ドイツクアオルトにみる健康づくりとは レポート2

尾 陰 由 美 子 の ち ょ っ と 一 言
No.8
ド イ ツ 研 修 ツ ア ー レ ポ ー トVol.2
∼ドイツ クアオルト にみる健康づ くりとは∼
今月も引き続きドイツ研修ツアーのレポートをしたいと思います。前号では、フライブ
ルク大学での体験が少しアカデミックだったので、今月は日本のフィットネスクラブにも
積極的に取り入れると面白いと思われる内容をレポートしたいと思います。
すでに日本でもさまざまな取り組みをされているクラブもあるかと思いますが、ドイツ
のクアオルトでの健康づくりメニューは、運動を楽しみながら、自然と関わり、人と関わ
ってさまざまな体験を重ねていくものがたくさんあります。その背景には、健康に対する
意識改革、運動への動機付けのためのプログラムがしっかり組み込まれているのです。
私 が、特によ かったと感じ たものはア ウトドアエクササイズ でした。
*自然と身体が調和するノルディックウォーキング
両手にストックを持って行うウォーキングがノルディックウォーキングです。ドイツ
では ノルディッ クウォーキン グはとてもポピュラ ーで、今回 は理学療法士 のトーマ先 生に
つい て、ストッ クの調節の仕 方、握り方、基本的 な歩行の指 導を受け練習 を開始しま した 。
意外 と簡単そう に見えていた のが、実際 にやってみると 参加 者はなんば歩 き(同側手 足歩
行) になる方が 多く、大笑い ではじまり、参加者 一同四苦八 苦で何とかウ ォーキング が様
になったという感じです。
ス トックをし っかり握って 少し後方に 押し出すようにしなが ら 歩くと腕の 後ろ側(上
腕三頭筋)を使うことができます。そのため自然と背筋が伸びて胸を張ったような歩き方
になるのです。この、ノルディックウォーキングはストックをつきながら の歩行なので、
足へ の負担、関 節への負担が 少ないということで したが、実 際に本当に下 肢には優し く感
じられました。練習を終えたところで、早速、ライン川沿いを 1 時間弱ウォーキングしま
した。時節、ストレッチを入れたり、歩き方に少し変化を加えて行うことで、メリハリが
つき、緑の自然の中を歩く気持ちよさは本当に格別でした。都会のフィットネスクラブで
は、排気ガスや騒音という中でウォーキングする気にはなかなかなれないものです。運動
を心 地よく行う ためのロケー ションは重 要だと思いました。
*森 林の中でオ ゾンたっぷり のヨガ
今 回、私たち がドイツに着 いてからはとてもいい お天気に恵 まれました。 それまでは、
ワールドカップのニュースでもご存知のように雪や雹が降っていたり、セーターがいるほ
どの肌寒いお天気が続いていたのですが、一気に初夏を迎えたようなお天気に恵まれ続け
たの です。その おかげで、ド イツならではのクア パーク(屋 外)の森の中 で「ハタヨ ガ」
のレッスンを体験できることになったのです。
ク アパークの 中の木々に囲 まれて、葉 の間からこぼれる光を 身体に 浴びな がら、ゆった
りと ヨガのエク ササイズを体 験したこと で、ヨガ 本来の自然 との対話につ ながる感覚 がな
んと もいえない 不思議な気持 ちにさせてくれたの です。日本 のフィットネ スクラブの 閉ざ
されたスタジオの中で行うヨガとは、まったく心と身体に感じるエネルギーが違うようで
した。レッスン環境が心と身体に及ぼす影響は本当に大きいと感じました。
日本のヨガブームと同じくドイツでもここ数年ヨガのブームはかなりのようです。6年
前にドイツに来たときは、まだまだヨガは、フィットネスクラブなどでカルチャーレッス
ンの一部で行われていただけでしたが、ここ数年でクアオルトの中でもグループ運動療法
の1つに取り入れられるようになったそうです。ちなみに日本で大ブームとなっている
「ホットヨガ」について聞いてみましたが、まだドイツではそういったプログラムはポピ
ュラーではないようでした。
*極楽気分のパッシブプログラム♨
次にドイツのクアオルトというとやはり個別(パーソナル)メニューとサウナのバリエ
ーションの豊富さに驚かされます。個人の目的や症状、体力レベルなどに応じてさまざま
なプ ログラムが 用意されてい ます。
シ ュリンゲン ティッシュ、 マッサージ、ブラシマ ッサージ( 裸で行う)に アーユルヴェ
ーダを今回は体験しました。過去のドイツ研修においては、リンパドレナージやアロマオ
イルマッサージ、泥のマッサージなど数々のプログラムを体験していますが、私のオスス
メは、シュリンゲンティッシュです。これは特殊な機械を使いますが、身体の各部分を紐
で吊 り下げて、 可動性や安定 性を引き出 すような手技、マッ サージを施す のです。つ まり
陸上にいながら水中でぷかぷか浮いているような状態を作ってさまざまな手技を施すもの
です。
今 回は、五十 肩の参加者の 方が、シュリンゲンテ ィッシュを 行った後、上 がらなかった
左手がすんなり上がるようになってとても喜んでいました。その方は、日本に戻ってしば
らく 滞っていた トレーニング をまた一からきちん と行いたい というプラス のモチベー ショ
ンに 変わってい ました。この ときに私が思ったこ とは、指導 者 の使命とい うのは、参 加者
が運動を通して次へのステップアップやチャレンジを引き出すために何をすべきか考える
こと にあり、そ のためにも、 参加者の身体と心の 状態をしっ かりと捉え、 的確なアド バイ
スができること、運動指導ができることが重要であると感じたのです。場合によっては運
動よりも治療を優先するようアドバイスをし、治療の現場からしっかりと運動を行うフィ
ットネスの現場への引き渡しがもっと出来たならば・・・と。今回の五十肩のように治療
と運動がつながっていくことがこれからのフィットネスの中で確実に求められる形ではな
いでしょうか?
この思いにとらわれるばかりでした。
*日本のサウナと大違い!
ド イツのクア のサウナは、 ほとんど男 女混浴になっています 。読者の中で は、驚かれる
方と ニヤニヤさ れる方がいら っしゃるかもしれま せんが、ド イツ人のサウ ナの利用は とて
もマナーがよくびっくりしてしまいます。サウナ発祥はヨーロッパということを考えると、
当然 かもしれま せんが日本人 ももっと見習うべき だとつくづ く感じてしま いました。 その
ためにはサウナ利用のための教育がもっと必要です。バッドベリンゲンのバリアテルメも
充 実 し た 施 設 で す が 、 そ こ に は 、 60℃ ∼ 90℃ の ド ラ イ サ ウ ナ ( 3 つ ) や ミ ス ト サ ウ ナ 、
21℃ の プ ー ル 、 40℃ の お 風 呂 、 足 湯 、 ア ウ フ グ ー ス な ど さ ま ざ ま な プ ロ グ ラ ム が 用 意 さ れ
てい ます。各自 が自分の目的 に応じて選択するの ですが、サ ウナの中では バスタオル をき
ちんと敷き、その上に身体を置き、汗が床に落ちないような配慮をします。サウナの中で
は、静かに時間が流れるのを待ちます。日本のフィットネスクラブの井戸端会議状態のサ
ウナとは大違いです。さらにサウナの中には、気持ちのよい空間作りとして、ガラスを大
きく とって自然 光をふんだん に取り入れ たサンルーフデッキ が あり、身体 と心を芯か らほ
ぐして、リラックスさせてくれます。サウナから直接外に出て芝生の上で日光浴をする人
( 当 然 裸 で す )、 サ ウ ナ で 身 体 を 横 た え る 人 、 サ ン デ ッ キ で 仮 眠 を 取 る 人 、 21℃ の プ ー ル
で気 持ちよく泳 ぐ人(これも 当然裸です)などそ れぞれのリ ラックスの仕 方をしてい ます 。
私も 6 年前にサ ウナを初体験 したときは、どぎま ぎしたもの ですが、もう すっかり慣 れた
もの で今年はア ウフグース( 熱波浴)も 心地よく楽しむこと が出来ました 。
*グループレッスンの意味
最後に今年はドイツでツアー参加者に向けたレッスンも行ってきました。
ドイツツアー6回にして初めて私のレッスンをプログラムの中に取り入れてもらいまし
た。 ツアー参加 者はエアロビ クスに慣れ ている人もいました が、苦手意識 を持ってい る人
もい たので簡単 なラテンダン スのステップを組み 合わせて1 人⇒二人組み ⇒全員( ク ゙ ル
ー フ ゚ フ ォ ー メ ー シ ョ ン タ ゙ ン ス )へ変化させながら展開をしてみました。
エアロビクスなど従来スタジオで行われているプログラムは、ヨーロッパ的な感覚で言
うとグループレッスンではないようです。大勢で行っているものの、全員が鏡を見ながら
個人 のエクササ イズを行って いるのです 。そこに は、エクサ サイズを通し て人と人が 関わ
りあ うようなコ ミュニケーシ ョンがあま り存在していない の です。運動療 法を ク ゙ ル ー
フ ゚ ワ ー ク で 進 めていくとき には、指導者と参加 者、参加者 と参加者が関 わりあうこ とが
とても重要と言われるのですが、私は常々レッスン指導の中で人と人との関わり合いを大
切にしたいと思っていました。
そうは言ってもなかなかフィットネスクラブの既存のプログラムの中では難しさがあり
ますが、私が行う機能改善教室では本当の意味でのグループレッスンが行われていると自
負しています。参加者からも今回のグループエクササイズは、ペアで踊ったり、列になっ
てランバダを踊ったり、最後は思いっきりサンバで参加者同士が触れ合ったり、笑顔やウ
ィ ン ク 、 投 げ キ ッ ス を し て た く さ ん の 関 わ り 合 い を 作 っ て み ま し た 。 12人 の 参 加 者 が 大 い
に笑 い、自然体 になれた姿が 本当に印象 的でした。
高 齢者指導や 機能改善指導 を考えるときには、こ ういった精 神面と社会面 へも アプロー
チしていくことは今後とても重要ではないかと感じています。
2 ヶ月にわたってとっても個人的な観点からドイツレポートをさせていただきましたが
いかがでしたか?ぜひ、読者の皆様のご意見もお聞きしたいところです。来年は、 9 月に
ドイツツアーを予定しています。興味のある方は、ぜひご一緒しましょう。