ウグイの採卵実習

ウグイの採卵実習
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対象学年
2・3年
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実習場所
ガラス温室
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実習月日
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実習目標
・ウグイの養殖方法を知り、繁殖技術を修得する。
・前年度の採卵方法と比較し、本年度の改善点を見い出
し、ふ化率を向上させる。
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準備するもの
・ウグイの親魚(雄、雌)・ボール・鶏の羽根・バット
・タオル・ふ化盆・ふ化水槽・精密はかり・ノギス
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実習内容
1)ウグイの特性、養殖の説明をする。
2)前年度行った受精方法と結果について説明。
3)全員で、親魚選別→採卵→採精→受精→給水→水洗
い、収容までの実際を行う。
4)作業の途中で実施している仕事を交換し、全員に同
じ作業を体験させる。
5)今日の作業についての反省。
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注意
・ウグイ親魚の熟度鑑別や、雄と雌の区別を教える。
・受精方法は乾導法で行うので、受精する前の卵(未受
精卵)には、直射日光や水を当てないようにする。
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ウグイについて
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ウグイの一般的な特性
(1)分類
コイ科
ウグイ亜科
ウグイ属
ウグイ
エゾウグイ
マルタウグイ
別名
関東
ハエ
ハヤ
アイソ
クキ
東北
アカハラ
(2)分布
ウグイの分布は広く、北海道、本州、四国、九州の湖、池、沼や川の中
流域から下流域にかけて生息している。特に他の魚では生息することがで
きない酸性の強い、恐山周辺の湖沼や田沢湖にも住むことができる適応性
の強い魚である。
また汽水域から海水域に分布する仲間は、別種のマルタウグイが多い。
(3)食性
ウグイは雑食性であるので、どのようなものでも食べている。しかし、
動物質をやや好む。空中から落下する昆虫、植物の芽、甲殻類や水中の昆
虫、ケイソウ類、エビ、貝類、小魚などなんでも食べる。
(4)生活様式
天然のウグイは初春の頃から活動を始め上流域に移動する。春と夏は水
深の浅い所に生息し、群れまたは単独で回遊しながら水生昆虫や付着藻類
を と り な が ら 成 長 す る 。 そ し て 10 月 上 旬 か ら 11 月 に な る と ( 水 温 13℃
以下)下流域に移動し、水深の深い所にいき、越冬する。
(5)産卵
自 然 界 で の 産 卵 は 、 水 温 が 13℃ 付 近 に 達 す る 頃 ( 4 月 か ら 5 月 ) で 親 魚
は深い所から流れの速い瀬に移動して水あかのついていない小石の下面に
卵を産みつける。
産卵行動は雌1尾に対して雄数尾で行われ、夜間より昼間に多い。
(6)ふ化に要する日数
水 温 10℃ の 場 合 に は 10 日 間 、 水 温 15℃ の 場 合 に は 6 日 間 程 度 で ふ 化 す
る。
積 算 水 温 で は 100℃ ・ 日 を 要 す る 。
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(7)成長
1 年 で 体 長 8cm、 2 年 で 14cm、 3 年 で 18cm 程 度 に 成 長 す る 。
そして多くのものは2∼3年で成熟産卵するようになる。
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使用する親魚について
(1)人工採卵した稚魚を池で育てれば、雄は満1年、雌は満2年で成熟し産
卵するようになるので、池に人工産卵床(瀬)を作り、成熟させてから親
魚として用いる。
(2)春4月∼5月、瀬付漁業(川)で採捕した、親魚を使用して人工採卵す
る方法。
・短所
1)瀬付漁業の採捕状況で卵の確保が決まる。
2)瀬付にくる年齢によって卵数、卵径が違う。
・長所
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1)人工産卵床を作る必要がない。
ウグイの卵について
ウ グ イ は 魚 体 が 大 き く な る に つ れ 、 卵 数 、 卵 径 が 増 大 す る 。 平 均 17 ㎝ で
孕 卵 数 は 3,500 粒 、 卵 径 は 2mm 位 で 、 卵 の 性 質 は 沈 性 粘 着 卵 で あ る が 粘 着 力
は弱い。
1年魚の卵は1g当たり約
220∼ 250 粒
である。
2年魚の卵は1g当たり約
180∼ 200 粒
卵 重 は 1 粒 当 た り 約 5 ㎎ と な る ( 200 粒 と し て )
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人工採卵の手順
(1)雄と雌の区別
1)2∼4年魚は産卵期(4月∼5月)になると、雌は腹部が大きくなり、
婚姻色も現れる。雄は皮膚がザラザラし、頭部に追星が雌よりも多くで
てくる。
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2)生殖口の形状で見分ける方法が確実である。
雄
雌
・これらの雄と雌の割合を1:2の程度に選別する。
(2)採卵
採卵の方法には切開法と搾出法とがあるが、ウグイは同一個体から、数
年繰り返し採卵出来るので、搾出法が一般的である。
搾出法
・2人で魚をおさえて行う方法
1人が魚をタオルでふき取り、胸鰭基部を両手で軽く保持し、他の
1人が自然に出てくる卵を助ける程度に親指と人差指で軽く絞り出す
方法である。
採卵中の注意
受精率の低下を避けるために採卵中は直射日光は避ける。
(室内で採卵する)
又、未受精卵(精子をかける前の卵)を水に付けると受精能力を失
うので、採卵中は絶対に卵にかからないように注意する必要がある。
(3)採精
採卵と同様で雌の半数の雄から採精する。
(4)受精
採卵した卵をボール等の容器に入れ、あらかじめ採精しておいた精液を
ピペット等で、卵の表面になるべく広く散布し、鳥の羽で静かに敏速に攪
拌する。その後、水を給水し受精させる。
(5)水洗い
ウグイ卵の粘着力をなくすために行う方法である、受精させた卵に水を
加えながら、鳥の羽根で、5分以上かき混ぜ静かに水洗いする。
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ウグイのふ化方法
本校で今までに行ってきたふ化方法。
1升ビンふ化器、塩ビ管ふ化器、水槽形ふ化器
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