組織における情報ガバナンスの実現

SAP Thought Leadership Paper
Information Governance
組織における情報ガバナンスの実現
企業情報の価値の最大化に向けて
目次
6
情報ガバナンスの重要性
情報の質
財務の修正報告
法規制コンプライアンス
顧客との関係
ビジネスプロセスのギャップ
7
情報ガバナンスのビジネスケースの構築
8
構想の導入ステップ
情報ガバナンスの意義の理解
適切なヒトの参画
情報に関するポリシーと手続きの定義
情報を作成 / 更新するプロセスと
システムの特定
コンプライアンスの監視と
改善プロセスの確立
10
情報ガバナンスのサポートと自動化
次のステップ
SAP Thought Leadership Paper – 組織における情報ガバナンスの実現
3
企業情報は、
すべての事業運営とそれに関わる重要な意思決定を
支える存在です。良質な情報が利用できなければ、競争優位性の
獲得につながる機会も逃してしまうことでしょう。しかし、情報を管理する事は
決して容易な活動ではなく、
その量と多様性が急速に増大している
現在のような状況下では特に困難です。「成功する経営」
(BEST-RUN)
を
実現している組織は、情報を戦略資産と捉え、情報ガバナンス構想の
推進を通じて、一貫した正確な情報を全社規模で提供しています。
近年、テクノロジーとビジネスプロセスの進歩に
より、情報量の爆発的な増大が続いています。こう
した情報をもたらしているのは、企業内部のソー
こうした落とし穴を回避するためには、ビジネス
の有効性の改善とリスクの低減に役立つ優れた
情報管理手法を導入する必要があります。その
スとしては、
基幹業務アプリケーションや、
主に「非
ための取り組みが「情報ガバナンス構想」です。
また、外部ソースとしてはソーシャルメディアなど
つ高品質な情報を提供し、データ管理 / 運用の
構造化」コンテンツを含む電子メールや文書類、 情報ガバナンス構想では、信頼性が高く、安全か
があります。企業情報の量はかつてないペース
で増大を続けており、その情報を競争優位性の
散在化を解消することにより、ビジネスの運営、
成長、
イノベーションを支援することを目指します。
源泉として活用できる可能性も同時に拡大して
この構想では、企業情報を監視し、ビジネス価値
ている企業は、企業情報に秘められた可能性を
シー、指標を確立するための規律あるフレーム
います。「成功する経営」
(BEST-RUN)
を実現し
を高められるように、適切なヒト、プロセス、ポリ
うまく引き出せる者こそが、ビジネスの有効性、 ワークを提供します。
イノベーション、収益性の面で優位に立つ、
と理
解しています。情報の的確な管理がビジネスの
成功にとって極めて重要であるという点は、すで
多くの組織では、情報ガバナンスに対して場当
たり的なアプローチを取っています。ポリシーと
ルールの文書化が不十分で、全組織規模で一貫
に誰もが認める常識となっています。Forbes
したプロセスは存在せず、進
以上を対象として実施した調査によると、回答し
情報所有者が自ら必要な情報にアクセスしたり、
Insight が業務部門と IT 部門のリーダー 200 名
た組織の 95% が、強力な情報管理の重要性に
同意しています。またこの調査では、
データ管理 /
運用(オーナーシップ)の散在化はよく見られる
状況であり、企業情報管理の施策にとって最大の
障害である、
ということも明らかになっています。
1
信頼性の高い正確な情報は、確かな意思決定
状況も監視できな
い状況に甘んじています。過去には、業務部門の
分析・改善したりできないために、情報管理用ソ
リューションの導入が失敗に終わる例が多く見
られました。しかし近年のイノベーションにより、
情報ガバナンスの手法は大きく進化しています。
異種混在のシステムを横断して、情報に関するポ
リシーや標準を計測 / 監視 / 強制する機能が自
をすばやく行い、チャンスを最大限に活かすため
動化され、使いやすいインターフェースを通じて
有望な市場への参入機会を逃したり、顧客を失
運用する情報に対してのコントロールと責任を
の基盤となります。それなしでは、動きが鈍すぎて
望させて売上を失ったり、法規制に抵触すること
利用できるため、業務部門は自分たちが管理 /
持つことが可能になっています。
になりかねません。
SAP Thought Leadership Paper – 組織における情報ガバナンスの実現
5
情報活用力を左右するデータ品質
情報ガバナンスの重要性
情報に関連した問題は、企業に膨大なコストを
せん。こうした手法は顧客ロイヤルティの向上、 社規模でコンプライアンスに取り組む必要もあ
の調査によると、回答企業の大半が年間 500 万
組織内のプロセスの問題点や情報の不具合もそ
強いる可能性があります。前述の Forbes Insight
仕入先との関係改善、
コスト削減に役立ちますが、 ります。スプレッドシートやレガシーアプリケー
ドル以上の損失を出しており、5 分の 1 の企業は
のまま露呈されることになります。
います。情報に関連した問題の多くは、業務部門
質な情報が不可欠です。しかし、多くの場合、情
年間損失額が 2,000 万ドルを超えると報告して
によるデータ管理 / 運用(データのオーナーシッ
プ)の不徹底、不適切なガバナンスポリシー、技
ひとことで言えば、効率的な事業運営には良
報の質の問題が表面化した時点では、すでにそ
の影響が大きく広がっています。たとえば、企業
術的なサポートの欠如、経営幹部の関与の不足、 の合併や買収(M&A)の際に両社の顧客データ
ションの使用など、手作業や自社開発の手法は、
コンプライアンスの徹底を図るには不十分です。
その理由は単純で、統制すべき情報量が膨大で、
ビジネスのスピードが速すぎるため、手作業のプ
ロセスではエラーや重複が避けられず、やり直し
の無駄が生じてしまうからです。
業務部門と IT 部門の協力体制の欠如などが原
を取りまとめると、顧客名や住所の情報に重複
顧客との関係
業界をリードする企業組織は、マスターデータ
客サービスの質の低下、マーケティングキャン
どのような企業にとっても、成功のためには顧客
などの企業情報管理プロジェクトを支える規律と
因となります。
欠かせません。しかし、情報に重複や誤りがある
めています。情報ガバナンスの必要性が特に重
財務の修正報告
因で生じています。
管理、データ品質管理、データ統合プロジェクト
して、情報ガバナンスを重視する姿勢を大幅に強
要となるビジネス課題としては、情報の質、財務
の修正報告、法規制コンプライアンス、顧客との
関係、ビジネスプロセスのギャップ
(分断)があり
が発生することがあります。このような重複は、顧
ペーンの効率の悪化、販売機会の喪失などの原
財務の修正報告は、会社の評判を損ない、株価
ポート作業に対する社内統制に直接の影響が及
不正確な情報や重複した情報によってプロセス
報告の必要が生じると、経営陣や従業員の注意
でなく、顧客との関係に悪影響が及び、ビジネス
情報の質は、情報ガバナンス構想の中心となる
ぶため、状況がさらに複雑化します。何より、修正
に見つからない状況や、同じ品目に異なるシス
力、時間、労力が大きく浪費されます。
質の悪い情報は、いとも簡単に業務環境に蔓延
法規制コンプライアンス
こうした情報の問題は、すべての重要な業務アプ
コンプライアンスの管理は非常に重要です。ステー
クホルダーに提示するレポートは、正確かつタイ
ムリーなものでなくてはなりません。情報保持に
せん。最近では、顧客や仕入先など組織外のビジ
タを維持する必要があります。また、国際財務報
ネスユーザーが、組織内のシステムにセルフサー
ビス方式でアクセスできる場合も少なくありま
が非効率なものになると、コスト上昇を招くだけ
チャンスを獲得する能力が損なわれる可能性が
あります。たとえば、システム内で価格設定に誤
りがあると、請求ミスにつながり、余分な収集プ
ロセスが発生して期限内の支払を達成できなく
という間に広がってしまう可能性があります。
質の悪い情報の影響は社内だけに留まりま
低下(在庫切れ、請求ミス、コールセンターへの
ビジネスプロセスのギャップ
法規制に変化があると、組織の業務プロセスとレ
リケーションの内外、およびシステム全体に、あっ
騰、分析の信頼性の失墜、およびサービスの質の
務に関する情報の誤りや欠落です。この領域の
情報の質
し、思いもよらない悪影響を及ぼしかねません。
売活動の効果の低下、
マーケティングコストの高
問い合わせの急増など)
を引き起こしかねません。
す。修正報告の原因のほとんどは、業務または財
テムで複数の製品 ID が振られている状況など、
と、販売やマーケティングの努力に水を差し、販
に悪影響を与え、罰金の対象となることもありま
ます。
関心事項です。たとえば必要な顧客情報がすぐ
の獲得と維持、顧客への優れたサービス提供が
なります。最終的に、会社は値引で対応せざるを
得なくなり、顧客には後味の悪さだけが残る結果
となるかもしれません。正確な情報があれば、こ
関する法令が定める期間にわたって適切にデー
うした事態の発生を減らして生産性を改善し、業
告基準(IFRS)
、米国企業改革法(SOX 法)
、一般
ようになります。
会計基準(GAAP)などの規制標準に準拠し、全
務コストを削減し、市場条件の変化に適応できる
情報ガバナンス構想の潜在的な価値
情報ガバナンスのビジネスケースの構築
多くの場合、企業はビジネスプロセスに関する失
敗を、情報ガバナンス構想の取り組みに着手す
る機会へと変えることができます。最初は、情報
の問題が財務に及ぼす特定の影響を解消したり、
コンプライアンス上の問題点を特定するところか
ら始めることができます。後者の場合、問題の有
無は、罰金の徴収額から簡単に判断できます。
たとえば、不正確な情報が原因で、出荷業務
任を負う従業員の数を減らすことによって、ビジ
ネスプロセスの最適化、リスクの軽減、意思決定
の強化を図ることができます。
多くの支社やフランチャイズを擁する組織の場
合は、ガバナンス構想の導入によって、企業内の
情報要素を整合させ、一貫したルールと業務プラ
クティスを適用することができます。その結果、情
報の質が改善され、ビジネス面にも投資回収率
に欠かせない重要なビジネスプロセスに不具合 (ROI)の大幅な向上というメリットがもたらされ
が生じており、
その結果として製品出荷に失敗し、 ます。
財務損失が発生した状況を考えてみましょう。こ
堅実な情報管理 / ガバナンス戦略を展開する
の重大な問題に直面したことは、継続的なリソー
と、情報パラメータ
(例:適正な POS データの構
情報ガバナンスの施策に着手するチャンスとなり
与させることが可能になります。
ビジネスプロセス・
ス配分の導入やデータロードマップの整備など、 成要素)の定義に、主要なステークホルダーを関
得ます。
たとえば、エンタープライズ・リソース・プラン
ニング
(ERP)
ソリューションでビジネスプロセス
エンジニアリングの専門家だけでなく、業務情報
に最も精通した業務部門側の担当者の協力も
得ながら、特定の種類の情報を全社規模でどう
の再構築を進める過程では、マスターデータの
受け渡すべきかについて合意を形成できます。こ
効率となり、エラーが発生しやすくなっていると
が進み、ビジネスの有効性と収益性が向上する
維持管理に関与する従業員が多すぎるために非
判明することがあります。このような場合には、マ
スターデータの維持管理を一元化し、情報に責
れにより、組織全体で情報の整合性と質の改善
ことになるのです。
情報ガバナンス構想では、適切なヒト、
プロセス、ポリシー、指標を
確立するための規律に基づくフレームワークを提供することで、
企業情報を監視し、ビジネス価値を高めるための環境を実現します。
SAP Thought Leadership Paper – 組織における情報ガバナンスの実現
7
情報ガバナンスを成功させるための土台
構想の導入ステップ
情報ガバナンスという業務プラクティスを確立す
る道筋は 1 つに限定されませんが、構想を成功に
導くために欠かせない重要なステップがいくつか
あります。
情報ガバナンスの意義の理解
最初に、情報ガバナンスが自社の成功にとって重
要な理由を認識し、組織にどのような情報問題
施策を成功させるためには、経営陣から社内
調整や資金確保のための支援を取りつけること
も重要です。情報管理の向上から最大のメリット
を受ける経営幹部を探し、特定のビジネス課題
IT 部門の関与も、情報ガバナンス構想の成功
には極めて重要です。IT 部門はデータアーキテ
クト、データモデラー、データベースアナリストな
ど、複数の主要なロール(役割)
で貢献することに
について話し合うことから始める必要があります。 なります。データアーキテクトは、
データ管理戦略
経営陣からの支援に加え、業務部門(マーケティン
とソリューションの構成要素(データベース、
ツー
その他のテクノロジー)が、確実に連携して機
グ、販売、サプライチェーン、財務、製造、IT など) ル、
の代表者からなる、豊富な業務知識を持つチー
能するように取り計らいます。データモデラーは、
ムも必要になるでしょう。このガバナンスチーム
データスチュワードやデータアーキテクトと協力
プロセス、定義、標準、指標
が存在しているのかを特定する必要があります。 が協力して、ポリシー、
しながら、ビジネスの定義と分類を論理的かつ
財務の修正報告、法規制コンプライアンス、顧客
最も有効な主要業績指標(KPI)が何かを特定す
スアナリストは、
上記のデータモデルをデータベー
との関係、ビジネスプロセスのギャップです。
る作業も含まれます。
を策定することになります。これには、 物理的な IT モデルへと変換します。データベー
前述のように、最も一般的な問題は、情報の質、 (評価基準)
適切なヒトの参画
効果的な情報ガバナンス構想は、会社全体にメ
リットをもたらします。そのためには、さまざまな
部署 / 部門やロール(役割)のステークホルダー
が参画することが重要です。これは、クラウド導
入などの戦略的 IT 構想に当てはまるだけでな
関連する個々のビジネスプロセスを熟知した
業務分野別エキパートや、重要な戦略情報の作
スの物理的なレイアウトへと変換し、導入の完了
後は、
データベースの変更と運用を監督します。
情報スチュワードは、多くの組織に導入され始
成、更新、共有を監督できるプロセスオーナーの
めているロール(役割)
であり、情報の管理 / 運用
ネス目標の達成という観点から、必要となる情報
の徹底を推進します。理想的なスチュワードは、
参画も必要です。業務部門のオーナーは、ビジ (オーナーシップ)
と説明責任に関するポリシー
の精度の定義や情報の有用性の判断に貢献しま
す。また、内部監査、リスク管理、コンプライアン
ス / プライバシーを担当する部署 / 部門からの
く、ビジネスインテリジェンスの導入、経費削減、 参画も必要です。特に、情報ガバナンスの取り
M&A などの戦略的ビジネス構想にも当てはまり
組みが法規制要件に関わってくる場合は、
この点
ます。
が重要です。
効果的な情報ガバナンス構想は、会社全体にメリットをもたらします。
そのためには、
さまざまな部署/ 部門やロール
(役割)
の
ステークホルダーが参画することが重要です。
情報とそれがビジネスにもたらす価値の両方を
最もよく理解している人物です。したがって、
(通
常は)
プログラマーや IT 部門のスタッフではない
人物が担当します。情報スチュワードの役割は、
データの適合性を全社規模で監視し、総合的な
情報の質の改善に努めることです。
情報に関するポリシーと手続きの定義
そのような組織では、契約管理、保守管理、プロ
ステムやアプリケーションの間で行われるデータ
包括的な情報ガバナンス施策では、構造化デー
ロセスを標準化・合理化しているのと同様に、プ
のポリシーとプロセスは、対応するビジネスプロ
タ/ 非構造化データの両方を含む、あらゆる情報
について、必要十分なポリシーを策定しなけれ
ジェクト管理、品質管理といったコアビジネスプ
転送についても同じことが言えます。ガバナンス
ロセスと非構造化コンテンツを結びつけ、
この種
セスと連携して総合的な戦略目標の達成に貢献
のコンテンツも効果的に管理できるようになるこ
するように策定しなければなりません。たとえば、
ばなりません。
とが望まれます。
販売とマーケティングのプロセスは、顧客情報を
法的義務、情報の質とライフサイクル、ガバナン
すると、非構造化コンテンツと構造化コンテンツ
ます。またサプライチェーンのプロセスは、仕入
率的で高品質なビジネスプロセスの実行を確保
スポリシーと連携・整合させる必要があります。
客関係管理)
、サプライチェーン管理に使用してい
このポリシーには、セキュリティ/ 責任 / 所有、
統合型のコンテンツ管理ソリューションを導入
統制するポリシーと連携・整合させる必要があり
スチームとの連携方法などに関する方針が含ま
の間でガバナンスが分断される状況を回避し、効
タ品質と情報ライフサイクルの管理を推進する
できます。通常、ほとんどの組織が ERP、CRM(顧
データに関するポリシーでは、情報の質をチェッ
るアプリケーションは、住所、顧客番号、受注番号
コンプライアンスの監視と
改善プロセスの確立
の維持、複数のステップからなる承認プロセスを
るように設計されています。統合型の企業コンテン
監視と改善は、コンプライアンスとビジネス改革
を破棄するまでの最低保持期間を定義するポリ
ボレーション、アーカイブ、スキャン、情報の取り出
が必要なビジネス領域を特定し、根本原因分析
シーも考えられます。
しを効果的に統制およびサポートできます。
れます。手続きは、ポリシーを確実に適用し、
デー
ための手段となります。たとえば、顧客マスター
クする人数を必要最小限に絞ることや、監査証跡
義務付けることができます。あるいは、財務情報
ビジネスアプリケーションの運用において高品
質の情報が高い価値をもたらすことは、多くの組
織が理解しています。その一方で、すでにほとんど
の組織のビジネスプロセスに大量に流れ込んで
いるにもかかわらず、非構造化コンテンツを活用
など、構造化されたトランザクション情報を管理す
ツ管理ソリューションは、文書と記録の管理、コラ
情報を作成 / 更新するプロセスと
システムの特定
情報を作成、更新、削除するプロセスを特定して
する必要性を認識できていない組織もあります。 適切に管理することは非常に重要です。また、シ
先 / 原材料情報のデータ入力に関するガバナン
の原動力となります。情報スチュワードは、改革
を実施します。中核となるガバナンスチームは、
ポリシーと手続きに違反する事例を収集して優
先順位を付け、情報スチュワードと協力して適用
可能な解決策を調査・提案します。コンプライアン
スや改善の取り組みには、エンドユーザーのト
レーニング、プロセスの自動化 / 作成 / 改良、新
規ソリューションの導入も含まれます。
企業情報管理向け SAPソリューションを導入すると、
情報ガバナンスのポリシーと標準を自動化および
強制適用するための包括的かつ統合型の環境を整備した上で、
その有効性を監視するために必要なレポート/ 分析機能も
活用できます。
SAP Thought Leadership Paper – 組織における情報ガバナンスの実現
9
企業情報管理向けの SAP® ソリューション
情報ガバナンスのサポートと自動化
情報ガバナンス構想では、信頼性が高く一貫して
安全なデータを提供することによって戦略的な
ビジネス目標の達成をサポートしますが、そのた
めには適切なソフトウェアソリューションが欠
かせません。ガバナンスをサポートするソリュー
ションは、情報スチュワードシップ、データ統合 /
品質管理、マスターデータ管理、ワークフロー /
ルール管理、企業コンテンツ管理、情報ライフサ
イクル管理、ビジネスインテリジェンスなど、幅広
い機能を網羅している必要があります。
企業情報管理向け SAP ソリューションを導入
すると、情報ガバナンスのポリシーと標準を自動
化および強制適用するための包括的で統合型の
環境を整備した上で、その有効性を監視するた
SAP のソリューションは、情報ガバナンス構
想の実現を可能にするたけでなく、業務パフォー
方を対象に企業情報の移動、改善、ガバナンスを
管理し、
そこから最大の価値を引き出すための情
マンスと効率性の向上も支援します。たとえば、 報管理基盤を提供します。このソフトウェアには、
信頼性の高い情報は、仕入先との関係を最適化
し、仕入業務の改善や売上原価の削減を実現す
るために役立ちます。倉庫では、バーコードから
抽出 / 変換 / ロード
(ETL)
、データ品質、データ
プロファイリング、メタデータ管理、テキスト分析
の機能がすべて含まれています。SAP では、SAP
読み取る正確なデータを活用して出荷を迅速化
Business Suite ソフトウェアやサードパーティ
を利用してコンプライアンスの徹底に努めること
タ品質機能を提供しており、ビジネスプロセスの
配送の経路と所要時間を改善することが可能で
とができます。
ションをご用意しています。
ment コンポーネントは、任意のデータソースや
できます。発電所の運転員は石炭の入力データ
ができ、流通業務では地理空間データを活用して
す。SAP では、
以下のような企業情報管理ソリュー
まず、SAP BusinessObjects™ Information
のアプリケーションに組み込んで利用できるデー
一部としてガバナンスポリシーを強制適用するこ
SAP NetWeaver® Master Data Manage-
データタイプ
(顧客、
製品、
資材、
従業員)
について、
めに必要なレポート/ 分析機能も活用できます。 Steward ソフトウェアは、データ品質を評価し、 マスターデータの整理統合と同期連動を実現す
SAP のソリューションでは、直感的な機能と操作
性で企業情報を所有・管理しながら、情報スチュ
ワードシップの向上を図ることができます。ビジ
ネスプロセスの一環として情報を統制することに
より、業務パフォーマンスを最適化し、コンプライ
アンスを徹底できるようになります。さらに、情報
のライフサイクル全体で質を確保し、構造化情報
と非構造化情報の両方で高い信頼性を確立する
ことができます。
システムを横断したデータソース分析でデータ
の系統や相互関係を理解し、ビジネスの観点か
るためのオープンなソリューションです。
SAP Master Data Governance アプリケー
ら情報を定義できる機能を提供することにより、 ションでは、SAP Business Suite ソフトウェア
全組織規模でビジネスユーザーの情報活用力を
強化します。情報クレンジングのルールを作成し
たり、ダッシュボードを活用してデータ品質を継
続的に測定・監視することも可能です。
SAP BusinessObjects Data Services ソフ
トウェアは、構造化ソースと非構造化ソースの両
で利用する顧客、品目、サプライヤー、財務のマス
ターデータを一元的に管理できます。
SAP NetWeaver Information Lifecycle
Management コンポーネントを活用すると、情
報の保有期間に関するルールを設定し、ポリシー
や法的要件に従う形で、
さまざまなビジネスレコー
ドをさまざまな期間にわたって確実に保持できま
す。構造化または非構造化コンテンツか、本稼働
またはレガシーシステムか、SAP ソリューション
または SAP 以外のソリューションかを問わず、あ
らゆる情報に対応します。また、審理中の訴訟に
関連する記録を収集・保護する目的にも役立ち
ます。
SAP Extended Enterprise Content Man-
善をライフサイクル全体で柔軟に行うためのフ
レームワークを提供します。
SAP BusinessObjects Business Intelli-
gence スイートは、企業内の誰もがロール(役割)
を問わず、セルフサービス方式で必要な情報に
基づく高品質の情報をいつでも利用できるように
ス構想では、企業情報を最大限に活用し、組織内の
ザーは、データの格納場所にかかわらず、事実に
イルやワープロ作成の文書など)
を構造化情報
(ア
次のステップ
プロセスのコンテキストに沿った形で効果的に
管理できます。
SAP HANA™ プラットフォームは、ハイパフォー
マンスなインメモリーコンピューティングを実現
し、大企業が抱える大量のデータをリアルタイム
情報ガバナンスに着手する賢明な方法は、自社
の情報ニーズと予算の制約に適した、合理的な
規模のプロジェクトから始めることです。まずは、
このようなプロジェクトを導入し、指標を追跡して
プロジェクトの成功を実証します。そしてその結
で瞬時に閲覧・分析できる能力をもたらします。 果に基づき、C レベルの(肩書きの略称が C で始
こうした「ビッグデータ」の分析には、効果的なガ
バナンスから生まれる、信頼性の高いデータや情
報が必須です。
SAP NetWeaver Process Orchestration
ソフトウェアは、IT 部門に対して、ビジネスプロセ
を強化する必要があります。しかし、相互に接続された
アプリケーションとシステムを横断して情報とプロセ
スを管理する作業は、複雑で多くの労力を要します。
なるため、全社規模で意思決定が向上します。
プリケーションデータなど)に関連付け、
ビジネス
情報があふれる今日のビジネス環境では、企業情報
の価値を最大限に高め、経営・業務の効率と有効性
アクセスできる環境を整備します。ビジネスユー
agement by OpenText アプリケーションを活
用すると、非構造化情報(電子メールの添付ファ
さらに詳しい情報は
まる)経営幹部から各業務部門のマネジャーまで
の賛同を取りつければ、次の段階として、
ガバナン
ス構想を全社規模に拡大することが可能になり
ます。
SAP® ソリューションがサポートする情報ガバナン
あらゆる人々が必要な情報を利用および管理 / 運用
できる環境を整え、情報の透明性を高め、
コラボレー
ションを促進できます。情報保持に関する法令や各
種の法規制に関するコンプライアンスを確立するこ
とや、業務プロセスの一環として情報を統制し、品質
と一貫性を監視および最適化することも可能。情報
の質を高め、信頼性の高い企業情報のパワーを活
かして豊かなビジネスインサイト
(洞察)
を引き出し、
データのライフサイクル全体にわたって品質と一貫
性を確保できるようになります。
企業情報管理向け SAP ソリューションがサポート
する情報ガバナンス構想の詳細については、SAP 担
当者にお問い合わせいただくか、以下の Web サイト
をご覧ください。
http://www.sap.com/japan/solutions
/enterprise-information-management/
スの設計、モデル化、導入、実行、監視、運用、改
脚注
1. 「企業における情報管理:ビジネス リーダーの視点」
(Forbes Insight、2010 年)
SAP Thought Leadership Paper – 組織における情報ガバナンスの実現
11
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、B2B 360°Services は、ドイツおよびその他の
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国々における Crossgate AG の登録商標です。Crossgate は SAP の子会社です。
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