5 - dreamsongs18

ポップス批評5
100円からのCD批評 マークポイ
ント
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<21>J-ロック
・ディアマンテ
ス:DIAMANTES
「CONQUISTA/コンキ
スタ」 100円 {Mercury/1995年発売
日本盤未開封} 柏
にて
VOL.5
<評価>
安くても買って損した
どうでも良い
まあ、いいんじゃな∼い
かなり満足できた
非常に満足、してやったり!
沖縄とラテンの結合という我が国ではこれ以上な
い私好みのコンセプトで活動しているディアマンテ
ス。アルルト城間を中心としたペルーの日系移民三
世が何故かサルサと出会い、沖縄に来た事から生ま
れたサウンドは、キャッチーでスパニッシュ&日本
語ちゃんぽんのまさにチャンプルーこそスゴイパ
ワー。三線(さんしん)とラテンロックサウンド、
日本語と琉球コトバにスパニッシュとこうした精神
の在り方がユニークかつ力強いオリジナル性を保っ
ている。彼らが広めたコトバで『ガンバッテヤン
ド』というフレージングは、「頑張る」にスペイン
語の不定法;∼do(英語の∼ingみたいなもの)が
ミックスされたもので、言葉としてスペイン語ニュ
アンスがピッタリなのである。そうした感性の有り
様こそ、日本語の歌詞がスペイン語とゴタマゼに
なっても自然に聞える優れたセンスなのだと思う。
サンタナのギターみたいなフレージング(正確に
いうとホルヘ・サンタナの音に一部クリソツ!)も
出てくるが、サウンドアレンジのベースにサンタナ
の影響が見て取れる。リズム自体はそれ程ずば抜け
た感覚は感じられないが、その辺りがペルー出身の
弱みであり、一方でメロディラインの情緒はオキナ
ワと日本の歌謡が溶け込んでるのでリズムがタイト
すぎると反対に味わいが無くなるかも知れない。 このCDには収められていないが、アルベルト城間の
弾き語りで聴かせるバラッド(時々TV3CHのスペイ
ン語講座などで披露)は良い味があり、そういった
コンセプトでスペイン語ラブバラッドを出したら良
いのにとおもっちる、メンソ∼レ。 満足度/●●●
(購入日:1996.8)
ポップス批評5
<22>ポップス
・Linda Ronstad
[FRENESI/情熱] 400円
購入 {EPIC/1992年
日本盤} 柏にて
<23>ポップス
・Lanra Fygi [瞳のささ
やき/INTRODUCING]
480円 {MERCURY/1991年発
売国内盤} 柏にて
ヒスパニックアメリカンであるリンダ・ロンシュ
タットの全曲スペイン語盤CD。この人のポップスア
ルバムは昔からどこがいいのかわからず興味ない
が、スペイン語で歌っているアルバムでしかもマン
ボやラテンの名曲を集めたものとくればやはり食指
は伸びる(80年代後半メキシコ歌謡ランチェラなど
を集めたアルバムも出しているが、この路線もヒス
パニックピープルを意識している)。 オーケスト
ラのアレンジが50年代マンボブームから60年初頭の
ティト・ロドリゲス風なとこが非常に良い、正解で
ある。意識してこういった手法を使うのがこのCDの
プロデューサー、というよりリンダ長年の良き相棒
のピーター・アッシャーの十八番。丁度アメリカで
はマンボブームの再燃とやらでトレンドだった時期
にリリースするサスガ商売人!選曲は表題曲、「ペ
ルフイディア」「キエレメムーチョ」など懐かしの
ヒットをとりあげ、ポップスファンにも嬉しい限り
である(というのはチト誉めすぎかもね)。本場ラ
テンポップスの真髄には遠いが、この人のジャズア
ルバムよりもマシ。ただ、相変わらずこの人のボイ
スはあまり感じさせてくれない。私にはあまり縁の
ない歌手である事も再認識した次第……。 満足度/
●●● (購入日時/ 1998.9)
エキゾチックなオランダの美人歌手ローラ・フィ
ジィ。サイドマンには、ハーモニカのツーツ・シー
ルマンス、ギターのフィリップ・カテリーンなど
ヨーロッパのジャズマンを従えて15曲披露。しっと
りとした情感で聴かせるヨーロッパの歌手はこうし
た雰囲気作りがうまい。何気なく歌っていてムード
が出せるのは、伝統と文化の賜物かな?1曲目のビ
リー・ホリディで有名な「グッドモーニング・ハー
トエイク」からムードたっぷりだし、「柳よ泣いて
おくれ」などのジャズナンバーは、どちらかという
と松尾和代あたりのムード歌謡を思わせる(古いな
∼)。スマッシュヒットした「瞳のささやき」が収
録されている他、スタンダードジャズとポップス系
歌曲がジャジーなアレンジで歌われている。風貌や
ファッションセンスなどからオヤジ向けムードジャ
ズ路線を狙っているのは明らかだが、私にゃあこの
歌い方だとちょっとウエットかな?平板すぎるので
面白みがないのも否めない。優しく解り易く歌おう
と思わないで、もう少しクロウトにむけて歌い方が
崩れた方が好きだ。 満足度/●●● (購
入日時/1997.7)
ポップス批評5
<24>ポップス
・Shirley Horn
[HERE'S TO LIFE/ヒ
アズ・トゥ・ライフ]
480円 {VERVE/1992年発売
国内盤} 柏にて
<25>ポップス
・Holly Cole [ドント・
スモーク・イン・ベッ
ド/DON'T SMOKE IN
BED] 480円 {MANHATTAN/1993年
国内盤} 柏にて
我が国ではメジャーじゃないけれど、知る人も多
い渋めのジャズシンガーだそうである。ジャズジャ
イアンツの記載があり、試しに買ってみた。アルバ
ム全体がストリングスでコラボレートされていて重
い。ここまでコッテリとやるとギミックな感じにな
る。私にゃフルオケのポップスに聞える。 この人
の昔の録音をFM放送で聞いて結構好きなタイプの歌
手と思って期待したのだが、近年はピアノの弾き語
りスタイルから脱して、フルオケスタイルで歌い上
げる方向に転換したようだ。本アルバムも解説によ
ると『脱ジャンル』をコンセプトにジョニー・マン
デルのアレンジによって、ストリングを目一杯散り
ばめた構成であって、軽いタッチの曲想がほとんど
ないのが耳に堪える。ラストの「エスターテ」が救
いなくらい(何故なら∼好きな曲だという個人的趣
味)で、ピアフで有名な「愛の賛歌」などやられる
とめまいがしてくる。 思い入れこめすぎてジャズ
ボーカルにこちらが望む洒脱さ、センスの良さが欠
けて、ポップスとしてもベタつきすぎの世界だね
∼、これが続くとしたらコチラから再度CDの棚にこ
の人の新譜を残念ながら集めようとは思わない。私
には、越路吹雪の洋モノポップスに近い世界という
位置付けでありました。 満足度/●● (購入日時/1997.8)
映画「バグダッド・カフェ」の挿入歌であった
「コーリング・ユー」で我が国でも名を知られるホ
リー・コール。結構ひねくれ者の歌手らしく、選曲
が「テネシーワルツ」や「ケ・セラ・セラ」「ベッ
ドで煙草を吸わないで」などとナツメロを集めて
も、視線が冷ややかでアイロニックにユーモアを込
めた解釈でホリー・コール流のアレンジがなされ
る。「当たり前のジャズスタンダードばかりは嫌
よ、私なりに表現したい」と言ったかどうかは定か
じゃないが、そんなメッセージが感じられる。1曲目
もレゲエ全盛期まえにヒットしたレゲエ風歌謡「ア
イ・キャン・シー・クリアリー・ナウ」(ジョニー
・ナッシュ作)で、この手の選曲からしてちょっと
変わってるとポッポス・ファンに感じさせる。女性
歌手へ求める男サイドからのステロタイプから微妙
なズレを常に持っていて、美人をやっていてジャズ
も歌いますという「片手間シンガー」では決してな
いのも起因しているのか、興味深いアーティストで
ある。 編成もピアノとベースというシンプルなメ
ンバーで割と淡々と歌い、べとつかない。かといっ
て、不思議と頭でっかちな感じがないのがこのアー
ティストの強みのようだ。テクを表に出さないバッ
クのセンスも悪くない。 別に歌い方や声の質が好
きな歌手ではないのだが、当方と同類のへそ曲がり
的感性があるので、結構嬉しいCDアルバムとなって
いる。 満足度/●●● (購入日時
/1997.6)