蛋白質核酸酵素:内向き整流性カリウムチャネルの構造と機能

内向き整流性カリウムチャネルの構造と機能
久保義弘
内向き整流性K+チ ャネルは,種々の細胞外K+濃 度下において,主としてK+の 平衡電
Database Center for Life Science Online Service
位以下で開き,内向き電流を通すユニークなK+チ ャネルである。内向き整流性K+チ ャネ
ルをコードするcDNAが
単離され,構造上も,膜電位依存性K+チ ャネルが6つ の膜貫
通部位をもつのに対 して,わずか2つ の膜貫通部位しかもたないユニークなものであるこ
とがわかった。さらに,その内向き整流性が,細胞内のMg2+と 細胞内のポリアミンによ
る外向き電流のブロックによりひき起こされていることが明らかになった。
【cDNAク
ロ ー ニ ン グ】【機 能 発 現 】【内 向 き整 流 性K+チ
ャネ ル 】
【2回膜 貫 通 型】
は じめ にK+チ
ャ ネル の分 子 生 物 学 的 研 究 は,1987年
に シ ョ ウ ジ ョウ バ エ の 突 然 変 異 体 で あ るShaker[
月 のKey
Words(p.2342) ] か ら最 初 のcDNAが
→今
単離 さ
れ て以 来 , 爆 発 的 に 進 め られ て き た1)
。Shakerと
同 じ
フ ァ ミ リー に属 す る,6つ の 膜 貫 通 部 位 を もつ タイ プ の
膜 電 位 依 存 性K+チ
ャ ネ ル の 遺 伝 子 が20以
向 き整 流 性K+チ
ャネル に重 点 をお き, その生 理 的 機 能 ,
筆者 らの行 な っ た機 能 発 現 法 に よ る この チ ャ ネル の
cDNA(IRK1)
の ク ロ ー ニ ン グ に つ い て 記 し, ま た ,
"内 向 き整 流 性 ”の 成 立 機 構 な どの 生 物 物 理 学 的 な 研 究
の これ ま で の 知 見 と, ク ロ ー ニ ン グ に続 く, そ の 研 究
上 も単 離 さ
れ , そ の 構 造 機 能 連 関 に つ い て も精 力 的 に研 究 が 進 め
られ て き た 。 と こ ろ で ,1993年
に は, 機 能 的 に ま っ た
く異 な る フ ァ ミ リー で あ る"内 向 き整 流 性K+チ
ャ ネル
フ ァ ミ リー ”に属 す るK+チ
初めて
ャ ネ ル のcDNAが
単 離 さ れ る とい う新 展 開 が み られ た2 5)(
図1)。 そ の 結
果 , 内 向 き整 流 性K+チ
位 を2つ
ャネ ル フ ァ ミ リー は, 膜 貫 通 部
し か も た な い , 構 造 的 に も新 しい フ ァ ミ リー
を構 成 す る とい う知 見 が 得 られ た 。 内 向 き整 流 性 を 示
すK+チ
ャ ネ ル フ ァ ミ リー の メ ンバ ー と して, ① 内 向 き
整 流 性K+チ
ャ ネ ル , ②G蛋
る ム ス カ リニ ッ クK+チ
白 質 に よ っ て 活 性 化 され
ャ ネ ル , ③ATP感
受 性K+チ
ャ ネ ル な どが よ く知 られ て い る が , 本 稿 で は, ① の 内
Yoshihiro
Kubo,
physiology,Tokyo
Primary
2288
Structure
図1
東 京 都 神 経 科 学 総 合 研 究 所 神 経 生 理 学 研 究 部 門
Metropolitan
and
Biophysical
Institute
Properties
for
K+チ
(〒183東
ャ ネ ル フ ァ ミ リー に 属 す る メ ン バ ー
京 都 府 中 市 武 蔵 台2-6)
Neuroscience,Musashidai,Fuchu-chi,Tokyo183,Japan]
of
Inward
Rectifier
K+
Channels
[Department
of
Neuro-
Ⅰ
15
内向き整流性力 リウムチ ャネルの構 造と機 能
の 最 近 の 新 展 開 に つ い て概 説 し た い。
1. 内 向 き 整 流 性K+チ
1949年
のKatzの
電 位 依 存 性K+チ
ャネル とは
カエ ル骨 格 筋 におけ る報 告 以 来 , 膜
ャネ ル と ま っ た く異 な る タ イ プ のK+
チ ャ ネ ル で あ る"内 向 き整 流 性K+チ
ャ ネ ル"が 存 在 す
る こ とが 電 気 生 理 学 的 に 知 られ て きた 。 こ の チ ャ ネ ル
は, 骨 格 筋 , ヒ トデ や ホ ヤ の 卵 , 心 筋 , 神 経 , グ リア ,
血 球 , 上 皮 な ど の細 胞 に 広 く分 布 し, 静 止 膜 電 位 と興
Database Center for Life Science Online Service
奮 性 の調 節 に 役 割 を 果 た して い る。 そ の 生 理 的 意 義 は
図2
膜 電 位 依存 性K+チ ャネ ル と内向 き整 流 性K+チ
ル の 電気 生 理 学 的性 質 の比 較
ャネ
電 気 生 理 学 的 に は以 下 の3点 か ら説 明 さ れ る 。 ① 強 い
脱 分 極 電 位 で 外 向 きの コ ンダ ク タ ンスが な い こと は, 心
(
図2) 。 す な わ ち , 膜 電 位 依 存 性K+チ
室 筋 細 胞 の よ う な, 膜 電 位 依 存 性 外 向 きK+チ
が , 主 と して 膜 電 位 セ ン サ ー に よ る膜 電 位 そ の も の の
ャ ネル の
ャ ネ ル の ゲー ト
密 度 が 低 い 細 胞 に お い て , 際 だ っ て 長 い活 動 電 位 を 可
感 知 に よっ て い るの に対 し, 内 向 き整 流 性K+チ
能 に し て い る。 ②K+の
の 開 閉 は 主 と して 細 胞 内Mg2+な
平 衡 電 位 よ り少 し脱 分 極 よ りの
ャネ ル
ど に よ る外 向 き電 流 の
電 位 に お け る 小 さ な 外 向 き の コ ン ダ ク タ ン ス は, 細 胞
ブ ロ ッ ク に よ っ て い て , 感 知 し て い るの はK+の
をK+の
位 (EK)か らの ず れ の よ う に観 察 され る (
正 確 には後 述 )。
平 衡 電 位 付 近 まで 過 分 極 さ せ る (
静止膜 電 位 を
深 くす る)の に 役 立 って い る。 ③K+の
平衡 電位 以 下 の
この こ と は, 内 向 き整 流 性K+チ
平 衡電
ャ ネル に は膜 電 位 セ ン
大 きな 内 向 き の コ ンダ ク タ ン ス は, た と え ば 電 位 発 生
サ ー で あ るS4部
性 ポ ン プ の 活 動 に よ り, 細 胞 が 強 い 過 分 極 状 態 に な っ
ち ら もK+を
た と き に, 膜 電 位 をK+の
は若 干 似 通 っ た と こ ろ が あ る だ ろ う と期 待 さ れ る。
平 衡 電 位 付 近 まで もどす 役 割
位 が な い 可 能 性 を示 唆 す る (
図2) 。 ど
選択 的 に通 す ので, そ の ボア (
穴 )の性 質
が あ る と考 え ら れ る 。
3.cDNAの
2. 膜 電 位 依 存 性K+チ
ャネル との 電 気 生 理 学 的 な 相 違
点 と類 似点
機能 発現 法 によ るク ロー ニ ン グ
イ オ ン チ ャ ネ ル や レ セ プ タ ー のcDNAの
クローニ ン
グ 法 と して , 塩 基 配 列 の ホ モ ロ ジ ー に よ る 方 法 , 蛋 白
こ こで は, 内 向 き整 流 性K+チ
ャネル の電 気 生 理 学 的
特 徴 の 基 本 的 な理 解 のた め に, 膜 電 位 依 存 性K+チ
ャネ
ル と比 較 対 照 しな が ら概 説 す る。 膜 電 位 依 存 性K+ チ ャ
質 の精 製 に よ る 方 法 , 突 然 変 異 体 の ゲ ノ ム 解 析 に よ る
方 法 な どが あ る。 しか し, 筆 者 らが 内 向 き整 流 性K+チ
ャ ネ ル のcDNAク
ロー ニ ン グ を 開 始 し た 時 点 で は, こ
ネ ル は , 膜 電 位 を感 知 す る機 構6)(S4領 域 :陽 電 荷 を も
の フ ァ ミ リー に属 す る チ ャ ネ ル のcDNAは1つ
つ ア ミノ 酸 が 点 在 ) を備 え て い る。 そ し て , 静 止 膜 電
れ て お らず , 塩 基 配 列 に関 す る情 報 は皆 無 で あ っ た。 ま
も得 ら
位 で は 閉 じ て い て , 脱 分 極 に よ り開 き, 主 と し て 外 向
た 蛋 白 質 を精 製 す る に 足 る 組 織 もな く, 適 当 な 突 然 変
き電 流 を透 過 す る。 そ れ に対 し, 内 向 き整 流 性K+チ
異 体 もな か っ た 。 そ こで , ア フ リカ ツ メ ガ エ ル 卵 母 細
ャ
ネ ル は, ご くご く大 雑 把 に い う と (
正 確 には後述 ), あ ま
胞 を 用 い た機 能 発 現 法 に よ る ク ロ ー ニ ン グ 法 を とっ た。
り膜 電 位 を感 知 せ ず 開 きっぱ な しで あ る。 そ して, 種 々
RNAを
の 細 胞K+濃
卵 母 細 胞 に 注 入 し, チ ャ ネル の 発 現 を電 気 生 理
度 下 に お い て,K+の
平衡 電 位 (EK)以 下
学 的 に 調 べ る こ との み を指 標 とし て , ソー ス とな る。 ポ
で は 内 向 き電 流 を透 過 す る。K+の
平 衡 電 位 (EK)以 上
リ (A)+RNAの
決 定 や ラ イ ブ ラ リー の ス ク リ ー ニ ン グ
で も外 向 き電 流 を透 過 しそ う で あ る が , 実 際 は細 胞 内
を行 な う方法 で ある。 その ス テ ップに お いて, 塩基 配
のMg2+な
列 の 情 報 や 蛋 白 質 の情 報 は ま っ た く必 要 と され ず , ク
どに よ る ブ ロ ッ ク を受 け るた め ほ とん ど外 向
き電 流 はみ られ ず , 結 果 と して 内 向 き整 流 性 が 生 じ る7)
ロ ー ン が 得 られ る と き に は, 全 コー ド領 域 を もつ 機 能
2289
Ⅱ
16
蛋 白質
核酸
酵素
Vol.40
No.15(1995)
よ る特 徴 的 な 膜 電 位 依 存 性 の ブ ロ ッ ク を 受 け る。 ③ 単
一 チ ャ ネ ル コ ン ダ ク タ ン ス は21pSで
, カ イネティクス
は ゆ っ く り して い る。 こ れ ら は , い ま ま で に報 告 され
て い る 内 向 き整 流 性K+チ
ャ ネル の 性 質 に合 致 す る。 こ
の こ と は , この 単 一 種 の 分 子 の み で 完 全 に機 能 的 な チ
ャ ネ ル を構 成 す る こ と を 示 す 。 そ のmRNAの
発現 は
774細 胞 の ほ か , 心 筋 , 骨 格 筋 , 脳 に お い て み ら れJ,
腎 , 肝 に お い て は み られ な か っ た 。 こ れ も これ ま で の
電 気 生 理 学 的 な報 告 と矛 盾 し な い。 よってIRK1は
く知 られ て きた 内 向 き整 流 性+チ
,よ
ャ ネ ル そ の もの と考 え
Database Center for Life Science Online Service
られ た 。
1. 膜 電 位 依 存 性K+チ
膜 電 位 依 存 性K+チ
ャネ ル との 相違 点 と類似 点
ャ ネル が6つ
の に対 して ,IRK1チ
の 膜 貫 通 部 位 を もつ
ャ ネ ル は わ ず か2つ
の膜 貫 通 部 位
しか も た な か っ た 。 あ ま り膜 電 位 を 感 知 し な い 性 質 か
ら予 想 さ れ た よ う に, 膜 電 位 依 存 性 チ ャ ネ ル
(Na+,
Ca2+,K+)
位 はな
が 共 通 に もつ 膜 電 位 セ ンサーS4部
か っ た 。K+透
図3
種 々 の 細 胞 外K+濃
(A) お よ びI-Vカ
tial) とK+の
(
文 献3よ
度 下 で のIRKI電
流 のI-Vプ
ー ブ の 曲 が り始 め る 電 位
平衡電位
(EK) の 合 致
ロッ ト
(activationpoten-
(B)
H5領
過 の ボア (
穴 )の 一 部 と考 え られ て い る
域 は, 膜 電 位 依 存 性K++ チ ャネ ル とは っ き り した
ホ モ ロ ジー を示 した 。 さ らにH5の
の膜 貫 通 部 位M1お
り改 変 )。
よ びM2は
ャ ネ ル の 相 当 部 位 のS5お
前 後 に位 置 す る2つ
, 膜 電 位 依 存 性K+チ
よ びS6と
た。 この こ とか ら,IRK1は
弱 い 相 同性 を示 し
, 膜 電 位 依 存 性K+チ
ャネ
的 な ク ロ ー ン が 得 られ る 。 種 々 の組 織 や 細 胞 株 由 来 の
ル の 後 半 部 位 (S5,H5,S6) ・に相 当 す る もの と考 え ら
ポ リ (A)+RNAを
れ た 。 この 後 半 部 位 が 両 チ ャ ネ ル い ず れ の場 合 もボ ア
試 し た す え に , ソ ー ス と して マ ウ ス
の マ ク ロ フ ァー ジ細 胞 株J774の4.5∼5.5kb分
画 を用
を含 む 内核 を形 成 し て い る もの と考 え ら れ る。 そ して ,
い てcDNAラ
イブラ
膜 電 位 依 存 性K+チ
イ ブ ラ リー を作 製 した 。cDNAラ
リー の サ ブ プ ー ル 由 来 のRNAを
卵 母 細 胞 に 注 入 し て,
ャネ ル の場 合 は前 半 部 位 が さ らに外
殻 と して存 在 し,S4は
膜 電 位 セ ンサ ー と して,S1,S2,
電 気 生 理 学 的 ス ク リ ー ニ ン グ に よ り陽 性 の プ ー ル を 同
S3は 膜 電 位 セ ンサ ー の た め の シ ー ル ド (
静 電 気 の遮 蔽
定 し, そ の 陽 性 プ ー ル の 細 分 割 を く り返 し , 単 一 ク ロ
装 置 ) と して 機 能 して い る と考 え ら れ る (
図4) 。
ー ン (IRK1;inward
rectifier K+
channe1)
を単離 し
た3)
。
2. ス トイ キ オ メ ト リー と ト リ プ ル バ レ ル 構 造
近 年 , 膜 電 位 依 存 性K+チ
4.IRK1の
性質
ャ ネ ル が ,4つ の サ ブユ ニ
ッ トで な る こ とが , 巧 妙 な 点 突 然 変 異 導 入 に よる研 究8)
ア フ リカ ツ メ ガ エル の 卵 母 細 胞 に 発 現 させ たIRK1チ
で 明 か に さ れ た 。 ま たLiら
は, バ キ ュ ロ ウ イ ル ス に よ
ャ ネ ル の 電 気 生 理 学 的 性 質 を詳 細 に 調 べ て み る と, 以
る蛋 白質 発 現 系 か ら得 ら れ た 精 製 蛋 白質 の 電 子 顕 微 鏡
下 の 性 質 が み られ た。 ① 細 胞 外K+の
像 を得 て, 膜 電 位 依 存 性K+チ
増 減 に よ るK+の
ャ ネル の 蛋 白 質 が, 中 心
平 衡 電 位 (EK) の シ フ トに つ れ て , チ ャ ネ ル が 開 く電
の ボ ア と思 わ れ る ス ペ ー ス を 囲 む よ う に4つ
位 が シ フ トす る (
図3) 。 ② 細 胞 外Na+,Ba2+,Cs+に
正方形
2290
(お そ ら く これ が1つ
の小 さい
の サ ブ ユ ニ ッ ト) が 集 ま
Ⅲ
17
内向き整流性力 リウムチ ャネル の構 造と機能
疑 問 は, (3つのpearmeation
pathwayが
協 調 的 に閉 状 態
(
後 述 ) に 入 る の で ),superassembleし
た3つ の4量 体 の
もつ協 調 的 ゲ ーテ イ ングの メ
カ ニ ズ ム で あ ろ う。superassembleモ
デ ル を検 証 す る に
は, 電 気 生 理 学 的 解 析 の み な
らず , 精 製 し た チ ャ ネ ル 蛋 白
質 を用 い て電 子顕 微鏡 に よる
構 造 の解 析 を 行 な う こ とが も
ち ろん必 要 で あ る。
Database Center for Life Science Online Service
上 記 の 実 験 結 果 を説 明 す る
も うひ とつ の 可 能 性 として , サ
ブ ス テー トが ,1つ のボ ア内 の,
独 立 し た そ し て 等 し い3つ
の
結 合 部 位 に結 合 す る プ ロ ッカ
ー の 数 で 決 定 され る (
た とえ
ば ,1つ 付 け ば2/3,2つ 付 け
ば1/3,3っ
付 け ば0/3レ ベ ル
に な る とか ) とい う可 能 性 が
図4
膜 電位 依 存 性K+チ
ャネ ル と内 向 き整 流 性K+チ
ャ ネル の構 造 の 比較
(
文献3よ り改変)。
考 え られ る。 この 際 に は, こ
の よ う な結 合 部 位 が 細 胞 内 の
ブ ロ ッキ ン グ イ オ ン に対 し て
っ た ,80?×80?の
正 方形 を示 す こ とを明 らか に し
た9)
。
も細 胞 外 の ブ ロ ッ キ ン グ イ オ ン に対 し て も器 用 に 存 在
しな けれ ば な ら な い こ と,1つ のポ ア の 中 で 複 数 の ブ ロ
膜 電 位依
ッキ ン グ イ オ ンが 反 発 せ ず に 完 全 に 独 立 に 存 在 し う る
存 性K+チ
ャ ネ ル と似 通 っ て い る こ とを 考 え る と (
似通
か とい う こ と, な ぜ き っ ち り と2/3レ ベ ル ,1/3レ ベ ル
ったH5ポ
ア領 域 を異 な る数 だ け 用 い て, 同 じイオ ン選
を示 す の か とい う こ と, な ど の 問 題 点 が あ る 。 い ず れ
択 性 を もつ こ と は非 常 に考 え に くい の で ), 内 向 き整 流
に して も美 し い 電 気 生 理 の デ ー タ が 構 造 的 に は ど う説
性K+チ
明 さ れ る の か 興 味 の尽 きな い 点 で あ る 。
内 向 き整 流 性K+チ
ャネ ルの ボ ア領 域H5が
ャネ ル もや は り, 中 心 に1つ のポ ア を もつ4量
体 の構 造 を して い る と考 え る の が 妥 当 で あ ろ う 。
一 方Matsudaら
は
,ポ ア を ブ ロ ッ ク す る イ オ ンの 存
在 下 にお け るサ ブ ステ ー トの 解 析 の結 果
3/3の4つ
(0,1/3,2/3,
の レベ ルへ の 存 在 確 率 が2項
分 布 で あ る こ と)
か ら, 内 向 き整 流 性K+ チ ャ ネル が 独 立 にブ ロ ッ ク を受
け る,3本 の 筒 (permeation
を し て い る と い うモ デ ル
pathways)
か ら な る構 造
(ト リプ ル バ レ ル 構 造 ) を 提
案 した10)
(図5)。 も し この チ ャネ ル が4量
つ トリプルバ レル構造
[
→今 月 のKey
体 で あ り, か
Words(p.2342]
こ こで は , 先 に 大 雑 把 に 紹 介 し た 内 向 き整 流 性 の 機
構 に つ い て, よ り正 確 に, そ し て い く らか 詳 し く解 説
した い 。 な おⅢ .3の部 分 は , 研 究 の 歴 史 か らみ て決 し
て 後 か ら出 て き た わ け で は な い が , 説 明 を シ ン プ ル に
す るた め にⅢ1,2に
つ い て の 解 説 の 後 で 紹 介 した い 。
を とっ て い る とす る と,3つ の4量 体 がsuper-assemble
す る こ と を 想 定 し な け れ ば な ら な い。 こ の 場 合 , 次 の
2291
2
18
蛋 白質
核酸
酵素
Vol.40
No.15(1995)
図6
細 胞 内Mg2+存 在 下 と非 存 在 下 に おける内 向 き整 流性
K+チ ャネ ル電 流 の特 徴 の模 式 図
Database Center for Life Science Online Service
(
文献12よ り改変)
。
流 は よ りゆ っ く り減 弱 し, ま た , 外 向 き電 流 は ほ とん
ど残 らな い。 この 細 胞 内Mg2+の
な い状 態 で 観 察 され る
ゲ ー ト機 構 が 内 因 性 の ゲ ー ト機 構 と よ ば れ て きた 。 こ
の 内 因 性 のゲ ー ト機 構 は , ク ロ ー ン化 され たIRK1と
チ
ャ ネ ル に お い て も確 認 さ れ た13,14)
。
以 上 の 現 象 は,closed(C) ,open(O) , ブ ロ ッ ク (B)
の3つ
図5
Matsudaら
流 性K+チ
に よ る , モ ル モ ッ ト心 室 筋 細 胞 の 内 向 き整
い る。B-Oの
移 行 は速 く,C-Oの
移 行 は よ りゆ っ く り
ャネル の単 一 チ ャネル 記 録
細 胞 外 溶 液 にポ ア ブ ロ ッカ ー で あ るCs+を20μM加
り 出 現 した0,1/3,2/3,3/3の
え る こ とに よ
サ ブス テー ト (
文 献10よ
り改
変 )。
1.
の ス テ ー トを想 定 し, 以 下 の よ う に 説 明 され て
して い る。 チ ャ ネ ル がBか
らCに
入 る に はOを
け れ ば な ら な い 。 過 分 極 で 瞬 時 に 立 ち 上 が る成 分 とゆ
っ く り立 ち 上 が る 成 分 は それ ぞ れ ,B-OとC-Oの
こ れ ま で の 理 解 (Mg2+ブ
ロックと 内因 性の ゲーテ
内 向 き整 流 性 を決 定 し て い る の は, 正 確 に は細 胞 内
Mg2+に
に相 当 す る。 脱 分 極 で の速 い 減 弱 はO-Bの
して細 胞 内Mg2+の
イング)
よ る ブ ロ ッ クの み で は な く, 細 胞 内Mg2+を
完
通 らな
弱 はO-Cの
Mg2+が
移行
移 行 に, そ
な い 状 態 で の , よ りゆ っ くり した減
移 行 に対 応 す る 。 こ の デ ー タ は, 細 胞 内
, 外 向 き電 流 の 瞬 時 の ブ ロ ッ ク と内 向 き整 流 性
全 に 取 り除 い た 実 験 下 で も脱 分 極 に よ っ て チ ャ ネ ル は
の成 立 に寄 与 して い る こ と, また , 逆 に, 細 胞 内Mg2+
閉 じて い く。 す な わ ち , 心 筋 の こ の チ ャ ネ ル に は, 内
の存 在 が , チ ャ ネ ル がCに
因 性 の ゲ ー トが存 在 す る こ とが 知 られ て い る7,11)
。
り, 脱 分 極 電 位 に お い て , 小 さ い が 長 く続 く外 向 き電
そ の 内 向 き整 流 性K+電
流 の特 徴 的 な 性 質 を図6に 模
入 る の を邪 魔 す る こ と に よ
流 を 生 ん で い る こ と を示 唆 し て い る11)。
存 在 下 で は, 過 分
要 約 す れ ば, 図7に
示 す よ う に , これ ま で , 内 向 き
極 に よ り瞬 時 に立 ち上 が る成 分 と, よ りゆ っ く り立 ち
整 流 性 は細 胞 内Mg2+に
よる ブ ロ ック と未 知 の 内 因 性 の
上 が る成 分 が 観 察 され る。K+の
ゲ ー ト機 構 に よ り成 立 す る と考 え ら れ て き た。
式 的 に 示 した12)
。 ① 細 胞 内Mg2+の
平 衡 電 位 以 上 に脱 分 極
す る と, 外 向 き電 流 は ほ ぼ瞬 時 に 減 弱 す る が , 小 さ な
外 向 き電 流 が残 る。 ② それ に対 し, 細 胞 内Mg2+の
ない
状 態 で は, 過 分 極 電 位 に い っ た と き に は , 瞬 時 に 立 ち
上 が る成 分 が な くな り, ゆ っ く り立 ち 上 が る成 分 が よ
りは っ き りす る よ う にな る。 そ して脱 分 極 した と き, 外
向 き電 流 の 瞬 時 の減 弱 は起 こ らず , 代 わ りに 外 向 き電
2292
19
Database Center for Life Science Online Service
内向き整流性カ リウムチャネル の構 造と機能
図7
内 向 き整 流 性K+チ
ャネルの 内向 き整 流性 を決 定 す る
図8
内 向 き 整 流 性K+チ
メカ ニ ズ ムの これ まで の理解
メ カニ ズム の 最近 の 理解
細 胞 内Mg2+に
細 胞 内Mg2+に
よ る ブ ロ ック と未 知 の 内因 性 のゲ ー ト機 構 が役 割 を
よ る ブ ロ ック と細 胞 内 ポ リア ミン によ る ブ ロ ックが
果たす。
役 割 を果 た す。
ず れ で あ る こ とか ら, 膜 電 位 依 存 性 チ ャ ネ ル の 膜 電 位
と考 え られ る 。
感 知 機 構 と似 通 っ た もの で は あ りえ な い。 だ とす る と,
Mg2+と
ャ ネ ル の 内 向 き整 流 性 を 決 定 す る
ポ リア ミン の チ ャネ ル に お け る結 合 部 位 と し
内 因 性 の ゲ ー トは い っ た い ど の よ う な機 構 に よ る の だ
て は , これ らの プ ロ ッ カ ー が 膜 電 位 依 存 性 の ブ ロ ッ ク
ろうか ?
(
膜 の 電 場 に入 り こん で の ブ ロ ッ ク) を 示 す こ とか ら,
ひ と つ の可 能 性 と し て , 内 因 性 の ゲ ー ト機
構 も ま た ブ ロ ッ ク に よ っ て い る, た と え ば チ ャ ネ ル 分
チ ャ ネ ル の ボ ア を形 成 す る と考 え ら れ て い る部 分 が 重
子 自 身 の 一 部 , も し く はチ ャ ネ ル に と っ て は外 因 性 の
要 で あ る と考 え られ る。 膜 電 位 依 存 性K+チ
ャ ネル にお
細 胞 質 に存 在 す る 分 子 に よ る ブ ロ ッ クで あ る と い う こ
け る 点 突 然 変 異 導 入 に よ る研 究 か ら,H5領
域 はボ ア を
とが 考 え ら れ よ う。 内 因 性 の ゲ ー ト機 構 はIRK1や
形 成 す る と考 え られ る。 付 け加 え て ,S4-S5リ
ROMK1単
とS6の
離 以 降 , さ ら に研 究 が 進 め られ , 新 展 開 を
ンカ ー
一 部 もボ ア の 内側 を形 成 す る こ とが わ か っ て い
示 した。 その結 果.
, スペ ル ミ ンや スペ ル ミ ジ ン の よ う
る 。 これ ら と の類 推 か ら, お そ ら く内 向 き整 流 性 チ ャ
な細 胞 質 に 存 在 す る ポ リア ミンが ,Mg2+の
ネ ル のH5お
非 存 在 下 で,
よ びM1,M2の
一 部 の 特 徴 的 に保 存 され
こ の チ ャ ネ ル の 外 向 き電 流 を ブ ロ ッ ク す る と い う こ と
て い る部 位 が 重 要 で あ ろ う と考 え られ る。 最 近 ,2つ め
が 明 ら か に され た 。 細 胞 質 の これ らの物 質 の 生 理 的 濃
の膜 貫 通 部 位M2領
域 の真 ん 中付近 にあ る アスパ ラ ギ
度 は , 有 効 な ブ ロ ッ ク を可 能 に す る の に 十 分 な ほ ど高
ン酸 残 基 が この チ ャ ネ ル の プ ロ ッ カ ー に 対 す る 感 受 性
い 。 よ って , 内 因 性 の ゲ ー トとよ ば れて きた もの が , 生
の 決 定 に 関 与 して い る18∼20)
と報 告 され た 。 さ らにTag-
理 的 に 細 胞 内 に存 在 す る ス ペ ル ミ ン, ス ペ ル ミジ ン な
lialatelaは ,IRK1とROMK1の
どの ポ リア ミ ン に よ る ブ ロ ッ ク で あ る (す な わ ち 内 因
胞 内 領 域 と考 え られ て い るC末
性 の ゲ ー トで は な くて , チ ャ ネ ル に と っ て は外 因 性 の
胞 内Mg2+に
物 質 に よ る ブ ロ ッ クで あ る)とい う ことが 示 され た15∼17)
る とい う デ ー タ21)を報 告 し た。 さ らに ,C末
わ け で あ る。 現 時 点 で は,IRK1チ
性 領 域 の1つ
性 は , 細 胞 内Mg2+お
ャ ネル の 内 向 き整 流
よび ポ リア ミン とい う2種 の分 子
の ブ ロ ッ ク に よ る と理 解 さ れ て い る (
図8) 。Mg2+と
ポ
キ メラ の実 験 か ら, 細
端 の親 水性 領域 が, 細
よ る膜 電 位 依 存 性 の ブ ロ ック に 関 与 して い
の ア ミノ酸 残 基 (IRK1のE224)
端 の親 水
が ,Mg2+
ブ ロ ッ ク と ポ リア ミ ン ブ ロ ッ ク の 両 方 に大 切 で あ る こ
と も報 告 さ れ た22)
。 これ らの結 果 は ,C末
端 の (これ ま
リア ミ ン とい う2つ の ブ ロ ッ キ ン グ分 子 の , どち らが
で 細 胞 内 領 域 と考 え られ て き た ) 親 水 性 部 位 が , た と
ど の 程 度 , そ れ ぞ れ 内 向 き整 流 性 の成 立 に生 理 的 に効
え ば ボ ア 領 域 の一 部 を 形 成 す る ボ ア 領 域 に た ぐ り こ ま
い て い る の か に つ い て は, 今 後 さ ら に検 証 され て い く
れ る な ど し て , イ オ ンの 透 過 や 細 胞 質 の プ ロ ッ カ ー に
2293
20
蛋白質
核酸
酵素
Vol.40
No.15(1995)
よ る チ ャ ネ ル の ブ ロ ッ ク に影 響 を 及 ぼ し て い る 可 能 性
を 示 唆 し て い る と考 え られ る 。
3. さ ら な る メ カ ニ ズ ム (K+依 存 性K+チ
ャ ネル モデ
ル)
2つ の重 要 な 細 胞 内 ブ ロ ッ キ ング 因 子 は 同 定 され たが,
内 向 き整 流 性 の 決 定 機 構 に は解 決 さ れ る べ き 問 題 が 残
っ て い る と思 わ れ る。 先 に述 べ た よ う に, 細 胞 外 のK+
濃 度 を変 えた と きに は, 内 向 き整 流 性K+チ
ン ダ ク タ ン ス カ ー ブ はほ ぼK+の
ャ ネル の コ
平 衡 電 位 (EK)の 変 化
分 シ フ トす る。 この チ ャ ネ ル は, 本 当 にEKか
らの ず れ
を感 知 す る の だ ろ うか 。 も しそ うで あ る な ら ば, ど の
Database Center for Life Science Online Service
よ う に して 感 知 す る だ ろ う か 。 ひ と つ の 最 も単 純 な イ
メ ー ジ は , チ ャ ネル と細 胞 質 の プ ロ ッ カ ーがK+の
図9
内向 き整 流 性K+チ
ャネル の 内 向 き整 流 性 の成 立 に細
胞 外K+が 及 ぼす 効果 の 可 能 性 を示 す模 式 図
流れ
の 総 和 の 方 向 を 感 知 し, 外 向 き流 に よ っ て は プ ロ ッ カ
ー が チ ャ ネ ル に 塞 ぎ込 ま れ , 内 向 き流 に よ っ て は 流 し
Hille&Schwarzと
出 さ れ る とい う も の で あ る。HilleとSchwarzは
の 部 位 を もつ モ デル で 行 ない ,multiple-ion
,そ
同 様 な 解 析 を3つ
の バ リ ヤ と2つ
single-file
れ ま で の種 々 の 電 気 生 理 学 的 実 験 結 果 の 報 告 に 基 づ い
poreと
て, 内 向 き整 流 性K+チ
す るの に十 分 で は な い と議 論 し た25)
。 そ して, ブ ロ ッキ
ャネ ル が , 複 数 のK+イ
オ ンが
一 列 に 並 ん で 同 時 に存 在 し う る長 い ボ ア を もつ チ ャ ネ
ル
(multiple-ion single-file pore channel)
であると
ブ ロ ッ キ ング イ オ ン の 仮 定 は , 実 験 結 果 を説 明
ング イ オ ンで あ るMg2+に
レベ ル が細 胞 外K+に
対 す る 結 合 部 位 の エ ネ ルギ ー
よ っ て影 響 され る とい う仮 定 を付
考 え, そ こ に4つ の バ リヤ と3つ の 結 合 部 位 を仮 定 し,
け加 え る ことに よ り, 実 験 結 果 を説 明 した25)
。 最 近 ,K+
ま た 細 胞 質 の1価
とRb+が
の陽 イオ ンの プ ロ ッカー を仮定 す る
こ とに よ り, 種 々 の 細 胞 外K+濃
度 下 に おい て コ ンダ ク
タ ン ス (ひ い て は 内 向 き整 流 性 )がEKか
らの ず れ に依
異 な る能 力 を も つ こ の チ ャ ネ ル を活 性 化 す る
イ オ ン で あ る とい う報 告 もさ れ て い る26,27)
。 これ らの こ
とか ら, 内 向 き整 流 性 チ ャ ネ ル は , 以 前 に提 唱 さ れ た
存 す る こ とを シ ュ ミ レー トす る こ とに成 功 した23)
。彼 ら
よ う に,K+活
の モ デ ル は ま た ,cross over effect(細 胞 外K+濃
れ る。 細 胞 外K+は
度が
性K+チ
ャ ネ ル の 側 面 を も つ と考 え ら
, 細 胞 質 のMg2+や
ポ リア ミンに よ
よ り高 い と き に , よ り大 き な外 向 き電 流 が 観 察 さ れ る
る ブ ロ ッ ク に影 響 を 与 え る の か も し れ な い。 さ ら に ま
こ と) を も再 現 し た。 す な わ ち , 長 い ボ ア と ブ ロ ッ キ
た , 細 胞 外K+は
ン グ イ オ ン を仮 定 す れ ば, か な りの と こ ろ ま で 説 明 で
係 し な い状 態 で も, こ の チ ャ ネ ル の 開 閉 に影 響 を お よ
き る の で あ る。
ぼ す 可 能 性 も考 え られ よ う (
図9) 。 い ず れ に して も, こ
しか し, 細 胞 内K+濃
度 を変 え た い くつ か の 実 験 の 結
果 は , 以 下 に記 す よ うに, 内 向 き整 流 性K+チ
EKか
ら の ず れ で はな くて , 細 胞 外K+濃
combinationを
ャ ネル が
こ れ は こ こ ま で の 説 明 で 片 づ か な い 点 を含 ん で い る 。
, 細 胞 外K+濃
度 を変 え た と き に は あ ま り シ フ ト し な い とい う こ と を
2294
Ⅳ
.内 向き整流性K+チ ャネルの多様性の分子レベルでの
知見
1. 新 し い メ ン バ ー の ク ロ ー ニ ン グ
ROMK12)
,IRK13) が機 能 発 現 法 に よ り最 初 に ク ロー
よ る ブ ロ ック
ン化 さ れ て 以 来 , 塩 基 配 列 の ホ モ ロ ジ ー に よ り, こ の
度 と膜 電 位 に依 存 し, 細 胞 内K+ 濃 度
サ ブ フ ァ ミ リー に属 す る メ ンバ ー が 続 々 と単 離 さ れ て
示 し た24)
。Matsudaは
やEKか
相 互 作 用 につ い て の構 造 機 能
度 を変 え た ときに
は コ ン ダ ク タ ン ス カ ー ブ は シ フ トす るが , 細 胞 内K+濃
が 細 胞 外K+濃
の チ ャネ ル と細 胞 外K+の
連 関 の 研 究 が 進 ん で い く と期 待 さ れ る 。
度 と膜 電 位 の
感 知 す る とい う可 能 性 を示 唆 して お り,
HagiwaraとYoshiは
, ブ ロ ッ キ ング イ オ ン と は まっ た く関
, 細 胞 内Mg2+に
らの ず れ に は依 存 し な い こ と を示 し, さ ら に,
きて い る (
い くつかの例 として, 文 献30∼33参
照)。 また,
21
内向き整流性力リウム チャネル の構 造と機能
G蛋
白 質 で 直 接 活 性 化 され るム ス カ リニ ックK+チ
ル のcDNA(GIRK14)
ャネ
,KGA5) )も ク ロ ー ン化 さ れ , そ
文
献
(文 献 番 号 を 太 字 に し た も の は と く に 重 要 で あ る こ と を 示 す )
1)Jan,L.Y.,Jan,Y.N.:Trends
の サ ブ フ ァ ミ リー の クロー ン も単 離 され てい る。Ashford
ら は, 細 胞 内ATPで
ゆ るATP感
ブ ロ ッ ク され る性 質 を もつ , いわ
受 性 の 内 向 き整 流 性K+チ
追 試 で きず , この チ ャネ ル がATP感
受性が
受 性K+チ
ャネ ル
で あ る こ とを疑 問 視 す るグ ル ー プ もあ る よ う で あ る35)
。
Inagakiら
は,cKATPと
は異 な る新 しいcDNAク
ン (uKATP)を単 離 し , こ のcDNAがATP感
Neurosci.,13,
2】Ho,K.,Nichols,C.G.,Lederer,W.J.,Lytton,J.,
Vassilev,P.M.,Kanazirska,M.V.,Hebert,S.
ャネル のcDNA
(cKATP)を ク ロー ン化 した34)
。 しか し,ATP感
in
415-419(1990)
ロー
受性 をも
C.:Nature,362,31-38(1993)
3】Kubo,Y.,Baldwin,T.J.,Jan,Y.N.,Jan,L.Y.
Nature,362,127-133(1993)
4)Kubo,Y.,Reuveny,E.,Slesinger,P.A.,Jan,Y.
N,Jan,L.Y.
:Nature,364,802-806(1993)
5)Dascal,N.,Schrebmayer,W.et
al.:Proc.Natl.
Acad.Sci.USA,90,10235-10239(1993)
っK+チ
ャ ネ ル を コー ドす る と報 告 し て い る36)
。
2回 膜 貫 通 型 とい う点 で は, この ほか にK+選
Database Center for Life Science Online Service
や や あ ま いpH感
ATPで
受 性 のK+チ
活 性 化 さ れ るATP受
6)Papazian,D.M.,Timpe,L.C.,Jan,Y.N.,Jan,
択性の
ャ ネ ル37)
, また細 胞 外
容体 チ ャネ ル な どの
L.Y.
:Nature,349,305-310(1991)
7】Matsuda,H.:J.Physiol.,397,237-258(1988)
8)Liman,E.R.,Tytgat,J.,Hess,P.:Neuron,9,
861-871(1992)
cDNAも
単 離 され ,2回 膜 貫 通 型 フ ァ ミリーの 多 様 性 を
うかが わせ る。
9)Li,M.,Unwin,N.,Stauffer,K.A.,Jan,Y.N.,
Jan,L.Y.:CurrentBiology,4,110-115(1994)
10】Matsuda,H.,Matsuura,H.,Noma,A.:J.
Physiol.,413,139-157(1989)
2. ヘ テ ロ マ ル チ マ ー の 形 成
膜 電 位 依 存 性K+チ
11】Ishihara,K,Mitsuiye,T.
ャネ ル に つ い て は, 異 な る サ ブ ユ
ニ ッ トが ヘ テ ロ マ ル チ マ ー を形 成 し う る こ と, そ し て
さ ら に,in vivoで ヘ テ ロマ ル チ マ ー が 実 際 に存 在 し て
い る こ とが す で に明 らか に され , 内 向 き整 流 性K+チ
ャ
,Noma,A.
,Takano,
M.:J.Physiol.,419,297-320(1989)
12)Kubo,Y.:Neurosci.Res.,21,109-117(1994)
13)Stanfield,P.R.,Davies,N.W.,Shelton,P.A.,
Khan,I.A.,Brammar,W.J.,Staden,N.B.,
Conley,E.C.:J.Physiol.,475,1-7(1994)
ネ ル フ ァ ミ リー に お い て も そ の 存 在 は予 想 され る 。 最
近 ,G蛋
白質 で直 接 活 性 化 され る 内 向 き整 流 性K+チ
ネ ル (GIRK1)
ャ
と免 疫 共 沈 す る蛋 白 質 の 精 製 , そ し て
そ の 蛋 白 質 を コ ー ドす るcDNA(CIR)
の ク ロ ー ン化
14)Ishihara,K.,Hiraoka,M.:J.Membrane
Biology,
142,55-64(1994)
15】Lopatin,A.N.,Makhina,E.N.,Nichols,C.G.
:
Nature,372,366-369(1994)
16)Ficker,E.,Taglialatela,M.,Wible,B.A.,Hen-
が 行 な わ れ た35)
。CIRは
性K+チ
お ど ろい た こ と に,ATP感
ャ ネ ル と し てAshfordら
が 報 告 した もの
(cKATP)34)
と同 一 で あ った 。GIRK1とCIRを
る と,G蛋
受
共発現す
白質 に よっ て 活 性 化 され る内 向 き整 流 性K+
チ ャ ネ ル が ,GIRK1単
らの こ とか ら,CIRは
独 時 よ り も高 く発 現 した 。 これ
,GIRK1と
と もにG蛋
っ て 活 性 化 す るヘ テ ロマ ル チ マ ー のK+チ
白質 によ
ャネ ル を形 成
し う る こ とが 明 らか に な っ た。 今 後 さ ら に , 内 向 き整
ley,C.M.,Brown,A.M.:Science,266,10681072(1994)
17)Fakler,B.,Brandle,U.et
al.:Cell,80,149-
154(1995)
18】Stanfield,P.R.,Davies,N.W.,Shelton,P.A.,
Sutcliffe,M.J.,Khan,I.A.,Brammar,W.J.,
Conley,E.C.
:J.Physiol.,478,1-6(1994)
19】Wible,B.A.,Taglialatela,M.,Ficker,E.,
Brown,A.M.:Nature,371,246-249(1994)
20】Lu,Z.,MacKinnon,R.
流 性 を 示 す ,2回 膜 貫 通 型K+チ
ャ ネ ル フ ァ ミ リー の メ
ンバ ー に よ る, 種 々 のヘ テ ロ マル チ マー の 形 成 ,in vivo
に お け る 存 在 が , さ ら な る 多 様 性 の源 と し て 見 つ か っ
:Nature,371,243-246
(1994)
21】Taglialatela,M.,Wible,B.A.,Caporaso,R.,
Brown,A.M.:Science,264,844-847(1994)
22】Yang,J.,Jan,Y.N.,Jan,L.Y.
て い く と考 え られ る 。
:Neuron,
印 刷 中
(1995)
本 稿 で 紹 介 し た筆 者 ら の研 究 は,Lily Jan,Yuh
究 室 で,Tim
Baldwin氏
Nung
Jan研
と共 同 で行 な った もの です 。 本 稿 を執 筆
す る 機 会 を与 え て くだ さ い ま し た東 田 陽 博 先 生 に深 く感 謝 い た し
ます。
23】Hille,B.,Schwarz,W.
:J.Gen.Physiol.,72,409-
442(1978)
24)Hagiwara,S.,Yoshi,M.:J.Physiol.,272,251265(1979)
2295
22
蛋 白質
25】Matsuda,H.
核酸
酵素 Vol.40
No.15(1995)
:J.Physiol.,435,83-99(1991)
32)Perier,F.,Radeke,C.M.,Vadenberg,C.A.:
26)Silver,M.R.,Shapiro,M.S.,DeCoursey,T.E.:
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,6240-6244(1994)
J.Gen.Physiol.,103,519-548(1994)
33)Makhina,E.N.,Kelly,A.J.,LopatinA.N.,
27)Pennefather,P.S.,DeCoursey,T.E.:J.Gen.
Mercer
Physiol.,103,549-581(1994)
28】Cohen,I.S.,DiFrancesco,D.,Pennefather,P.,
34】Ashford,M.L.J.,Bond.C.T.,Blair,T.A.,Adel-
Mulrine,N.K.:Biophys.J.,55,197-202(1989)
29】Pennefather
man,J.P.:Nature,370,456-459(1994)
35】Krapivinsky,G.,Gordon,E.A.et
,P.,Oliva,C.,Mulrine,N.:Biophys.
61,448-462(1992)
J.,
al. :Nature,
374,135-141(1995)
30)Koyama,H.,Morishige,K.,Takahashi,N.,
Zanelli,J.S.,Fass,D.N.,Kurachi
36)Inagaki,N.,Tsuura,Y.,Namba,N.,Masuda,
,Y.:FEBS
Lett.,341,303-307(1994)
K.,Gonoi,T.,Horie,M.,Seino,Y.,Mizuta,M.,
Seino,S.
31)Morishige,K.,Takahashi,N.,Jahangir,A.,
Yamada,M.,Koyama,H.,Zanelli
:J.Biol.Chem.,印
刷 中(1995)
37)Suzuki,M.,Takahashi,K.,Ikeda,M.,Hayak,J.S.,Kura-
Lett.,346,251-256(1994)
awa,H.,Ogawa,A.,Kawaguchi,Y.,Sakai,O.:
Nature,367,642-645(1994)
Database Center for Life Science Online Service
chi,Y.:FEBS
R.W.,Nicols,C.G.:J.Biol.Chem.,269,
20468-20474(1994)
日本 原子 力研究所 研 究系職 員1名
研 究 分 野 :イオ ン ビー ム の生 物 影響 の遺 伝 的解 析 と生 体
機 能 解 明へ の 応用 研 究 (
特 にマ イ ク ロ イ オ ン ビ ー ム を
用 いた放 射 線 影響 の解析 と発 生 ・分 化 研 究 へ の応 用 )
所
属 :環 境 ・資 源利 用 研 究 部バ イ オ技 術 研 究 室 (
室
長 :渡辺 宏 )
勤 務 地 :群 馬 県高 崎 市 日本 原子 力 研 究 所 高 崎 研 究 所
内
応 募 資格 :修 士課 程 修 了以 上 の経 歴 を有 し, 原 則 と して
平成7年11月30日
の時 点 で,35歳 以 下 で, 当 研 究所
の採 用 試験 を受 験 した こ との な い方
提 出 書類 :① 履 歴 書 (
当研 究所 指 定 様 式 ), ② 研 究 経 歴書
(これ まで の研 究 の概 要 :様 式 自 由),③ 研 究 業 績 リス
トお よび論 文 (
総説 を含 む) の別 刷 各1部 ,④ 大 学 の
2296
卒 業 証 明書 な ど (
修 士 課 程修 了 者 は学部 卒 業 お よび課
程 修 了証 明 書 ,博 士 課 程修 了者 は学 部 卒 業 ,修 士 課程
修 了 お よび博 士課 程 修 了証 明書 )
, ⑤ 応 募 者 について照
会 で き る方2名 の連 絡 先 (
推 薦 状 は不 要 )
応募 締 切 :平 成7年11月30日
(
木)(
封 筒 の 表 に 「応募
書 類 在 中」 と朱書 の こ と)
着任 時 期 :平 成8年4月1日
書類 提 出 先 :〒100東 京都 千 代 田 区 内幸 町2-2-2
日本 原子 力研 究 所 人 事部 人 事 課
Te1.03-3592-2175,2176
研 究 に 関 す る間合 せ 先 :日本 原 子 力 研 究 所 高 崎 研 究所
環境 ・資 源利 用研 究部
Te1.0273-46-9510FAX0273-46-9688