修正版 - 法と心理学会

法と心理学会 第 回大会プログラム
17
Japanese Society for Law and Psychology 17th Annual Conference
2016年10月15日(土)/10月16日(日)
立命館大学
大阪いばらきキャンパス
法と心理学会
第 17回大会のご案内
■ 開催日:2016 年 10 月15 日(土)・16 日(日)
■ 会場:立命館大学
大阪いばらきキャンパス
A 棟(一部シンポジウム棟は B 棟)
■ 所在地:〒567-8570 大阪府茨木市 岩倉町 2-150
■ アクセス方法
大会参加者がご利用いただける駐車場はございませんので、公共交通機関でお越しください。
大阪いばらきキャンパスへのアクセスにつきましては、以下のサイトでご確認ください。
http://www.ritsumei.ac.jp/rs/r2020/campus/oic/access/map.html/
主な交通機関

JR・茨木駅から徒歩約 5 分

阪急電車・南茨木駅から徒歩 10 分

阪急電車・南茨木駅から 京阪バス「立命館大学(岩倉公園前)」下車(約 5 分)
-1-
<JR 茨木駅からのアクセス>
東口から出て、線路沿いの歩行者専用道路を歩いて下さい。5 分ほど歩くと左手に、いばらきキャ
ンパスが見えます。北エントラス(岩倉門)から入ることができます。
<阪急南茨木駅からのアクセス>
西口から出て、モノレールの駅に向かって進むと階段がありますので、降りてください。高架沿
いに歩き、
「奈良」交差点で右に曲がって真直ぐに進むと、東エントランス(中条門)から入るこ
とができます。モノレールの宇野辺駅からの経路は難しいので、阪急南茨木駅のご利用をお勧め
します。
JR 茨木
<キャンパスマップ>
-2-
<会場案内図>
A棟 3F
AS
368
WC
EV
WC
373
365
371
364
363
372
362
361
AC
359
339
348
358
338
357
337
WC
EV
356
336
PS
テ
345
ラ
ラ
ウ
ス
344
BA
343
ハ
342
ス
ン
ジ
EV
茶
茶
テ
ラ
ス
ウ
341
EV
♂WC
ESL
ESL
茶
テラス
テラス
WC
330
B棟 3F
EV
心
WC
茶
374
コロキ
ウム

口頭報告・大会実行委員会企画シンポジウム:374コロキウム

ポスター報告:AS368(1日目)、AC348(2日目)

ワークショップ:AS361・AS362(1日目)
AC337・AC341・AC342・AC343(2日目)
OIC
ライブラリー

ポスター報告:AS368(1日目)、AC348(2日目)

総会・公開シンポジウム:AC330

特別企画クロージングセッション:AC341

休憩室:AS365(1日目)、AC345(2日目)

大会本部:AS356(1日目)、AC336(2日目)

書籍販売:AS364(1日目)、AC344(2日目)
-3-
大会参加者へのご案内
会場の都合上、大会の1日目と2日目で各使用教室が異なります。
ご不便をおかけいたしますが、ご留意の程よろしくお願いいたします。
■ 大会受付
大会第1日目:8:45-18:30
第2日目:8:45-16:00
*受付場所は、A棟C330(AC330)の教室前のスペースです。会場内では、受付時に
お渡しするネームプレートを必ずお付けください。受付においては大会参加の受付のほか、
学会誌の配布等の受付も行います。なお、学会費につきましては、なるべく事前に振込にて
お支払いただきますよう、お願いいたします。
■ 参加費用<当日申込みの場合>
正会員:一般 4,000 円、院生 2,000 円、準会員(学部生):1,000 円
非会員:一般 5,000 円、院生 3,000 円、学部生 2,000 円
*公開シンポジウムのみに参加する場合および非会員の方がゲスト報告者として参加する場合
は、参加費は不要です。
■ 休憩室
AS365(1日目)
・AC345(2日目)に設置します。利用時間は受付開始から、第1日
目は 18:00 まで、第2日目は 16:00 までを予定しています。
■ 昼食
大学構内のセブンイレブン(A棟1階)、スターバックス(B棟1階)、GARDEN TERRACE LION
(B棟1階)は、両日ともご利用いただけます。生協食堂(C棟1階)、生協ショップ(C棟1
階)は、1日目(土)のみご利用いただけます。
■ 総会
第 2 日目の 12 時からAC330にて開催いたします(お弁当はご用意しておりません)。
■ 懇親会
第 1 日目の 18 時 30 分より、A 棟1階の Camping Kitchen にて開催いたします。
懇親会費
5,000 円(当日参加の方は大会受付時に合わせてお支払いください)
■ 大会本部
AS356(1日目)・AC336(2日目)に大会本部を置きます。
■ 掲示板
緊急の変更やお知らせをする場合がございます。受付付近に掲示板を設置いたしますのでご注
意ください。
■ 書店の展示
書店の展示をAS364(1日目)
・AC344(2日目)で行います。
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報告者へのご案内
■ ワークショップ・口頭報告
各教室に常設PC(OS:Windows7)があります。プレゼンテーションは BigPad(大型ディ
スプレイ)での投影となります。会場には HDMI 端子と RGB(D-sub pin)をご用意しておりま
す。セッション前に動作等ご確認ください。
ワークショップは 1 件 2 時間、口頭報告は一人 20 分です(質疑応答は一人 10 分は確保します)。
■ ポスター報告
第 1 日目 10 時からポスターを掲示することが可能です。ポスターパネル、セロハンテープ、画
鋲は会場でご用意いたします。在席責任時間は、1日目(AS348)の 11:30~12:30(奇数
番号)および2日目の 11:00~12:00(偶数番号)となっております。
■ 配布資料
ワークショップ・口頭報告では、必要部数を各自でご用意の上、事前に発表会場のスタッフに
お渡しください。ポスター報告の場合は各自で配付をお願いいたします。
■ 報告の取り消し
ポスター報告者が欠席された場合は報告取り消しとみなします。欠席する場合はお早めに準備
委員会にご連絡ください。連名報告者がいる場合には、事前に大会本部の承諾を得れば代理報
告をすることができます。
その他、大会への参加、報告に関するお問い合わせは、法と心理学会第 17 回大会準備委員会
事務局までお願いいたします。
E-mail: [email protected]
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大会スケジュール
第 1 日目(10/15 [土]
)
B棟
A棟
3F
3F
3F
3F
1F
374 コロキウム
AS361
AS362
AS368
Camping Kitchen
10:30
口頭報告 1
WS1
WS2
ポスター報告
11:00
福島由衣
中田友貴
山崎優子
1
11:30
山本聡
在席責任時間
12:00
伊田政司
11:30~12:30
9:30
10:00
13:00
13:30
14:00
14:30
15:00
(奇数番号)
昼休み
12:30
口頭報告2
山崎優子ほか
WS3
平野節子
堀田秀吾
金成恩
15:30
16:00
16:30
大会実行委員会
17:00
企画
17:30
シンポジウム
18:00
稲葉光行
18:30
19:00
19:30
懇親会
20:00
20:30
WS1:刑事司法と精神・発達障害における法心理学的研究の展開を目指して
~若手研究者の視点から~
WS2:ジェンダーバイアスと冤罪バイアス
-事実認定における両バイアス克服の調整を目指して-
WS3:取調過程のコミュニケーションをめぐる心理研究と言語研究の交錯
大会実行委員会企画シンポジウム:バイアスと冤罪
~日本版イノセンス・プロジェクトの実践に向けて
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第2日目(10/16[日])
A 棟 3F
AC330
AC337
AC341
AC342
AC343
10:00
ポスター報告
10:30
11:00
11:30
WS4
WS5
WS6
WS7
中村正
吉井匡
羽渕由子
荒川歩
2
在席責任時間
11:00~12:00
12:00
12:30
AC348
(偶数番号)
総会
昼休み
13:00
13:30
14:00
14:30
15:00
15:30
公開
シンポジウム
廣井亮一
16:00
16:30
特別企画
17:00
17:30
クロージング
18:00
SS
サトウタ
ツヤ
WS4:情状弁護の質的転換を考える
WS5:窃盗とその矯正
WS6:多専門・多職種連携による司法面接の展開
―通達からの1年を振り返り、今後の展開を考える―
WS7:法と心理学研究の新たな広がりを考える:アメリカの近年の研究の分析を通して
公開シンポジウム:子どもをめぐる法と心理臨床
特別企画 クロージング SS:法心理・司法臨床における人材育成と学位について考える
―特に共同学位のあり方について
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口頭報告1
10 月 15 日(土)
10:00 ~ 12:00 B棟3階 374 コロキウム
口頭報告 1 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
面接者による目撃者識別への誘導は抑制可能か -「わからない」判断を用いた検討
報告
福島由衣(日本大学大学院文学研究科)
・厳島行雄(日本大学文理学部)
本報告では、目撃者の写真識別判断へ影響を及ぼす誘導の効果を抑制する手法について検討を
行った実験を 2 つ報告する。Weber & Perfect (2012) は単独面通しを用いた写真識別手続きにおい
て、
「わからない」判断を識別の選択肢に明示すると誤識別が低下することを示した。彼らによれ
ば、
「わからない」判断を明示した場合は、そうでない時に比べて記憶の自己評価が促され、自分
の記憶状態では識別を行うべきか適切な判断が可能になるためだという。識別判断の選択肢に「わ
からない」判断を明示することで、記憶評価が促されるのであれば、面接者による誘導の効果を
抑制する可能性がある。そこで本研究では、識別判断の選択肢に「わからない」判断を明示した
実験を行った。実験 1 では面接者の誘導が繰り返しの単独面通し識別判断に与える影響を検討し、
実験 2 では目撃直後の自由再生が誘導の効果へあたえる影響について、同時呈示ラインナップを
用いた検討を行った。
口頭報告 2 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
日本人の主権者教育
-契約・取引の社会と関係性・配慮の社会の比較を視点として-
報告
山本聡(神奈川工科大学教職教育センター)
18歳選挙の施行に伴い、公共意識・政治的中立などが主権者教育が問題となっている。その
多くは、欧米の模倣や権利主張を中心にした議論が中心である。日本人の主権者教育というのが
あってもいい。例えば、法文化の違いは、イソップ童話の「ライオンとねずみ」の翻訳に表れて
いる。また、
「道徳スクリプト比較研究」(東洋ら)の日米子育て比較調査では、野菜嫌いの子へ
の母親のアクセスの違いが注視されている。最近では、憲法学者が「組体操と道徳教育」
(権利主
張と思いやり)について批判をし、ネットで熱くなった。コールバーグの道徳性発達理論におけ
る「正義原理」対するギリガンの「配慮の道徳」論争にも通ずる法文化の違いは、単に個人主義
と集団主義の問題だけではないだろう。その根底にあるものは何かを考えるいくつかの要素を提
案したい。
-8-
口頭報告 3 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
法学と心理学における「量刑スケール」論
報告
伊田政司(常磐大学人間科学部)
刑法学において、小島(2007)は法定刑が刑罰を決める際の尺度(スケール)の役割を果たし
ているという量刑スケール論を展開している。この議論の中で、心理学的な尺度を想定されてい
る。
「罪の重さ」や「罰の厳しさ」といった概念は数量的な連続体としての直感的印象をもたらす
ためであろう。一般人の間にコンセンサスのある心理学的な量刑スケールを構成することが可能
であるか調査を行った。20 種類の犯罪名称を用いて素朴量刑判断を求め(N=190)、それらの分布
を検討したところ量刑判断には一定の序列関係が成立していることがわかった 。また、刑罰とし
ての刑期年数に対する「刑罰の厳しさ」判断を求めたところ「刑罰の厳しさの尺度」は刑期年数
に対してべき関数の当てはまりが良好であった。これらの計量心理学的研究が法学における法定
刑の役割に関する議論に経験的なデータを提供できるようになるか考察する。
口頭報告2
10 月 15 日(土)
13:00 ~ 15:00 B棟3階 374 コロキアム
口頭報告 4 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
取調べ手法とカメラアングルの組み合わせが事実認定に与える影響
報告
山﨑優子(立命館大学)・山田直子(関西学院大学)
・北村亮太(ボイストレーニング)
先行研究によれば、被疑者に対する取調べ手法及び取調べの録画映像のカメラアングルは、事
実認定者にバイアスを生じさせる可能性がある。本研究では、取調べ手法(自白を追求するリー
ド方式 vs. 情報を収集するピースモデル)と取調べ録画映像のカメラアングル(被告人フォーカ
ス vs. 被告人・取調官フォーカス)の組み合せが事実認定に及ぼす影響について、同時に測定す
る模擬裁判実験を行った。その結果、(1)ピースモデルによる取調べの方が、自白の任意性評価及
び有罪と判断した割合ともに有意に高かった。
(2)被告人フォーカスのカメラアングルの方が、
自白の任意性評価が有意に高かった。(3)取調べ録画映像のカメラアングルによってもたらされ
るバイアスは、裁判官役が評議に加わっても是正されなかった。以上得られた結果から、現在採
用されている取調べ手法及び取調べ録画映像のカメラアングルに関して改善すべき点につき考察
する。
-9-
口頭報告 5 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
主権者教育としての法育
報告
平野節子(日本法育学会理事長・明星大学通信教育部非常勤教員)
約 30 年前から、裁判に市民が参加することの意義を感じ、模擬裁判を中心とした教育活動で
ある「法育」を学校・地域において実践してきた。しかし、法育の効果は、指導者が肌で感じる
に留まり、効果の記録・分析を実施し始めたのは 5 年前からである。本発表では、法育とはどの
ような教育活動であるのかを紹介し、模擬裁判の前・後に実施したアンケートから、法育が自己
意識、社会参画意識の向上に有効であるかについて述べる。そして、急速に変化する社会に生き
る子どもたちが教育に何を求めているのか、主権者としてどのような力を身につけさせる必要が
あるのかについて考えたい。
口頭報告 6 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
離婚紛争における子の心理への配慮~子どものための協議の促進
報告
金成恩(立命館大学 R-GIRO)
日本の離婚の 87%を占める協議離婚において、父母は離婚後の親権者を定めれば、協議離婚
ができるが、面会交流及び養育費の取決めについては、協議離婚届出の受理要件ではないため、
取決めをしなくても、離婚は成立する。離婚後の親権者について、父母の間で協議が調わない場
合は、親権者になるために、相手方の人格を誹謗中傷したり、監護実績を作るために子との同居
を確保し、別居親に合わせようとしなかったりするなど、深刻な紛争を招き、離婚後の面会交流
や養育費の分担についての合意形成がより一層困難になる。その結果、子は父母の熾烈な深刻な
諍い、葛藤にさらされ、辛い思いをすることになる。これは、法の適用判断を中心とした従来型
の紛争解決システムでは適切に対応できていない。子の意思や利益を優先的に考えることができ
る仕組み、例えば、当事者への情報提供、相談体制、臨床心理的手法の利用、福祉及び相談機関
との連携などが不可欠である。
- 10 -
ポスター報告
1 日目:10 月 15 日(土)A棟3階 AS368
2 日目:10 月 16 日(日)A棟3階 AC348
在席責任時間
〔奇数番号〕1 日目 11:30 ~ 12:30/〔偶数番号〕2 日目 11:00 ~ 12:00
ポスター報告 1
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
司法面接における子どもの語り ―面接者の働きかけが子どもの応答に及ぼす影響につい
て
報告
田中晶子(四天王寺大学人文社会学部社会学科)
司法面接(forensic interview)は、事件や事故、虐待等の事案に巻き込まれた子どもから事実
を聴き取る手法として開発され、近年利用が広がっている。本研究では、司法面接(NICHD プ
ロトコル)における面接者の質問と子どもの応答との関係性を検討し、日本での司法面接におけ
る子どもの語りの特徴を明らかにすることを目的とした。調査には6~7歳児 10 名と大学生 10
名が参加した。参加者は短い動画を見た後に NICHD プロトコルに則った司法面接を受け、動画
の内容について報告を求められた。本発表では、面接者の働きかけが応答へ及ぼす影響につい
て、発話量と情報量の両面から検討した結果を報告する。また、保護者アンケートの分析から、
子どもの日常の報告に対し保護者が抱く印象と、司法面接の聴き取りにおける語りとの関連性に
ついても検討し、あわせて報告する。
ポスター報告 2
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
判断者の社会階層が量刑判断に及ぼす影響:一般市民の量刑判断に関する基礎的研究
報告
板山昂・坂野剛崇(関西国際大学人間科学部)
社会生活における意思決定においては、個々人の置かれた環境(地位や待遇など)や属性(性
別、年齢層など)の違いである「社会的階層」が大いに影響することが考えられる。裁判員の判
断においても社会的階層による差異が生じる可能性は大いに考えられるだろう。裁判員裁判にお
いては、20 歳から高齢者といった幅広い年齢層、様々な社会的背景を持った一般市民が、裁判員
として裁判に参加し、法的な判断を行うこととなる。しかし、一般市民の量刑判断に関する研究
において幅広い年齢層を対象とした研究は少ない。そこで、本研究では、幅広い社会的階層に調
査を実施し、属性(e.g.,年齢・性別・収入・子の有無)や自身の置かれた状況などが量刑判断に
及ぼす影響を検討する。
- 11 -
ポスター報告 3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
アリバイ証言の記憶とそれに対する第三者信頼性評価の検討
報告
小林千也(日本大学大学院文学研究科)
被疑者の虚偽自白研究は数多く行われてきているが、アリバイ記憶に焦点が置かれた研究はほ
とんど行われていない。本研究は、Strange,Dysart, & Loftus(2014)のパラダイムを用いて、
手がかりの提示がアリバイ想起に有効かどうかの検討を行った。61 名の参加者は手がかりとし
てカレンダーを用いてアリバイ報告する群と、手がかりなしで報告する群に分けられた。参加者
は、自身が被疑者になった状況を想定しながら、特定日時のアリバイ報告をした後、1 週間後に
それを証明する証拠を探してもってくるよう教示された。1 週間後、参加者は再びアリバイ報告
を行い、証拠を提出した。1・2週目のアリバイ報告の想起数と想起内容一致度を群間で比較し
たところ、手がかりを用いてアリバイ報告をした群の方が、想起数・一致度が共に高まる傾向が
見られた。証拠の提出が信頼性評価を予想するかを調べた結果、証拠の提出が信頼性に影響を及
ぼすことが示された。
ポスター報告 4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
迎合性と確信度が目撃者の共同想起に及ぼす影響
報告
花田捺美(日本大学大学院文学研究科)
目撃者の記憶は、様々な変数の影響を受けて変遷する。本研究では、個人特性のひとつである
迎合性に着目し、迎合性と想起時の確信度が、目撃証言の変遷へ及ぼす影響を検討した。52 名の
参加者は、想起に対する確信度と、Gudjonsson Compliance Scale(GCS)(Gudjonsson,1989)の迎合性
得点に基づいて、高群・低群に分類された。参加者は情動的ストレスが喚起されにくい、非情動
的な無声音の日常映像を観た後、個人想起、共同想起、個人想起の順で想起を 3 試行おこなった。
この時、より正確な報告をするために、他者の回答を参考にして想起することと、自身の回答を
以前の回答から変更することが認められた。その結果、各想起試行を通して、記憶に関する想起
数の変化に迎合性が影響を及ぼす傾向が見られた。また、質問項目に対する確信度が、回答の変
遷に影響を及ぼしていることが示され、確信度の低い参加者ほど、回答が変遷しやすいことが示
唆された。
ポスター報告 5
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
法的制裁が社会的制裁に与える影響の検討
報告
鶴田智(大阪大学大学院人間科学研究科)・釘原直樹(大阪大学大学院人間科学研究科)
人々は自分が第三者的な立場であっても、規範の逸脱者を罰する傾向がある。一般に、犯罪者
が受ける制裁は、国家が主体で法制度として組織化されている法的制裁と、それ以外の社会的制
裁に分けられる。社会的制裁は人権侵害や新たな犯罪に発展する事が少なくない。また、従来の
研究において、人々は社会的制裁を受けた犯罪者は、受けていない犯罪者よりも法的制裁(刑)が
減刑されるべきであると判断することが示されている。さらに、法的制裁と社会的制裁の間には
- 12 -
どちらか一方が増加することによって他方が減少するという相互補完の形態があると指摘されて
いる。そこで、本研究では法的制裁と社会的制裁の相互補完の形態の有無を検証するために、法
的制裁が社会的制裁に与える影響を明らかにすることを目的とした。本研究において、男女大学
生を対象にシナリオ実験(1 要因 3 水準参加者間計画)を実施した結果を報告する。
ポスター報告 6
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
凶器と高新奇性物品への注意処理は異なるのか?
報告
白川徹・相澤裕紀・白川真裕(日本大学文理学部人文科学研究所)・
厳島行雄(日本大学文理学部心理学科)
犯罪場面において、目撃者の記憶を歪ませる要因として凶器注目効果が知られている。従来の
凶器注目効果研究では、凶器の持つ脅威性によって喚起される情動、または凶器の持つ新奇性の
高さのどちらが凶器注目効果生起に大きく関わるのかが検討されてきたが、一致した見解は得ら
れていない。しかし、脅威性が注意に及ぼす影響について検討した研究では、脅威刺激はボトム
アップな処理によって非脅威刺激よりも素早く検出されることが知られている。また、凶器とい
う同一カテゴリーに含まれる物品であっても、馴染み深さによって脅威性の認識が変化し、馴染
み深い脅威物品は低次注意処理が、馴染みの薄い脅威物品は高次注意処理が行われることが知ら
れている。そこで、本研究では、凶器と新奇性の高い物品に対する注意処理が異なるのか、また、
凶器の馴染み深さによって注意処理が異なるのかを、サッカード反応時間を用いて直接的に比較
することで検討した。
ポスター報告 7
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目 「私」か「俺」か、あるいは「僕」か:供述調書における一人称が被疑者の評価に与える影
響
報告
藤田政博(関西大学)・日置孝一(神戸大学大学院経営学研究科)・
若林宏輔(立命館大学総合心理学部)
日本の供述調書の一般的な形式は、捜査官が被疑者から聴きとった内容を、被疑者自身が語っ
たような形に捜査官が書き直したものである。語用論的観点からみると、被疑者が実際に用いた
表現と異なった表現が調書で使われると、調書の読み手に伝達される情報が変わる可能性がある。
そこで、本研究では日本語における一人称の違いが調書の読者の被疑者の評価に与える影響につ
いて検討した。架空の殺人未遂事件についての被疑者(被告人)の自白調書を用意した。具体的
には、一人称が「私」、
「俺」、「僕」の 3 種類、そしてそれぞれについて結果が重大なものと軽微
なものであり、3×2の 6 種類であった。回答者には、被疑者に科すべき刑の重さ、殺害意図、怒
り、道徳性評価、同情等について尋ねた。報告では、このデータの分析結果を元に、一人称が被
告人に対する評価に影響するかどうかと、結果の大小に比べた場合の影響の大きさの違いについ
て検討する。
- 13 -
ポスター報告 8
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
裁判員の個人特性が量刑判断に及ぼす影響
報告
山崎優子(立命館大学 R-GIRO)・石崎千景(九州国際大学)
裁判員裁判での量刑が控訴審で覆された事例(精神障害が犯行の動機に影響したと専門科医が
証言した殺人事件)と、高齢者による介護殺人事件で、裁判員裁判で執行猶予付の判決が下され
た事例を取り上げ、これら2事例における量刑判断に、性格特性、事件報道の参照・信頼の程度、
治安に対する認識、死刑制度に対する認識が及ぼす影響について検討を行った。模擬裁判実験の
結果、前者の事例は、「犯行の悪質性と影響の大きさ」因子、「被告人自身の状況」因子が量刑に
影響すること、2つの因子には、正当世界観、情動的共感性(冷淡さ)、多元的共感性(気持ちの
想像)が影響することが示された。後者の事例は、「犯行の悪質性と再犯可能性」因子、「被告人
に対する情状」因子が量刑に影響すること、2つの因子には、犯罪に対する認識、死生観が影響
することが示された。評議体を構成する裁判員の性質によって、量刑の偏りが大きくなる可能性
が示唆された。
ポスター報告 9
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
万引きを繰り返すことはどのようにとらえられるのか(2):保安員を対象とした調査から
報告
大久保智生(香川大学教育学部)・吉井匡(香川大学法学部)
本研究では、保安員を対象として、窃盗癖(クレプトマニア)のように万引きを繰り返すこと
はどのようにとらえられるのかについて検討した。万引き G メンと呼ばれる保安員 74 名を対象
としたアンケート調査を行い、保安員のクレプトマニア対する知識や認識について明らかにした。
ポスター報告 10 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
遺書の有る変死事例における元警察官の心理学的な死因の推定の特徴
報告
入山茂(東洋大学大学院社会学研究科)・池間愛梨(東洋大学大学院社会学研究科)・
桐生正幸(東洋大学社会学部)
遺書のような自殺と関連しやすい情報は確証バイアスを生じさせ、捜査関係者に誤った死因の
推定をさせる可能性がある。実際、 他殺を偽装するために遺書を偽造することが多いと言われて
いる。本研究では、 自殺と関連しやすい情報の影響を抑制するような心理学的な支援の開発を最
終目標としながら、その第 1 段階として、捜査関係者による心理学的な死因の推定の特徴につい
て記述することを目的とした。元警察官 206 名を対象として、
“職業”、
“着衣”
、
“創傷”、
“死亡現
場の状況”、
“死亡日時”
、
“死亡場所”、
“凶器”、
“通院歴”、
“家族の病歴”
、
“パーソナリティ”、
“気
分”、“ストレスに対する反応”、“財政的問題”、“薬物使用”、“嗜好品”
、“対人関係”、“死に対す
る態度”、“病気”の 18 項目について、自殺または他殺とどの程度関連するか評価させた。
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ポスター報告 11 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
裁判員裁判における評議進行プロセスの検討
報告
小坂祐貴(立命館大学大学院文学研究科)
これまでの裁判員裁判における心理学的研究において、コミュニケーションの非対称性による
いくつかの問題点が指摘されてきた。しかしその実態は守秘義務により知ることができないため、
実際にどのような議論が成されるのか検討する必要がある。本研究では、模擬裁判の会話データ
分析を行い、判決に至るまでの議論進行プロセスを検討する。KJ 法による構造の分析から、評議
体がストーリーモデル的な方略を用いることが示された。また有罪判断の場合には確証バイアス
が見られる。テキストマイニングによるプロセスの分析からは、特定の話題に関して繰り返し話
し合いが行われることが示された。また話題の展開はオーガナイザーによって整理されていると
考えられる。構造、及びプロセスの分析を統合して考えると、オーガナイザーによる議論の整理
の中で話題の繰り返しが行われ、この過程の中で精錬されたストーリーが作り上げられるという
モデルが想定される。
ポスター報告 12 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
題目
Twitter による刑事司法改革についての意見分析
報告
上村晃弘(立命館大学映像学部)
2016 年 5 月 24 日、刑事司法改革関連法が成立した。公布後3年以内に施行される。取り調べ
の録音録画の義務付けや司法取引の導入、通信傍受の対象の拡大、証拠開示の拡充が柱となって
いる。可視化については第一歩といえるが、これらの法案にはいくつかの問題点も指摘されてい
る。そこで、今回の刑事司法改革についての Twitter のツイートを収集し、テキストマイニングと
いう技術を用いて意見の分析を行う。テキストマイニングとは、文章の集まりを自然言語解析の
手法を使って単語やフレーズに分割し、それらの出現頻度や相関関係を分析して有用な情報を抽
出する手法である。今回は、ツイートを自動的に収集するプログラムを作成して、分析の簡便化
を図る。
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ワークショップ
1 日目:10 月 15 日(土)9:30~11:30
A棟3階
WS1
題目: 刑事司法と精神・発達障害における法心理学的研究の展開を目指して~若手研究者の視
点から~
企画・司会:中田友貴(立命館大学)
報告:鈴木晶斗(立命館大学大学院法学研究科)・伊東香純(立命館大学大学院先端総合学術研
究科)・北野廣平(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
・齋藤絢子(立命館大学大学院
文学研究科)
大阪のアスペルガー障害の被告に対し、一審の裁判員裁判にて求刑を上回った判決が下された
事件のように、精神障害・発達障害は刑事司法において今後さらなる課題であることが考えられ
る。精神医学領域において DSM-5 などをはじめとして幾つかの診断基準が存在しており、また
変更もされていることから、刑事司法機関ごとの処置について検討を行う。同時に刑事司法は公
判だけでなく、その後の矯正や社会復帰に関しても勘案していく必要があり、一般市民が持つ精
神障害に関する理解を公判だけでない広範な意味で検討を行う必要がある。そこで本シンポジウ
ムでは、法と人間科学に関する、様々な領域の若手研究者による精神障害に関する研究の紹介と
各領域の架橋となる研究の方向性に関して議論を行う。
WS2
題目:ジェンダーバイアスと冤罪バイアス-事実認定における両バイアス克服の調整を目指して
企画・司会:山崎優子(立命館大学)
報告:外塚果林(日本大学大学院法学研究科)
指定討論:福井厚(京都女子大学法学部)、高田沙織(京都総合法律事務所)
最判平 21・4・14 刑集 63 巻 4 号 331 頁は、満員電車内における痴漢事件について、被害者供
述を信用できるとして有罪とした第一審判決及び(同判決を肯認した)第二審判決を破棄自判し
て無罪を言い渡したものであるが、その評価には鋭い対立がある。冤罪バイアスを克服するとい
う観点から「無罪の推定」という刑事訴訟法の原則に忠実な判例という評価(例えば、笹倉秀
夫、2014)がある一方で、ジェンダーバイアスを強調する論者からは、本判例における被害者供
述と被告人供述の信用性の判断は、
「明らかに偏頗なものと言うほかない」と評価がなされ(宮
地光子、2014)、厳しく論難されている(吉田容子、2015)
。本ワークショップは、女子高生など
に対するアンケート調査の分析結果を手掛かりに、両バイアスの関係を如何に調整すべきかを議
論しようとするものである。
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WS3
題目:取調過程のコミュニケーションをめぐる心理研究と言語研究の交錯
企画・司会:堀田秀吾(明治大学法学部)
報告:堀田秀吾(明治大学法学部)
、藤田政博(関西大学社会学部)、日置孝一(神戸大学経営学
研究科)、若林宏輔(立命館大学総合心理学部)
、片岡邦好(愛知大学文学部)、首藤佐知
子(早稲田大学法学部)
指定討論:指宿信(成城大学法学部)
現在、捜査機関による取り調べ過程の録音・録画が部分的に実現され、今後は、取調過程の記
録に研究者がアクセス可能になり、そこでの言語使用の分析も確実に重要度を増していくことが
予想される。取調過程でのやりとりは供述調書という形で裁判に証拠として持ち込まれる、とき
に裁判結果を左右する。しかし、取調べの場面でのコミュニケーションは、心理学の諸理論はも
ちろん、制度的談話、スピーチ・アコモデーション、言語行為論、協調の原理、関連性理論とい
った語用論、社会言語学で用いられる様々な概念や理論によって分析可能な現象にあふれてお
り、両者の知見を融合することでより正確に把握できる現象も多々ある。しかし、残念ながら、
これまで心理学と言語学の対話は十分に行われてこなかった。この対話を実現し、両学問の知見
を融合・援用した研究を展開することで、取調べの諸問題の解決に貢献することを目指すのが本
ワークショップである。
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2日目:10 月 16 日(日)10:00~12:00
A棟3階
WS4
題目:情状弁護の質的転換を考える
企画・司会:中村正(立命館大学大学院応用人間科学研究科)
報告:菅原直美(奈良弁護士会)、山田真紀子(大阪地域生活定着センタ−)、
指宿信(成城大学法学部)、中村正(立命館大学大学院応用人間科学研究科)
近年、刑務所出所者の再犯を防止しようという「出口支援」や知的障がい者の犯罪に対して起
訴を回避して福祉的サポートをおこなう「入り口支援」など、矯正・検察の世界でこれまでの厳
罰化とは異なる施策が生まれています。また、平成28年には、刑の一部執行猶予制度が導入さ
れるなど再犯防止と社会復帰のバランスに配慮した量刑が可能となるなど、刑罰をめぐる状況に
大きな変化がみられます。こうした実務や法制度の変化を受けて、司法と心理にかかわる新しい
刑事弁護像を模索する必要があります。本ワークショップはそうした時代のニーズに応じた情状
弁護実践について具体的手掛かりを提供するために企画しました。
WS5
題目:窃盗とその矯正(仮題)
企画・司会:吉井匡(香川大学法学部)、大久保智生(香川大学教育学部)
報告:大久保智生(香川大学教育学部)、生島浩(福島大学大学院人間発達文化研究科)
平成 24 年、犯罪対策閣僚会議において、「再犯防止に向けた総合対策」が決定された。そうい
った状況において、刑法犯における大きな割合を占める「窃盗」について、適切な矯正を行い、
再犯防止につなげることは重要である。本ワークショップでは、少年院や刑務所における、心理
学の知見を用いた窃盗の再犯防止についての取り組みを紹介しつつ、今後の再犯防止のために必
要なことは何であるかを参加者とともに考える機会としたい。
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WS6
題目:多専門・多職種連携による司法面接の展開
―通達からの1年を振り返り、今後の展開を
考える―
企画:田中晶子(四天王寺大学人文社会学部)
、安田裕子(立命館大学総合心理学部)、
赤嶺亜紀(名古屋学芸大学ヒューマンケア学部)、仲
真紀子(北海道大学大学院)
司会:羽渕由子(徳山大学福祉情報学部)
報告:三原恵(京都府警察本部)、
指定討論:市来竜哉(さいたま家庭裁判所)、主田英之(兵庫医科大学)、仲真紀子(北海道大学
大学院)
虐待、DV、知人による加害など、親密な関係の中での被害は発見が遅れがちであり、対応も
容易ではありません。その背景には、被害者から報告が得られにくいという理由がありますが、
近年、面接が多重に行われる結果、精神的な二次被害が生じ、対応が困難になるという新たな課
題も生じています。このような状況に鑑み、2015 年 10 月に厚生労働省・警察庁・検察庁から、
子どもの心理的負担等に配慮して三者が更に連携を強化するよう通達が出されました。その通達
から1年、現場によっては“連携”の実施に当惑したり、上手くいっていないところもあるよう
です。そこで、この1年で連携体制を構築し、すでにいくつかの実績をお持ちの京都府警察本部
より三原先生をお迎えし、連携のポイント、メリット、困難点についてご紹介いただきます。そ
の後、指定討論者の意見を交えて、次の展開(他の専門との連携、分担など)について考えてい
きます。
WS7
題目:法と心理学研究の新たな広がりを考える:アメリカの近年の研究の分析を通して
司会:福島由衣(日本大学)
報告:荒川歩(武蔵野美術大学造形学部)、滑田明暢(滋賀大学)、綿村英一郎(東京大学)、
若林宏輔(立命館大学)
指定討論:笹倉香奈(甲南大学)
日本の法と心理学も、学会が設立してまもなく 20 年になる。日本の心理学会は、日本の司法
現場の実情や法と心理学をめぐる諸事情の影響を受けて独自の進化を遂げたが、司法に貢献する
心理科学のトピックは網羅されたわけではないだろう。そこで、現在の日本の法と心理学の発展
の余地を考えるために、アメリカの法と心理学研究を題材に検討する。この検討を通して、日本
の法と心理学の領域拡大の可能性の検討を行い、そして翻って法と心理学という学問領域につい
て再検討する機会としたい。具体的には過去 3 年間の Law and human behavior の論文をすべて分
類、簡単にレビューし、現在の日本の法と心理学の現状と比較する。
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大会実行委員会企画シンポジウム
10 月 15 日(土)
15:30 ~ 18:30 B 棟3階 374 コロキウム
「バイアスと冤罪~日本版イノセンス・プロジェクトの実践に向けて」
主催:法と心理学会
共催:立命館大学人間科学研究所/立命館グローバル・イノベーション研究機構
企画・趣旨説明:稲葉光行(立命館大学
報告:笹倉香奈(甲南大学
政策科学部)
法学部)
遠山大輔(京都弁護士会)
野平康博(鹿児島県弁護士会)
パネルディスカッション:指宿
木谷
信(成城大学
法学部)
明(第二東京弁護士会)
浜田寿美男(立命館大学
平岡義博(立命館大学
衣笠総合研究機構)
衣笠総合研究機構)
指定討論:佐藤博史(第二東京弁護士会)
企画の趣旨
本シンポジウムでは、科学鑑定がバイアスによってゆがめられ、冤罪を生む構造について、法
心理の観点から議論を行う。
近年、足利事件、東電女性社員殺害事件、東住吉事件など、科学鑑定の誤りによって発生した
冤罪事件について無罪判決が出されている。冤罪発生の要因としてギャレット(2014)は、虚偽
自白、目撃証言の誤り、誤った科学鑑定、情報提供者の虚偽証言などを挙げている。アメリカで
は 1990 年代に「イノセンス・プロジェクト」と呼ばれる冤罪救済のための団体が発足し、多く
の冤罪被害者の支援を行っている。一方、本邦でも 2016 年 4 月より日本版のイノセンス・プロ
ジェクトとして「えん罪救済センター」が設立され、特に科学鑑定を用いた雪冤を中心に、司法
実務家と科学者のネットワークによる支援活動を開始している。
そこで本シンポジウムではまず、科学鑑定における心理学的問題、とくにトンネル・ヴィジョ
ン Tunnel Vision 現象による冤罪発生について、笹倉氏より海外事例の報告を行う。つぎに遠山
氏、野平氏より科学鑑定におけるバイアスの問題について実務経験に基づいた事例報告を行う。
さらに、こうしたバイアスによる冤罪発生の構造について、司法実務家の視点から木谷氏、心理
学者の視点から浜田氏、法科学者の視点から平岡氏によるパネルディスカッションを行う。
以上の議論から本シンポジウムでは、バイアスと冤罪発生のメカニズムおよびその防止方略に
ついて知見を見出すことで、日本版イノセンス・プロジェクトの実践の充実を目指す。
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公開シンポジウム
10 月 16 日(日)
13:30〜16:30
A 棟3階 AC330
「子どもをめぐる法と心理臨床」
主催:法と心理学会
共催:立命館大学人間科学研究所/立命館グローバル・イノベーション研究機構
企画・趣旨説明:廣井亮一(立命館大学総合心理学部)
特別講演:村瀬嘉代子(日本臨床心理士会)
報告1:二宮周平(立命館大学法学部)
報告2:山口直也(立命館大学法科大学院)
司会:安田裕子、廣井亮一(立命館大学総合心理学部)
企画の趣旨
法化社会がすすむ我が国では、犯罪や非行はもとより虐待、DV、ハラスメント、いじめ、な
ど家族や学校、職場での問題や紛争を法で取り込み対処しようとする動向が著しくなっています。
そうした状況で子どもや家族の援助に取り組む私たちは、それぞれの法に関する基本的な知識、
考え方と心理臨床の方法を理解したうえで、法と心理臨床の協働=司法臨床によるアプローチが
必要になります。
本シンポジウムでは、
「子どもをめぐる法と心理臨床」をテーマにして、家事事件、少年事件を
もとにしながら、子どもと家族への法と心理臨床のアプローチについて理解を深めます。
まず、日本臨床心理士会会長の村瀬嘉代子先生から心理臨床の立場から、親権監護権を巡る争
いで子どもの真意を汲むこと、少年事件で少年が事実を語る瞬間、など「法の場で子どもの心に
出会う・向き合うこと」について特別講演をしていただきます。
次に、二宮周平先生から「家族法から見た離婚紛争と子ども」について、山口直也先生から「少
年法から見た少年事件と子ども」について、主に法の立場からご報告をいただきます。
以上をもとに、少年・家事事件における、法と心理臨床の協働の重要性、現状の問題点、今後
の課題と展望などについて、村瀬先生、二宮先生、山口先生、参加者を交えて議論を深めたいと
思います。
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特別企画
10 月 16 日(日)
クロージングセッション
16:30 ~ 18:00 A 棟3階 AC341
「法心理・司法臨床における人材育成と学位について考える
―特に共同学位のあり方について」
企画:サトウタツヤ(立命館大学)
期待される参加者(事前承諾は得ておりません)
:
指宿信(成城大学)、藤田政博(関西大学)、原聰(駿河台大学)
松本克美・森久智江・若林宏輔(以上立命館大学)
企画の趣旨:
法学と心理学の学融領域たる法と心理学という領域は、日本においても既に多くの成果を生ん
できた。今回はクローズド・セッションとしてこうした領域における人材育成のあり方につい
て、カリキュラムから学位授与までを視野にいれて議論することを目的とする。
海外にはアメリカ・スタンフォード大学における法学と心理学の共同博士課程やオーストラリ
ア・ニューサウスウェールズ大学における法学と心理学の共同学士課程など、いくつもの試みが
なされている。それぞれ、博士レベル、学士レベルの単位を揃えることによって、共同学士を与
えるというものである。
日本においては、法と心理学に関していかなる学位レベルにおいても共同学位を出している例
はない。駿河台大学・心理学研究科には法心理学専攻(Course of Legal Psychology)が存在する
が、学位名称は修士(心理学)である。もちろんこのコースでは心理学と法学の専門家が協働で
運営にあたっており現時点でのモデルの1つである。
このような現状を詳しく理解しつつ、日本における未来の法心理・司法臨床の人材育成の可能
性をともに考えるのが本企画の趣旨である。多くの方の参加を期待したい。
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法と心理学会
第 17 回大会準備委員会
委員長:松本克美(立命館大学大学院
法務研究科)
副委員長:稲葉光行(立命館大学
政策科学部)
事務局長:若林宏輔(立命館大学
総合心理学部)
委員:浅田和茂・渕野貴生・松宮孝明・山口直也(立命館大学大学院
森久智江(立命館大学
法務研究科)
法学部)
サトウタツヤ・廣井亮一(立命館大学
中村正・野田正人(立命館大学
総合心理学部)
産業社会学部)
篠田博之(立命館大学
理工学部)
上村晃弘(立命館大学
映像学部)
相澤育郎・金成恩・山崎優子・山田早紀
(立命館大学
立命館グローバル・イノベーション研究機構)
小坂祐貴・中田友貴・中妻拓也(立命館大学大学院
佐藤伸彦(立命館大学大学院
文学研究科)
先端総合学術研究科)
顧問:浜田寿美男・平岡義博(立命館大学
衣笠総合研究機構)
主催:法と心理学会
共催:立命館大学
立命館大学
人間科学研究所
総合心理学部
立命館グローバル・イノベーション研究機構
「修復的司法と対人援助(法心理・司法臨床センター)」