色彩心理と運動パフォーマンス

色彩心理と運動パフォーマンス
―ユニフォームの色における勝敗結果―
田代
裕人
(生涯スポーツ学科
指導教員
キーワード(色彩心理
視覚
学校スポーツコース)
谷川 尚己
ユニフォーム)
Ⅰ.緒言
感神経を刺激し、脳波を興奮させる。そして、
色にはさまざまな効果があり、ハードルの色
筋肉反応を起こさせる。また、暖色系は、筋肉
を黄色や青色にするとタイムが良くなる報告
促進力を向上させる。引き分け以上の確率が高
も見られる1)。また、ユニフォームの色が赤色
いことから、敵味方関係なく色彩的影響があっ
と青色の場合、赤色のユニフォームの方が、勝
たと考えられる。白色などの無彩色は人の活気
率が良くなる。色彩がスポーツ場面や生活に心
を失うとされている2)。白色は、運動現場に向
理的反応を起こさせる要素があると考えられ
いていないと考えられる。緑色がどうしてこの
る。古藤ら1)らも色によって運動パフォーマン
ような結果になったのか理由付け出来ないが、
スが変化すると考えられている。今研究では、
芝生の緑と同化してしまい、見にくくなったと
ユニフォームの色によって運動パフォーマン
考える。
スがどのように変化していくか調べていきた
Ⅳ.まとめ
い。なかでも、敵味方を瞬時に見極めるコンタ
色彩心理と運動パフォーマンスには関連性
クトスポーツのサッカーの勝敗結果について
があることが今研究でわかってきた。シドニ
調べることとする。
「色彩と筋肉運動の
ー・L・プレッセイ2)は、
Ⅱ.調査方法
因果関係は非常に普遍的で原理的である。しか
過去、4 大会の試合結果をもとに調査してい
し、特異的な効果まで期待すべきでない」と言
く。勝率、引き分け以上、得点率、失点率をユ
っている。私は、今研究を通して民族によって
ニフォームの色別に検討していく。
色の感じ方が異なってくるのではないかと思
Ⅲ.結果と考察
う。民族によって眼の色が異なる。そのことに
4 大会通算の結果は、勝率、引き分け率とも
よって、色の感じ方は異なるのではないだろう
に黄色、青色、赤色、白色、緑色の順番に低く
か。それぞれの民族にあった色があるのではな
なっていた。得点率、失点率も近い結果であっ
いかと思う。まだまだ、色彩心理については、
た。黄色は人の目につきやすく、注意力を喚起
研究段階である。しかし、何らかの影響を与え
する色であり、他の色に比べ認識されるのが速
ていることは間違いない。私自身これからも研
いという色彩的特徴があり、神経系の中枢や根
究していきたいと考えている。
源となる脳神経を興奮させる色である2)。青色
参考文献
は、副交感神経を刺激し、血圧を低下させる。
1)古藤高良他(1985):色彩が運動パフォーマ
それにより、集中力を向上させ、冷静にさせる
ンスに及ぼす影響の運動学的研究(その 1)
.
力があると言われている 。また、黄色、青色
筑波大学体育学科系紀要(8) 77-83,1985
の共通点がある。それは、視野が広いことであ
2)フェイバー・ビレン(2009):ビレン色彩心
る。視野の広さは、重要だと言える。赤色は、
理学と色彩療法.青娥書房
勝率は悪いものの引き分け以上の確率は高く、
3)山脇惠子(2010):色彩心理のすべてがわか
負けない試合をしていたといえる。赤色は、交
る本.ナツメ社
3)