臼田64mを使った 低周波電波天文学の観測装置 の現状

臼田64mを使った
低周波電波天文学の観測装置
の現状
講演者:村田泰宏
Contributers: 望月奈々子*、竹内 央、坪井昌人、土居明
広、朝木義晴、中島潔、山本善一(JAXA)、上原顕太、
山口健太郎*(東京大)、河野裕介、金口政弘、川口
則幸(国立天文台)、藤沢健太(山口大)
* 現在は所属が移動
概略
JAXAは、臼田宇宙空間観測所64mアンテナをはじめと
して、深宇宙探査機等の衛星の運用のために大口径
アンテナを所持している。1990年代より、「はるか」等
スペースVLBI計画のために、VLBI観測設備が整えられ、
その後、中止になったASTRO‐Gへ向けた、軌道決定の
ためのVLBIに必要な観測機器等が整備された。
その中で、特に臼田の64mアンテナは、野辺山45m
で観測できない、10GHz以下の低周波の観測が可能
な観測装置として、電波天文観測装置としても利用さ
れてきた。これらの周波数帯はSKAの周波数帯とも共
通で、今後の有効利用の可能性を考えるため、現状を
報告する。
天文観測ができるアンテナ
現在 JAXAの持っている追跡用アンテナは多数あるが、
そのうち現在VLBI用のバックエンド記録装置が使える
(もしくは、設置する計画がある。)のは以下の3つの
アンテナである。
• 臼田 64m アンテナ
• 臼田 10mアンテナ
• 内之浦34m アンテナ
臼田64m
• 「あかつき」、IKAROS, GEOTAILの追跡
• 観測可能帯域:C(4.7‐5.0 6.7 GHz), L(1.4, 1.6 GHz帯 S(2.2), X(8.4)
• バックエンド
– VSOPターミナル(JVN用)
– K5/VSSP 16ch (測地用)
– K5/VSI + ADS3000+ (軌道決定、広帯域観測など)
• 現在の観測実績
–
–
–
–
–
JVN観測参加
Radioastron
パルサー観測
「あかつき」からの電波を利用した太陽系天体の大気の観測
測地観測
• 運用には技術派遣者の経費が必要


臼田64m データ信号系
S.G.
(6.7G用
LO)
L‐Band
LNA
X-band NSは常設
X-P-CAL常設はRHCPのみ
IP‐VLBI
PC 1
IP‐VLBI
PC 2
IP‐VLBI
PC 3
IP‐VLBI
PC 4
K5/VSSP
K5/VSSP
K5/VSSP
K5/VSSP
L/R
L
C‐Band
D/C
C‐Band
LNA
K5
VIDEO CONV.
K3
VIDEO CONV. x10CH
100‐500MHz
L‐Band
D/C
NS / P‐CAL
(CAL BOX)
100‐500MHz
IF DIST.
CH‐A
IF DIST.
CH‐B
※アンテナ2Fから
運用室へ
IF SIGNAL DISTRIBUTOR
IF SIGNAL SELECTOR
FRQ UP CONV.
S‐Band LNA x2
L+R
Sampler I/F
L/R
S/X‐Band
D/C
7635 COMB GENE.
(S/X P‐CAL)
L+R
NS
NTK7638
VSOP Sampler
DFC‐2100
L/R
X‐Band LNA x2
TAPE REC.
DIR-1000
※局運用系へ
GB Sampler
ADS-3000+
HDD REC.
K5/VSI
GB Sampler
ADS-1000
UDSC64mデータ/CAL信号系
木村/坪井製
天文台
アセンブル
E/O
O/E
E/O
O/E
臼田10m アンテナ
• 「はるか」のリンク局として使用
• Up:15.3 GHz, Down 14.2 GHz (128 MHz BW)
• 鏡面精度 公称 0.4 mm rms
• ASTRO‐Gのリンク局として整備予定であった。
• 銀河中心VLBIモニタ観測に利用
• 22 GHzの受信機を搭載
• 銀河中心VLBIモニタ観測に利用
• 時間制限はほぼ無い。
内之浦34m
• 「すざく」、「ひので」、GEOTAILの追跡を20mと分
担して行う。
• 観測可能帯域:S, X
• バックエンド
– VSOPターミナル(JVN用)
– K5/VSSP 16ch (測地用)
– K5/VSI + ADS3000+ (軌道決定、広帯域観測など)
• 運用には技術派遣者の経費が必要
USC34m データ信号系
LHCP
RHCP
LHCP
RHCP
※局運用CAL
7635COMB GENE.
(S/X P‐CAL)
X‐Band LNA
X‐Band LNA
S‐Band LNA
S‐Band LNA
※局運用系へ
※CPL
‐20dBm
S/X‐Band
Down Convertor
2200‐2300MHz
8180‐8580MHz
BASE BAND
CONV.
IP‐VLBI
PC 1
K5/VSSP
※IP‐VLBI系
※テープ記録系
130‐330MHz(S)
100‐520MHz(X)
IP‐VLBI
PC 2
K5/VSSP
IP‐VLBI
PC 3
K5/VSSP
K4
VIDEO CONV.
※GB系
SAMPLER
DFC2100
TAPE REC.
DIR1000
GB SAMPLER
ADS‐3000+
HDD REC.
K5 / VSI
99.99‐500MHz
K4
LOCAL OSCILATOR
IP‐VLBI
PC 4
K5/VSSP
問題点
• 全体的に受信系の雑音温度が世界標準に対して高
い。S/X帯以外は後付けであること、技術が古いなど。
• S/X帯については、衛星運用のために必要な装備で
ある、送受信系分離器、バックアップ系円偏波変換
器、切り替え用の導波管スイッチなどがLNAの前に
常温で挿入され雑音を増加させている。
• L 帯はRFIの影響もきびしい。
• 現在VLBIバックエンドのみ。分光観測も可能である
がその後の処理のためのシステムが無い。
臼田64m に関する進捗
• フロントエンドの改良
– 衛星運用用X帯ポートの付加雑音が高いため、64m の口
径を活かし切れていない。また、このポートでは、取れる
帯域が300 MHz相当
受信専用ホーンに新冷却受信機を設置予定
– 4.7 ‐ 6.7 GHzを同時受信可能とするためのポーラライザ
Radioastron対応。大阪府立大と協力
• 広帯域VLBIへの対応
– D/C(法政大、天文台)+光IF+ADS3000+(ADS‐1000), K5/VSI
– 2偏波同時観測
電波天文向け共同利用
• ASTRO‐G開発時は、ASTRO‐Gの地上局の整
備のための試験観測
• JAXAのアンテナ(臼田64m, 内之浦34m)に装
備しているVLBIの観測機器と臼田10mが共同
利用対象設備として可能性を検討中
• 設備
– 臼田64m (1.4, 1.6, 2.2, 5, 6.7, 8 GHz帯) 、内之浦
34m (2.2 8 GHz)、VLBIバックエンド(分光可能)
• 2014/1/7に関連WSを宇宙研にて開催
(プログラムは近々アナウンスいたします。)