“良品とほぼ同じ”を検査する 自動外観センサ「FIS-100」

株式会社オービット
“良品とほぼ同じ”
を検査する
自動外観センサ
「FIS-100」
株式会社オービット/山田宏和
目視検査の自動化を検討する際に「目視検査同等」が求められることが多いが、その実現は容易
ではない。一方でグローバル市場においては、厳しく外観を検査された高コストな製品は求めら
れていない。
自動外観センサ「FIS-100」において、簡単な操作で「良品とほぼ同じかどうか」を検
査することでクレームに繋がるような欠陥は確実に検出でき、また良品との違いを定量化するこ
とで過剰品質をコントロールできるようにした。
クレームゼロ・過剰品質緩和・コストダウン。考え方を変えれば目視検査の自動化は難しくない。
1
人は感情で検査する
差がないことではないだろうか。
「どこから見ても
傷ひとつない」ことはどの程度求められているだ
目視検査は感覚的であるがゆえ自動化が難しい
ろうか。日本人なら気にする人もいるかもしれな
といわれる。さらに進んだ言い方をすれば目視検
い。しかしグローバルで考えた場合、傷ひとつな
査は感情的である。目視検査員は「流出させたく
いが高コスト、多少の傷があっても低コスト、ど
ない」と考えるため、手で角度を変えて見えるよ
ちらが求められているかは明白である。
うにして見る、見なくてもいいものも見る、さら
海外でのモノづくりを考えてみる。海外の現場
に「なんとなく」と見えないものを見ることさえ
は「日本人ほど几帳面でない」ことを自覚してい
ある。そのため必ず過剰品質になり、良品レベル
る。最初から目視検査なんか信用していない。そ
でも破棄している。一方、目視対象物のほとんどが
れゆえ弱点を補強するために積極的に検査装置の
良品であり、たまにしか不良品は発生しない。そ
導入を進める可能性が高い。多少検出能力が劣っ
のため集中力を持続させることは非常に困難であ
たとしても「几帳面でない」ため、見にくいもの
り、とんでもない不良品の見逃しが時として発生
は検出できなくていいと割り切る。そもそもク
する。とんでもない不良品の見逃しが発生すると
レームはクレームになるような不良品を、クレー
検査仕様書を強化し、さらに管理を厳しくし、さ
ムだと感じる人が受け取ってはじめて発生する。
らに過剰品質になる。しかし、人間がする作業ゆ
受け取る側も「几帳面でない」とクレームは発生
えゼロにすることは難しい。このように目視検査
しない。よって簡単にクレームゼロは実現される。
は見逃しと過剰品質の原因と考えることができる。
また見にくい欠陥は検出されないため良品率も上
そもそも日本品質とは何かを考えたい。世界に
がる。「目視検査?もう要らないよ」となり、さら
誇る日本の品質は、性能が高いこと、気の利いた
に検査装置の導入は加速する。
機能をもつこと、壊れにくいこと、さらには個体
日本の現場はどうか。検査装置導入の必要性は
eizojoho industrial
January 2013︱31