調達活動 購買管理と外注管理 調達先の評価観点

生産管理論配布資料
調達活動
購買管理と外注管理
●調達:生産に必要な時期に,必要な品質,必要な数量の資材を
最小の費用で獲得するための機能。購買管理と外注管理
の2つに区別することができる。
-購買:自社の必要とする機能を持ち、規格化された資材を,既
に広く一般に形成されている市場から調達すること
-外注:自社の必要とする機能を持つ資材を,その指定の仕様
に基づいて特定の企業に製造もしくは加工の委託を行った
うえで調達すること
●購買は第2の利益源
●購買管理:「生産部門で使う材料・部品・消耗品等」に関する調達
行為。
●外注管理:「外注への委託」に関する行為
-外注の利用範囲(加工・組み立てから関連作業まで)
-売上高利益率10%の企業で利益を売上高の1%を増加させるためには、
売上を10%増やさねばならないのに比べ、調達に要する購入費を2%減
らすことで達成できる
損益計算書(単位:千円)
現行
1,000
500
400
10%
100
売上高
売上原価(資材)
売上原価(その他)
売上高利益率
利益
売上増
購入費減
1,100
1,000
550
490
440
400
10%
11%
110
110
① 単工程外注,
② 一貫外注,
③ ユニット外注
④ 完全外注, ⑤外注先設計, ⑥外注先調達, ⑦委託検査
●社外か社内かの判断観点
①
②
③
④
⑤
⑥
社内で製造できない、あるいは社内で製造するより高い品質が得られる技術である。
社内で製造するより原価が安い
需要変動があった場合、外注へ変動分を委託することによって調整弁とする
社内では需要総量に対応できないため、不足を補う。
設備・人・資材を調達する資金を節約する。
自社にとって労働条件のよくないものを委託する。(他社の方が設備の安全管理が
進んでいる)
⑦ 社内で行なうよりリードタイムが短い。
外注先の地理的条件と利用方針
調達先の評価観点
評価観点
技術的能力
管理的能力
経営的能力
地理的条件
特殊関係
内容
供給する材料や加工方法に関する技
術・人材・設備を保有しているか。
原価管理、工程管理の方法や改善へ
の取り組みは適切か。
経営者の能力・意欲、経営管理の体
制・組織等は適切か。
営業・製造・物流の拠点はどこにあ
るか。
資本関係や経営者同士の縁故関係な
どがあるか。
☆外注先は、購買先よりも地理的条件が重要
☆外注においては地理的条件によって利用方針を変えることが
必要
影響する点
品質
コスト、納期
長期的な関係維持
運搬コスト、納期
技術理解、機密保
持、関係維持
観点
発注量・金額
対象工程
近辺にある外注先
遠地にある外注先
少ない
多い
断片的仕事(単工程外注) まとまった仕事(一貫外
注、ユニット外注)
納期
重量
重量あたり単価
技術
急ぐ
重い
安い
汎用技術のメーカー
価格決定の手順・コスト要因
調達先の選定手順
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
候補企業の抽出
企業情報の収集
1次評価の実施
採否の決定
成績の把握
再評価の実施 ■基本情報
改善の支援
評価記録票
承認者氏名
対象会社名
商社/メーカー
評価者氏名
所在地
取扱品目
資本金
作成年月日
代表者氏名
電話番号
売上高
FAX
従業員数
改訂年月日
営業窓口氏名
eメール
◆購買価格の決定手順
① 取引基本条件の明確化
② 仕様の通知と見積り依頼
③単価の見積り
④単価の合意
⑤発注金額の決定
価格=材料費+加工費
+管理費
⑥再評価の実施
⑦改善の支援
評価ランク
評価ランク
5:最良
4:良
3:普通
2:改善要
◆外注加工の価格決定手順
①市場価格の調査
②見積り合わせ
③理論値の積み上げ
加工費単価=月間の総加工費÷月間の保有工数
=(1人あたり労務費×製造人数+月間の経
費+月間の減価償却費)
÷(
1人あたり月間
就業時間×製造人数)
④コストテーブルの利用
○年度当社購買金額
■評価
項目
納期
品質
価格
供給能力
経営能力
財務体質
当社への依存度
総合
余裕あり
軽い
高い
特殊技術の専門メーカー
構成要素
評価者コメント
コスト要因
共通
生産量 納期
材料費
材質 購入単位 納期
製造労務費
労務費単価 作業時間 寸法 仕上精度
製造経費
使用設備 使用金型 使用治具・工具 エネ
ルギー量
1:不適当
不適当が1項目以上ある供給者は、総合を「不適当」とし不採用とする
1
生産管理論配布資料
発注業務
検収業務
手順
内容
発注書の作成 購買者は、供給者と合意した単価と数量で発
注金額を算出し、発注書を作成する。
発注書の承認 発注書を精査し、発注先・発注品・数量・金
額・納期などの妥当性を評価して発注可否を
判断する。不正発生防止のために、承認者は
発注書の作成者の上司とすることが一般的で
ある。
発注書の送付 購買者から供給者へ発注書を送付する。FAX
や郵送が一般的であるが、コンピュータ間通
信を利用したEDIが使われることもある。
手順
物品の受け入れ
内容
・納入された物品を受け取る。それに付随する納品書や現
品票を受け取る。
・繰り返し使われる梱包材や容器がある場合は、梱包を解
体して梱包材等を返却する。
検品
・物品の品目名・数量・破損の有無を確認し、納品書・現
品票の内容・数量が一致しているかを確認する。さらに発
注残台帳の内容・数量と合致しているかを確認する。
受け入れ検査
・寸法などの製品特性を検査し、規格値に合致しているか
を判定する。
・生産設備などの受け入れでは、工場への据え付け・試運
転による評価などが行われる。
検収事務
・検品と受け入れ検査に合格したものを「検収済み」とし、
発注残台帳を消し込み、仕入台帳に記録する。
・供給者に対しては検収通知あるいは不合格通知を発行す
る。
督促と納期・品質 ・指定した納期日に対して遅延している場合、供給者へ督
の評価
促する。また納期達成率や受け入れ検査の合格率の統計を
取り、供給者を評価する。
戦略的購買の環境変化
●企業の中で購買の戦略的価値が増大している。近年、購買は、
高い戦略的業務レベルと位置付けられている
↓理由
購入資材の金額が企業支出の大半を占めるため
-装置工業:処方の複雑化と工程の統合化が同時進行
-組立工業:納入資材を原材料からパーツ、そしてユニットへの転換の進展
-急速なグローバル化の進展:はアジア各国の低コスト部品の増大
-購入資材:多品種化し、セットメーカーの調達金額も高額化
◎購買戦略として、調達先の集約化、サプライヤーとのオペレー
ション統合、VE/VAを実行する必要がある
調達を巡る考え方の変化
• 購買は、高い戦略的業務レベルと位置付けられる
– 購買改善によって利益が得られる→日産のリバイバルプラン

Why:どうして購買するのか→購買戦略

Who:誰が購買をするのか→集中か分散か

What
:何を購買するのか→内外作区分

When:いつ購買するのか→購買サイクル

Wher
e:どこから購買するのか→業者選定基準

How:どのように購買するのか→購買ルールの策定
戦略購買の考え方
安さを追求した購買方法
情報共有の視点
スケール・メリットの視点
サプライヤとの協業
他工場の購入実績単
価比較
全社のスケール・
メリットを最大限に
生かした価格交渉
・購入総量のコミットメント
・製造ロットを考慮した
発注量/タイミング
全社で行うべき方策を支える施策
• 調達の重要性
–
–
–
–
–
購買・外注管理における戦略的要素
交渉材料のナレッジ化
・品目別の全工場購入実績
・サプライヤ別購入実績
・市況価格(相場)
・業界情報/技術動向
・過去の交渉履歴
継続的な供給
在庫の最小化
品質の向上
サプライヤーの開発
総所要コスト最小化
まとめ買い
・個所別の発注量のまとめ
・発注タイミングの定期化
仕様の統一
・個所別の多種多様品目の
標準化/統一化/汎用化に
よる更なるロットまとめ
施策を支える基盤
品目特定コードおよび分類体系の全社統一、商取引の電子化(eマーケットプレイス等)
調達システムの構築
調達の重要性
◎可能条件:購買商品についての知識があること、企業としてある程度まとまった数
量を購入していること、サプライヤーが複数あり、競合関係になっていること
2
生産管理論配布資料
購買発注方式の選定
材料特性マップ
●調達からみた材料の特性
・製品の受注を受けてからでは調達が間に合わないもの
・最小発注量が1日の消費量より大きいもの
・現場に於いて,目で見る在庫管理をしたほうがよいもの
・ある程度の期間分をまとめた方がコストメリットの大きいも
の,あるいは生産性のよいもの
・日々の消費量のバラツキが大きく、予測できないもの
・単価は安いが,量が非常に大きいもの
納期面で問題ない領域
共
通
性
パトローネ
外箱
VE・VA
購買シェアードサービス会社
購 購 購
買 買 買
課 課 課
持ち株会社C
持ち株会社B
C
事
業
部
持ち株会社A
B
事
業
部
●VE:無駄な機能を省き,価値分析の機能を明確にし,コストの
引き下げを定めて,価値比率(機能と費用の相対比率)の最大
のものを選び,管理と技術とを統合化する活動
社長
ホールディング
販売部
A
事
業
部
・ サプライヤーが開発の初期段階から製品開発に関わることがコスト削
減に大きな効果がある
●VEを適用段階
ゼロルックVE:製品企画段階やサービスにおける活動
ファーストルックVE:設計時における活動
セカンドルックVE:購買段階や製品ができた後で行なう活動
●価値比率
V = F/ C
「価値(V)=機能(F)/原価(C)」
購買サービス提供
日産のリバイバルプラン
価値指数を高めるアプローチ法(VE/VA)

種類
関係式
意味
①コストダウン
V (↑)=F(→)/C(↓)
従来と同じ機能のものをより安いコストで作り提供する
Fを一定にし、Cを下げる
②機能向上
V (↑)=F(↑)/C(→)
従来と同じコストでより優れた機能のもの作り提供する
Fを上げて、Cを一定にする
③原価増以上に機能向上
④コストダウンと機能向上
納入リードタイムを縮めるべき領域
納入リードタイム →
購買シェアード
サービス会社
総務部
外注課
C
事
業
部
資材課
B
事
業
部
:物量中
:物量小
社長
販売部
総務部
A
事
業
部
:物量大
カートン
納期面では問題ないが
共通性を上げてコストダウンを
検討すべき領域
分散型
購
買
部
の大きさは
納入金額を
表わす
↑
購買組織
社長
遮光紙
樹脂缶
●材料特性に見合った発注方式のパターン
①都度発注方式
②定期発注方式
③定量発注方式(発注点管理方式)
④発注・納入指示分離方式
⑤現物直接管理方式
集中型
納入リードタイムを縮めるか
共通性を生かして見込み調達すべき領域
スプール
従来よりコストは高くなるがそれ以上に優れた機能を持ったも
V (↑)=F(↑↑)
/C(↑) のを作り提供する
Cを少し上げて、Fをもっと上げる
コストダウンも機能向上も同時に行われ,より優れたものをよ
V (↑)=F(↑)/C(↓)
り安いコストで作り提供する
Fを上げて、Cを下げる




1998年の購買コストは5兆5千億円で、この内部品資材
コストが3兆3千億円(60%)
購買コストを20%削減するために取引先を1,145社から
600社以下に絞り、取引量を増やす
保有していた1,390社の株式の売却
購買によるコスト削減目標‥2000年8%、2001年7%、
2002年6.5%
結果:2001年で20%削減達成、取引先741社へ削減、
2000年度の黒字化
・購買先の集約で調達コストが下がる
・系列で商売する時代は去り、力のある部品メーカが残る
出典:http://www.setsunan.ac.jp/kubolabo/files/seminar_1/02/017219.pdf#search='日産のリバイバルプラン'
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