医療機器UDI規制の国内導入に 当たっての検討資料

医療機器UDI規制の国内導入に
当たっての検討資料
2013年8月
一般財団法人 流通システム開発センター
目 次
●そもそも UDI 規制の成り立ちは?
●機器識別子と製造識別子
- 混乱せず正確な理解のために -
● 米国 UDI バーコードと厚生労働省バーコードの比較表
●米国 UDI 規制の個別事項の日本での受入れについて
● FDAの医療機器製品コードは既に世界標準、一般性がある
● FDA、EU、IMDRFのデータベース構想
● GS1 UDI 関係の WG 活動内容
(AIDC Healthcare Application Standard Updates MSWG)
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そもそも UDI 規制の成り立ちは?
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UDI 規制は連邦議会と業界団体の意志に基づく
● UDI規制は、米国連邦議会の医療機器へのバーコード付与
の要求、および業界団体の製品リコール体制の整備の要求を
基に制定されるものである。行政の単独義務化ではない。
● 以下具体的に、
◆ 2005年5月、連邦議会議員は、FDA に対して医療機器へのバー
コード付与を要求する計画の意図を文書にて示した。
◆ FDA と米国医療研究・品質調査機構 (AHRQ) は、医療機器に
対する UDI が早急に必要とコメントした。
◆ 2006年10月25日、FDA 公聴会で、メディケア・メディケイド・サー
ビス・センター (CMS) および、国防省 (DoD) も共に、UDI を支持
すると表明。
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Congress of the United States
Washington, DC 20515
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Congress of the United States
Washington, DC 20515
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米国の業界団体が UDI 規制を支持: 誰も反対していない
米国医科大学協会 (AAMC)
全米退職者協会 (AARP)
Alliance for Advancing Nonprofit Health Care
Alpha-l Association
Alpha-l Foundation
米国自己免疫疾患協会 (American Autoimmune Related Diseases Association)
米国整形外科学会 (American Association of Orthopaedic Surgeons)
米国産科婦人科学会 (American College of Obstetricians and Gynecologists)
米国心臓協会 (American Heart Association)
米国病院協会 (American Hospital Association)
米国医師会 (American Medical Association)
米国医学生会 (American Medical Student Association)
米国看護師協会 (American Nurses Association)
Association for Healthcare Resource & Materials Management
米国感染管理・疫学専門家協会 (Association for Professionals in Infection Control and Epidemiology)
Bon Secours Health System, Inc.
カリフォルニア病院協会 (California Hospital Association)
カトリック保健協会 (Catholic Health Association)
コロラド病院協会 (Colorado Hospital Association)
Federation of American Hospitals
フロリダ病院協会 (Florida Hospital Association)
ジョージア病院協会 (Georgia Hospital Association)
Joint Commission
ケンタッキー病院協会 (Kentucky Hospital Association)
全米コンチネンス協会 (National Association For Continence)
公立病院及び健康機構全米協会 (National Association of Public Hospitals and Health Systems)
全米知己医療協会(National Rural Health Association)
Novation
Partners Healthcare
PeaceHealth
Premier Inc.
Texas Health Resources
The ERISA Industry Committee
米国医療疫学学会 (The Society of Healthcare Epidemiology of America)
University HealthSystem Consortium
Utah Hospitals and Health Systems Association
Valley Health System
VHA lnc.
West Penn Allegheny Health System
West Virginia United Health System
White River Health System
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Advancing Patient Safety Coalition
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各業界からの UDI 規制賛同の意見(抜粋) (1/2)
• “FDA および、米国保健福祉省 (HHS) 長官 Leavitt は、医療機器向け UDI の推進を強く
サポートする。 FDA にとって、リコール、トラッキング、有害事象発生時の機器識別、そ
の他に有効である。”
– FDA 副長官 Janet Woodcock
– FDA の UDI 関連公聴会にて (2006年10月25日)
• “FDA は、医薬品分野で NDC (National Drug Code) という識別手段を用いて患者安全
を向上させ、費用削減をしてきた。 我々は、FDA が医療 / 手術機器に対しても同様の役
割を果たすものと理解する。 識別システムの利用をすべての製造業者、および再梱包業
者に対して義務付けるべきである。”
– 国防省よりの FDA に対する書面によるコメント (Request for Comments (2006年11月9日)
• “機器間の効率性比較は、メディケアにおける費用削減面で重要である。 この UDI により
有用なデータが得られ、患者がその恩恵を受けることになる。”
– メディケア・メディケイド・サービス・センター Dr. Marcel Salive
– FDA の UDI 関連公聴会にて (2006年10月25日)
• “過去二年間に、HER やヘルスケア IT に関する各種活動が展開されてきた。 UDI は、
それらの助けになるはずだ。 連邦レベルでの質の調査の手助けにもなるはずだ。 でも
それだけにとどまらず、もっと良いことが出来るはずだ。”
– 米国医療研究・品質調査機構 Dr. Jon White
– FDA の UDI 関連公聴会にて (2006年10月25日)
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各業界からの UDI 規制賛同の意見(抜粋) (2/2)
• “UDI 投資には患者安全という見返りがある。 リコール時の対象物特定の困難さは筆舌
に尽くしがたい。 しかし、Bon Secours などの一企業が独自の社内規格で推進しても、
後々異なる国家規格が制定されたら、イニシャル投資が無駄になる。”
– Bon Secours Health System, Inc. Michelle Allender, 臨床資源管理部長
– Modern HealthCare (Jan. 22, 2007) よりの引用
• “我々は、機器を購入し、識別番号をステッカーに印刷して貼り付け、施設内 DB で紐付け
るが、それらの作業は非常に非効率であり、間違いが容易に発生する。 この状況は、国
レベルでのデータ収集や、潜在的な機器問題追及調査作業の妨げとなる。
– Partners Healthcare, Dr. Julian Goldman
– FDA の UDI 関連公聴会にて (2006年10月25日)
• “UDI システムの公衆衛生や患者安全に対する利点は、機器への適当な ID 付与により
有害事象発生時に、迅速かつ正確なリコールが実施でき、市販後調査を効率的に実施す
ることが可能になることでしょう。”
– Eastern Research Group, Mr. John Eyraud
– FDA の UDI 関連公聴会にて (2006年10月25日)
• “正常に運用されている UPN (Universal Product Number) のマスター・ファイルのもと、
ヘルスケア・サプライ・チェーン全域において使用されるバーコードが、患者負担の精度を
向上させ、また医療過誤を減少させる。”
– FDA への Coalition for Healthcare eStandards よりのコメント (コメント求む 2006年11月9日)
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機器識別子と製造識別子
- 混乱せず正確な理解のために -
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関係する用語の定義・説明
●機器識別子 Device Identifier (略称DI)
UDI において必須となる固定データ項目をいう。
機器識別子によって医療機器の特定のバージョン、モデル、製造
者を識別できる
●製造識別子 Production Identifier (略称PI)
UDI における変数データ項目をいう。
製造識別子によって以下に挙げたデータの、1つ以上のデータを
取得できる
(1) 機器製造に関する、ロット番号あるいはバッチ番号
(2) 特定機器のシリアル番号
(3) 特定機器の使用期限
(4) 特定機器の製造日
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米国 UDI 規則と厚生労働省通知の比較
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米国UDI規則と日本厚労省バーコード表示通知との違い
項目
米国FDAUDI規則
日本厚生労働省
バーコード表示通知
規則のレベル
法律である
連邦規則集 CFR: Code of
Federal Registerに定義
根拠: 「FDA改正法・FDA安全性
及び革新法」による
厚労省の「省令」である
罰則の有無
罰則あり(業務停止、罰金など)
罰則なし
目 的
・製品リコール
・医療安全
・流通の効率化・高度化
・医療安全
表示の対象
・医療機器本体
・ソフトウェア(稼働CD, DVD等)
・梱包材料
・手術器材本体(鋼製器具本体)
・梱包材料のみ
(最少包装・中箱・外箱)
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米国 UDI バーコードと厚生労働省バーコードの比較表
米国UDI規制
医療機器 GS1データマトリックス
本体・手
術機器含
個装
厚生労働省経済課長通知
医政経発0328001号、平成20年3月28日
(01)04912345678904
(17)150131
(10)XAB-23
医療機器
本体
(01)04912345678904
(17)150131(10)XAB-23
個装
GS1データマトリックス
通知なし
GS1-128バーコード
(01)04912345678904
(17)150131
(10)XAB-23
中箱
外箱
GS1データマトリックス
または
GS1-128バーコード
(01)14912345678901
(01)14912345678901
(17)150131
(10)XAB-23
中箱
GS1-128バーコード
(17)150131
(10)XAB-23
(01)24912345678908
(17)150131
(10)XAB-23
(01)24912345678908
(17)150131
(10)XAB-23
外箱
GS1-128バーコード
GS1-128バーコード
(01)24912345678908
(17)150131
(10)XAB-23
(留意点) 米国UDI規制には機器本体への表示規制あり
厚生労働省通知には機器本体直接表示なし
(留意点) 米国UDI規制では埋め込み機器、救命装置、生命維持装置のうち、直接マーキング対象機器への恒久的表示を義務化する。 技術方式は耐久
性遡及の観点から、レーザー方式またはドットピン方式のいずれかで、メーカーがGS1データマトリックスを表示するものと予想される。
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米国 UDI 規制の個別事項の日本での受入れについて
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米国 UDI 規制の個別事項の日本での受入れについて
● UDI 規制は米国では製品リコールに有効としているが、日本では
医療現場での 「積極的な患者安全」、「業務効率化」、「簡便化」 の
視点から有効である。 その視点から、受け入れできる
● 以下の具体的メリットが、国内業界でも享受できる
1. 全体として医療事故を減少させることができる
2. 医療機器使用時、製品情報 (製品コード、有効期限、シリアル番号など) の取り込み
が簡素化できる
3. 利用者側の医療機器データベース (製品マスター) の管理精度が向上する
4. 有害事象発生時、メーカー・卸・病院に回収のための迅速な識別手段 (バーコードな
ど) を提供できる
5. 日米のデータベース項目の比較の中で、利用しやすく、高付加価値の機器データベ
ースに発展・改良させる情報ソースを与える
6. 有害事象発生時、UDI 情報に基づいてメーカーは解決策 (個体特定、対応 (修理/代
替) 指示) を、迅速に展開することができる
7. その他の利点
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FDAの医療機器製品コードは
既に世界標準、一般性がある
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FDAの医療機器製品コードは GS1、HIBCC
FDA UDI規制の医療機器製品コードは、ISO/IEC-15418規格の
「GS1事業者コード」が、HIBCCではISO-22742規格の「HIBCコー
ド」が採用される予定。UDI規制の医療機器製品コードは一般性が
無いものではなく、世界の医療市場ですでに認められ、一般性のあ
るコード体系である。
(1)GS1とは:
ジーエスワンとは「GS1事業者コード」を発行する世界112ヶ国が加盟する非営利組織。事業者コードは世界で
約150万の事業者が事業者コードを取得し、150の国と地域以上で利用されている。また、事業者コードは製
造業者だけが取得しているのではなく、医療機関も医療機器・材料卸売業者も介護施設も共同購買組織
(GPO)も取得している。
会員合計 約150万企業
(2)HIBCC とは:
Healthcare Industry Business Communication Council:米国組織であるヘルスケア産業ビジネス情
報化協議会の略称。欧州組織はE-HIBCと呼称。1984年に米国の医療販売業界団体によって設立。
日本窓口は民間会社(株)ASICON。米国組織には 約2600社が登録。欧州組織には 約400社が登録。
会員合計 約3000社
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GS1事業者コードもHIBCコードも世界標準のコード
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FDA、EU、IMDRFのデータベース構想
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米国FDA UDIデータベース構想
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EU 医療機器データバンク構想
EUDAMEDとは?
EUropean DAtabank on MEdical Devices ヨーロッパ医療機器データバンク
(留意点)
UDIデータベースは、全体6システムの
1つである。具体イメージは次頁
ヨーロッパ医療機器データバンク
(欧州委員会への提案資料)
医療機器
電子登録
システム
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UDI電子
システム
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電子的
証明システム
電子的警
告・警戒シ
ステム
電子的
市販後調査
システム
電子的
臨床試験シ
ステム
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EU UDIデータベース構想
製造業者
製造業者
機器識別子コード
DIコード
UDIコード : 機器識別子
UDIコード:
DI + PI
+ 製造識別子
情報表示媒体 : 一次元バーコード、二次元シンボル、電子タグ)
一次元バーコード、二次元シンボル、RFID
(情報表示媒体:例
ユニーク・コード
ユニークコード
DI:
静的
機器識別子:
(固定的)情報
固定データ
データ交換
データ交換
手順
プロセス
UDIデータベース
UDIデータベース
製造業者名称
製造業者名
アレルギー情報
アレルギー情報
国際製品分類コード
国際医療機器分
GMDN
類コード(GMDN)
パッケージ階層レベル
グローバル
グローバル
が確保され
最適化
適性である
こと
シリアル番号
シリアル番号
ロット/バッチ番号
ロット番号/バッチ番号
PI:
動的
製造識別子:
(可変的)情報
可変データ
有効期限
有効期限
滅菌情報
滅菌性
・・・
・・・・・・・・・
・・・
データ送信
データ転送
規制当局
規制当局
ディストリビュータ
ディストリビュータ
病 院
医療機関
調剤薬局
調剤薬局
患 者
患 者
DI: 機器識別子
PI: 製造識別子
EUとして米国UDIデータベースとのデータ相互利用データ検索を、既に2011年10月に国際会議で
ローランセレス氏が公式表明
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EU UDIシステムの施行スケジュール案
2012年9月26日: 本UDIシステムについて改正案として提案済み
2012年12月末:
欧州連合に対してUDIシステムの提示・推奨
半年または2年の
時間をかけて:
EU指令案の立法手続き
2014年第2四半期(2014年4月?): EU指令の施行スタート
2014年から開始: トレーサビリティ細則(明細要求項目)の成立
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