おとふけ食のフォーラム 2014

講演会・フォーラム
◇おとふけ食のフォーラム2014◇
平成26年2月22日に音更町総合福祉センターにて、音更町の「食」と「農」を多くの方々に伝え、「魅力」を知ってもらう
ため、「おとふけ食のフォーラム2014」を開催しました。
フォーラムの内容を一部ご紹介します。
①「医食同源 おとふけの食と健康」講師:天使大学 教授 荒川義人氏
バランスの良い食生活(日本型食生活)によって、日本の平均寿命は他の先進国と比べても延びており、世界中から
注目されている。しかし、最近では日本の主食である米の需要が減り、理想の食生活が崩れてきた。そこで米を食べる人
を増やし日本型食生活を取り戻すことを食育の目的としている。他にも食育の目的として、朝ごはんを食べて良い生活リ
ズムを取り戻すことや、個食や偏食を減らしてやせ・肥満を防ぐこと等があげられる。
バランスの良い食生活の代表としてあげられる沖縄にある長寿のまちの食生活は、秋田にある短命のまちの食生活と
比べて肉・豆・野菜の摂取量が多いことから、肉・豆・野菜を食べることが健康につながると考えられる。音更町では、大
豆・小豆等の豆類やにんじん等の野菜を多く収穫できることため、地元の食材を積極的に食べることがバランスの良い食
生活につながり、健康なまま身体を保つことできる。
また、地元の食材は生産者から消費者までの流通経路が短くなるため、新鮮でおいしく、栄養価が高い。おいしいとい
う体験は、豊な心が育まれるので元気な人が育ち、これがまちの元気につながる。
さらに、地元の食材を学校給食や家庭料理に使用することで、地域の消費行動に影響を与え、地産地消のベースが
できる。
このように、1次産業と連携した地産地消と食育は、元気な人と地域を育む効果がある。音更町は豊かな食材に恵ま
れていることから、地産地消や食育の環境に非常に適している。
これを浸透させて、音更町で元気な人や地域を育んでほしい。ま
た、地域の豊な食材が作り出す、主食を中心として肉・豆類・野
菜をバランス良く食べる理想的な食文化を継承するだけでなく、
新たな食文化を生み出してほしい。
北海道の自給率が200%という数字から、地産地消だけでなく
地産地活(地元の食材を活用する意味)を考えなければならな
い。北海道の豊かな食材を北海道独自の技術と発想で、加工し
付加価値を高めることができれば、優れた地産地活を行うことが
できるだろう。
②「音更の「食」と「農」の潜在力(地産地消率調査結果報告)」講師:札幌学院大学 講師 佐々木達氏
音更町には地域住民が気付かない力が眠っており、この潜在力を発掘し地域外に発信する必要がある。そのためには
地域を客観視し、また、地域外の人の見方や意見を取り入れなければならない。グローバル化が進むほど、逆に地域の
独自性や希少性が再評価され注目される。“ない”と諦めるのではなく、“ある”を活かさなければならない。
音更町の良さはなにか。私が感じた良さを5つ紹介する。1つ目は、北海道を代表する農業地帯であること。2つ目は、I
C工業団地に企業群が立地していることから、働く場所があること。3つ目は、帯広市のベットタウン的役割があることから、
人口が増加していること。4つ目は、十勝川温泉という北海道で有名な観光資源をもっていること。そして5つ目は、市街
地と農業地帯がはっきりと分かれているため働きやすい環境であること。ただ、5つ目の長所は短所でもあり、市街地と農
業地帯の交流が少ないため、市街地の住民は町の農業に対する知識や理解が少ない。
ただ、決して農業に対して関心がないわけではない。農業を体験したい人や地域の農作物を購入したい人等、地域の
農業に対する需要や要望はたくさん存在する。この需要を活かして地産地消を浸透させることは、地域でお金が循環して
雇用が拡大する効果があるので地域活性化につながる。
また、地域内の循環だけでなく、地域外からの外貨の獲得も地
域活性化のためには大切である。現在、地域の農産物を地域外
に売ることによる外貨の獲得は盛んに行われている。しかし、地域
の農産物に付加価値を付けた商品を地域外で売ることで外貨の
獲得ができれば、農産物を地域外に売るよりも多くの外貨を獲得
できる。
このように、地域資源である農産物を活かした地産地消や農産
物の高付加価値化等の取組を行なうことで、地域の誰もがその利
益を享受できる理想的な地域活性化を生むことができる。
③「学生から見た音更の地元力」 佐々木ゼミ所属の学生
【食と観光のつながり】
音更町の食には2つの側面がある。1つ目は生産の側面で、農作物のほとんどが地域外に出荷されるため地域消費者
とのつながりが希薄であること。2つ目は加工の側面で、地場産の
農産物を加工した商品はあるが認知度が低いこと。
そこで提案したいのが食と観光をつなげる取り組みだ。まずは、
地場農産物だけを取り扱った物産店や地場食材を使用した料理
を提供するレストランを開設する。そして、ホテルに宿泊した観光
客に対して物産店やレストランの割引券を発行する。この取り組み
によって、地場農産物が地域住民に親しまれるようになり、また地
域外にも地場農産物の良さを伝えることができる。
【大規模農業の展開と地域づくりの方向性の考察】
音更町の課題をまとめる。1点目は、大規模農業で生産した原
料農産物を道外に輸出している点。2点目は、生産者が生産物
の地域内での消費を意識していない点。3点目は、消費者が地元
の農業をほとんど知らない点。そこで、地域内での消費を意識しな
がら生産者と地域住民をつなげる交流の機会や場をつくることが必要だ。具体的には、生産者が経営の主体になり、地
域住民をターゲットにしたアグリデパートを開設する。1階は農業体験のスペース。2階はパネル展示をすることで町の農
業を情報発信するスペース。3階は音更産の農産物や郷土料理を販売する直売所スペース。4階は音更町の小麦を使
用したうどんやパン、農産物を食べることができる食のスペース。このアグリデパートによって、生産者は農産物をつくる誇
りが生まれて生産意欲が向上する。また消費者は食に関する意識が変わる。このような変化は新しい形の農業を作り出
すきっかけとなり、地域内において生産と消費がつながることでよい循環が生まれる。
④クロストーク「食と健康、地産地消と地元力」 荒川教授 佐々木先生 寺山町長
健康寿命をのばすためには食育が大切だ。この食育を推進するうえで、学校の給食を重視している。将来の音更町の
人材を担う子供に、給食を通じて地場食材の素晴らしさを伝えることで、地産地消に対する意識や食の選択力を高める。
このように人が育っていけば、音更町の未来は明るい。給食で大切にしていることは、自校給食の維持だ。自校給食では、
4時間目の授業中に給食のにおいを感じることができるので、自然と食欲が湧き出て給食をより美味しく感じることができ
る。
また、生産者と消費者の距離を縮めることも大切だ。ただ、地場の農産物を並べているだけでは足りない。生産者の顔
がみえて、直接地元の消費者や観光客とコミュニケーションをとることができる施設づくりが必要だ。
地域住民を食や農にいかにして巻き込むかも重要だ。例えば、
最近はやりのB級グルメは単価が高いこともあり、実は地元の住民
にはあまり消費されていない。地場の食材を地場で食べるという観
点が大切なので、これでは食文化が育たない。アグリカルチャーと
いう言葉がある通り、食は文化そのものである。住民を巻き込むた
めに、地元の食材を使ったレシピを地域住民で考える取り組みを
広げたり、新しい発想で加工品を考えたりする等、チャレンジする
機運が地域で必要だ。
⑤その他「矢部獅子舞演舞」「おおそでくん食の大使任命式」
音更町の矢部地区に伝わる文化・伝統を広く紹介するため、矢部獅子舞保存会による獅子舞演舞を
披露。矢部地区は富山県からの入植者が多く、芸能だけでなく食文化も○○の影響を受けている。
音更町食のモデル地域実行協議会にてリニューアルした、音更大袖振大豆キャラクターのおおそでくん
が、おとふけ食の大使として、寺山会長から任命書と任命の証であるたすきの授与を受けた。
今後は、町内外のイベント等において、おとふけの「食」と「農」の発信を積極的に行っていく。