「L4-7の統合」が成長戦略の軸に

フォーカス
Key Person
古舘正清氏
F5 ネットワークスジャパン 代表取締役社長
「L4-7の統合」が成長戦略の軸に
様、事 業 比 率 で
SDASを推進しており、海外では統合
30% を占めるくら
プラットフォーム化が進んでいます。
いにまで成長させ
我々のADC 製品「BIG-IP」を利用し
ます。成長余 地の
ているお客様がソフトウェアを買い足
大きな市場であり、
ADC 市場でトップシェアを誇るF5が、
“ソフトウェアデファインド”時代の成
現在のL4-7は、A D C(アプリケー
して、同じプラットフォーム上にセキュ
売 上を5 倍 程 度
長戦略を打ち出した。今年 5 月に F5ジャパン代表取締役社長に就任した古
ションデリバリコントローラ)やファイ
リティを追加するという広がりが出て
にしたいで すね。
舘正清氏に国内における成長戦略を尋ねた。
アウォール、WA F(ウェブアプリケー
きています。
WAFとSSL-VPN
ションファイアウォール)
、アクセス制
これは、海外では L4-7のレイヤを
はすでに国内シェ
御等の機能を個別に提供するポイン
1つの統合されたインフラとして見る
アで 2 位につけて
トソリューションが多く使われていま
SDA S の考え方が浸透しているから
おり、近いうちに
● F5 ジャパンの成長 戦 略 の軸とし
て「 Software Defined Application
構成◎ 坪田弘樹
(本誌)
● Software-Defined Networking
(S D N)と同じようなビジョンと捉え
Ser vices(SDAS)」を打ち出しまし
れば良いのでしょうか。
す。これでは多くのアプライアンスを運
です。国内でもお客様に SDA S の概
トップを取ります。
た。SDAS は何を目指すものですか。
古舘 S DNもアプリケーション起点
用・管理しなければならず、要件の変
念を伝えて、インフラ構築のやり方を
As a Service 事業もポテンシャル
As a S er v ice 事 業については、
古舘 SDAS は、アプリケーションご
でリソースを割り当てるという点では
更に迅速に対応できません。
変えていきたいと考えています。
の大きな市場です。事業比率 15% 程
Si lverl i ne 等のサービスの販売・サ
とに最適なI T/ネットワークインフラ
同じですが、我々が強調したいのはレ
これらL4-7の機能をすべてソフト
度にもっていこうと考えています。
ポートのモデルを検討しているところ
をデザインできるようにすることを目
イヤ4-7
(L4-7)の重要性です。
ウェアとして 1つのプラットフォーム上
指した新しい概念です。
SDNによって、インフラを構成する
に集めてしまえば(図表参照)、運用
Silverline WAF」と新サービスを次々
インフラは、アプリケーションをセ
ハードウェアやソフトウェアはコモディ
管理も楽になりますし、同じアーキテ
と発表していますね。
キュアかつ快適に利用するためにあ
ティ化していきます。今後は L4-7が差
クチャで動いていれば要件変更への
古舘 ミッションクリティカルなアプ
古舘 ADCとセキュリティの成長は、
るものです。しかし、従来は別々に作
別化のポイントになり、ロードバラン
対応も容易になります。
リケーションに対してはオンプレミス
やはりSDAS が鍵になります。統合的
られて運用されていたために、新しい
シングやセキュリティ等のL4-7の機能
型でL4-7のソリューションを提供しな
なアプローチを進めていきます。
ナーへメッセージをお願いします。
要件にタイムリーに対応することがで
をアプリケーション単位に柔軟に割り
がら、重要度の低いアプリケーション
それには、我々自身 がお 客 様 の
古舘 入社後すぐシアトルの本社に
きず、ビジネスの俊敏性を阻害してい
当てられるインフラを作ることが求め
向けには S a a S 型で L4-7の機能を提
L4-7の現状を把握すること、お客様
行き、CE O に直談判して、日本市場
ました。アプリケーションを起点とし
られるのです。
古 舘 順 調 で す。グローバルでは
供していくというのも、我々の成長軸
にもビジネスにおけるL4-7の重要性
向けに専任の CQO(Chief Quality
てリソースを割り当てられるインフラ
F5 は、これを実現するために L4-7
2014 年度に対前年度比17%伸びてお
の1つです。
を認識していただくことが不可欠で
Officer:最高品質責任者)を置くこと
を作ることで俊敏性を向上させるこ
の「統合プラットフォーム化」が重要と
り、主要製品であるA D C のシェアは
す。そのため、お客様のL4-7がどのよ
になりました。世界で最も厳しい日本
とが SDAS の目的です。
考えています。
52.6%と市場の過半を占めています。
古 舘 F5ジャパンとして、毎年 20%
うな状態で、今後何をしていけば良い
の品質レベルを本社が理解し、それ
成長の要因は 3 つあります。セキュ
ずつ伸ばして、2019 年に売上を倍増
のかを診断・分析し、計画を立てるた
を製品開発にフィードバックするため
リティとソフトウェアの 2 つのビジネス
させるという目標を立てました。
めのアセスメントツールを開発しまし
です。日本市場へのコミットメントであ
た。現在 4 社でパイロット運用してお
るとともに、F5 の製品強化にもつな
図表 統合プラットフォーム化の推進
Before
ポイントソリューション
運用管理の複雑さ
アプリケーション変化への対応が困難
増大するアプリケーションに対する
セキュリティリスク
ハイブリッドクラウド対応が困難
アクセスセキュリティ(D 社)
テレコミュニケーション_ August 2015
Software Defined Application Services
運用管理の統一
アプリケーション変化への迅速な対応・自動化
ユニファイドセキュリティコントロール
ハイブリッドクラウド対応
ADC
ネットワークファイアウォール
WAF
アクセスセキュリティ
オーケストレーション:BIG-IQ
パブリック
クラウド
WAF(C 社)
F5
統合プラットフォーム
BIG︲IP
ネットワークファイアウォール(B 社)
After
プライベート
クラウド
ADC(A 社)
2
古 舘 F5 はすでに 2 年以上前から
日本の L4-7は遅れている
● 現在のビジネス状況はどうですか。
が急成長していること、そしてAs a
● A s a S e r v i c e 事業については最
近、
「F5 Silverline DDoS 防御」
「 F5
● 国内事業の目標を教えてください。
● 高い目標ですね。
日本品質をF5 の標準に
● どのようにして実現しますか。
です。セキュリティ専門家の採用など
人員・組織の強化も含めて検討してお
り、数カ月以内に具体的な施策を発
表できると思います。
● 最後に、新社長として販売パート
Service 事業の拡大です。
古舘 軸となるのは、ADC 市場にお
り、フィードバックを反映して他のお
がります。
ワールドワイドでは、WAFや SSL-
ける基盤をさらに強固にすること、そ
客様にも展開していきます。
また、これまで日本法人はアジア・
V PNといったセキュリティの売上が
して、セキュリティとAs a Service 事
こういったアプローチを取ること
パシフィックの組織の下にありました
F5 全体の売上の 3 分の1を占めるま
業の成長です。
で、パートナーのビジネスも変わって
が、今後は本社直結になります。F5
でになっています。残念ながら日本は
先ほど述べた通り、グローバルでは
きます。新たなSIビジネスが生まれる
がいかに日本を重視しているかがわ
この比率がまだ 1桁台で、
「セキュリ
ADC 市場シェアが 50% 超なのに対し
ことになり、インフラ構築を行うS Ier
かっていただけるでしょう。
ティもやっていたの?」とお客様から言
て、国内は 34.4%です。これを19 年ま
や、シスコシステムズ、V Mwa reと
今後も引き続き日本市場に対して
われることも少なくありません。
でに 50%にします。
いった SDNを推進するパートナーと
さまざまなコミットメントをしていきま
セキュリティ事業もグローバルと同
も協力していきます。
す。期待してください。
● 海外と日本の差は何が要因ですか。
テレコミュニケーション_ August 2015
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