飼料用トウモロコシは 放射性セシウムを吸収しにくい

平成25年度 研究成果選 (放射性物質対策) 21
飼料用トウモロコシは
放射性セシウムを吸収しにくい
■研 究 の目 的
放 射 性 セシウムを含 むたい肥 を使 用 した飼 料 用 トウモロコシ栽 培 について、植 物 体 への放 射 性 Cs
の移 行 状 況 を明 らかにします。
■成 果 の概 要
●放 射 性 セシウム濃 度 約 1,200Bq/kg(現 物 当 たり)のたい肥 を用 いて飼 料 用 トウモロコシの栽 培 試
験 を行 い(たい肥 +化 成 区 (たい肥 約 1.3t/10a)、たい肥 3 倍 +化 成 区 (たい肥 約 4t/10a))、化
成 肥 料 のみを施 用 した試 験 区 (N-P 2 O 5 -K 2 O=15-10-10kg/10a(化 成 区 )、15-10-18kg/10a(カ
リ増 量 区 ))と放 射 性 セシウムの植 物 体 への吸 収 について比 較 しました。
●各 区 の飼 料 用 トウモロコシの放 射 性 Cs 濃 度 、移 行 係 数 及 び乾 物 収 量 のいずれにおいても大 きな
差 はありませんでした(図 2)。
●栽 培 後 の土 壌 中 の交 換 性 カリ含 量 は、たい肥 を施 用 した区 において増 加 しました(表 1)。
●各 区 の飼 料 用 トウモロコシのミネラル(K、Ca、Mg)含 有 率 及 びテタニー比 (K/(Ca+Mg))に大 きな
差 はありませんでしたが、たい肥 を多 く投 入 するとテタニー比 が上 がる傾 向 がありました(表 2)。
図 2 乾 物 収 量 の 比 較 ( 「 化 成 」 を 100 とした場合 )
図 1 飼 料 用 トウモロコシの放 射 性 Cs 濃 度 と 移 行 係 数
表1 栽培後土壌の化学性
表2 飼料用トウモロコシのミネラル含有率及びテタニー比
交換性塩基
区名
化
成
肥
料
化成肥料( カリ増 量)
た い 肥 + 化 成 肥料
たい肥3倍+化成肥料
K2 O
mg/100g
69
66
105
87
CaO
mg/100g
142
139
143
137
塩基バランス
MgO
mg/100g
87
86
88
85
Ca/Mg
当量比
1.17
1.17
1.17
1.17
Mg/K
当量比
2.96
3.02
1.99
2.41
区 名
化
成
肥
料
化成 肥料 ( カ リ増 量)
たい肥+化成 肥料
たい肥3 倍+化成肥料
分散分析
K
(%)
1.56
1.62
1.68
1.72
n.s.
Ca
(%)
0.07
0.09
0.10
0.06
n.s.
Mg テタニー比
(%) K/(Ca+Mg)
0.14
2.61
0.14
2.66
0.13
2.69
0.13
3.34
n.s.
n.s.
■成 果 の利 活 用 および留 意 点
●堆 肥 を多 く投 入 すると飼 料 用 トウモロコシのテタニー比 (K/(Ca+Mg))が上 昇 する傾 向 にあるので、
家 畜 へ給 与 する際 には留 意 する必 要 があります。
■詳細については下記URLをご覧ください
http://www4.pref.fukushima.jp/nougyou-centre/kenkyuseika/h25_radiologic/h25_radiologic_58.pdf
「 飼 料 用 ト ウ モ ロ コ シ へ の 放 射 性 セ シ ウ ム の 移 行 抑 制 技 術 ( 堆 肥 、 カ リ )」( 平 成 25 年 度 放 射 線 関 連 支 援 技 術 情 報 )
連 絡 先 :畜 産 研 究 所 飼 料 環 境 科
TEL 024-593-4159 FAX 024-593-4977
福 島 市 荒 井 字 地 蔵 原 甲 18 番 地
URL:http://www4.pref.fukushima.jp/nougyou-centre/
平成26年9月