フラワーバレンタインセミナー講演録 ~バラの香りに魅せられて~

フラワーバレンタインセミナー講演録
~バラの香りに魅せられて~
☐日時:平成25年2月8日午後7時~
☐会場:中央電気倶楽部 2階207号室
☐講師:小山内健さん(京阪園芸株式会社)
【司会者】
それでは、早速、フラワーバレンタインセミナーを開催させていただきます。
まずはじめに、ローズソムリエとして全国規模で活動されています京阪園芸株式会社の小
山内健さんに「バラの香りに魅せられて」と題しまして、お話をしていただきます。
小山内先生は、先日のNHK「趣味の園芸」ローズレッスンの講師として、涼風真世さん
と一緒に出演されておられました。
次回は、3月3日の放送ということです。
それでは、小山内先生よろしくお願いいたします。
【小山内さん】
皆さん、こんばんは。
ここに来るまで分からずどのような場所で講演するのか、全く想像できませんでしたが、
入って来たら何と素晴らしい!
何と言うのでしょう・・・。歴史ある建物と言うのでし
ょうか。そしてこの会場に来たときに皆さん、すごく礼儀よく座られて・・・。私、実は
コミカルな方のタイプなんで、この場のようなムードになるとすごく緊張してしまうんで
すよね。
話で下手うつ前に謝っておきます。すみません(笑)
私、今ご紹介あずかりました。大阪は枚方。ひらかたパークのすぐ横にあります京阪園芸
に勤めて 23 年、バラとたわむれている幸せ者。小山内健と申します。
よろしくお願い致します。
今日はフラワーバレンタインですね。ということで、とびきりのバラのお話をさせていた
だきます。
まず、皆さんお庭やベランダとかでバラを育てられてる方っておられますか?
あ~やっぱり興味ある方多いですね。
いつかは育てて庭に入れてみたいと思われる方おられますか?
うんうん
なるほど。
では、どうも馬が合わないぞとかいうので、一生ないなぁ~という方おられますか?
まぁ~そういう方は手を上げにくいんだと思いますけど。
(笑)
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バラというのは見た目、非常に花の部分がきれいなピンクであるとか花びらが尖るとか。
花がくるくるっと渦を巻いているものとか、花びらが 1 枚 1 枚、尖がっているなど、いろ
いろとあると思うのですが、その部分部分を見るだけで、ものすごく吸い込まれる・・・
魅力に包まれるという方が多いんですよね。
たくさん咲いている中でも、目の前で咲いた 1 輪に何か吸い寄せられていくというか・・・。
魅入られちゃうというか。バラの魅せるパワーというのは、他の植物でも類を見ないもの
が秘められていると思いますよね。自分は、物心がつく小さいときから野に生える雑草と
か見ながら、ずっと植物を見てきましたが、こんな気持ちは初めてでした。
それまで私は、1つパンジーを見るともうパンジーのすべてを知った気になって。そうな
るとすぐ飽きてしまって、次の植物へと心変わりしていました。でも、23年前、京阪園
芸でバラと出会ってから見事に咲く一輪のバラを見て・・・。これが何というか、一瞬で
バラの魅力に吸い込まれまして。
飽き性な自分のその気性を止めてくれたのもバラだっ
たりします。今もまだ、バラの魅力に捕らわれていまして、「皆さんにもっとバラを普及し
なさい」みたいな感じで、バラにパワーをもらって、こういう感じであきのこない楽しめ
るバラ話を喋るようになりました。
実は12年前かなぁ、今まで、私、こういう人前で出ると足が震えてしまうほど、人見知
りで、皆さんの目なんか一つも見れない人間でした。テレビ番組「テレビチャンピオン、
バラ通選手権」
(テレビ大阪)が 12 年前にありまして、当時、たまたま何か、何でしょう?
カメラは人目では、ないので怖くなくて・・・。カメラの本当の怖さというのを知らなか
ったので、誰よりも緊張しないお陰で「優勝」してしまったということがありまして。そ
こから少しずつ運命が変わり、12年かかってこれだけ喋れるように。
まあ、もっと皆
さんにバラを知ってもらいたいという気持ちがすごくあったことが一番かな?
そうすれ
ばもう言葉というのは、出てくるものですね。
さぁ、ここに並んでいるバラですが、切り花用としてのバラでして、実は自分が知るとこ
ろ半世紀以上前にガーデンローズという、外で育ててきれいに咲くバラ、温室で生産性を
高めて作られてきたバラとに分かれていく時代があるんですよ。ガーデンローズは、暑さ、
寒さのほか、雨に強く、病気にも強く、そして香りがあればいいという感じで作られきた
んです。一方、温室で何度も何度も花が咲くように、その花がすぐに散らないように、花
びらに染みがつきにくい、傷みにくいバラが選ばれて。
50年たってそれぞれの用途に
応じて、今いろんな姿となって生まれてきてるというのがこのバラたちになります。
今日、アレンジに使うバラがあると思いますが、その中で切り花の世界で遠く、ずっと忘
れられてたバラの魅力が1つあります。それは、「香り」というものです。最近でこそ一概
では、なくなってきましたが。当時は香りがあるバラというのは寿命が短いという定説が
あったのですよ。何というのでしょう。花びらの付け根の所が要はものすごい毛穴という
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のでしょうか。そういう部分がかなり大きいということがあり、温度が高いとその部分か
ら中の香りを持つ成分。旨味という成分なのですが、それが揮発してきます。生命という
ものを外に吐き出しながら人に気付かせるというような性質があり、本来は、蜂や蝶々等
を寄せ付けるために香るという事があったのですが、それが品種改良しても維持していた
というのが、ガーデンローズには、ずっとあったのです。ただこれが生命を維持するため
に必要だったのが、そういう毛穴というものが、やはり閉じるということで、生命力を維
持するという方向に変化していきます。そうすると1本で2~3週間もつ品種が切り花の
中にあると思うのですが、その生命力がゆえに持ちこたえるというのがあり、要するに香
りを閉じ込めたということで、香らない品種がかなり増えていくというのもあります。
ただ最近では、ガーデンローズで、今までは見るという事だけでよかったのですが、バラ
園で歩いて行くと横に大きな花、尖がる花、巨大な花、赤、白、黄色というのを観賞する
だけで良かった事が、ガーデンローズもそうですが、手で触って感じるという事が段々強
くなってきてましたね。ガーデンローズだけでなく、切り花でも「イヴピアッツェ」とい
うバラがあるんですが、それなどは、「香り」というものがこの中では、一番残ってるとい
うものがやはりあります。これが生まれたというか、日本で販売されているのが、ガーデ
ンローズ。1986 年頃だったのですが、当時は尖がっている花びらが大流行してる時代でガ
ーデンでもそうだったんです。丸い花びらに抱えて香りがあって、そして外だと枝の数が
すごく少なくて、まだらに咲いてくるといったのがあって、当時はうけなかったのです。
それがいつしか切り花世界ですごく脚光浴びるようになる時期がかなり後になってから出
てくるんですが、気が付いたらあのバラ何だろうみたいな、香りあるよね。何年も前から
あるよみたいな感じで、だんだんと流行を治めてきてるというのがあります。
ちょっとその香りの中でもやっぱ女性が好む香りとか、あとは誰もがこれはダメだという
強い香りというのもあるのです。いろいろバラというと不思議なもので、人間の為に改良
された香りというのがありながら、やはり昔ながらのハエとか昆虫を対象の寄せるための
香りというのがそれぞれにあって。今はそれがいろんな 200 年 300 年の歴史のうちに混雑
という形になって、いろんな香りにさらに分かれているという事であります。
ここに今資料を見て、バラの種類にはいろんなことがあります。特に「香り」というのが
面白いことだと。まず1枚目ちょっと見ていただきたいのですが、今一番面白くなかった
字だけというのが一番寝てしまいますね。
普通、女性がバラの香りで分かるのは、「ダマスク」っていう言葉かな。まず、香水の原料
になり、よくつけられてる香り、あれがバラの香りと言って、ブルガリア地方が生産地と
される。自生地とするダマスクローズというのがあるのですが、それを主成分をして作ら
れた、もしくは模擬されたもというのがダマスクなんですよ。それは総体的に言われるロ
ーズの香り。バラだけしか持ち合わせない香りというので、ローズの香りとして大雑把に
紹介されたりすることがあります。このダマスクローズに、実はピンクのバラなんですけ
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ど、遥か昔黄色の野バラというのもいるのですが、枝豆の香りがするものもあるのですよ。
黄色のバラに。ただのその「枝豆の香り」だと誰もがあまり好まず、昆虫しか寄って来な
いというのです。砂漠にあるバラなのですけが、要するにハチもチョウもいない世界でハ
エしか生息いないとときに、その「枝豆の香り」というのが非常によかったのです。これ
が人の目につき、交配を始めると何といろんな香りに変化していきます。このローズの香
りに枝豆の末裔が出てきて、交配されて生まれてくるというのが、「フローラル」な香りで
す。一番はフルーツの香りの中で「シトラス」という、柑橘系のグレープフルーツみたい
な香りがする物とかもいるぐらいです。本来、人間に好まれない香り、人を寄せ付けない
香りなど、いろんな物が混ざることで花の香りになったりフルーツの香りになったり、香
辛料のような香りになったり、あとは葉っぱのような香り、最後は紅茶のような香りに。
これは中国から来たバラが何か紅茶の香りをしていると、いうような香りに分かれていく
ということがあります。
さらに次のページにいくと、香りの分類で、ピラミッドの一番上になっているのが、「ロー
ズの香り」。次に「フローラルの香り」、「フルーツの香り」
、「スパイスの香り」、「グリーン
の香り」、「ティの香り」と続きます。フローラルとかスパイス言いましたが、最も一番揮
発が強くて人の嗅覚を奥から手前までずっと感じられる、誰もが認識できる香りというこ
とで一番上に位置する「ローズの香り」なんです。先程言った一番最後に「ティーの香り」
というのは、なんというか、後味という、コーヒーとか紅茶を飲んだ後、最後にふわっと
戻って来る香りをいいます。それが「ティの香り」なんです。ティーとか紅茶の香りと言
われるやつですが。これらが枝豆もティーの近いところにいるのですが、これらをかけ合
わすことで、要はローズ8割。ティーが2割とか。品種によっては5:5とかというと少
しずつ人間の嗅覚で変わってしまい、花だったり果物だったりと分かれたりするのも多い
わけです。
次に「イヴ ピアッツェ」があります。これがローズの香りで、皆さんの目の前のもありま
す。一番大きくてピンク色の花があると思うんですが、すこし、香りを楽しんでいただけ
ます。あまり無理やり引っ張ると、花首が折れてしまうので、気を付けてください。
この香りは、少し温度が高かったり、朝方の太陽の光を受けた直後がものすごく香りが面
白いです。フレッシュな香りになってきたり、夜になると少し大人しく引っ込んでしまう
というのがあります。時間帯によって感じ方が変わります。一時期このイヴピアッツェが
すごく流行し、ガーデンローズを扱う人でも切り花で売れていると言われたぐらい注目さ
れていたそうです。今では切り花の中でも、香りが強い品種等もかなり生産されるように
なってきています。
このイヴさん、私なんかイヴピアッツェって名前が長いから、イヴさんって呼んじゃうん
ですよね。このイヴさん、比較的花びら分厚く、開きかげんはあるのですが、意外と花持
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ちがまだ良い品種なのです。なので、切り花にも使われています。ガーデンローズだって
これだけ香れば、花びらの付け根がポロポロと落ちて、一瞬のうちに芯しか残らないとい
ったことが、あったりするものなのです。この子は意外と最後までしぶとく花が残り、こ
のような品種がだんだんと増えてきております。
そして何でしょう。昔は花弁が尖がってこそバラという。どこかの百貨店のマークになっ
ていたんだけど。あれも見てると心理的なものとして、特に戦前によく流行っていたんで
す。というのがみんな前向いて頑張ろう、元気になろうとかいうときにあの尖がったりり
しい姿というのがものすごい励まされるというのがあって、愛というよりも励ましという
ものがすごくて、エールですね。バブルの後からガーデンローズでも変わったのですが、
色がまず無くなった時代があるんですよ。赤が見るのが嫌だとかいう時代があって、そう
なってくると薄ピンクとか白とかがものすごく好きになる時代があり、何本作っても買わ
ない時代が出てきたのです。「見たくない」と。どちらかといえば、癒されたいとかいう気
持ちの方が主になっていき、そんなときにガーデンでは白とかピンクが癒し等、神聖な色
とか、汚れがないというような心理があって流行る時代がきたんですよ。
ガーデンローズでよく見る「ピエール ドゥ ロンサール」という品種があるのですが、外
側の花びらが緑色、大部分が白、花びらの外側と真ん中の芯の方がピンク色が強いという
ような、何ともこの花、一つで何か高級デザートみたいな感じの雰囲気のあるバラが出て
きて、大流行するという。これも 2000 年ごろ流行するのですが、生まれは、実は「イヴ ピ
アッツェ」と同年代。ちょうどその辺りからガーデンローズでも流行が始まってくるので
す。「イヴ ピアッツェ」もカップ咲きになっています。抱えている、いいバラがあるらし
いというのでちょうどそのころ出だしてくるのです。ちょうどその辺りから尖がる花びら
より丸くなったバラというのが大好きになります。色も無くなるのですが、何か花びらが
喧々囂々してない、「フワフワ」とか「フリフリ」としてるバラが少しずつ、人気が出てき
ます。
そして「どやっ!」というような言葉がでる形よりも、つつましさというのでしょうか、
全てを見せない秘め事のような感じの形がカップ咲きです。しかも芯がシャキッと立って
いるのも好きなのですが、何でそれが売れるのみたいな感じで、花首がちゃんと立たない
ような、「何か支えたくなるような気持ち」というような品種が人気になってきます。
2000 年以降からその後、ものすごい雰囲気が変わりはじめ、今ここにある花は、選んで持
って来てはいると思うんですが、今のバラというのは、丸いコロッコロッとしたカップの
花で、花びらがとても多く、真ん中の雄しべ、雌しべが全然見えないぐらいまで花びらが
多い品種が増えてきていると思います。
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私は、どちらが好きかというと、私は貪欲なんで全部好きなんですよ。見たい時に見ると
いうのが自分なので。ただこういうバレンタインデーやイベントの時に自分が贈りたいと、
思うときは、やはり今、皆さんの目の前にあるような花の感じ大好きです。自分が贈られ
たいなぁと思っているのと、逆に尖がってる花が好きかもしれません。何かすごく私に対
して攻撃的な感じがするんすけども。花を見ながら何かお前の気持ちは分かった。あなた
の気持ちは分かりましたみたいな感じって何か届きそうな感じがするので。くだらないス
トレートな気持ちに感じます。
ただちょっとあの実は、このイヴピアッツェ、苗木としても売ってます。一回苗木バラ初
めて育てたい方はイヴピアッツェを庭に1本鉢でもいいので育てていただきたいなと思い
ます。
これ、実は朝方と夕方とかに香る香りが違ってきます。動くのですね香りって。暖まって
くるときに出てくる香り、あと昼を過ぎてからの香りというのは順番が変わってきたり、
すごく重くなってくるというか、そういう香りに化けたりもするので、その移り変わりを
楽しんでいただいても、いいかなとは思います。
切り花屋さんは、私、わからないですが、朝方に花を取っちゃうんですか?
それとも夜
の間に取って朝出荷する時に香りを閉じ込めた状態で取るのか、ちょっと分かんないです
けど。
多分昼間は、なかなか少ないのかもしれません。香りがある物って、気を付けな
いと香りが変わって出荷されることがあるそうなんですよ。
さて、そのフローラルのくくりの中には、ここには、もう無いのですが、それこそバラの
今のガーデンの中での話なのですけども、スズランの香りがするものもあります。あとス
イセンの香り、あとはここに載ってるフリージアの香り、そっくりな香りっていうのがあ
るのです。あとはそれらがミックスされたフローラルという感じの、その花束を合わせた
ときの香りに似てるバラというのが非常にあります。これは私の知る中で黄バラの中でも
相当あると思います。一度、機会がれば、またそれも一度、花瓶に挿してから、室内にい
ると、いきなり香りが出たりするので、楽しみにしていただきたいと思います。見るだけ
じゃなく、今の時代というのは近くで見る、そして触る、香る、ほとんど五感で楽しむと
いうようのが非常に今好まれてくとこがあります。
次にきっとフルーツの香りなんかもすごいですよ。
昔はなにか分からないミックスフルーツジュースみたいな感じの香りとか、たくさんあっ
たんですよ。何の香りなのか?果物に近い何か熟れた感じの、熟れた果実の香りというの
があったりするのですが、この 10 年の間でガーデンローズで出てきてる品種の中では、先
程言ったグレープフルーツとか。あとそうですね、洋なしの香りというのがあります。そ
れらが今改名されているのですが、黄色のバラってあるじゃないですか?
あまり切り花
として買う人は少ないと思うのですが、ガーデンローズでは、香りのある黄色のバラとか
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ってあったりするんですよ。実はこの遺伝子の中に黄色イコール枝豆の遺伝子なのです。
だから黄色とピンクをかけると生まれてくるのがシトラスの香りに化けていくんだと、だ
んだんわかってきて、今そういう品種の末えいが何世代かくるくる回ったところで出てき
た品種の中でグレープフルーツであるとか、シトラス系と言われるような品種が生まれて
ます。その延長上に、その「洋なしの香り」という品種も出てきてるというものがありま
す。だから 2000 年以前の作品の中には、そういう香りする品種がほとんど、お庭のバラに
は、まずいなかった。この辺りになってから生まれてきてるのも面白いとこです。
まだまだ多分ね、「香り」の遺伝子っていうのは、交雑を繰り返すことでいろいろと変わる
らしくて、カシスであろうとグレープであろうと多分作る過程でこれからもっともっと生
まれてくると言われています。もちろん切り花の世界の中でもまだまだ表現が足らないと
思うのです。大きい花が今流行とは思いますが、今は丸い形になっていますが、また尖が
る物になったりとか、もっと違うところが進化してくるかもしれません。まだまだ、たか
が「バラ」とか言って思ってる方たち、もっといろいろと見ていただきたいと思います。
特にいまだ注目されている、トゲが無くなっていくっていうような。1950 年代のバラなん
てほとんどもう触れないですよ。外のバラなんて乾燥する中でいるからイガイガ・トゲト
ゲサボテンですもん。そんな中でも、切り花の業界からもトゲがほとんど無くなってきて
る傾向ありますし、トゲが嫌いとか言ってたら、まずトゲが一番最初に無くなるのは、切
り花かもしれないですから。まずは自分のシュミレーション、コミュニケーションのため
には、切り花をたくさん買っていただいて、バラにもっと触れていただき、そして香りも
楽しみながら形を楽しむと、いろいろお願いしたいのです。
ほんと、このバラの世界にひとたび入ったらすごいですよ。外で庭にバラが1本たまたま
買ったやつがきれいに咲いてくると、何か、私上手く育てられるかも、という感じになっ
てきます。最初1本だったのが次にまとめて3本植えています。それが次の3本が5本に
なるのです。そうすると次1年間、次の年ぐらいなってくるといきなり 15 本に増えていた
りするんです。庭植えにこだわっていた人が、それでもやっぱり限界がくるのです。庭植
えのバラの。地植えしたバラの前に鉢バラコーナーが並んでいるのです。最終的にはけも
の道しか、残らないとかいうぐらいに。
その中に今は、バラ園というよりも、ハーブや他の草花とコラボレーションして楽しむ景
観というのが増えてきています。それが英国式ガーデンです。お庭で咲いた花が写真で見
るより何て素晴らしいんでしょう。それ以前に、私の庭でこんな花が咲くなんて、とかい
う感じの。もう、そうなれば一生もんですよ。
もう切り花でもその魅力というのはもうすごいもので、必ずブーケを買うとバラは1本で
も入れてとか、2本でも入れてとかって言って必ずメインをバラにちゃんともっていこう
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とする人がいっぱいいると思うのです。もう皆さん、半分以上バラの虜になっているんだ
なぁと思いますし、この機会にいろいろと、今日こうやってアレンジメントを次にやられ
ると思いますが、花に触れながら、私の話を思い出してください。
この中にも、今香りがするのは、先程確認した2つだけだったのですけが、ひょっとした
ら人の嗅覚というのは、同じに感じないと言いますから。ひょっとしたら皆さんもっと違
う香りがあなただけが分かるかもしれません。
この香りだけではなくて、ちょっといろいろとひとつ、こういうバラの香りというのが、
最後に「ティーの香り」というのがあると思うのですが、バラの香りの中で最も人を躍動
感とか、そのすごく気持ちをリフレッシュさせてくれるのが、「ローズの香り」と言われま
す。そしてフローラルとかフルーツというのは、嗅げば、なにかふくよかな感じというか、
少し前向きになろうかとか、あとは満足感とか。物によっては集中力を上げるという効果
が高くなるそうです。そしてこの「ティーの香り」。これは何と、嗅いでしまうと鎮静効果
があります。要するにバラのティーの香りというのは気持ちを落ち着かせるという効果が
あります。中国のバラって、ほとんどそのタイプなんです。何でしょう、こう嗅ぎながら
ローズの香り、はあって瞳孔が開くっていうのですか。ものすごい何かトラップしてしま
うような香りに対してティーというのは逆に、
「はあっ」と深呼吸しながら何かお茶を飲ん
でる感じになるそうで、嗅げば嗅ぐほど、紅茶と全く同じバラっていうのは、ないのです
よ。でも嗅げば紅茶を嗅いだような感じに落ち着くというところもあって、総称として「テ
ィーの香り」とも言われているぐらいなのです。この香りをいろいろと楽しんでいただき
たいです。ただ順番間違えると急転直下、回ってきますから、一度ローズを嗅いだ後、次
にティーローズあると、ものすごい落ちますから、気持ち悪いかもしれません。いろいろ
とそれら全部の「フルーツ」「ローズ」「フローラル」「スパイス」「グリーン」。最後に「テ
ィー」と言いましたが、これらを回しながらいろんな香りを楽しんでください。切り花の
中にもいろんな種類がありまして、いろいろと回して楽しんでみてください。最後にやっ
てくるのは、皆さんの気持ちが全て高まる、そして横広がりにいろんな感性が目覚めると
言われています。こうなってくると表情が豊かになってきて、表情豊かになるとお肌もよ
くなるらしいです。心理的なもので、ぜひとも、いろいろとバラによってもみくちゃにな
って、このフラワーバレンタインを機に、もっとはまっていただきたいと、こう思います。
私としては 30 分で短いなぁと思うのですけが、ちょっと尻つぼみながら、これでバラの楽
しさが少し分かっていただければと思い、これで、終わらしていただきます。
ありがとうございました。
【司会者】
ありがとうございました。
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早い者勝ちです。質問ある方いらっしゃいますでしょうか。この機会ですので。
【小山内さん】
何でもいいですよ。蘭の話でもいいですよ。
【司会者】
よろしいですか。
はい、どうぞ。
では、お1人だけ。
【参加者】
この中によく最近ミルラ香というのが、でてますよね。
【小山内さん】
ああ。フェンネルの香りと言われるやつですね。
【参加者】
フェンネルの香り。これはイングリッシュローズだけっていうか。イングリッシュローズ
結構多いですよね。
【小山内さん】
ありますね。香りの中でスパイスという中に、香辛料の中にミルラという香りがするもの
があるのですが、実はこの中にあります。純粋ではないですが、ミルラの香りがするなと
いうのがこの藤色のバラです。ライラック系の色が。これがブルーミルフィーユというバ
ラですが、これがちょっと先程、嗅いだのですが、そのミルラとちょっとティーの香りが
2つ混ざってるような香りがしております。
【参加者】
はい。
【小山内さん】
その中に紅茶っぽくなくて何か違う、嗅いだことがない香りを感じたらそれがミルラとい
うものだと思ったらいいです。
【参加者】
ああ。はい。
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【小山内さん】
ちょっと香りがしますでしょ。普通の香りじゃないのがしますね。この香りをするために
必要なのは、とっても交雑を繰り返さないとならないらしくて、これも近年に増えてきて
る香りの一つだとは言われています。
この香りも実は、朝方だとブルーミルフィーユはちょっとそのローズの香りの方向になっ
たりもするらしのですが、時間が過ぎるとミルラが一番底に眠っている香りなので、ロー
ズがアルコールに非常に近いから、かぱっと抜けちゃうんです。朝方のときに、それが抜
けた後、昼から残ってるのは、どん底と言われる一番底に眠る香りというのがティーとか、
そういう香辛料チックな香りなので、昼以降から嗅ぐと、もしくは、この夜の方で嗅ぐと
ミルラしか感じないとかいうのもあります。今嗅ぐと沈静してしまいまから、落ち着き過
ぎます。でも今からアレジメントするには、ちょうどいい姿勢になるかもしれません。
【参加者】
ありがとうございました。
【司会者】
ありがとうございました。
今日お使いいただくバラについても、いろいろ興味深いお話をしてくださいました。
小山内先生、ありがとうございました。
以上。
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