呼吸と発声

♪音楽の持つ力
・歌うことで深い呼吸をし、血液により多くの酸素が補給され、五臓六腑の機
能を高めます。
・歌うことで口をたくさん動かすことが、言葉の発音をはっきりさせると同時
に、唾液の分泌や嚥下機能の向上につながります。
・昔懐かしい童謡・唱歌や懐メロを歌うと、その頃を思い出すことにつながり
ます。
・打楽器や鍵盤楽器を演奏することは指先を使うため脳の神経細胞を刺激し、
脳の活性化につながります。
・規則正しいリズムを打つことで、脳の活性化や転倒防止予防にもつながりま
す。
・仲間とともに歌ったり演奏したりする喜びや一体感を味わったり、自分の役
割を果たすきっかけになります。
・感動したり感動させたりします。
音活・健音で認知症予防、
NO!介護を目指しましょう!!
♪呼吸をコントロールするテクニック
よくトレーニングし、鍛えられた呼吸をコントロールするテクニックは、歌
手や管楽器奏者、舞台役者にとっては最も必要、かつ重要な事ですが、歌手で
なくとも、普段の生活の健康にとっても、大変有意義なことです。
それは、皆さんの胸を 2.5~5 ㎝ほど膨らませることによって、たるんだ腹筋
を伸ばし姿勢を正しくし、また、肺をきれいに掃除し、血液に酸素をより多く
補給します。皆さんがイライラしていたり、緊張しすぎている時には、その状
態を解きほぐすことにも役立ちます。こうして、全体に良い影響を与えます。
このように、呼吸には体や心を落ち着かせ新陳代謝を促す働きがあります。
♪深い呼吸
あなたが体全体をリラックスさせている時、呼吸は少量の空気しか必要とし
ません。その場合は、肺の最上部がわずかに上がり下がりするだけです。呼吸
法では「浅い呼吸」といえます。歌を歌う際、長いフレーズ(一息で歌う区切
り、歌詞で一節一区切りのこと)では、12 秒から 15 秒ぐらいまで息を持続
させなければならず、当然、かなりの量の吸った息を保っておかなければなり
ません。そして、多量の息は、肺の容量の全てを使わないと得られません。少
しずつやってみましょう。
また、「肺をきれいに掃除しておく」ということも銘記しておくべき重要な
ことです。肺に空気を満たすと同時に、それを完全に空にする(使用済みの汚
れた、淀んだ空気を追い出すためにも)ことも出来なければなりません。その
ためには、空気の最大限の吸入と最大限の排出というテクニックを、さらにト
レーニングしなければなりません。最初は難しく、今まで使っていない筋肉を
使うことからくるわずかな痛みを伴うかもしれません。ですが、毎日少しずつ
続ければ、マスターできることでしょう。
肺は上の方より下の方が広くなっていて、ちょうど西洋ナシのような形をし
ています。誰でも狭い上の部分は使っていますが、下の広い部分は滅多に使っ
ていないものです。肺に完全に空気を満たすためには、肺の上の方ではなく、
底の方に神経を集中させましょう。その時、決して方を上下に動かしてはいけ
ません。
まず、両足を肩幅ぐらいに開いて立ち、腰の上の側面に両手の掌をあて、肺
の底から空気を満たすことを意識しながら、ゆっくりとリラックスして空気を
吸い込み、ゆっくりと吐き出す深呼吸を続けてみましょう。手のひらをあてた
部分が横に広がるように、手のひらで感じ取りながら、鼻で呼吸をしてくださ
い。
★トレーニング その 1
仰向けに寝る。立っている時よりも、寝ている状態ならば呼吸はより深く
なり、しかも、いろいろな筋肉の動きも容易にとらえることが出来るはずで
す。
★トレーニング その 2
なにか重い物を腹部に載せるのも有効な方法です。但し、肺の拡張は身
体の前の方だけで行われるものではありませんから、腰から上の前後左右、
そして、真下にも広がるのだということに注意し、意識してやってみてくだ
さい。
★トレーニング その 3
風船が全方向に膨らんでいく様子を思い浮かべてみましょう。そして、背
もたれのまっすぐなイスに座り、腕の力を抜いて下に垂らすか、手を膝の上
に置き肘を外側に出しておきます。肩が上下しないよう、リラックスしてく
ださい。背は、イスの背もたれに触れる程度に背筋をまっすぐにしておきま
す。
さぁ、深呼吸を始めてみましょう。肺の底から長くゆっくりと、深く吸入
してください。あなたの背はだんだん膨らみ、イスの背もたれを押し付ける
ほど肺を膨らませてみましょう。
次は、排出です。深い呼吸法では、この息の排出こそ苦痛の始まりです。
肺を完全に空にすることは、肺の底から汚れた空気を外に追い出すことで、
肺の全組織に新しくきれいな酸素を十分入れる場所を作るためです。
今度は立ちあがって、前の段階でマスターした意識しながら十分に吸入
して、ゆっくりとその息を吐き出し始めましょう。すると、恐らく肺が半分
くらい空になった頃、無意識に肺が空になったと思い、すぐ息を吸おうとす
るはずです。しかし、この時肺は、完全に空になったわけではありません。
まだ、かなりの量の空気が内部に残っています。したがって、もっともっと
肺の掃除を完全にやり遂げるには、もう少々空気を絞り出す必要があります。
この絞り出し方を十分に訓練し身体で覚えるようにしましょう。初めの段階
で息を吐いている時は、肋骨のかごを意識し、そのかごを可能な限り広げた
状態に保つこと。そして、その状態で息を吐くことが苦しくなったら、次の
段階に移ります。
肺に対して下の方から上に向けて、ゆるやかに圧力をかけるように腹筋を
内に向けて引き込んでいきます。この操作は、残っている空気を追い出して
いる間、肺を支えるという役目を果たしています。発声にとても重要な役割
をしています。
★トレーニング その 4
今まで述べた方法は、かなり苦しく不快なものですが、このトレーニング
にちょっと変化を持たせるために、屋外に出てみましょう。まず、ペースを
崩さないよう規則正しいリズムで歩きましょう。次に、歩いた歩数を数えな
がら、肺が完全に一杯になるまで、鼻から徐々に息を吸います。肩の力を抜
き、肋骨を一杯広げて、肺の底から空気を満たしていくことを忘れないよう
にしましょう。
そして、肺の毛細組織に新鮮な空気がまんべんなく行き渡る時間を与える
ために、そのまま歩きながら数歩の間、息を止めます。それから、肋骨を広
げ、全ての空気を絞り出すつもりで、腹筋を徐々に、そして、十分に内に向
けて引き込みながら(少なくとも、吸った歩数の倍は時間をかけて)、適度
な歩数を数え、ゆっくりと口から息を吐き出します。これを何度も繰り返し
ます。
この方法は、驚くほど身体を引き締めますし、肺をきれいにし、腹筋と胸
筋を鍛えてくれます。歩数は、まず 5 歩で息を吸い、5 歩の間息を止め、
10 歩をかけて息を吐くというやり方で始めてみましょう。楽に出来るよう
になったら・歩 10 歩・20 歩という具合で。
♪腹式呼吸を覚えたら、いよいよ声を出しましょう。
口をしっかり開けて、大きな声で!
まずは、顔を両手の手のひらで、ぐにゃぐにゃとマッサージして、顔の筋肉
を和らげましょう。鏡を見ながら、笑ったり怒ったりする表情をしてみるのも
よいでしょう。
顔のウォーミングアップが終わったら、両足を肩幅くらいに開き、背筋を伸
ばして胸を張ります(バスト Up)。肩の力を抜いて、両腕を自然に下ろしま
す。おへそから指 3 本ほど下の丹田という辺りを意識しながら、お尻をキュ
ッと引き締めます(ヒップ Up)。最後に、ほほ骨を上げるよう意識します(ホ
ッペ Up)。
A.顎の運動です。口の周りを柔らかくしましょう。
B.発音の練習です。
・
「ア」の発音は、口を大きく開け、下顎を少し前に突き出すようにします。
上歯茎に声をぶつけて「アー」と発音します。
・「エ」の発音は、幾分口を横に開き、舌先をやや持ちあげるようにして、
声を口の外に出します。
・「イ」の発音は、上顎を上げ、口を横一杯に引きます。舌先を下歯の裏側
に軽くあて、声を前に出します。
・「オ」の発音は、唇を丸くして、口の中を出来るだけ広くします。唇や舌
に力を入れないように、唇に息をぶつける感じで。
・「ウ」の発音は、唇を突き出し、スイカの種を吹き出すような感じで発音
します。
C.横隔膜を使って、勢いよく声を出します。
D.発音練習第 2 弾です。唇、歯茎、下、喉、鼻をフルに使って、明るい声
を出しましょう。
・「サ」は、英語の「S」の発音と同じ摩擦音です。歯と歯の間から勢いよ
く空気を出し、それに「ア」の発音を載せます。
・「タ」は、口を閉じて舌先と上顎がくっついた状態から勢いよく舌と上顎
を離して発音します。これを破裂音といいます。
・「ナ」は、口を閉じ、舌先と前上歯の裏側がくっついた状態から発音しま
す。ハミングで歌う時のように鼻に抜くような感じから口を開くとよいで
しょう。
・「マ」は、上唇と下唇をしっかりくっつけた状態から口を開いて発音しま
す。ハミングで歌う時のように、鼻に抜くような感じから口を開くとよい
でしょう。
・「ラ」は、上歯の裏側に舌をあてた状態から離して発音します。
以上、呼吸と発音について述べました。これらは、単にのびやかな声を出す
ことや五臓六腑の機能を高めるだけでなく、食べ物を口に入れてから飲み込む
までの動作とも深く関連しています。噛む力や飲み込む力を維持し、誤嚥性肺
炎の予防につながります。また、発音がはっきりすることで相手に言葉を伝え
やすくなり、相手の言葉も聴き取りやすくなります。さらには、口の周りの筋
肉の衰えを予防し、表情が豊かになり、コミュニケーションもよりスムーズに
なることでしょう。
認知症予防と言っても、様々な取り組みが行われています。音楽は、手や足、
呼吸器など身体のあらゆる部分をフル活動して、一人ででも多くの人達とでも
楽しめます。皆様のアイディアをプラスして、それぞれの場面、実態に合わせ
て工夫しアレンジして頂ければ幸いです。応用が効くということが、これまた
音楽の良さでもあります。
♪メモリー・ケア♪では、以上の事を認知症予防のためにトレーニングし、
今の健康を維持するとともに、認知症を予防し、いきいきと『高齢=幸齢』化
社会を過ごしていただきたいと願っています。