日本システム技術 - JAST 日本システム技術株式会社

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企 業
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日本システム
日本システム技術
システム技術
平 林 武 昭
(ヒラバヤシ タケアキ)
日本システム技術株式会社社長
新製品の拡販と研究開発投資の収束で
連続増収増益へ
◆2007年3月期トピックス
当期の連結損益は、売上高97億11百万円(前期比22.7%増)、経常利益3億89百万円(同249.2%増)と、
増収増益となった。
主力のソフトウエア(受託開発)事業では、多くのオファーを頂いた上に品質管理も最良のレベルで行えた
ことで、採算性の悪化したプロジェクトを極めて少なく抑えることができ、14.6%という2001年3月期上場
以来最高の営業利益率を達成した。
パッケージ事業では、2005年3月期より行っていた大学向けパッケージの全面リニューアルが収束に向か
い、当期中に「GAKUEN UNIVERSAL PASSPORT EX」、「GAKUEN REVOLUTION EX」学務系およ
び「GAKUEN EX」学務系の3製品をリリースした。当期の製品研究開発費は7億40百万円である。大規模な
開発投資により多額の営業損失状態が続いていたが、今後は収益回収局面となり、進行期以降のV字回復への
起点と位置付けている。
また、2006年9月末日付で文教マーケットに強みを持つアルファコンピュータ㈱をM&Aにより100%子会
社化、システム販売事業に進出した。この提携により、ハード・ソフト・インフラをワンストップサービスで
大学に提供できる体制が整った。連結従業員数は6月現在約640名、単独では600名強である。連結子会社は
先述のアルファコンピュータ以外にシンガポールおよびタイの在外子会社を合わせて計3社である。
◆日本システム技術(JAST)グループの特長
JASTグループの特長としては、第一に理念重視の経営を掲げている。理念なき企業は虚業であるとして、
社員の人財教育に徹し、最新の技術と誠心誠意のサービスを提供することで、顧客からの高い信頼を得続ける
ことをモットーとしている。この基本精神は今後も順守していく。
第二に、広範な情報サービスの提供を行っていることである。以前より、ソフトウエアの個別受託開発を行
うソフトウエア事業と、ソフトウエアパッケージの開発・販売を行うパッケージ事業の二つを事業セグメント
として展開しており、さらにアルファコンピュータ㈱の子会社化によって、当期より三番目のセグメントとし
てシステム販売事業(ハード・ソフトの販売、ITインフラの構築)に乗り出した。ソフトウエア事業において
は、ビジネスアプリケーション(事務処理系システム)のみならずエンジニアリングアプリケーション(制
御・技術系システム)も領域としており、携帯電話組み込みソフト、CAD/CAM等のシステムに多くの実績を
上げている。また、売上規模は小さいが、プロ野球の公式記録データベース(NPB-BIS)や陸上競技などス
ポーツ・文化・イベント関連システム等のイベントアプリケーションなどもカバーしている。
第三に、大手優良企業との長期にわたる直接取引による安定した業績が挙げられる。富士通、NTT、松下
電器産業、日本IBM、本田技研工業、IHI、電通、ダスキン(売上高順)の8企業グループ向けで、総売上の
70%以上を占めてきた。なお当期では、新規顧客の開拓や新事業セグメントへの進出により、この比率は67
%に減少している。
第四に、国内拠点として大阪・東京に当社、東京にアルファコンピュータ(連結子会社)およびビー・エ
ヌ・アイ・システムズ(資本参加のみ)があり、また、早くからアジアの重要性を予見してシンガポールとタ
イ(いずれも連結子会社)および中国(提携先会社の子会社)にネットワーク拠点をつくってきた。
第五に、国内トップシェアの大学向け業務パッケージの開発・販売で実績を持つことである。大規模な総合
大学から小規模な短期大学・単科大学まで、基幹業務統合パッケージによる大学経営改革ソリューションを提
供している。現在、国内に大学・短大合わせて約1,200校があり、学内業務の情報処理システムとしてパッ
ケージを導入しているところはその半数以下とみている。また、このうちJASTのパッケージは230校以上の
大学・短大で使用されている。
最後に、その他の特長として、①新卒入社の社員を長期的に育成する「人財」重視の施策を採っているこ
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と、②SI企業各社で広範に行われている協力会社への「丸投げ」による業績拡大政策は採らないポリシーであ
り、社員中心の開発プロジェクト編成を堅持することによって高品質・高信頼性を実現していること、③個人
別、プロジェクト別など、30分単位での費用状況が把握できる厳格な個別原価計算制度によって不採算発生
リスクが最小に抑えられ、高収益性を維持し得ることなどが挙げられる。
◆2007年3月期の業績について
執行役員財務部長 大門紀章
まず、売上は前期比22.7%の増収となった。この中には連結子会社となったアルファコンピュータの半期
分の売上が新たに加算されているため、これらを除いたJAST単体の売上は約11%の増収である。営業利益が
前期比249.2%増、経常利益が同221.8%増と飛躍的に伸びている主な要因は、主力のソフトウエア事業が営
業利益率14.6%の高パフォーマンスで推移したこと、並びにパッケージ事業の研究開発費が前期8億40百万円
から当期7億40百万円と、約1億円減少した費用減の効果があったことによるものである。当期純利益(前期
比22.8%)については、2006年3月期には過年度税金の更正・還付分による利益増が約5億60百万円含まれて
いた影響で6億5百万円と創業以来の最高益となっており、それを除けば当期は実質増益ととらえている。ま
た、当期は3月にリリースされた税効果関係の会計指針改定に伴い、役員退職慰労引当金に係る繰延税金資産
の取り崩しを行った結果、約1億円の税金等調整額の追加発生があったことも含む。
セグメント別の業績については、まずソフトウエア事業は、不採算案件がほとんどなく堅調に推移し、売上
が前期比13.4%増、営業利益が同30.3%増の大幅増益となった。業種別では通信業・金融業向け案件が特に
好調であったのに対し、流通・サービス業向けが微減、製造業向けは減収となり、これらプラス、マイナスの
結果としての増収・増益である。
パッケージ事業は、売上が前期比3.1%の減収となった。製品開発のための先行投資から新製品リリースに
よる収益回収へとステージが切り替わる端境期に当たるため、新製品の発表を控え、PP(プログラムプロダ
クト)の販売がやや停滞した。一方、営業損失は、売上が微減ながら研究開発費の減少によって損失幅が約
15百万円減の7億63百万円となった。進行期には研究開発費が当期の約三分の一以下に減少することに加え、
新製品のラインアップがそろい収益回収の体制が整うため増収に転じ、損失額は激減する予定である。
システム販売事業にはアルファコンピュータの半期分の業績が反映されている。売上高8億80百万円に対し
6百万円の営業損失となっているが、半期分ののれん償却33百万円が含まれているためであり、アルファコン
ピュータ単独の業績としては黒字である。
分野別売上構成比では、新たにシステム販売事業が9%のシェアを占めていることを除けば、既存部分事業
のトレンドは前期までと大差なく、ビジネスアプリケーション58%、エンジニアリングアプリケーション20
%、イベントアプリケーション1%、アウトソーシング2%、パッケージ事業9%の内訳となっている。特にビ
ジネスアプリケーションにおいて通信業・金融業向け案件が共に拡大し増収の牽引役となった。
パッケージ事業における品目別売上構成は、PP販売(学校経営統合パッケージの販売収益)17 %、導入
サービス(パッケージ導入の際のコンサルティング等の収益)8%、パッケージ保守(年間契約による無償
バージョンアップや各種サポート対応)22%、EUC開発(パッケージ導入に伴う周辺システムおよび個別仕
様部分の受託開発)38%、仕入れ販売(パッケージと同時に販売するハードウエア等の仕入れ販売)15%と
なっている。
顧客主要グループ別売上構成では、既存2事業部分では先に紹介した主要8顧客グループのシェアが依然70
%以上を占めている。しかし、8グループ以外のその他企業との取引が漸増傾向にあり、この中から徐々に準
大口顧客が生まれつつあることは好ましい傾向と考えている。例えば、ソフトウエア事業においてはクレジッ
ト・カードビジネス関連の案件、銀行との直接契約、外資系企業(マイクロソフト等)との取引などが規模拡
大しており、パッケージ事業では日本IBMに続く大手ベンダー(大塚商会・内田洋行等)との取引量が増加し
ている。システム販売事業では首都圏の大規模大学との直接取引が新たにその他グループに含まれている。
最終顧客の業種別売上構成については、通信業向け32%、教育機関向け19%、金融業向け18%、サービス・
流通業向け15%、製造業向け11%、官公庁・その他向け5%と、各産業に幅広くバランス展開するトレンドに
変化はない。当社では特定分野に深く特化し過ぎることはむしろリスクととらえており、一つの産業や分野の
景気変動の波風を受けることなく、お互いに補完し合って長期安定的に成長できることが逆に大きな強みであ
ると考える。当期のトピックスとしては、通信業が特に順調に推移したことが挙げられる。通信キャリア向け
の社内システム系、料金システム等公共系、携帯電話等組み込み系システムの主要3分野がすべて増収となり、
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通信業全体で4割近い増収となった。教育機関向けは、アルファコンピュータの連結化によりシステム販売事
業がスタートしたことで第2シェアに上がった。
◆2008年3月期計画および今後の構想
社長 平林武昭
売上高は創業以来初の100億円を超す115億円(前期比18.4%増)と見込んでいる。進行期よりアルファコ
ンピュータの業績が通期で寄与することによる増加分と、既存2事業の増収が各9%の内訳である。営業利益
は9億15百万円(同134.7%増)、経常利益9億10百万円(同124.5%増)と2年連続のジャンプアップを計画
している。パッケージ事業の研究開発費激減並びに新製品の拡販によって全体の増収率を上回る増収率を同事
業で設定していることが、大幅増益の最大要因である。当期純利益は、税還付や税効果といった一過性の変動
要因がすべて払しょくされたため経常利益見合いの適正値に戻り、4億70百万円(同239.6%増)と、こちら
も大幅増益を予定している。
配当については、当社の基本方針に基づき、安定的・継続的配当を維持し、5円増配の1株当たり配当金25
円を予定する。
毎年既存社員の約10%の人材増強を図ってきたが、ソフトウエア事業のさらなる成長のため開発体制の増
強・充実を最重要課題として、来年度の目標採用数は100名としている。また、当社の理念に合致するM&A
には前向きに対応する。ほかに対処すべき課題として、①品質管理の徹底で赤字プロジェクトゼロ、②「人
財」の強化・育成、③ビジネスパートナー(外注先)との関係強化による動員力増強、④パッケージ事業を核
とし、文教ビジネスを高収益体質に転換してそのシナジー効果を発揮、⑤成果主義・能力重視でありながら豊
かさを追求する人事・厚生制度、などの施策実行に取り組んでいく。
2009年3月期については、ソフトウエア事業は体制拡大施策の成果発揮と徹底したプロジェクト管理の継続
で再び拡大路線に乗せ、パッケージ事業は新製品のリリースが通期で寄与し投資回収局面に入り、システム販
売事業は大手大学からの継続取引とパッケージ事業のシナジー効果発揮で安定収益と、連続増収増益のイメー
ジを描いている。
(平成19年6月13日・東京)
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