ソーシャルゲーム業界の現状と 今後の課題

ソーシャルゲーム業界の現状と
今後の課題
領域:経済学・経営学
愛知学泉大学現代マネジメント学部
飯田ゼミ 2113022 梅村 光
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はじめに
私は、「ソーシャルゲーム業界の現状と今後の課題」というテーマで卒業研究に取
り組んでいきます。
今日スマートフォンの普及率は目覚ましく、携帯電話を利用している人の半数以上
の人がこのスマートフォンを利用しているということに着目しました。
また、スマートフォンの普及によりソーシャルゲームの市場も非常に盛んになって
おり、スマートフォン1つで、手軽にゲームを楽しむことができます。この手軽さがス
マートフォン利用者の心を掴み、市場規模は家庭用ゲーム機をはるかに上回ってい
ます。
私自身もスマートフォンの利用者であり、ソーシャルゲームの利用者ですが、現在
のソーシャルゲーム市場の事情や、実態など詳しく知っているわけではないので、ど
のような仕組みで運営されていて、どのようにして利益をあげているかということに
非常に興味が湧いたので、課題として取り上げることにしました。
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目次
第一章 ソーシャルゲーム
1 ソーシャルゲームとは
2 ソーシャルゲームの特徴
第二章 SNS会社について
1 株式会社ディー・エヌ・エーについて
2 株式会社ミクシィについて
3 ガンホー・オンライン・エンターテイメントに
ついて
4 グリー株式会社について
5 フェイスブック株式会社について
第三章 ソーシャルゲームの市場規模
1 ソーシャルゲーム市場の誕生
2 ゲームの形態
3 今日のソーシャルゲームの市場規模
第四章 ソーシャルゲームが成功した理由
1 手軽にできる簡単さ
2 人を夢中にさせるさまざまなゲーム形態
第五章 ソーシャルゲーム業界の現状と課題
1 希少性のコントロール
2 課金制度について
3 課金制度の問題
4 今後の課題
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ソーシャルゲームとは
・ ソーシャルゲームとは、SNS上でソーシャルアプリとして提供され
ているゲームの総称である。
・ソーシャルゲームには、SNSを通じてコミュニケーションを取って
いるユーザー同士が共にゲームを楽しめる、あるいはゲームを通じ
てコミュニケーションが取れるという特色がある。SNSの世界大手で
あるFacebookやMySpace、国内大手のmixi、モバゲータウン、GREE
など、各サービスにおいてソーシャルゲームが提供されている。
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ソーシャルゲームの特徴
・多くのソーシャルゲームは、非常にシンプルなゲームである。
・基本は、無料でプレイすることができる。
・ユーザー同士の交流を必須としない。あったとしても、数クリックで
終了する軽いもの。
・プレイヤーの拘束時間が短い。これにより、ゲームを同時に複数
プレイすることを可能としており、ジャンル全体でユーザー数を増大
させる要因となっている。
・ソーシャルゲームは、基本的にはSNS上で提供される。従って、そ
のユーザーは、そのゲームが提供されているSNSのユーザーとい
うことになる。
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ゲーム形態
・ソーシャルゲームが他のゲームと大きく違うのは、プ
ラットフォームがソーシャルネットワーキングサービスで
あることである。mixiやFacebookはもちろんだが、GREE
やモバゲーもSNSである。
・いきなりゲームを遊ぶのではなく、まずSNSに会員登録
をして、同じSNSを使ってる人と友達になる機能もあって、
メールをしたり、日記を書いたりすることができる。そうい
う機能の1つとしてゲームもあり、それらを指してソーシャ
ルゲームと呼ぶ
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ソーシャルゲーム会社の紹介
株式会社DeNAについて
株式会社ミクシィについて
ガンホー・オンライン・エンターテイメントに
ついて
グリー株式会社について
Facebook株式会社について
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株式会社DeNAについて
商号 株式会社ディー・エヌ・エー(英文名 DeNA Co., Ltd.)
所在地
渋谷オフィス(本社)
〒150-8510 東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ
初台オフィス
〒151-0053 東京都渋谷区代々木4-30-3 新宿MIDWESTビル
新潟カスタマーサポートセンター
〒950-0088 新潟県新潟市中央区万代2-3-6
設立年月日
1999年3月4日
資本金
103億97百万円 (2013年3月末時点)
株式公開市場
東京証券取引所・市場第一部
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取締役 会長 春田 真
株式会社ミクシィについて
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会社名
株式会社ミクシィ mixi, Inc.
本社所在地
〒150-0011 東京都渋谷区東1-2-20 住友不動産渋谷ファーストタワー7F
資本金
7,034百万円(2014年3月31日現在)
役員
代表取締役 社長森田 仁基.
事業内容
1.ソーシャル・ネットワーキング サービス「mixi」
2.ひっぱりハンティングRPG 「モンスターストライク」等
従業員数
364名(連結・正社員のみ)
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ガンホーオンラインエンターテイメント株式会社
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商号 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社英文名称GungHo Online
Entertainment, Inc.
本社所在地〒100-0005
東京都千代田区丸の内3丁目8番1号
住友不動産丸の内ビルMAP設立1998年7月1日資本金5,338百万円 (2013年12月末日現在)
役員代表取締役会長 孫 泰蔵
従業員数992名(連結)主要子会社株式会社ゲームアーツ
株式会社アクワイア
株式会社グラスホッパー・マニファクチュア
GRAVITY Co., Ltd.主要取引銀行株式会社三井住友銀行所属団体CESA(一般社団法人コン
ピュータエンターテインメント協会)
JOGA(一般社団法人日本オンラインゲーム協会)
MCF(一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム)事業概要PCオンラインゲームの企画・
開発・運営・配信
スマートフォンアプリの企画・開発・運営・配信
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コンシューマゲームの企画・開発・販売
ソーシャルゲーム市場の誕生
・ソーシャルゲーム市場が急速に立ち上がったのは2008年から09年にかけて。当
時は1作品当たり1000万円程度の開発費をかければよく、基本的な部分を作り上
げるのにかかる日数もわずか3週間程度だった。
・利用者ニーズを見極めたら、力業で開発して迅速にサービスに入る。さらに走りな
がらユーザー行動を分析してゲームに修正を加えどんどん魅力を増していく。
・これこそが必勝パターンであり、増収増益の原動力となっていた。02009年に登場
したディー・エヌ・エーの「怪盗ロワイヤル」や2011年に登場したグリーの「探検ドリラ
ンド」は、その代表格である。
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今日のソーシャルゲームの市場規模
・2013年における日本国内の家庭用ゲーム機(Wii/Wii U/ニンテン
ドー3DS/ニンテンドーDS/プレイステーション3/プレイステーション
Vita/プレイステーション・ポータブル/Xbox 360)の市場規模は、
ハードウェアが1558億円(2012年は1925億円)、ソフトウェアが
2537億円(2012年は2932億円)。合計4095億円で、前年より7
62億円のマイナス。
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今日のソーシャルゲームの市場規模②
・2013年のスマートフォンゲーム市場規模は、5468億円。前年比178%
へ拡大。
・国内家庭用ゲームソフト市場規模のおよそ2.2倍、国内ゲーム市場全体の
約5割に到達。
・スマートフォンの急速な普及に伴い、スマートフォンゲーム市場も拡大した。
特に、AppStoreやGooglePlayといったアプリマーケットにおいて、ダウンロー
ドは無料で追加課金(アドオン課金)型のスマートフォンゲームの普及が加
速した。
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ソーシャルゲームが成功した理由
・ソーシャルゲームの大多数は無料でプレイすることができ、ある程
度は簡単にクリアできる点が幅広く支持されている。しかし簡単にク
リアできるだけではやりこみ要素が無い。
・やりこみ要素とは普通にゲームをプレイしてクリアするだけではなく、
ある分野を徹底的に極めることができる要素のことであり、やりこみ
要素があることにより、ゲームをより楽しむことができる。近年のソー
シャルゲームは簡単にはクリアできず、時間や労力が必要になって
くるが、課金アイテムを購入することにより労力を省いてクリアするこ
とも可能である。
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希少性のコントロール
・旬の芸能人を起用した大量のテレビCMで華やかなイメージの
「ソーシャルゲーム」。だが水面下ではゲームの枠を超えた異常な事
態が進行していた。レア(希少)なカードを得るためギャンブル性の
高い「ガチャ」に10万円以上もつぎ込むユーザー。それらを対象に
ネットオークションでカードを売りつけ、月間で数百万円を荒稼ぎす
るユーザー。ついにはカードが複製される不正行為も発覚した。
・またシステムのバグを突いて、手持ちのカードをいくらでも増殖でき
る方法が記載されていた。次々と増殖に成功した証拠画像がアップ
されるなど、試したユーザーが狂喜乱舞。それが広くネット上に伝わ
り、一時、騒然となった。
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希少性のコントロール②
・不正行為が発覚した夜、モバイル向けアプリ開発などを手が
けるアサップネットワーク(東京・品川)の西山圭社長のつぶや
きがツイッター上を駆け巡った。西山社長がオークファンの
データを分析したところ、約4億円の4分の1強を3万5000人
の上位30人が稼いでいることが分かった。
・そこまでしてなぜ多くの客が数万円もの大金をはたくのか、コ
ンプガチャの恐ろしさを知る者であれば、5万円だろうが安く感
じてしまうのだろう。だから数万円という値付けでも大量の客
がつく。複製方法をひそかに知っていれば打ち出の小づちを
手に入れたも同然。不正な換金が容易に成立する素地ができ
ていた。
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課金制度について
・アイテム課金は、主にオンラインゲーム・ソーシャルゲームなどで導
入されている、ユーザーにゲーム内で利用できるアイテム(追加コン
テンツ)を販売する課金制度である。アイテム課金という名称は、大
半のゲームで基本料金が無料の範囲があり、ゲーム内アイテムを
購入することによって機能が拡充するというシステムによるもの。
・アイテム課金は、2001年ごろに韓国や中国で、急激に増える違法
ユーザーを防ぐために始まったオンライン商法が起源とされる。
・日本では一部でも無料で遊べる要素がある場合、無料部分を強調
し「基本無料(または基本料無料)」と呼ぶことが多い。
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課金制度について②
・基本的にリアルマネー(現金・電子マネー)、またはプリペイドカード、
携帯電話料金決済などでゲームで使用できる仮想通貨であるポイン
トを購入する。そしてポイントを使用してアイテムあるいは後述する
「アイテムくじ(ガチャ)」を購入する。
・アイテム課金制のゲームの多くは、無料プレーヤーには「ストレス」
を与え、徐々に課金に導くシステムとなっている。
・当初はカジュアルゲームと呼ばれ、経済力の低い学生を対象とす
るゲームに採用された。それらが成功をするのを見た企業も、自社
のコンテンツを「月定額制」から「アイテム課金制」へと変えた。
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課金してしまう心理
・一回の単価が安く、初回は無料でできるので心理的抵抗が少ない
・パスワードを入力するだけで手に入るので心理的抵抗が少ない
・お金を支払う→仮想コイン入手、仮想コイン→仮想アイテム入手と、お金
を使ってからアイテムを購入するまでに時間的感覚が空いており、お金を
使った実感に乏しい
・「期間限定」「時間限定」により、希少性の心理を感じて欲求が増す
・他のプレイヤーに頼られると承認欲求が満たされる
・課金対象がアイテムとして見えるため納得感が出やすい(ただパワーが回
復するだけではなくパワー回復の種などが手に入る)
・やっていない時にも気になる時間の経過が必要なアイテムがある。
・ガチャは、サンクコスト効果(既に支払ってしまって取り戻せない費用・時
間・労力)によって「今やめると損をしてしまう」「もうすぐ出るはず」と感じてし
まい、やめられなくなってしまうという面もある。
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ガチャの種類
・ステップアップガチャ
・回すごとに値段と特典が増えていくガチャの仕組み。
・1枚あたりの金額が安くなったり、特定のレアリティが確定したりといった形になる。
引けば引くほどお得なので、はじめてしまうと、最後まで引かないといけないという気
持ちにさせるガチャの仕組み。
・ランダムポイントアップガチャ
・ガチャをまわすたびにポイントが貰え、そのポイントで別のカードを入手出来ると
いった形。10連ガチャを回すとポイントがたまり、そのポイントで各種アイテムやカー
ドと交換したり、ガチャの確率が上がったりする。
・ボックスガチャ
・通常のガチャではくじ引きと違い、何かカードを引いたとしても、そのカードが減るわ
けではない。引いても同じカードが補充され、ガチャの中に入っているカードの種類や
枚数は一定である(=従って確率も一定)。ボックスガチャは通常のくじびきのように、
それぞれカードが入っている枚数が決まっており、一枚引くと実際にそのガチャの中
からも減る。また、どのカードが何枚入っているかも公開されている。つまり引いてい
けば、必ず自分が欲しいカードが手に入るという事になる
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減らない高額課金問題
・コンプガチャ問題で、ゲーム会社は軒並み未成年の課金金額に上
限を設けた。GREEは15歳未満は月額5000円、16-19歳は月額
10000円まで。Mobageは15歳未満は月額5000円、18歳未満は
月額10000円までといった具合である。
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今後の課題
・ゲーム運営会社の規約では、ほぼ全ての会社がリアルマ
ネートレードを禁止しているが、法的な罰則がないため、オー
クションサイトなどを通じてリアルマネートレードが行われてい
るという実態がある。
・レアカード出現率は非公開であり、いわば運次第。その運で
左右されるレアカードに換金性を持たせると、それはパチンコ
と同様な換金市場が形成されてしまう。
・ソーシャルゲームには、現状ではカード出現率にも換金行為
にも有効な法規制はなく、この状態はいつまでも放置するべき
ではない。
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おわりに
研究を終えてわかったことは、ソーシャルゲームでは、SNSを通じてコミュニ
ケーションを取っているユーザー同士が共にゲームを楽しめる、あるいはゲーム
を通じてコミュニケーションが取れるという特色があるという点である。
家庭用のゲーム機では、今でこそオンライン対戦などが普及しているが、基本
的には他のユーザー、プレイヤーと交わる機会というのは無いものである。ソー
シャルゲームでは、他のプレイヤーと協力してイベントを攻略したり、チームを組
んで物事を進めていく点でまったくシステムが異なっているということがわかった。
また問題点もいくつかあるが、特に課金制度による問題は重大であると考える。
小中学生のスマートフォン普及率の向上とともに、ソーシャルゲームをプレイす
る小中学生もおり、コマーシャルの無料という言葉に騙され、有料のガチャを何
十万円分も回してしまうというトラブルが相次いでいる。
基本無料という紛らわしいうたい文句を早急にとりやめろとまでは言わないが、
もう少し、有料の要素もあるという表現をしたほうがいいのではないかと感じてい
る。
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参考文献
ソーシャルゲーム業界最新事情
参考文献
IT用語辞典BINARY http://www.sophia-it.com
JUSTSYSTEMS
http://www.justsystems.com
http://dena.com/
http://www.gungho.co.jp/
http://mixi.co.jp/profile/info/
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ご静聴ありがとうございました。
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