイツリーまでを鳥瞰図で たべもんどう 緻密に描く。 〔幼児～〕 鈴木のりたけ／作 そらとぶじゅうたんでせかいいっしゅう ステラ・ブラックストーン／文 ー・コー／絵 福本友美子／訳 「きゅうきゅう クリストファ ゃ」、「ながいも ほるぷ出版 ブロンズ新社 きゅうりの きゅうきゅうし おもいがな」。食べ物たちが、ダ ジャレ、回文、早口言葉といろんなクイズを出題。 トルコの市場で買った、そらとぶじゅうたんを持 言葉遊びを楽しむ愉快な絵本。 〔幼児～〕 つおばあちゃん。じゅうたんに乗って、タイではネ コを２匹、メキシコでは面白いおめんを３枚と次々 に買い物をする。様々な土地が色鮮やかに描かれる。 9 だれのものでもない岩鼻の灯台 山下明生／文 町田尚子／絵 チャーちゃん 絵本塾出版 保坂和志／作 沖をとおる船に、何年も光を送っていた灯台が、 小沢さかえ／画 福音館書店 「ぼく、チャ－ちゃん。はっきり言って、いま死 お役ごめんになった。灯台守の家族も引越し、一人 んでいます」死んだネコが語る死後の世界は、軽や ぼっちになった灯台のもとに、ネコの一家がやって かで美しい。鳥は歌い、魚は泳いで跳ね、チャーち 来る。寂しがり屋の灯台と、周囲の生きものたちと ゃんは、踊る。生きていた頃も、死んでいる今も、 の心温まる交流が描かれる。幻想的な雰囲気の絵も 何も変わりはしないのだと語る。透明感のある絵で、 美しい。 〔小低～〕 「死」を見つめた絵本。 〔小中～〕 ダンゴウオの海 チンチンボンボさん 鍵井靖章／写真・文 フレーベル館 室井滋／文 東日本大震災直後の岩手県宮古湾の海の底で、著 富山に肩ぐるまの大好きな男の子がいた。お父さ 者は一匹のダンゴウオに出会う。津波によって大き んの肩からおりようとせず、とうとうお尻に根っこ く変化した海が、自然の力によって次第に甦ってい がはえてくっついてしまった。それを見たみんなは く様子を、カメラは刻々ととらえる。被災した海に 二人を、 「チンチンボンボさん」 （富山の方言で肩ぐ 新しい命が生まれ、未来へつながっていくことが伝 るま）とよぶようになる。富山弁満載のゆかいな絵 わる写真絵本。 〔小中～〕 本。 〔小低～〕 ちいさなおおきなき 月夜とめがね 夢枕獏／作 山村浩二／絵 小学館 長谷川義史／絵 小川未明／作 高橋和枝／絵 絵本館 あすなろ書房 アリが見つけた小さな芽が、どんどん大きくなっ 月のきれいな晩、おばあさんが針仕事をしている ていく。長い年月をかけて、山より大きく雲より高 と、めがね売りの男がやってくる。目がかすんで困 くなった木には、動物や人間が住み始める。けれど っていたおばあさんは、男からめがねを買うことに も文明が発展するにつれ、争いごとがおきて･･････。 する。すると、その後で美しい女の子がおばあさん どこか不思議な世界を、迫力ある絵で壮大に描く。 をたずねてきた。詩的な文章と幻想的な絵で、穏や 〔幼児～〕 かな月夜の出来事が綴られている。 〔小低～〕 ちいさなメリーゴーランド つきよのふたり マーシャ・ブラウン／作 こみやゆう／訳 瑞雲 井上洋介／えとぶん 舎 小峰書店 鉄橋とポンポン蒸気、ナマズと柳、コウモリガサ ここは、ニューヨークのサリバン・ストリート。 と物干し、ミミズクと時計台･･････。月夜にそっと 退屈しているアンソニーのもとへ、黒と白のまだら 仲良く交差するものたちを、詩情豊かに描いた絵本。 の馬が元気に赤い車をひっぱってくる。それは、移 おしまいに「まくらと 動式のメリーゴーランドだった。１９４６年にチャ みなさい。 〔小低～〕 ぼく なかよし」でおやす ールズ・スクリブナーズ・サンズ社から出版された、 つちたち 作者のデビュー作。 巻末に、彼女が２０１５年に 亡くなる前の、最後の仕事となった書き下ろし解説 ミロコマチコ／[作] つき。 〔幼児～〕 太陽が昇るとともに、土の粒一つひとつが目を覚 10 学研教育出版 ます。そのうちに、動物たちの動きにあわせて、飛 ったと思ったネズミは、急いで帰るが、テンの姿は び跳ねたり、空に舞い上がったり。やがて、空から ない。テンの友だちは、自分じゃないのかも？と心 雪とともにまた地面に落ちてきて･･････。ダイナミ 配になる。 〔幼児～〕 ックで、エネルギーに溢れた絵が魅力的。 〔幼児～〕 トヤのひっこし つまさきさん、おやすみ! イチンノロブ・ガンバートル／文 バーバラ・ボットナー／文 マギー・スミス／絵 ン・ボロルマー／絵 ふしみみさを／訳 光村教育図書 バーサンスレ 津田紀子／訳 福音館書店 モンゴルの草原にすむトヤの家族は、季節がかわ 一日中、海で遊んだフィオナ。夜になり、まだ眠 ると引越しをする。家畜を連れ砂漠や山をこえて、 たくないけれど、ママに言われてベッドに入る。走 新しい場所に向かう遊牧民の移動の様子を、豊かな り回った海辺、美味しかったホットドッグ･･････。 色彩で描く。 〔幼児～〕 楽しかった一日を思い出しながら、つまさきから順 ドングリ・ドングラ 番に、足のうら、ひざと「おやすみなさい」を言っ ていく。 〔幼児～〕 コマヤスカン／作 くもん出版 海の向こうの島で、山が火をふいた。ドングリた でんきのビリビリ ちはかけ声も高らかに、危険な島を目指して旅立つ。 こしだミカ／さく・え そうえん社 途中には、大きなリスが現れたり、冬の寒さの厳し 「でんきのビリビリ」は、どこからきているんだ さに直面したり。そんな大変な思いまでして、彼ら ろう？ある晩地面がゆれて、停電になったのをきっ が島を目指す意味とは？ かけに、ビリビリを探すことにした「わたし」。つ 友情の物語。 〔幼児～〕 ドングリたちの勇気と いには、電信柱にビリビリが集まっていることに気 とんだとんだ づく。当たり前にある電気のことを考えさせてくれ る絵本。 〔幼児～〕 いまもりみつひこ／きりえ・ぶん 福音館書店 大きい蝶や、小さい蝶。はっとするような美しい でんごんでーす 色をしたもの、模様が面白いもの。細部まで精密に マック・バーネット／文 絵 林木林／訳 ジェン・カラーチー／ 表現された、色鮮やかな蝶たち。実はすべて、切り 講談社 絵でできている。写真を見ているかのような切り絵 お母さん鳥が、電線の上の小鳥に、 「ピーターに、 に、ひきこまれる絵本。 〔幼児～〕 そろそろ、ばんごはんだから帰っておいでと伝えて ながぐつボッチャ〜ン くれる？」と頼む。それを聞いた小鳥は、隣の鳥に また伝言を頼む。「ホームランをうって早く帰って 軽部武宏／作 おいで」。伝言はピーターにうまく伝わるのか？ 川の中に落ちた赤い長靴。どんどん流れていくう ユーモアあふれる絵本。 〔幼児～〕 WAVE 出版 ちに、魚の群れやナマズに遭遇する。ヘビに食べら れそうになったり、不思議なキツネの行列に出会っ ともだちってだれのこと？ 岩瀬成子／作 中沢美帆／絵 たり。流れ流れて行き着く先は？ 佼成出版社 迫力ある色遣い で、幻想的な水辺の世界を描く。 〔幼児～〕 ネズミがテンの家に遊びに行くと、そこには「友 だちの家にいきます」という貼り紙。行き違いにな 11 なつはひるね のげしとおひさま 村上康成／作 フレーベル館 甲斐信枝／さく 「ザザーン、ザザーン」夏の海は生き物がたくさ 地面に根をはったまま、自分ではどこにもいけな ん。マンタが泳げば、ウミガメも泳ぐ。空を見れば、 い「のげし」 。するとおひさまが、 「わたしの光を一 雲が「グングン モクモク」。雲がソフトクリーム 生懸命にすいこんでいれば、きっとどこかにいけま になったり、スイカになったり。シンプルなオノマ すよ」と声をかけてくれる。やがて、のげしは真っ トペ(擬声語)と美しい情景が、夏の海に浮かんでい 白な綿毛をつけ、春風にのってとんでいく。植物の るような気持ちにさせてくれる。 〔幼児～〕 営みを静かに描く。 〔幼児～〕 にちようびの森 ノックノック はたこうしろう／さく ハッピーオウル社 福音館書店 みらいをひらくドア ダニエル・ビーティー／文 川遊びや、田んぼでの虫とり、雑木林でのかくれ ー／絵 さくまゆみこ／訳 ブライアン・コリア 光村教育図書 んぼ。たくさんあった「ぼくたち」の遊び場が、工 パパが朝、部屋のドアをノックして起こしに来る 事や開発でどんどんなくなっていく。家でゲームを と、「ぼく」は寝たふりをしてパパが近づいてくる しているぼくたちに、お父さんがかけた言葉とは？ のを待つ。そしてパパにとびついて、「おはよう」 自然が少なくなる中、たくましい子ども達の姿を描 という。毎朝おなじみのノックノック・ゲームだが、 く。 〔幼児～〕 ある日を境にノックの音が聞こえなくなる。父親の 存在の喪失と、それを乗り越えた先の未来への希望 庭をつくろう！ を描く。 〔小低～〕 ゲルダ・ミューラー／作 ふしみみさを／訳 あ のっていこう すなろ書房 春、バンジャマンたちが引っ越した新しい家には、 木内達朗／さく とても大きな庭があった。ずっと手入れがされてい 福音館書店 今日は、お父さんとおでかけ。最初に乗ったのは、 ない庭はまるでジャングルのよう。家族は町一番の バス。それから、電車に乗って、ロープウェーに乗 きれいな庭を目指して庭づくりをはじめる。春夏秋 って･･････。最後に乗るのは、意外な乗り物。次々 冬、園芸の楽しみを描いた絵本。『ぼくの庭ができ に登場する乗り物に、わくわくする気持ちが高まる。 たよ』 （文化出版局 〔幼児～〕 1989 年刊）の改訂、新訳。〔小 中～〕 ハートのはっぱかたばみ にんじんのにんにん 多田多恵子／ぶん ふるやかおる／作 アリス館 広野多珂子／え 福音館書 店 春、土の中でぐっすり眠っていた、にんじんのに 普段、何気なく目にしている道ばたの草たち。そ んにんが目を覚ます。にんにん忍法をつかって、緑 の中でも「かたばみ」は、ハート型の葉っぱをめじ の茎をぐんぐん伸ばし、花をつける。花が枯れたそ るしに探せばすぐに、道端やコンクリートの隙間な の後は？１本のにんじんがたくさんの種をつける ど様々な場所で見つけることができる。葉や花を閉 様子をわかりやすく描く。 〔幼児～〕 じたり開いたりする特徴をとらえ、わかりやすく解 説した科学絵本。 〔幼児～〕 12 はしる！新幹線「かがやき」 鎌田歩／作・絵 赤いクレヨンで魚のかたちを描いてやる。とらたが、 PHP 研究所 それをごくんと食べてしまったから、さあ大変。お まーくんとかなちゃんは、お父さんと東京駅にや ばあさんは、あわててとらたを追いかける。テンポ ってきた。ホームに入ってきた新幹線の格好良さに よく繰り広げられる語りが楽しい。 〔幼児～〕 二人は大興奮。途中の車窓からは、日本海や立山連 峰が見える。北陸新幹線「かがやき」の魅力がつま 飛行士と星の王子さま った乗りもの絵本。 〔幼児～〕 生涯 ピーター・シス／文・絵 はっきょいどーん サン＝テグジュペリの 原田勝／訳 徳間書店 小さいころから空をとぶことに憧れていた、アン やまもとななこ／作 講談社 トワーヌ・ド・サン＝テグジュペリは、若くして飛 あけ うみ 行士になる。彼は、飛行機の上から地上の人々のく 優勝を決める大一番に、初めて挑む明の海。迎え ぶ る どうざん うつのは、最強の横綱、武留道山。ぶつかっていく らしを見つめ続け、やがて様々な作品を発表する。 明の海の気迫が、画面いっぱいにひろがる取り組み 今なお世界中で愛される『星の王子さま』の作者の の様子から伝わる。土俵際で相手を投げて逆転する 生涯を、美しく繊細な絵で綴る。 〔小低～〕 「うっちゃり」など、相撲の魅力が光る一冊。 〔小 ピースケのぼうけん 低～〕 きくちひでお／作 はなちゃんのはやあるきはやあるき 宇部京子／さく 菅野博子／え ビリケン出版 ハトのピースケが、父さんの手伝いで畑に豆をま 岩崎書店 いていると、モグラのモグタンに出会う。土の下に はなちゃんの通う保育園では、毎月、１回避難訓 あるモグタンの家を見てみたくなったピースケは、 練をしている。ある日、強い地震が起こり、園児た 穴の中に入っていくが･･････。ユーモラスなピース ちは避難場所の高台に逃げる。しかし、そこにも津 ケの表情にひきこまれる。 〔幼児～〕 波が押し寄せた。東日本大震災での岩手県野田村保 ピーテル、はないちばへ 育所の奇跡的な避難をもとに描いた物語。 〔幼児～〕 広野多珂子／文・絵 パパ・ヴァイト ピーテルの家族は運河の近くに住んでいる。ある ナチスに立ち向かった盲目の人 インゲ・ドイチュクローン／作 ーゲンベルク／絵 藤村美織／訳 福音館書店 ルーカス・リュ 日、花屋のお父さんが忘れ物をし、ピーテルがボー 汐文社 トにのって市場へ届けることになる。運河に沿って 第二次世界大戦中のベルリンに、目がほとんど見 描かれる景色は、著者の好きなオランダの風景がも えないオットー・ヴァイトの盲人作業所があった。 とになっており、美しくあたたかい。 〔幼児～〕 ヴァイトはドイツ人だが、ユダヤ人をナチスの迫害 ひともじえほん から守り、多くの人が彼のおかげで生きのびること ができた。「パパ・ヴァイト」と呼ばれ慕われたヴ こんどうりょうへい／さく ァイトの功績を描く。 〔小低～〕 ひろ／こう せい かきのきはらまさ やまもとなおあき／ しゃしん 福音館書店 はらぺことらたとふしぎなクレヨン あまんきみこ／作 広瀬弦／絵 体でひらがなの５０音を作った写真に、リズムあ PHP 研究所 る文章をそえた写真絵本。手を伸ばしたり、足を曲 はらぺこネコのとらたに、チイおばあちゃんは、 げたり、時には四人がかりで、体をいっぱいにつか 13 って形づくられる文字。文字の形の不思議さや面白 ぼくは、チューズデー さが伝わる。 〔小低～〕 ちにち 介助犬チューズデーのい ルイス・カルロス・モンタルバン／文 ブレット・ ふたごのゴリラ ウィッター／共著 ふしはらのじこ／文・絵 福音館書店 ダン・ディオン／写真 ほるぷ 出版 ふたごのゴリラは、とても仲良し。ある日、見た 戦争で大きなケガをしたルイスは、人ごみが苦手 ことのない森に来てしまい、困った二頭はお母さん になった。けれども介助犬のチューズデーと一緒な が普段とっている行動を思い出す。野生のゴリラの ら、パニックの発作が起こりそうなときも、安心す 様子が画面いっぱいに描かれ、臨場感がある。 〔幼 ることができる。心的外傷後ストレス障害(ＰＴＳ 児～〕 Ｄ)を負った退役軍人のルイスに寄り添うチューズ デーの一日を描いた写真絵本。 〔幼児～〕 フルーツパンケーキ つくろう・たべよう ぼくは建築家ヤング・フランク さか井美ゆき／絵 ひかりのくに フライパンで上手に焼けた、ふんわりほかほか、 フランク・ビバ／作 パンケーキ。そこにクリームや果物を飾れば、フル しげる／訳 まえじまみちこ／訳 ばん 西村書店 ーツパンケーキの完成！果物の濃密な質感や、パン ヤング・フランクは、建築家のおじいさんのオー ケーキの匂いまで感じられそうな絵は、ミシン刺繍 ルド・フランクと美術館に行く。フランクという名 で描かれたもの。あたたかみが伝わってくる。 〔幼 前の建築家がつくったくねくねした椅子や、ねじれ 児～〕 たタワーを見た二人は、自由な発想でものづくりを 始める。ニューヨーク近代美術館(ＭｏＭＡ)発の一 ぼくの先生は東京湾 冊。 〔小低～〕 中村征夫／写真・文 フレーベル館 ほしじいたけほしばあたけ 作者が東京湾の撮影を始めた１９７０年代後半 から１９８０年代、海はたくさんのゴミとヘドロで 石川基子／作 講談社 真っ暗だった。現在の東京湾は美しい姿を取り戻し きのこむらに住む、長老のほしじいたけとほしば たかに見えるが、実は「赤潮」という問題を抱えて あたけ。ある時、村の子どものタマゴダケが崖から いる。人間も自然の中で生きるひとつの生きものだ 落ち、ほしじいたけが助けに行く。けれども、身体 と説く写真絵本。 〔小中～〕 が軽いため、一緒に崖を上がることはできなかった。 そこで、ほしじいたけがとった秘策とは？ ［講談 ぼくのたからもの 社絵本新人賞］ 〔幼児～〕 鈴木まもる／著 アリス館 ボタンちゃん ジュンは小学一年生。もうすぐ赤ちゃんが生まれ るのを楽しみにしている。ある日、家のそばでメジ 小川洋子／作 岡田千晶／絵 PHP 研究所 ロが巣を作っているのに気づき、そっと見守ること ボタンちゃんは、アンナちゃんのブラウスのボタ にする。鳥の巣もお母さんのおなかも丸くて、赤ち ン。ある日、糸が切れた拍子に転がりおちたボタン ゃんが入っている。やがて、ジュンには妹が生まれ、 ちゃんは、おもちゃ箱のうらがわにたどりつく。す メジロのヒナも卵からかえる。 〔小低～〕 るとそこでは、アンナちゃんが赤ちゃんだった頃の おもちゃたちが泣いていた。 〔幼児～〕 14 ほんとはスイカ まちのひろばのどうぶつたち 昼田弥子／ぶん 高畠那生／え ブロンズ新社 井上コトリ／作 あかね書房 イトウくんは「おれはスイカだ」と言い張るイカ あるまちの広場に、キリンやゾウなどの動物たち に出会う。イカは、〈ス〉を落としてしまったと言 が５匹で住んでいた。動物たちは散歩をしたり、 うのだ。イカの相手をやめて、再び歩き出したイト 人々にいたずらしたりしながら、気ままに楽しく暮 ウくんは、転んだ拍子に〈ス〉がついて〈スイトウ〉 らしていたが、人々は動物のいることに気づいてい になってしまう。ナンセンスなおかしみが漂う絵本。 なかった。なぜなら、動物たちは、透明だったのだ。 〔幼児～〕 不思議な動物たちの物語。 〔幼児～〕 まいごになったねこのタビー マララとイクバル Ｃ.ロジャー・メイダー／作・絵 斎藤絵里子／ パキスタンのゆうかんな子 どもたち 訳 徳間書店 ジャネット・ウィンター／さく 小さい頃からおばあさんと暮していたがネコの 道傳愛子／やく 岩崎書店 タビー。引っ越しの日、うっかり取り残されたタビ イクバルは、親の借金の肩代わりに働く子どもた ーは、森の中で迷子になってしまう。元気を出して、 ちの解放を訴えたが、銃弾に倒れる。女子の教育を 新しい家を探そうとするが･･････。緻密に描かれた 受ける権利を訴えていたマララも、銃撃を受けるが、 写真のような絵が美しい。 〔幼児～〕 奇跡的に一命をとりとめた。パキスタンの子どもた ちを救うため、自ら声をあげた二人の歩みをたどる。 マザー・テレサ 中井俊已／作 〔小低～〕 愛と祈りをこめて おむらまりこ／絵 PHP 研究所 まるてんいろてん 幼いころ、貧困に苦しむインドの話を聞いたアグ ネス。成長した彼女は、インドで高校の校長になる 中辻悦子／さく 福音館書店 が、ある時神さまの声を聞く。やがてスラムで子ど 大きな丸が一つで、 「まる てん」 。二つで「まる もたちのための学校をはじめ、そののちも貧しい人 てんてん」。小さな丸が二つと、大きな丸が一つで のために一生を捧げたマザー・テレサの生涯を描い 「てんてん た伝記絵本。 〔小低～〕 赤や青などの色で描かれ、形や色に興味を持ちはじ あーん」。いろいろな大きさの丸が、 めた赤ちゃんにぴったりの絵本。雑誌「こどものと 町にながれるガブリエラのうた キャンデス・フレミング／さく ／え こだまともこ／やく も 0･1･2」 （2006 年 11 月号）のハードカバー版。〔赤 ジゼル・ポター ちゃん～〕 さ・え・ら書房 まるまるだーれ? ここは、イタリアのヴェネチア。運河や路地がく ねくねと走る美しいこの町に、ガブリエラという女 わかやましずこ／さく の子がいた。少女の胸の中で生まれた一つのうたは、 「あれ まるまる 童心社 ふわふわ だ パン屋の心を躍らせ、旦那さんを亡くした夫人の心 ーれ？」「ふわふわ を癒し、作曲家の胸をうつ。音楽の力を讃える物語。 くなっているものが、ページをめくると、動物にな 〔小低～〕 って登場。あてっこするのが楽しい赤ちゃん絵本。 〔赤ちゃん～〕 15 にゃーん うごいたよ ねこちゃんね」丸 まんてんべんとう めとめがあったら くすのきしげのり／作 伊藤秀男／絵 フレー おくむらけんいち／ぶん ベル館 サ／え なおくんのお母さんが作る弁当は、いつもすごい マッティ・ピックヤム ブロンズ新社 目と目があったクマの親子、お母さんが赤ちゃん ので、まわりの友達も楽しみにしている。けれども、 をだっこして「にこっ」。ネコの親子は目と目があ 遠足の前の日、お母さんが熱を出してしまった。ど ったら、一緒にあくびを「ふわ～」。では、キリン うしたらいいか考えたなおくんは･･････。親子の愛 の親子は？フィンランドのイラストレーターによ 情と優しさにあふれた物語。 〔小低～〕 る赤ちゃん絵本。 〔赤ちゃん～〕 マンモスとくらすには もうぬげない "カンタン・グレバン／作 青山花／訳 クレヨ ヨシタケシンスケ／作 ンハウス ブロンズ新社 服がひっかかって、ぬげなくなってしまった「ぼ マンモスと暮らしたいなら、いくつかのルールが く」。もしも、ずっとこうだったらどうしよう。こ ある。夜更かしはさせず、いつも清潔にしてあげる のままおとなになるのかな。多くの人が覚えのある こと。栄養たっぷりのごはんやすてきなベッドも必 体験をユーモラスに、そして子どもの発想の大胆さ 要だ。あたたかいタッチの絵が魅力的で想像がふく と豊かさを描いた作品。 〔幼児～〕 らむ絵本。 〔幼児～〕 やぎのしずかのしんみりしたいちにち 三つのまほうのおくりもの 田島 ジェイムズ・リオーダン／文 エロール・ル・カ イン／絵 中川千尋／訳 征三／作 偕成社 ともだちのナマズが、やぎのしずかに「しんみり ほるぷ出版 する うた」をうたってくれた。しずかは、しんみ むかしロシアの村に、どちらもイワンという名の りするって何だろうと考えはじめる。死んで鳴かな 兄弟がいた。兄のほうは金持ちでずるがしこく、弟 くなったセミや、咲こうとしている花のつぼみを食 はおひとよしで貧乏だった。ある時、食べ物に困っ べてしまった自分を思って、しずかはしみじみと泣 た弟が、兄から小麦粉をもらうが、風でふきとんで く。 〔幼児～〕 しまう。「ふたりのイワン」という題で知られるロ やさいぺたぺたかくれんぼ シア民話を再話した絵本。 〔小低～〕 松田奈那子／作 むねがちくちく 長谷川集平／作・絵 アリス館 おくらを切って、絵の具をつけてぺたっと押せば、 童心社 かわいい花模様のような「おくらちゃん」が登場。 日曜日、わたしは動物園の前で、リリちゃんを４ なすやゴーヤのやさいスタンプの友だちが集まっ ０分も待ったけれど、来なかった。あとから電話を て、かくれんぼをはじめる。どこにかくれているか、 すると、リリちゃんは水族館の前で待っていたと言 あてっこするのも楽しい。やさいスタンプの作り方 い、行き違いをどちらも相手のせいにして傷つけあ つき。 〔幼児～〕 ってしまう。友情の機微を繊細に描く。 〔幼児～〕 ゆき きくちちき／作 ほるぷ出版 ふわふわの綿菓子のような雪が降りはじめると、 16 森の動物たちは落ち着かない。慌てて駆け回るキツ や、にぎやかなパーティーを開いている人の姿が見 ネ、じっと寄り添うクマ･･････。全てを白く包む、 える。繊細に描かれた絵からは、夜のひそやかな息 空がくれた毛布のような雪。叙情あふれる絵と文か づかいが聞こえてくるようだ。 〔幼児～〕 ら、しんとした冷たい空気まで伝わってくるようだ。 ライフタイム 〔幼児～〕 いきものたちの一生と数字 ローラ・M.シェーファー／ぶん ユーゴ修道士と本を愛しすぎたクマ ー・サイラス・ニール／え ケイティ・ビービ／文 Ｓ．Ｄ．シンドラー／絵 クリストファ 福岡伸一／やく ポプ ラ社 千葉茂樹／訳 光村教育図書 生 き物 の一 生を 調べ てわ かっ た様 々な 数字が 修道士のユーゴは、図書館の本を返せなかった。 次々に登場。たとえば、一生の間に、トナカイのつ なぜならクマが、古代の神学者による言葉の甘い香 のは１０回生えかわり、カンガルーのメスは５０匹 りをかぎつけて、食べてしまったからだ。修道院長 の赤ちゃんを産む。生き物の一生にかくされた数字 に命ぜられ、ユーゴは同じ本をよそから借りて、写 の不思議を、わかりやすい絵で紹介する科学絵本。 本を作ることになる。中世の写本の歴史的背景につ 〔小低～〕 いて解説あり。 〔小低～〕 りゆうがあります ヨクネルとひな LEE／文 酒井駒子／絵 ヨシタケシンスケ／作・絵 ブロンズ新社 PHP 研究所 お母さんに注意されるぼくのくせ。でも、それに ある日、ひなちゃんがドアをあけると、やせっぽ は理由があるとぼくは言う。鼻をほじってしまうの ちの子猫が鳴いていた。抱き上げた子猫は、軽くて は、鼻の奥に「ウキウキビーム」のスイッチがある 柔らかく、驚くほど小さいのにちゃんと息をしてい からで、いすをガタガタゆらすのは地底人と交信し ることに感動する。温もりが感じられる絵が美しい。 ているからだ。大人はズルイと怒る女の子が主人公 〔幼児～〕 の、同著者の『ふまんがあります』も面白い。 〔幼 児～〕 よるになると りゅうじんさまは歯がいたい 松岡達英／さく 福音館書店 昼と夜の公園では、生きものたちの様子が違って 関屋敏隆／さく・え ポプラ社 いる。例えば、昼間じっとしていたダンゴムシは、 立派な医者になったかっぱの伝助が、ふるさとの 夜になるとしめった枯葉を食べている。著者は、草 川に帰ってきた。けれども、日照り続きで水がない。 はらや川原など、昼と夜で同じ場所を切り取り、生 そこで伝助は、「りゅうじんさま」のもとへ雨を降 きものたちの変化を細密な絵でとらえている。 雑 らせてくれるよう、頼みに出かける。画面いっぱい 誌「かがくのとも」 （2009 年 7 月号）のハードカバ に描かれる川の生きものたちの絵に、躍動感があふ ー版。 〔幼児～〕 れている。 〔幼児～〕 よるのかえりみち リンドバーグ みやこしあきこ／作 偕成社 空とぶネズミの大冒険 トーベン・クールマン／作 遊び疲れたウサギの坊やは、お母さんに抱かれて 金原瑞人／訳 ブロ ンズ新社 家路につく。窓のなかには、くつろいでいる人の姿 何年も前のこと、本と発明の大好きな小ネズミが 17 いた。ある日、ネズミとりのせいで、仲間を見かけ 「わたし」は、お母さんに青色の傘を買ってもら ないことに気づいた小ネズミは、アメリカへの脱出 う。晴れた日の空の色と同じ色の傘。雨でも、傘の を思いつく。設計図を描き、飛行機を作って、空を 中だけはいい天気。動物たちが、「いーれて」と飛 飛んだネズミの物語。世界２２カ国で翻訳出版され びこんでくる。温かなタッチの絵で、みんなの楽し た。 〔小低～〕 い気持ちが画面いっぱいにひろがる。雑誌「こども のとも」 （2006 年 5 月号）のハードカバー版。 〔幼 ロバのジョジョとおひめさま マイケル・モーパーゴ／文 ンズ／絵 おびかゆうこ／訳 児～〕 ヘレン・スティーヴ ワニくんとパーティーにいったんだ 徳間書店 ロバのジョジョは、厳しい主人に連れられて、サ ジュディス・カー／作・絵 ンマルコ広場でメロンを売っている。あるとき、屋 こだまともこ／訳 徳間書店 敷から飛び出してきたおひめさまがジョジョを見 熱を出し、一人で留守番をしているマッティのベ かけ、一目で気に入るが･･････。ベネチアの町を舞 ッドの下から、大きなワニが現れた。ワニはマッテ 台に、ジョジョの活躍を描く。 〔幼児～〕 ィを王さまの誕生日パーティーに誘うと、背中に乗 せて、窓から外に飛び出す。柔らかい線と優しい色 ロンと海からきた漁師 使いで、ひとときの冒険がファンタジックに描かれ チェン・ジャンホン／作・絵 平岡敦／訳 徳間 る。 〔幼児～〕 書店 わらう 父を亡くし、海で魚をとりながら一人で暮らす少 年、ロン。魚の貯えが少なくなったある日、ロンは 浜田桂子／作 福音館書店 亡き父のいいつけを破って、あらしの海に舟を出す。 けんちゃんは、にらめっこで兄ちゃんに勝つため 大きな獲物がかかり喜ぶが、つりあげたのはガイコ に、「明日は絶対笑いませんように」とおまじない ツだった。迫力あるダイナミックな絵で綴られる物 をした。すると、朝からみんなが心配してくれるの 語。 〔幼児～〕 で、不思議に思って鏡を見ると、悲しそうで、つま らなそうな顔をしていたことに気づく。笑うことの わすれたって、いいんだよ 上條さなえ／文 たるいしまこ／絵 大切さを描いた絵本。雑誌「かがくのとも」（2011 光村教育 年 1 月号）のハードカバー版。 〔幼児～〕 図書 るりの家は、沖縄料理店をひらいている。お客さ んは皆、おばあちゃんの作る料理の味が大好き。け れども、おばあちゃんは鍋の火を消し忘れたり、お 客さんの予約を忘れるようになっていく。認知症に なった祖母と家族の交流をあたたかく描く。 〔小 低～〕 わたしのかさはそらのいろ あまんきみこ／さく 垂石眞子／え 福音館書 店 18 が占い師に相談すると、遠い丘まで行ってくれば話 物語 １・２年生 せるようになると言う。丘への道中も話そうとする が、うまくいかない。しかし、丘の上の景色を見た K913 ｲﾁ おとなりどうしソラくんレミくん 石津ちひろ／さく 高畠那生／え 瞬間、感動して思わず声が出る。 理論社 K913 ｷﾐ あめ・のち・ともだち 猫のソラとレミは隣同士の家に飼われている。あ る日、公園に落ちていた魚を取り合い、カラスの助 北原未夏子／作 市居みか／絵 国土社 言で決着をつけようとするが、どうしても決まらな トモとゴウくんは大の仲良しだが、ゴウくんが引 い。短編３話収録。各話ごとに違う動物が登場し、 っ越してしまい、なかなか会えなくなってしまう。 ２匹と交流する。 トモの誕生日に来てくれるはずだったが、車が故障 したので来られないと言う。ショックを受けるトモ K913 ｲﾐ キナコ のもとへ、ゴウくんが１人でこちらに向かっている いとうみく／作 青山友美／絵 PHP 研究所 かもしれないという知らせが入る。 妹が生まれるから、母は飼い猫のキナコを祖母の K913 ｷﾒ １ねんせいじゃだめかなあ？ もとへ預けると言う。その矢先、キナコが行方不明 になる。ゆまは、母や妹のせいだと思い、腹を立て きたがわめぐみ／作・絵 る。しかし、しばらくしてキナコは母になって戻っ １年生になったいっちゃんは、ママと一緒に１人 てきた。 ポプラ社 １パック限定の卵を買いに行く。ところが、大人で ないと買えないとわかり、いっちゃんは「ください」 K913 ｲﾖ くじゃくのジャックのだいだっそう 井上よう子／作 くすはら順子／絵 と言う勇気が出ない。そんな時、いつもママと歌っ 文研出版 ていた歌が、いっちゃんに勇気をくれる。 孔雀のジャックは見栄っ張り。悪口を言う猿を見 K913 ｺｶ ツツミマスさんと３つのおくりもの 返してやろうと飛んでみせると、思いもよらず動物 園から出てしまった。脱走したと騒ぎになるが、見 こがしわかおり／作 栄っ張りが災いして帰るに帰れない。心配して来て ツツミマスさんは、なんでも包むのが仕事。トカ くれた友だちのキーボさえ追い返してしまう。 小峰書店 ゲは、カタツムリのお見舞いに朝露を包んでほしい と言う。ツツミマスさんは、森の中から材料を集め、 K913 ｶﾑ こぶたのタミー 見事に包んでしまう。 かわのむつみ／作 下間文恵／絵 国土社 K913 ｺｻ 好奇心旺盛でとびきり元気なタミーは、牧場の仲 こぶたのピクルス 間たちに「ぶたらしくしろ」と言われる。タミーは 小風さち／文 ぶたであることが向いていないと思い、自分にぴっ 朝、学校の準備を終えたピクルスは、忘れ物をし たりな動物を探して、ほかの動物になる練習をする。 夏目ちさ／絵 福音館書店 ていないことを自慢しながら登校する。すると、出 会う人びとは自分の忘れ物を思いだし、ピクルスに K913 ｷｴ アレハンドロの大旅行 きたむらえり／さく・え 頼みごとをする。忘れないように急いで頼まれごと 福音館書店 をするピクルスだが、大事なことを忘れている。 にぎやかな家族に囲まれて育ったアレハンドロ は、今まで一度も話したことがない。心配した両親 19 K913 ｺﾙ お手紙まってます んともクラブ」に入って友だちになるが、一向にさ 小手鞠るい／作 たかすかずみ／絵 WAVE 出版 わらせてもらえない。猫と付き合うには、いろいろ カンガルー星に住むカンガルーのルー君は、森で なルールを守らなくてはいけないのだった。 １通の手紙を拾う。それは、離れて暮らす子どもに K913 ﾀﾌ スプーン王子のぼうけん 母親が書いた手紙だった。ルー君は、ひとりぼっち の母親が寂しくないように、返事を書いてあげるこ 竹下文子／作 こばようこ／絵 すずき出版 とにした。 妖精から銀のスプーンを贈られた王子は、ある日、 ドラゴンを退治しに行くことにした。しかし、３匹 K913 ｻｱ おならくらげ のドラゴンはスープの味でケンカしている。そこで ささきあり／作 ザ・キャビンカンパニー フレ 王子がスープを作り、スプーンで味見をすると、ス ーベル館 ープは特別においしくできあがった。ドラゴンはス 気が小さいヒロキは、声の大きなカンタに言い返 ープをすっかり気に入る。 すことができない。そんなある晩、風呂でおならを すると、クラゲが出てきてヒロキを励ましてくれる。 翌日、教室でもおならがクラゲに変わる。クラゲが K913 ﾀﾎ ぜったいくだものっこ たかどのほうこ／作 応援してくれるので、ヒロキはカンタに言い返すこ つちだのぶこ／絵 フレ ーベル館 とができた。 「青田くだもの店」の使っていない部屋の中に、 果物の子どもが通う学童「くだものっこ」がある。 K913 ｻﾉ ひつじのブルル ある日、野菜たちの学童の名前が英語に変わったと さいとうのりこ／作 矢島眞澄／絵 PHP 研究所 知り、みんなは新しい名前を考えだす。猫のタマ先 さむがりのブルルは、毛刈りが嫌で牧場を逃げ出 生と子どもたちの楽しいお話３編。 した。２年間逃げ続けるが、寂しくなって牧場へ帰 K913 ﾀﾏ たぬきがくるよ る。生まれてから４年間、一度も毛を刈っていなか ったブルルは、とうとうまるはだかにされる。 高科正信／作 寺門孝之／絵 BL 出版 お兄ちゃんと山へどんぐり拾いにいったわかば K913 ｻﾋ くまくんとうさぎくん さえぐさひろこ／文 は、斜面をすべって落ちてしまう。ところが、落ち くもようび おぐらひろかず／絵 ア たところはなぜがリスの家だった。どんぐりクッキ リス館 ーやタンポポのお茶でもてなされ、わかばは楽しい くまくんとうさぎくんは大の仲良し。くまくんが 時間を過ごす。他、動物との不思議な物語２編。 風邪でお休みした日、うさぎくんは「ぴっからぽ K913 ﾂﾌ 妖怪いじわるひょうしき ん！」と名案を思いついた。家で寝ているくまくん のために、うさぎくんは運動場の風を持っていって 土屋富士夫／作・絵 PHP 研究所 あげることにする。 今日の夕飯はカレー。ヒデくんが急いで帰ろうと 走っていると、標識が近道を教えてくれる。行き止 K913 ﾀﾌ にゃんともクラブ 竹下文子／作 かとうまふみ／絵 まりのはずの道に入ると、標識の言うとおり道が続 小峰書店 いているが、次々とおかしな標識に邪魔をされる。 ある日、ぼくが公園で猫に触ろうとすると、猫は 友だちではないからダメだと言う。そこで、「にゃ 20 K913 ﾄｶ たまごさんがころんだ！ 戸田和代／作 西巻かな／絵 因に気づく。 佼成出版社 K913 ﾊﾕ おさんぽぐるぐる 目玉焼きしか作れないお母さんの家に買われて しまったたまごたち。もっといろいろな料理にして 飯野由希代／作 もらいたくて、逃げ出そうと考える。すると、だる ルナはミユキの飼い犬。でも、ミユキは最近お散 まが自由に動けるおまじないを教えてくれた。 小栗麗加／絵 文研出版 歩を怠けてばかり。そんな時、未来からお散歩ロボ ットのセールスがやってきた。ミユキの代わりにお K913 ﾅﾁ めいちゃんの５００円玉 なかがわちひろ／作・絵 散歩に行ってくれるらしい。ミユキとルナは試しに アリス館 使ってみることにする。 めいちゃんは、話す５００円玉を拾った。なんで K913 ﾋﾕ せかいいちのねこ も買えると誘われ、商店街を見て歩くが、なかなか 買えるものが見つからない。その時、子猫がカラス ヒグチユウコ／絵と文 に襲われているのを見つける。めいちゃんはとっさ ぬいぐるみのニャンコは、そのうち男の子に飽き に５００円玉を投げつけ、子猫を助けた。 白泉社 られてしまうのではないかと不安に思う。そこで本 物の猫になってかわいがってもらおうと思い立ち、 K913 ﾅﾅ 星空ぎゅいーん 魔力を持つという猫のヒゲを集めはじめる。さまざ セイルといっしょ 長崎夏海／作 小倉まさみ／絵 新日本出版社 まな出会いを経て、ニャンコは自分の価値に気づく。 あさひはもうすぐ１年生。しかし、家でだらだら K913 ﾌｱ まぼろし写真館 していると、それでは１年生になれないと姉に怒ら れ不安になる。あさひは、セイルと名づけたランド 福明子／作 セルと一緒にでかけ、セイルと一緒なら学校も怖く ある男の子が、まぼろし写真館で父の形見のカメ ないと思い直す。 小泉るみ子／絵 学研教育出版 ラを直してもらう。写真館のひろむじいさんは、時 間をかけてカメラを直し、男の子を撮ってくれた。 K913 ﾉｶ ミルクが、にゅういんしたって？！ 野村一秋／著 ももろ／絵 ところが、男の子は帰りのバスの中で、ひろむじい くもん出版 さんがすでに亡くなっていると聞く。 しんちゃんは、クラスで飼っているハムスター・ ミルクの世話だけは真剣にやっている。そんなある K913 ﾌﾄ ともだちたんていコブタンコ 日、ミルクが突然死んでしまう。そのことを知って ちゃんをさがせ！ ココ いるのは、なっちゃんと先生だけ。いなくなったミ 藤本ともひこ／作・絵 ルクのことをたずねるしんちゃんに、先生は思わず 探偵のコブタンコは、どんな事件もドーナツがあ 嘘をついてしまった。 講談社 れば引き受ける。今日の依頼人マロンは、親友のコ コがいなくなったので、捜してほしいと言う。次々 K913 ﾊﾊ わすれものチャンピオン 花田鳩子／作 羽尻利門／絵 と的外れな容疑者を挙げていくが、最後は相棒の犬 PHP 研究所 コージーが謎を解く。 ひろきは忘れ物が多い。今朝も、新しいスニーカ K913 ﾌﾐ ひみつのきもちぎんこう ーのことで頭がいっぱいで、図工で使うクレヨンを 忘れた。すると、先生の機転でクラスメートからア ふじもとみさと／作 ドバイスをもらい、ひろきは忘れ物をしてしまう原 友だちにいじわるした瞬間、ゆうたの頭の中で変 21 田中六大／絵 金の星社 K933 ｹﾘ ウォーリーと１６人のギャング な音がした。それは、良心に嘘をついて悪いことを した時に、黒いコインが「きもちぎんこう」に貯金 リチャード・ケネディ／ぶん される音だった。 ト／え 小宮由／やく マーク・シーモン 大日本図書 カウリックの町に、１６人のギャングがやってき K913 ﾏﾐ 森ねこのふしぎなたね 間瀬みか／作 植田真／絵 た。ウォーリーはたったひとりでギャングたちに勝 ポプラ社 負を持ちかけ、５人ずつ相手にする。たくみに全員 ある日、タツキは猫から森のタネをもらう。木で を動けなくしてしまうと、ボスに最後の勝負を持ち できているものの上に置いておくと、一晩で小さな かけ、見事に町を守る。 森がはえてくる。タツキははえてきた木を見て、身 K933 ﾋｼ ディキシーと世界一の赤い車 の回りのものがどんな木からできていたのかを知 る。 シャーリー・ヒューズ／文 ／絵 K913 ﾑﾘ よるのとしょかんだいぼうけん 村中李衣／作 北村裕花／絵 三辺律子／訳 クララ・ヴリアミー あすなろ書房 ディキシーは車が大好き。友だちのパーシーと一 BL 出版 緒に、レースに出ることにした。しかし、古い車は ぬいぐるみの図書館おとまり会を題材にした物 トラブルばかりでなかなか進まない。それでも、デ 語。とおるくんに預けられたくまきちは、夜の図書 ィキシーはその時々で出会う人びとと助け合って、 館で絵本の中の恐ろしいクマに襲われる。一緒に泊 ゴールを目指す。 まっている仲間たちを救うため、くまきちはとおる K933 ﾍﾅ かわうそオスカーのすべりだい くんの言葉を思いだし、１人でクマに立ち向かって いく。 ナサニエル・ベンチリー／さく アーノルド・ロ ーベル／え K913 ﾔｶ まほうデパート本日かいてん！ 山野辺一記／作 木村いこ／絵 好学社 川辺には、かわうそたちのすべり台がある。しか 金の星社 し、ビーバーが木を倒したので使えなくなり、オス 魔法の研究をしている祖父が、ケンタにくれたた カーは山の頂上から長いすべり台を作ることにし くさんの魔法道具を人助けに使えと言う。クラスメ た。父は他の動物に狙われるからやめろという。 ートが、成績が落ちたら大好きなバレエを続けられ K933 ﾑｲ くろねこのロク空をとぶ ないので困っていることを知ったケンタは、テスト の答えが見えるメガネをあげる。 インガ・ムーア／作・絵 なかがわちひろ／訳 徳間書店 K913 ﾔﾐ チョコちゃん 椰月美智子／さく またよし／え 町猫のロクは、飼い主たちについてバンガローへ そうえん社 やってきた。そこで森猫のスコットと出会い、森の 背の低いチョコちゃんは、誰よりも大きくなった 暮らしを教わりながら楽しく遊ぶ。ところが、卵を 自分を想像してみた。学校よりも大きくなっていた 食べようとワシの巣に近づいてしまい、スコットが ずらしたり、雨を飲んだり星を食べたりと楽しいこ 襲われる。ロクはスコットを助けるため、ワシの背 とばかり。じゃあ、もっと小さくなったらどうか に飛び乗った。 な？ チョコちゃんの想像の世界を描く。 22 物語 K913 ｳﾏ トキメキ団地の夏祭り ３・４年生 宇佐美牧子／作 K913 ｱｹ 電車でノリノリ 新井けいこ／作 小栗麗加／画 くもん出版 友里の学校では、班に分かれてボランティア活動 たかおかゆみこ／絵 文研出 をしている。しかし、同じ班のサキラは非協力的で、 版 リーダーの玲子は真面目。どちらにも合わせられな 転校生の乃里は、初日に声をかけてくれた晴海と い友里は葛藤するが、自分なりのボランティア精神 咲絵といつも一緒だが、本当はもっと派手なグルー を発見する。 プに入りたかった。しかし、社会科見学で２人の好 K913 ｵｼ わすれものの森 きな鉄道のことを知り、次第に新しい関係を受け入 れていく。 岡田淳・浦川良治／作 BL 出版 ツトムは勉強も運動もできないが、笛だけは得意。 K913 ｱﾕ おばけ、さがさないでください ところが、大事な笛をどこかに置き忘れてしまう。 お たすけ屋助太のぼうけん 放課後の教室を探し回っていると、不思議な２人組 あんずゆき／作 三木謙次／絵 フレーベル館 がやってきて、忘れ物は「わすれものの森」で花や 助太の家は、なんでも手伝う「おたすけ屋」を営 実になってしまうと言う。ツトムは、笛を探しにそ む。ある日、店番をしていると、どうしても助太に の森へ行く。１９７５年に文研出版から発行された 手伝ってほしいという奇妙な客がやってきた。断り 『忘れものの森』を復刊。 きれずに引き受けると、客は今度迎えに来ると言う。 K913 ｵﾘ つばさ 後日、夜中に助太の部屋へやって来た客は、おばけ が出るという噂のトンネルへ向かう。 大島理恵／作・絵 文研出版 学校の帰り道、翼は弱ったツバメのヒナを拾った。 K913 ｲﾉ みんなのおばけ小学校 市川宣子／作 石井聖岳／絵 友だちの洋平に、虫に詳しい博も加わり、３人でヒ 佼成出版社 ナの世話をすることになる。翼は、新しい友だちの 桜小学校は、入学式の集合写真に幽霊が写ってい 博とぶつかったり、ヒナの命と向き合いながら、 たことから、生徒が激減。校長になったばかりのか 様々な葛藤を乗り越えていく。 ほる先生は、１人で学校を切り盛りすることになり、 K913 ｶﾄ ひま人ヒーローズ！ 悩む。そこへ、元凶となった幽霊たちが現れ、かほ る先生を手伝いたいと言い出す。彼らは、かつての かみやとしこ／作 木村いこ／絵 ポプラ社 同級生たちだった。 食いしん坊のコブとネジが大好きな小暮は、カズ と団地もクラスも一緒。夏休みに暇を持て余してい K913 ｲﾘ ２分の１成人式 井上林子／著 新井陽次郎／絵 た３人は、クラスの女子に頼まれごとをする。３人 講談社 がそれぞれの得意分野を活かし、見事解決してみせ ユメのクラスでは、成人式の半分の歳になった今 ると、学校中で「ひま人ヒーローズ」の噂が広まり 年、１０年後の自分へ向けて文集を作ることになっ 始めた。 た。習い事も勉強もうまくいかないユメは、将来の K913 ｶﾚ ようふくなおしのモモーヌ 夢が浮かばない。好きなものといえば、アニメの「魔 法少女マリン」だけ。悩むユメに、幼なじみののぞ 片山令子／作 みがある言葉をかけてくれる。 きつねのモモーヌは、洋服を直す店を開く。そこ 23 さとうあや／絵 のら書店 K913 ｸﾀ まほとおかしな魔法の呪文 に、オオカミのおじいさんが着古したコートを持っ てきた。モモーヌは、直す間に店の中庭でおじいさ 草野たき／作 んと交流し、洋服を通しておじいさんの寂しさも癒 ３年生になり、友だちがみんな学童をやめてしま す。 カタノトモコ／絵 岩崎書店 い、まほは新しく入ってきた恭子ちゃんと仲良くな る。しかし、転校してきた子に恭子ちゃんをとられ、 K913 ｷｱ 四年変組 まほは仲間はずれにされる。すると、まほの前に不 季巳明代／作 こみねゆら／絵 フレーベル館 思議な男の子が現れ、なぐさめてくれた。 ４年２組は、元ピアニストの不思議な担任を筆頭 K913 ｺﾅ おうだんほどうのムッシュトマーレ に、変な話に事欠かない「変組」と呼ばれている。 津山勇気は、母親を亡くしてから、すぐに父親と再 香坂直／作 フィリケえつこ／絵 小学館 婚した若くてかわいいタレントの母親が気に入ら 大人気の飼育係をやることになったはずなのに、 ない。母とは思えずに反発してばかりいたが、姉だ 佐久間くんはサボってばかり。とうとうみんなは罰 と思ってくれないかと提案される。 を与えることにするが、裕太は何か腑に落ちない。 そんなときに、横断歩道で出会ったムッシュ・トマ K913 ｷｶ ふしぎなコウモリガサ 如月かずさ／作 ーレは、裕太に本当にそれでいいのか自問自答して はたこうしろう／絵 小峰書 みるように助言した。 店 K913 ｻﾄ 目の見えない子ねこ、どろっぷ 雨の日の帰り道、サキは黒ずくめの不思議な女の 子と出会う。女の子は、黒い傘からコウモリが逃げ 沢田俊子／文 田中六大／絵 講談社 たので、穴があいて困っていると言う。サキは女の 恥ずかしがりやのつぐみは、何をするにもてきぱ 子を助け、いつしか友だちになる。吸血鬼の末裔と きとはいかない。そんなある日、瀕死の子ねこを拾 いう少女と、人間の女の子の物語。 う。子ねこは病気の原因だったつぶれた目玉を取り 出され、一命をとりとめるが失明する。それでもた K913 ｷﾁ たびいえさん 北川チハル／作 青山邦彦／絵 くましく生きようとするその姿を見て、つぐみもし くもん出版 だいに変わっていく。 住む人がいなくなり、空っぽになってしまった家 K913 ﾀﾎ おーばあちゃんはきらきら が、寂しさを埋めるため旅にでる。「たびいえ」と なって旅をするうち、ウサギのサロと出会う。それ たかどのほうこ／さく ぞれに寂しさを抱えた２人は、ある約束をする。 こみねゆら／え 福音 館書店 おーばあちゃんの話は、すこし不思議。あるとき、 K913 ｸｱ おばけ道、ただいま工事中！？ 草野あきこ／作 平澤朋子／絵 チヨがおもちゃを散らかしていると、おーばあちゃ 岩崎書店 んが緑の魚になった王子の話をしてくれる。王子は 夜中に突然現れた幽霊の女の子、サトは、１週間 おもちゃ入れの袋の中で、ほかのおもちゃを今も呼 だけ翔太の部屋に「おばけ道」を通してほしいと頼 んでいると言う。袋をのぞいてみると、本当に緑の む。しぶしぶ承諾するが、その代わりにおばけと交 魚が入っていた。他７編。 流できるクーポン券をもらう。はじめはこわがって いた翔太だが、友だちやサトの心残りを晴らすため、 クーポン券を使っておばけと交流する。 24 K913 ﾄﾖ それいけ！ぼっこくん 富安陽子／作 小松良佳／絵 ーに出るよう頼まれ、練習することになった。変身 偕成社 して強くなりたいと願っていた真太郎だが、祖父の ぼっこくんは、魑魅魍魎から家を守る神さま。守 プロ意識に触れ、その気持ちが変わっていく。 っていた家の主が亡くなったので、その息子のマン K913 ﾉﾖ お昼の放送の時間です ションを守ることにした。すると、町の魑魅魍魎の 親分がぼっこくんに嫌がらせを始める。 乗松葉子／作 宮尾和孝／絵 ポプラ社 かえでは、おしゃれなラジオ放送に憧れて放送委 K913 ﾅｼ ３＋６の夏 員になった。しかし、ペアになったのはやんちゃな ひろしま、あの子はだあ れ 少年こうへい。やりたいことができず、かえでは憎 中澤晶子／作 ささめやゆき／絵 汐文社 らしく思っていた。しかし、こうへいのことを知る 夏休み目前、かなたのスケッチブックに、描いた ようになると、その思いは変わっていく。 覚えのない花柄のブラウスが浮かび上がる。それ以 K913 ﾊｷ 空はなに色 来、かなたの後ろには見えない誰かがいるような気 がしていた。祖母にはかなたの後ろにいる子が見え、 濱野京子／作 友だちだったと言う。原爆で亡くなった子どもたち 生真面目な規子のもとに、いとこの美蘭が居候す を描く。 小塚類子／絵 そうえん社 ることになる。美蘭は中学生なのに化粧や染髪をし、 平気で嘘をつく。苦手だと思いながらも、いつの間 K913 ﾅﾅ 茶畑のジャヤ にか影響を受け、規子はどの人にも様々な面がある 中川なをみ／作 鈴木出版 ことを知る。 頭のいい周は、クラスで浮いている。唯一加奈だ K913 ﾋｷ あま～いおかしにご妖怪？ けは優しかったが、素直に気持ちを受け取れない。 そんなとき、祖父に付いてスリランカへ行くことに 廣田衣世／作 佐藤真紀子／絵 あかね書房 なった。そこでジャヤという少女と出会った周は、 老舗の和菓子屋の八太郎は、文句を言いながらも、 内戦のことを知る。ジャヤは、争いを止めるために 家業に誇りを持っていた。ある夜、物音がしたので は、想像力が必要だと教えてくれる。 台所をのぞいてみると、妖怪が小豆をといでいた。 はじめは怖がっていた八太郎だが、しだいに妖怪と K913 ﾅﾘ まよいねこポッカリをさがして 長井理佳／作 久保晶太／絵 打ち解ける。この店では、代々妖怪の力を借りて、 アリス館 おいしいお菓子を作っていたことを知る。 サラの飼い猫・シュガーが、突然いなくなってし K913 ﾌｱ ころげ月 まった。どうやら猫の神様ポッカリの後継者に選ば れたらしい。同じく飼い猫を探すタクと共に、サラ 福明子／文 ふりやかよこ／絵 新日本出版社 はシュガーを連れ戻すために猫の道へ入る。 ある晩、満月がころがり出て、ぽっかりと夜空に 穴があいた。六郎太が見ていると、その中からおじ K913 ﾉﾏ へんしん！へなちょこヒーロー 野泉マヤ／作 下平けーすけ／絵 じが現れる。おじじは、春前に亡くなったおばばか 文研出版 ら六郎太に伝言を預かってきたと言う。 特撮ヒーローに憧れている真太郎は、クラスメー トの祖父がヒーローの中に入っていたと知り、ショ ックを受ける。しかし、その祖父からヒーローショ 25 K913 ﾌｼ サッカク探偵団 K913 ﾐﾖ ねこの風つくり工場 あやかし月夜の宝石 どろぼう みずのよしえ／作 藤江じゅん／作 ヨシタケシンスケ／絵 角川 いづのかじ／絵 偕成社 町のはずれにある工場は、風を作っている。働い 書店 ているのは、町に住む猫たちだが、そのことを人間 生活班の３人と迷子の子犬を届けたカケルは、そ は知らない。ある日、工場で働きたいという猫がや の飼い主から目の錯覚について教わる。ある日、カ ってきた。力持ちで物知りの猫は、すぐに人気者と ケルたちが出席したホテルのパーティで、窃盗事件 なるが、猫のくせに魚が嫌いだと言う。 がおきる。カケルは犯人が目の錯覚をつかって逃げ K913 ﾓｼ 妖怪製造機 たと気づくが、警察は信じない。４人は探偵団を結 成し、事件の捜査に乗り出す。 森川成美／作 佐竹美保／絵 毎日新聞出版 宇宙同盟は、地球が無責任に捨てる宇宙ゴミに悩 K913 ﾎﾅ 魔法のレシピでスイーツ・フェアリ まされていた。そこで、地球の子どもの責任感を試 ー 堀直子／作 木村いこ／絵 す機械を送る。その機械は、絵を描くだけでオリジ あかね書房 ナルのフィギュアが作れるというものだった。翔は 空想するのは得意だが、運動も勉強もいまいちの 妖怪のフィギュアを作るが、それが動いて悪さを働 みわ。決心して調理部に入るが、実は人数が足りな くので、持てあましていた。一度は捨てようとする い同好会だった。顧問は、記念祭で成果を出せなけ が、翔は最後まで責任を持とうと考え直す。 れば廃部にするという。そんなとき、みわは先輩の K913 ﾔｶ ケロニャンヌ マジパン細工を見て、ライブ形式の出し物を思いつ く。 安田夏菜／作 しんやゆうこ／絵 講談社 太っていて運動音痴のカイトは、友だちにからか K913 ﾏｼ とびばこバーン われてばかり。唯一心を許せるのは、ペットのアマ 升井純子／作 おくはらゆめ／絵 講談社 ガエル・ケロポンと猫のマリニャンヌだけだったが、 野花はとび箱が苦手。そんなとき、いつも元気な ２匹とも寿命で死んでしまう。悲しくて学校も嫌に 研修生の先生が、体育の授業を進めるのが苦手だと なってしまったカイトの元に、２匹が合体したとい 野花に打ち明ける。２人はしだいに打ち解けるが、 うケロニャンヌが現れる。 先生の研究授業でもお互いにうまくいかない。あき K933 ｱｱ ちゃいろいつつみ紙のはなし らめずに走り出した野花に、先生は大きな掛け声を かけてくれる。 アリソン・アトリー／作 帆／絵 K913 ﾏﾐ つくしちゃんとすぎなさん まはら三桃／作 陣崎草子／絵 松野正子／訳 殿内真 福音館書店 茶色の包み紙は、売れて外に出ることを夢みてい 講談社 た。クリスマス間近に売れた包み紙は、子どもたち 転校したてのつくしは、友だちから魔女の家を教 からおばあさんへ贈るプレゼントを包んだ。しばら えられた。しかし、ひょんなことからその家の主・ くして、今度はおばあさんから子どもたちへのプレ すぎなと知り合い、仲良くなる。小学生のつくしと ゼントとして帰っていき、最後には絵を書かれて壁 おばあさんのすぎなは、それぞれ困難に出遭いなが に飾られる。 ら、世代を超えて交流し、支えあう。 26 K933 ｱｴ さかさ町 K933 ﾀﾎ あたし、アンバー・ブラウン！ F.エマーソン・アンドリュース／作 ロボドキン／絵 小宮由／訳 ルイス・ス ポーラ・ダンジガー／作 岩波書店 若林千鶴／訳 文研出 版 リッキーとアンは、祖父の家へ向かう途中、「さ アンバーとジャスティンは大の仲良しだが、ジャ かさ町」で一晩過ごすことになる。そこでは、子ど スティンが引っ越すことになってしまった。別れる もが働き、大人が遊ぶ。買い物でも、品物をもらう 日が近づくにつれ、アンバーは寂しさでいっぱいに とお金が渡される。何もかもさかさまの町を、リッ なる。しかし、ジャスティンがそんなことを気にし キーとアンは大いに楽しむ。 ていないように振舞うので、アンバーはとうとうケ ンカしてしまう。 K933 ｳﾎ ペンギンは、ぼくのネコ ホリー・ウェッブ／作 田中亜希子／訳 K933 ﾊﾍ トルネード！ 大野八 生／絵 徳間書店 たつまきとともに来た 犬 アルフィーは、隣の家の庭の木をこっそり遊び場 ベッツィ・バイアーズ／作 にしていた。しかし、同い年の女の子グレースが越 降矢なな／絵 もりうちすみこ／訳 学研 してきてしまい、追い出される。しかも、グレース 大きな竜巻に飛ばされて、ピートの家の庭に犬小 はアルフィーの飼い猫のペンギンまで餌付けしよ 屋がやってきた。中には大きな黒い犬がいて、飼い うとする。険悪になった２人だが、ペンギンの失踪 主が見つかるまで預かることになった。ピートは犬 が転機となり、歩み寄りはじめる。 に「トルネード」と名前をつけ、かわいがる。 K933 ｼﾀ ぼろイスのボス K933 ﾑﾊ リトル・パパ ダイアナ・ウィン・ジョーンズ／作 訳 佐竹美保／絵 野口絵美／ パット・ムーン／作 徳間書店 もりうちすみこ／訳 文研 出版 マーシャとサイモンの家には、おんぼろのひじ掛 ２歳のベンジーは、早く大きくなりたいと言う。 けイスがあった。とうとう燃やすことにするが、サ 一方、仕事が煮詰まっている父は、ベンジーと代わ イモンは少しかわいそうに思う。翌日、納屋に入れ りたいと言う。すると、２人の心は入れ替わってし たイスが人間に化け、家に居座ってしまった。家族 まった。父の体になったベンジーの行動は、次第に はひじ掛けイスのボスに散々振り回される。 手に負えなくなっていく。兄のサムと姉のホリーは、 なんとか元に戻そうと奮闘する。 K933 ｽﾙ ルイージといじわるなへいたいさん ルイス・スロボドキン／作・絵 K933 ﾜﾛ 森のプレゼント こみやゆう／訳 徳間書店 ローラ・インガルス・ワイルダー／作 ルイージはバスに乗って、イタリアからスイスの ／絵・訳 バイオリンの先生のところへ通っている。それぞれ 安野光雅 朝日出版社 雪深い山奥に住む一家の、クリスマスを描いた物 の国境では、密輸人を警戒する兵隊が見回りをする。 語。父母と姉妹の４人家族は、年に１度のクリスマ ルイージは、いじわるな兵隊に目をつけられてしま スのため、準備に精を出す。当日はいとこ一家もや い、弁当や手土産を毎回ぐしゃぐしゃにされた。怒 って来て、つつましくもあたたかい聖夜を過ごす。 った先生が兵隊をこらしめる。 27 K953 ｾｳ バイバイ、わたしの９さい！ ヴァレリー・ゼナッティ／作 物語 ５・６年生 伏見操／訳 ささ K913 ｱﾖ さくらいろの季節 めやゆき／絵 文研出版 １０歳の誕生日を心待ちにしていたある日、タマ 蒼沼洋人／著 ポプラ社 ラは飢餓に苦しむ子どものことを知る。以来、タマ 恵と優希は、幼なじみの理奈と２年ぶりに同じク ラは、世界中の悲しい問題に向き合い、自分に何が ラスになったが、最近は事あるごとに対立してしま できるのか考え続けた。タマラは、大統領とサッカ う。優希は声をあげて理奈に対抗することができる ー選手のジダンに手紙を書くことにした。 が、恵はできずにいた。そんな中、優希が転校して しまい、クラスの雰囲気はますます悪くなっていく。 K963 ﾈﾀ だいじょうぶカバくん ダニエル・ネスケンス／作 ／絵 恵は自分にできることを考え、行動していく。 ルシアーノ・ロサノ K913 ｲｷ 丸天井の下の「ワーオ！」 講談社 故郷のアフリカに帰りたい動物園のカバくんは、 今井恭子／作 小倉マユコ／画 くもん出版 檻を抜け出して町へ出た。道行く人びとにアフリカ マホは想像力豊かで頭の回転も速いが、ディスレ までの道を聞くが、誰も知らない。公園で水浴びを クシア（識字障がい）のため卑屈になっていた。し したり、レストランで食事をしているうちに日が暮 かし、町の博物館で出会った正樹は、マホの作り話 れ、結局また動物園に帰る。 に興味を持ち、語ってみろと言う。はじめは嫌がっ ていたマホだが、博物館をスケッチし続ける正樹の K983 ﾚｱ ヘフツィール物語 A・レペトゥーヒン／文 本音を聞き、物語を話す決意をする。 岡田和也／訳 きたや K913 ｲｼ ぼくが弟にしたこと まようこ／絵 未知谷 ウサギのペトローヴィチと仲間たちは、ナースチ 岩瀬成子／作 長谷川集平／絵 理論社 ャのパパが語るおとぎの世界に住んでいる。動物た 両親が離婚し、麻里生は母と弟の３人で暮らし始 ちとナースチャはいつも楽しく遊んだが、ナースチ めた。これからは楽しくなるはずと思っていた矢先、 ャが大きくなるにつれ、忘れられていく。作者が娘 麻里生はささいなことで弟を殴ってしまう。父に殴 に語った物語をまとめた作品。 られていた麻里生は、そんな自分に戸惑い、葛藤す る。 K993 ｸﾏ オンネリとアンネリのおうち マリヤッタ・クレンニエミ／作 ／絵 K913 ｲﾐ 二日月 マイヤ・カルマ 渡部翠／訳 福音館書店 いとうみく／作 丸山ゆき／絵 そうえん社 オンネリとアンネリは大親友。ある日、２人は大 杏の家に、待望の妹が生まれた。ところが、妹に 金を拾う。そのお金で、不思議な老婦人から家を譲 は障がいがあると診断されてしまう。父母は妹にか ってもらった。まるで２人のためにあつらえたよう かりきりになり、杏は寂しい思いを言えずにいた。 な家で、２人は暮らし始める。『オンネリとアンネ 妹を大切に思う気持ちと、妹を中心に変わっていく リのおうち』 （プチグラパブリッシング 2005 年刊） 生活への不満の間で、杏の心は揺れ動く。 の改筆、修正。 K913 ｵｼ めだかの王様 岡田潤／作・画 28 金の星社 結衣は、メダカ鉢の中に空想の王国を描いていた。 の視点からレースを描く。 そこにはメダカにされた王様がいて、勇者の助けを K913 ｸｶ 根の国物語 待っているという話だ。すると、結衣が想像してい たとおりの勇者の印が本当に見つかる。見つけたの 久保田香里／作 小林葉子／絵 文研出版 は、勇者とはほど遠いやんちゃな兄の健斗だった。 出雲の国の末子、ナムジは後継者の証を求めて根 の国を訪れた。そこでは、スサノオと娘のスセリが K913 ｵﾁ しゅるしゅるぱん つつましく暮らしていた。ナムジはともに根の国で おおやなぎちか／作 古山拓／画 福音館書店 暮らしたいと思うようになるが、腹違いの兄が根の 父方の実家である岩手県朱瑠町に引っ越してき 国を襲い、スセリが凶刃に倒れる。古事記をもとに た解人は、「しゅるしゅるぱん」と名乗る不思議な した物語。 少年に出会った。解人は少年と関わっていくうちに、 K913 ｸﾀ グッドジョブガールズ 家族のルーツを知ることになる。 草野たき／著 K913 ｶｻ 岬のマヨイガ ポプラ社 あかり、由香、桃子の３人は、軽口を言い合う気 柏葉幸子／著 さいとうゆきこ／絵 講談社 楽な関係の「悪友」。しかし、あかりは本音を言え 震災の混乱の中、偶然出会ったゆりえと萌花。２ る親友になりたいと思っていた。３人は小学校最後 人を救ったのは、山名キワという小さなおばあさん の思い出づくりにチアダンスを始めるが、意見のく だった。赤の他人の３人だが、それぞれ事情があり、 い違いから険悪な雰囲気になる。 家族として暮らし始める。東北の民話をちりばめた K913 ｺｱ Ｅｇｇｓ ファンタジー。 小瀬木麻美／作 K913 ｶｻ ぼくのおじいちゃん、ぼくの沖縄 上條さなえ／作 岡本順／絵 夏のトライアングル ポプラ社 夏休み、親友の元樹と裏山へ入った嵐は、偶然人 汐文社 骨を発見する。しかも、現場付近で拾ったストラッ 友だちにつられて万引きをしてから、光は不登校 プは、幼なじみの兄妹とおそろいのものだった。刑 になった。そんなある日、家族を置いて沖縄へ行っ 事である父にコンプレックスを抱く嵐は、自分なり てしまった祖父を捜して来いと母に言われ、光は１ の正義感を持ち、事件について調べ始める。 人で沖縄へ行く。そこには、沖縄や未来のために、 K913 ｺﾕ むこうがわの友だち 辺野古への米軍基地移設反対を訴えて座り込みを 続ける祖父がいた。 小浜ユリ／作 柴田純与／絵 ポプラ社 未来には幼稚園からの親友、紫音がいる。しかし、 K913 ｶﾘ 風のヒルクライム 高学年になった頃から紫音は怒りっぽくなった。未 ぼくらの自転車ロ ードレース 来がクラスでいじめられるようになると、紫音の言 加部鈴子／作 岩崎書店 動は次第にエスカレートしていき、仕返しを迫るよ 中学１年生の涼太は、誕生日に父からロードバイ うになる。６年１組の生徒と、見えない友だちとの クをもらった。ほしくもないものをもらったあげく、 レースにまで出ることになる。嫌々臨んだレースだ ったが、苦しい競争の中でさまざまな人と出会い、 涼太の心は変わっていく。オムニバス形式で、６人 29 交流を描くオムニバス。 K913 ｺﾘ 真田十勇士 １ になる。水底の国の姫、ウシオ率いる一行は、帝の 小前亮／作 小峰書店 印を求めて、龍王のもとへ向かう。 森の中で猿とともに暮らしていた佐助は、年老い た忍者の白雲斎と出会う。白雲斎は、傷を負ってい K913 ｽﾕ チポロ ても３人もの敵を倒してしまう程の実力者だった。 菅野雪虫／著 身寄りのなかった佐助は、白雲斎に弟子入りし、忍 幼い頃に父母を亡くしたチポロは、村のはずれに の道を歩みはじめる。 講談社 祖母と２人でつつましく暮らしていた。ところがあ る日、幼馴染の少女・イレシュが魔物にさらわれて K913 ｻｱ へなちょこ探偵２４じ 齊藤飛鳥／作 佐竹美保／絵 しまう。３年後、イレシュの消息をつかんだチポロ 童心社 は、魔物の砦へ向けて旅に出る。アイヌの世界観を 学童保育をやめさせられた鯱彦は、下校中に妙な 下敷きにした物語。 探偵・廿余寺と出会う。どこか抜けているが、頭が K913 ｽﾘ みずがめ座流星群の夏 良くて強く、子ども扱いしない廿余寺に、鯱彦は親 しみを覚える。大人の保身にうんざりしていた鯱彦 杉本りえ／作 佐竹美保／絵 ポプラ社 だったが、次第に心を開いていく。 母子家庭で、祖父が父代わりだった花、大好きな 兄が重い病気を抱えている莉子。タイプの違う２人 K913 ｻﾋ 月夜に見参！ は、クラスでも話すことはなかった。しかし、一度 くのいち小桜忍法帖 斉藤洋／作 大矢正和／絵 あすなろ書房 話してみると不思議なくらいに馬が合った。２人は、 小桜の家は、江戸城の御庭役をつとめる忍びの一 誰にも言えなかった秘密を打ち明けあう。 家。本当のおつとめはまだあまりさせてもらえない K913 ﾀﾌ 酒天童子 が、気になったことは放っておけない。そんなある 日、小桜は同心殺しと少年誘拐の事件を知り、独自 竹下文子／著 に調べ始める。娘や丁稚に姿を変えながら、小桜は 平安時代の京、４人の郎党を従える源頼光は、よ 事件の謎に迫る。 平沢下戸／絵 偕成社 く物の怪の事件に巻き込まれる。ある時、若い娘が 消える事件が起こった。高名な陰陽師安陪清明は、 K913 ｼｴ イスタンブルで猫さがし 新藤悦子／作 丹地陽子／絵 酒天童子という鬼の仕業だと言い、頼光が討つと予 ポプラ社 言する。まもなく帝から頼光に退治の命が下った。 学校の人間関係に疲れた愛は、父と一緒にトルコ K913 ﾀﾎ リリコは眠れない へやってきた。ある日、日本人学校の図書室で、猫 を見にこないかと誘うメモを見つける。友人の未来 高楼方子／作 と一緒に会いにいくが、猫は行方不明だという。２ 気が弱く内気なリリコは、親友のスーキーの前で 人は、飼い主の勇人と猫を探すことにする。 松岡潤／絵 あかね書房 しか自由に振舞うことができない。スーキーが転校 してから寝つきが悪くなってしまうが、ある少女の K913 ｽｱ 波のそこにも 末吉暁子／作 佐竹美保／絵 絵を見ていると眠れた。ところがある夜、リリコは 偕成社 その絵の中に吸い込まれてしまう。そこで出会った 深い海の底にある水底の国。タマオはその国の宮 人々は、リリコに大切なことを教えてくれる。 で穏やかに暮らしていた。ところが、地上の幼い帝 を拾ったことから、帝の印を探す旅に同行すること 30 K913 ﾀﾖ ステラと未来 種田陽平／原案・絵 野山伸／文 める。思わず父に八つ当たりをした香音に、母が音 講談社 楽用語を使って助言をする。 その世界では、少女は一生を塔の中で過ごし、少 K913 ﾊｷ アカシア書店営業中！ 年は氷の中で眠っていた。しかし、「誰か」に会う ため、一人の少女と少年が旅立った。互いにたどり 濱野京子／作 着いた地で名前を与えられた二人は、世界を見守る 小学５年生の大地は、本が大好き。近所のアカシ 仕事を引き継ぐ。 森川泉／絵 あかね書房 ア書店は児童書が多く、よく利用していた。しかし、 店長が変わって経営が悪化すると、児童書コーナー K913 ﾂｼ ツクツクボウシの鳴くころに 黒須高嶺／絵 堤しゅんぺい／作 は存続の危機に。大地は、売り上げアップのため、 文研出版 友だちと知恵を出し合い、様々なイベントを企画す 夏休み前のある日、クスモッチン、タダッチ、ツ る。 ッツンの３人は、担任の堤先生から不思議な話を聞 K913 ﾊﾐ おひさまへんにブルー く。先生が子どもの頃に体験した出来事を、３人が 繰り返しているというのだ。先生は、昔の悲しい事 花形みつる／著 故を繰り返さないために、３人でなんとかしてほし 気弱な拓実は、学校ではいつもいじめの標的だっ いと頼む。 国土社 た。しかし転校した学校では、オイカワという不良 少年に遭遇したおかげで、なぜか大歓迎を受ける。 K913 ﾅｶ 岸辺のヤービ 梨木香歩／著 小沢さかえ／画 その地域では、オイカワの被害に遭うことがステー 福音館書店 タスになるのだった。 ある日、湖にボートを浮かべて読書をしていた K913 ﾊﾐ それぞれの名前 「わたし」は、クーイ族の男の子ヤービと出会う。 「わたし」はヤービと友だちになり、その暮らしぶ 春間美幸／著 りを聞く。水辺にひっそりと暮らす不思議な生き物 ユカとチカは、そっくりな双子。性格はあまり似 たちの物語。 講談社 ていないが、外見はなんでも同じにしている。とこ ろが、チカは好きな人ができてから、名前で呼ばれ K913 ﾆﾄ ハルと歩いた ることにこだわるようになった。ユカは、そんなチ 西田俊也／作 徳間書店 カの気持ちがわからず戸惑う。名前にまつわるオム 陽太は、昨年越してきたばかりの奈良で、クラス ニバス。 にも街にもなじめずに小学校を卒業した。病死した 母の故郷に愛着が持てずにやきもきしていた時、１ K913 ﾋｶ アラスカの小さな家族 匹の迷い犬と出会う。飼い主を探すため、犬と一緒 クリークのボー に街を歩き回っているうちに、陽太の心は変わって カークパトリック・ヒル／著 いく。 ／絵 K913 ﾆﾕ いちごケーキはピアニッシモで 西村友里／作 鈴木びんこ／絵 バーラード レウィン・ファム 講談社 ボーにはお父さんが２人いる。まだ赤ちゃんの頃、 国土社 母親に捨てられたボーを、偶然出会った２人のお父 有名な指揮者の父と、ピアノ教師の母の影響でピ さんが育ててくれた。炭鉱の食堂を切り盛りしなが アノを習っている香音だが、最近伸び悩んでいた。 ら暮らす家族３人を、周囲の人びとがあたたかく見 そんな時、父が久しぶりに帰宅し、街中の注目を集 守る。 31 K913 ﾋﾋ かぐや姫のおとうと 広瀬寿子／作 丹地陽子／絵 蓮人は、元太たちと触れ合ううちに、家族の気持ち 国土社 を思いやるようになっていく。 想は、叔父さんの竹林で不思議な少年と出会う。 K913 ﾓｲ あの花火は消えない 少年はいささ丸といい、かぐや姫の弟の生まれ変わ りだと言う。かぐや姫の側近だった少女を捜してい 森島いずみ／著 るらしい。そんなある日、想は姉の涼子から不思議 母が入院するため、透子は祖父母のもとに預けら な話を聞かされる。 偕成社 れることになった。そこで出会ったぱんちゃんは、 障がいがあったが、絵がとてもうまい。人とうまく K913 ﾌﾀ 幽霊魚 付き合えない透子だったが、ぱんちゃんには心を開 福田隆浩／著 講談社 くことができた。ぱんちゃんとの絆が、透子の人生 母との折り合いが悪く、父の転勤についてある島 をひらく。 に引っ越してきた知希。退屈な日々を過ごしていた K913 ﾓｼ フラフラデイズ が、同級生の英治から幽霊魚の話を聞く。知希には 作り話としか思えないが、なぜか英治はむきになっ 森川成美／作 つじむらあゆこ／絵 文研出版 てその存在を主張する。 春休み、雅は祖母のハワイ旅行へついていくこと になった。乗り気ではなかった上に、フラダンスの K913 ﾌﾖ 児雷也太郎の魔界遍歴 舟崎克彦／作 荒木慎司／絵 大会にも出ることになり、雅は憂鬱になる。リハー 静山社 サルの朝、寝起きの悪い雅は、祖母を階段で転ばせ 国文学者だった祖父が、太郎に先祖伝来の壺を遺 てしまった。会場へ行くが、ぼーっとしてしまい、 した。突然震えだした壷を覗き込むと、そのまま吸 うっかり知らない人の車に乗ってしまう。 い込まれてしまった。やって来たのは、江戸時代。 K913 ﾔｱ 魚屋しめ一物語 太郎は、そこで自分が妖術使い児雷也の末裔だと聞 かされ、幽霊退治を任される。 柳沢朝子／作 大庭賢哉／画 くもん出版 新潟の小作人のもとに生まれたしめ一は、１２歳 K913 ﾐﾏ ようこそ、ペンション・アニモーへ 光丘真理／作 岡本美子／絵 で長野へ奉公に出た。言われるがままに魚屋で働く 汐文社 ようになるが、次第に魚屋を持つことが目標となる。 新菜の一家は、山奥でペンションを開くことにな 厳しい場面にも、持ち前の負けん気を発揮して立ち った。新菜も手伝うが、どのお客さんもどこか動物 向かっていった、しめ一の生涯を描く。 のように見える。はじめは疑ってこわがる新菜だが、 K913 ﾖﾏ ひみつの校庭 次第に動物でもお客さんには違いないと考えるよ うになる。 吉野万理子／作 宮尾和孝／絵 学研プラス 葉太の学校では、生徒１人ひとりに担当の木があ K913 ﾑﾅ ガラスのベーゴマ 槿なほ／作 久永フミノ／絵 る。５年生になった葉太は、ひょんなことから木の 朝日学生新聞社 観察をはじめる。１冊の観察ノートをつけ終わると、 弟のぜんそくを治すため、東京から九州へ引っ越 校長先生が学校に隣接している植物園へ行ける鍵 してきた蓮人は、弟優先の家族に葛藤を抱えていた。 をくれる。行ってみると、そこには死んだはずの父 転校初日、クラスメート元太の曽祖父と出会った蓮 がいた。 人は、彼が戦争の記憶に苦しんでいることを知る。 32 K913 ﾖﾐ すし食いねえ ニコラの飼い犬ジュンバグは、いたずらが行き過 吉橋通夫／著 講談社 ぎて家族に愛想を尽かされた。ニコラは、ジュンバ 豆吉は寿司屋の父を手伝いながら、寺子屋に通っ グが捨てられないように善行を積もうと、ある老人 ている。若先生が、ある村を救うための訴状を出そ ホームに通う。しかし、そこには悲惨な扱いを受け うとしていると知った豆吉は、寿司好きの勘定奉行 る老人と職員の姿があった。 に直接渡そうと思いつく。そこで、豆吉と父は、奉 K933 ｳﾃ 大好き！クサイさん 行の目にとまるような全く新しい寿司を考え出す。 デイヴィッド・ウォリアムズ／作 K913 ﾖﾐ 自転車少年 ン・ブレイク／絵 チャリンコボーイ 横山充男／著 黒須高嶺／絵 くもん出版 久山太市／訳 クェンティ 評論社 路上生活者のクサイさんは、ものすごく臭い。し 引っ越してきたばかりの颯太は、街でロードバイ かしお話が好きで引っ込み思案のクロエは、なぜか クを見かけ、スポーツバイクを始めた。颯太は自転 クサイさんに心惹かれ、勇気をだして話しかけた。 車店の店員に勧められ、寄せ集めの３人でレースに 人目を気にせず、いつも堂々とふるまうクサイさん 出ることになる。キャプテンとなった颯太は、悩み は、いつしかクロエの周囲の人々の心も変えていく。 ながらも仲間と協力する楽しみや、自転車の面白さ K933 ｴｴ ゆうかんな猫ミランダ に気づいていく。 エレナー・エスティス／作 K913 ﾜﾉ 石の鐘の物語 ィゾーニ／絵 いね子の伝言 和田登／著 和田春奈／画 かもがわ出版 津森優子／訳 エドワード・アーデ 岩波書店 古代ローマの町で暮らす猫のミランダは、犬から 戦前、称名寺の鐘は、多くの人びとに親しまれて も一目置かれる存在。ある日、町は戦火に包まれ、 いた。寺の娘・いね子は、父から鐘の大切さと、宗 ミランダは娘のプンカとともに逃げる。逃げ遅れた 教者の矜持を学ぶ。しかし、戦争が始まると、鐘は 子猫を３０匹も連れ、コロッセオにたどり着いたミ 金属回収で供出されることになり、代わりに石が吊 ランダは、子猫や仲間を守るため、犬の群れやライ るされた。長じて住職となったいね子は、過去の過 オンと対峙する。 ちを戒め、反戦への思いを語る。 K933 ｴﾃ アーチー・グリーンと魔法図書館の K923 ﾊｼ 浮き橋のそばのタンムー 彭 学軍 ／著 渡 辺仙 州／ 編訳 謎 中 山成 子／絵 D.D.エヴェレスト／著 ポプラ社 こだまともこ／訳 あ すなろ書房 中国の裕福な家庭で、何不自由なく暮らしていた 祖母と暮らすアーチーのもとに、４００年前に送 タンムー。ところがある日、自分を暗殺するという られた魔法の本が届いた。本と一緒に入っていた手 計画を立ち聞きしてしまう。夏休みまでに殺される 紙に従い、アーチーはオックスフォードの魔法図書 と知り、タンムーは残り少ない日々を大切に生きよ 館で「炎の守人」見習いとなる。同じように学んで うとする。 いたという父のことや、自身の能力が明らかになる につれ、アーチーは大きな事件に巻き込まれていく。 K933 ｱｷ ニコラといたずら天使 キャロライン・アダーソン／著 田中奈津子／訳 講談社 33 K933 ｵﾊ スモーキー山脈からの手紙 バーバラ・オコーナー／作 し、飼い犬を使った実験を始めたことから、二人は こだまともこ／訳 少しずつ距離を縮めていく。 評論社 K933 ﾊｼ 青い目の人形物語 夫の思い出がつまったホテルを手放すことにな ったアギー。母が家出して、住み慣れた家さえなく い したウィロウ。父母に邪険にされているカービー。 平和への願 アメリカ編 シャーリー・パレントー／作 里親とともに産みの母の足跡をたどるロレッタ。ス １ 河野万里子／訳 岩崎書店 モーキー山脈にあるホテル「スリーピータイム･モ １９２６年、日米間の平和を願い、 「友情の人形」 ーテル」を舞台に、それぞれが新しい居場所を見つ が交換された実話をもとにした物語。母と離れて祖 ける。 父母と暮らすレキシーは、人形のお別れ会に母が参 加することを知る。「人形に添える手紙が選ばれれ K933 ｽｼ ロックウッド除霊探偵局 呼ぶペンダント １ ば、お別れ会に参加できる」レキシーは母に会いた 霊を 上・下 ジョナサン・ストラウド／作 い一心で人形と関わっていくが、しだいに苦手だっ 金原瑞人／訳 小 た祖父母との関係も変わっていく。 学館 K933 ﾎｼ １４番目の金魚 世界に心霊事件が蔓延するようになってから、霊 を除去する専門の会社、除霊探偵局が作られた。生 ジェニファー・L・ホルム／作 横山和江／訳 まれつき強い霊能力を持っていたルーシーは、ロン 講 談社 ドンの探偵局に採用される。そこの局長をつとめる 母と２人暮らしのエリーのもとに、若返ってしま 一風変わった少年ロックウッドとともに、ルーシー った祖父が転がり込む。科学者の祖父は、とうとう は凶悪な心霊事件に挑む。 不老不死の薬を発明したと言う。祖父と暮らすうち、 エリーは科学の世界に惹かれていくが、同時にその K933 ｽﾚ ウソつきとスパイ レベッカ・ステッド／作 樋渡正人／訳 恐ろしさに気づく。 小峰書 K933 ﾏｸ 夢見る犬たち 五番犬舎の奇跡 店 父が会社をクビになり、アパートへ引っ越すこと クリフ・マクニッシュ／作 になったジョージ。学校ではいじめられていて、友 浜田かつこ／訳 金 の星社 だちもいない。そんなある日、ひょんなことから近 動物愛護センター「ハッピー・ポーズ」の５番犬 所の少年、セイファーのスパイ活動を手伝うことに 舎には、貰い手が現れる見込みのない犬が集められ なる。ジョージはばかばかしいと思いながらも、つ ている。犬たちは楽しく暮らしていたが、経営者が いセイファーに巻き込まれてしまうのだった。 変わり、見込みのない犬は殺処分されることになっ た。職員たちは必死で貰い手を探し、犬たちもそれ K933 ﾊｹ ぼくたちの相棒 に応えようとする。 ケイト・バンクス＆ルパート・シェルドレイク／ 著 K933 ﾏﾍ コービーの海 千葉茂樹／訳 あすなろ書房 引っ越してきたばかりのレスターは、前の家が恋 ベン・マイケルセン／作 しくてならない。一方、親友が引っ越してしまった 代田亜香子／訳 すず き出版 ジョージも、親友のいない毎日を楽しめない。しか ４年前、コービーは事故で右足をなくした。それ 34 以来、学校も家族もうまくいかない。片足でも気に イルカの子を助ける。イルカを守るために動き出す ならないのは、海の中だけだ。そんな時、コービー 中で、カラは同じように闘っていた母の思いにふれ は海でクジラの親子を助ける。周囲の人びととの交 る。 流を通して、コービーはクジラたちとともにゆっく K949 ﾄﾄ 踊る光 りと再生していく。 トンケ・ドラフト／作 西村由美／訳 岩波書店 魔法の火がともる灯台の守をしている男がいた。 K933 ﾓﾏ だれにも話さなかった祖父のこと マイケル・モーパーゴ／文 ある日、灯台守の妻がダンスパーティに行きたいと ジェマ・オチャラハ 言い出す。ダンスができない灯台守は反対し、ケン ン／絵 あすなろ書房 カになった。そこへ１人の男が現れ、灯台の仕事を マイケルの祖父は、戦争で一生消えない傷を負っ 教えてくれれば、代わりにダンスを教えてくれると た。その姿は怪物のように異様で、実の娘である母 言う。魔法使いと人間のおとぎ話６編。 さえ顔を直視できない。しかし、マイケルは祖父に 何が起こったのか知りたがった。祖父はマイケルに だけその経緯を話す。 K933 ﾓﾏ 走れ、風のように マイケル・モーパーゴ／作 佐藤見果夢／訳 評 論社 登校中、パトリックはグレイハウンドの子犬たち を助ける。そのうちの１匹を引き取り、大切に育て るが、ある日さらわれてしまう。犬はドッグレース の業者に売られ、良い成績を上げるが、そこにはレ ース犬の残酷な末路があった。１匹の犬と人びとと の出会いを描く。 K933 ﾘﾐ 戦火の三匹 ロンドン大脱出 ミーガン・リクス／作 尾高薫／訳 徳間書店 第二次世界大戦開戦時、イギリスではたくさんの ペットが安楽死させられた。犬のバスターとローズ、 猫のタイガーも、飼い主が疎開するため、安楽死さ せられそうになる。逃げ出した３匹は、助け合いな がらローズの故郷を目指す。 K933 ﾙｼ 白いイルカの浜辺 ジル・ルイス／作 さくまゆみこ／訳 評論社 海洋生物学者の母が行方不明となった。カラは母 が帰ってくると信じるあまり、今の生活が受け入れ られない。そんなある日、カラは、魚網で傷ついた 35 物語 物語 K913 ｶﾆ 向かい風に髪なびかせて 中学生 河合二胡／著 １・２年生 K913 ｲｴ ＡＢＣ！ 曙第二中学校放送部 講談社 中学２年になって仲良くなった友だちは、見目の 市川朔久子／著 講談社 良い子ばかり。小春は、次第に自分の野暮ったい外 曙第二中学校には、廃部寸前の放送部がある。み 見をどうにかしたいと思うようになる。しかし、彼 さとはある事情で２年から転部してきたが、やる気 氏の六輝はそんな小春を辛らつに批判する。コンプ がない。しかし、３年になって顧問の先生が代わり、 レックスと向き合う少女たちを描いたオムニバス。 新入生が入ると、みさとの心境にも変化が生まれる。 K913 ｸｼ いじめレジスタンス そんな時、クラスの美人転校生、葉月が放送部の実 力者だと知る。 黒野伸一／作 理論社 昭和４０年代の学校生活といじめについて描く。 K913 ｲﾐ 車夫 黒野は、小学生時代からいじめに義憤を感じていな いとうみく／作 小峰書店 がら、何も行動に起こせなかった。しかし、中学生 父が借金を残して失踪し、生活に耐えかねた母は のときにフランス人の青年と出会い、不当に立ち向 出奔した。お金がなくなり、高校を辞めた走の前に、 かう方法を自分なりに考えはじめる。著者の自伝的 陸上部ＯＢの先輩・前平が現れる。人力車を引く車 作品。 夫をやってみないかと誘われ、走は「力車屋」を尋 K913 ｺﾙ 思春期 ねた。オムニバス形式で、思い思いに走を見守る人 びとを描く。 小手鞠るい／著 講談社 暗く内気な「わたし」は、勉強も運動もうまくい K913 ｵｱ プラネット・オルゴール かず、友だちもできないので中学校が大嫌い。家で 小沢章友／著 講談社 は母の言動に苛立ち、居場所がないと感じている。 １２歳の夏休み、とおるは清里の「星の家」でゆ 夢も希望も持てず、自分の未来に不安を抱える思春 りかと出会う。みなしごで難病を抱えながらも、生 期の少女の心情を丁寧に描く。著者の自伝的作品。 きたいと強く願う彼女に、とおるは次第に惹かれて K913 ｻﾃ シンドローム いく。しかしその年の冬、ゆりかは死んでしまう。 １３年後、ゆりかの死を受け入れられないままのと 佐藤哲也／著 西村ツチカ／画 福音館書店 おるに、 「星の家」から手紙が届いた。 「ぼく」たちの街に、突然隕石が落ちてきた。現 場には大きな穴だけが残され、友人たちは宇宙人で K913 ｶｳ 歌う樹の星 はないかと疑う。「ぼく」は信じられず冷めていた 風野潮／作 ポプラ社 が、隕石の話がきっかけで、クラスメートの久保田 宇宙旅行が可能となった時代、水樹は植物と話せ 葉子と急接近する。そんな中、街では異様な事件が る特技をいかし、樹木医として未開の惑星に派遣さ 起こり始めた。 れた。そこで植物の言葉を話す少年、ジュリと出会 K913 ｻﾄ 六十一年ぶりの手紙 う。水樹のもとで預かることになるが、次第にジュ リを狙う謎の組織の影が見え始める。 佐々木智子／著 かもがわ出版 春海の祖母は、戦争で行方不明となった船乗りの 夫を、今でも待ち続けている。そこで「お別れ会」 36 K913 ﾋﾀ をして、区切りをつけることになった。ところがそ なりたて中学生 初級編 れ以来、春海は祖父に追いかけられる夢を見るよう ひこ・田中／著 になる。春海は、祖父の強い思いを感じ取り、その 鉄男は、引っ越し後も校区をこえ、今までどおり 最期を調べる。 講談社 の小学校に通っていた。しかし、卒業後は知り合い が誰もいない中学校に入学することになる。親友た K913 ｻﾐ 赤いペン ちと別れる卒業式から、緊張と不安に苛まれる中学 澤井美穂／作 中島梨絵／絵 フレーベル館 校の始まりの日々を、等身大の目線で描く。 夏野は、赤いペンにまつわる話を集めている。そ K913 ﾌｴ 雲をつかむ少女 のペンに出会った人びとの不思議な体験を聞いて いくうちに、１人の作家の存在が明らかになる。そ 藤野恵美／著 して、赤いペンの物語は、やがて夏野と謎の作家の 結衣はＳＮＳを使って、家でもいつもの友だちと 物語へとつながっていく。 講談社 交流している。ある日、クラスでは親しくない楓の メッセージが目に留まる。はじめは無視していた結 K913 ｼﾕ 美雨１３歳のしあわせレシピ しめのゆき／作 高橋和枝／絵 衣だが、しだいに楓の発言に共感していくようにな ポプラ社 る。オムニバス形式で、ネットと人の関わりを描く。 突然母が家出した。美雨は、何を考えているのか K913 ﾏﾐ 白をつなぐ わからない父との暮らしに戸惑う。しかし、無口で 不器用ながらも父なりの愛があったことを知り、し まはら三桃／著 だいに打ち解ける。２人は母に戻ってきてもらうた 全国男子駅伝大会の福岡代表として、中学生から め、自分の中の何かを変えようと決意する。 小学館 社会人までの選手が選抜された。本番前夜、福岡代 表の宿で白紙の手紙が見つかる。監督の熊沢は、そ K913 ﾄﾖ 天と地の方程式 １ 富安陽子／著 五十嵐大介／画 の白い紙を心にたとえ、真っ白な心をつなげと言う。 講談社 様々な想いを抱えた選手たちが、陸上と向き合う姿 生まれつきずば抜けた記憶力を持つアレイは、あ を描くオムニバス。 る日、不思議なサルの夢をみる。すると、アレイは K913 ﾔｽ いのちのパレード サルの予言どおりの学校へ転校することになり、そ こでクラスメイトとともに異空間へ迷い込む。命か 八束澄子／著 らがら脱出すると、夢のサルが現れ、２人が神に選 ある日、万里は親友のセナが妊娠していることを ばれた依代だと告げた。 講談社 知る。どう接していいかわからず、万里はセナに声 をかけられずにいた。一方で、２人と同じクラスの K913 ﾆﾖ 川床にえくぼが三つ 勇馬は、大好きな姉の出産を控えていた。いのちの にしがきようこ／著 小学館 誕生を巡る物語を、いろいろな視点から描く。 幼なじみの文音と華は、文音の叔母・楓子につい て、インドネシアの発掘調査に行くことになった。 K913 ﾔﾊ ぼくらと犬の小さな物語 慣れない風土に体調を崩しながらも、文音も華も次 杏、柊とワンコのおはなし 空、深雪、 第に現地の人びとと打ち解けていく。そんな時、文 山口花／著 音が何かの足跡を発掘した。大発見となったその事 空、深雪、杏、柊の４人は、小学生の夏休みに１ 件は、２人の関係に変化をたらす。 学研教育出版 匹ずつ犬を拾った。生まれつき色覚異常の空は、目 37 が片方しかない子犬シエルに自分を重ねていた。普 政治犯として両親が処罰されたため、孤児院で育 通ではないことをうとみ、受け入れてくれる幼馴染 ったアルカーディ。ある日、査察官の前で得意のサ からも距離を置き始めた空に、シエルがそっと寄り ッカーをやってみせると、そのうちの１人に引き取 添う。犬たちと４人の心の交流を描くオムニバス。 られることになった。他人同士の２人が、サッカー をきっかけに歩み寄り、本当の家族になっていく。 K913 ﾖﾏ 赤の他人だったら、どんなによかっ たか。 K933 ｶｻ マザーランドの月 吉野万理子／著 講談社 サリー・ガードナー／著 三辺律子／訳 小学館 風雅のクラスに、殺人未遂事件の犯人の娘が転校 無二の親友だったヘクターが消えた。ヘクターの してきた。しかも母が、彼女は遠い親戚だと言う。 家族は、国のある計画に逆らったのだ。同じ理由で 関係がないと思いながらも、血縁を意識すると無視 父母を奪われたスタンディッシュは、親友のため、 できず、しだいに風雅は彼女の力になりたいと思う 恐ろしい計画に１人で立ち向かうことを決意する。 ようになる。加害者家族の境遇を、第三者と当事者 難読症の少年が、独自の発想で世界の未来を切りひ の視点から描いた物語。 らいていく。 K929 ｼﾀ ぼくたちに翼があったころ K933 ｹﾘ ぼくと象のものがたり コルチ ャック先生と１０７人の子どもたち リン・ケリー／作 タミ・シェム＝トヴ／作 樋口範子／訳 岡本よ 若林千鶴／訳 鈴木出版 ハスティンは病気の妹の治療費を稼ぐため、サー しろう／画 福音館書店 カスで象のナンディタの世話をすることになる。ハ １９３０年代のポーランドで、ヤヌシュ・コルチ スティンは、雇い主の横暴や過酷な労働に耐えなが ャックが設立した孤児院での生活を描く。ヤネクは、 ら、ナンディタや仕事仲間のネミンさんに支えられ 別の孤児院でうけた暴行がもとで、走れなくなった。 て成長していく。少年と象の絆を丁寧に描く。 唯一のとりえを失ったヤネクはすさむ。しかし、コ K933 ｺｼ 失われたものたちの本 ルチャック先生と出会い、貧しさから救われること で、本当の特技を見出す。 ジョン・コナリー／著 田内志文／訳 東京創元 社 K933 ｱｳ 仮面の街 ウィリアム・アレグザンダー／著 母を亡くして間もなく、父が再婚して腹違いの弟 斎藤倫子／訳 ができた。デイヴィッドは、新しい家族になじめず、 東京創元社 継母や弟を憎らしく思うようになっていく。そんな 芝居を演じることが禁止されている街ゾンベイ。 ある晩、母の呼ぶ声に導かれ、デイヴィッドはおと ロウニーの兄は芝居をして警備隊に追われ、行方不 ぎ話の世界へと迷い込む。理不尽で残酷な世界を旅 明となった。兄を捜すため、ロウニーはゴブリンの しながら、少年は現実を受け入れ、大人へと成長す 芝居の一座にもぐりこんだ。ゴブリンたちも、街を る。 洪水から救うために、兄を捜していると言う。 K933 ﾊｱ ワンダー K933 ｲﾕ アルカーディのゴール ユージン・イェルチン／作・絵 Ｒ・Ｊ・パラシオ／作 若林千鶴／訳 中井はるの／訳 ほるぷ 出版 岩波書店 オーガストは生まれつきの下顎顔面異骨症で、普 38 通の顔ではない。中等部から学校へ通いはじめた彼 てきた。ところが、隣人になった老人ミックは一家 を待っていたのは、家族に守られていた今までとは を差別し、嫌がらせをしてくる。感じの悪い隣人だ 全く違う過酷な環境だった。偏見にさらされながら ったが、ある時、ミックが不良に絡まれているのを も、次第に自立していくオーガストの姿は、周囲の 見かけ、ハーヴェイは思わず助けに入る。以来、２ 人びとにも大きな影響を与えていく。 人の関係は少しずつ変化していく。 K933 ﾍｶ リフカの旅 K943 ﾌｺ 鏡の世界 カレン・ヘス／作 伊藤比呂美／訳 理論社 石の肉体 コルネーリア・フンケ／著 ユダヤ人迫害から逃れ、ロシアからアメリカへ移 浅見昇吾／訳 WAVE 出版 住した少女の旅路を描く。リフカは家族とアメリカ 失踪した父の書斎にある鏡は、冒険にあふれた異 へ渡る船に乗ろうとするが、皮膚病のため断られる。 世界への入口だった。現実の世界に弟を残し、ジェ １人ベルギーで療養した後、船でアメリカへ渡るが、 イコブは異世界に入り浸るようになる。それから１ 入国の検査でまた悪い結果が出る。いとこへ宛てた ２年後、不注意から弟が異世界に迷い込み、妖精の 書簡形式。 呪いを受けてしまう。ジェイコブは石になっていく 弟を救うため、奔走する。 K933 ﾍﾐ 神々と戦士たち１ ミシェル・ペイヴァー／著 青銅の短剣 K969 ﾃｼ ぼくのオレンジの木 中谷友紀子／訳 あ すなろ書房 ジョゼ・マウロ・デ・ヴァスコンセーロス／著 ある日突然、ヒュラスは恐ろしく強い戦士たちか 田翼／訳 松本乃里子／訳 永 ポプラ社 ら追われる身となった。命からがら逃げ出すが、幼 ゼゼーは、想像力豊かで頭が良く、５歳で読み書 い妹とはぐれてしまう。妹を探すヒュラスは、山の きができた。しかし、家族でさえゼゼーを理解して 中に身を隠すが、そこである男から青銅の短剣をも くれず、事あるごとに殴られる。唯一心を許せるの らう。以降、過酷な運命が次々とヒュラスを襲い始 は、庭のオレンジの木と、いたずらがきっかけで出 める。 会ったおじさんだけだった。 K933 ﾓﾏ 月にハミング K973 ﾊﾋ コミック密売人 マイケル・モーパーゴ／作 杉田七重／訳 小学 ピエルドメニコ・バッカラリオ／作 館 訳 杉本あり／ 岩波書店 イギリスのシリー諸島に暮らすアルフィは、父と 冷戦下のハンガリーでは、コミックを読むことが 共に漁に出た海で泣き声を聞く。声を頼りに無人と 禁止されていた。そんな中、シャーンドルはある男 なった島に入ると、そこには死にかけの少女がいた。 からコミックを仕入れ、仲間と密売していた。とこ 記憶と言葉をなくした少女は、一言「ルーシー」と ろが男が突然姿を消し、なんとか商売を続けようと 呟く。実際にあったルシタニア号の沈没事件を元に、 するも、校長にばれてしまう。抑圧された社会で、 生き残った少女を描いたフィクション。 自由に生きようとする少年たちの姿を描く。 K933 ﾗﾊ おいぼれミック K973 ﾊﾋ ＴＨＥ バリ・ライ／著 岡本さゆり／訳 あすなろ書房 を変える日 ハーヴェイの一家は、インドからイギリスに越し ＬＯＣＫ ぼくたちが”世界” １仕かけられたなぞ Ｐ．Ｄ．バッカラリオ／作 39 田中寛崇／絵 学研 プラス その他 文学 ピットは、頭が良すぎて周囲にとけ込めず、退屈 絵 な毎日を過ごしている。そんなある日、不思議な招 待状を受け取る。指定された場所へ行くと、いとこ K916 ｸｻ の兄妹や他校の同級生も集まっていた。彼らは世界 ィア 本 ひとりではじめたアフリカボランテ 渋谷ギャル店員 の危機を救うため、力を合わせて謎解きの勝負に挑 栗山さやか／著 金の星社 む。 渋谷でギャル店員として働いていた筆者は、親友 の病死をきっかけにバックパッカーへ。６０カ国を K993 ﾓﾌ パール街の少年たち モルナール・フェレンツ／作 巡る貧乏旅行の末にたどり着いたのは、アフリカの 岩﨑悦子／訳 コ モザンビークだった。たった一人でＮＰＯ法人を立 ヴァーチ・ペーテル／絵 偕成社 ち上げ、現地の人々を支援する筆者が綴ったノンフ １９世紀のブダペスト、ボカ率いる少年団は、パ ィクション。 〔中学～〕 ール街の原っぱを基地にしていた。そこへ、赤シャ ツ団が宣戦布告にやってくる。人数も腕っぷしもか K930 ｶﾙ 「エルマーのぼうけん」をかいた女 なわない相手に、ボカはリーダーらしく振舞いなが 性ルース・Ｓ・ガネット らも苦悩する。その窮地を救ったのは、仲間内でも 前沢明枝／著 一番ひ弱な少年、ネメチェクだった。ハンガリーで 子どもだけでなく大人にも広く愛され、教科書に １００年以上読みつがれてきた作品を復刊。 福音館書店 も掲載された作品『エルマーのぼうけん』。刊行後 すぐに「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン春 の児童図書賞」を受賞した作品が生まれた経緯と、 すばらしい作品を生み出すに至った作者の人生を、 インタビューを通して探る。 〔小中～〕 40 K217 ｺﾙ 主 題 書 あんずの木の下で もたちの太平洋戦争 小手鞠るい／著 K020 ｲｼ 本のことがわかる本 稲葉茂勝／文 能勢仁／監修 体の不自由な子ど 1～3 原書房 太平洋戦争の当時、体の不自由な子どもたちのた ミネルヴァ書房 め設立された学校「光明学校」の生徒は、学童疎開 近年、電子書籍などの普及により、本の定義が変 の対象外とされた。生徒を救うため自力で疎開先を 化しつつある。このシリーズでは改めて〈本〉につ 探した校長の奮闘と、子どもたちの苦しい生活を後 いて着目し、歴史や文字のはじまり、本の形や構造、 世に伝える一冊。 〔小中～〕 本に関わる仕事などを、豊富な写真とともに紹介す K217 ﾀｿ る。全３巻。 〔小低～〕 おじいちゃんが孫に語る戦争 田原総一朗／作 K167 ﾏﾅ 絵本で学ぶイスラームの暮らし 松原直美／文 佐竹美保／絵 下平けーすけ／絵 講談社 なぜ日本は戦争を始め、そして負けたのか。戦時 あすなろ書房 中、「戦争反対」という自由がなかったのはなぜな 日本の人口の１０倍以上の教徒を抱え、現在も増 のか。戦争が終わり、日本はどのように変化したか。 え続けているイスラーム。イスラームの基本的な教 日本を代表するジャーナリストが、戦争の恐ろしさ えや行動を、幼児向けの解説書をもとに客観的に記 と平和の大切さについて孫に語る。 〔小中～〕 す。巻末に各ページの解説あり。 〔小中～〕 K217 ﾁｼ K209 ﾃﾋ 兵士になったクマ ビビ・デュモン・タック／著 ヴォイテク 長野徹／訳 子どもたちへ、今こそ伝える戦争 子どもの本の作家たち１９人の真実 フィ 長新太〔ほか〕／著 リップ・ホプマン／絵 汐文社 講談社 戦後７０年が経ち、戦争を知らない世代が日本人 第二次世界大戦中のポーランドで、階級を与えら の大半を占める時代となった。次世代に戦争の悲惨 れ兵士となったクマがいた。ヴォイテクと名づけら さを伝えるために、幼少期に戦争を経験した作家た れたクマは、マスコットとして兵士たちを元気付け、 ちが、自身の体験を綴った一冊。巻末に楽譜、地図、 戦争に耐える気力を奮い立たせた。ヴォイテクを知 年表等の資料も掲載。 〔小中～〕 る人々の話を、物語化した作品。 〔小高～〕 K289 ｸﾃ K217 ｲｺ ヒロシマ８月６日、少年の見た空 きる １２歳５か月の戦没者 井上こみち／文 すがわらけいこ／絵 テンプル・グランディン自閉症と生 サイ・モンゴメリー／著 学研教 杉本詠美／訳 汐文社 タイム誌の「世界で最も影響のある百人」にも選 育出版 ばれた女性、テンプル・グランディン。動物愛護活 広島に落とされた原子爆弾により、１２歳５ヶ月 動家かつ食肉施設設計者でもある彼女が、自閉症を という若さで亡くなった杜夫。勤労労働中に亡くな 抱えながら見てきた生涯をまとめる。 〔小高～〕 った戦没者としては最年少に近い彼は、短すぎる生 涯をどのように過ごしたのか。戦争の無い本当の平 K289 ｸﾎ 和を願い、杜夫の姉が語った物語。 〔小中～〕 た １９歳の小学生 久郷ポンナレット／著 アイランド 41 学校へ行けてよかっ 久郷真輝／著 メディ カンボジアの内戦によって故郷を追われ、移住先 中心に写真で紹介。崩壊した建物に囲まれながらも、 で強制労働や差別を受けた筆者。家族や友人を亡く ガザの再建のため力を尽くす住民の姿から、戦争の し地獄のような日々を送りながらも、懸命に生き抜 悲惨さと平和の尊さが伝わる一冊。 〔小高～〕 き、難民として日本へやってきた。１６歳から１９ 歳までの３年間を日本の小学校で学んだ筆者が、自 K316 ﾛﾘ セルマの行進 身の半生を振り返る。 〔小中～〕 求めた戦い リンダ十四歳投票権を リンダ・ブラックモン・ロワリー／原作 K289 ﾂｼ わたしが外人だったころ 鶴見俊輔／文 佐々木マキ／絵 ペス・リーコック／原作 福音館書店 原作 アメリカで暮らしていたころ、自分は外人だった。 PJ ローラン／絵 エルズ スーザン・バックリー／ 渋谷弘子／訳 汐文社 １９６０年代、アメリカ南部のアラバマ州では、 戦争中の日本へ戻ったときは、日本人を外人だと感 黒人の有権者登録がほぼ不可能だった。筆者は黒人 じて過ごしていた。１６歳から１９歳までアメリカ の選挙権を求め、何度も刑務所に入れられながらも に留学し、戦時交換船で帰国した筆者が、当時の思 公民権運動を行った。当時最年少でセルマからモン いを振り返る。 〔小中～〕 トゴメリまでの行進に参加し、ついに投票権を獲得 した筆者の記録。 〔小中～〕 K289 ﾅﾏ 万次郎 地球を初めてめぐった日本人 岡崎ひでたか／作 篠崎三朗／絵 K366 ｲｼ 新日本出版 社 信じられない「原価」 買い物で世界 を変えるための本 日本では「ジョン万次郎」の名で知られる中浜万 1～3 稲葉茂勝／訳・著 こどもくらぶ／編集 講談社 次郎。海で遭難し、アメリカ人に助けられたことを 世の中には多種多様な商品が流通しているが、製 きっかけに、彼の人生は劇的に変化した。鎖国の時 造工場や工場の労働環境まで調べる消費者は少な 代において日本に西洋の文化を伝えた業績と、その い。低コストで商品を作る背景にある、劣悪な環境 数奇な生涯を描く。 〔中学～〕 下で働く労働者や、廃棄物により汚染される開発途 上国について考えるシリーズ。巻末に全巻索引あり。 K289 ﾔｷ きみ江さん 片野田斉／著 全３巻。 〔小中～〕 ハンセン病を生きて 偕成社 K366 ﾓﾄ 国の誤った政策により、根強い差別と偏見を受け 生きる 劉連仁の物語 隔離されてきたハンセン病患者。ハンセン病に対す 森越智子／作 谷口広樹／絵 童心社 る知識不足は、今もなお元患者やその家族の名誉を １９４４年９月、劉連仁は日本軍によって中国か 傷つけている。同じ悲劇が繰り返されないようにと、 ら連れ去られ、北海道の炭鉱で過酷な労働を強いら 山内きみ江さんが語った人生をまとめる。 〔中学 れる。逃げ出した彼は、家族に会いたいという一心 ～〕 で、北海道の山中で１３年間生き延びた。強制連行 の歴史を正しく理解するために、次世代に向けて書 K302 ｾｱ ガザ 清田明宏／著 かれた一冊。 〔小中～〕 戦争しか知らないこどもたち ポプラ社 ２１世紀に入り、既に４回の戦争が行われたガザ。 K367 ｲｺ 幸せとまずしさの教室 ６歳以上の子どもはみな３回以上の戦争を経験し ものくらしから ているこの都市で、戦争に苦しむ人々の姿を子ども 石井光太／著 42 少年写真新聞社 世界の子ど K374 ﾜﾏ 世界では約２２億もの人々が貧しい暮らしをし、 日本の人口よりも多くの子どもが児童労働に携わ どこがあぶないのかな？ 渡邉正樹／監修 っている。子どもたちは貧しさの中でどのように暮 1～5 池田蔵人／イラスト 少年写 真新聞社 らし、何を楽しみに生きているのか。幸せについて 私たちの生活の中には、さまざまな事故の危険性 見つめなおし、人生を豊かにするヒントを探る。 が潜んでいる。何が危ないのか、どのように行動す 〔小中～〕 れば安全なのか、身近な例をもとに、実際の風景を 背景に描いたイラストで紹介する。全５巻。 〔小 K369 ｱﾉ ３．１１復興の取り組みから学ぶ未 来を生き抜くチカラ 赤坂憲雄／監修 低～〕 1～3 K383 ﾋﾃ スマイルとうほくプロジェク すしのひみつ ト(福島民報社・河北新報社・岩手日報社)／編集協 日比野光敏／著 金の星社 力 日本図書センター 千数百年に渡る日本の歴史上で、すしの形は多様 未曾有の大災害である東日本大震災によって、被 に変化してきた。現在の形である握りずしが江戸時 災地には大きな傷跡が現在も残されている。しかし 代に生まれてからも、商売の形は時代に応じて変化 被災地の人々は創造的な復興を求め、試行錯誤をし を続けている。すしの歴史と秘密に迫る一冊。巻末 ながら活動を続けている。１８の復興ストーリーと にすし年表あり。 〔小中～〕 現地取材の写真から、人のつながりや未来を生き抜 K410 ﾙｶ く力を学ぶ。全３巻。 〔小高～〕 世界一おもしろい数の本 カリーナ・ルアール／文 K369 ｲｺ 野馬追の少年、震災をこえて 井上こみち／著 文 PHP 研究所 フロランス・ピノー／ ジョシャン・ジェルネール／絵 ポプラ社 教科書の中だけでなく、コンピュータや音楽、自 国内最大級の馬の祭りである、相馬野馬追が行わ 然の中にも数学の世界は広がっている。数学の得意 れる福島県相馬地区。東日本大震災により、人にも な子どもと苦手な子どもの平等を願って作られた、 馬にも甚大な被害が及んだこの地で、伝統行事の復 数学のおもしろさをイラストとともに紹介した一 活に尽力した人々がいる。余震や放射能の恐怖にも 冊。 〔小高～〕 負けず、復興のため努力する人々を記したノンフィ K446 ﾅｱ クション。 〔小高～〕 げっしょく 中西昭雄／写真 K369 ｶﾘ 原発事故に立ち向かった吉田昌郎と 旬報社 太陽と地球、そして月が一直線に並んだときに起 福島フィフティ 門田隆将／著 えびなみつる／絵 きる皆既月食。毎月起こるわけではないこの現象の PHP 研究所 メカニズムを、写真や図を用いて紹介。２０５０年 ２０１１年３月の福島第一原発事故。放射性物質 までに日本で見ることができる月食の表付き。 による汚染が拡がる中、壊滅を避けるため原子炉建 〔小低～〕 屋へと立ち向かった人々がいた。のちに海外メディ アから「福島フィフティ」と呼ばれた人々の思いと K450 ﾊｼ 真実に迫る。 〔小高～〕 にあえる旅 ジオパークへ行こう！ 林信太郎／著 川野郁代／絵 火山や恐竜 小峰書店 地形や地層から、地球や大地の成り立ちや人々と 43 の関わりを知ることのできる公園・ジオパーク。地 ンウータンは、一体どのような生活をしているのか。 球科学者の筆者が、ジオパークの魅力や楽しみ方を １９９８年より夏休みに実施されてきた、「ボルネ 解説する。料理を通して地学を学べる実験も、イラ オ・ジャングル体験スクール」への取材をもとに絵 ストとともに紹介。 〔小高～〕 本化。 〔小中～〕 K454 ﾆ 日本列島、水をとったら？ ル地形案内 K462 ﾅﾖ ビジュア 1～3 大津波のあとの生きものたち 永幡嘉之／写真・文 徳間書店 少年写真新聞社 ２０１１年３月に起こった東日本大震災から４ 海底や川、湖、島など、水のある地形に焦点を当 年。大津波をくぐりぬけ、たくましく暮らしていた て、水の中に隠された日本の地形や自然を探る。イ 生物たちは、復興が進むにつれて再び姿を消しつつ ラストや図、写真が豊富に使用され、日本の地形の ある。津波によって復活していた生物の写真ととも 謎を楽しく学ぶことができる。全３巻。 〔小中～〕 に、自然との共存について考える一冊。 〔小中～〕 K455 ﾄ K469 ﾀｲ 実験で学ぶ土砂災害 土木学会地盤工学委員会斜面工学研究小委員会 人類の誕生と大移動 ２２００万日で 世界をめぐる ／編集 土木学会 イアン・タターソル／著 山地が多く、土砂災害が起こりやすい環境にある 著 日本。土砂災害について模型実験から学ぶとともに、 ロバート・デーサル／ パトリシア・J・ウィン／著 西村書店 人類の祖先がアフリカで誕生してから、人類は一 災害発生時のより適切な行動を身につけることが 体どのように世界中に広がったのか。謎を解く鍵は、 できる。過去に発生した土砂災害の事例も写真等で 私たちのＤＮＡが持っていた。人類学により解明さ 紹介。 〔小高～〕 れた、人間の進化の道筋と世界中への大移動を、２ 匹のネズミとともにのぞく。 〔小高～〕 K457 ﾌﾖ イーダ 美しい化石になった小さなサ K473 ﾅﾄ ルのものがたり ヨルン・フールム／文 トルシュタイン・ヘレヴ ェ／文 エステル・ヴァン・フルセン／絵 かしこい単細胞粘菌 中垣俊之／文 斉藤俊行／絵 福音館書店 創元社 細胞を１個しか持たない単細胞生物。単細胞には ４７００年前の地層から発掘された美しいサル 「それほど賢くない」という意味もあるが、実験を の化石・イーダ。化石の調査から判明した、数千年 通して意外と賢い面もあることがわかってきた。単 前を生きたイーダの生活を絵本で紹介する。イーダ 細胞生物である粘菌の研究から判明した、知られざ と同じ時代を過ごした生物たちのイラストや化石 る生態や能力を紹介。 〔小中～〕 の写真も合わせて掲載されている。 〔小中～〕 K480 ｵｷ K462 ﾀｱ ボルネオでオランウータンに会う 太田京子／著 ケンタのジャングル体験 た かは しあ きら ／ぶ ん ありがとう実験動物たち 笠井憲雪／監修 岩崎書店 ヒトや動物の健康の増進や科学の発展のため、実 おお とも やす お ／え 験に使われる動物たち。動物を使って研究せざるを 福音館書店 得ない現在、実験動物たちが快適に過ごせるように ６年生のケンタは、野生のオランウータンに会う 世話をする技術職員がいる。一般には知られること ため、マレーシアのボルネオ島にやってきた。オラ の少ない、日本の動物実験に着目し、そのあり方を 44 考える。 〔小中～〕 ダン／作 汐文社 気候変動や狩猟、環境汚染などの影響により、絶 K480 ﾛﾁ レッド・フォックス 滅してしまった世界の動物たちを紹介。動物の特徴 カナダの森のキ ツネ物語 や絶滅に至る経緯を、イラストと合わせた解説で知 チャールズ・G.D.ロバーツ／作 ビングストン・ブル／画 チャールズ・リ 桂宥子／訳 ることができる。全３巻。 〔小中～〕 福音館書店 K485 ｴﾄ キツネの兄弟の中でも、群を抜いた強さと賢さを まちぼうけの生態学 アカオニグモと 持って生まれた「レッド・フォックス」。カナダの 草むらの虫たち 未開の森の中で、レッド・フォックスが厳しい野生 遠藤知二／文 の世界をたくましく生き抜いていく姿を描く。野生 草むらで出合った黄色いクモ「アカオニグモ」。 動物をリアルに描き、写実的動物物語というジャン 網を張り天敵から身を守りながら狩りをする、クモ ルを打ち出した筆者による一冊。 〔小高～〕 の生態に密着した。アカオニグモと草むらの虫たち 岡本よしろう／絵 福音館書店 の攻防を、昆虫同士の関わり合いを研究する筆者が K481 ﾅﾀ いそのなかまたち 中村武弘／写真・文 紹介。 〔小中～〕 ポプラ社 K486 ｼﾀ 磯の潮がひくとできる潮だまり。目を凝らしてみ アリとくらすむし ると、たくさんの生物が隠れているのがわかる。磯 島田たく／写真・文 に生息する多種多様な生物たちを紹介する写真絵 アリからえさをもらう虫、アリを食べる虫、アリ 本。 〔幼児～〕 ポプラ社 と助け合う虫など、アリはさまざまな種類の虫たち と関わりあって生きている。アリとともに暮らす虫 K481 ﾎｲ 密着！動物たちの２４時間 小宮輝之／日本語版監修 1～6 たちの姿をとらえた写真絵本。 〔幼児～〕 汐文社 K487 ｲｶ 環境の異なる土地に住む動物たちがどのような さかなだってねむるんです 生活をしているのか、一時間ごとに暮らしの様子を 伊藤勝敏／写真 嶋田泰子／文 ポプラ社 紹介する。各動物の解説に、人と比べたときの動物 ひっそりとした夜の海中で、魚たちは眠りにつく。 の大きさがわかるイラストがついており、想像力を 眠るときには外敵から身を守るために、体の色を変 かきたてる。全６巻。 〔小中～〕 えたり、岩陰に隠れたりと、いろいろと工夫をして いる。魚たちがどのように眠り、体を休めているか K482 ﾃﾀ 北極・いのちの物語 寺沢孝毅／写真・文 紹介する写真絵本。 〔幼児～〕 偕成社 K487 ｵﾍ 雪と氷に覆われた世界・北極。生物にとっては苛 アユは四季を泳ぐ 酷な環境でありながら、様々な種類の生物がたくま 大野平祐／文 しく生きている。北極に魅せられた筆者が、生物の 浜辺近くの海で生まれたアユは、春になると河口 命のつながりを写真でとらえた一冊。 〔小中～〕 石黒しろう／絵 文芸社 から川の中流域へ向かって川をさかのぼる。夏を川 で過ごしたアユは、秋になると産卵のために再び海 K482 ﾗｴ たち 世界の絶滅動物いなくなった生き物 へ戻っていく。季節とともに移り変わる、わずか１ 1～3 エレーヌ・ラッジカク／作 年あまりのアユの一生を、鮮やかなイラストから垣 ダミアン・ラヴェル 間見る。 〔小中～〕 45 K487 ｻﾄ ウミガメいのちをつなぐ岬 櫻井季己／文・写真 かつて絶滅の危機を迎えながらも、長年の保護活 少年写真新聞社 動により数を増やしたアホウドリ。しかしほとんど 静岡県御前崎市の海岸には、夏の夜、アカウミガ のアホウドリが住む小笠原諸島・鳥島は噴火の危険 メたちがやってくる。砂浜で産み落とされた卵は、 性があるため、ひなを安全な島へ移動させることと 保護活動として市内の小学生が飼育をしながら観 なった。アホウドリのひなを人間の手で育て、新た 察する。カメが生まれ、海に帰るまでの姿と、保護 な繁殖地を 作るという前代未聞の計画 を追う。 に携わる人々をとらえた写真絵本。 〔小中～〕 〔小中～〕 K488 ｼﾄ K489 ｻﾓ ぼくはフクロウを飼っている 下田智美／作 偕成社 天井からジネズミ 佐伯元子／文 山で、フクロウの羽を拾ったコウタ。フクロウを あべ弘士／絵 学研教育出版 作業小屋の天井から、モグラの仲間「ジネズミ」 飼いたくなったコウタは、両親のすすめでフクロウ の赤ん坊が落ちてきた。わずか３cm あまりの小さな がどんな鳥なのか調べることにした。生活や生態に 生物を放っておけず、家に連れて帰ったが、人間の ついて調べるうちに、コウタはフクロウの魅力と、 手で育てることは苦労の連続だった。試行錯誤の中 人間が飼うことの難しさに気づく。 〔小低～〕 で、小さな命を育てる物語。 〔小中～〕 K488 ﾄﾕ K489 ﾔｼ ノグチゲラの親子 沖縄やんばるの森 にすむキツツキのおはなし 渡久地豊／写真と文 ゴリラが胸をたたくわけ 山極寿一／文 小学館 阿部知暁／絵 福音館書店 ゴリラが自分の胸を叩く「ドラミング」。戦いを ノグチゲラは、沖縄島北部のやんばるの森にのみ 宣言し、相手をおどす行動だと言われていたが、観 生息するキツツキである。枯れ木に巣穴を掘って子 察の結果、離れたところにいる仲間と気持ちを伝え 育てをしていたが、台風により木が折れてしまう。 合うための行動だとわかってきた。霊長類研究者で 天敵に狙われる危険性が増した中で、雛は無事に巣 ある筆者が、ゴリラの生態や行動を紹介する。 〔小 立つことができるのか。たくましく生きるノグチゲ 中～〕 ラの親子の姿をまとめた写真絵本。 〔小中～〕 K490 ｼｶ K488 ﾌｺ こわれる森ハチドリのねがい 藤原幸一／写真・文 医者になりたい 島田和子／作 PHP 研究所 北住ユキ／絵 新日本出版社 女性の地位が低く何をやるにも困難な時代に、 南アフリカの森に住む「森の宝石」ハチドリ。リ 「医者になる」という夢を追いかけ実現させた４人 スザルやナマケモノとともに森で暮らしていたハ の女性がいた。苦難や壁を乗り越え勉学に励み、女 チドリだが、土地開発によりすみかを追われてしま 性が医師となる道を切り開く姿を描く。 〔小高～〕 う。環境破壊で森を追われた動物たちの姿を紹介す K493 ｵｼ る写真絵本。 〔小低～〕 放射能ってなんだろう？ ちいさな せかいのおはなし K488 ﾐﾄ ぼくはアホウドリの親になる 小倉志郎／作 写真 記ひな７０羽引っこし大作戦 田中等／絵 彩流社 人の目には見えず、被爆をしても人の感覚ではわ 南俊夫／文・写真 山階鳥類研究所／監修 偕成 からない放射能。被爆すると私たちの体はどうなる 社 のか、わかりやすく描かれたイラストに沿って紹介。 46 元原発技術者である筆者が、放射線が人体に与える K543 ｻﾐ 風くんと電気ちゃんの大ぼうけん 影響を伝えるため作成した絵本。 〔小中～〕 よくわかる風力発電のしくみ 斉藤道子／文 K495 ﾔｽ ちいさなちいさなベビー服 八束澄子／作 牛山泉／監修 林幸／絵 ポプ ラ社 新日本出版社 風車を回して電気を作る風力発電のしくみにつ 生まれてすぐに亡くなった赤ちゃんのために、ち いて、絵本仕立てで紹介。風くんや電気ちゃんとと いさなベビー服を作るボランティアグループがあ もに、再生可能エネルギーについて学ぶことができ る。ボランティア活動を体験取材しながら、医療関 る。見返しにさまざまな形の風車のイラストあり。 係者や母親へのインタビューを行った筆者が、悲し 〔幼児～〕 みの極みにある母親に寄り添う人々の思いを綴る。 K585 ｶ 〔小高～〕 世界遺産になった和紙 1～4 新日本出版社 K515 ｲﾋ 橋の大解剖 五十畑弘／監修 ２０１４年にユネスコ無形文化遺産に登録され あんな形こんな役割 岩崎書店 た「和紙：日本の手漉和紙技術」。その背景には、 川や谷を渡って人や物を通すためには欠かせな 日本人の和紙ばなれによって衰退の一途をたどる い橋。日本や世界にある特徴的な橋や、身近な橋の 和紙の保護がある。和紙の生産技術を後世へと残す 仕組み、橋と人々の歴史を探る。生活の中で意識さ ため、和紙についてさまざまな角度から紹介する。 れることの少ない、橋の魅力やおもしろさがつまっ 全４巻。 〔小中～〕 た一冊。 〔小中～〕 K588 ﾎﾏ K517 ﾊｼ １００年後の水を守る 天然氷をつくる 細島雅代／写真 伊地知英信／文 水ジャーナ かき氷 リストの２０年 橋本淳司／著 岩崎書店 「氷池」とよばれる氷づくり専用の池で作られる、 文研出版 自然の寒さでできた天然氷。１０cm もの厚さの氷を 世界には、汚染されている水をあえて飲まなけれ 採るためには、大勢の人の力と手間がかけられてい ばならない人々がいる。また日本においても、環境 る。製氷業を営む一家に密着したフォトドキュメン 汚染や水源売買など、深刻な水問題が存在する。水 ト。 〔小低～〕 ジャーナリストである筆者の活動を通して、将来の K616 ｶﾉ 水を守る方法を考える一冊。 〔小中～〕 稲と日本人 甲斐信枝／さく K538 ﾜｺ うちゅうへいこう！ 福音館書 店 わかたせんちょ うからのことば 若田光一／著・企画 佐藤洋一郎／監修 二千数百年前に日本に稲が伝わり、稲作りは瞬く 宇宙航空研究開発機構／ 間に日本に広まった。しかし現在のように安定して 著・企画 世界文化社 供給できるまでには、病虫害や冷害など、数多くの ２０１３年１１月７日、宇宙飛行士の若田光一は、 苦難があった。日本人と稲の共生の歴史が、情感あ ソユーズロケットに乗り宇宙へと旅立った。日本人 ふれる絵によって雄大に表現された絵本。 〔小高 初の国際宇宙ステーション船長に抜擢された筆者 ～〕 が、宇宙ステーション内部、宇宙食、宇宙から見た 地球の姿を、写真を中心に紹介する。 〔幼児～〕 47 K626 ｲﾄ 日本の伝統野菜 板木利隆／監修 真木文絵／編 したやなせたかし。内気で寂しがりやだった少年が、 石倉ヒロユキ 人の心を動かす作品を作り出せるようになった経 ／編著 岩崎書店 緯を、彼の生涯を通して見つめる。やなせたかしが 品種改良によって多くの野菜が流通する一方で、 編集長を務めた雑誌「詩とメルヘン」の元編集者で 各地域で古い品種である「伝統野菜」の普及が行わ あった筆者が手がけた伝記。 〔小中～〕 れている。懐かしい味として注目を浴びる伝統野菜 K757 ﾅﾚ の持つ魅力や特徴を紹介。巻末に都道府県別伝統野 菜リストあり。 〔小高～〕 はなといきもの な かや まれ いこ ／さ く 伊藤啓／監修 K626 ﾓﾐ あつめた・そだてたぼくのマメ図鑑 盛口満／絵・文 このいろなあに アト リエ モレ リ ／え 少年写真新聞社 身近な花や生物の色について、それぞれの部位と 岩崎書店 配色を詳しく説明した本。一般とは異なる色覚を持 ダイズやアズキ、ヒヨコマメなどの身近な豆から、 つ人にもわかりやすいように、色名が細かく書かれ 世界で一番大きな鞘をつける豆まで、豆の種子や鞘、 ている。巻末には、色の見え方や多様性について大 花などを綿密に描かれたイラストとともに紹介。も 人に向けた説明もあり。 〔小低～〕 やしができるまでや、豆を食べる虫など、豆の秘密 K769 ﾃﾐ がつまった一冊。 〔小低～〕 夢へ翔けて 戦争孤児から世界的バレ リーナへ K653 ｲﾕ 広島の木に会いにいく 石田優子／著 ミケーラ・デプリンス／著 偕成社 ス／著 約７０年前に広島に落ちた原子爆弾は、木々や草 田中奈津子／訳 エレーン・デプリン ポプラ社 アフリカの戦争孤児だったミケーラ・デプリンス。 花をも焼き払った。しかし、木々の中には奇跡的に バレリーナに憧れていた彼女は、養子となってアメ 命を取り留め、現在も広島を見守っているものがあ リカで暮らすこととなり、ついには夢見たクラシッ る。被爆樹木を辿って街を歩き、木に関わる人々の クバレエの世界に飛び込んだ。過酷な生い立ちや黒 話を聞くことで、広島の過去と現在を探る。巻末に 人への差別にも負けず努力し、夢を叶えた少女の自 被爆樹木マップあり。 〔小高～〕 伝。 〔小高～〕 K675 ﾓﾖ K782 ﾀｽ 「走る」のなぞをさぐる 築地市場 絵でみる魚市場の一日 モリナガヨウ／作・絵 小峰書店 高野進の走 りの研究室 日本一の水産物取扱量を誇り、日本だけでなく世 高野進／著 界中からも魚が集まる築地市場。魚市場が最も活気 少年写真新聞社 「走る」ことに焦点を当て、歴史や体の仕組み、 付く、夜中の１１時から朝の７時までの魚市場の様 動物と人間の違い、エネルギーの動きなど、多様な 子を、綿密にわかりやすく描かれたイラストで紹介。 側面から走ることの謎を探る。正しく走るためのコ 〔小中～〕 ツや基本動作、練習方法についても記載。 〔小中 ～〕 K726 ｶｸ 勇気の花がひらくとき やなせたか K786 ﾀｼ しとアンパンマンの物語 梯久美子／文 安全に楽しむ！子どもの山登り ～3 フレーベル館 子どもたちのヒーロー「アンパンマン」を生み出 田部井淳子／監修 48 鈴木出版 1 山の様子や服装、持ち物、山道の歩き方など、山 を、イラストとともに紹介する。数え方のおさらい 登りを安全に楽しむための基本的な事項が、イラス ができるクイズあり。 〔小中～〕 トや写真によってまとめられている。巻末に山の標 KT209 ｾﾒ 高やルートをまとめた、全国おすすめ山登りコース も収録。全３巻。 〔小低～〕 のぶちゃんの戦争体験 瀬川恵／文 石黒しろう／絵 富山大空襲 文芸社 昭和２０年８月２日未明、富山市で起こった「富 K798 ｲｼ じゃんけん学 山大空襲」。当時１１歳であったのぶちゃんは、家 起源から勝ち方・世界 のじゃんけんまで 稲葉茂勝／著 族５人で空から降り注ぐ焼夷弾のなかを逃げまど こどもくらぶ／編 今人舎 った。戦争７０年の節目にあたり、筆者が母から聞 いつでもどこでもできる遊び、じゃんけん。現代 かされてきた戦争体験を綴った一冊。 〔小中～〕 では「最初はグー」から始まることが多いが、実は KT686 ﾖｴ この決まり文句は昭和４０年代から使われ始めた。 黒部の谷のトロッコ電車 じゃんけんのルーツと秘密を、歴史的な資料に基づ 横溝英一／文・絵 福音館書店 いて解説する。 〔小中～〕 北アルプスの山々の間にある、険しい谷の入り 口・黒部峡谷。歴史的な難工事を経て、絶壁の谷間 K807 ｻｿ どうぶつことばあそび さはらそのこ／作 を走るトロッコ電車が造られ、多くの人々が行き来 岩崎書店 できるようになった。過去から現在に渡るトロッコ あいうえお作文や同音異義語、回文、かぞえうた 電車の歴史と、トロッコ電車とともに働く人々の姿 などを、リズミカルな文章に沿って紹介。鮮やかに を描く。 〔小中～〕 描かれた動物のイラストが、言葉のおもしろさを引 き立てている。 〔幼児～〕 K815 ｲｱ みんなでつくる１本の辞書 飯田朝子／文 寄藤文平／絵 福音館書店 細長い形をしたものを数えるときに「１本」と数 えるが、他にも映画の作品を数えるとき、剣道の勝 負を数えるときにも同じ数え方をする。どんなとき に、どういうものに「１本」という表現を使うのか。 日本語の数え方や言葉の意味を研究する筆者がま とめた一冊。 〔小中～〕 K815 ﾏｹ モノの数え方えほん 日本人なら知っ ておきたい！ 町田健／監修 ふわこういちろう／イラスト 日本図書センター 「個」「本」などのモノの数え方は、モノの大き さや形、使い方に合わせて、長い歴史の中で定めら れた。何気なく使う数え方に隠された５９のルール 49 選定基準 ①子どものために出版されたものであること。 ②子どもの知的、情緒的経験を広げることができること。 ③子どもの発達段階に応じた、理解しやすい内容であること。 ④絵本の場合は、絵と文の調和がとれていること。 ⑤ノンフィクションの場合は、知識が正確で時代の進歩に応じていること。 編集後記 ２０１５年は、戦後７０年という大きな節目を迎え、『せんそうしない』（講談社） や、 『六十一年ぶりの手紙』 （かもがわ出版）、『のぶちゃんの戦争体験 富山大空襲』 （文芸社）など、戦争と平和を考える作品が多く出版されました。次の世代に平和の 尊さを伝える作品を大切にしていきたいと、あらためて感じました。 また、２月には『いないいないばあ』 （童心社）や『モモちゃんとアカネちゃん』 （講 談社）のシリーズで知られる松谷みよ子さんが、１０月には『ぽっぺん先生』 （筑摩書 房）シリーズなど、独特の世界観を描いた舟崎克彦さんが、実り多き生涯を閉じられ ました。子どもたちはもとより、世代を越えて親しまれた方々でした。 そのほか、今年は『わすれものの森』（BL 出版）や、『パール街の少年たち』（偕成 社）など、長く読みつがれてきた作品が多く復刊されました。８月に富山市西町に移 転開館し、新しくなった富山市立図書館本館ですが、古びることのない良質な作品も 子どもたちに手渡していける場でありたいと思います。 （資料係：水島） ＊選定・執筆は、物語（小学校低・中・高学年、中学生）は崎川、絵本は水島、知識の本、 文学・ルポルタージュは清水が担当しました。 表紙掲載作品 『アンドルーのひみつきち』 『わらう』 ドリス・バーン／文・絵 千葉茂樹／訳 浜田桂子／作 福音館書店 『もうぬげない』 『ノックノック ヨシタケシンスケ／作 ブロンズ新社 みらいをひらくドア』 ダニエル・ビーティー／文 さくまゆみこ／訳 『めいちゃんの５００円玉』 なかがわちひろ／作・絵 『 ぼろイスのボス 』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ／作 『ワンダー』 岩波書店 Ｒ・Ｊ・パラシオ／作 光村教育図書 アリス館 野口絵美／訳 佐竹美保／絵 中井はるの／訳 ほるぷ出版 『「エルマーのぼうけん」をかいた女性』 『コービーの海』 ブライアン・コリアー／絵 前沢明枝／著 ベン・マイケルセン／作 福音館書店 代田亜香子／訳 すずき出版 徳間書店 平成 2８年 4 月２３日発行 富山市立図書館 本館 〒930-0062 富山市西町５番１号 TOYAMA キラリ TEL（076）461－3200 2012．4．23
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