川越天文同好会 機関紙 平成14年\(2002年\)月日発行

川越天文同好会 機関紙
2012 年(平成 24 年)
7 月 8 日発行
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ No/67
☆☆☆☆☆☆
小江戸の星
KOEDO’s STAR ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ホームページ http://kawaten.kagennotuki.com/
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<金環日食>
中村 岳樹
自宅天文台にて
2012 年 5 月 21 日 左から 6:29 7:18 7:34 7:36 7:38 8:10 8:51 露出 1/250-1/60 秒
6cm 屈折 F5.9(miniBORG60ED)直焦点 CanonEOSkissX3 ISO800 アストロソーラーフィルター
Eclipse Orchestrator にて自動連続撮影 ステライメージ 6.5 で処理
CONTENTS
太陽特集
〇【天体ギャラリー】金環日食
(中島 亨 )
1-2 頁
〇 金環日食観察記
(堅木 令治)
3-7 〃
(大塚 成己)
8-9 〃
〇 金環食・日高市の場合
(谷川 政敏)
10-14 〃
● 金星の日面通過・帯広市の場合
(
)
15-17 〃
(山内 拓 )
18-20 〃
〇 金環日食ほか
〇● 金環日食・金星日面通過
〃
☆ 恒星の核融合反応について (その2)
(
〃
)
21-25 〃
☆ 対空双眼鏡導入記(ビクセン BT81S-A)
(
〃
)
26-29 〃
☆ イベント報告(サンシャインシテイ宇宙展、特別講演)
(
〃
)
30-31 〃
編集後記
【連絡先】谷川 政敏
32 〃
【天体ギャラリー】
−金環日食 2012/5/21−
中島
最大食付近
第2接触付近
第2接触時のベイリービーズ
第3接触付近
第3接触時のベイリービーズ
1
亨
=撮影の記録=
自宅観測室から撮影した金環日食画像です。雲越しの撮影と成った為露出を長めに設定しましたので、
光球面は露出オーバーに成りましたが、記録として残したいと思います。
国立天文台天文情報センター暦計算室の計算シートから算出したデータによると、中心食の終わりが
7 時 37 分 11 秒でしたから、このベイリー・ビーズ画像はその時刻を過ぎているので、月の凹凸からこ
ぼれ出た光だと言う事がわかりました。また、このベイリー・ビーズを写したいが為に、連写機能を用
いた為に画像がブレているのも反省点の 1 つで有ると課題を残す結果と成りました。やはり一眼レフで
の撮影では、時刻を正確に知りミラーアップした状態から一枚一枚丁寧に撮る大切さを思い知る結果で
した。
撮影日時:2012 年 5 月 21 日
7 時 37 分 41 秒
望遠鏡:LUNT LS60THα B1200×ビクセン 1.6 倍エクステンダー
カメラ:EOS Kiss X2 IR 改造
赤道儀:GP (K-ASTEC 改造
ISO800 1/4sec RAW
MTS-3)
5月30日の太陽
2
金環日食観察記
川越市
堅木
初めて見る金環日食は3通りの写真撮影を計画していました、ひとつは望遠鏡を使用して
直焦点撮影(f=900mm)にて太陽の拡大撮影を行うこと、もうひとつは、広角レンズに
よる日食経過の連続撮影を行うこと、最後のひとつは、ピンホールカメラの原理を応用し
た太陽投影器を作成して投影像の撮影を行うことでした。f
=900mmでの撮影は今までカメラアダプターがなく撮
影したことがありませんでした。そこで手持ちのヘリコイド
とTリングを組み合わせ、カメラが取り付けられるよう工夫
して、1週間前に太陽黒点を撮影しピント位置やシャッター
スピードを決めておきました。広角レンズでの連続撮影は、
朝4時起きをして自宅庭にて、購入したばかりのインターバ
ルタイマーを使いリハーサルを行いました。日食時間と同じ
時間帯に撮影し、太陽の移動と画角を決めました。また撮影
した10枚以上の写真を画像ソフトによる合成も体験して
おきました(IMG1 参照)。最後に太陽投影器の自作です。
取扱い易さと、太陽の高度に合わせられるように三脚に取
IMG1
り付けることにしました。全長 90cmとし、白、黒の厚紙
や支柱、枠となる木材などを近くのホームセンターで調達し
ました。5月4日の“星の里のイベント”に持ち込み、当会
の谷川氏から、ピンホールの穴径などのアドバイスをいただ
き、穴径を2Φとしたところ、スクリーンにシャープさを増
した 8mmの太陽像を得ることができました(IMG2 参照)。
肝心の天気予報は曇りとの予報です。いつも天文ファンをや
きもきさせる一番の曲者です。日食前日からアストロGPV
を何度も見て、雲量の少ないところを観測場所にと、群馬県
の嬬恋高原など候補に挙げていました。しかし午後の予報で
は関東一円、雲量 53%の曇り空となり、どこに行っても同じ
です、結局いつもの秩父となりました。通いなれている星の
里の手前にある、東の空が開け、スカイツリーも見える寄居
町中間平緑地公園と決定しました。当日は朝 3 時に友人と
IMG2
中間平に到着しました。すでに2名の天文ファンが赤道儀を
並べ、準備を終えていました。我々も数m離れた一角に機材を準備し、雲がどいてくれる
ことをひたすら祈りました。やがて東の空が赤く染まり一筋の光条が太陽の昇る位置を教
えてくれました。日食が始まる6時19分になると雲が少しずつ薄くなり、丸い太陽の輪
3
郭が見えました。ヤッター、これなら天気予報よりずっと良い!
皆、口々に、納得しな
がら観測を続けました。食最大のころには雲の影響はほとんどなく、第二接触、第三接触
を迎えると一斉にシャッター音が聞こえてきました。クライマックスを過ぎた頃、あたり
を見回すと何10人もの見物人が展望デッキにいました。皆さんに声をかけ、投影された
太陽像や木漏れ日の太陽、望遠鏡での観測などを皆さんに見ていただき、一生に一度の天
体ショーを楽しんでもらいました。
金環日食記録写真
中間平緑地公園の観測風景
投影器による金環日食中の太陽像
4
投影器による金環直後の太陽像
展望デッキの木漏れ日(8時45分)
5
日食連続写真
6
第一接触と黒点(6時20分)
第三接触(7時36分)
7
金環日食ほか
大塚成己
前日までは天気予報から富士山五合目を予定していました。しかし直前の予報で大分状
況が変わり急遽変更することに。
南岸に前線、東に高気圧、やませ風が入る予報。これは群馬の高い山ということで赤城
小沼に行き先を変更し、混雑を考え前日の夕方からスタンバイ。で、これが朝の状態です。
ずいぶんゆったりしていました。霞がかかっているのはソフトンフィルターを付けていた
のを忘れたためです・・・
持ち込んだ機材はこのところの冬眠を考慮してシンプルに。メインは観望用のソーラー
マックス。ボーグ 45ED は白色光でビデオ流し撮り。固定はコンデジにワイコン+D4で
1分間隔の撮りっ放しです。
赤道儀は GP-D にピクシス。このピクシスは追尾モードが3通り。スターレート、キン
グスレート、サンレートです。夜のうちに極軸を合わせサンレート追尾をしたお陰で全く
修正が必要ありませんでした。
今回は贅沢にも第二接触直前から第三接触までソーラーマックスで見続けました。隣で
録画していたビデオを再生すると興奮した恥ずかしい声が響きます。面白いのは白色光よ
りもずいぶん早く第二接触と騒ぎ、白色光よりずいぶん遅く第三接触と騒いでいました。
プロミネンスや彩光面のため、白色光よりも太陽が大きく見えていた事が分かります。
8
月がオッカルティングディスクの役目をして微小プロミネンスが月のエッジから良く見
えて感動的でした。
途中携帯電話の動画で望遠鏡を覗かせましたが、欠けている様子が良く分かり面白い像
が撮れました。
皆既日食と比べて感動が劣ると思われましたが、楽しめた金環食でした。
また金星の日面通過ですが、結局自宅で時を待つことに。諦めかけたその時、雲間から
奇跡的に太陽が顔を出しました。ピントも合わせていない、ノーフィルターの画像です。
9
金環食・日高市の場合
谷川 政敏
金環食フィーバーの日本列島でしたが、皆さん、どこで観測されましたか?
直前の例会では「どうも曇りのようだ」との同好会内の週間予報でしたから、では「ならどこへ行く?」
を語り合いました。
天文同好会としては月曜日でもあり、以後の金星の日面通過でもお休みをとるとなると、特番組んで
どっかで観測と言うのも難しい事態で、結局、個人で観測することになりました。
さて、ではどこへ?なんですが、一つには車で高速道路を使って前日に移動する方法。
もう一つは富士山五合目に行くと言う方法。飛行機とか船で観測する案は出ません。
日蝕慣れしている天文同好会会員としては皆既日食と違い、見所の少ない金環食程度では一発必中を
期待しなくても良いとの判断が働いたと思われます。
さて、私の場合ですが、自宅でのんびりと観測と思っていたのですが、1 ヶ月前位に「日高に
引っ越して来たので宜しく!」と(有)スターゲイズの船本さんが挨拶に見えられ「金環食の観測会
を日高市の総合公園で企画したので、ご協力下さい。」となった。
特にお断りする気も無かったので“曇ったら他へ行く”と言う条件でお引き受けしました。
船本さんのお子様が近くの保育園に通っており、そこの園長さんがかなりの地学好きと言うことで、
日高市の教育委員会に協力を要請し、総合公園で一般の方を交えての観測会となったらしい。。。
やることなんですが、天候のあまり良くない中、数日間のリハーサルをやり、内容を決めました。
1)天体望遠鏡で投影して見て貰う。
2)“木もれ日君X”と言うピンホール式観察器で見て貰う。
3)PST で写真撮影する。(これって自分だけでやります。)
4)気象観測し、照度、気温、湿度を測定する。
5)時間が余ったら皆さんに解説する。
本番まで一度もスタッフのリハーサルを行いませんでしたが、流石に慣れた人ばかりで何とかなった
のは言うまでもありません。船本さんも何度か日蝕観測で海外へ行かれたそうです。
10
はてさて、こうなると少しでも確実に観測、以後のデータと
したいと思うのは私ばかりでないとは思うのですが、最後の仕
上げとして、実は 3 日前から気象のバックデータを取ることに
しました。
5 月 19 日(土)は朝から快晴で、5時起きして日高市総合公園
に向かいます。照度、気温、湿度を 30 分毎に測定しました。
翌 20 日(日)も曇りでしたが、そのようにしてバックデータ
としました。
測定器具は言わずと知れた照度計、温度計、それと同じケースに入った、湿度計です。
ほんとうは地上高 1m で計測とすべきでしょうが、今回は都合で地上に設置しました。
当日となり、5 時集合で一番乗りは保育園の園長さん、続いて私、次が協力をお願いした同好会の
高橋さん、船本さんご一行 3 人が来て、バタバタと準備が始まりました。
高橋さんはパソコンに分食を取り込むらし
く、いつもの観測スタイルと言う感じ。
船本さんは何やら屈折 3 台と PST で画像を
モニターするらしい。
自社の自動導入架台に乗せている。
ついでにミードの 30cm シュミカセ!で直
視とするようだ。
6 時頃から参加者が集まりだして、園長さん
の受付を済ませたら日蝕メガネを貰ってス
タンバイです。
いよいよ 6 時 19 分となり、まず投影で欠け始めを確認します。会場にざわめきが走ります。
先ほどまであった雲も少なくなり、これからが楽しみです。
ここまで晴れてくれるとは誰も予想していなかったので、こう言う時は移動しないのがどうも宜しい
ようです。見渡すと南の空は雲が定着しており、北にも低い雲があります。
参加者も次々と増えて行き、結局 168 名を数えたそうですが、これは過去に行った観望会での記録、
150 名を越え、新記録です。
欠け始めて 30 分程すると少し気温の上昇が鈍って来
たようで、前日までの迫力が感じられません。
生憎と薄雲が掛かり始め、時々濃い部分が太陽面を横切
るのですが、かえって参加者には迫力を演出しており、
感激のシーンの一つだったようです。
照度は雲が通過する度に下がるのですが、10 分毎のデー
タでもそんなに凸凹は無かったようです。
11
7 時となり、かなり照度が落ちて来ました。
辺りは夕方か満月の時の照明のような不思議な光に包まれて来ました。気温も下がり始め、少し肌寒
い位です。逆に湿度は下がっていたのが上がり始めたようです。
高橋さんは“木もれ日君X“で参加者に盛んに解説して見せてくれています。このピンホール式太陽
投影機は前回の部分食の時、本会と交流のある、高麗川ファミリー天文クラブの会長、大澤さんが自
作して持参した物で、その時に”木もれ日君1号“と”2号“としていた物です。
彼は今日は高麗川公民館で同じような企画を担当している筈で、晴天に沸いていると思います。
7 時 30 分、いよいよ周囲は暗くなり、クライマックスを迎えます。
スナップを撮るコンデジのストロボが動作して、かなりの暗さとなりました。
照度変化
70000
60000
照度(Lx)
50000
40000
30000
20000
10000
0
6:00
6:30
7:00
7:30
時刻(JST)
8:00
8:30
9:00
【一点破線は 19 日(快晴)二点破線は 20 日(薄曇り)実線は 21 日(晴れ)】
そして 7 時 32 分、太陽がリングとなり、最高のハイライトを迎えます。
不思議と会場は静まりかえり、人の動きが感じられません。薄雲が消え、小鳥のさえずりも小さくな
りました。
照度は前々日に比較して約 1/9 となり、気温は約 5℃低下、湿度は約 20%の UP となりました。
この状態はリングの切れる以降も継続し、気温は 30 分も戻りませんでした。
見事な金環状態が続き、その間、奇跡的に終始掛かっていた薄雲が切れ、横目で見た太陽はギラギラ
と金色のオーラを放ち、この世の物とは思えない凄まじさです。
木もれ日君Xに目をやると、何人かが携帯で写真を撮っており、こちらも見事な金環が投影されてお
り、大成功!事前に心配したのは、照度が不足な金環状態の時に果たして細い部分が写るか?
でしたが、見事に写っておりました。全般を通して木立は新緑が濃過ぎて十分な木漏れ日にはなりま
せんでした。
12
約 5 分後、リングが切れ、半周を超える“C”の字が再現されます。
確かにベイリービーズにはなっていたんですが、投影法でも PST でも撮影チャンスは逃しました。
皆既状態の時に、いつも思うのですが、多少の雲ならその瞬間には雲が切れるようで、今回も言うに
及ばずそうなりました。また、全般を通して風は無く、皆既状態でもこれは同じでした。
気温変化
35.0
30.0
気温(℃)
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
6:00
6:30
7:00
7:30
時刻(JST)
8:00
8:30
9:00
8:00
8:30
9:00
湿度変化
80.0
70.0
湿度(%)
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
6:00
6:30
7:00
7:30
時刻(JST)
13
湿度計は今回の計測では意外と敏感に反応し、10 分毎に測定した物では、雲の通過にも反応する
位で、もしかすると地面の状態を敏感に測定していたのかもしれません。
【左上は PST、その下は FL102S 改で投影、右は“木もれ日君X”の各金環像】
8 時を過ぎると会場から参加者が引き上げる姿が目立ち始め、出勤姿の人とジョギング姿の人が目
立ち始めます。食はまだまだ続くのですが、大きく欠けた太陽を見た後は急激に関心が薄れるのはい
つものことです。しつこく残っているのは我々となるのも致し方ない所であります。
皆さん、遅刻も気になるのでしょう。上を見ながら登校したり、よそ見運転などしないように言い含
めて自由解散としました。
保育園の園長さんが食分中に方々に電話してくれ、世田谷ではおおむね晴れ、横浜∼湾岸地帯もど
うやら晴れて金環が見えたそうです。北海道も帯広市は曇ったと言っておりました。
9 時となり、いよいよ残っているのは天文ファンだけ、、、観測と言ってもすでにお気楽な状態でやっ
ており、そろそろお片付けなど始めます。
そして最後は 9 時 02 分、金環食最後の見所は終了しました。
器材を片付けて、家路に付くと空は完全に曇ってしまい、危ない所でした。
さぁ、この次は 6 月 4 日の部分月食、6 月 6 日の金星の日面通過です。今年は多忙です。
14
完
金星の日面通過・帯広市の場合
谷川 政敏
6 月4日の部分月食は曇ってしまい、最後の方をどうやらこうやらのおぼろ月で見ただけなので、
続く金星の日面通過は是非見たいもんだと思っておりました。
しかし、生憎と関東は梅雨の走りとかでここの所、晴れてくれません。
週間天気予報も 6 月 4 日前後が曇りと出て、どうも晴れ間さえ怪しいのです。
しからば梅雨の無い北海道が脳裏に浮かんで参りましたので、現地での所要も幾つかあり、休暇を申
請しました。1 週間前に飛行機の座席を予約、そのままにしておいて、一端自動解約とし、次の予約
にしたら、回りの席はそのまんま空いていたので、ローカル路線の赤字運行もうなずけます。
6 月 5 日の深夜に星の位置を確認して黄道を推定し、成長し過ぎた街路樹の高さを越えて太陽が運
行する事を確かめ、望遠鏡を設置する場所を確定します。結果、古い実家の玄関前が最適のようです。
天気予報では道東も東部程晴れると言っていますが、帯広でも何とか一目位は見えるでしょうから、
わざわざ移動して観測するのは中止としました。
6 日早朝、3 時に起床!(緊張して寝れんかった。)何せ 8 年前は曇って見られなかった経緯があ
り、今回に掛ける意義が大きいのです。また、次回が 105 年後では無理があります。
夜明けからの空を見ていると雲量は少なく、大きな変化がありません。太陽もシッカリ出ております。
望遠鏡を設置して太陽を見ると、少ないながら黒点も見えます。5 時に朝食を済ませてテレビを見て
いると「今日の金星の日面通過は見えない地方もある」とか言っており、天気予報ではそこが関東ら
しい。。。そして、前日に晴れると言っていた道東が沿岸で濃霧、内陸は曇りの予報でした。
さて、7 時となり、もう一度試写すると、古い望遠鏡にお粗末な架台でも黒点が写ります。
金環食で知り合った日高市の知人(元、帯広人)のご家族が来られ、俄かに活気付きます。
金星は定刻に遅れる事 30 秒程で私の望遠鏡でも第一接触が確認出来ます。
この少し前からランダムにシャッターを切り、カメラのファインダーで皆さんに見て貰います。
15
約 1 分でどうやら丸みの分かる影となり、盛んにシャッターを切ります。その後の第二接触までの
時間は日蝕と違い、長いので 1 分間隔で写す事にします。第二接触から数分すると肉眼でも分かる
ようで、盛んに皆さんは
太陽専用メガネで観察で
す。
私はと言って視力 1.0 も
怪しいので、時たま「あ
れかなぁ。。
。
」と思う程度
にしか見えません。
蝕も深くなった頃、知
人のご一家は陸別町の銀
河の森天文台へ移動する
と言う事で、見送りまし
た。
昨晩の天気予報では山沿
いの天候を言っておりま
せんでしたが、平地なら
何とかなってもどうなんだろう?と思いました。他にも用事があると言う事で、別の楽しみのある方
は忙しいのです。
後日に判明した所では銀河の森天文台も晴れたとかで、今回は強力な晴れ男、晴れ女が居たようです。
何せ、ここは昨晩に雷雨注意報が出る程の所で、当日の晴れが信じられないのです。
まぁ、心配をよそに金星の日面通過が見られて良かった、良かった。
、、、で、銀河の森天文台の星グッツのお土産をありがと、、、m(_
16
_)m
当家(今は古い無人の実家だが)は中学校の前にあり、通学の生徒が沢山通ります。
生憎と中学生は来ないで小学生が多かったのですが、散歩の方を含めて述べ 10 人程が望遠鏡を覗い
て行きました。ミニ観望会と言った雰囲気です。(ここでも観望会やってる。。。!)
10 時半となり、蝕の一番深い頃ですが、やや濃い雲が出て来ました。
それでも 10 分毎に写している写真には影響しない量です。あまり雲が濃いと写すのを控えるのです
が、それでも 30 秒前にスタンバイして 30 秒後まで待つ意味を失う程に雲の通過は少ないのです。
上空の風も西から南寄りとなり、天候が変わるようですが、これなら最後まで行けると思う程の好天
です。
私の観測セットは今でも現存し
ているのか?思う程の古い物ばか
りを集めた物で、主砲は約 40 年前
の C90 と言うセレストロンの古い
マクストフです。
(現在の C90 と違
い、無骨で写真撮影も意識していま
す。)有効径 90mm×FL1100mm、
これにバーダー太陽撮影用フィル
ムを装着し、カメラは T リングを
介して NikonD80 を接続します。
35mm 銀塩カメラではイメージサ
ークルが大きく、視野の端ではケラ
レますが、旨くしたもんで、現代の
一眼レフタイプデジタルカメラではイメージサークルが小さく、偶然にもこのケラレをクリア出来る
のです。ISO 感度は 100、シャッター速度は 1/1000 秒ですべて統一しました。
ファインダーにもバーダーの減光フィルターを被せて使用します。架台は星の家仕様のユニトロン微
動雲台、三脚はマンフロットです。
さて、正午を過ぎ、昼食を済ませると気温も高くなって来ました。外に居るととても過ごし易い陽気
となり、眠気が襲って来ます。ウトウトしていると瞬く間にシャッター間隔 10 分が過ぎてしまい、
うっかり寝過ごしてしまいそうです。
金星は太陽の上をノロノロと進んで行き、少しながら右下に方向を変えます。経緯台のマウントでは
観測視野の回転を避けることが出来ませんが、赤道儀式の架台は今回の遠征では荷が重く、20kg に
も達する荷物を振り回して駆け付けるような移動には向きません。
13 時 30 分第三接触、いよいよ今回の現象の仕上げです。
やや雲が邪魔しますが、何とか第四接触まで大丈夫でしょう。そして 13 時 48 分、金星が太陽を離
れました。どうやら現象の最後まで見届けることが出来ました。一人心の中で万歳をし、撮影済みの
駒を見ると、雲が計画した時間に居座った一駒を除き、綺麗に写っておりました。
これで前回のリベンジはなりました。105 年後の皆さん、晴れると良いですネ。
17
了
金環日食・金星日面通過
山内拓
5 月 21 日金環日食の画像です。
Hα画像
Hα 太陽望遠鏡ソーラマックス 40
+
ミード 2 倍ショートバロー
EOS50D 直焦点撮影
アストロソーラシート画像
タムロン 200-400 ミリ望遠ズーム 400 側
アストロソーラシート
EOS キスデジタル
アストロソーラシートをフードにセロテープで直接貼り付けました。
6 月 6 日金環日食の写真です。
タムロン 200-400 ミリ望遠ズーム 400 側
EOS キスデジタル
18
PL フィルター2 枚重ね
1.修行
5 月 21 日金環日食、6 月 6 日金星日面通過に向けて、太陽撮影の修行を始めました。
最初、キスデジタルで撮ろうとしましたが、ファインダー撮影なので、太陽の導入、ピ
ント合わせともにできなくはないですが、非常にやり難い。よって、太陽望遠鏡で 2 倍バ
ローレンズを通して 50D のライブビュー撮影で直焦点で練習しましたが、何故か下半分粒
状斑が写りません。photoshop でソラリゼーションにすると黒点の様子はわかりますが、光
球はとんで写らないところがどうしても出ます。
また、等倍の方が余裕を持って撮れるのでしょうが、2 倍バローを使わないと何故か内ピ
ンでピントが出なく、像が暗いので液晶画面の明るさを最大にしてどうにか撮れます。液
晶画面の太陽像が一回り小さい方が見やすいので、「ピント合うかな。」などと考えずに笠
井トレーディングさんの 1.5 倍バローを買っとくんでした。欲しいなと思ったとたんあい
にく製造中止でした。眼視では粒状斑、プロミネンス、ダークフィラメントがきれいに見
えるのですが、画像には撮れず、修行あるのみです。尚、コリメート撮影用のビクセンの
ユニバーサルデジタルカメラアダプターを 3000 円で買ったのですが、コンパクトデジカメ、
デジタルビデオは、光球は赤丸で表面の状態(黒点・粒状斑)は全く写りませんでした。
私、天体写真は得意でなく、画像処理も得意ではありません。元々、天文少年で天文図
鑑に首っ丈でした。高校 2 年生になった息子が小さかった頃、学研の宇宙図鑑を買い冥王
星に衛星カロンがあることを知り、読むと偉く天文学は進歩していました。つまり、私の
天文の興味の一番は何と言われても天文学です。丁度、2003 年火星接近大ブームだったの
で望遠鏡を買い、2007 年に川越天文同好会に入会しました。
一昔以上前、秩父に住んでいた頃、風景写真に凝っていました。その頃は銀塩写真が主
流で定番がポジフィルム:フジクロームベルビアでした。カメラ雑誌は構図と露出の解説
が主流。カメラは EOS-1N に大口径レンズで嵌っていました。さらに上級の中版 PENTAX6
×7 も広角・標準。望遠フルセットも持っています。EOS1-N は時々使いますが、PENTAX6×
7 はここ??年使っていませんが、生きているうちに使おうと思っています。あるだけで幸せ
なので、別に無理して使わなくてもいいんですが、カメラ・望遠鏡は食べ物と異なり、腐
る前に食べなければならないと言うものでなく、お気に入りの品を持っていれば大満足で
す。横道知れましたが、太陽撮影を含め、天文写真は、もうデジタル以外に考えられませ
ん。その場で画像を見れないと、現像中にべテルギウスは爆発してしまうかもしれません。
2.5 月 21 日金環日食
日食中、時々、雲は通りましたが、大方、晴れました。2009 年 7 月 22 日の日食が雨だっ
たのでまたかと諦めていました。バンザーイ。
前日(20 日)の朝は、金環日食のため群馬まで出かけようかと思っていました。夜の天
気予報は、新潟でやっと晴れに変わっており、新潟は遠いし、「雲間からでも見れたらいい
か。」と半ば諦めて自宅に留まることにしました。
19
5 月 21 日、朝 4 時半に目覚めました。東の空は「これはダメ」と思うほどに曇っていま
した。ところが、だんだん天頂付近から晴れてきて、日食の欠け始めこそ曇りで撮影は無
理だったのですが、運よく途中から太陽に雲がかからなくなりました。頑張って撮りまし
た。露出難しく、ハテナ?ハテナ?の連続でした。マニュアル露出を試みましたが、液晶
画面で見て旨くいかず、EOS に任せました。50D はソーラマックスで-1.3EV、キスデジタル
は、タムロンの 200-400 ズームを使い、同好会で共同購入した国際光機のアストロソーラ
シートを、同好会の谷川代表の「工夫してキャップにしてつけるより、フードにテープで
直に貼り付けるのが一番安全」の言葉に従い、直に貼り付け、400 側で-2.0EV で撮りまし
た。
新潟まで行くと金環になりませんから、自宅で正解でした。滅多にみれるものではなく、
皆既月食に続き運よく撮れました。事前の天気予報、”残念ながら”みたいのばかりでし
たが、見えるといって見えないと大変でしょうから辛口だったのかなと思います。
太陽は晴れれば出ますから、一番観測しやすい対象で楽しいですね。
黒点を見ると水素は金属の一味かなと思います。自由電子があって対流すると磁場がで
きます。ダイナミックで面白い存在です。来年がピークらしいので存分に見ましょう。星
空、空に無数の天然核融合炉がひしめいていると思うとまた興味尽きないものがあります。
3.6 月 6 日金星日面通過
朝から小雨で、テレビの 4 チャンネル、その後インターネットでTBSのライブカメラ
で日面通過の様子を見ていましたが、12 時過ぎ、一瞬明るくなり、金星日面通過の目視確
認できました。
日が射したと自宅ベランダに出ると、ゆっくり流れる上層のまだらな薄雲の下を、塊状
の厚い雲が勢いよく流れて行き、その間から光球が見える状況でした。上層の雲の遮光の
ため、太陽フィルター通すと光球が見えません。望遠レンズにPLフィルター2 枚付け撮影
を試みましたが、露出が秒単位でころころ変わりました。序に 30 秒単位で下の雲が邪魔し、
光球が見えなくなります。
計5分程でしたが、スキー用の濃いサングラスかけて、赤外カットフィルターを通して
光球上の金星●を確認しました。望遠レンズにPLフィルター2 枚付けでバッチリ見えまし
た。見たときは「おお!」と叫びました。百聞は一見にしかずで、休んだ甲斐ありました。
悲しいかな、実視の機会は、生きている間には、もうないそうですから。
子供にも見せたかった。次は 100 年以上先ですから子供も実視は無理です。その後、ま
た雨が降り始めました。
後でパソコンのモニターで見たら、金星の日面通過、かろうじて撮れていました。モニ
ター上でないと見づらいですが、掲載写真の太陽右側の小さな点です。
20
天文学講座
恒星の核融合反応について(その2)
山内 拓
さて、太陽は半径が地球の 110 倍、質量が 33 万倍の水素とヘリウムの塊で、宇宙に浮かぶ天然
の核融合炉です。地球は太陽のハビタブルゾーン(水が液体となりえる範囲)に存在する惑星で、
宇宙創生 137 億年、太陽系創生 45 億年の歴史の中で、人類は誕生 400 万年目を迎えます。我々の
営みおよび文明社会全てが、太陽の核融合エネルギーの産物です。しかし、その太陽も主系列星
の H-R 図中心に位置する、銀河系の中のごくありふれた恒星の一つです。恒星の大集団である銀
河は宇宙に限りなく存在し、太陽そっくりの星はいくらでも宇宙にあります。
そう考えると、人類および文明は太陽の戯れに過ぎないと思えてきます。悟りの境地!と言い
たいものの、
「宝くじに当たり望遠鏡をたくさん買って囲まれて眠りたい、空が澄んで暗い高原に
暮らしたい。
」と言う極自然な夢を持ち瞑想する私がいます。太陽の恵みのはかない人生、天文道
楽に生きなければ絶対に損です!・・・あくまでも個人的価値観で、天文ファンの方以外になかなか
理解していただけません。でも、天文以外のことで楽しい瞑想は難しい!
先号(小江戸の星 66 号)で、
“恒星の核融合反応について(その1)”を書いた時は、専門の化
学反応と耳学の核反応が頭の中で別でしたが、化学反応は電子の軌道変化であって、核反応は核
子の変化だということで、なんとなく整理されました。大袈裟に言えば、電磁気力、弱い力およ
び強い力が統一されたわけです。勉強の成果です。さてさて、これで重力を理解すれば、大統一
理論達成です。重力とは滴る水を見て空間が変化していることは察しがつきます。つまり、空間
の歪みです。では重力の実態はと言われると、重力子、重力波、ヒッグス粒子による抵抗と言わ
れますが、何か全くわかりません。
恒星内の核融合反応、わかったような気がしてきました。しかしながら、実際わかっているか
ち問われれば全くの疑問???です。最近のデジタル社会では、パソコンの前に座ると何もわかって
いなかったことが直ぐ判明するので、パソコンが身近になかった昔の人のように知ったかぶりや
見栄はれません。その代わり、インターネットで勉強することができます。
天文書および天文雑誌では、太陽の構造、プロミネンス、スピキュールまたは黒点等の表面に
おける現象、あるいは金環日食、太陽内の核融合反応は水素からヘリウムができて膨大なエネル
ギーが生まれると簡単に説明され、詳しく紹介されたものは見つかりません。そこで、ネットの
フリー百科事典“ウィキペディア(Wikipedia)”による掲載、
「太陽」の中の熱核融合反応を引用
し、先ず大まかな内容を知り、基礎知識を得た後、「PP チェイン」(陽子-陽子連鎖反応)および
「CNO サイクル」を一部引用説明しますので、ともに勉強いたしましょう。全文はインターネッ
ト上で閲覧、願います。
加えて、恒星(太陽)の熱核融合と太陽の戯れによる地球における生命の創生についても話さ
せて頂きます。
1. 熱核融合反応
熱核融合反応は太陽内部で膨大なエネルギーをもたらす反応です。地球に直接、熱光を与え、
植物の光合成などを含む二次的エネルギーを与えます。
以下、
『』内、
「フリー百科事典“ウィキペディア(Wikipedia)”」における「太陽」に係るイン
ターネット公開より一部引用します。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD、2012 年 6 月 22 日掲載)
『熱核融合反応
水素を核融合する反応は 2 種類がある。これらは基本的に、プラスに帯電した原子核同士を結
びつけようとするためにクーロン力による反発が起きるが、量子力学のトンネル効果によって一
21
天文学講座
定の確率で核融合が起こる。水素におけるこの反応では質量の 0.7%が質量とエネルギーの等価性
によって熱量に転換される。そのため、これは「熱核融合反応」と呼ばれる。
熱核融合反応は、太陽程度の質量を持つ恒星で多い「陽子-陽子連鎖反応」と、より重い主系列
星で主に行われる「CNO サイクル」がある。太陽では、「陽子-陽子連鎖反応」が「CNO サイクル」
の約 100 倍程度エネルギー生産に寄与していると考えられている。
陽子-陽子連鎖反応 (I)
反
D + e
1-1) p + p
1-2) p + e
2)
e
3)
p + D
4)
He +
応
+ p
放出エネルギー
反応平均時間
+ 0.4MeV
140 億年
+ 1.0MeV
10-19 秒
+ 5.5MeV
5.7 秒
+ 12.85MeV
100 万年
+
D +
2
+ e
He +
He
He + 2p
合計
4p + 2e
ただし、 :ニュートリノ
He + 6
+ 2
+ 26.65MeV
:γ線』
それでは、熱核融合反応について勉強しましょう。
最初に、トンネル効果によって陽子−陽子連鎖反応は起こります。このことは、量子の世界は
揺らぎの世界で確率的に事象が起こる世界ですので、わかります。
概して、太陽内の核融合反応は水素からヘリウムができて膨大なエネルギーが生まれると簡単
に説明されます。実はもっと複雑で、引用したように、陽子-陽子連鎖反応でプラズマ化した水素
の原子核、即ち、p(陽子)と p(陽子)より D(重水素)が発生し、p と D より 3He が発生しま
す。次いで、2 個の 3He が 1 個の 4He と 2 個の p になり、この p が最初の反応を起こすサイクル
反応です。各々の反応と e(電子)と-e(陽電子)の対消滅により、γ線(ガンマ線:エネルギ
ー)が生じ、それが周りの水素およびヘリウムを加熱して光や熱が発生します。
ここで太陽風により月面に降り積もった 3He が核融合の燃料にならないかと言う話題の意味す
ることがわかりました。また、読み進むと分枝反応により、陽子-陽子連鎖反応の分岐により、Be
(ベリリウム)、Li(リチウム)、B(ホウ素)、が生じることがわかりました。
また、γ線は、およそ 10pm より波長の短い電磁波として X 線と区別される、ν(振動数)が多く
波長が短い高エネルギー線です。天文学における高エネルギー現象の代表的な例として、宇宙で
観察されるγ線バーストが挙げられます。話を少し変えますが、電子の軌道にはエネルギー順位
があり、エネルギー順位に従って、電子はとびとびの K、L、M、N 殻内の軌道に入り、軌道間の電
子の移動で光が発生します。この拘束は原子核側で決まり、原子核内にも同じく遷移があり、γ
線は原子核内の遷移を起源とし放出され、そのエネルギーは電子の移動による可視光、紫外光に
比べ桁違いです。
話はそれますが、γ線およびそれを放出する放射性物質セシウム 137、これが今話題の放射能
汚染の正体です。正確には、γ線等の放射線を出す物質を放射性物質、放射線を出す能力を放射
能と言います。福島第一原子力発電所の事故で身近となり“シーボルト”
“ベクレル”も聞き慣れ
たものになりました。
(放射線には、γ線以外に、ヘリウム原子核の流れα線、電子線であるβ線
があります。)
原子力発電所では、ウラン 235 等を起とする中性子による核分裂反応で生じた放射線が、中性
子の減速材でもある水分子を振動加熱することで、沸騰水型原子炉では燃料棒周囲の水を直接水
蒸気としタービンを回し、加圧水型原子炉では、燃料棒周囲の一次水は圧をかけ気相変化させな
いで高圧高温水とし、二次水と熱交換させて間接的に二次水を加熱沸騰させることで水蒸気を得
てタービンを回し、電気エネルギーを得ているわけです。福島第一原発は 1∼3 号機全て沸騰水型
22
天文学講座
で、原子炉の創業は 40 年前でした。
福島第一原子力発電所の事故によって、原子核工学、原子核物理学を勉強された方も多いでし
ょう。今回の事故による放射性物質の漏洩による放射線(例えばセシウム 137 の崩壊によるγ線)
がどれくらい人の癌になる確率を上げるのか?・・・疑問です。ホルミシス効果と言い、放射線量が
少量なら健康によいと言う学説もあります。ラドン温泉ですね。確定的影響、つまり直接の健康
被害に対いては、放射線治療、原爆症の研究で知見はありますが、確率的影響、γ線がどれくら
い癌になる確率を上げるのかは、チェルノブイリ原発事故の例はありますが、はっきりしたこと
はわかっていません。言えることは、今回の事故の汚染による放射線測定結果は、宇宙および地
球からの自然放射線と比べられる程度で、レントゲンまたは CT などの1回の検査における照射量
より、1年を通しても少なそうだと言うことです
事故直後、20 キロ圏内または 30 キロ圏内と避難指示を出され 1 年以上経過しました。結果と
して福島第一原発周辺地域のコミュニティは崩壊したままです。この処置は今後生まれてくる世
代を含む子供への影響を考えてのことでしょうが、度を越しているかもしれません。狂牛病も誰
も死んだ人がいないのに日本中大騒ぎになりました、当の英国および米国では狂牛病に対し客観
的であったとのことです。欧米は、物事を客観的に見ることができるからです。福島の事故で確
定的影響(放射線による直接の障害)を受けた人は公表されていません。おそらくいないでしょ
う。事故は想定外の津波が原因とされ、東京電力も未だこの見解の様で、原発そのものの存在が
悪いと言う風潮にさえなっています。
しかしながら、40 年前建てられた原発、安全のための改良は正しくなされていたのか?重要な
非常電源は何故地下にあったのか?答えが示されないままです。子供達が危ないからと福島第一
原発の周辺は永久閉鎖、原発が悪い日本は原発廃止では、あまりにも短絡的といえます。
津波は天災です。しかしながら、原子力発電所は人が作ったもので、地震および津波等の天災
は、原発事故の危険因子です。滅多に起こらない規模でも、備えられるものであったとしたら、
人災です。そもそも原子力発電所は人の作ったもので、今回も原子力発電所の事故も天災とは言
い難い。想定外とは基準が甘かったことになります。日本の原発は安全神話を唱えていました。
想定外の事故の処理がドタバタしたあげく原発周辺の人とそのコミュニティが以前に戻らないこ
とは、深刻な問題となったままです。原発は核分裂、太陽は核融合の違いがあるにせよ、我々は
核エネルギーの恩恵で存在しているのです。
2. 陽子−陽子連鎖反応
次いで、
「陽子-陽子連鎖反応」を引用し、解説します。陽子-陽子連鎖反応は太陽の熱核融合反
応の主反応です。
以下、
『』内、
「フリー百科事典“ウィキペディア(Wikipedia)”」における「陽子−陽子連鎖反
応」に係るインターネット公開より一部引用
( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%BD%E5%AD%90-%E9%99%BD%E5%AD%90%E9%80%A3%E9%8E%96
%E5%8F%8D%E5%BF%9C、2012 年 6 月 22 日掲載)
『陽子-陽子連鎖反応
陽子−陽子連鎖反応の概要
左上の反応では 2 個の陽子(赤)が反応し、陽電子(白)とニュートリノ(ν)を放出後、陽子
と中性子(灰色)からなる重水素が形成される。次の反応では重水素と陽子が結合し、γ線(γ)
を放出してヘリウム 3 が生成する。最後の反応では 2 個のヘリウム 3 が結合し、陽子を 2 個放出
してヘリウム 4 に至る。
陽子-陽子連鎖反応
この反応の第 1 段階では 2 個の水素原子 1H(陽子)が結合して重水素 2H となり、1 個の陽子が
23
天文学講座
中性子に変換した結果として陽電子とニュートリノが放出される。
1H + 1H → 2H + e+ + νe
ここで放出されるニュートリノは最大で 0.42MeV のエネルギーを持ち去る。
この第 1 段階は陽子が中性子に変換される弱い相互作用に依存しているため、極めてゆっくりと
進行する。実際、陽子−陽子連鎖反応の中ではこの段階が律速となっており、1 個の陽子が融合
によって重水素に変換するまでの平均的な時間尺度は 109 年に達する。
陽電子はすぐに電子と対消滅し、両者の質量エネルギーは 2 個のγ線光子によって運び去られる。
e+ + e− → 2γ + 1.02 MeV
また、この第 1 段階で作られた重水素は別の水素原子と融合してヘリウムの同位体であるヘリウ
ム 3 (3He) を作る。
2H + 1H → 3He + γ + 5.49 MeV
ここから先、ヘリウム 4 (4He) が生成される過程には 3 つの異なる分枝 (branch) が存在し、そ
れぞれ pp1, pp2, pp3 と呼ばれている。pp1 ではヘリウム 4 は 2 個のヘリウム 3 原子核が融合す
ることで作られる。残る 2 つの分枝である pp2 と pp3 では pp1 で作られたヘリウム 4 が反応に
使われるが、反応途中でのベリリウム 7 の関わり方が互いに異なる。太陽の内部では pp1 が約
91%の確率で起こり、pp2 の確率が約 9%、pp3 が約 0.1%と見積もられている。』
それでは、陽子−陽子連鎖反応について、勉強しましょう。
引用内の『2 個の陽子(赤)が反応し、陽電子(白)とニュートリノ(ν)を放出後、陽子と
中性子(灰色)からなる重水素が形成される。次の反応では重水素と陽子が結合し、γ線(γ)
を放出してヘリウム 3 が生成する。最後の反応では 2 個のヘリウム 3 が結合し、陽子を 2 個放出
してヘリウム 4 に至る。
』の下りを考えると、2 個の陽子が反応して、陽電子とニュートリノが放
出後、重水素が形成されるとは、厳密に言えば、陽子はアップ、アップ、ダウンクオークですか
ら、2 個の陽電子は、アップ 4 個と、ダウン 2 個の組合せ、重水素原子核は陽子(アップ、アッ
プ、ダウン)と中性子(アップ、ダウン、ダウン)ですから、アップ 3 個とダウン 3 個の組合せ、
よって、クオークレベルでは、アップ → ダウンの反応が起こっており、その際、陽電子とニ
ュートリノが放出される。このニュートリノは中間子としてクオーク同士を結び付けていたニュ
ートリノでしょうか?陽電子が電子と対消滅してγ線を放出するのでしょうか?
重水素(アップ 3 個とダウン 3 個)の原子核に、陽子(アップ 2 個とダウン1個)が結合する
と、アップ 5 個とダウン 4 個が、ヘリウム 3 になるのですから、陽子 2 個と中性子 1 個でアップ
5 個とダウン 4 個そのままでγ線放出し周囲を加熱、次いでヘリウム 3 よりヘリウム 4 と陽子 2
個ができ、陽子は最初の反応に戻り、p-p チェインは繰り返されるわけです。分枝反応はさらに
難しいですね。恒星学、太陽学なる学問があってよさそうです。なぜなら我々は、前述のように
太陽の戯れなのですから。
3. CNO サイクル
次いで、太陽より重い星の中で進行する「CNO サイクル」を引用し詳しく見ていきましょう。
以下、
『』内、
「フリー百科事典“ウィキペディア(Wikipedia)”」における「CNO サイクル」に
係るインターネット公開より一部引用
(http://ja.wikipedia.org/wiki/CNO%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB、2012 年 6 月 23
日掲載)
『CNO サイクル
CNO サイクル (CNO cycle) とは恒星内部で水素がヘリウムに変換される核融合反応過程の一種
である。陽子-陽子連鎖反応が太陽程度かそれ以下の小質量星のエネルギー源であるのに対して、
CNO サイクルは太陽より質量の大きな恒星での主なエネルギー生成過程である。(略)
24
天文学講座
恒星内部での水素燃焼には陽子-陽子連鎖反応と CNO サイクルの両方が働いているが、CNO サイ
クルは大質量星のエネルギー生成過程に大きく寄与している。太陽内部で CNO サイクルによって
生み出されるエネルギーは全体の約 1.6%に過ぎない。
CNO サイクルは温度が約 1,400 万-3,000 万 K の環境で稼動する。さらに、サイクル反応が回り
始めるための「種」として 12C や 16O といった原子核がある程度存在する必要がある。現在考
えられている元素合成理論では、ビッグバン元素合成で炭素や酸素はほとんど全く生成されない
と考えられるため、宇宙誕生後の第 1 世代(種族 III)の恒星の内部では CNO サイクルによるエ
ネルギー生成は起こらなかったと考えられる。このような星の内部ではトリプルアルファ反応に
よってヘリウムから炭素が合成された。やがてこれらの星が超新星爆発によって炭素を星間物質
として供給したため、そこから生まれた第 2 世代以後の恒星では炭素原子核が最初から恒星内に
含まれており、CNO サイクルの触媒として働くようになっている。』
CNO サイクルについて勉強しましょう。
CNO サイクルは、お馴染の炭素、窒素、酸素が核反応しつつ、γ線を放出しているサイクル反
応です。
ビッグバン後に直ぐできた星は、最初は水素とヘリウムだけだったことは球状星団の 100 億歳
を越える星の解析で解る、宇宙の始まりの頃の銀河を観測すると重元素が極端に少ないとは、本
で知っています。これら宇宙初期の星の中で重い星がトリプルアルファ反応によってヘリウムか
ら炭素を合成した後、寿命が尽きて爆発し、星間物質として炭素が供給されたとのことです。第
一世代の星の爆発による炭素を得た、第 2 世代以降の星には CNO サイクルのための炭素が初めか
らふくまれるということです。
理解のためフリー百科事典“ウィキペディア(Wikipedia)”の「トリプルアルファ反応」
( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%AB%
E3%83%95%E3%82%A1%E5%8F%8D%E5%BF%9C、2012 年 6 月 22 日掲載)より『』内、引用します。
『トリプルアルファ反応(トリプルアルファはんのう、triple-alpha process)とは、3 個のヘ
リウム 4 の原子核(アルファ粒子)が結合して炭素 12 の原子核に変換される核融合反応の 1 つで
ある。
この核融合反応が起こるのは、温度が約 1 億 K 以上の場合に限られ、恒星内部のヘリウムの存
在量が多い環境で起こる。典型的な例として、陽子-陽子連鎖反応や CNO サイクルによって作られ
たヘリウムがたまっている古い恒星の中心部でこの反応が起こる。恒星の中心核で水素による核
融合反応が終わると、中心核は自己重力で収縮し、この収縮によって中心温度が十分に高くなる
とヘリウムによる核融合反応が始まる。
4He + 4He ↔ 8Be
8Be + 4He ↔ 12C + γ + 7.367 MeV』
トリプルアルファ反応は赤色巨星の内部または超新星爆発時に加速度的に進行するようです。
宇宙では炭素は星間ガスとして存在しますし、太陽系には窒素、酸素が溢れています。水素を含
めると人体を作る主要元素です。
こう考えると、星と私たちの体および地球にあるもの全てが恒星内の核融合反応と結びつきま
す。主要元素も核融合反応でできたのですから、我々は、恒星および太陽の核融合反応によって
創生された存在そのものであることが理解されます。恒星内の核融合反応、興味を持っていただ
けましたでしょうか?
25
対空双眼鏡導入記
(ビクセン BT81S-A)
山内 拓
双眼鏡はミード製 9 倍 63 ミリおよびセレストロン製 15 倍 70 ミリ、ビクセン製 20 倍 80
ミリを持っています。ミードを除いて手持ち観望は無理で、長時間の観望は首が痛くなる、
天頂は見れないということで、長年、ほしい糒と思っていた対空双眼鏡を購入しました。
買ったのは、ビクセンの対空双眼鏡 BT81-SA と専用
HF2 経緯台です。『』内は、ビクセンのホームページ
(http://www.vixen.co.jp/at/at-hf2.htm 2012 年 6
月 28 日掲載)より引用します。
『対空双眼鏡> BT81S-A 鏡筒・HF2-BT81S-A 1
気軽に星空を楽しむための口径 81mm 対空双眼鏡。
前モデル「BT80-A 鏡筒」に比べ、焦点距離を 480mm と短
くすることにより全長約 100mm 短くなりました。また光
学設計を見直すことで結像性を向上。 接眼部の変更に
より、高さが 40mm 低く、重量も約 900g 軽くなり、より
コンパクトになりました。
BT81S-A 鏡 筒
¥93,450 ( 税 抜 ¥89,000)
商品
No.14304-7
対物レンズ有効径:81mm/アクロマート レンズコーテ
ィング:マゼンタコート
焦点距離:480mm 口径比:F5.9 分解能:1.43 秒 極
限等級:11.3 等星
集光力:肉眼の 134 倍」』
1.購入の動機
先号(小江戸の星 66 号)の記事「私の月食」からの抜
き出しです。
「地球照の月は天頂なので、ビクセンの 20 倍 80 ミリ双
眼鏡での観測は大変でした。足を大きく開き、腰に手を
当て、顔は天を見上げ、まるで雨乞いです。写真のビデ
オ三脚が無ければ、風が強く観望はさらに厄介でした。
オイルフリュード雲台のおかげで動きもスムーズです。
ビクセンの対空双眼鏡 80 ミリが新型となり短く軽く
なったので、2 月のフォトイメージングエキスポに行き
実物みて、よければ購入し、写真のビデオ三脚に載せら
れればと思います。ビデオ三脚、最大積載 3kg で、ビク
センの 2.5kg の双眼鏡が余裕で載るので、4.1kg の対空
双眼鏡が載らないことはないと思いますが、駄目なとき
はまた考えましょう。」
26
ということで、待望の対空双眼鏡を購入しました。丁度、割引となっていた笠井トレー
ディングさんの 10 センチ径対空双眼鏡(6.7kg)と迷いましたが、8 センチ径のビクセン
BT81S-A(4.1kg)にしました。口径は小さいですが、重くないので手軽に使えます。大口径
はセレストロンとミードの 20 センチシュミカセコンビがありますが、夜空も明るくチョイ
見のベランダ観望は 13 センチニュートンのビクセン R130Sf が主ですし。8 センチ径はムー
ングラスが要らずお月見には使い勝手よいです。
ところが、ビクセン対空双眼鏡 BT81S-A(4.1kg)を購入してわかったことですが、写真の
ビクセン 20 倍 80 ミリ双眼鏡(2.5kg)と異なり、ビデオ三脚に載せると雲台が鏡筒の重さ
に耐えられなくてお辞儀してしまいます。アイピースに LV9 を用いて、高倍率 50 倍でみた
とき、ずるずるずるずると像が移動します。それはいくら停止ネジ(ティルト固定ネジ)
を締め付けてもダメでした。コンパクトな機種なのでビデオ三脚で問題ないと思ったので
すが。以下、購入の経緯です。
2.本体およびアイピース LV20+LV9 追加購入
3 月 5 日、笠井トレーディングさんのホームページに SUPER-BINO CLT が今月の特価品で
出ているのを見つけました。1 割引です。でも、三脚付きフルセットで買わないと・・・6.7kg
重量的に耐荷重 3kg の写真のビデオに三脚に載せるのは厳しい。
行動開始
2 月のフォトイメージングエキスポに行った際、ビクセンブースに BT81S-A の実物がなか
ったので、3 月 9 日金曜日午後、会社を午後休み、東所沢のビクセンへ試しに行きました。
予めビクセンに連絡して BT81S-A を用意して貰い、アイピースとビデオ三脚を持参し、準
備万端で行きました。ショールームは家から車で 20 分でした。こんな近いなら、もっと早
くからお邪魔するんでした。土日休みなのが残念です。
到着して、ビクセンの人の立会いの下、持参のアイピースを BT81S-A に差し込み、具合
を確認しました、旧 LV20、LV9 は BT81S-A への挿入が簡単ですが、ビクセン PL40、笠井ト
レーディングさんの SWA20 は下側がけられました。UW9、UW6、ミード SP、セレストロン PL
はとても差し込み難い。理由を尋ねたら、「アイピース交換可の対空双眼鏡は、双眼鏡側の
両方の光軸合わせはもちろん、アイピース側の光軸の芯出しも重要で BT81S-A のアイピー
ス差込口はキチキチにわざと作っています。LV アイピースは挿入口のテーバが大きいので
差し込みやすく精度が高く、LV との組合せを奨励します。
」とのことでした。NLV20 を付け
て覗いたところ、像の抜けも良くすっかり気に入りました。
また、持参のビデオ 三脚 は一番下の足がしなり使えるか微妙です。この時点では「他
にカメラ三脚のごついのがあるから、ビデオ雲台買ってつければいいや。ビデオ雲台で 2
万円プラス。」と考えていました。
家に帰って、ネットを見ると、丁度、ある店のホームページで旧 LV9 と LV20 が各 5000
円ちょいで販売されていましたので、早速注文しました。手持ちのアイピースと同じアイ
ピースを買い足すのは不思議な気分ですが、なにしろ対空双眼鏡ですから。アイピースが
到着しお金を払い、対空双眼鏡のオーナーになる実感が沸いてきました。
3 月 19 日月曜日、価格大調査の末、BT81S-A を最安値の Y カメラにネット注文しました。
せっかちに在庫のありなしをビクセンへ問い合わせたりしましたが、3 月 24 日土曜日、無
事到着しました。
27
3.ビクセン HF2 経緯台、汎用プレート、スカイポッド三脚購入
3 月 24 日土曜日は、丁度満月で BT81S-A を試しました。LV20 は裸眼でも OK ですが、LV9
は、光軸は合っているものの左右の目の度数の違い乱視が強調されるようです。メガネを
掛けて覗くと問題なく、アイレリーフの長い LV を見口のゴムを折り返し使うが正解です。
高倍率で光軸があうかばかり気にしていましたが、私の目の方に問題があったとは思いも
しませんでした。50 倍になると容易に対象物が視界に入らなく、ファインダーは必要です。
SE120Sf のファインダーを使いました。
ところが、なんとしたことか、ビデオ三脚に載せると雲台が鏡筒の重さに耐えきれなく
てお辞儀します。アイピースに LV20 を用いて 20 倍ではティルト固定ネジで止まりますが、
LV9 を用いて高倍率 53 倍では、ずるずるずるずると月が移動します。いくらティルト固定
ネジをきつく締め付けてもダメでした。月を観望しつつ、ツキに見放された気分です。
得意の瞑想状態に入りました。ビデオ雲台は動きが滑らかさ、使い良さが捨てがたく、
一回り大きいビデオ三脚はどうだろう、手持ちのカメラ三脚に大型のビデオ雲台等も考え
られ、はたまた正統派でビクセンのポルタ経緯台に L 型アタッチメントを付けるか、悩ま
しい限りです。
3 月 31 日土曜日、専門店を回り訊くが一番と秋葉原へ出かけました。先ず、Y カメラで、
ビデオ雲台の実機を試しました。どれも締め付けた状態でパーン棒に力を入れて押すと動
きますが、外国製の G 社の雲台は動きません。これで落着と思いました。
それから望遠鏡の専門店回り、最初に K 店に行きました。店員さんは「対空双眼鏡は、
斜めに傾けた状態で使うのでビデオカメラ雲台は勧められません。G 社のビデオ雲台でも
45 度以上傾けた状態では、
(ネジで締め付けているだけですから)始めよくても他のメーカ
ーさんと一緒で次第に止まらなくなります。純正 HF2 経緯台がお勧めです。せめてポルタ
に L 型アダプターですね。」とのことでした。
S1 店では、「45 度以上傾けた状態では、ビデオ雲台は厳しいですよ。長い筒は傾けた状
態でバランス取ると意外と大丈夫なんですけれど。短いと動きますね。特に対空双眼は厳
しいです。眼視で流して見るのは、純正経緯台ですね。重心と支点が一致しますからフリ
ーストップで流し見できす。ポルタに L 型アダプターは、重量的に厳しいかも。」
S2 社では、「純正経緯台ですね。宮内光学 100 ミリは、ポルタに双眼鏡用アダプターで
は使い難いと言われたお客さんがいました。純正経緯台が使いやすいですね。」
S3 社では「ビデオ雲台は 45 度以上で重いものの静止は厳しいですよ。耐加重倍の雲台で
止まるかな?デジスコ撮影では、G 社雲台が定番になりつつあります。でも観察用は動きが
スムーズで追従性よく L 社が人気あり、どちらを選ぶか悩ましい。二つとも持っている人
も多くいます。ポルタに双眼鏡用アダプターだと、BT81S-A は重くて厳しいかも。専用経緯
台ですね。」とのことでした。
次の 4 月 1 日、日曜日、S4 社にも訊かなければと電話したところ、同様の御回答で、ビ
クセン HF2 経緯台+汎用プレート+スカイポッド三脚を勧められ、観念して購入しました。
4 月 6 日届き、BT81S-A を載せて試したところ、フリーストップでピタッと止まり、めでた
しめでたし。物理で習ったモーメントと加重で考えれば当然のことですが、なかなか気付
かないものです。
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つまり、HF2 専用経緯台もポルタ経緯台も支点と鏡筒の重心が一致し、それを中心に回転
します。横持ちのポルタより、完全に支点と重心が一致する F2 経緯台が有利です。対して
雲台は支点に対し鏡筒の重心が上にあります。よって、傾けると支点に対し重心がずれる
ことによって、動こうとする力であるモーメントが生じる。これは日周運動の追尾に赤道
儀が何故有効かと同義です。しかも、ビデオ雲台は 45 度以上では大きなモーメントを生じ
る。対空双眼鏡と異なり、ビデオカメラは天頂を向けることはまずなく、いつも超望遠な
んて、ありえない。ずるずるを止めるのは、平板にティルト固定ネジを押し付けて摩擦で
止めるだけで、噛み合わせではありません。ビデオ雲台は別用途のものでした。スムーズ
なフリーストップは専用経緯台以外にありませんでした。
4.ケース
序に、ケースにも悩み瞑想しました。トラスコ中山のスーパーハードケース 620 をホー
ムセンターV 社の通販で買いました。下の写真に示すように、測ったようにピッタシです(サ
イズを照らし合わせ大検討したので、測ったも同然ですが。)
次いで、ビクセン Web ショップで 6×30 ファインダーも買い揃え、対空双眼鏡購入も一
件落着しました。SE120Sf のファインダーと同じかなと思ったのですが、高いだけあり、作
りは良いです。
今回もあれこれジタバタしましたが、結果的に良かったかもと思います。双眼で見ると
満月が裏像の、のっぺりした円でなく、立体感ある球体で見えます。大したものです。只
今、アイピースは LV20 と LV9 ですが、もう少し広角と LV20 と LV9 の間を埋めるものを考
えようかと思っています。広角はビクセンの PL40、ミードの SP32 でけられないの相性の良
い旧 LV がでないか、ネットでチェックします。2 個必要なところが何とも困ったところで
すが。
赤道儀、天体改造カメラ等々欲しいものはたくさんあり、瞑想は終わりそうにないです。
望遠鏡とカメラに囲まれると幸せです。瞑想が妄想になると厄介なので気をつけます。
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イベント報告
イベント報告
山内
拓
2012 年池袋のサンシャインシティ宇宙展および特別講演に行きました。
04/28(土)∼05/06(日)
開催時間 11:00∼18:00
開催場所 文化会館展示ホール C
JAXA によるロケットおよび「はやぶさ」模
型他の展示および種子島の物産展が行われま
した。初日と最終日の JAXA 特別講演を無料で
聴講しました。今年の連休は、おかげさまで
大充実でした。左は、スタンプリレーの景品
で頂いたシールの複写です。また、以下の講
演報告内は頂いた着席整理券の複写です
4 月 28 日
前日、読売新聞に挟まっていた宇宙展のチラシを偶然、見つけました。特別講演 200 名限定・
無料、あの有名なはやぶさの川口教授の無料講演、200 名は狭き門かも、何かのご縁とダメ元で
行くことにしました。
10:45 分サンシャインシティ着、11:00 からのオープニングセレモニーは後半、ゴダイゴのタケ
カワユキヒデさんのミニコンサートでした。「銀河鉄道 999」「ガンダーラ」および「モンキーマ
ジック」を生で聴きました。大学受験の時、受験勉強の合間「西遊記」見ていたことを思い出し
ました。銀河鉄道 999 もよく見ました。
セレモニー後、貰った着席整理券は、以下「63 番」でした。講演会場は定員 500 名程で、整理
券なしでも聴講可能でした。でも、前の席で間近で川口先生の講義が聴けたので大満足です。
特別講演1
「はやぶさ」そして太陽系大航海時代と深宇宙港
「はやぶさ」プロジェクトマネージャー川口淳一郎教授
13:00∼15:00
「はやぶさ」のことよりも、将来来る宇
宙旅行と宇宙開発のお話でした。海外旅
行のように、宇宙旅行にいける時代が来
る?私、今 50 を突破、うーん寂しい。
でもでも「はやぶさ」講演を相当数、
話されたとのことで、お話興味深く、あ
っという間の 2 時間でした。宇宙旅行の
時代は必ずやって来るのです。長生きし
たい!
宇宙旅行の前に、現実的な海外旅行を考えると、海外へ行ったのは日産で新車買ったカナダ
優待旅行(58,000 円:一人同伴は倍額)が最後で 13 年も前になります。家族に留守番して貰
い、私一人で行きました。その後チャンスなく、今、子供が高2と中2で今後かかる学費を思
えば、皆既日食へ行くのも後ろめたい。皆既日食優待旅行はないでしょうか?ケアンズ 10 万円
以下希望!宇宙の前に皆既日食に見たい。やれやれ、歳を取ると愚痴が多くなってしまいます。
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イベント報告
5月6日
28 日と同じ時間に着いたら、今度は 40 番でした。サンシャインシティをうろうろし講演開始
時間を待ちました。
特別講演2
「はやぶさ」を育んだ文化―ペンシルから始まった宇宙への朝鮮―
的川泰宣 JAXA 名誉教授
13:00∼15:00
的川先生の恩師である糸川先生のお
話でした。糸川先生の功績と人生は日本
のロケット開発および宇宙事業の歴史
そのものです。戦前、糸川先生は加藤隼
航空隊で有名な軍機「隼」の設計にかか
わられたとのことで、戦後はロケット開
発に転身されました。先生の心情は「思
い立ったらやる。努力はおしまない。決
して諦めない。」とのことでした。
かりゆし姿の的川先生は、糸川先生のロケット開発に対する直向さと種子島にロケット発射
場ができた経緯を話されました。
合間に「糸川先生は“諦めない”というよりは“とんでもなく諦めが悪い”人だった。アマ
チュアのチェロ奏者で、外国でも弾くために、人間と同じくらいかかる飛行機の運搬費用を節
約するため、機内持ち込み可能の箱型分解組み立てチェロを設計製作され、持って行かれた。
先生にとってロケットも同じ、とんでもなく諦めが悪い人だった。“思いたったらやる。”に関
しては、60 歳過ぎてから「バレーを始めたので発表会の切符を配る。」と我々教え子に言われ、
球技のバレー?と思ったら、レオタードのバレエだった。先生のレオタード姿、正直見たくな
い・・・。」等々、楽しいお話で瞬く間に時間が過ぎました。
その後、タウンミーティングで先生への質問の時間があり、
私も「はやぶさの推進力はプラズマ化したキセノンとのことですが、スパッタリングの様に
電界加速ですか。それともキセノン自体の核崩壊を利用したものなのでしょうか。すいません、
もう一つ北朝鮮のミサイルですが燃料ヒドラジンとのことですが、通常、宇宙ロケットは液体
酸素と液体水素が燃料と思いますが、何故ヒドラジンを使ったのですか?」と質問したところ、
先生は私の方を向かれ「プラズマ化したキセノンを原子力電池よりのマイクロ派によるマイ
ナス電場で加速する。キセノン自体の核崩壊を利用するものではない。この方法は電極を使わ
ないため、故障が少なく宇宙空間で有利である。燃料にヒドラジンを使うことは、旧ソ連およ
び中国の技術で、中国から伝わっているとしたらの憶測であり、北朝鮮が使っている証拠はな
い。燃料液体酸素・水素は米国中心の技術で北朝鮮は入手が困難、よってヒドラジンの名が挙が
った。」と答えてくださいました。第一人者の先生に、丁寧に答えていただき大感激でした。
(尚、私の理解力不足のため、先生のお答えを正しく伝えることができていなければ、大変
申し訳ございません。)
JAXAのイベント大変素晴らしく、大満足の 2 日間でした。
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編集後記
小江戸の星第 67 号は、金環日食(5 月 21 日)および金星日面通過(6 月 6 日)の特集号
です。今年は、最も身近な恒星である太陽の当たり年です。しかも 5 月 21 日金環日食、6
月 6 日金星日面通過と天文現象が連続し、特に金環日食は全国的に盛り上がりました。
表紙写真は中村さんの「金環日食」です。金環日食の経過が一目でわかる作品です。66
号の「皆既日食」に続き、掲載して頂きました。
次いで、「【天体ギャラリー】金環日食」中島さん、月の山脈からもれ出た光によるベイ
リーベーズを収められています。貴重で素晴らしい作品です。「金環日食観察記」堅木さん
「金環日食ほか」大塚さん、「金環食・日高市の場合」「金星の日面通過・帯広市の場合」
谷川さん、皆さんそれぞれ場所を選んでの観測ですが、谷川さんの「金星の日面通過・帯
広市の場合」は、関東の梅雨を避けて、梅雨のない御実家の帯広市に行かれての撮影です。
次いで、「金環日食・金星日面通過」山内と続きます。
記事に書いたように、私(山内)は、金環日食および太陽日面通過ともに三芳町(みず
ほ台)の自宅ベランダで観測しました。5 月 21 日の金環日食は、天気予報では直前まで関
東は曇りでしたが当日晴れて、Hα太陽望遠鏡に EOS50D、および望遠レンズにアストロソー
ラシートつけて初期型 EOS キスデジタルで存分に撮りました。6 月 6 日の金星日面通過はあ
いにくの雨模様でしたが、日面通過の最後近く正午過ぎになって、雲の合間からの光球が
見え、レンズを通し実視で金星を認めることができました。太陽面に諦めていた金星を見
つけた時は嬉しくなりました。
次いで、私が書いた前号の続編の“恒星の核融合反応(その2)”また、対空双眼鏡導入
記(ビクセン BT81S-A)、イベント報告(サンシャインシテイ宇宙展、特別講演)を掲載しま
した。目を通していただけたら幸いです。
会員の皆様の投稿お持ちしています。常時募集していますので、奮って御寄稿願います。
原稿は基本ワードで、文字体は、明朝体、文字サイズ10.5、最後のページは空き(白地)
を少なくした構成で、私宛メール願います。まだ書かれたことのない方、最近、ご無沙汰
の方、大歓迎ですので、ご寄稿宜しくお願いします。記事は、天体ギャラリー、観望紀行、
新機種導入、機材紹介、創意工夫したこと、天体写真撮影および画像処理に関すること、
その他イベント報告など自由です。宜しくお願いします。
2012 年 7 月 8 日
会報係
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山内