大邦法律速報-2015年10号

大邦法律速報
<2015 年 10 月号· Executive Summary>
進入本期 Newsletter
上海でも消費の拡大に伴いフランチャイズ店の展開が急速にすすんでいます。外資系では、
ケンタッキーフライドチキン、マクドナルド等、更には、日系では、吉野家、はなまるうど
ん(花丸烏冬面)等も広がりを見せています。このフランチャイズ・ビジネスの特徴は、フ
ランチャイザーが商標権等のブランド、経営・サービスのノウハウ等をフランチャージーに
提供し、その見返りとして、ロイヤルティー等の対価の支払いを受けるところにあります。
中国ではフランチャイズ・ビジネスに関し特有の法制度があり、これらを留意していくこと
が必要とされています。今月号では、
「フランチャイズ・ビジネスの法的リスクに関する分析
·/ある判例からの考察」として、具体的な紛争事例を題材として、様々な角度からその法的
リスクについて分析しています。
(特に、上海のコーヒー党にとりましては、スタバが支配し
ている上海マーケットに是非ともドトールが打って出て、ランチャイズ・ビジネスを展開し
て欲しいと願う次第です。
)
さて次に、中国では、陸上(ハードル競技)のオリンピック金メダルリストのハンサム・
ボーイで国民的なヒーローの劉翔が昨年末に結婚し、明るい夢を呼びました。しかしながら、
僅か7か月後に電撃離婚、大きな話題を引き起こしました。このことが示すように、中国で
も、離婚率の上昇が社旗問題化しています。「離婚訴訟 / 親権を勝ち取るために知っておく
べきこと」として、弊所の李丹弁護士が離婚訴訟における指南役を買って出てくれています。
中国の家庭事情も垣間見ることが出来る内容となっており、興味深いと思いますので、ご一
読ください。
以上
ご提示:大邦法律速報の版権は上海大邦法律事務所に帰属しています。ご興味のある皆様方を中心にご参考まで
にお送りさせて頂いてます。News Letter 中の文章は、弊事務所弁護士の正式な法的意見を提供するものではあり
ません。リーガル・サービスの提供が必要な場合は弁護士へその旨具体的にご相談下さい。お問い合わせ、配信の
新規登録・変更・停止は、[email protected] までご連絡ください。
⿻IP in China
Summary
フランチャイズ・ビジネスの法的リスクに関する分析·/ある
判例からの考察 (by 兪智淵
パートナー候補)
最近、筆者はフランチャイズ契約に関わる紛争事件を手掛け
た。それは、フランチャイズ・ビジネスを展開する際のフラン
大邦法律速報
DeBund Newsletter
チャイザーとフランチャイジーの其々が負うリスクを浮き彫り
にし、フランチャイズ・チェーン業界が関連法に則った経営管
理を行なうことにより法的リスクの軽減を図る重要性を示した
代表的な判例となっている。…… 「全文」
------------------------2015.10
No.112
⿻家事法律
離婚訴訟 / 親権を勝ち取るために知っておくべきこと
(by 李丹
弁護士)
離婚する際、子供がいる夫婦であれば、親権者の決定は避けれ
通れない問題である。
「親権を主張すべきであろうか?」、
「親権
者を決める判断基準は何であろうか?」
、離婚・家事事件を専門
に取り扱う弁護士として、本稿では、筆者の実務経験に基づき、
親権に関わる幾つかの重要問題を纏めてみた。ご参考になれば、
幸いである。…… 「全文」
⿻新法速報
(表 題 をクリックすると全 文 が
ご覧 いただけます。)
1、 「自 由 貿 易 試 験 区 のイノベーションによる発 展 の支 持 に
上 海 大 邦法 律 事務 所
住所:上海市南京西路 819 号
中創大厦 21 階
TEL:8621-52134900
FAX:8621-52134911
www.DeBund.com
2、北京、上海、広州の知財 裁判所が結審した 14 件の代表
ご案内
4、新 たに改 正 された「食 品 生 産 許 可 管 理 弁 法 」、「食 品 経
DeBund Law Offices
©2015 All rights reserved
関 する意見」の発布 /商務部
的判例の公布 /最高裁
3、「三 証 合 一 」登 記 制 度 の実 施 に関 する通 知 の発 布 /国
家税務総局
営許可管理弁法」の公布 /国家食品薬品監督管理総局
5、上海市、より開放的な海外人材導入政策を実施へ
ご提示:大邦法律速報の版権は上海大邦法律事務所に帰属しています。ご興味のある皆様方を中心にご参考まで
にお送りさせて頂いてます。News Letter 中の文章は、弊事務所弁護士の正式な法的意見を提供するものではあり
ません。リーガル・サービスの提供が必要な場合は弁護士へその旨具体的にご相談下さい。お問い合わせ、配信の
新規登録・変更・停止は、[email protected] までご連絡ください。
上海大邦法律事務所
大邦法律速報
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
IP in China
フランチャイズ・ビジネスの法的リスクに関する分析·/ある判例からの考察
文/兪智淵
(上海大邦法律事務所 パートナー候補)
目 次 に戻 る
最近、筆者はフランチャイズ契約に関わる紛争事件を手掛けた。それは、フランチャイズ・ビ
ジネスを展開する際のフランチャイザーとフランチャイジーの其々が負うリスクを浮き彫りに
し、フランチャイズ・チェーン業界が関連法に則った経営管理を行なうことにより法的リスクの
軽減を図る重要性を示した代表的な判例となっている。本稿では、今回の判例を基に、フランチ
ャイズ・ビジネスの法的リスクについて、分析を行う。
一、
事件概要
甲社は、幼児教育の有名ブランドを有する企業である。A、B、C 等のフランチャイジーは、甲
社とフランチャイズ契約を締結し、その加盟店として、事業を展開する為の権利を取得した。そ
の対価として、甲社に一回払いの加盟金と保証金を支払う他、更に、毎年、一定金額のロイヤル
ティを前払わなければならないとされている。また、期限が過ぎても、ロイヤルティを支払わな
い場合には、甲社は違約金を請求する権利を有する旨、合意されていた。
その後、甲社(本部)と加盟店は、フランチャイズの経営指導及び支援を巡って、トラブルが
発生した。A、B、C 等の加盟店が、ロイヤルティの支払いを拒絶したことにより、甲社は裁判を
起こした。筆者は上記の加盟店から依頼を受け、弁護士として、訴訟事件を受任した。
二、
弁護士による見解
事件の経緯そのものはそれ程複雑ではないが、フランチャイズ・ビジネスが直面している課題
を浮き彫りにした代表的な判例となっている。フランチャイズ・ビジネスを展開する際、フラン
チャイザーは、商標の使用権を許諾する他、加盟店に対し、適正な経営(営業)を維持するため
の経営(営業)指導等のサービスを継続して提供する必要があるとされている。これは、フラン
チャイズ・ビジネスの大きな特徴であると言える。中国では、加盟店(フランチャイジー)と本
部(フランチャイザー)が「経営指導サービス」を巡って、トラブルが生じ、訴訟にまで発展し
てしまうケースが度々起きている。また、本件においては、本部の社内トラブルによってブラン
ド全体のイメージが大きく損なわれる事態を招いているとと多くの加盟店が指摘した。これも、
大邦法律资讯
DeBund Law Offices ( Admitted in P. R.C. )
[email protected]
3
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
長期的なフランチャイズ契約に、よく見られる問題である。フランチャイザーの経営状態の安定
はフランチャイズ・システムの維持に非常に重要な意味を持っている。その他、加盟店と本部の
間には、ロイヤルティの計算についても、争いがあった。本件において、筆者のフランチャイジ
ーに対する弁護方針は次の通りであった。
(一)経営指導サービスを継続して提供する
フランチャイズ契約は、通常、フランチャイザーが、その有する商標を用いて事業を行う権利
をフランチャイジーに付与する他、必要な経営指導サービスを継続して提供しなければならない
旨を定める。国務院より発布された「フランチャイズ経営管理条例」は、フランチャイザーが、
フランチャイジーに必要な経営指導サービスを継続して提供しなければならないと規定してい
る。しかしながら、フランチャイザーはその責任を見落とす傾向がある。筆者は原告と被告が提
出した証拠を詳しく整理、比較したところ、フランチャイザーが十分な経営指導サービスを提供
していないことを見出した。つまり、フランチャイザーは契約違反をしているとの疑いが持たれ
た。
(二)ブランド・イメージの低下
本件におけるフランチャイズ契約においては、フランチャイザーのブランドは、創業者乙が長
年の研究を経て、編み出した独創的な教育法を基に築き上げられたものであると明確に記載され
ている。しかしながら、その創業者は、本件訴訟が提起される前に、甲社から離れ、新しい会社
を立ち上げ、同種の事業を始めた。その事実根拠に基づき、加盟店は、本部がブランド・イメー
ジの維持に十分な責任を果たしていないと主張した。
(三)ロイヤルティ金額に関する係争
本件訴訟が始まる前に、本部は、全ての加盟店に、「ある特定の期日までに、未払のロイヤル
ティを支払えば、その半額の支払いを免除する。当該特定の期日までに、ロイヤルティを支払わ
ない場合は、法的措置を講じる」旨の通知を出した。法廷審理において、筆者は、本部によるロ
イヤルティの未払額を半分、免除する旨の意思表示は、上記の通知が加盟店に送達された時点で、
自動的に法的効力を生じると主張した。一方、本部は、当該通知は、特定の期日までに、ロイヤ
ルティを支払った加盟店のみに適用され、期限を過ぎた後に、ロイヤルティを支払う加盟店には、
適用されないと抗弁した。
未払のロイヤルティは、本部が債権者として有する債権であり、ロイヤルティの未払額の減免
は債務者の債務を一部免除することと看做される。この免除には条件が付されていない。本部は
支払期限を定めたが、当該期限を債務免除の効力発生要件とはしていない。また、筆者が収集し
た証拠によっても、当該期日を過ぎた数ヶ月後にも、本部と加盟店が、ロイヤルティの未払額の
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
4
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
半分を免除する通知により処理されていることが示されていた。
三、
訴訟結果
数回に亘る口頭弁論や質疑応答等を含む法廷審理を経て、裁判所は最終的に、筆者の主張を受
入れ、本部に違約行為が存在し、ロイヤルティ半減の通知が有効であると認定の上、更に、被告
の未払額を一部免除する判決を下した。当方の主張の合理性が認められる結果となっている。
四、
リスク提示
今回の事件を踏まえて、フランチャイズ契約を締結、履行する際、本部と加盟店が其々負う法
的リスク及び注意すべきポイントについて、下記の通り説明を加える。
(一)本部(フランチャイザー)の立場に立った留意点:
先ず、本部(フランチャイザー)は、加盟店(フランチャイジー)に対して経営指導サービス
を継続して提供していること重要なポイントとなり、その意味で、経営指導サービスに関する記
録の保存及び分類管理に細心の注意を払う必要があると考えられる。電子メール等を通じて、サ
ービスを提供する場合には、メール及びその添付書類を保存し、加盟店に対して遅滞なくメール
を返信することを求める又は自動的に返信する機能を設置する必要があろう。
次に、定期的に(少なくとも、毎年)フランチャイズ契約に規定されている義務を全て履行し
たか否かをチェックすることが必要である。例えば、フランチャイズ契約に、フランチャイザー
が毎年、現場指導サービスを特定回数、提供しなければならないと定めている場合は、その履行
を完了したか否か、書面記録があるか否か等をチェックする必要があると言える。
フランチャイザーに経営権等に関する持分変動又はその他の変動がある場合は、弁護士に相談
して、当該変動がフランチャイズ契約の関連事項に影響を及ぼすか否かを確認する必要がある。
影響を及ぼす恐れがあると判断した場合は、加盟店の意見を求める又はその他の措置を講じて、
その懸念を払拭する必要があると考えられる。
(二)加盟店(フランチャイジー)の立場に立った留意点:
本部からの書簡、ファックス、メール等を保存する。また、その中における本部の要求が契約
に定められている加盟店の義務を超えた場合は、直ちにその旨を本部に知らせる。
契約における支払条項をチェックする。契約に前払の条項が盛り込まれているが、両者間に何
らかの争議が存在する場合は、先ず、本部の契約違反行為を書面により指摘した上で、協議又は
訴訟を通じて争議を解決することを図る。そうすれば、加盟店側が先に契約に違反することによ
って、違約金を支払わされる事態を回避することができる。
次に、契約の中途解約権の扱いも、フランチャイズ契約の重要事項の一つである。本部が満足
できるサービスを提供できないことにより、加盟店が途中解約を図るようなケースも多々あるが、
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
5
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
可能であれば、フランチャイズ契約を締結する前に、弁護士に相談して中途解約に関する条項を
盛り込むことが望ましい。然しながら、フランチャイザーが中途解約に関する条項を盛り込むこ
とを拒否した場合、先方に違約行為があれば、加盟店は積極的に、契約解除を求める訴訟を提起
することができる。フランチャイズに関連する法律の下では、一般の契約法の下での処理による
通常の取引契約に比較して、フランチャイジーの加盟の自由権を保護する傾向があることに留意
する必要があろう。
目 次 に戻 る
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
6
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
家 事 法 律
離婚訴訟 / 親権を勝ち取るために知っておくべきこと
文/李丹
(上海大邦法律事務所 弁護士)
目 次 に戻 る
離婚する際、子供がいる夫婦であれば、親権者の決定は避けれ通れない問題である。離婚・家
事事件を専門に取り扱う弁護士として、本稿では、筆者の実務経験に基づき、親権に関わる幾つ
かの重要問題を纏めてみた。ご参考になれば、幸いである。
一、 親権を主張すべきであろうか
離婚案件を手掛ける際、子供のいるクライアントであれば、筆者は通常、親権を主張すること
をアドバイスしている。その理由は次の二つである。1、子供に心の安らぎを与えることが出来
ること、及び
2、現実問題としても、財産分与に有利な訴訟対策であること、が挙げられる。
先ず、子供にとっては両親が離婚する理由が理解できない可能性もあり、家庭の分裂は、子供
に深刻な心の傷を与える恐れがある。父親又は母親が、親権を主張しなかったことを知った場合
は、自分が親に捨てられた価値の無い子供であると思い込む可能性があるので、親としては、親
権を主張ことによって、子供への愛情をアピールする必要があると言える。たとえ、最終的に、
親権を獲得できなかったとしても、子供は、両親の婚姻関係の破綻によっても、自分への愛情は
変わらないことを理解してくれるので、安易に親権を放棄しないようにすることが大切である。
次に、酷な話になってしまうかも知れないが、親権を主張することは財産分与に関し、訴訟対
策上、有利に働くことになると言えよう。
例えば、夫婦双方が所有する唯一の不動産を分割する際、他の条件が同じであれば、どちらが
親権を持つことになるかが、当該不動産の所有権の帰属を決めてしまう可能性がある。裁判官は、
子供の利益を優先して考慮する必要があるので、子供を今の住居から追い出し、その生活状態を
変える判決を下すわけにはいかないと考えられる。また、責任を持って親権を主張することによ
って、裁判官から信頼を獲得することも可能である。
二、 親権者を決める判断基準
裁判所は最終的に、どのような基準に基づき、親権者を決めるであろうか?
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
7
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
先ず、子供の年齢は親権者を決める要因の一つである。上海市においては、子供が二歳以下の
場合は通常、母親が親権者になる。子供が二歳から十歳以下の場合は、夫婦双方が其々提供でき
る養育環境等を比較してから、親権者を決める。十歳以上の場合は、子供の意見を聞く必要があ
る。
具体的に言うと、二歳以下の子供の場合は、母親が絶対的に有利である。下記に掲げる特別な
事情がない限りは、母親が親権を持つとされている。
(1)完治困難な伝染病又はその他の重患を患っており、子供と一緒に生活できないこと。
(2)扶養能力がある母親が、その義務を果たさず、父親が子供の親権を希望していること。
(3)その他の原因により、母親と一緒に生活できないこと。
例えば、上海市浦東新区裁判所は、扶養能力がある母親が、その義務を果たさず、父親が子供
の親権を希望していることを理由に、二歳未満の子供の親権を父親に与える判決を下したことが
ある。この判例の場合、母親は出産後、直ぐに家出したため、子供は父親と祖父母に養育されて
いた背景がある。
下記においては、裁判所が、二歳から十歳以下の子供の親権者を決める際に、考慮する諸要素
について分析する。
1、子供の生活状態
筆者が過去、ある離婚訴訟を手掛けた際、裁判官は「我々は、夫婦のどちらが子供への愛情が
大きいかを知ることは出来ないので、子供の生活状態を見ることによって判断するしかない」と
の見解を示した。
また、祖父母又は養育補助者が子供の世話を手伝うケースもよく見られるが、最高裁による「離
婚に伴う親権問題の処理に関する若干意見」第四条は、「夫婦双方が同じような養育環境を提供
することができ、共に子供の親権を希望しているが、子供が、父方又は母方の祖父母と長年、一
緒に暮らし、父方又は母方の祖父母が子供の世話をする能力を有する場合は、親権者を決める際
の優先条件として考慮する」と規定している。
しかしながら、最近、祖父母も自己意識が強まってきており、子供の世話よりも、自分の老後
の生活を追求する傾向がある。また、家政婦等の専門サービスを提供する第三者が、子供の世話
をするケースも増えている。そのような場合、裁判官は経済収入を考慮せざるを得ないと考えら
れる。
2、収入
夫との収入の格差が、子供の親権争いに影響を及ぼすことを懸念する女性クライアントも多数
いるが、収入は親権者を決める決定的な要因ではないと言える。貧しい家庭でも、立派な子供を
育てられることがそれを示している。裁判所は、安定した収入又は基本的な生活保障があるか否
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
8
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
かを重視しており、貴族レベルの教育水準を求めていない。唯、夫婦双方が経済的に独立してお
らず、親の資金援助が必要となるような極端な場合は、経済力が親権争いに大きな影響を及ぼす
ことになると考えられる。
3、夫婦双方の国籍
子供の国籍は、将来の教育コスト・場所、福祉、生活の便利さ等に関わるので、国際結婚の場
合、夫婦双方が同じレベルの養育環境を提供できれば、子供の国籍が親権者を決める際の重要な
判断基準になると言える。
例えば、米国籍を有する子供であれば、中国で教育を受ける、又は米国で教育を受けるかによ
って、教育コストが全く違ってくるが、保守的な裁判官は、米国籍を有する子供が、米国の社会
福祉制度の恩恵を受けることができることから、米国のほうが、子供の成長に有利であると考え
る可能性がある。
4、人柄
子供や家庭への責任を全く果たしていない等、相手側の人柄を指摘するクライアントもいる。
しかしながら、相手の「人柄」を客観的に評価できる中立的な第三者機関が存在しない以上、裁
判所は、そのような指摘を当事者の意見として記録することしかできず、親権者を決める際の考
慮要素に入れるわけにはいかない。
5、学歴
学歴は、親権に直接的な関係がないことから、夫婦双方の学歴の格差は、婚姻破綻の原因にな
る可能性があるが、親権者を決める要因ではないと考えられる。
6、離婚原因
「婚姻法」第四十六条は、
「下記に掲げる事情により、離婚を招いた場合、無責配偶者は慰謝
料を請求することができると規定している。
(一)重婚の場合、
(二)配偶者を有する者が他の者
と同棲している場合」
、
(三)家庭内暴力を振るう場合 (四)家族構成員を虐待、遺棄する場合
当該条項によれば、法律上認められる離婚理由は、上記の四つの事情に限られている。この条
項に基づき、慰謝料を請求する場合は、十分な証拠を提出する必要もある。「不倫をしたが、同
棲していない」
、
「別居したが、養育費を支払ってない」、
「たまに暴力を振るったが、傷害を生じ
ていない」等は、法律上の有責事情に該当しないとされている。離婚理由があると認定された場
合は、有責配偶者は、親権を主張することができなくなるのであろうか。筆者は必ずしも、そう
とは言えないと考えている。但し、裁判所は、子供が安全な環境下で生活することを保障する必
要があるので、第(三)
、
(四)箇条に該当する場合には、無責配偶者が、親権争いで、優位に立
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
9
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
つことになるであろう。
三、 その他の問題
中国では「親権」、
「監護権」を分離する制度を施行している。親権を獲得していない場合も、
「監護権」を行使することができる。子供名義下の財産の処分、出国移民等の子供の利益に関わ
る重大事項は、監護者双方の同意を得る必要があるとされている。
目下、離婚案件の審理においては、子供の利益がますます重視されるようになってきていると
言える。最近、広東省珠海市の香州裁判所で、20 代後半の夫婦の離婚訴訟が行われたが、夫婦双
方が三歳の女児を引き取ることを拒否したため、裁判官は下記の見解を示し、離婚を認めない判
決を下した。
「子供を養育することは父母の法定の義務である。離婚する際、夫婦双方は、子供の今後の生
活を適正に手配し、家庭の分裂による子供への損害を最小限に抑える必要がある。本件において、
夫婦双方がお互いに、養育責任をなすりつけることにより、三歳の女児の生活を保障することが
できないと判断されることから、離婚を容認しないことが相当である」。
目 次 に戻 る
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
10
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
新 法 速 報
1、 「自由貿易試験区のイノベーションによる発展の支持に関する意見」の発布/商務部
目 次 に戻 る
商務部(2015 年 8 月 25 日)は、
「自由貿易試験区のイノベーションによる発展の支持に関す
る意見」を発布し、これまで、ネガティブ・リストから削除された投資分野の更なる明確化を
図っている。外国投資者が自由貿易試験区に於ける、担保ローンの設立、ガソリンスタンドの
建設・運営を許可している。また、直販経営許可の申請要件を緩和し、従来、外国投資者が 3
年以上の海外での直販活動経験を必要としていたが、この要件を撤廃している。
(情報元:商務部ウェブページ)
2、 北京、上海、広州の知財裁判所が結審した 14 件の代表的判例の公布/最高裁
目 次 に戻 る
最高裁(2015 年 9 月 9 日)は、公式サイトで、北京、上海、広州の知財裁判所が結審した
14 件の代表的判例を公布した。シャネル商標権侵害事件、Adobe 会社のソフトウェア著作権侵
害権事件を始め、漢方薬医療特許、商標権と会社名称の抵触、インターネット会社の不正競争、
仮差止命令等の問題に関わる 14 件の代表的な判例が選定、収録されている。
(情報元:最高裁ウェブページ)
3、 「三証合一」登記制度の実施に関する通知の発布 /国家税務総局
目 次 に戻 る
国家税務総局(2015 年 9 月 10 日)は、
「三証合一」登記制度の実施に関する通知を発布し、
2015 年 10 月 1 日より、
「三証合一」
(工商営業許可証、組織機構コード証、税務登記証の一本化)
の営業許可証を受領した新設企業は、税務登記を行う必要がないとしている。税務局による補充
情報収集を終えた後、企業は従来の税務登記証の代わりに、統一コードを載せた営業許可証をも
って税務関連手続を行うことができる。
(情報元:国家税務総局ウェブページ)
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
11
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
4、新たに改正された「食品生産許可管理弁法」、「食品経営許可管理弁法」の公布/国家食品薬品監督
管理総局
目 次 に戻 る
国家食品薬品監督管理総局(2015 年 8 月 31 日)は、新たに改正された「食品生産許可管理弁
法」「食品経営許可管理弁法」を公布した。二つの管理弁法は、新しい「食品安全法」と共に、
10 月 1 日より施行された。
(情報元:国家食品薬品監督管理総局ウェブページ)
5、上海市、より開放的な海外人材導入政策を実施へ
目 次 に戻 る
上海市政府(2015 年 8 月 18 日)は記者会見で、上海市人力資源・社会保障局、上海市外国専
門家局、上海市公安局より発布された「グローバル影響力のある科学技術イノベーション・セン
ターの設立を支持し、開放的な海外人材導入政策の実施に関する実施弁法(試行)」の関連規定に
ついて、説明を行った。
「実施弁法」は、外国籍高級人材の認定基準を明確に定め、外国籍高級人
材の居留証、ビザ、外国専門家証の申請手続の簡素化を図った上、上海市の大学で修士及びそれ
以上の学位を取得し、上海自由貿易試験区、張江ハイエンド技術区で就職する外国の留学生が、
卒業後、直接、上海に居留、就職することを許可することを試行するとした。上海現行の労働法
律及び政策によれば、外国籍人材が上海で就職する際に、どのレベルまで、中国の労働法律の保
護を受けるかは、
「外国専門家証」を有するか否かに係っているとされている。
(情報元:上海市人力資源・社会保障局ウェブページ)
今月号美術作品
「その他の日本語版の中国法律情報は、こちらからお入りください。」
その他の中国語版の中国法律情報:
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
12
大邦律师事务所
大邦法律速報
上海大邦法律事務所
DeBund Law Offices(Admitted in P. R.C.)
2015. 10. 01
目 次 に戻 る
今月号の美術作品(油絵):Comfortable Silence
作者:
馮姣僥,[email protected] ; 行政アシスタント
本ニュースレターに掲載されている文章は弁護士個人の見解であり、当事務所の意見を代表するものではありませ
ん。皆様へご参考までにお送りさせていただいており、弁護士の正式な法的意見ではありません。当事務所又は弁護
士は、読者が本ニュースレターに含まれる情報をもとにして行なわれた如何なる行為に対しても法的責任を負いませ
ん。具体的な問題がございましたら、またリーガル・サービスが必要な場合は弁護士に直接ご相談ください。お問い合
わせ、配信の新規登録・変更・停止は、その旨を担当弁護士或いは [email protected] までご連絡ください。可能な限
り迅速にご対応いたします。ご理解とご協力の程よろしくお願い申し上げます。
Copyright © 2015 DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.) All rights reserved.
大邦法律资讯
DeBund Law Offices (Admitted in P. R.C.)
[email protected]
13
大邦律师事务所