文書管理システム導入による業務改善事例

文書管理システム導入による業務改善事例
∼文書管理業務の電子化成功事例∼
文書管理システム導入時における、業務内容の変更について紹介します。
以下の内容はあくまでも事例となりますので、みなさまの合った内容で検討を進めることをお勧めします。
相談下さい(最終ページに連絡先を掲載しております)。
事例1.紙文書における電子化の範囲
A.文書の属性
文書の属性による区分けは、明確にしていません。
文書の類型が各所属で異なるケースが殆どですので、明確な区分けは行わず、課ごとの対処を促しています。
導入当初は習うより慣れて使用率を上げることを想定しました。
規定が厳し過ぎると「今まで行えたことがなぜ出来ないのだ」という制限をかける状況になってしまい、逆効果を
招いてしまう恐れがあります。
B.重要文書の電子化
住民からの申請書(権利に関わる内容)や公印が押印されている文書は、スキャナで読み込み可能ですが、
原本は必ず保管しています。電子文書は副本として取り扱います。
逆に、二重管理が業務効率化を妨げてしまうケースであれば、紙で収受をして、スキャナ読み取り後、紙文書を廃棄
するという運用も考えられます。もちろん、スキャナで読み込んだ文書等が原本となります。
紙文書のコスト削減とは別の観点での検討が必要になります。
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事例1.紙文書における電子化の範囲
C.文書管理システムにおける紙文書の取り扱い
紙文書においては、書誌情報(件名や保存場所等の基本情報)の登録を徹底しています。
ただし文書量が一定期間多く発生する照会文書等については、回答ごとの登録ではなく、集計結果を一括で
管理するなど業務の負担を考慮した運用で実施している所属もあります。複数の回答文書は一箇所に保存
されるケースが殆どになりますので、検索をした際に所在場所が明確に記されていれば問題ありません。
庁内または自治体間でやり取りされる文書は、再度発送を依頼することが容易に可能である為、厳密な管理を
求めない方針で稼動を始めました。
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事例2.文書番号の考え方について
A.収・発記号の管理
現状、紙文書の検索性を考えまして発送をした照会文書に対し、収受した回答文書へ「発」という記号を合わせ
て管理していました。
しかし、システムを導入することにより、文書番号以外からの情報(収受した日付、件名に含まれる文言)からの
検索も可能となりますので、番号の付番を取りやめました。
一部の所属において、発送した電子文書の照会を迅速に行う為に、発送対象文書に限り、決裁後の文書に
番号をつけています。
各担当者で文書番号を割り振りしていたケースも、文書の出所を確認する目的であったので廃止しました。
B.特殊文書における番号管理
特殊文書(公示・令達文書)に付番する番号は現在、法制担当課で取得しています。
全庁において施行日順に番号を付与する為、職員間において対面したやり取りを行っています。現状
の業務をシステム化すると、番号の取り直しが頻繁に行われる可能性があり、効率化が望めません。
紙での番号管理簿での業務を継続して行いたいと思います。
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事例3.収受
A.課長(所属長)の閲覧
収受した文書をすぐに供覧するケースと、決裁後に行うケースがあります。若い職員においては前者が多い統計
もとれたが、どちらも周知目的には変わりがないので、運用上の取り決めは行いませんでした。
B.大量文書の収受
総務課で多い業務であり、新年度の始めに文書取扱責任者の報告等の照会・報告文書が対象となります。
全ての文書をシステムへ登録すると、次年度からの照会業務の時間を短縮することが可能になりますが、電子
メールで回答するほうが効率的な内容もある為、厳密な取り決めが行なっていません。このような場合、収受した
文書をそのまま保存することが一般的です。
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事例4.起案・供覧
A.簡易起案の廃止
共済で実施するハイキングの通知等、簡易な内容の文書は付箋を文書に貼り、チェックなり押印で確認していま
したが、従来どおり、簡易な供覧文書作成については残す予定です。あまりにも簡易な内容はシステムへの登録
を行なっていません。
しかし、文書管理システムの利用により、決裁記録を残せる仕組みがあるので、決裁が必要な文書においては
簡易起案を一切廃止しました。
財務関係の文書においては、紙の添付書類が多いケースも少なくない為、簡易起案を行ないます。
B.事前協議
従来のとおり、事前の協議は続けて行きます。
文書をシステムで管理する流れとなりますが、コミュニケーションは意見の相違を減らす為に必要と考えており
ます。その際の記録はメモ扱いとし、記録には残しません。
回議を電子化することで、従来の紙文書より柔軟な修正はできなくなりましたが、より慎重な見直しを行なう
効果を期待できます。
C.紙起案
従来の紙起案を残します。業務の特質は変わりませんので、起案者の説明が必要な文書があります。
また、緊急度の高い文書に対しても効果的です。対面で行う程、迅速に対処できる方法はありません。
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事例4.起案・供覧
D.文言の改善
電子文書のメリットは流用です。そこで、将来的な情報公開等の利活用の場面を想定し、地方公共団体特有の
表現をなくす調整を行いました。
例)命令口調:「∼されたい」→「∼して下さい」
古い表現:「諸般の事情を鑑み」→「様々な事情を考えて」
法律用語・専門用語:「共用開始に」→「通行できます」
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事例5.回議・決裁
A.紙の参考資料の管理
土木課・建築課等においては、電子化が難しい図面や冊子の取扱いが多くみられます。多い時には20∼30㎝
もの厚さも及びます。
このようなケースにおいては、電子上で承認・決裁の記録を残すことに加え、併用して紙資料を管理できる仕組
みを検討しました。
現状での利用率は1割程度で利用されています。
B.意思決定範囲の見直し
起案者において承認範囲に迷った際に、回議の範囲を広げる職員がいることがわかりました。このような状況に
加え、合議文書を軽視する承認者も明らかになりました。
そこで10以上の印鑑が押されている文書を見直し、確認にとどまる文書においては回議を廃止しました。必要に
応じて供覧を併用活用しています。
C.進捗管理簿の廃止
進捗の管理を収受文書を記録している管理簿で行っていました。また、ある課においては、合議文書を文書経由
簿で把握しているところもありました。
文書管理システムを導入すると、閲覧が許される全文書の状況を把握することが容易になる為、各管理簿での
管理を一切取りやめました。
記録時間の削減を望んでいます。
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事例6.施行・発送
A.鑑の廃止
鑑を添付すると一見、親切に見えますが、庁内でやり取りをする文書での効果は低いと言えます。廃止しました。
従来の業務においては、施行日順で番号を取得し、鑑へ施行日と合わせて反映を行っていましたが、システム化
されると入力を行うタイミングも難しいという理由のあります。原義と異なる文書を発送することにもなります。
B.照会先の変更
現状は部宛に照会を行い、回答の取りまとめを合わせて依頼していました。これは紙文書におけるコピー等の
手間がかかる理由がありました。
しかし電子文書においては紙でのデメリットがなくなりますので、直接回答先へ照会できます。部から課への転送
もなくなります。時間も短縮されます。
C.周知文書の施行
周知目的の文書は全て、グループウェアの掲示板へ統一しました。関係職員は、時間のある時に目を通しておけ
ます。加えて、電子文書のやり取りもなくなりますので、検索性の向上、情報閲覧性の向上、サーバ容量のコスト
削減が見込めます。
D.文書管理システムへの統一
文書管理システムで管理するのは公文書だという位置づけを徹底し、電子メールでの施行を一切、取りやめまし
た。情報公開請求時の検索で、個人のパソコン上でしか情報を閲覧できないのは問題があります。私物化による
文書の不存在をなくします。
職員の混乱を少なく、わかりやすいルール決めがポイントとなります。
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事例7.保管・保存
A.閲覧権限
文書管理システムで管理される文書は、どんなに距離は離れていても、紙文書のような複製を必要としません。
その為、文書を閲覧できる・できないというアクセス制御(閲覧権限)を合わせて管理する必要があります。
アクセス制御(閲覧権限)は部以下に存在する課全て等、組織体系ごとの管理に加え、系列外の所属(別の部
に属する課)への閲覧が必要となります。現状、貸出しや複製で対応していた業務です。
B.原本の二重管理
現状、原本の二重管理が行われています。同所属の職員達が同じ会議へ出席し、その際使用した資料を同時に
保存するケース等が原因と考えております。
原本の二重管理は、業務上の混乱を招くため徹底した見直し・情報共有を行います。
C.分類
文書管理システムでは検索性が向上しますので、分類体系を簡素化しました。第二階層までは全庁共有とし
第三階層の小分類以下は各所属での整備になります。
文書番号同様、厳密に管理を行わなくても目的を果たせ、業務の軽減が行えます。
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事例8.情報公開
A.公開の可否
起案の段階で公開の可否を可・一部可・不可で指定していましたが、法律上、公開可能な文書においても
起案者の判断に依存する為、不可とされている文書もありました。
文書管理システム導入後は、将来的な情報公開へ対応する為にも、起案の団体で公開できないのであれば
どうしてできないのかという理由をきちんと残す運用へ変更しました。請求時の再検討での効果が見込めます。
情報公開業務への意識を高める効果も予測しています。
B.閲覧権限
事例7においても紹介しましたが、文書へのアクセス制御(閲覧権限)を利用し、情報公開業務の意識を高める
運用へ変更しています。
原則、全庁への公開を初期設定(任意に変更しない限り、全庁職員の閲覧が可能となる)しています。
意識的に個人情報や機密情報に注意を払う効果が見込めます。
C.情報公開請求時の対応
原本は文書管理システムのデータになりますので、パソコンの画面で公開するのではなく、戸籍同様に紙に印刷
し、写しを回答する意向を説明します。
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事例9.その他
A.監査対応
監査は文書管理システム内のデータで実施することを予定しています。パソコンの画面上、閲覧できるものが
原本ではありません。監査部門との調整が必要なります。
B.規程の整備
調査を行った結果、規程・要綱どおりでない業務が多数みられました。実際の業務の流れに規程等が追いつけて
いないと判断し、便利だからという理由ではなく、合理的に改革することに至りました。
規程は重要視されますが、手続きだとわりきり、徐々に変更・整備することで対応しています。
C.機密文書の取扱い
従来、機密文書を封筒に入れて回議していましたが、電子化されると認証(利用権限)に合わせアクセス制御
(閲覧権限)が管理されます。全文書の機密性を高めることが可能になります。
文書管理システム上の機密性を高めることも順次検討しています。認証(利用権限)では課長以上の役職へ
指紋認証を実施します。
D.カスタマイズ
文書管理業務は今まで各団体で運用と取り決めていましたが、今後、LGWAN電子文書交換システムや申請
システムとの連携が考えられる為、文書管理システム上の機能の統一も整備されつつあります。
文書管理上、特殊な業務はあまりないはずですので、パッケージベースでの構築を行いました。機能強化へ
(LGWAN電子文書交換システムの連携仕様変更等)柔軟に対応することができます。
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事例9.その他
E.システム調達の範囲
文書管理システムの調達に合わせ、庶務管理システム(出退勤)も実施しました。
出退勤は職員のだれもが管理しなければ個人の利益に影響が出るため、必然的に操作します。その為、一緒に
稼動を始める文書管理システム(電子決裁)の利用率向上へ効果がでます。
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