2011年1月(CNRS予算、Agreenium設立、CPU新会長、大学

フランス学術情報(平成 23 年 1 月分)
平成 23 年 1 月 13 日
ストラスブール研究連絡センター
●「2011 年 Centre national de la recherche scientifique: CNRS 予算」
2010 年 12 月 2 日、CNRS 評議会は、2011 年の予算案を承認した。総予算は 32 億 430 万ユー
ロで、2010 年と比べ 2.8%増加している。このうち、国家からの予算は 25 億 2,750 万ユーロで、前年
より 0.7%増加している。CNRS の方針として、研究者の確保を第一とし、他の国家機関では定年退
職者 2 人に対して 1 人の新規採用しか行っていないところ、940 人の退職者に対し 940 人の新規
採用を行うことを決定した。CNRS スタッフ(研究員・職員)の給料は 20 億ユーロを占め、これは、国
家からの予算の 80%以上にあたり、前年に比して 2%の増加になる。従って、この数字が国家から
の予算の増加の数字を上回り、このため、研究費及び設備投資費の減少を招いている。例えば、
大型設備費について 2010 年に 1 億 3,200 万ユーロだったのが、2011 年には 1 億 2,900 万ユーロ
と 2.2%の減少となる。
参考資料
・ フランス CNRS HP(2010 年 12 月 15 日)
http://www2.cnrs.fr/presse/communique/2057.htm
●「フランス農業研究機関における国際戦略:Agreenium の設立」
フランスでは国の研究機関における組織統合が政府主導で進められ、その一環として農業に関
係する国立研究所の研究組織面での統合が始まった。そのため、2009 年に国立農業研究所:
INRA, La recherche agronomique pour le développement: CIRAD, Agro Campus Ouest, Agro Paris
Tech, Montpellier Sup Agro, Ecole National Veterinaire Toulouse が 合 同 で "Agreenium Consortium National pour l'agriculture, l'alimentation, la santé animale et l'environment"を設立した。
各機関は、独立性は維持しているものの、農業・食糧・環境に関する研究や教育については整合
性をもって進めていくために、本組織"Agreenium"を設立したものである。"Agreenium"の会長には、
INRA 会長の Marison Guillou 氏、副会長には Agro Paris Tech 学長の Remi Toussain 氏、国際部
長には Christian Horte 氏が就任した。"Agreenium"全体で 12,000 人のスタッフ(うち 5,700 人が研
究者)、2,200 人の博士課程学生、300 の研究ユニットを擁している。また、フランス全体で 4 つの地
域(Ile-de-France、Monpellier、Rennes-Angers、Toulouse)に研究拠点を設けている。
2011 年における"Agreenium"の優先テーマとして、①植物の保護、②微生物の生態系、③農業
と林業の気候変動への適応、の 3 テーマが挙げられている。
参考資料
・ Agreenium Consortium HP
http://www.agreenium.org/agreenium_eng/The-Agreenium-consortium
●「フランス国立大学長協会 Conférence des présidents d’université: CPU の新会長就任」
2010 年 12 月 16 日、フランス高等教育・研究大臣 Valérie Pécresse 氏は、同日付でフランス国立
大学長協会の新執行部メンバーと新会長が選出されたことに祝辞を述べた。新会長には、パリ第
二大学(Université Paris II Pantéon-Assas)学長の Louis Vogel 教授(法学)が就任した。同大臣は、
前会長のリヨン第一大学(Université Lyon I)学長 Lionel Collet 教授がフランスの大学の法人化に
貢献したことを高く評価した。
なお、フランス国立大学長協会は、1901 年に発足し、2007 年 8 月 10 日の「大学の自治と責任法
(Libertés et Responsabilités des Universités: LRU)」により、再規定されたものである。同協会は、フ
ランスの大学全体を代表する組織で、7 つの委員会(教育、研究、人事、学生生活、国際、法規、
健康)を設けて、フランスの大学をまとめる役割を果たしている。同協会には、大学(81 機関)、
École Normale Supérieures(3 機関)、その他グランゼコールなど高等教育機関(37 機関)が加盟し
ている。
参考資料
・フランス高等教育・研究省 HP(2010 年 12 月 17 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid54260/nouvelle-equipe-de-la-conference-des-pres
idents-d-universite.html
・フランス国立大学長協会 HP
http://www.cpu.fr/Accueil.1.0.html?&no_cache=1
●「フランス国立大学改革の進展について(2011 年第三期自治 22 大学の採択)」
フランス高等教育・研究省の Valérie Pécresse 大臣は、2007 年 8 月 10 日の「大学の自治と責任法
(Libertés et Responsabilités des Universités: LRU)」に基づき、2011 年 1 月 1 日より 22 の大学と 8
つのグランゼコール等の高等教育機関が自治大学となることを発表した。これは、既に 2009 年 1 月
に発足した第一期の 18 大学、2010 年 1 月に発足した第二期の 33 大学に加わったものである。こ
の数は、フランスの大学全体の数の約 90%に相当し、131 万人の学生を抱えることになる。
大学が自治大学として認められると、選ばれた大学は強化された自治権限により、予算の執行や
人的資源の管理を行うことが可能となる。この採択は4つの基準(財政管理、人的資源管理、情報
システム管理、施設管理)によって審査される。国はこれらの自治大学に対して、次の3つの支援を
行うこととされる。
○大学の機構改革を推進するための支援として、採択された 1 大学につき 250,000 ユーロが支給さ
れる。この支援金は、機構改革に携わるスタッフの報酬としても利用可能である。
○大学を運営する幹部職員を育成するための 3 年間の教育プランを作り、管理運営を行う 1500 名
の幹部職員を育成する。
○現行の職員のうち、カテゴリーC の職員から 650 名をカテゴリーA 及び B に昇進させる再評価プ
ランを実施する。
参考資料
・フランス高等教育・研究省 HP(2010 年 12 月 29 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid54356/autonomie-an-iii-90-des-universites-auton
omes-au-1er-janvier-2011.html