ΔΣ型 - AR-Tec

ΔΣADCの動作原理
ΔΣADCの原理的シグナルチャート
差分(Δ)
アナログ入力
積分器(Σ)
fos
量子化器
1bit
デジタル出力
積分器(Σ)
DAC
原理はΣΔ (シグマデルタ)
アナログ入力を積分(Σ)した信号と、
デジタル出力DA変換して積分した信号の差分(Δ)をもとめ
中点電圧と比較して、量子化する
実際の構成はΔΣ (デルタシグマ)
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-1-
ΔΣADCの回路構成
ΔΣADCの基本回路構成
アナログ信号
デジタル信号
実際の構成はΔΣ
アナログ入力とデジタル出力DA変換して積分した信号との差分(Δ)をもとめ
これを積分(Σ)した信号を中点電圧と比較して量子化する
積分器
+
アナログ
入力
∫
-
積分器1個の構成を
1次ΔΣと呼ぶ
量子化器
DAC
必要な回路要素
・ 積分器
・ 量子化器(1bit)
・ DAC(1bit)
デジタル
出力
遅延
回路
→ 回路規模が
小さいことが特徴
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-2-
1ビット量子化
1ビット(コンパレータ1個) → 出力はHigh Lowの2値
入力信号値:大 → Highの割合が多くなる。
入力信号値:小 → lowの割合が多くなる。
アナログ入力信号
デジタル信号出力
電圧振幅
パルス密度
原信号の再現はパルス密度信号の低周波成分を取り出すのみ
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-3-
ΔΣADCの動作波形
入力信号:DC(振幅0.7V)
①積分器出力(量子化器入力)
入力信号
(V)
①積分器出力
(sec)
②量子化器出力
(V)
②量子化器出力
(sec)
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-4-
ΔΣADCの動作波形
入力信号:DC(振幅1.0V)
①積分器出力(量子化器入力)
入力信号
(V)
①積分器出力
(sec)
②量子化器出力
①②ともに+側に振り切れている
(V)
②量子化器出力
(sec)
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-5-
ΔΣADCの動作波形
入力信号:DC(振幅0.3V)
①積分器出力(量子化器入力)
入力信号
(V)
①積分器出力
(sec)
②量子化器出力
(V)
②量子化器出力
(sec)
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-6-
ΔΣADCの動作波形
入力信号:正弦波(振幅1V)
①積分器出力(量子化器入力)
入力信号
(V)
①積分器出力
(sec)
②量子化器出力
(V)
②量子化器出力
(sec)
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-7-
オーバーサンプリング方式
折返し雑音や量子化雑音を低減するために開発された技術
ナイキスト周波数よりも十分に高い周波数でサンプリングする方式
従来のサンプリング
(ナイキストサンプリング)
振幅
オーバーサンプリング
時間
オーバーサンプ
リング比(OSR)
オーバーサンプリング
周波数(fos)
=
=
ナイキストサンプリング
周波数(fs)
オーバーサンプリング
周波数(fos)
2 x 信号帯域
※ 信号帯域=100kHzのときOSR=16とするにはサンプリング周波数=3.2MHz
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-8-
ノイズシェーピング概要
ノイズシェーピングによる量子化雑音の変化
量子化雑音
この雑音成分が
移動する
fos/2
0
周波数
周波数軸で一様分布する量子化雑音を低周波で減少、高周波帯域で上昇
fs/2帯域内の雑音電力の総和は一定で、低周波雑音は高周波に移動する
雑音の分布を都合よく整形する
⇒ ノイズシェーピング と呼ばれる
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-9-
ΔΣADCの伝達関数の導出
1次ΔΣADCの伝達関数
減算器
Vin(z)
+
-
雑音源 E(z)
積分器
Vout(z)
z-1
量子化器
DAC
z −1
(Vin ( z ) − Vout ( z )) + E ( z )
Vout ( z ) =
−1
1− z
Vout ( z ) = z − 1Vin ( z ) + (1 − z − 1 ) E ( z )
信号伝達関数 Signal Transfer Function
STF ( z ) =
Vout ( z )
= z −1
Vin ( z )
入力信号は遅延するのみ
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-10-
ΔΣADCの雑音の周波数特性
Vout( z ) = z −1Vin( z ) + (1 − z −1 ) E ( z )
雑音伝達関数 Noise Transfer Function
Vout ( z )
NTF ( z ) =
= 1 − z -1
E (z)
z − 1 = e − jω T
差分=微分
と置き換えると、
1 − z −1 = 1 − e − j ω T
e jπ fT − e − jπ fT
j 2 e − jπ fT
=
2j
= j 2 sin( π fT ) e − jω T ≈ j 2π fT
≈ 2π fT
量子化雑音
1− z
−1
( f << 1 / T )
低周波領域の雑音が高周波へ移動
(ノイズシェーピング)
技術解説資料 A-R-Tec 2008
周波数
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ΔΣADCの次数の変化
ΔΣADCの次数(k)を増やすと・・・
Vout ( z ) = z − k Vin ( z ) + (1 − z -1 ) k E ( z )
Vout ( z )
-1 k
NTF ( z ) =
= (1 − z )
E (z)
次数kをあげるとノイズシェーピングの効果が増加
k=4
量子化雑音
k=2
k=1
周波数
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-12-
1次ΔΣADCのSNRの理論式
Δ=VLSB
量子化雑音電力:Pe
Δ2 1
πf 2
Pe = ∫ S ( f ) | NTF ( f ) | df =
[2 sin( )] df
∫
12 f os
f os
f os
OSR
=
sin
X
≅
X
fs>>f
2
e
2
1 3
Δ π 2 fb 3 Δ π
Pe ≅ ( ) (
) =(
)(
)
12 3 f os
36 OSR
2
N>6 の時
SNRmax
SNRmax
2
2
2
2 fb
⎛ Ps ⎞
3 2N ⎞
3
⎛
= 10 log⎜⎜ ⎟⎟ = 10 log⎜ 2 ⎟ + 10 log( 2 OSR3 )
π
⎝2
⎠
⎝ Pe ⎠
= 6.02 N + 1.76 − 5.17 + 30 log(OSR)
⎛ Ps ⎞
3 N
3
⎛
2⎞
= 10 log⎜⎜ ⎟⎟ = 10 log⎜ (2 − 1) ⎟ + 10 log( 2 OSR3 )
π
⎝2
⎠
⎝ Pe ⎠
= 20 log(2 N − 1) + 1.76 − 5.17 + 30 log(OSR)
OSRを2倍にするとSNRは9dB改善 ・・・ 傾き:9dB/octave
技術解説資料 A-R-Tec 2008
-13-
1次数ノイズシェーピングの様子
1次のノイズシェーピング(傾き:30dB/decade)
50
量子化雑音
入力信号成分
0
e
d
a
c
e
d
/
B
d
30
-50
[dB]
-100
-150
104
105
106
107
周波数[Hz]
技術解説資料 A-R-Tec 2008
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2次ΔΣADCのSNRの理論式
Δ=VLSB
量子化雑音電力:Pe
Δ2 1
πf 2
Pe = ∫ S ( f ) | NTF ( f ) | df =
[2 sin( )] df
∫
12 f os
f os
f
sin X ≅ X
fs>>f
OSR= os
2
e
2
Δπ
1 5
Pe ≅ (
)(
)
60 OSR
2
4
N>6 の時 SNRmax
2 fb
⎛ Ps ⎞
5
3 2N ⎞
⎛
= 10 log⎜⎜ ⎟⎟ = 10 log⎜ 2 ⎟ + 10 log( 4 OSR 5 )
π
⎝2
⎠
⎝ Pe ⎠
= 6.02 N + 1.76 − 12.9 + 50 log(OSR )
SNRmax
⎛ Ps ⎞
5
⎛3
⎞
= 10 log⎜⎜ ⎟⎟ = 10 log⎜ (2 N − 1) 2 ⎟ + 10 log( 4 OSR 5 )
π
⎝2
⎠
⎝ Pe ⎠
= 20 log(2 N − 1) + 1.76 − 12.9 + 50 log(OSR)
OSRを2倍にするとSNRは15dB改善 ・・・傾き:15dB/octave
技術解説資料 A-R-Tec 2008
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2次ノイズシェーピングの様子
2次のノイズシェーピング(傾き: 50dB/decade)
50
量子化雑音
入力信号成分
0
50
e
d
/
B
d
de
a
c
-50
[dB]
-100
-150
104
105
106
107
周波数[Hz]
技術解説資料 A-R-Tec 2008
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