室内装飾美術工芸品類の管理状況 平成24年7月9日公表

瀬戸内監第 10 号
平成 24 年 7 月 9 日
瀬戸内市議会議長
堤
幸 彦
瀬 戸 内 市 長
武 久 顕 也
様
様
瀬戸内市教育委員会 教育長 山 崎 宗 則
様
瀬戸内市監査委員
山 口 俊 範
瀬戸内市監査委員
木 下 哲 夫
行政監査の結果について
地方自治法第 199 条第 2 項の規定に基づく行政監査の結果に関する報告について、同条第 9 項
の規定により提出します。
なお、当該監査結果に基づき、又は当該監査の結果を参考として措置を講じたときは、同条第
12 項の規定により、その旨を通知願います。
記
1 監査の種類
行政監査
2 監査の概要
(1)監査の実施期間
平成 24 年 4 月 24 日から平成 24 年 7 月 9 日まで
(2)監査の対象
公営企業を除く全部署
(3)監査の対象事項
室内装飾美術工芸品類の管理状況
(4)監査の着眼点
物品は、地方自治法第 237 条第 1 項で「財産」と定義され、地方財政法第 8 条で「地方公
共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率
的に、これを運用しなければならない。」と定められている。また、公会計制度が導入され、
より適確な資産把握や評価が求められており、「財産」である物品の管理運用にはこれまで
以上に効率的な事務執行が求められている。
そこで、室内装飾美術工芸品類の管理運用について、効率性及び合理性といった視点から
調査し、適正な管理運用に資することを主眼として実施した。
(5)監査の方法
室内装飾美術工芸品類について、次に掲げるア~カに留意し、各部署から提出された調査
表及び関係書類等に基づき調査を行うとともに、必要に応じ実地調査、関係職員への質問を
行う等の手法により実施した。
ア 備品台帳と実物が合致するか。
イ 備品台帳に登載漏れはないか。物品整理票は貼付されているか。
ウ 管理換え手続は速やかに行われているか。
エ 寄附等により取得した物品に係る手続は、適正に行われているか。
オ セキュリティ体制は適切か。
カ 展示保管状況は十分か。
(6)実査期日及び対象
実 査 期 日
対
象
総務課、契約管財課、議会事務局
平成 24 年 5 月 10 日(木)
中央公民館
平成 24 年 5 月 17 日(木)
まちづくり推進課、裳掛小学校
備前長船刀剣博物館
平成 24 年 5 月 18 日(金)
美術館、牛窓支所
牛窓北小学校
3 監査の結果
監査した結果、一部において改善を要する事項が認められたので、必要な措置を講じ、今後
の事務処理に万全を期されたい。
指摘事項は、次のとおりである。今後の処理方法について指導した軽易な事項は、記述を省
略した。
(1)重要物品の登録について
平成 24 年 3 月 31 日現在で、財務会計システム内の備品管理システムに登録されている室
内装飾美術工芸品類の重要物品(50 万円以上のもの)は、表 1 のとおり全体で 149 件となっ
ている。しかし、備品管理システムへ登録されていないものも見受けられた。適正に登録さ
れたい。
ア 備前長船刀剣博物館
備品管理システムへ登録されていない重要物品(刀)1 点が見受けられた。適正に登録
されたい。
イ 美術館
評価価格が明らかになっている重要物品を含むすべての美術工芸品が、備品管理システ
ムに登録されていなかった。早急に備品登録されたい。
表 1 備品管理システムに登録されている室内装飾美術工芸品類の重要物品(50 万円以上のもの)
平成24 年 3 月31 日現在
区
総
分
務
一般
絵画
課
3
1
牛
窓
支
所
消
防
本
部
中 央 公 民 館
陶器類
彫刻
旗
刀
太刀
短刀
小太刀
脇差
薙刀
槍
拵
合計
3
1
2
1
1
3
3
備前長船刀剣博物館
51
邑久郷土資料館
14
6
1
52
2
9
1
1
136
1
牛 窓 東 小 学 校
1
1
牛 窓 西 小 学 校
1
1
今 城 小 学 校
1
1
合
計
3
4
1
1
4
51
14
6
1
52
2
9
1
※一般は、一般室内美術工芸品類である。
(2)美術工芸品の管理換え等について
美術工芸品の主管課が明確になっていないものが見受けられた。適正に管理換えされたい。
ア 総務課、契約管財課、中央公民館
使用者と管理者が同一になるよう適正に管理換えされたい。
イ まちづくり推進課
使用者と管理者が同一になるよう適正に管理換えされたい。また、保管場所等を備品管
理システムに登録されたい。
ウ 牛窓支所
重要物品である絵画が、美術館書庫に保管され、その価値にふさわしい管理がされてい
なかった。管理換えすべき美術工芸品かどうか精査し、適正に管理されたい。
149
4 意見
(1)備品登録事務について
備品管理システムへは、取得価格又は評価価格が 5 万円以上のものについて登録されてい
るが、寄附により取得した美術工芸品の多くは評価価格が不明で、取得後の評価も行われて
いないため、本来なら備品登録され、管理されるべきものが、登録されていなかった。適切
に登録されたい。
備品登録されているものの、評価価格及び作品名が不明であるため区別のつかないものも
見受けられた。備品管理システムへどの備品が、実物のどれにあたるか明瞭に区別できるよ
う登録されたい。
室内装飾美術工芸品類の管理は、公営企業を除く全部署で、備品管理システムで一般の備
品と同様に管理されている。しかしながら美術工芸品の管理において、現在の備品管理シス
テムでは、必要な情報を入力できないため、別の備品台帳様式でも管理し、二重に管理され
ている所属部署もあった。美術工芸品は、その取得経緯や性質等から、一般の備品とは別に、
美術工芸品として必要な項目を記載した全部署統一的な様式で管理されたい。また、寄附物
品等で、その作品の取得経緯が不明なものは、美術館等と協議し、作品の情報収集を行った
上で、適正に備品登録を行われたい。
ア 総務課、契約管財課、牛窓支所、裳掛小学校、中央公民館
美術工芸品が特定できるデジタル写真も併せて管理されたい。
イ 総務課、契約管財課
現時点で所有している美術工芸品の価値を判断し、適正に登録されたい。
ウ 牛窓北小学校
ベル串田作と推定される絵画があった。評価価格が不明であった。価値を明らかにして
適正に管理されたい。
エ 中央公民館
未登録の複製画、水墨画が見受けられた。適正に登録されたい。
オ 美術館
虫明焼がどの作品か特定できるよう寸法等を記録に残し管理されたい。
(2)寄附された美術工芸品について
寄附を受けたものについては、起案書を作成し、取得経緯を記録に残されているものもあ
ったが、合併以前に寄附を受けた美術工芸品についての多くは、取得経緯等が確認できなか
った。今後は、寄附受領の手続を適正に行い、経緯を記録に残し保管されたい。
裳掛小学校
所蔵扱いの虫明焼については、所有権を明らかにされたい。
(3)美術工芸品の保険加入について
美術工芸品の保険について、未加入となっている部署が見受けられた。また、加入保険種
類も様々であった。どのような保険に加入するべきかを検討し、効率的に保険に加入された
い。
ア 中央公民館
建物災害共済に加入されていたが、保険に加入した美術工芸品の明細がなかった。災害
に遭遇した場合、保険金が受領できない可能性があるので保険加入美術工芸品を明らかに
し、管理されたい。
イ 美術館
美術工芸品の火災及び盗難保険の加入について検討されたい。
(4)セキュリティ体制について
一部の施設でセキュリティ体制が十分でなかった。優れた美術工芸品の管理においては、
相応のセキュリティ体制が望まれる。
中央公民館
虫明焼展示室の美術工芸品を後世へ残すためにセキュリティ体制を確立されたい。
(5)美術工芸品の活用について
美術工芸品の多くは、それぞれの施設で展示されているが、市民の目に触れることが少な
い場所に展示されている作品や十分な展示スペースがない等の理由で、展示されていない作
品もあった。美術館が中心となって、全部署所有の作品を把握し、展覧会等を定期的に開催
するなど、市民に鑑賞の機会を広く提供されたい。
ア 備前長船刀剣博物館
備前焼及び掛軸等の活用方法について検討されたい。
イ 美術館
美術館収蔵庫等に保管されている美術工芸品を有効活用されたい。
最後に、今回実査対象とした部署だけでなく、全部署において、価格の多寡にかかわらず、
室内装飾美術工芸品類一つ一つが寄附されたもの又は税金で購入されたものであるとの意識
を持って、管理及び活用されることを望む。特に寄附を受けた美術工芸品については、取得経
緯等を記録に残し、寄贈者の意を汲み適切に管理されたい。