全編 - 豊後高田市

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千年のロマンと自然が奏でる
交流と文化のまち。
豊後高田市
総合計画
改訂版
大分県 豊後高田市
市の花『コスモス』
URL : http://www.city.bungotakada.oita.jp/
ごあいさつ
豊後高田市では、このたび、策定から5年を迎えた「総合計画」を全面的に
見直し、地域の活力を維持するため「人口3万人」という新たな目標に掲げた
改訂版を策定いたしました。
これまでの総合計画は、平成 17 年の市町合併直後に策定したことから「ケー
ブルテレビ」や「消防庁舎」及び「火葬場」の整備など、新市としての基盤整
備に重点を置いていましたが、これらの主要事業が一段落したこと、また、将
来にわたって地域の活力を維持するためには、どうしても定住人口の増加が必
須であることから、総合計画の後半期間は、企業誘致や地域の活性化などによ
り成長した本市の現状を活かし、より直接的に人口増に結びつく取り組みを最
重点課題として展開する方向で見直しを行うものです。
具体的には、若者世代のニーズにあった優良宅地整備や賃貸住宅の供給など
の「住環境整備の推進」、独身者に結婚への関心を持ってもらうための「婚活
事業の推進」、市民のみなさんに健康で幸せに長生きをしていただくための「健
康なまちづくりの推進」、安心して子どもを産み育てていただくための「子育
て支援の更なる充実」、そして、新図書館・新庁舎建設、庁舎跡地活用等の「都
市的機能の更なる充実」など、「住んでみたい、夢の持てるまちづくり」に取
り組んで参ります。
今後、
「人口3万人」という大きな目標を達成する為には、市民の皆様を始め、
市議会、行政の3者がお互いに協力し合い相乗効果を発揮させることが必要不
可欠でありますので、皆様のより一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。
最後に、本改訂版の策定にあたり、貴重なご意見ご提案をいただきました多
くの市民の皆様方をはじめ、総合開発審議会委員並びに市議会議員各位に厚く
お礼申し上げますとともに、一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
平成 24 年3月
豊後高田市長 永 松 博 文
豊後高田市総合計画(改訂版)
目 次
第1部 序 論
第1章 総合計画の改定にあたって
3
1 計画改定の主旨
3
2 目標年次と構成
3
第2章 豊後高田市のすがた
4
1 位置及び地勢
4
2 歴史、沿革
4
3 人口・世帯数の推移
5
4 産業の推移
7
第3章 市民意向調査
11
1 調査目的
11
2 実施概要
11
3 調査結果
12
第4章 振興方針 ~人口3万人を目指して~
16
1 定住人口の確保
16
2 交流人口の拡大
17
第2部 基 本 構 想
第1章 まちづくりの基本理念と将来都市像
21
1 基本理念
21
2 将来都市像
22
第2章 目標人口と土地利用の方針
23
1 目標人口
23
2 土地利用の方針
24
第3章 まちづくりの基本目標
26
1 安心して暮らせるふるさとづくり
27
2 キラリと光るまちづくり
28
3 あす(将来)を担うひとづくり
29
4 ふるさとを興す産業づくり
30
第4章 施策の大綱
31
1 安心して暮らせるふるさとづくり
31
2 キラリと光るまちづくり
36
3 あす(将来)を担うひとづくり
41
4 ふるさとを興す産業づくり
45
第5章 重点戦略プロジェクト
52
1 健康なまちづくり推進プロジェクト
52
2 定住対策推進プロジェクト
53
3 教育のまちづくり推進プロジェクト
54
4 千年ロマン観光推進プロジェクト
55
5 まちなか魅力向上推進プロジェクト
56
総合計画(改訂版)の全体像
57
第3部 基 本 計 画
第1章 安心して暮らせるふるさとづくり
61
1 市民が主体の地域づくり
61
2 人にやさしい福祉の推進
69
3 保健・医療の充実
74
4 安全で安心して暮らせる基盤づくり
78
5 生活環境の整備
85
第2章 キラリと光るまちづくり
90
1 交通ネットワークの整備
90
2 ICTを活用したまちづくり
93
3 「住んでみたい」まちづくり
95
4 人と自然の共生
102
5 行政機能の向上
107
第3章 あす(将来)を担うひとづくり
111
1 夢を描き、実現できる子どもの育成
111
2 子育てにやさしいまちづくり
120
3 生涯学習の推進
124
4 地域とともに歩む教育
128
5 歴史的文化遺産の活用と芸術文化活動の充実
130
6 スポーツ・レクリエーションの振興
133
第4章 ふるさとを興す産業づくり
135
1 地域資源を活かしたふれあい観光の振興
135
2 農業の振興
143
3 林業の振興
148
4 水産業の振興
152
5 地域特性を活かした農林水産業の振興
155
6 工業の振興
160
7 商業の振興
163
第1部 序論
序 論
第1章 総合計画の改訂にあたって
1 計画改訂の主旨
平成 17 年3月 31 日に豊後高田市、真玉町及び香々地町の1市2町の合併により、現
在の豊後高田市が誕生しました。
本市では、旧市町の一体化の促進と地域の均衡ある発展及び住民福祉の向上を図ること
を目的として、平成 18 年 9 月に合併後における新たな市政運営の目標とその実現に向け
た方策を明確化した「豊後高田市総合計画」を策定しました。この総合計画では平成 27
年度までの 10 年間を計画期間とし、「千年のロマンと自然が奏でる交流と文化のまち」を
将来の都市像と定め、さまざまな施策を展開してきました。
これまでの5年間を振り返ると、合併当初に掲げた目標と実現に向けた施策の中には目
標を達成し、実現に至ったものも数多くあります。しかし、本市を取り巻く環境は人口減
少や少子高齢化のさらなる進行、国から地方への地方分権の流れの加速、雇用をはじめと
する経済情勢の悪化など予想以上に大きく変化しています。そのため、新たな課題や問題
点も生じ始めており、基本的な施策や重点戦略プロジェクトの見直しが求められるように
なっています。
以上を踏まえ、時代の変化とそれに伴う新たな課題などに対応し、本市の将来都市像で
ある「千年のロマンと自然が奏でる交流と文化のまち」への取り組みをより一層進めるた
め、「豊後高田市総合計画」を見直しました。
2 目標年次と構成
この計画は、平成 18 年 9 月に策定した「豊後高田市総合計画」を引き継いでいます。
そのため、平成 23 年度から平成 27 年度までの5年間を実施期間とします。計画は、「基
本構想」「基本計画」の2部門から構成され、それぞれの役割は次のとおりです。
●基本構想
時代の潮流や本市を取り巻く環境の変化、それに伴う諸課題を踏まえ、これまでの総合
計画のまちづくりの理念や都市の将来像を活かしながら基本目標を提示し、その実現に向
けた施策体系と重点戦略プロジェクトを示します。
●基本計画
基本構想で描いた将来像と、その実現に向けた施策の体系に沿って各分野で取り組む主
要な施策を示します。
3
第2章 豊後高田市のすがた
第2章 豊後高田市のすがた
1 位置及び地勢
本市は、大分県の北東部、国東半島の西側、東経 131°26’、北緯 33°33’に位置
し、東西 17.1km、南北 23.2km に広がる総面積 206.6k ㎡を有しています。東は国東市、
西は宇佐市、南は杵築市、北は周防灘に面しており、温暖で降雨量の少ない瀬戸内海気候
に属し、年間の平均気温は 15.8℃、平均降雨量は 1,316mm と温暖で過ごしやすく、農
作物の栽培にも適した環境に恵まれています。
東部から南部にかけては、ハジカミ山、尻付山、両子山や日本三叡山に数えられる西叡
山等の山々が連なり、国東半島のほぼ中央の両子山から放射線状に谷や峰々が伸びた地形
となっており、その谷間に耕地や集落が形成されています。また、瀬戸内海国立公園及び
国東半島県立自然公園を擁し、山間部及び海岸部の自然景観や農村集落景観、六郷満山ゆ
かりの史跡等、豊かな自然と歴史文化などの地域資源が豊富です。
2 歴史、沿革
当地域は、奈良時代末から宇佐八幡の影響を強く受けており、平安時代には宇佐八幡の
荘園として、その経済力を背景に独特の山岳仏教文化「六郷満山文化」を開花させました。
また、当時は海路交通により関西方面との交流が盛んであったため、都の文化影響を直接
受けたものと考えられます。
また、鎌倉時代から戦国時代まで国東半島地域の武士団の瀬戸内海への根拠地として、
さらに明治以降においては関門地域への内海航路の拠点となるなど、歴史的には西瀬戸地
域の交流の結節点の役割を果たしてきました。
その後、昭和にかけて市町村合併により、昭和 29 年に豊後高田市、真玉町、香々地町
の1市2町が誕生しました。その後の高度経済成長に伴う我が国の産業構造の変化により、
都市部への人口流出や過疎化、高齢化が進行し、さらに、地方分権等の新たな時代の変化
への対応が求められるようになりました。
この新しい時代の変化に適応するため、平成 17 年 3 月 31 日に1市2町が合併し、現
在の「豊後高田市」が発足しました。
新市においては、中心市街地活性化基本計画の策定や、大分北部中核工業団地への企業
誘致など、あらゆる地域資源を結合し地域力を高め、市民と行政との協働によるまちづく
りに取り組み、現在に至っています。
4
序 論
3 人口・世帯数の推移
本市の人口は、平成 24 年 1 月末現在で 24,251 人、世帯数は 10,423 世帯(住民基
本台帳、外国人を含む)となっています。
(1) 人口
本市の人口は一貫して減少傾向にあり、人口減少に伴う過疎化と少子化、高齢化が加速
しています。
国勢調査によると、本市の総人口は昭和 30 年の 47,324 人をピークに、その後一貫
して減少傾向にあり、平成 22 年には 23,906 人となりました。特に、昭和 60 年から
は老年人口(65 歳以上)が年少人口(0 ~ 14 歳)を上回り、本市における高齢化率は
34.7%と、全国、大分県平均と比較して早いペースで進んでいます。一方、年少人口は、
昭和 60 年と比較すると、51.3%減少し、平成 22 年には 2,654 人となっています。
3区分年齢別人口の推移
(単位:人)
15歳未満人口
15~64歳人口
65歳以上人口
40,000
29,812
30,000
5,843
28,798
6,487
27,337
26,206
7,348
7,986
20,000
18,515
17,469
15,998
10,000
25,114
8,269
23,906
8,271
14,695
13,709
12,944
5,454
4,842
3,991
3,525
3,136
2,654
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
0
資料:総務省「国勢調査報告」
(2) 世帯数
また、世帯数をみると平成 22 年の世帯数は 9,665 世帯、世帯あたり人員は 2.47 人
と緩やかながらも減少傾向にあります。
昭和 60 年と比較すると、世帯数はわずかに増加していますが、世帯あたり人員は、核
家族化の進展等から減少が続いています。
5
第2章 豊後高田市のすがた
世帯数と世帯あたり人員の推移
総世帯数
(単位:世帯)
総世帯数
世帯あたり人員
20,000
世帯あたり人員
(単位:人/世帯)
5.00
4.00
15,000
3.10
3.03
2.86
2.73
2.59
2.47
3.00
10,000
2.00
5,000
9,631
9,520
9,559
9,585
9,694
9,665
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
1.00
0.00
0
資料:総務省「国勢調査報告」
(3) 就業人口及び構成比
総人口の減少に伴い就業人口も減少傾向で、平成 17 年の就業人口は 11,732 人と昭和
60 年と比較して約 20.4%(3,014 人)減少しています。
産業別にその構成比をみると、第一次産業が全体の 18.3%、第二次産業が 27.9%、第
三次産業が 53.6%となっています。
産業別就業人口及び構成比の推移
就業者数
(単位:人)
15,000
第1次産業
14,746
6,239
(42.3)
10,000
3,549
(24.1)
5,000
4,940
(33.5)
第2次産業
14,074
13,367
6,078
(43.2)
6,276
(47.0)
4,028
(28.6)
3,979
(29.8)
12,429
6,254
(50.3)
3,722
(29.9)
11,732
6,292
(53.6)
3,278
(27.9)
3,962
(28.2)
3,111
(23.3)
2,453
(19.7)
2,145
(18.3)
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
0
昭和60年
第3次産業
括弧内は構成比(単位:%)
資料:総務省「国勢調査報告」
※平成22年結果は平成24年4月以降公表予定
6
序 論
4 産業の推移
(1) 産業活動別総生産
平成 20 年度の産業活動総生産額は約 723 億円で、大分県(約 44,724 億円)の約 1.6%
を占めています。
この内訳を産業活動別にみると、第一次産業が約 52 億円(当市全体の約 7.2%)、第二
次産業が約 202 億円(28.0%)、第三次産業が約 476 億円(65.8%)となっています。
産業活動別市内総生産(市町村民所得)
市内総生産(実額)
同左(構成比)
大分県(平成20年度)
平成10年度 平成15年度 平成20年度 平成10年度 平成15年度 平成20年度
農 業
7,161
5,406
4,749
9.4
7.5
実額
6.6
構成比
72,298
7.5
林 業
192
163
177
0.3
0.2
0.2
9,431
0.2
水産業
631
322
258
0.8
0.4
0.4
16,232
0.4
第1次産業計
7,984
5,891
5,184
10.4
8.2
7.2
97,961
8.2
鉱 業
165
0
0
0.2
0.0
0.0
15,399
0.0
製造業
8,340
10,229
12,956
10.9
14.2
17.9 1,081,503
14.2
建設業
12,899
8,590
7,278
16.8
11.9
10.1
224,646
11.9
第2次産業計
21,404
18,819
20,234
28.0
26.0
28.0 1,321,548
26.0
357
392
334
0.5
0.5
0.5
145,470
0.5
6,056
5,944
4,713
7.9
8.2
6.5
392,182
8.2
電 気・ガ ス・水道業
卸 売・小売業
金 融・保険業
2,855
2,872
2,434
3.7
4.0
3.4
174,019
4.0
不動産業
8,042
8,206
9,364
10.5
11.4
13.0
481,334
11.4
5.0
5,373
5,277
3,637
7.0
7.3
264,565
7.3
サービス業
運 輸・通信業
10,867
12,065
14,111
14.2
16.7
19.5 1,003,709
16.7
政府サービス
13,155
12,148
10,767
17.2
16.8
14.9
525,624
16.8
2,080
2,081
2,237
2.7
2.9
3.1
113,455
2.9
48,787
48,983
47,599
63.7
67.8
65.8 3,100,358
67.8
1,607
1,420
711
2.1
2.0
対家計民間非営利サービス
第3次産業計
(控除)帰属利子等
1.0
47,491
2.0
総 額
76,567
72,273
72,306
100.0
100.0
100.0 4,472,375
100.0
(注)帰属利子等:帰属利子+総資本形成に係る消費税− 輸入品に課される税 (実額、単位:百万円)
資料:大分県「大分の市町村民経済計算」
(2) 主要産業の動向
①第一次産業
本市の基幹産業の1つに農業が上げられます。平成 18 年の農業産出額は約 89 億円で、
大分県 18 市町村で7番目となっています。
算出額の内訳をみると、畜産が 37.6%と最も多く、次いで、野菜(35.4%)、米(12.1%)
の順に多くなっています。肥沃な土壌を活かした広大な耕地や沿岸部を埋め立てた西国東
干拓地で盛んに栽培されている白ネギや花き、ミカン等の果実、タバコ等の工芸農作物も
後背地で栽培されています。なかでも、白ネギの生産量は西日本一を誇っています。
しかし、総農家数と農家人口は、農業従事者の高齢化や後継者不足からいずれも減少傾
向にあり、担い手不足や耕作放棄地の増加など深刻な諸問題が生じてきています。
7
第2章 豊後高田市のすがた
また、本市の林野面積は 11,757ha と総面積の5割強を占めています。そのほとんど
が民有林で、スギやヒノキ等の人工林のほか、椎茸を中心とする特用林産物が生産されて
います。
林業は、国土の保全や水源のかん養、二酸化炭素の吸収源として、また、中山間地域の
集落維持の面からも重要な産業です。
さらに、周防灘に面した本市の海岸線では、多岐にわたる漁業が展開されています。浅
海地域では採貝等の干潟漁業が営まれ、リアス式海岸地域では刺し網や小型定置網などの
漁船漁業、沖合では小型底引き網などが行われており、沿岸漁業をはじめとする水産業は
地域経済を支える重要な役割を果たしています。また、この地域特産魚介類や自然環境を
活かしてさまざまなツーリズムが展開されております。
種類別農業産出額の構成比
農業産出額 畜産
農業産出額(億円)
88.5
野菜
33.3
果実 工芸農作物 花き 加工農産物 その他
米
31.3
10.7
4.5
3.7
2.4
0.5
2.2
構成比(%)
100.0 37.6 35.4 12.1
5.1
資料:九州農政局大分事務所「平成 18 年生産農業所得統計」
4.2
2.7
0.6
2.5
農家数と農家人口、経営耕地面積の推移
総農家数
(戸)
農家人口
(人)
30,000
総農家数
経営耕地面積
経営耕地面積
(ha)
5,000
農家人口
25,000
3,443
4,000
3,224
20,000
2,906
16,224
2,356
13,437
15,000
3,000
2,646
2,240
11,101
5,000
2,000
9,536
10,000
7,401
4,692
3,859
3,266
2,790
4,004
2,443
1,000
2,066
0
0
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
資料:九州農政局大分農政事務所「大分農林水産統計年報」
②第二次産業
本市の市町村別総生産の約3割を占める第二次産業は、製造業が中心となっています。
本市においては、県北テクノポリスの地域指定や本市で相次いだ工業団地の造成、好調な
景況等に支えられて比較的大規模な企業進出が見られてきました。 平成 21 年の製造品出荷額等は 308 億円で、業種別でみると、ゴム製品が全体の
28.7%と最も多く、次いで、食料品が 25.4%、プラスチックが 20.5%となっています。
8
序 論
当市の製造業は、自動車関連企業を中心に、ゴム製品やプラスチック、食料品など、もの
づくり地域への変貌を遂げつつあります。
本市には、
「大分北部中核工業団地」「美和工業団地」「城ノ下工業団地」「大村工業団地」
などの工業団地があります。企業誘致の実現により、雇用の場の拡大や UJI ターン者の就
業の場の確保による若者の定住、誘致企業と地場企業との連携による地域産業基盤の底上
げが期待されます。
工業の推移
事業所(所)
従業者数(百人)
250
事業所数(所)
製造品出荷額等(億円)
従業者数(百人)
製造品出荷額等
(億円)
500
428 432 418
200
400
348
283 283 285
150
255 253
273
240
100
233 221
219
319 324 308
300
243 240 249
184
76 74 78 77 77 73 74
67 68 72 68 67 64 62 62
56 56 51 52 54 53
50
200
100
16
18
21
18
21
20
19
18
18
18
16
17
16
16
18
18
18
21
21
20
20
-
0
H1
H3
H5
H7
H9
H11
H13
H15
H17
H19
H21
資料:大分県「大分県の工業」
③第三次産業
本市の第三次産業は、小売業を中心に、国東半島有数の商業地として栄えた中心市街地
と周辺部に存在する商店街、そして大型店を核とするロードサイド(交通量の多い道路沿
い)地域と大きく3つの商業集積によって構成されています。
近 年 の 消 費 者 の 購 買 活 動 の 変 化 や 高 齢 化、 後 継 者 不 足 な ど に よ り、 小 売 業 全 体 の
92.1%を占める従業員4人以下の商店数は減少傾向にあります。また、ロードサイド地域
への大型店の出店増加により、従業員数及び年間商品販売額は横ばいの傾向が続いていま
す。一方で、市内の売場面積合計は大幅に増加しており、買い物の場所が個人商店から大
型店へと移るなど社会経済環境が変化し、既存商店街は厳しい状態が続いています。
しかしながら、既存商店街は、それぞれの地域に即した買い物環境の提供だけでなく、
地域住民のコミュニティ形成の場を担っています。
本市の中心市街地では、地元商店街の振興を目指して、活気にあふれていた昭和 30 年
代の街並みを再現した「昭和の町」の取り組みを進めており、全国的にも地域商店街活性
化のモデルとして注目を集めています。
本市では、平成 16 年に中心市街地活性化基本計画を策定し、福祉・農業等様々な施策
と連携して、高齢者が集い、楽しめるまちづくりを目指し、既存商店街をハード・ソフト
の両面から積極的な支援を行っています。
9
第2章 豊後高田市のすがた
小売業の推移
事業所数(所)
年間商品販売額(百万円)
事業所数(所)
従業員数(人)
従業員数(人)
売場面積(㎡)
年間商品販売額
(百万円)
売場面積(㎡)
50,000
6,000
42,944
5,000
4,000
3,000
35,726
28,898
22,061
21,950
40,000
35,628
32,278
30,000
20,215
1,814
2,000
1,000
31,278
32,046
1,708
20,616
1,806
1,567
20,002
18,950
1,751
17,668
1,658
20,000
1,499
10,000
592
557
493
475
平成2年
平成6年
平成9年
平成11年
419
386
344
0
0
平成14年
平成16年
平成19年
資料:経済産業省「商業統計調査」及び大分県「大分県の商業」
本市には、年間 100 万人以上の観光客が訪れており、平成 22 年の観光入込客数は
109 万3千人、宿泊人数は3万 7 千人で、1人あたりの観光消費額は約 2,128 円となっ
ています。
本市には、美しい自然景観に加え、
「六郷満山文化」ゆかりの史跡や寺社仏閣など歴史的
価値の高い文化遺跡や「ホーランエンヤ」などの伝統文化が数多く残されています。近年
では、昭和 30 年代の活気ある商店街を再生した「昭和の町」、中世の田園風景を色濃く残
した「田染荘小崎」が注目を集めています。また、特産品を活かした「食」をテーマにし
た観光振興策にも力を入れており、
「豊後高田そば道場」をはじめ、ブルーツーリズムやグ
リーンツーリズムなど体験型観光の充実を図っています。
観光客数等の推移
観光客数等(万人)
観光客数等
観光客1人あたり消費額
(千円/人)
1人あたり観光消費額
5,000
150.0
118.1
100.0
87.8 85.0
92.4 92.2
84.2
90.9 90.8 93.2 89.4 92.2
99.7
105.2
109.7 110.6
111.6
104.0 107.1
113.1
105.6
110.7108.4 4,000
3,000
2,159 2,193 2,195 2,144 2,128
1,607 1,658
50.0
1,041 1,043 1,016 1,029 1,030 1,021 1,118
2,000
1,372
1,252 1,273 1,262 1,314 1,343 1,322 1,339
1,000
0.0
0
H1
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
資料:大分県観光振興課「観光動態調査」、平成17年以降は豊後高田市資料
10
序 論
第3章 市民意向調査
1 調査目的
本調査は、豊後高田市総合計画(改訂版)策定の基礎資料とするため、市民の描くまち
の将来イメージや施策に対する要望及び高校生のまちづくり意識等を把握することを目的
として実施しました。
2 実施概要
調査は、それぞれ以下の方法により実施しました。
一般市民アンケート調査
高校生アンケート調査
豊後高田市に居住する 18 歳
以上の男女個人
大分県立高田高等学校の生徒
住民基本台帳を標本抽出枠と
して、コンピューターにより無
作為に 2,100 人を抽出
3年生 151 人を対象
郵送調査法
学校長を通じて依頼、クラス単
位で配布回収
開始年月日
平成 23 年 8 月 1 日
平成 23 年 8 月 1 日
終了年月日
平成 23 年 8 月 15 日
平成 23 年 8 月 15 日
配 布 数
2,100 票
151 票
有効回収数
731
151
有効回収率
34.8%
100.0%
性 別
男性:34.6% 女性:46.9%
無回答:18.5%
男性:30.5% 女性:41.7%
無回答:27.8%
年 齢
20 歳未満: 0.4%
20~29 歳:16.6%
30~39 歳:26.7%
40~49 歳:19.0%
50~59 歳:10.4%
60~64 歳:12.0%
65~74 歳:14.5%
75 歳以上: 0.1%
無 回 答: 0.3%
-
(1)調査対象者と
抽出方法
(2)調査方法
(3)調査期間
(4)回収状況
(5)回答者の属性
11
第3章 市民意向調査
3 調査結果
(1)豊後高田市の自慢できるもの
豊後高田市で自慢できるものとして、
「海、山などの自然が豊か」
「自然災害(地震、洪水等)
が少ない」「誇れる歴史や文化遺産が多い」などが多くあげられています。
高校生では、「人情が豊かで温和である」が多くなっている点が注目されます。
一般市民について属性別にみると、「自然災害(地震、洪水等)が少ない」は男女とも
50 歳以上で多くあげられています。
<豊後高田市の自慢できるもの>
0
10
20
30
40
50
60
70
80
(%)
66.1
70.2
海、山などの自然が豊か
49.2
自然災害(地震、洪水等)が少ない
37.1
38.2
誇れる歴史や文化遺産が多い
19.9
24.9
食べ物が新鮮でおいしい
14.6
21.9
ケーブルテレビなどの情報通信網が充実
16.6
11.8
11.3
楽しい祭やイベントが多い
11.5
人情が豊かで温和である
26.5
11.2
7.9
学びの21世紀塾など教育環境が充実
子育て支援体制が充実
買い物が便利
11.1
1.3
6.0
0.7
5.5
8.6
中核工業団地など働く場が多い
医療機関・福祉サービスが充実
2.9
0.0
道路が整備され交通の便が良い
2.7
2.0
まちに活気があり楽しい
1.5
2.0
その他
一般(n=731)
高校生(n=151)
2.6
3.3
(2)理想とする豊後高田市の将来イメージ
理想とする豊後高田市の将来イメージとしては、一般市民は「若者が多く定住する『活
気あふれるまち』」「高齢者や障がい者が安心して暮らせる『福祉のまち』」「安心して子ど
もを産み育てられる『子育てのまち』」「海・山の自然と優良農地を生かした『自然に恵ま
12
序 論
れた食と農のまち』」が上位を占めていますが、高校生では「海・山の自然と優良農地を生
かした『自然に恵まれた食と農のまち』」がトップで、次いで、「防災・防犯対策や交通安
全を推進する『安心・安全なまち』」
「歴史、温泉等の地域資源や民泊を活かした『観光と
交流のまち』」となっており、市民と高校生とで意識の差がみられます。
一般市民について属性別にみると、50 歳代、60 歳代では「若者が多く定住する『活気
あふれるまち』」をあげる人が特に多くなっています。
<理想とする豊後高田市の将来イメージ>
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
(%)
39.8
若者が多く定住する「活気あふれるまち」
23.8
34.5
高齢者や障がい者が安心して暮らせる「福祉のまち」
25.2
32.4
安心して子どもを産み育てられる「子育てのまち」
16.6
31.9
海・山の自然と優良農地を生かした「自然に恵まれた
食と農のまち」
41.1
25.2
防災・防犯対策や交通安全を推進する「安心・安全な
まち」
29.1
16.3
歴史、温泉等の地域資源や民泊を活かした「観光と
交流のまち」
27.2
15.7
工業や商業などの経済活動が活発な「産業のまち」
8.6
15.3
学習環境が整った「教育のまち」
7.9
12.9
市役所やスポーツ施設など公共施設の整った「利便
性の高いまち」
15.9
10.7
11.9
道路網や優良宅地などが充実した「快適な生活環境
のまち」
10.1
省エネや新エネルギーの導入促進が進んだ「環境に
配慮したまち」
高校生(n=151)
7.9
9.3
9.3
健康相談や体力づくりを推進する「健康のまち」
6.6
文化、芸術活動が盛んな「文化のまち」
11.9
4.7
6
自治会活動やボランティア活動などが盛んな「ふれあ
いのまち」
3.3
高度情報化時代に対応した「情報のまち」
その他
一般(n=731)
8.6
1.5
1.3
(3)施策の現状評価
① 施策の現状の満足度
一般市民と高校生の満足度と不満度のそれぞれのトップ5は次表の通りになっています。
意識の差もみられますが、いずれにおいても「普通」が最も多くなっているのが特徴です。
満足度に関しては、一般市民は子育て関連の項目が上位にあるのに対し、高校生では総
合的なくらしやすさや道路・歩道の整備についての満足度が高くなっています。
逆に、不満度についてみると、一般市民は公共施設や医療体制などへの不満が大きいの
に対し、高校生は買い物利便性に対する不満が特に高くなっています。
13
第3章 市民意向調査
<満足度の高い施策(上から5つ)>
評価項目
テレビ、携帯電話やインターネットなど情報通信環境
一般市民
伝統的な文化の保存・継承
子どもたちの教育環境
観光・交流施設
伝統的な文化の保存・継承
テレビ、携帯電話やインターネットなど情報通信環境
高校生
総合的なくらしやすさの評価
観光・交流施設
道路や歩道などの整備状況
<不満足度の高い施策(上から5つ)>
評価項目
文化会館や体育館などの公共施設
医療体制や保健指導体制
一般市民
市役所各庁舎の施設・設備
日常の買い物等の利便性
賃貸住宅や宅地分譲などの住環境
日常の買い物等の利便性
乗合タクシー等の交通サービス
高校生
道路や歩道などの整備状況
文化会館や体育館などの公共施設
テレビ、携帯電話やインターネット など情報通信環境
(注)満足度=「満足」+「やや満足」 不満度=「不満」+「やや不満」
② 施策の今後の重要度
今後の重要度が 50%以上のものを、一般市民と高校生についてみると、一般市民では「医
療体制や保健指導体制」「高齢者や障がい者のための福祉サービス」「子どもたちの教育環
境」
「子育てのための支援体制」が特に多くなっています。高校生でもこれらの項目は多く
なっています。中でも、
「高齢者や障がい者のための福祉サービス」が高校生でトップになっ
ており、若い人たちにおいても高齢化の問題は極めて重要な関心事であることがうかがえ
ます。
高校生にのみみられるのが、
「日常の買い物等の利便性」と「観光・交流施設」の 2 つです。
14
序 論
<施策の重要度(上から5つ)>
評価項目
医療体制や保健指導体制
高齢者や障がい者のための福祉サービス
一般市民
子どもたちの教育環境
子育てのための支援体制
消防及び救急・救命体制
高齢者や障がい者のための福祉サービス
医療体制や保健指導体制
高校生
防災・防犯や交通安全などの体制
子どもたちの教育環境
消防及び救急・救命体制
③ 満足度と今後の重要度の関係
アンケートで提示した 20 項目の満足度と重要度の関係を示したのが、
次頁の散布図です。
この散布図により、満足度と重要度スコアのそれぞれの平均値を基準にして、20 項目
は下記図表の 4 通りに分類できます。
今後最も重要な項目
維持が望まれる項目
(相対的に「重要度」が高いものの「満足度」が低いもの)
(相対的に「重要度」「満足度」ともに高いもの)
・医療体制や保健指導体制
・高齢者や障がい者のための福祉サービス
・防災・防犯や交通安全などの体制
・子どもたちの教育環境
・子育てのための支援体制
・消防及び救急・救命体制
・総合的な暮らしやすさ
推移をみながら見直しが望まれる項目
見直しを含めて維持が望まれる項目
(相対的に「重要度」「満足度」ともに低いもの)
(相対的に「重要度」が低いものの「満足度」が高いもの)
・文化会館や体育館などの公共施設
・上下水道や環境衛生等の整備状況
・ごみ減量化や環境保護対策
・道路や歩道などの整備状況
・賃貸住宅や宅地分譲などの住環境
・市役所各庁舎の施設・整備
・自治会活動やボランティア活動の支援
・伝統的な文化の保存・継承
・乗合タクシー等の交通サービス
・日常の買い物等の利便性
・テレビ、携帯電話やインターネットなど
の情報通信環境
・観光・交流施設
・中心部のまち並み景観の整備状況
15
第4章 振興方針~人口 3 万人を目指して~
第4章 振興方針~人口 3 万人を目指して~
1 定住人口の確保
本市が将来にわたって発展していくためには、何より、定住人口を増加させることが必
要です。本市の現状を見ると、全国的な状況と同じく、人口減少が続いています。これは、
少子高齢化が続くが故に、生まれる人数より、亡くなる人数の方が多いことが要因です。
しかし、本市には、この 10 数年で 18 社の企業進出、6社の企業が増設をし、大分北
部中核工業団地を中心に2千人を超える新たな雇用の場が生まれました。また、重点施策
として取り組んでいる「子育て支援の充実」は市内外からも非常に評価が高く、さらに、
次世代を担う人材育成として「学びの 21 世紀塾」などの教育のまちづくりに取り組んだ
結果、大分県の基礎・基本定着状況調査で6年連続トップの成績を続け、教育といえば「豊
後高田」と言われるまでになりました。
本市は、市内全域への光ケーブルネットワーク施設整備や県内有数のコンビネーション
遊具を備えた中央公園の整備、そして、新図書館の建設など都市と変わらない利便性の高
い、生活環境づくりに取り組んでいます。
このような、内外から評価の高い子育て環境の更なる充実や「住んでみたい」と思われ
る魅力あるまちづくりを進めることにより、若者世代の定住促進を目指します。
具体的には、若者でも安心して購入できる安価な優良宅地の造成や子育て世代のニーズ
にあった賃貸住宅の整備など、快適な住環境整備を進めるとともに、独身者の出会いの場
づくりなどの「婚活」事業を積極的に推進し、本市に勤務し市外に在住する人だけでなく、
近隣都市へ通勤する人たちのベッドタウンを目指した取り組みを進めることにより、転入
者の増加を促し、社会増を図ります。
また、本市は平均寿命・健康寿命とも県下で下位に位置しており、高血圧、高血糖の人
が特に多い状況となっています。市民の誰もが健康で幸せに暮らせるよう、日常生活の中
に運動を取り入れることや食生活の改善、そして、「玉津プラチナ通り」のように高齢者
が集い、散策したくなるような取り組みや歩きたくなる道路環境の整備など、総合的な健
康なまちづくり「スマート・ウェルネス・豊後高田」を目指した施策を進めることにより、
健康で長寿命な高齢者の増加を目指します。
以上のような取り組みを強力に進めることにより、自然増、社会増を達成し、将来人口
3 万人(平成 32 年度目標)の実現を目指していきます。
16
序 論
2 交流人口の拡大
本市の中心商店街が最も賑わった昭和 30 年代をテーマとした「昭和の町」は、商店街
振興のモデルとして全国的に有名となり、平成 23 年には年間 40 万人もの観光客が訪れ
るまでになりました。加えて、桂川東側の玉津地区においては、元気な高齢者の集うデイ
サービスセンターや福祉事務所の支所のほか、農産物直売所など「高齢者が楽しいおまち」
としての基盤ができつつあります。
今後とも、中心市街地が活気を持って持続的に発展していくためには、
「昭和の町」の原
点に立ち返った取り組みやブランドを活かした施策など、観光客のニーズに合わせた絶え
間ない進化が必要です。このため、
「昭和の町」に「昭和」をテーマにした新たな観光拠点
を整備することにより、新たな観光客の誘致を進めていきます。
また、本市は、神仏習合の六郷満山文化という独特の仏教文化が色濃く残り、地域のそ
こここに、歴史的遺産や文化遺産を見ることができます。また、その景観が国の重要文化
的景観として選定された「田染荘小崎」や泉質の異なる温泉が各地に湧出しており、
「癒し」
などの言葉で表される自然回帰志向に合致したポテンシャル(潜在力)を十分有していま
す。この地域ポテンシャルを活かすため、大分県北部地域観光圏を軸に、国東半島全体と
しての魅力を高め、「癒しの里」として、全国からの誘客促進を図ります。
さらに、市の美しい風土、歴史、文化の中で営まれてきた農漁村環境を活かした、グリー
ンツーリズム、ブルーツーリズムの取り組みを進めることにより観光客との交流や共生を
図り、新しい産業の創出や消費・販路の拡大等、交流人口の拡大を目指します。
17
第2部 基本構想
基本構想
第 1 章 まちづくりの基本理念と将来都市像
1 基本理念
市民一人ひとりの夢のあるまち 豊後高田
「日本の原風景」ともいわれる田園風景や瀬戸内海へと広がる遠浅の干潟など豊かな自然
環境に囲まれた本市には、六郷満山文化をはじめとする“地域の宝”が数多く残っています。
これらは、わたしたちの先祖一人ひとりが自然と共生し夢や希望を描きながら、多くの人々
とふれあい、交流することによって生み出されてきました。
わたしたちは、先人たちと同じように多くの夢や希望を描き、この自然が織り成す“や
すらぎの空間”に集い、“交流”を通じ、「昭和の町」など新しい“地域の宝”を生み出す
ことができました。
本市は、平成17 年3月31日に1市2町が合併し、新しい豊後高田市としてスタート
し、多くの人々と本市は、平成17 年3月31日に1市2町が合併し、新しい豊後高田市
としてスタートし、多くの人々と多くの地域資源が集まりました。これらの“人的・物的
資源”を有機的に結び付け、これまでの千年のロマンをさらに紡いでいく取り組みを行っ
ています。
しかし、移り変わる時代の中で人口減少や少子高齢化といった社会変化が生じ、夢の担
い手不足など多くの課題や問題点が発生し、地域の活力が低下してきているのも確かです。
わたしたちは、こうした時代の変化を的確に捉え、現在直面している課題に積極的に取り
組み、また、先人たちの遺した“地域の宝”をしっかりと受け継ぎ、さらに後世へと伝え
なければなりません。
また、一人ひとりが将来の夢や希望をしっかりと描き、その夢や希望を元気に語りあう
ことのできる“住みたくなる”“訪れたくなる”ふるさとを再構築しなければなりません。
市民一人ひとりが心身ともに健やかに暮らし、将来についても安心して夢を描くことの
できる「市民一人ひとりの夢のあるまち 豊後高田」を基本理念として、まちづくりを行っ
ていきます。
21
第 1 章 まちづくりの基本理念と将来都市像
2 将来都市像
交流を媒体としてこのまちの生活基盤と経済基盤を再構築し、わたしたちの生活文化と
郷土愛、誇りを高めていくまちづくりの戦略展開の目標(将来都市像)を“千年のロマン
と自然が奏でる交流と文化のまち”と設定します。
千年のロマンと自然が奏でる
交流と文化のまち
両子山から放射状に伸びる険しい岩峰や谷は、山岳仏教と八幡信仰の地として修行の場
となり、神仏習合の独特の六郷満山文化を千年にわたって育んできました。
一方、山里では日本の原風景ともいえる美しい田園風景がひろがり、そこに古来より農
の営みが溶け込んできました。また、周防灘に面した穏やかな海は、豊かな漁場としての
恩恵を人々に与え続けてくれています。
こうして、この地域の人々は心と自然のやすらぎに癒され、郷土芸能や伝統芸能を大事
に伝承してきました。また近年、中心市街地においては高度成長期の頃の“昭和ロマン”
のまちづくりが脚光を浴び、訪れる人々はノスタルジーをおぼえます。
千年の時を越えて受け継がれてきた舞台装置(自然、歴史文化)は、これからも変わる
ことのない生活背景です。その空間は、どこか懐かしく温かい“日本のふるさと”として
多くの人々に「やすらぎ」と「癒し」を与えてくれます。
また、大分北部中核工業団地を中心とした相次ぐ企業誘致や事業所の規模拡大などによ
り約 2 千人の新たな雇用の場が創出されており、本市は工業都市へと変貌しつつあります。
そして、近年整備された高速情報通信網や市民乗合タクシーの導入、広域観光案内拠点な
どのネットワーク整備によって、地域の人々がいきいきと文化・スポーツ・レクリエーショ
ン活動に触れ合い、充実した生活が送れる環境づくりを進めています。
ここに住むわたしたちは、
「世代間の交流」、
「地域内外の交流」、
「農商工連携」、
「産業連
携」など多様な交流・連携を通じ、わたしたちの「ふるさと」の付加価値を高めていきます。
わたしたちが受け継いできた歴史文化、自然を内外に共有し、多種多様な交流を広げ新
しい結びつきで地域を磨き上げ、
「千年のロマンと自然が奏でる交流と文化のまち」を目指
していきます。
22
基本構想
第2章 目標人口と土地利用の方針
1 目標人口
本市の総人口は、平成の市町村合併後の平成 17 年国勢調査では、25,114 人でしたが、
平成 22 年国勢調査では 23,906 人と 4.8%減少しています。全国の総人口も平成 22 年
をピークに減少に転じ、人口減少社会を迎えています。また、人口減少とともに、世界に
類のない速さで進む高齢化、そして平成 22 年の大分県の合計特殊出生率1は 1.56 と少子
化により人口構成の形態も大きく変貌しています。
全国的に人口が減少に転じている中ではありますが、本市は将来人口目標を 30,000 人
(平成 32 年度)に設定します。
この目標に向かって、若者の定住促進(主に誘致企業の従業員の市内への居住を促進)
を進めるため、総合的な住環境整備や魅力あるまちづくりの推進を行うとともに、子育て
にやさしい環境整備、さらには、婚姻率を上げるため「婚活事業」の推進、そして、市民
の健康寿命の延長を目指した「健康なまちづくり」の推進など多様な施策を積極的に展開
し、全市をあげて活力あるまちづくりを推進します。
豊後高田市の人口推移の年齢 3 区分(単位:上段(人)、下段(%))
平成 12 年
平成 17 年
平成 22 年
総 数
26,206
25,114
23,906
15 歳未満
3,525
3,136
2,654
13.5%
12.5%
11.1%
14,695
13,709
12,944
56.1%
54.6%
54.2%
7,986
8,269
8,271
30.5%
32.9%
34.7%
%
15 〜 64 歳
%
65 歳以上
%
出典:平成 12 年、17 年、22 年は国勢調査
※年齢(3区分)割合は、分母から不詳を除いて算出している。
1
合計特殊出生率:15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計した数値で、1人の女性が生涯に生む
子どもの数の平均を示す。
23
第2章 目標人口と土地利用の方針
2 土地利用の方針
本市の総面積は 206.6 k㎡で、平成 21 年現在の土地利用の状況は、林野が 56.9%、
田が 8.9%、畑が 6.1%、宅地が 3.9%となっています。
土地利用にあたっては、恵まれた自然・歴史的環境との調和に配慮し、安全で安心な、
健康で文化的かつ利便性の高い生活環境の確保を基本理念として、総合的かつ計画的に行
わなければなりません。
また、歴史的風土の保存、地域の自然的・社会的条件等を踏まえた個性ある景観の形成、
土地利用の高度化等によるゆとりある都市環境の形成に努め、地域環境の保全に十分配慮
しながら、地域の特性を生かし、周辺地域との関連性も考慮した土地利用を図るものとし
ます。
○農地
農地の流動化対策や生産体制の確立、基盤整備などにより、優良農地の保全を図りつつ、
生産性の向上や地域ブランドの確立に努め、農業後継者が定着できる条件整備を図ります。
また、農業後継者の育成や UJI ターン2者等による新規就農の促進により、荒廃地を作ら
ない対策に努めます。農地は、多様な機能を有しており、自然環境、景観と調和のとれた
整備を図っています。
○森林
森林は、木材生産等の経済的な機能を持つだけでなく、水源のかん養3、土砂流出の防備、
大気の浄化など多様な公益的機能に加え、自然環境や景観の保全、レクリエーション利用
の場など多様な機能を有しています。この森林の有する多面的機能を発揮できるように周
辺の土地利用との調整を図りつつ、適正な利用に努めます。
○水面・河川・水路
自然災害から市民の生命財産を守るために、河川及び池沼の安全性の確保に努めます。
水面・河川・水路の整備にあたっては、自然環境の保全に配慮しながら、自然の水質浄化
作用、生物の多様な生息・生育環境、市街地における貴重なオープンスペース4等の維持・
向上に努めます。特に、桂川は街の中心を流れており、潤いのあるまちなかに合致した河
川環境の維持に努めます。
2
UJIターン:Uターンは都市等で生活している人が、出身地に戻って定住すること。Jターンは出身
地までは戻らず、途中あるいは同じ県内の都市などへ移住すること。Iターンは、出身
地以外の地方へ移住すること。
3
水源のかん養:森林の土壌が、降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとと
もに、川の流量を安定させること。
4
オープンスペース:敷地内の空き地。建物の建ってない場所、空閑地。
24
基本構想
○道路
道路は、生活、産業、観光などの多様な交通需要に対応していることから、安全性、利便性、
快適性の確保と環境保全等に配慮し、道路整備に必要な用地の計画的な確保を図ります。
○住宅地
住宅地については、定住人口を増加させるため、地域の特性に配慮した優良な宅地整備
を図ります。このため、既存の住宅用地のほか、施設の統廃合等で活用されなくなった公
用地の有効活用を進めるなど計画的な用地確保に努めます
○工業用地
工業用地については、本市経済の自立的発展と雇用機会の増大を図るため、引き続き既
存工業団地への企業誘致を図り、工業用地の有効活用に積極的に努めます。
○海岸・沿岸地域
本市の海岸及び沿岸地域は、遠浅の海岸、リアス式海岸や干拓地など多様な姿がありま
す。水産業や海上交通、レクリエーション等の利用への期待に応えるため、自然的特性、
地域特性を踏まえ海域と陸域との一体性に配慮し、長期的視点に立った総合的な利用を図
ります。
○その他
公共用施設用地については、市民の多様な要求に応えられるように整備しながら、その
有効利用を推進します。
土地利用の現況
その他
24.1%
宅地
3.9%
畑
6.1%
林野
56.9%
田
8.9%
資料:大分県「平成22年版大分県統計年鑑」
25
第3章 まちづくりの基本目標
第3章 まちづくりの基本目標
まちづくりの理念および将来都市像にもとづき、わたしたちが今後 5 年間を見据えて実
際に取り組むべき基本目標を、つぎの4つの柱として設定しています。
安 心 し て 暮 ら せ る ふ る さ と づ く り
キ
ラ
リ
と
光
る
ま
ち
づ
く
り
あ す( 将 来 ) を 担 う ひ と づ く り
ふ る さ と を 興 す 産 業 づ く り
26
基本構想
1 安心して暮らせるふるさとづくり
基本目標
安心して暮らせるふるさとづくり
地域社会の活動を促進するためには、誰もが「もてなしの心」をもち、老若男女を問わず、
それぞれの持ち場で地域づくりに参画できる「ふれあい空間」の創造が必要です。
市民の主体的なコミュニケーション活動によるまちづくりや市民、NPO及びボラン
ティア団体等との協働によるまちづくの推進など市民参画のシステムづくりに取り組み
ます。また、シルバーパワーの活用や男女共同参画社会の実現へ向けた取り組みや、少子
化や過疎化による集落機能の維持に向け、市民と行政の協働を通した地域で支えあう環境
づくりを進めます。
高齢者が尊厳を保ちながら社会貢献を継続し、余生を楽しみ、あらゆる人々が地域の思
いやりの中で豊かな生活を送るためにも、地域福祉の観点から社会福祉の充実を図るとと
もに、社会生活の“安心”を支え、健やかな子どもの育成のため、地域の保健・医療の向
上を図り、特に小児医療の充実に努めます。また健康な長寿社会を目指し、市民一人ひと
りが健康で、かつ、生きがいを持ち安全で安心して豊かな生活を営むことのできるまち「ス
マート・ウェルネス・豊後高田」の実現を目指します。
さらに、東日本大震災を教訓に安全で安心な社会を実現するため、他の機関とのパート
ナーシップを強化しながら、市民や各種団体、事業者、行政が一体となって、消防・救急・
防災・防犯対策を充実させるほか、日頃からの防災訓練や危機管理体制の見直しにより、
安全な生活環境づくりに努めます。
また、生活環境の総合的な整備を推進し、バリアフリーやユニバーサルデザインに基づ
き、高齢者や障がい者(児)にやさしい環境づくりを図ります。
基本施策
●市民が主体の地域づくり
●安全で安心して暮らせる基盤づくり
●人にやさしい福祉の推進
●生活環境の整備
●保健・医療の充実
27
第3章 まちづくりの基本目標
2 キラリと光るまちづくり
基本目標
キラリと光るまちづくり
これからのまちづくりにおいては、広範囲からの活発な交流が大きな目標となります。
高速道路へのアクセスと県北の拠点である中津市や大分空港への時間的距離を短縮する
ことによって、域外からの交流を活発にするための道路整備を促進します。
また、近年の ICT の進展は産業活動の分野にとどまらず、情報通信基盤は、わたした
ちの日常生活においても欠かせないものとなっています。平成 20 年に完成した「ケーブ
ルネットワーク施設」を活用した地域情報化施策を展開し、わたしたちの生活空間を一層
安全で快適なものとします。さらに、携帯電話などのモバイル端末を活用した地域情報化
に取り組み、ユビキタス社会の実現を目指します。
そして、少子高齢化、過疎化が進む中で、多くの市民の共通の思いが「若者の住みやすい・
住み続けられる」豊後高田市です。豊かな自然、産業振興、人情厚いコミュニティなど本
市の魅力や強みを活かし、豊後高田市で生まれ育った若者がこのまちで暮らし続け、また
UJI ターンにより多くの若者が集まり定住し、子どもを産み育てられるまちづくりに積極
的に取り組みます。
近年、太陽光発電や風力発電等のクリーンな自然エネルギーへと関心が高まっています。
本市においても、わたしたち自身の意識改革を通じて、資源リサイクルや自然環境保全を
進めるとともに、再生可能エネルギーの導入の検討など循環型社会の形成を目指します。
また、地方自治体を取り巻く厳しい財政状況の中、効率的な行政体制の構築を図り、情
報公開などを通じて市民とパートナーシップのもとに向き合い行政機能の向上を図って
いきます。
基本施策
●交通ネットワークの整備
●人と自然の共生
● ICT を活用したまちづくり
●行政機能の向上
●「住んでみたい」まちづくり
28
基本構想
3 あす(将来)を担うひとづくり
基本目標
あす(将来)を担うひとづくり
わたしたちの遺産である“千年ロマンと自然”を生かしたまちづくりとは、歴史・文化、
自然を次の世代へ受け継いでいくことです。それらを継承していく担い手たちは、郷土の
誇りを認識し、幅広い交流の中でそれを活用することを身につけてもらわなければなりま
せん。そのためには、新たな豊後高田市のまちを担っていく子どもを地域全体で見守り育
むことが重要であり、市民の多様なニーズに対応した子育て支援、保育サービスの一層の
充実や就労支援など、安心して、子どもを産み育てられる環境整備を進めます。
学校教育の場では、家庭・学校・社会が一体となった教育環境の中で基礎的な学力の向
上と主体性の確立を目標とし、
「確かな学力」
「豊かな心」
「健やかな体」の調和のとれた「高
田っ子」の育成に取り組んでいます。また、「学びの 21 世紀塾」など学校だけにとどま
らない多様な学習機会の提供やスポーツ活動、地域の伝統文化の伝承、産業の体験学習な
どを地域ぐるみで取り組みを推進し、児童生徒のふるさとへの愛着を育んでいきます。
社会教育においては、生涯学習の推進体制の整備が重要となりますが、各世代間の交流
機会を工夫し、地域の歴史文化や生活文化の継承に努めます。また、地域住民のふれあい
と絆づくりのために、スポーツ ・ レクリエーションの振興を図ります。
さらに、歴史 ・ 文化財の保護と伝承、それらをテーマにした芸術文化活動の推進に取り
組みます。
基本施策
●夢を描き、実現できる子ども
●地域とともに歩む教育
の育成
●歴史的文化遺産の活用と芸術文化
●子育てにやさしいまちづくり
活動の充実
●生涯学習の推進
●スポーツ・レクリエーションの振興
29
第3章 まちづくりの基本目標
4 ふるさとを興す産業づくり
基本目標
ふるさとを興す産業づくり
まちづくりの基盤は、雇用 ・ 就業を通じて所得機会を高める産業振興です。また、そ
こで生み出される新しい産業の活力は、わたしたちが目標として描いた交流と文化をベー
スに各産業が相互に結びつき合い、相乗効果を発揮することによってもたらされます。
このような観点から既存の地域資源を活用した体験型・滞在型観光の推進、「昭和の町」
に代表される商業と観光の一体的振興、そして農商工連携などが特に期待されるところ
です。「昭和の町」の輝きが持続するよう、継続的な新たな魅力の創造、周辺資源とのネッ
トワーク化や観光圏などの広域連携の推進によって、滞在時間と空間を広げるなど新たな
展開を図ります。
特に、本市の里山では、国の「重要文化的景観」に選定された「田染荘小崎」などで都
市との交流によるグリーンツーリズムが盛り上がりを見せており、今後は、この流れを全
市的に広げていくことが必要です。
一次産業は、地域の基幹的産業としての役割だけでなく、ふるさとの自然景観、自然資
源を維持する社会資本としての重要な役割も担っています。この役割を維持するために
も、生産基盤の強化や効率的な生産体制の構築、後継者の育成とともに、新規就農、定年
帰農及び企業等の新規参入による多様な担い手の確保を図っていきます。
さらに、近年“食”の安全に対する消費者の意識が高まり、安全で安心な農林水産物の
流通体制の構築が求められています。本市には、付加価値の高い特産品(白ネギ、豊後高
田そば、岬ガザミ等)が数多くありますが、これらのブランド化や多様な活用促進を積極
的に進め、品質管理体制や安定供給体制を整えます。
また、大分北部中核工業団地を核に、北部九州の自動車工場等の集積をターゲットに、
積極的な企業誘致に取り組みます。さらに地場企業の関連分野への参入や経営高度化を積
極的に支援します。
●地域資源を活かしたふれあい観光 ●地域特性を活かした農林水産業
基本施策
の振興
の振興
●農業の振興
●工業の振興
●林業の振興
●商業の振興
●水産業の振興
30
基本構想
第 4 章 施策の大綱
まちづくりの基本理念・将来都市像のもとに、4つのまちづくりの基本目標を設定し、
その実現に向けた取り組みを推進します。
1 安心して暮らせるふるさとづくり
1 −1 市民が主体の地域づくり
超高齢化社会においては、市民のパワーを結集する必要があります。地域における幅広
いパートナーシップ5(連携・協働)のもと市民総参加のまちづくりを推進します。
主体的な市民活動や NPO 6・ ボランティア活動の醸成により市民と行政が協働 7 して、
人権が尊重され差別のない住みよい環境をつくっていくことが必要です。
★コミュニティ活動の推進
市民の主体的なコミュニケーション活動によるまちづくりに向けて、自治会組織の体
制強化支援を行い、地域コミュニティ8間の連携や少子高齢化・人口減少で懸念される
集落機能の維持対策に取り組みます。また、コミュニティ活動促進の第一歩となる「あ
いさつ運動」を推進します。
★市民参画システムづくり
施策方針
「まちづくりは市民一人ひとりの手で」というまちづくりの基本的な考え方のもと、
市民参画の推進、市民と行政による協働のまちづくりの実現を図ります。
また、NPO・ボランティア活動を通して市民と行政とのパートナーシップによるま
ちづくり(新しい公共)を推進し、地域のボランティア活動等を通じて支え合う、助け
合う地域づくりを推進します。
★シルバーパワー9を活かせるまちづくり
地域社会を熟知し、熟練した技能などを持つ人たちが、地域社会で活躍できる場をつ
くることが必要です。産業から福祉まであらゆる分野において、シルバーパワーを活か
せる環境づくりを進めます。
★人権が尊重されるまちづくり
市民一人ひとりが人権を正しく理解し、人権が尊重されるまちづくりを推進します。
5
パートナーシップ:各々が対等の、立場で関係を持つこと。提携、協力、協力体制、共同経営など。
NPO:民間非営利組織(Nonprofit Organization)の略。医療・福祉、文化・芸術、スポーツ、まちづ
くり、国際協力・交流、人権・平和、教育、女性などのあらゆる分野における営利を目的とし
ない民間組織のこと。
7
協働:同じ目的のために、対等の立場で協力して共に働くこと。
8
コミュニティ:地域社会。家族、村落・都市・地方など人間の共同生活の諸領域。
9
シルバーパワー:高齢者の経験やこれまでの実績を地域活性化に活かせる能力のこと。
6
31
第 4 章 施策の大綱 — 安心して暮らせるふるさとづくり —
★男女共同参画社会の実現
男女共同参画社会の実現に向けて、お互いの人権を尊重する仕組みづくりや様々な分
野の社会活動に女性が参画しやすい環境づくりを図ります。またドメスティックバイオ
レンス10などの暴力や人権侵害の根絶に向け、被害者への相談支援体制の充実を図りま
す。
1 − 2 人にやさしい福祉の推進
高齢者や障がい者が心豊かに生きがいをもち、あらゆる人々が地域の思いやりの中で安
心した生活を送れる社会づくりと、健康でありつづけるための環境づくりに寄与できる社
会福祉サービスの充実を図ります。
★高齢者福祉
介護や支援が必要な高齢者を地域全体で支える地域ケア体制の整備や高齢者が互いに
協力し合い生活する新たな住まいの検討を進めるとともに、老人クラブやボランティア
活動、生涯学習、スポーツ活動など高齢者の積極的な社会参加を促進します。
施策方針
★障がい者福祉
障がい者(児)の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から積極的に社会参加
できるよう ICT の利活用促進や情報の提供と就労の支援に努め、各種行事や地域活動
への積極的な参加を促進します。
★生活困窮者福祉
生活保護世帯に対しては、関係機関と連携し、就労指導の強化、相談・指導体制の充
実、要保護世帯の実態把握に努め、自立支援を図ります。
10
ドメスティックバイオレンス:
(DV:Domestic Violence の略)
。
同居関係にある配偶者や内縁関係や両親・
兄弟・親戚などの家族から受ける家庭内暴力。
32
基本構想
1 − 3 保健・医療の充実
保健・医療の充実を図り、市民の“健康”と“安心”を支えます。高度・緊急医療サー
ビスの充実を図るとともに、予防医療11の観点から日常生活の中に運動を取り入れた健康
づくりを積極的に取り組みます。
★地域保健・医療サービスの充実
各種保健・予防活動を積極的に推進し、質の高い保健指導や健康相談を行い市民一人
ひとりの健康状態に応じた健康づくりを支援します。また、小児科医の常駐化など小児
施策方針
医療の充実に取り組み、休日・夜間の救急医療や周産期医療12等については、定住自立
圏構想13に基づき宇佐・中津市との連携強化を図ります。
★健康なまちづくりの推進
市民一人ひとりが健康かつ生きがいを持ち、安全で安心して豊かな生活を営むことの
できることをこれからのまちづくり政策に捉え、全市民を対象に運動指導や食育14をは
じめとする健康づくりに取り組みやすい環境整備を進める「スマート・ウェルネス・豊
後高田」を推進します。
11
予防医療:病気の原因の除去および発病前の予防を目的とする予防医学に基づいて行われる予防接種、
保健指導などの医療行為・医療サービス。
12
周産期医療:周産期とは妊娠後期から新生児早期までのお産にまつわる時期を一括した概念をいい、こ
の時期に母体、胎児、新生児を総合的に管理して母と子の健康を守ること。
13
定住自立圏構想:地方圏において安心して暮らせる地域を各地に形成する政策。「中心市」の都市機能
と「周辺市町村」の農林水産業、自然環境、歴史、文化など、それぞれの魅力を活用
して、圏域全体で必要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進するもの。
14
食育:様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な 食生活を実践
する力を育てること。
33
第 4 章 施策の大綱 — 安心して暮らせるふるさとづくり —
1− 4 安全で安心して暮らせる基盤づくり
地震や風水害などの自然災害に対して、市民と行政が一体となった安全な生活空間づく
りに努め、複雑多様化する災害や事故における消火・救命救急・救助活動などの消防・救
急体制の整備を図ります。また、交通安全や防犯などの安全対策にも努め、安全で安心し
て暮らせるまちづくりを推進します。
★防災体制の確立
災害に強いまちづくりを推進するために、地域防災計画等に基づき、市民・行政が一
体となって、
「東南海・南海地震」も想定した総合的な防災体制の確立や自主防災組織15
の育成支援を進めるとともに、ケーブルネットワーク施設を活用した緊急告知放送や携
帯電話のエリアメール16等、大規模災害に対応した情報伝達手段の確保を図ります。
★消防・救急体制の確立
消防資機材の整備充実や消防救急無線のデジタル化17を推進するとともに、市民の防災
意識の高揚、人材の育成・強化、消防団の組織の活性化など消防体制の整備を図ります。
施策方針
救急需要の増加、多様化、救急処置の高度化に対応するため、高規格救急車を導入す
るとともに、救急救命士18、認定救急救命士19の人材育成の充実を図り、AED20や応急
手当の普及啓発など救急体制の強化を図ります。
★防犯体制の確立と消費生活の安心
防犯意識の高揚や防犯活動の推進を図り、市民・行政・警察が一体となり自主防犯組
織の育成など地域安全活動を進めるとともに、消費生活相談の充実に取り組み、安全で
安心して暮らせる地域づくりを目指します。
★交通安全対策の推進
交通事故を防止するために市民や関係機関などが一体となり、特に増加が懸念される
高齢者の事故防止を重点とした交通安全の普及啓発を進めます。また、道路利用者の安
全性を確保するため、交通安全施設の整備を図ります。
15
自主防災組織:自治会などを単位とした地域住民の連帯意識に基づく自主的な防災組織。平常時におい
ては、防災訓練の実施、防災知識の啓発、防災巡視、資機材の共同購入などを行い、災
害時においては、初期消火、住民の避難誘導、負傷者の救出・救護、情報の収集・伝達、
給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行う。
16
エリアメール:地震速報や津波などの警報、避難指示などの災害情報を特定のエリアの携帯電話に一斉
送信するメール。
17
デジタル化:消防等で使用する無線電波を有効に活用するため、音声を中心としていた従来のアナログ
通信方式から、多様なデータのやり取りが可能なデジタル通信方式に切り替えること。
18
救急救命士:厚生労働大臣の免許を受けて、事故の被災者や急病人など重度の傷病者を医療機関に搬送
するまでの間、医師の具体的な指示の下に救急救命処置を行うことができる者。
19
認定救急救命士:厚生労働省所管の救急救命士法にもとづいておこなわれる国家試験に合格し、その認
定を受けた救急救命士のこと。
20
AED:自動除細動器。突然の心停止に際して、電気ショックを与えて心臓を再び動かすための機器。
34
基本構想
1 − 5 生活環境の整備
上下水道の整備、廃棄物処理、施設のバリアフリー21化などの市民生活に関わる生活環
境の総合的な整備を推進し、ゆとりある快適な住環境の整備に努めます。
★上水道・簡易水道の整備
各家庭、事業所や進出企業等に対して今後とも安定した水の供給を図るため、水資源
の確保、給水区域の拡大及び老朽化した施設の計画的な改修等を推進し、地震、災害、
渇水等に強い水道づくりを目指します。
★生活排水の適正処理
快適でうるおいのある生活環境や水辺環境の水質保全のため、公共下水道、農業・漁
業集落排水施設22、合併処理浄化槽23等による汚水処理の推進を図ります。
施策方針
★廃棄物処理
現在、本市と宇佐市、国東市の3市が連携して取り組んでいる広域廃棄物処理場の整
備を促進します。
★施設のバリアフリー化の推進
市民の誰もが、安全で快適な日常生活をおくれるようになるためには、ユニバーサル
デザイン24のまちづくりが重要であり、特に高齢者や子ども、障がい児(者)などに配慮
した施設のバリアフリー化を推進し、安全かつ快適に生活できる環境の整備に努めます。
★火葬場の運営管理
新しい火葬場の施設は、民間活力を活かし、市民が人生の終焉を迎える場にふさわし
い施設運営を行います。また旧施設や新施設周辺の敷地について有効活用を検討します。
21
バリアフリー:段差などの物理的な障壁(バリア)をはじめ、高齢者や障がい者などの社会参加を困難
にしている社会的、制度的、心理的な障壁など、すべての人にとって日常生活の中で存
在するあらゆる障壁を除去すること。
22
農業・漁業集落排水施設:農業や漁業への依存度が高い集落で、下水道と同じように整備された、汚水
管や汚水処理場などの施設のこと。
23
合併処理浄化槽:し尿と生活雑排水を一緒に浄化し、きれいな水にして放流する設備。
24
ユニバーサルデザイン:年齢や性別、身体的能力、国籍や文化など人々のさまざまな特性や違いを超え
て、最初からすべての人が利用しやすく、そしてすべての人に配慮したまちづ
くりやものづくり、仕組みづくりを行うという考え方。
35
第 4 章 施策の大綱 — キラリと光るまちづくり —
2 キラリと光るまちづくり
2 − 1 交通ネットワークの整備
道路は、市民生活や産業活動を支える基盤であるとともに、都市部や他地域との交流・
連携を促進するものであり、その整備は、地域振興の上でもきわめて重要です。
対外的交流の活発化や産業の活性化のため広域・幹線道路の整備を推進します。
また、日常生活における利便性の向上を図るために、生活道路の改良や高齢化社会に対
応した、より利用しやすい公共交通体系の整備を行います。
★広域・幹線道路の整備
本市は、未だに高速・高規格道路、鉄道のいずれもなく高速交通体系の利便性が享受
できない状況となっています。このため東九州自動車道(宇佐別府道路)へのアクセス
道路となる地域高規格道路(宇佐国見道路)の整備促進を強く要望します。また、ダイ
施策方針
ハツ九州関連企業の誘致促進や大分空港へのアクセスなど他地域との連携のためにも、
国道 213 号、県道や市道の整備促進を図ります。
★地域交通体系の整備
高齢化が進展し、谷筋に沿って集落が点在する本市では、周辺部における安全な交通
手段の確保は日常生活や交通安全対策の面からも重要な課題です。高齢者・障がい者や
自動車などの交通手段を持たない地域住民の生活の足を確保するため、現在運行してい
る「市民乗合タクシー25」や「70 パス26」等により利用しやすい交通体系の整備を図
ります。
25
市民乗合タクシー:地域の公共交通として通院、買い物など地域の利便性の向上を図ることを目的に行
政が主体となって運行を行っている交通機関の1つ。
26
70 パス:市内の 70 歳以上の方を対象とした路線バスの割引利用券で、「路線バス」を利用又は「市民乗
合タクシー」と「路線バス」を乗り継ぐ場合に、割安で乗降ができる。
36
基本構想
2 − 2 ICT(情報通信技術)を活用したまちづくり
近年の ICT27(情報通信技術)の飛躍的発展は、経済産業分野はもちろん日常生活や社会
全般に大きな変革をもたらし、今や情報通信基盤は最も重要な社会基盤となっています。
今後、本市が地域間競争を勝ち抜き将来に向けた発展を続けるため、行政サービスの高
度化、産業振興及び医療・福祉など多くの分野とも深くかかわりを持つ多様な高速情報通
信網の活用と整備を図ります。
★ユビキタス社会28の実現
施策方針
ケーブルネットワーク施設を市民の情報通信基盤として活用するとともに、近年急速
に普及している「スマートフォン29」などを活用した高速無線通信サービスの環境を整
え、「いつでも、どこでも、だれでも」が必要な情報やネットワークにアクセスできる
環境の整備を推進します。
2 − 3 「住んでみたい」まちづくり
本市は急峻な山地がなく瀬戸内海という地理的特徴から比較的自然災害が少なく、温暖
な気候にも恵まれており「安心して住み続けられる」という利点が注目されるところです。
恵まれた自然の中で、就業の場の確保や子どもを産み育てやすい環境を整備するとともに、
都市的な利便性も享受できる魅力的な住環境整備を図り、若者世代の定住を促進します。
また、心のゆとりや安らぎを求める人々や田舎暮らし希望者に本市に住んでもらうために、
積極的に UJI ターンに関する情報の提供をはじめ、受け入れ態勢の充実等を図ります。
★若者世代の定住促進
地域活力を向上するためには、これからの地域を担う若者の人口増加が不可欠です。
施策方針
晩婚化や少子化が進む中、本市で暮らし、子育てをしていく若者の支援として、総合的
な子育て支援の充実や多様な雇用の場を確保するとともに、賃貸物件、優良宅地情報等
の定住に関する情報提供を積極的に図ります。また、大分北部中核工業団地を中心とし
て市内に勤務している市外者をターゲットにした転入を促進するための施策を進めると
ともに、未婚者の出会いの場の提供などの「婚活」支援30も積極的に行います。
27
ICT:ICT(Information and Communication Technology)は、多くの場合「情報通信技術」と和
訳される。IT(Information Technology)の「情報」に加えて「コミュニケーション」
(共同)
性が具体的に表現されている点に特徴がある。
28
ユビキタス社会:「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークに簡単につながる社会。
29
スマートフォン:音声通話以外に、インターネット接続、スケジュール管理、メモ機能など、PDAと
同等の機能をもつ多機能型携帯電話。スマホ。
30
「婚活」支援:婚活は「結婚活動」の略。理想の相手を見つけ、幸せな結婚をするためのさまざまな活
動を支援すること。
37
第 4 章 施策の大綱 — キラリと光るまちづくり —
★市外居住者の定住促進
大分北部中核工業団地を中心とした市外からの通勤者の定住促進に取り組むととも
に、UJI ターン者向けの就職説明会の開催やメールによる求人情報の提供に努めます。
さらに、都市居住者に、ふるさとに帰って来てもらう取り組みを促進するため、サポー
ト態勢の整備や空き家バンク31の充実を図るとともに、本市の暮らしやすさや空き家情
報などの各種定住情報の発信・PR により、田舎暮らしを希望する方々の定住促進を図
ります。
★住環境の整備
若者定住を促進するため、城台団地を始めとする優良宅地の整備や子育て世代のニー
ズにあった魅力的な賃貸住宅の整備を進めます。
さらに、田舎暮らし希望者や UJI ターン者等の定住を促進するため、地域特性を活か
した宅地の整備や親子同居型住宅の建設促進などを行います。
★公園等の整備
公園は、市民の憩いの場・レクリエーションの場として、また、市街地の顔として、
さらには災害時の避難場所としても大変重要です。公園の適正管理を進めるとともに、
中心市街地における快適な暮らしを実現するため、都市公園等を整備します。
★魅力ある中心市街地の整備
年間 40 万人以上の観光客が訪れる「昭和の町」や高齢者が楽しい“おまち”「玉津
プラチナ通り」の取り組みに加えて、徒歩や自転車で生活ができるコンパクトシティ32
の特徴を活かした利便性の高い生活空間の基盤整備を推進します。
31
32
空き家バンク:市内にある空き家等の情報を提供するシステム。
コンパクトシティ:「住む」も含めた様々な諸活動(「働く」「集う」「学ぶ」「憩う」「発信する」)を都
市の中心部にコンパクトに集積したまち。
38
基本構想
2 − 4 人と自然の共生
豊かで多様な姿を持つ自然は、本市の貴重な財産です。それらを次世代へ残し伝えてい
くために、市民と行政が一体となって積極的に自然環境の保全・創造に努め、自然との共
生を目指します。
また、地球温暖化の防止に係る省エネルギーの推進・再生可能エネルギー33の導入、ご
みの減量化・リサイクル・適正処理などを市民と一体となって推進していきます。
★地域リサイクルの推進
循環型社会を構築することは、自然の保全や衛生的な生活環境の整備につながってい
きます。資源の循環を基本とするシステムの形成を目指し、リサイクル推進体制を整備、
廃棄物の再資源化に努めます。また、ごみの減量化・資源化の促進を行うとともに、ポ
イ捨て・不法投棄の防止対策や「エンジョイ・エコクラブ34」による活動を通じて地球
温暖化防止対策を積極的に進めます。
★再生可能エネルギー導入の推進
施策方針
地球温暖化防止や安全で安心なエネルギーへの転換要望を背景に、環境への負荷の少
ない再生可能エネルギーが注目されています。本市においても国、県と連携を図り、太
陽光発電、風力発電及びバイオマス発電35など再生可能エネルギーの活用促進と導入に
ついての調査研究を進めます。また、国・県及び民間企業と連携し、メガソーラー36の
誘致を検討します。
★自然環境の保全と景観づくり
これからは自然環境を保全することだけでなく、積極的に創造していくことも求めら
れています。そのため、花いっぱい運動及び荒廃地における景観形成のための花木の植
栽推進、緑化団体の支援等、身近な自然の創造を市民・事業者・行政が一体となって進
め、自然を活かした都市景観づくりに努めます。
33
再生可能エネルギー:エネルギー源として永続的に利用することができる再生可能エネルギー源を利用
することにより生じるエネルギーの総称のこと。具体的には、太陽光、風力、水力、
地熱、太陽熱、バイオマスなどをエネルギー源として利用すること。
34
エンジョイ・エコクラブ:普段の生活の中で自分たちのできるエコアクションに取り組んだり、エコイ
ベントに参加することにより、ごみの減量、省エネ、CO 2 削減などの環境
問題に関心を持ち、楽しみながら活動するクラブ。
35
バイオマス発電:動植物に由来する有機物であるバイオマスを燃焼あるいはメタン発酵させ、取り出し
たエネルギーにより発電する方法。
36
メガソーラー:電力会社等が建設を進めている 1 メガワット(1,000 キロワット)を超える大規模な商
業用太陽光発電施設のこと。
39
第 4 章 施策の大綱 — キラリと光るまちづくり —
2− 5 行政機能の向上
多様化する行政需要に応えられる、組織機構と人事管理の適正化に努めるとともに、総
合的・効率的な行財政の確立を図ります。さらに行政からの情報を市民に積極的に提供し、
開かれた市政を推進します。
★効率的で便利な行政体制の構築
窓口業務のワンストップサービスの充実や市民の利便性を追求した行政組織の配置に
努め、本市に適したスリムで効率的な行政体制を目指します。
また、市民の誰もが利用しやすい新庁舎を整備するうえで、大分県豊後高田総合庁舎
を有効活用し、建設コストの低減を図ります。さらに、各遊休施設を活用するとともに
施策方針
民間活力の活用も推進していきます。
★情報公開の推進
個人情報などプライバシーの保護に十分留意しながら、市民の知る権利を尊重し積極
的に情報公開に取り組みます。また、情報公開の迅速化・効率化に努めるとともに、イ
ンターネット等による情報提供を充実し開かれた市政を推進します。
★人材の育成
地方分権時代にふさわしい人材の育成を目指して、各種研修等を通じ能力開発を推進
するなど職員の資質向上に努めます。また、職員一人ひとりの実績や能力を適正に評価
する人事評価制度の導入などにより、組織の活性化に取り組みます。
40
基本構想
3 あす(将来)を担うひとづくり
3 − 1 夢を描き、実現できる子どもの育成
子どもたちが自ら学び、自ら考える力や豊かな人間性を育む人づくりを目指し、子ども
たち一人ひとりの個性や能力を尊重し、創造性を育む教育環境の整備を図ります。
★確かな学力の育成
個に応じたきめ細やかな授業の充実や指導方法の工夫改善、指導と評価の一体化を行
い、児童生徒の学力向上への取り組みを推進します。さらに、幼・小・中・高の連携推
進体制の整備により、児童生徒のスムーズな進学支援と学習意欲の向上を図るとともに、
特別支援教育37においても地域関係機関との連携により支援体制の整備を図ります。
★心豊かな子どもの育成
生命を尊重する心と他者への思いやりや正義感、倫理観を身につけた、社会の一員と
しての役割を果たせる子どもの育成のため、学校・家庭・地域社会が連携し、学校では
体験できないボランティア体験や自然体験などの活動を推進します。
★健やかな体の育成
社会環境や生活様式などの変化により、運動の機会の減少や生活習慣の乱れが生じて
施策方針
いる中、子どもの体力・運動能力の低下が懸念されています。地域人材の積極的活用を
図りながら、児童生徒の体力づくり、食育38など健康増進に向けた取り組みを推進して
いきます。
★特色ある学校づくり
幼稚園、小中学校区の弾力的運用のほか、都甲小、中学校での小中一貫校設置など本
市における適正な学校規模を念頭におき、少子化に対応した新たな取り組みを進めます。
さらに、学校評価制度の導入など学校運営の新しいシステムの構築や学校施設の開放な
ど、地域と連携した学校づくりを推進します。また、インターネットのホームページや、
広報紙などを通じて、各種の行事や学校情報など学校運営に関して、幅広い情報提供に
努めます。
★学校・園の施設整備の充実
児童生徒が、安全で安心し快適に過ごせる学習環境の整備に努め、老朽化した校舎や
体育館などの運動施設等の改善・改修を行います。また、情報化社会に対応できるよう
パソコンなどの情報機器の計画的な整備・更新を図ります。
37
特別支援教育:障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するとい
う視点に立ち、幼児児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、
生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うもの。
38
食育:様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践す
る力を育てること。
41
第 4 章 施策の大綱 — あす(将来)を担うひとづくり —
3 − 2 子育てにやさしいまちづくり
少子化の進展、核家族化、共稼ぎ世帯の増加により多様な保育ニーズが生じています。
地域の将来を担う子どもは、地域全体で見守り育てていくとともに、母親支援や児童の健
全育成などの多様な支援を通じて、誰もが必要な時、安心して利用できる子育て支援サー
ビスの充実を図ります。
★児童福祉の推進
子どもを安心して産み育てられるようなまちづくりの実現に向け、地域ぐるみの子育
てを推進するため、地域子育て支援団体の育成及び活動支援を積極的に行います。
また、保育料の低減に取り組むとともに、多様なニーズに対応するため延長保育・休
日保育など保育サービスを充実し、放課後児童クラブ39などの児童育成環境整備を進め、
家庭、地域、行政が一体となった児童の健全育成に努めます。
施策方針
また、児童虐待防止についても、早期発見・援助のため地域や児童相談所、専門機関
による虐待防止ネットワークシステムづくりを促進します。
★母子(寡婦・父子)福祉の推進
母子家庭、寡婦、父子家庭の多くは、生計の維持や子育てとの仕事の両立など様々な
問題を抱えています。生活の安定化を支援するために福祉資金の貸付などの経済的支援
とともに、関係機関と連携しながら母子自立支援員による相談機能の充実を図ります。
★共働きに優しい環境づくり
男女共同参画社会の進展や社会情勢の変化に伴い、共働き家庭が年々増えています。
誰もが、安心して、子どもを産み育てられるように、子育て世帯のニーズにあった多様
な働く場の確保や就労支援対策を進めていきます。
39
放課後児童クラブ:両親が勤めに出ている学童を、放課後、保護者に代わって保育すること。
学童保育などともいう。
42
基本構想
3 −3 生涯学習の推進
平成 25 年に開館予定の新図書館を市民の文化と教育の拠点とし、市民が生涯にわたっ
て学び、生きがいや豊かな心を育てられるよう学習環境を整え、学習ニーズの把握、地域
人材の活用によるカリキュラムの充実を図るなど、生涯学習体制づくりに努めます。さら
に学校・家庭・地域・職場等を通じて、人権尊重社会の確立を目指します。
★新図書館の整備
子どもからお年寄りまで市民の誰もがゆったりと利用でき、また、様々なニーズに対
応した機能的空間を有し、情報化時代に対応した文化と教育の拠点となる新図書館を整
備するとともに、市民の読書活動を推進するようなプログラム、体制の構築を図ります。
施策方針
★生涯学習の推進
市民の求める多様な学習ニーズに対応するため、バリエーションに富んだ講座等を開
催します。また、公民館活動の充実を図り、受講者の知の循環による指導者の養成を目
指します。
★人権教育の推進
明るく暮らしやすい社会をつくるためには、市民一人ひとりの日常生活の中に、自他
の人権を尊重する意識の定着が必要です。講座の開催や体験型の学習を通して、より平
和な明るい地域社会の実現を目指し、人権尊重の意識のかん養40、啓発を推進します。
3 −4 地域とともに歩む教育
次世代を担うにふさわしい、豊かな人間性と社会性を身につけた青少年の育成のため、
家庭・学校・地域社会が一体となった取り組みを行い、青少年を非行や犯罪から守る環境
浄化活動の強化を図ります。さらに、地域全体で子育てを支え合う体制づくりに努めます。
施策方針
★青少年の健全育成
学校・家庭・地域社会が協働して地域の子どもたちの成長を支える「地域協育ネット
ワークシステム」の構築を推進し、あいさつ運動の推進や通学路の安全活動など地域総
参加での「子育てのまちづくり」を推進します。
40
かん養:水が自然に染み込むように、無理をしないでゆっくりと養い育てること。
43
第 4 章 施策の大綱 — あす(将来)を担うひとづくり —
3 −5 歴史的文化遺産の活用と芸術文化活動の充実
歴史的文化遺産の継承と保護活用、伝統行事等の民俗文化財の継承に努めるとともに、
市民の芸術・文化に親しむ心を育むために様々な芸術文化鑑賞機会の拡大に努め、創作、
発表活動等への支援を図ります。
★歴史・文化財の保護と伝承
本市には、六郷満山文化を始めとする貴重な歴史的遺産、国の重要文化的景観41に選
定された「田染荘小崎の農村景観」や先人たちが日々の生活の中で培ってきた伝統文化
施策方針
が数多く残されています。保存会等の育成・支援などによって、これら有形・無形の文
化遺産を大切に保護し、後世に継承していきます。
★芸術文化活動の推進
「草地踊り」や「真玉歌舞伎」等の伝統芸能活動を支援するとともに、改修した中央
公民館、各地域の公民館及びミニコンサートホールを拠点とした芸術文化活動を推進し
ます。また、市民に優れた文化や芸術に触れる機会を積極的に提供することで、市民の
芸術文化活動への参加支援を積極的に図り、芸術・文化活動の活性化に努めます。
3 −6 スポーツ・レクリエーションの振興
スポーツ・レクリエーション活動は、健康づくりはもちろんこと、地域のコミュニケーショ
ンの円滑化を図るうえで大きな役割を果たすとともに、各種大会における選手の活躍は市
民に夢と元気を与え、市の活性化に大きく寄与するものです。市民の誰もが生涯にわたっ
てスポーツ・レクリエーション活動を楽しめるよう、各種スポーツ団体の育成・支援、各
種プログラムの提供に努めるとともに、活動の拠点となるスポーツ施設の整備を図ります。
★スポーツのまちづくりの推進
施策方針
スポーツ活動を推進するため、丘の上公園を陸上競技場に改修するなど、既存のスポー
ツ施設を活用したスポーツ振興の拠点の整備を図ります。
さらに、誰もが気軽に取り組める「ウォーキング」
「ラジオ体操」等の軽スポーツを推進、
各種スポーツ団体の活動支援及び TMK チャレンジクラブ42への加入促進を図るととも
にスポーツを通じた地域交流を促進し、「スポーツのまちづくり」を進めます。
41
重要文化的景観:地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が
国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできない文化的景観という。その中でも
特に重要なものを、都道府県又は市町村の申出に基づき「重要文化的景観」として文
部科学大臣が選定する。
42
TMKチャレンジクラブ:市内にある総合型地域スポーツクラブで、子どもから高齢者までだれでも参
加でき、スポーツを通じた地域活動を行う特定非営利活動法人。
44
基本構想
4 ふるさとを興す産業づくり
4 − 1 地域資源を活かしたふれあい観光の振興
本市は、昭和 30 年代をテーマにしたレトロな町づくりで年間 40 万人以上が訪れる「昭
和の町」や千年以上の歴史を誇る「神仏習合」という特徴的な文化が根付いた六郷満山ゆ
かりの寺院や石仏などの歴史的遺産、海や山などの自然景観、さらに泉質の異なる六つの
温泉などの貴重な観光資源を有しています。
また、市内に点在する地域資源を活用するため、ネットワーク化により市内での周遊観
光ルートを整備し、近隣市町村との連携した広域観光ルート化を図るとともに、
「食」観光
の推進や伝統行事等も活用した地域イベントの充実に取り組みます。
さらに、中国や韓国など海外からの観光客にも対応できるようインバウンド43対策を推
進し、観光客を温かく迎えるホスピタリティ44あふれる地域づくりに努めます。
★観光資源のネットワーク整備
各地域の特色を活かし、ストーリーやテーマ性のある観光拠点づくりや周遊ルート化
を図ります。また、今後の観光需要が見込める韓国や中国からの誘客促進のため、案内
やパンフレットの多言語化45などインバウンド対策を推進します。
★受け入れ態勢の整備
観光施設や宿泊施設へのアクセス道路など交通基盤整備や駐車場整備、そして観光案
内板の整備を積極的に進め、安全で快適な観光環境の整備に努めます。さらに、観光ボ
施策方針
ランティアガイドによる親切な案内や、ICT を活用した情報提供サービスの活用など総
合的な受け入れ態勢の整備を推進します。
★地域イベントの活用
「ホーランエンヤ」「天念寺修正鬼会」「若宮八幡秋季大祭・裸祭り」等の特色ある伝
統行事を保護・育成するとともに、「五月祭」「高田観光盆踊り大会」「長崎鼻サマーフェ
スティバル」「豊後高田よっちょくれまつり」「そば祭り」などの特色のあるイベントは
情報を広く発信するとともに観光と結びつけて地域の振興を図ります。
★「食」の観光推進
近年、B級グルメ46による観光・地域振興の取り組みが全国的に行われ、大きな成果
をあげています。本市においても、「豊後高田そば」「岬ガザミ」「岬かき揚げ丼」など
の地域の個性豊かな「食」を活用した誘客促進、観光振興を推進します。
43
インバウンド:もともとの意味は「外から中に」。訪日外国人旅行者のこと。
ホスピタリティ:もてなし。もてなす心。
45
多言語化:複数の言語を併存・併記すること。
46
B級グルメ:ぜいたくな食事ではなく、安価で庶民的でありながら、おいしいと評判の料理のこと。ま
た、そのような料理を好んで食べること。
44
45
第 4 章 施策の大綱 — ふるさとを興す産業づくり —
4 − 2 農業の振興
認定農業者47の経営安定対策や集落営農48の体制づくりに努め、これからの時代に対応
できる経営力のある企業的農業者49を育成するとともに、農道や農業用用排水、農業生産
施設の整備など効率的で持続性のある生産体制と環境基盤の確立に努めます。
★地域農業を支える担い手づくり
後継者及び新規就農者の確保対策を促進するとともに、これからの時代に対応できる
経営感覚に優れた企業的農業者を育成します。また、定年帰農の促進や UJI ターンを推
進するとともに、地域農業を支える担い手づくりに取り組みます。さらに、生産拡大を
図るため集落営農を推進するともに、アグリチャレンジスクール等を開催し、小規模農
施策方針
家の育成を図ります。
★農業生産・環境基盤の整備
本市の農業は、海岸部から中山間地域までの変化に富んだ地形の中で、農業が営まれ
ているため、生産活動を支援するために溜池などの生産基盤の計画的な整備・改修を進
めます。さらに、農業生産施設を整備し、生産性の向上、安定的な農業経営の確立を目
指します。
また、適切な農業生産活動を通じて国土・環境保全に資するという観点から、人と環
境にやさしい環境保全型農業50を推進します。
47
認定農業者:農業経営基盤強化促進法に基づき、経営改善のために農業経営改善計画を申請し、市から
認定された農業者のこと。低利融資制度、農地流動化対策、農業者年金の保険料助成等の
各種施策が重点的に実施される。
48
集落営農:集落など地縁的にまとまりのある一定の地域内の農家が、農地利用あるいは農業生産過程の
一部または全部について、共同化・統一化に関する合意のもとに実施する営農形態。
49
企業的農業者:個人や家族で農業を営む農家ではなく、雇用や機械化などを取り入れ販売する、企業と
して農業を営む事業者。
50
環境保全型農業:農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を
通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷軽減に配慮した持続的農業。
46
基本構想
4 − 3 林業の振興
後継者不足や従事者の高齢化が進み、森林の荒廃による水源のかん養51等、林業の公益
的機能の低下が危惧されます。森林資源の保全に努めるとともに、特用林産物52等の生産
基盤の安定化を図り、林業の振興に努めます。
★鳥獣被害対策
有害鳥獣53の被害は年々増加傾向にあることから、鳥獣被害をなくすため、被害対策
研修会や狩猟免許取得講習会を開催し、狩猟免許取得者の増加に努めます。また、狩猟
免許取得者に「箱わな」を貸し出し個体数の減を図るとともに、被害の多い集落には防
護柵の設置を推進します。また、県や他市町村との連携を図るとともに狩猟期間の延長
を行い、有害鳥獣駆除班の活動を支援します。
施策方針
★森林資源の保全
森林は、水資源のかん養や国土保全のため重要な役割を果たすとともに、美しい景観
の一端をなしています。そのため、間伐などの森林の適正管理を支援するとともに、広
葉樹等の植栽や竹林の整備などの多様な森林整備により、公益的機能の高度発揮に努め
ます。
★林業基盤づくり
林業経営の改善、森林資源の有効活用に向け作業道の基盤整備に努めます。また、椎
茸の安定した生産量の確保と品質の向上を図るため、生産施設などの基盤整備を進める
とともに、竹林整備によるタケノコの活用など林業経営の活性化を目指します。
51
水源のかん養:森林の土壌が、降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとと
もに、川の流量を安定させること。
52
特用林産物:食用とされる「しいたけ」、「えのきたけ」、「ぶなしめじ」等のきのこ類、樹実類、山菜類
等、非食用のうるし、木ろう等の伝統的工芸品原材料及び竹材、桐材、木炭等の森林原野
を起源とする生産物のうち一般の木材を除くものの総称。
53
有害鳥獣:人や家畜、農作物等に被害を与える鳥獣(サル、シカ、イノシシ、カラスなど)。
47
第 4 章 施策の大綱 — ふるさとを興す産業づくり —
4 − 4 水産業の振興
守り・育てる漁業の充実や水産物の高付加価値化を促進するとともに、効率的・効果的
な漁業の生産基盤づくりのため、漁場の保全に努め、漁港や漁港関連施設の適正な維持管
理に努めます。
★地域資源を活かした漁業の振興
近年、漁獲量の減少や漁業者の高齢化が進み漁業経営が不安定となっています。
このため、種苗放流54等による沖合及び干潟域の水産資源の回復を図るとともに、資
施策方針
源の持続的かつ高度な利用を図るため、漁業者の自発的な取り組みによる資源管理型
漁業55の定着化を推進します。
★漁業生産基盤の整備
水産業の健全な発展及び水産物の安定供給を図るため、これまで水産基盤整備事業等
により総合的かつ計画的な漁港整備を実施してきましたが、近年、施設の老朽化と共に
改修を必要とする施設が増加しています。今後は、計画的な管理を行うとともに、漁港
や関連施設等の機能診断を実施し、必要な保全工事を進めます。
54
55
種苗放流:育てた稚魚を放流すること。
資源管理型漁業:漁業の主役である漁業者が主体となって地域や魚種ごとの資源状態に応じ、資源管理
を機動的に行うとともに、漁獲物の付加価値向上や経営コストの低減などを図ること
により、将来にわたって漁業経営の安定、発展を目指す漁業のこと。
48
基本構想
4 − 5 地域特性を活かした農林水産業の振興
本市の豊かな自然や恵まれた資源とそれらの中で育まれた各産業を結び付け、グリーン
ツーリズムやブルーツーリズムの戦略的展開を図り産業振興に努めます。
地域特産物の生産から商品開発、流通販路の拡大など農商工連携56を積極的に推進し、新
たな特産品開発や高付加価値化、ブランド化により地域特産物のイメージアップを図ります。
★グリーン・ブルーツーリズムの推進
豊かな自然や農業・漁業の営みなど恵まれた資源を活かし、農家民泊や観光農園、ま
た、建干し網や岬ガザミ等の地域特産魚介類を活用した体験型観光としてメニュー化し、
グリーンツーリズム・ブルーツーリズムを推進します。
★農商工連携の推進
施策方針
顔の見える農林水産物の流通を目指して、直売所などの拠点づくりを進め販売体制の
確立を図るとともに、学校給食への市内農産物の供給拡大を図り地産地消57を推進します。
また、多様な地域資源を活用した 6 次産業化58を推進し、地域振興を図ります。
★「そば」が興す∞(無限)のまちづくり
西日本有数の産地化に成功した「豊後高田そば」の振興を積極的に図り、産地化の確
立のため生産から出荷の品質確保におけるマニュアル化59を推進するとともに、生産性
の向上、流通販路拡大の PR 活動、そばによる豊後高田発の新たな食文化の発信に取り
組みます。
56
農商工連携:農林漁業者と商工業者等が通常の商取引関係を超えて協力し、お互いの強みを活かして売
れる新商品・新サービスの開発、生産等を行い、需要の開拓を行うこと。
57
地産地消:「地場生産―地場消費」を略した言葉で、地元でとれた生産物を地元で消費すること。
58
6次産業化:1次産業(農林水産業)が2次産業・3次産業と連携し、生産だけでなく加工・流通・販
売等を総合的に行うことで、事業の付加価値を高めること。1次産業+2次産業+3次産
業=6次産業 または1次産業×2次産業×3次産業=6次産業。
59
マニュアル化:作業などの手順を体系的にまとめること。またはその冊子をつくること。
49
第 4 章 施策の大綱 — ふるさとを興す産業づくり —
4 − 6 工業の振興
大分県や中小企業基盤整備機構60と連携しながら「大分北部中核工業団地」への企業誘
致を積極的に推進し、雇用の場の拡大、UJI ターン者の就業の場の確保など若者定住促進
を図ります。また、地場企業の健全な発展と経営基盤強化を図るとともに、新分野進出等
への支援に努めます。
★企業誘致の推進
大分北部中核工業団地には、キヤノン関連の企業や、ダイハツ九州(株)関連の企業
など 14 社が立地しています。また、自動車産業の九州への集積の動きに合わせて、本
市や周辺地域に自動車関連企業の進出が相次いでいます。今後も大分県、中小企業基盤
施策方針
整備機構と連携し、大分北部中核工業団地への積極的な誘致活動を推進するとともに、
企業誘致を促進させるための環境整備に努めます。
★地場企業の支援・育成
地場企業が、経済環境や産業構造の変化に対応できるよう企業の経営者と従業員に対
する研修機会の拡大を図るとともに、経営効率化に向けた支援を行います。さらに、企
業の健全な発展と経営基盤強化を図るため、関係機関と連携し、各種の融資制度の紹介、
住環境の整備を図るとともに、新規創業や新しい分野への進出等を支援するための体制
づくりに努めます。
60
中小企業基盤整備機構:平成 16 年に独立行政法人中小企業基盤整備機構法に基づいて設立された独立
行政法人。中小企業やベンチャー企業などの事業者の事業活動に必要な助言や
研修、資金面の支援、地域における施設の整備、共済制度の運営などの種々の
施策を実施し、その事業活動の活性化のための基盤を整備することを目的とし
ている。
50
基本構想
4 − 7 商業の振興
商業と観光の一体的振興策である「昭和の町」や、高齢者向けのまちづくりである「玉
津プラチナ通り」など、地域の特色を生かした商店街づくりを推進します。また、農水産
物のブランド化や地産地消の推進と合わせて、地域の魅力を発信できる商業の振興を図り
ます。
★魅力ある商業・商店街の整備
「昭和の町」では、市、商工会議所、商店街、観光まちづくり株式会社が一体となって、
商店街が最も華やかで元気であった昭和 30 年代の雰囲気漂うまちづくりを推進し、商
品やおもてなしも含めて、昭和のコンセプト61に沿った店づくりに取り組む商業者を支
援します。
また、「玉津プラチナ通り」では、高齢者(市民)がここに来て一日を楽しく過ごせ
施策方針
るような、便利でやさしいまちづくりを推進し、ご長寿、健康、ご利益といったキーワー
ドによる高齢者向けの店づくりや、高齢者が主体となった活動拠点づくりを支援します。
さらに、最も高齢化が進んだ中央通り商店街や、飲食を中心とする宮町商店街につい
ては、住民参画により地域の特色を生かした活性化を図るほか、農業や観光などの地域
資源を活用した商品開発などに取り組む商業者を支援します。
★商店街の観光拠点化
今や全国的に有名となり年間 40 万人以上の観光客が訪れる「昭和の町」が、今後と
も観光拠点として輝き続けるため、昭和の町のコンセプトに沿った「イベント」の開催
や商店の修景事業を進めるとともに、「昭和」をテーマにした新たな観光拠点を整備し、
商店街の観光拠点化を推進します。
61
コンセプト:概念。観念。創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。
51
第 5 章 重点戦略プロジェクト
第 5 章 重点戦略プロジェクト
重点戦略プロジェクトとは、まちづくりを行っていく上で、シンボル的事業として推進
するもので、事業そのものの効果はもちろんのこと、他事業への連鎖反応を誘発させ、ま
ちづくり全体での相乗効果を図ろうとするものです。
1 健康なまちづくり推進プロジェクト
現在、わが国は少子高齢化の進行に伴い、超高齢社会62を迎えつつあります。これに伴
い医療費や社会保障費が急激に増加しつつあり、国、地方を問わず非常に大きな問題となっ
ています。本市において 65 歳以上の高齢化率は 33.9%(平成 24 年1月末住民基本台帳)
という高い水準にあり、今後の高齢化率も上昇傾向にあります。
超高齢化社会は、マイナスの面ばかりが強調されていますが、本市のように自然環境に
恵まれた地域では、都市生活者と違い健康面での不安がなくなれば、時間にゆとりある高
齢者がいきいきとゆったり充実した生活をおくることができます。本市が発展していくた
めには、若者世代、中高年層、高齢者層といった世代間の交流と相互扶助が必要です。
若者世代が健やかに子育てできる環境づくりを推進し、健康で活動的な新しい価値観を
もった中高年層が大きな役割を果たしていくことが必要です。高齢者層には、子育て経験
や様々な職業経験を活かし、地域を支え若者の頼れる存在となることが期待されています。
健康で活動する元気な高齢者を増やし、生きがいを感じながら地域のために長生きして
もらうことが、本市の活力にもつながります。
本市は、平成 23 年 9 月に総合的な健康施策を目指して大学等と連携した「スマート・
ウェルネス・シティ構想首長研究会」に参加
しました。これまでの疾病予防対策に加え、
日常生活の一部としてウォーキングやラジオ
体操、軽スポーツなどを楽しみ、いきいきと
暮らせるまちを実現するため、必要なハード・
ソフトの整備など、健康で幸せな長寿社会を
目指し、全市的な健康なまちづくりの取り組
みを推進します。
62
超高齢社会:65 歳以上の高齢者の占める割合が全人口の 21%を超えた社会。また、65 歳以上の高齢者
の占める割合が全人口の7%を超えた社会は「高齢化社会」、14%を超えた社会は「高齢
社会」と呼ばれる。
52
基本構想
2 定住対策推進プロジェクト
全国的な人口減少、急速な少子高齢化に伴い、本市でも過疎化・少子高齢化の進行によ
る地域活力の減退が懸念されています。本市が将来にわたって持続的な発展を遂げるため
には、若年層の定住人口を増大させることが最重要課題といえます。
本市では、積極的な企業誘致により、これまで大分北部中核工業団地を中心に2千人を
超える新たな雇用の場が生まれるとともに、重点施策として取り組んでいる「子育て支援」
の充実や「学びの 21 世紀塾」などの「教育のまちづくり」などは、市内外からの評価も
高い状況にあります。また、市内全域にわたる光ケーブルネットワーク施設の整備や新図
書館等の公共施設の充実により、都市と変わらない利便性を享受できる環境を整備しつつ
あります。このような状況を最大限に活かし、若者世代の定住促進を推進します。
主な施策としては、若年層でも購入できる安価な優良宅地の造成や周辺部での地域特性を
活かした優良宅地の整備、子育て世代のニーズにあった賃貸住宅等の整備を進めます。また、
豊かな自然環境の中での田舎暮らしを希望する方々のニーズに対応し、空き家バンクの充実
を促進するとともに、住宅改修の助成などの住宅整備に係る多彩な支援を図ります。
また、若者の就労の場を確保するため、引き続き企業誘致を進めるほか、空き店舗や遊
休施設を活用した企業誘致と起業支援により多様な雇用の場の創出を図るとともに、工業
団地等に市外から通勤している人々の定住促進と結婚を促進するため、
「街コン」等の未婚
者の出会いの場づくりなどの「婚活支援策」を積極的に推進します。
さらに、“子育て環境大分県一”を目指して、保育料の低減や「一時保育」のほか、「延
長保育」「休日保育」「病後児保育63」「学童保育64」など、民間、NPO等、行政との協働
による地域ぐるみの子育て支援体制の更なる充実と積極的なPR活動を行います。また、
小児科医の常勤化など小児医療の体制整備を推進するとともに、子育て世帯が共働きしや
すい職場の確保を推進するなど、誰もが安心して子どもを産み育てられる環境の整備を進
めることにより、定住人口の増大を目指します。
63
64
病後児保育:病気回復期の児童を保育すること。
学童保育:放課後児童クラブともいう。両親が勤めに出ている学童を、放課後、保護者に代わって保育
する。
53
第 5 章 重点戦略プロジェクト
3 教育のまちづくり推進プロジェクト
21 世紀を迎え、国際化や情報化、少子高齢化等の社会の急速な変化の中で、それらに
対応する教育が求められています。
本市では、かけがえのない 21 世紀の財産である児童・生徒を中心にすえた「教育のま
ちづくり」を推進しています。完全学校週 5 日制の導入以来、
「確かな学力」、
「豊かな心」、
「健やかな体」の調和のとれた「高田っ子」の育成に全市的に取り組んでいます。なかでも
「学びの 21 世紀塾65」では、21 世紀をたくましく生きる子どもの育成のため、一人ひと
りの子どもの個性や能力に応じた教育を推進します。その中の寺子屋講座では、英会話や
パソコン講座をはじめ、国際人としての感覚を磨くことや、情報化社会の中で積極的に生
きる子どもの育成を目指します。さらに、ボランティアや自然・文化・芸術、職場体験な
ど多様な体験活動やスポーツ・レクリエーション活動を通じて、豊かな人間性と自信あふ
れる積極的な子どもを地域全体で育みます。また、地域の歴史・文化と触れ合いながら学
ぶ機会を通じて、郷土愛を育みます。
今後、少子化に伴い小中学校の統廃合が行われますが、小中一貫校の新設や統廃合後の
校舎を活用した地域教育の拠点づくりを進め、地域とのふれあいや地域活動を通じた教育
の振興と「優しさと豊かな個性」を活かした次世代人材育成を図ります。
また、基礎学力については、幼児期から高校まで、基礎・基本を確かに身につける教育
の充実やきめ細やかな教育実践を行い、子どもの個性を最大限に伸ばす教育の推進を目指
します。
さらに、教育のまちづくりの拠点施設として新図書館の早期開設を図り、幼児から大人、
高齢者まで幅広い世代が集い、学ぶ場となる市民の「学び」の拠点、情報発信拠点として
積極的に活用します。
65
学びの 21 世紀塾:平成 14 年度から完全学校週5日制の受け皿として、自ら学び考える力などを育んで
行くことを目的とした本市独自の事業。
54
基本構想
4 千年ロマン観光推進プロジェクト
本市の中心市街地の商店街では、商店街が活気にあふれ、華やかな時代であった「昭和
30 年代」をテーマに、店舗の外観の改修や「一店一宝」、「一店一品」など商業と観光の
一体的な振興を目指した「昭和の町」として全国的に有名となり、今や年間 40 万人を超
える観光客が訪れるまでになりました。平成 13 年の誕生以来 10 周年を迎え、当初は、
団体客中心であったものが、個人客中心となりニーズも一層多様化しています。
「昭和の町」が持続可能な観光地として、次の段階にステップアップするため、今一度、
「昭和の町」の原点に立ち返り、本来の商店街が持っている人と人がふれあう空間の演出
や、思わず興味をそそられる土産品や特産品の開発など各個店の魅力を向上させるととも
に、拠点となる「昭和ロマン蔵」のブラッシュアップ に取り組みます。さらに、
「昭和の町」
に「昭和」をテーマにした新たな観光拠点を整備することにより新たな観光客の誘致と年
間入込客数の増加を図ります。
本市には、国宝富貴寺大堂、真木大堂、熊野磨崖仏などの六郷満山文化遺産や中世の荘
園村落の姿を今に残し、国の重要文化的景観にも選定された「田染荘小崎の農村景観」な
ど歴史的景観、また、海蝕洞穴や松林など豊かな自然に恵まれた「長崎鼻」や日本夕陽百
選の「真玉海岸の夕陽」など日本の原風景ともいえる豊かな自然や泉質の異なる6つの温
泉もあり、心と体の「癒しの里」として高いポテンシャル を有しています。こうした地域
の優れた観光素材を活かすために、長崎鼻の「花の岬」等の観光交流拠点施設など必要な
施設整備を進めるとともに、地域特性を活かしたグリーンツーリズム、ブルーツーリズム
などの体験、滞在型の観光を推進します。
また、近年B級グルメなど「食」をテーマにした誘客イベントが盛んですが、本市にお
いても「豊後高田そば」や「岬ガザミ」などの海山の特産品を活かしたイベントや新たな「グ
ルメ」の開発など「食」の観光を推進することにより誘客促進を図ります。
さらに、新たな観光客を誘致するため、
「千年ロマン時空の旅」をテーマとした「観光圏
事業」を核として、さらなる広域連携を進め、都市圏からの誘客を促進するとともに、近
年著しい経済成長により、増大している中国、韓国を中心とした近隣諸国からの誘客促進
に取り組みます。こうした総合的な誘客促進対策により市内全域の年間入込客数 200 万
人を目指します。
66
67
ブラッシュアップ:磨き上げること。また、一定のレベルに達した状態から更にみがきをかけること。
ポテンシャル:潜在能力。可能性。
55
第 5 章 重点戦略プロジェクト
5 まちなか魅力向上推進プロジェクト
本市の市街地は、およそ半径1キロメートル以内に商店街、医療機関、官公庁、住宅地
が集中しており、徒歩や自転車で生活ができるコンパクトシティの形態を有しています。
この特性を活かし、都市と変わらない利便性の高い快適な生活環境を実現することにより、
本市の核として定住人口の牽引車的役割を目指します。
主な施策としては、玉津地区における「高齢者が楽しい“おまち”」づくりを促進するため、
高齢者のニーズにあった商品の販売や定期的な演芸等のイベントなどのほか、高齢者が気
軽に集える場の創出を図るとともに、誰もが安心して、楽しく散策できるよう「玉津プラ
チナ通り」や「桂川沿線」の道路・歩道の改良など、歩いて暮らせるまちづくりを進めます。
現在の市役所高田庁舎は老朽化や耐震性に問題があるとともにエレベーターが無いな
ど、早急な対策が必要となっていることから、市民が利用しやすく大規模災害時にも対応
できる行政拠点となる新庁舎の整備に取り組みます。
また、新図書館の建設、現市役所跡地や旧ライスセンター跡地を活用して、市民の新た
な憩い、健康づくりの場となる都市公園等の施設整備を図り、
“まちなか”に新たな魅力と
様々な都市的機能の集積・強化を推進します。そして、市民生活の上で、便利で多機能な
まちづくりを行うことにより、市民の夢をかなえ、喜びを与え、うれしく思っていただけ
る“まちなか”の創造を目指します。
さらに、平成 13 年の誕生から 10 周年を迎えた「昭和の町」の更なる魅力向上を図るため、
昭和の町のコンセプトの原点に立ち返った施策を展開するとともに、若者が気軽に集まる
ことのできる飲食店舗等の誘致や空き店舗を活用した企業誘致及び起業支援など多様な交
流の場所、雇用の場の確保を進めることにより、快適で利便性の高い魅力あるまちづくり
を推進します。
【活性化により目指すべき中心市街地の姿】
「にぎわいと憩い」+「魅力の創出」=「さらに愛されるまちなかへ」
56
豊後高田市総合計画(改訂版)全体像
基 本 理 念
市民一人ひとりの夢のあるまち 豊後高田
基 本 目 標
千年のロマンと自然が奏でる交流と文化のまち
まちづくりの重点戦略
安心して暮らせる
ふるさとづくり
キラリと光る
まちづくり
○市民が主体の地域づくり
・コミュニティ活動の推進
・市民参画システムづくり
・シルバーパワーを活かせるまちづくり
・人権が尊重されるまちづくり
・男女共同参画社会の実現
○交通ネットワークの整備
・広域・幹線道路の整備
・地域交通体系の整備
○人にやさしい福祉の推進
・高齢者福祉
・障がい者福祉
・生活困窮者福祉
○「住んでみたい」まちづくり
・若者世代の定住促進
・市外居住者の定住促進
・住環境の整備
・公園等の整備
・魅力ある中心市街地の整備
○保健・医療の充実
・地域保健・医療サービスの充実
・健康なまちづくりの推進
○安全で安心して暮らせる基盤づくり
・防災体制の確立
・消防・救急体制の確立
・防犯体制の確立と消費生活の安心
・交通安全対策の推進
○生活環境の整備
・上水道・簡易水道の整備
・生活排水の適正処理
・廃棄物処理
・施設のバリアフリー化の推進
・火葬場の運営管理
○ ICT を活用したまちづくり
・ユビキタス社会の実現
○人と自然の共生
・地域リサイクルの推進
・再生可能エネルギー導入の推進
・自然環境の保全と景観づくり
○行政機能の向上
・効率的で便利な行政体制の構築
・情報公開の推進
・人材の育成
あす(将来)を担う
ひとづくり
○夢を描き、実現できる子どもの育成
・確かな学力の育成
・心豊かな子どもの育成
・健やかな体の育成
・特色ある学校づくり
・学校・園の施設整備の充実
○子育てにやさしいまちづくり
・児童福祉の推進
・母子(寡婦・父子)福祉の推進
・共働きにやさしい環境づくり
○生涯学習の推進
・新図書館の整備
・生涯学習の推進
・人権教育の推進
ふるさとを興す
産業づくり
○地域資源を活かしたふれあい観光の振興
・観光資源のネットワーク整備
・受け入れ態勢の整備
・地域イベントの活用
・「食」の観光推進
○農業の振興
・地域農業を支える担い手づくり
・農業生産・環境基盤の整備
○林業の振興
・鳥獣被害対策
・森林資源の保全
・林業基盤づくり
○水産業の振興
・地域資源を活かした漁業の振興
・漁業生産基盤の整備
○地域とともに歩む教育
・青少年の健全育成
○歴史的文化遺産の活用と芸術文化活動の充実
・歴史・文化財の保護と伝承
・芸術文化活動の推進
○スポーツ・レクリエーションの振興
・スポーツのまちづくりの推進
○地域特性を活かした農林水産業の振興
・グリーン・ブルーツーリズムの推進
・農商工連携の推進
・「そば」が興す∞ ( 無限 ) のまちづくり
○工業の振興
・企業誘致の推進
・地場企業の支援・育成
○商業の振興
・魅力ある商業・商店街の整備
・商店街の観光拠点化
重点戦略プロジェクト
健康なまちづくり
推進プロジェクト
定住対策
推進プロジェクト
教育のまちづくり
推進プロジェクト
千年ロマン観光
推進プロジェクト
まちなか魅力向上
推進プロジェクト
57
第3部 基本計画
基本計画
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり
1 市民が主体の地域づくり
1−1 コミュニティ活動の推進
■現状と課題
近年、生活様式や価値観が多様化する中で、地域社会における連帯意識や人間関係の希
簿化、さらには地域への無関心が危惧されています。また、少子高齢化や人口減少に伴い、
周辺部を中心に高齢者が半数以上の小規模集落が増大することが見込まれ、集落機能の維
持が困難な状況になりつつあります。
今後は、今まで以上に地域住民同士が互いに支え合い、助け合う地域福祉活動や防災活
動、防犯活動等を行う地域コミュニティ68体制づくりが重要となっています。
■施策の方向
地域の身近な問題やまちづくりに関して、老若男女を問わず、それぞれの立場で自らが
考え、話し合い、行動していく市民主体のまちづくりができるようなコミュニティ体制づ
くりを支援します。
また、小規模集落の自治会体制等の強化支援を行い、集落機能の維持を図ります。
■取組施策
○コミュニティ活動の支援
現代社会における助け合いやモラル69の意識高揚を図りながら、地域における連帯意識
を基調としたコミュニティ形成の重要性について啓発を進めます。また、自治会など地域
におけるコミュニティ活動支援のため、組織の充実・活性化を図り、活動の核となるリー
ダーの育成に取り組みます。 ○自治会組織の体制強化支援
小規模集落の集落機能の維持を図るため、概ね 100 戸単位を目標に自治会の統合を進め、
地域の抱える諸問題を解決できる地域コミュニティの連携体制づくりに取り組みます。
また、全地域で整備されたケーブルネットワーク施設の効果的な利用を図り、情報発信
と情報交流により、魅力と個性のある様々な地域コミュニティの形成を目指します。
68
地域コミュニティ:自治会をはじめとした日常生活のふれあいや共同活動、共通の経験を通じて住民の
連帯や信頼関係により形成される地域社会のこと。
69
モラル:道徳。倫理。
61
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 市民が主体の地域づくり —
主要な取組事業
コミュニティ活動の支援
●あいさつ運動の推進
●コミュニティ活動支援体制の整備
●コミュニティ活動リーダーの養成
自治会組織の体制強化支援
●自治会組織の再編
●集落機能の維持対策の推進
1−2 市民参画システムづくり
■現状と課題
合併から 6 年あまりが経過し、新しい豊後高田市の一体意識や連帯意識が醸成されつつ
あります。市民の多様な課題やニーズに対応しながら地域の実情にあった施策・事業を進
めていくためにも、市民参画によるまちづくりが重要です。今後は、地方分権・地方主権
が叫ばれる中、積極的な市民参画・協働70が図れるよう、市民が市政に広く参画できるシ
ステムの構築に取り組んでいく必要があります。
少子高齢社会が進む過疎地域において、地域振興や福祉分野の担い手として NPO71・ボ
ランティアの果たす役割は年々増加してきています。現在、本市における NPO 法人は7
団体と少数ながら、より良いまちづくりのための活動に取り組んでいます。
今後、市民と行政の協働する社会の構築に向けて地域活動を促進するためには、NPO・
ボランティア団体が活動の主体となりえるよう、活動基盤の強化に向けた支援が必要です。
さらに、NPO・ボランティア組織間の情報交流や、一般市民への情報提供は十分とはい
えず、今後、NPO・ボランティアと行政との協働による情報提供やネットワークづくりな
ど新たな関係の構築が求められています。
■施策の方向
「まちづくりは市民一人ひとりの手で」という基本的な考え方のもと、市民参画の推進や
市民と行政による協働のまちづくりの実現を目指します。
また、公的サービスではできない、独自性や個別性を強調したサービスが提供されるよ
う、NPO・ボランティア活動を通して市民と行政とのパートナーシップ72によるまちづく
70
協働:同じ目的のために、対等の立場で協力して働くこと。
NPO:民間非営利組織(Nonprofit Organization)の略。医療・福祉、文化・芸術、スポーツ、ま
ちづくり、国際協力・交流、人権・平和、教育、女性などのあらゆる分野における営利を目的
としない民間組織のこと。
72
パートナーシップ:各々が対等の立場で関係を持つこと。提携、協力、協力体制、共同経営などのこと。
71
62
基本計画
り(新しい公共)を推進するとともに、地域が抱える問題に関心をもち、ボランティア活
動への理解を深め、積極的に活動に参加し、支え合い、助け合う地域づくりを推進します。
■取組施策
○市民参画の推進
地域の実情に応じた施策・事業を展開するため、自治会や各種団体との意見交換の場を
設けることによる対話づくりに努め、市民の意向を広く施策に取り入れ、市全体の振興に
資するよう努めます。
さらに、市の計画や規制に関する条例等の制定の過程において、行政情報を積極的に公
開していくとともに、市民からの意見や提案等を求めるパブリックコメント73制度を活用
し、各行政機関の考え方を明らかにしたうえで意思決定を図っていきます。
○ NPO・ボランティアとの連携・協働の推進
市民(NPO・ボランティア等)、企業、行政が一定の目的意識を共有し、相互の特性と
役割を認識し、対等な関係、透明性を基本に NPO・ボランティア活動を推進するとともに、
住みよいまちをつくるために連携・協働の仕組みづくりに取り組みます。
また、さまざまなボランティア団体による交流や情報交換を行うための場所の提供や学
習会・研修会の開催の機会の拡充、NPO 法人化への支援を行い、ボランティア活動を推
進していく条件整備や環境づくりに取り組みます。
主要な取組事業
市民参画の推進
●意見交流会、対話の機会の拡充
●市民との協働事業の推進
●パブリックコメント制度の拡充
NPO・ボランティアとの連携・協働の推進
● NPO・ボランティア活動の推進
● NPO・ボランティアとの協働事業の推進
●活動交流拠点(コミュニティプラザ(仮称))の整備
●学習・研修機会の拡充
● NPO 法人化への支援
73
パブリックコメント:条例や計画を企画立案する場合に、その計画等の案や、市民が検討するために必
要な事項を公表して、市民に広く意見等を求めること。
63
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 市民が主体の地域づくり —
1−3 シルバーパワーを活かせるまちづくり
■現状と課題
平成 22 年国勢調査では、国民の約4人に1人が 65 歳以上の高齢者となり、国内全体
が少子高齢社会に既に突入しています。地方都市にある本市においては、さらに少子高齢
化の進展が早く、3人に1人が高齢者という状況にあります。また、団塊の世代74が 60
歳以上に到達し、高い就労意欲と能力をもった高齢者層が増えつつあります。
このような状況の中での地域振興には、地域社会を熟知し熟練した技能などを持つ高齢
者層が大きな役割を担っており、地域社会で活躍できる場をつくることが必要です。
本市のシルバー人材センター75は、これまで地域の高齢者に「臨時的かつ短期的」な就
業機会を提供してきました。今後は、高齢者の生きがいの充実や地域社会の活性化に多大
な貢献ができるよう、シルバー人材センターもこれまで以上の役割を果たすことが求めら
れています。
■施策の方向
豊富な経験や技能、知識を持った高齢者の活躍の場を拡充し、地域の多様化するニーズ
に活かす取り組みを推進するため、産業から福祉まであらゆる分野においてシルバーパ
ワー76の活用を促進します。
また、シルバー人材センターへの支援を強化し、独自事業の推進や会員参加によるシル
バー人材センターの自主的・自立的運営、シルバーパワーへの地域の理解、シルバー人材
センターを支える地域団体の形成を図ります。
■取組施策
○生きがい支援の体制づくり
高齢者の知識、経験を活かすため、シルバー人材センターと連携し人材確保と人材デー
タバンクの整備を進め、高齢者の力を活かせる場づくりに努めます。また、元気な高齢者
の力を活かすために、NPO・ボランティア活動等に積極的に参加できる場づくりに努めます。
74
団塊の世代:昭和 22 年から同 49 年の戦後ベビーブームに生まれた世代。現在約 680 万人でその前後の
世代と比較すると人口はおよそ2割も多い。
75
シルバー人材センター:定年退職者等の希望に応じた臨時的かつ短期的な就業の機会を確保し、提供す
る業務を行う社団法人。労働省令で定める基準に基づき、都道府県知事が指定
する。
76
シルバーパワー:高齢者の経験やこれまでの実績を地域活性化に活かせる能力のこと。
64
基本計画
○シルバー人材センターの拡大・機能強化
60歳を越えた団塊の世代や女性等の多様な就労ニーズに対応した新たな就業機会の確保
を目指す取り組みを実施するとともに、就業に必要な知識 、 技能の向上のための研修等を
進めます。
○人材データバンクの整備
これまで高齢者の能力開発という労働供給側に力点が置かれていたものを、事業主等の
労働需要側への働きかけも徐々に強化し、公共職業安定所の需給調整機能の向上に貢献す
るよう努めます。
主要な取組事業
生きがい支援の体制づくり
●シルバー人材センター連携事業
シルバー人材センターの拡大・機能強化
●無料職業紹介の充実強化
●高齢者支援事業の拡充
人材データバンクの整備
●シニアワーク・プログラムの拡充
●登録型労働者派遣事業
1−4 人権が尊重されるまちづくり
■現状と課題
これまで「人権教育のための国連 10 年」や豊後高田市行動計画を踏まえ、あらゆる人
権問題の解決に向けた取り組みを行ってきました。しかしながら、今なお人権にかかわる
問題が未解決のまま存在し、国際化や高齢化、少子化、情報化などの社会情勢の変化に伴い、
新たな課題も生じています。
平成 12 年に制定された「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」では国や国民の
責務が明らかにされていますが、人権を尊重する社会の確立は、国とともに地方公共団体
が今後も積極的に取り組むべき課題です。
また、平成 20 年に公布された「大分県人権尊重社会づくり推進条例」では「自己決定、
自己実現の追及」、「差別の解消」及び「多様な価値観と生き方を認め合う社会の実現」を
基本理念としています。現在の人権教育・啓発活動をさらに充実させ、併せて人権に関す
る相談・支援・救済の取り組みを進めるなど、人権施策を総合的に推進することとなって
います。
65
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 市民が主体の地域づくり —
人権施策をさらに推進するため、平成 22 年に策定した「豊後高田市人権施策基本計画実
施プラン」に基づいて、人権が尊重されるまちづくりを目指します。
■施策の方向
「人権尊重社会の実現」を目指し、教育啓発活動や人権擁護に必要な施策を推進するとと
もに、市民の人権意識の高揚に努め、差別をしない、差別を許さない人権尊重社会の醸成
に努めます。
また、市民と行政が一体となり、学校、地域、家庭、職場などさまざまな場を通じて、
人権教育・啓発活動を推進するとともに、人権に関する同和問題をはじめとする諸課題の
解決に向けて取り組みます。
■取組施策
○人権教育・啓発の推進
人権施策の主要な柱は、人権教育・啓発活動の取り組みです。あらゆる差別をなくすため、
生活環境の改善や社会福祉の充実、産業・職業の安定、教育の向上を目指して、学校(保
育所も含む)や企業・団体等の地域社会の中で幅広く教育・啓発に取り組みます。
主要な取組事業
人権教育・啓発の推進
●あらゆる場における人権教育・啓発の推進
●人材の養成と推進環境の整備
●関係機関・団体との連携および市民との協働
●相談・支援・人権擁護の推進
1−5 男女共同参画社会の実現
■現状と課題
男女共同参画社会とは、男女が社会の対等な構成員として、自らの意志によって社会の
あらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、社会
的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会です。
しかし、現状では、ジェンダー意識77や固定的な性別役割分担意識は、家庭や職場、地
域など様々な場面で依然として残っています。男女が共に仕事と家事・育児を分担するこ
とや、子育て・介護等について地域社会で支え合う意識を醸成することが望まれます。
性別にかかわりなく、社会の対等なパートナーシップにより、その能力を十分に発揮で
きる社会を実現するため、男女平等をめぐる意識の変革が重要です。
77
ジェンダー意識:社会的な男女の性別における仕事や職業の偏見。
66
基本計画
■施策の方向
男女共同参画社会の実現に向けて、性差による差別や偏見をなくし、お互いの人格を尊
重する仕組みづくりについて意識の高揚を図るとともに、女性に対する暴力や人権侵害根
絶のための支援体制の強化・充実を図ります。
また、様々な分野で女性が社会活動に参画しやすい環境づくりを整備し、家庭や職場、
地域社会等の環境改善を支援し、女性の社会参画を推進します。
■取組施策
○男女共同参画に向けた意識の啓発
歴史的、慣習的に養われてきた家庭・地域社会における男女の固定的な性別役割分担の
意識を見直し、改めるとともに、性別にかかわりなく、個性と能力を十分発揮できる地域
社会を目指し、学校や職場など地域社会の中で男女共同参画意識の教育・啓発活動に取り
組みます。
○男女共同参画実現のための環境づくり
男女の雇用機会均等の確保や平等な労働環境の整備に努め、働く親のための子育て支援
など社会参加しやすい環境を整備します。
また、各種審議会などへの女性登用を推進し、様々な分野において政策・方針決定への
女性の参画を促進します。
○暴力の防止と被害者支援
家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス78)や地域社会または職場における女性に対
するストーカー79行為、セクシャルハラスメント80の防止に積極的に努めます。また、こ
れらの被害者に対する相談・保護・救済の環境整備など対策を講じ、支援に取り組みます。
78
ドメスティックバイオレンス(DV):Domestic Violence の略。同居関係にある配偶者や内縁関係や両
親・兄弟・親戚などの家族から受ける家庭内暴力。
79
ストーカー:自分が一方的に関心を抱いた相手にしつこくつきまとう人物。待ち伏せ・尾行・手紙や、
昼夜をかまわないでファクス・メール・電話などの行為を執拗(しつよう)に繰り返す。
80
セクシャルハラスメント:性的嫌がらせのこと。
67
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 市民が主体の地域づくり —
主要な取組事業
男女共同参画に向けた意識の啓発
●学校・地域社会における男女共同参画意識の教育・啓発の充実
●男女共同参画に向けた広報・啓発の推進
男女共同参画実現のための環境づくり
●男女の職業生活と家庭・地域生活の両立支援
●雇用等の場における男女の均等な機会と待遇の確保
●政策・方針決定の場への女性の参画促進
暴力の防止と被害者支援
●女性に対する家庭内暴力(DV)やストーカー行為、
セクシャルハラスメントの防止対策の推進
●被害者に対する相談・保護・救済対策の推進
68
基本計画
2 人にやさしい福祉の推進
2−1 高齢者福祉
■現状と課題
本市の高齢化率81は 33.9%(H 24 年 1 月末:住民基本台帳)と、急速に高齢化が進
行しています。高齢化の進行は生産性の低下や医療・福祉サービスの需要の増加、家庭の
変化など社会全体に大きな課題を生み出しています。本市としても、これらの課題に対し
総合的に取り組む必要があります。
また、平均寿命82が延び、以前よりも健康でいられる期間も長くなっているため、高齢
者の健康づくり、生きがい対策等の取り組みを実施しています。
さらに、仕事や社会貢献など高齢期の生活の充実をもとめる高齢者も多く、その就労意
欲を発揮できる機会の充実が求められています。少子高齢社会、核家族化の中で、家庭・
地域での助け合い機能の低下等、地域ぐるみの高齢者生活支援が不十分となっています。
住み慣れた地域で安心して生活できるよう家庭、関係機関、地域ボランティア、老人ク
ラブ等と連携し、思いやりをもって支え合う地域づくりが必要です。
■施策の方向
高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる環境整備を推進します。保健・医療・福祉
の連携のもと高齢者の健康増進を図り、介護や支援が必要な高齢者を地域全体で支える地
域ケア体制を整備し、思いやりのある介護サービスの充実を図ります。
また、地域を支える重要な資源ともいえるシルバーパワーを十分発揮できるよう地域の
高齢者の情報共有や交流の場を整備し、高齢者の積極的な社会参加を促し、いきいきと充
実した生活が送れるよう、生きがい対策に積極的に取り組みます。
■取組施策
○高齢者の自立支援の充実
高齢者が安心して地域で暮らせるよう地域全体で支援活動に取り組むために、民生・児
童委員、ボランティア等の活動を推進します。またケーブルネットワーク施設を活用した
安否確認・緊急通報システムとあわせて、救急医療情報キット83の普及拡大を図ります。
81
高齢化率:全人口に占める高齢者(65 歳以上)の割合。
平均寿命:零歳の人がその後生きられる平均の年数。
83
救急医療情報キット:高齢者や障がい者などの安全・安心を確保するため、かかりつけ医や持病などの
医療情報などの情報を専用の容器に入れたもの。
82
69
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 人にやさしい福祉の推進 —
さらに、高齢者が介護状態に陥ることなく健康な生活を送れるよう、身体健康の維持に
向け筋力向上、食育84、栄養の改善、口腔ケア等の介護予防85に努めるとともに、介護が
必要になっても安心して日常生活ができるように要介護者の生活支援の充実に努めます。
○高齢者にやさしい生活環境の整備
住み慣れた地域で安全に暮らせるよう、住宅や施設等のバリアフリー化86を推進すると
ともに、地域ケアの体制づくりを図り、高齢者が互いに協力し合い生活する「新たな住まい」
の検討を進めるなど関係団体と保健、福祉、介護の総合的な推進に努めます。
さらに、車の運転ができない「買物弱者」対策として、市民乗合タクシーの運行はもち
ろんのこと、各種宅配サービス事業者や移動販売者との連携など多面的な買い物支援策を
推進します。
また、“高齢者が楽しいおまち”「玉津プラチナ通り」の「プラチナ支所」や「プラチナ
笑話館」等の拠点施設を地域からの情報の集約、発信の拠点として充実させるとともに、
地域の高齢者の情報共有や交流の場(サロン)の整備を推進します。
○高齢者の生活支援の充実
高齢者虐待防止マニュアルや認知症のための地域資源マップ、徘徊 SOS ネットワーク
を活用し、高齢者虐待防止及び認知症に関する体制の充実を図ります。また、
「成年後見制
度87」など高齢者の権利擁護に関するサービスを周知し、利用促進を図ります。
○健康で生きがいのある生活づくり
高齢者は、支えられる側としてだけでなく、地域を支える側でもあります。高齢者一人
ひとりが健康で心豊かに生きがいを持って生活ができるよう、老人クラブや各種ボラン
ティア活動を支援し、社会参加活動を促し、文化・趣味・スポーツ等への参加の機会を拡
充します。
84
食育:様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践す
る力を育てること。
85
介護予防:介護が必要な状態(要介護状態)になることをできる限り防ぐ、もしくは遅らせること。ま
た要介護状態であっても、状態がそれ以上に悪化しないようにすること。
86
バリアフリー化:段差などの物理的な障壁(バリア)をはじめ、高齢者や障がい者などの社会参加を困
難にしている社会的、制度的、心理的な障壁など、すべての人にとって日常生活の中
で存在するあらゆる障壁を除去すること。
87
成年後見制度:知的障害、精神障害、認知症などにより不利益を被らないように家庭裁判所に申立てを
して、その人を援助してくれる後見人を付けてもらう制度。
70
基本計画
主要な取組事業
高齢者の自立支援の充実
●生活支援のためのボランティア等の育成・活動支援
●ケーブルネットワーク施設を活用した福祉サービスの提供
●介護予防事業の促進
高齢者にやさしい生活環境の整備
●地域ケア体制の整備
●新しい高齢者の住まいの検討
●住宅・施設のバリアフリー化の推進
●地域福祉の拠点整備(玉津プラチナ通り)
高齢者の生活支援の充実
●高齢者虐待防止及び認知症に関する啓発
●成年後見制度等の利用促進
健康で生きがいのある生活づくり
●老人クラブ等の活動支援
●生涯学習、スポーツ活動、ボランティア活動への参加促進
2−2 障がい者福祉
■現状と課題
現在、障がい者福祉においては、平成 18 年に施行された「障害者自立支援法」に基づ
き、障がい者の地域生活と就労を進め自立を支援する障がい福祉サービスが提供されてい
ます。また、必要なときに必要な医療が受けられる「自立支援医療」により利用者負担の
軽減措置が講じられるなど、障がい者をとりまく環境は大きく変化しています。
障がいの有無にとらわれず、だれもがお互いに人格と個性を尊重し合う社会の構築を目
指し、障がい者が持てる能力を発揮し、自立した生活を営むことができるよう、行政だけ
でなく事業所、地域住民等、地域全体で生活を支援する社会形成が必要となっています。
■施策の方向
障がい者の個々のニーズや適性に応じた就労や日常活動の場の機会を確保し、社会参加
のための支援と自立支援を図ります。また、地域での生活支援として在宅福祉サービスの
充実を図ります。
障がいのある人と介護者が安心して生活できる地域社会を目指し、「心のバリアフリー」
の醸成を図るための啓発活動や障がい者の権利擁護制度の周知や利用促進を図ります。 71
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 人にやさしい福祉の推進 —
■取組施策
○自立した生活支援の環境づくり
障がいのある人が自立した生活を送れるよう、ICT88を利活用したコミュニケーション
手段の確保や情報格差の解消、生活の場の確保、生きがい施策の充実に努めます。
さらに働く意欲と能力のある障がい者が働けるように、「障がい者就業・生活支援セン
ター」及び「障がい者相談支援センター」と連携を図り、雇用の機会拡充に積極的な支援
を図ります。
また、障がい者福祉サービスによる生活支援で、在宅福祉サービスの充実を図ります。
○障がいのある人と介護者が安心して暮らせる生活支援
ユニバーサルデザイン89の視点に立ち、障がい者福祉のまちづくりを推進します。障が
いのある人を支えるボランティア等の育成 ・ 活動支援を行い、人材育成確保に向け、研修
会等の開催に努めていきます。
ノーマライゼーション90の普及・啓発に取り組み、障がいのある人が地域社会の中で共
に生活できるよう乳幼児から高齢期までの各ライフステージ91に対応した支援システムづ
くりに努めます。
また、障がいのある人及び介護者の相談体制の整備充実に努め「成年後見制度」等の利
用促進を図ります。
主要な取組事業
自立した生活支援の環境づくり
●社会参加と就労等の支援
●障がい者支援機関、団体との連携強化
●在宅福祉サービスの充実
障がいのある人と介護者が安心して暮らせる生活支援
●成年後見制度等の利用促進
●介護者の支援
●ノーマライゼーションの普及・啓発
●ボランティア等の育成と活動支援
88
ICT:ICT(Information and Communication Technology)は、多くの場合「情報通信技術」と和
訳される。IT(Information Technology)の「情報」に加えて「コミュニケーション」(共同)
性が具体的に表現されている点に特徴がある。
89
ユニバーサルデザイン:年齢や性別、身体的能力、国籍や文化など人々のさまざまな特性や違いを超え
て、最初からすべての人が利用しやすく、そしてすべての人に配慮したまちづ
くりやものづくり、仕組みづくりを行うという考え方。
90
ノーマライゼーション:高齢者や障がいを持つ人であっても特別視されることなく社会に共に生活する
一員として、一般社会に参加し、行動できるような社会をめざす考え方
91
ライフステージ:年齢にともなって変化する生活段階のこと。
72
基本計画
2−3 生活困窮者福祉
■現状と課題
景気低迷に伴うリストラ92や離婚の増加などにより、それまでの生活基盤を失う世帯が
増加しています。生活基盤が安定しない家庭などに対する経済的な支援や、技能習得のた
めの支援のほか、傷病等で就労できない世帯には生活保護が必要です。生活支援が必要な
市民が、地域社会の一員として自覚をもち、自らが積極的に地域活動に参加することによっ
て、充実した地域生活を行うことが重要です。
■施策の方向
生活保護については、被保護者の所得保障のみでなく、雇用や保健、医療、教育、社会
参加など、幅広い対応が的確にできるような支援活動に取り組みます。また、低所得者援
護については、そのニーズに的確に対応し健康で快適な生活が営めるよう、適正な生活保
護給付を行います。
■取組施策
○生活保護の適正給付と自立支援
生活保護世帯の生活安定のため、就労指導の強化、指導・相談等体制の拡充及び実態把
握に努め、適正な生活保護給付を行います。また、生活保護の適用とならない低所得世帯
についても生活意欲の助長を図りその自立を支援します。
主要な取組事業
生活保護の適正給付と自立支援
●保護の適正実施
●就労指導の強化
●生活指導・相談窓口の充実
92
リストラ:リストラクチュアリング(restructuring)の略。構造を改革すること。特に、企業が不採
算部門を切り捨て、将来有望な部門へ進出するなど、事業内容を変えること。また、それに
伴う人員整理や解雇のこと。
73
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 保健・医療の充実 —
3 保健・医療の充実
3−1 地域保健・医療サービスの充実
■現状と課題
本市では、市民の健康保持のために新生児訪問や乳幼児健診、予防接種、健康診査93、
がん検診など各年代に応じた健診等を実施し、健康相談や各種健康教室などを通じて保健
予防活動に努めてきました。健康保持のためには、個人の意識にかかる部分が大きく、各
種保健事業の受けやすい機会の確保と啓発活動、そして内容の充実が今後も重要になって
きます。また、市内には3つの病院と 11 の診療所があり、市民に身近な医療サービスの
提供を行っており、情報ネットワークを活用した遠隔画像診断の実施により都市との医療
格差の是正にも取り組んでいます。休日及び夜間の救急医療体制については、医師会の協
力のもと、日曜祝日当番による診療体制を整備しており、夜間や緊急を要する場合は、宇
佐高田医師会病院において対応しています。
しかしながら、市内には出産を取り扱う産科はなく、また、小児科は大分大学医学部か
ら週1回、医師が本市を訪れるのみとなっており、市全体でみると診療科目に偏りがみら
れます。
■施策の方向
各種保健事業や乳幼児健診、家庭訪問、相談事業を行い、母子保健事業の充実、また、
効果的な保健指導の推進に努めます。特に健康診査の内容充実と各種啓発活動による受診
率の向上を図り、疾病の予防及び早期発見、早期治療を行うための適切な保健サービスの
提供を行います。
加えて、救急医療体制の充実を図るとともに、広域連携による高度な小児医療や周産期
医療94の充実を図り、安心な地域医療の確立を図ります。
■取組施策
○地域保健活動
市民の健康保持増進のために新生児訪問や乳幼児健診、育児相談、がん検診などの各種
健康診断、健康診断後の健康教室など各ライフスタイルに応じた保健事業を実施します。
特に、壮年期95世代の受診率の向上に取り組み、健診結果を生活改善に活かすための保健事
93
健康診査:一般的には検診と呼ばれる。自治体や保健所が、地域住民の健康や乳幼児の発育状況などを
調査し、疾病の予防や障害の早期発見、および保健指導に役立てるために行う検査。特定健
康診査、がん検診、乳幼児健康診査などがある。
94
周産期医療:周産期とは妊娠後期から新生児早期までのお産にまつわる時期を一括した概念をいい、こ
の時期に母体、胎児、新生児を総合的に管理して母と子の健康を守ること。
95
壮年期:壮年(そうねん)とは成人としてもっとも体力、気力が充実しているとされる年齢。伝統的に
は青年期を終えた 40 歳から 64 歳までを指す。
74
基本計画
業の充実を図ることで、市民の健康保持に努めます。また、予防接種により、疾病の発生
やまん延を防ぎ、公衆衛生の向上に努め、保健指導の充実など地域全体で健康づくりに取
り組みます。
健やかに子どもを産み育てられる体制整備として、関係機関と連携を図りつつ多様化す
る育児相談等に適切に対応できる母子保健の充実を図ります。
○医療体制の整備
医師会、歯科医師会との協力体制や広域での連携を強化する事により、救急医療体制の
充実及び高度医療への対応を図るよう体制整備を行います。さらに小児科については小児
医療の充実を図るため、医師の常駐を目指します。
主要な取組事業
地域保健活動
●健康診査の受診率向上
●生活習慣改善につなげるための保健事業の充実
●予防接種の充実
●母子保健の充実
医療体制の整備
●小児科医の常駐による小児医療の充実
●広域連携による医療体制の整備
●救急医療体制の充実
3−2 健康なまちづくりの推進
■現状と課題
本市の平均寿命(H15 ~ 19 年統計)は、男性 77.3 歳、女性 85.4 歳となっており、
男性の平均寿命は県下 18 市町村中 17 番目に短く、健康でいられる年齢を示す健康寿命96
は男性が 74.5 歳、女性が 78.4 歳と男女ともに 18 市町村中 17 番目と短くなっています。
また、国保特定健診結果をみると、高血圧と高血糖の人が特に多く、医療費の状況をみる
と、循環器系の症例で通院・入院せざるを得ない疾患を抱える人が多いことがうかがえま
す。高齢化社会を迎えた現代では、いかに生涯健康で元気に過ごすかが重要となっていま
す。
健康増進のためには、「栄養バランスのとれた食事」と「適度な運動」、そして「十分
な休養」の三大健康要素を満たすことが大切であり、生活習慣病予防、介護予防の観点から
96
健康寿命:自立して健康で暮らすことができる期間のこと。平均余命(平均寿命)から障がい期間を除
して算出している。
75
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 保健・医療の充実 —
も「栄養指導」、「運動指導」を効果的に行うことを通して、健康づくり意識を醸成するこ
とが必要です。さらに、健康的な生活習慣の継続の為にはスポーツ施設など総合的な健康
づくりの環境整備が必要です。
■施策の方向
本市は、平成 23 年9月に、個々人が健康かつ生きがいを持ち、安全で安心して豊かな
生活を営むことのできる総合的な健康対策を目指し、市民一人ひとりの健康寿命の延長と
医療費の適正化を図ることを目的とする「スマート・ウェルネス・シティ構想首長研究会」
に大分県内市町村ではじめて参加しました。
今後は、栄養バランスのとれた食生活実現のための「食育の推進」と、健康推進員など
の健康づくりのリーダー的人材の育成とともに「日常的な健康づくり」の推進、
「歩きたく
なるまちづくり」の検討など総合的な健康づくり施策を推進し、「スマート・ウェルネス・
豊後高田」の実現を目指します。
■取組施策
○食育の推進による健康づくり
生活習慣病97の予防のためには、子どもの頃から正しい食生活の習慣を身に付けること
が必要です。家庭、職場、学校など、幅広い食育の推進とともに、
「白ネギ」や「そば」を
始め、海・山の産物等の本市の豊かな食材を活用した「ヘルシーメニュー」の開発など、
栄養バランスのとれた食生活の推進による健康増進を目指します。
○運動指導による健康づくり
「ラジオ体操」や「ウォーキング」を始め、市民の誰もが日常生活の中に運動を取り入
れられるように各種フィットネス98教室の開催や効果的な指導内容の充実を図るとともに、
運動を継続するための自主サークルづくりやリーダー的人材の育成に努め、市内全域に活
動の輪を広げます。
○「スマート・ウェルネス・豊後高田」の推進
市民一人ひとりが健康で生きがいを持ち、安全で安心して豊かな生活を営むことのでき
るまち「スマート・ウェルネス・豊後高田」の実現を目指して、市民が日常生活の中で気
軽に健康づくりに取り組めるような環境整備を進めます。 高齢者の筋力トレーニングなどの機器、施設の充実を図るとともに、歩いてみたくなる
歩道や公園の整備など総合的な健康なまちづくりを推進します。
97
生活習慣病:肥満症、高血圧症、高脂血症、糖尿病など、食事・運動・休養・喫煙・飲酒などの生活習
慣がその発症・進行に関与する疾病のこと。
98
フィットネス:健康や体力の維持・向上を目的として行う運動。
76
基本計画
主要な取組事業
食育の推進による健康づくり
●幅広い食育の推進
●地産地消によるヘルシーメニューの推進
●栄養バランスのとれた食生活の推進
運動指導による健康づくり
●各種フィットネス教室の推進
●ラジオ体操やウォーキングによる健康づくりの推進
●自主運動サークルの育成
「スマート・ウェルネス・豊後高田」の推進
●トレーニング機器、施設の整備・充実
●総合的な健康なまちづくりの環境整備
77
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 安全で安心して暮らせる基盤づくり —
4 安全で安心して暮らせる基盤づくり
4−1 防災体制の確立
■現状と課題
本市は、地理的特性から比較的自然災害が少なく“安心して暮らせるまち”といえます
が、地球温暖化に伴う局地的豪雨の増加や台風の大型化、そして東日本大震災のような巨
大地震の発生など、市民の不安はこれまでになく高まっています。本市では「豊後高田市
地域防災計画」を見直すとともに、災害を未然に防止し、大規模地震をはじめとする災害
発生時における被害を最小限に食い止めるため、市民と行政、関係機関の協力によって総
合的かつ計画的な防災体制の整備に努めています。また、ケーブルネットワーク施設を活
用した自主放送や緊急告知放送、さらには J-ALERT(全国瞬時警報システム)などの防
災情報提供システムの整備を進めてきましたが、今後も災害に対する「備え」「初動体制」
「地域防災力」の大切さを踏まえ、すべての市民が安全で安心して暮らせる「災害に強いま
ちづくり」を進める必要があります。
■施策の方向
地震や風水害などの災害に強い安全なまちづくりを目指して、地域防災計画に基づき、
市民と行政等が一体となった総合的な防災体制の確立を図ります。さらに、市民が防災情
報を迅速に受けられるように、ケーブルネットワーク施設を活用した防災情報システムの
充実を図るとともに、その他の情報提供手段についても調査研究を進めます。
また、自然災害などを未然に防止するための砂防、治水事業等や災害応急活動を迅速か
つ円滑に実施するための重要路線等の整備事業を推進し、防災体制の充実を図ります。ま
た、東日本大震災をふまえて、避難所や避難場所等の避難施設の見直しを行います。
■取組施策
○防災体制・対策の確立及び推進
災害から市民の生命や身体及び財産を守るため、砂防、治水事業等による自然災害の未
然防止策を講じ、地域防災計画の充実を図ります。
また、大規模災害時を想定し、ケーブルネットワーク施設を活用した緊急告知放送、携
帯電話のエリアメール99の活用など複数のメディアを使用した迅速かつ正確な情報伝達方
法を構築します。さらに、食糧や生活必需品の備蓄及び防災資機材の確保の充実を図り、
ライフラインの確保に努めます。
また、国民保護法による取り組みを推進するため、危機管理体制の充実に努めます。
99
エリアメール:地震速報や津波などの警報、避難指示などの災害情報を特定のエリアの携帯電話に一斉
送信するメール。
78
基本計画
○避難施設の見直し
東日本大震災をふまえ、大規模災害発生時における避難所、避難場所の見直しをはじめ、
津波対策として沿岸部地域に津波緊急避難場所の設定や津波避難ビルの指定等、避難施設
の見直しを行います。
○防災活動の推進
防災知識の普及啓発を図り、自主防災組織100等地域住民と連携した防災マップの作成等
により災害に対する啓発を行うとともに、地域における防災能力の向上を図るため、地域
防災訓練等の開催や自主防災組織の育成等を推進します。また、災害時要援護者への対応
の充実を図るため福祉活動等との連携に努めます。
主要な取組事業
防災体制・対策の確立及び推進
●防災情報システムの充実
●複数のメディアを活用した情報伝達手段の確保
●防災資機材の整備充実
●災害防止事業の推進
避難施設の見直し
●大規模災害時における避難施設の見直し
防災活動の推進
●防災知識の普及啓発
●防災マップの見直し(津波対策)
●自主防災組織の育成・支援
●防災訓練の実施
100
自主防災組織:自治会などを単位とした地域住民の連帯意識に基づく自主的な防災組織。平常時におい
ては、防災訓練の実施、防災知識の啓発、防災巡視、資機材の共同購入などを行い、災
害時においては、初期消火、住民の避難誘導、負傷者の救出・救護、情報の収集・伝達、
給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行う。
79
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 安全で安心して暮らせる基盤づくり —
4−2 消防・救急体制の確立
■現状と課題
近年、火災をはじめ、各種災害は複雑化、大規模化しており、消火・救助・救急など消
防活動の重要性はますます高くなっています。
地域消防防災の中核的存在である消防団については、大規模災害時等に果たす役割も大
きい一方で、人員不足・高齢化などの課題も抱えています。
また、救急需要は、高齢化の進行や疾病構造の変化により増加傾向にあり、救急処置の
高度化が求められています。救命率の向上のためには医療機関の確実な受け入れ態勢と病
院到着までの救急救命士101の迅速かつ適切な処置が必要であり、周辺医療機関との連携強
化が求められています。
■施策の方向
東日本大震災では、想定を超えた津波被害などの大規模災害が発生しており、本市にお
いても、東南海・南海地震による大規模災害が想定されているところです。地域住民の生
命及び財産を守り、被害を最小限に留めるために、各種災害に迅速・的確に対応できる消
防体制の整備・確立とともに、市民の防火意識の普及啓発活動に努めます。さらに、消防
団活動の活性化に向けて、支援体制の充実強化を図ります。
また、多様化する救急需要に対応するため、広域的な協力体制のもと、高次の救急体制
の整備を進め、医療機関との連携強化を図りながら救急受け入れ体制の充実を図ります。
■取組施策
○消防体制の整備
安心して暮らせるまちづくりを実現するために消防資機材の整備充実や消防救急無線の
デジタル化102を推進します。また、建物火災の被害を低減するため住宅用火災警報器の全
戸設置を目指すとともに、防火意識の普及啓発活動や人材の育成・強化を図ります。
消防団については、消防団活動の活性化に向け、組織の体制整備を行い、団員の育成・
確保・処遇改善を図るとともに、資機材・装備の計画的な配備、安全管理体制の充実、円
滑な出動体制の確立等に努めます。
○救急体制の整備
救急需要の増加や多様化、救急処置の高度化に対応するため、医療機関との連携を図る
101
救急救命士:厚生労働大臣の免許を受けて、事故の被災者や急病人など重度の傷病者を医療機関に搬送
するまでの間、医師の具体的な指示の下に救急救命処置を行うことができる者。
102
デジタル化:消防等で使用する無線電波を有効に活用するため、音声を中心としていた従来のアナログ
通信方式から、多様なデータのやり取りが可能なデジタル通信方式に切り替えること。
80
基本計画
とともに、高規格救急車の導入や救急救命士、認定救急救命士103の人材育成を図ります。
また、高齢者世帯の増加に対応した「救急医療情報キット」の効果的な運用や地域住民へ
のサービスの向上を図るため、AED104の設置及び普及やバイスタンダー105の養成、救命
講習会の実施など救命率の向上に努めます。
さらに、大規模災害や交通事故による集団救急体制の確立を図ります。
主要な取組事業
消防体制の整備
●消防救急無線のデジタル化
●消防資機材の整備
●住宅用火災警報器の設置推進
●防火意識の普及啓発
●消防団の活性化
救急体制の整備
●高規格救急車の導入
●高次救急医療体制の整備
●救急救命士の人材育成
● AED の設置・普及
●応急手当の普及啓発
●集団救急マニュアルの作成
4−3 防犯体制の確立と消費生活の安心
■現状と課題
近年、
「振り込め詐欺」などの高齢者を狙った悪徳商法が蔓延する中、本市では、消費生
活相談窓口の設置や地域安全連絡所の活動及び市報やケーブルテレビなどを利用した各種
啓発活動に取り組んでいます。さらに、各種関係団体や自主的ボランテイア団体等による街
頭補導等を通して、犯罪のない「安全・安心なまちづくり」に努めています。
また、地域の自主防犯組織である「真玉地域まもるステーション」に続き、平成 22 年
4月に「香々地地域まもるステーション」が発足するなど、地域における自主防犯組織の
重要性が増してきています。
今後も「豊後高田市安全安心まちづくり条例」を基本に地域・学校・職場等のきめ細か
な連携がさらに必要となっています。
103
認定救急救命士:厚生労働省所管の救急救命士法にもとづいておこなわれる国家試験に合格し、その認
定を受けた救急救命士のこと。
104
AED:自動除細動器。突然の心停止に際して、電気ショックを与えて心臓を再び動かすための機器。
105
バイスタンダー:救急現場に居合わせ、応急手当を実施する者。
81
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 安全で安心して暮らせる基盤づくり —
■施策の方向
あらゆる事業者・団体等と連携をしながら市民が安全で安心して暮らすことができる地
域社会の実現を目指します。犯罪を起こさせにくい地域環境づくりを基本にして、防犯対
策を推進し、特に市民の防犯意識の啓発と自主的な防犯活動を推進します。
■取組施策
○防犯体制の推進
防犯活動や防犯を目的に地域安全運動期間中における街頭防犯啓発活動を実施し、防犯
意識の啓発に取り組みます。また、防犯協会等と連携をとりながら盗難・犯罪防止活動を
実施します。
さらに、防犯活動の拠点として、各地域における「まもるステーション」の発足を推進し、
自主防犯組織の育成に取り組みます。
○消費生活相談業務の推進
平成 24 年 4 月に、これまでの「消費生活窓口」を新たに「消費生活センター」とし、
相談窓口業務の充実を図ります。「多重債務」や被害の耐えない「悪質訪問販売」や「振り
込め詐欺」の被害防止のため、相談会や市報、ケーブルテレビ等を利用した啓発活動に努
めます。
○少年非行防止の推進
防犯協会や青少年健全育成市民会議等と連携をとりながら、効果的な少年の非行防止を
図り、市報やケーブルテレビ等を利用した広報啓発活動を推進します。さらに、近年の情
報化の進展に伴うインターネット上の性、暴力等の青少年の健全な育成に悪影響を及ぼす
有害環境対策を図るため、家庭での生活を中心としたメディアコントロール106について啓
発活動を行います。
106
メディアコントロール:近年の情報化の進展に伴うインターネット上の性、暴力等の青少年の健全な育
成に悪影響を及ぼす有害環境対策を図るため、家庭での生活を中心にDVDや
インターネット、携帯電話などの電子メディアにおいて、性的表現や暴力的表
現など子どもに悪影響を及ぼす可能性のあるサービスやコンテンツに対して、
視聴・利用制限をかけたりすること。
82
基本計画
主要な取組事業
防犯体制の推進
●運動期間中の車両広報及び啓発活動
●ドアロック調査の実施
●防犯パトロールの実施
●悪質商法による被害防止対策の推進
●自主防犯組織の育成
消費生活相談業務の推進
●消費生活センターの機能強化
●消費生活に関する啓発活動
少年非行防止の推進
●広報啓発活動
●子どもを取り巻く有害環境対策の強化
4−4 交通安全対策の推進
■現状と課題
全国的に少子高齢化が進展する中、高齢者による交通事故の割合は増大しており、本市
においても高齢者の交通安全対策が大きな課題となっています。
これまでも交通安全運動の啓発については、各団体、関係機関と連携しながら実施して
きましたが、継続的な推進が必要となっています。
悲惨な交通事故を起こさないために、常日頃より「思いやり運転」を心がけ、市内の全
ての家庭・地域・職場と一体となった交通安全の推進が必要です。
■施策の方向
交通事故のない「安全で安心して暮らせる豊後高田市」の実現を目指して、今後とも各
関係機関と協力し、街頭啓発活動や市報・ケーブルテレビ等を利用した取り組みを積極的
に推進するとともに、高齢者を対象とした安全指導を促進します。
■取組施策
○交通安全施設の整備
交通事故防止のため、カーブミラーやガードレール等の交通安全施設の整備を図るとと
もに、交通安全道路パトロールを実施します。
83
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 安全で安心して暮らせる基盤づくり —
○交通安全の普及啓発
全国的に実施される春と秋の交通安全運動や大分県独自で実施される夏と年末年始の事
故ゼロ運動期間中など、朝・夕の通勤車両への広報啓発活動や交通安全協会豊後高田支部
会員や市職員による街頭啓発活動を積極的に推進します。
主要な取組事業
交通安全施設の整備
●交通安全施設の整備
交通安全の普及啓発
●交通安全の普及啓発
●高齢者を対象とした安全指導
84
基本計画
5 生活環境の整備
5−1 上水道・簡易水道の整備
■現状と課題
上水道施設は市街地を中心に整備され、簡易水道施設は市内5箇所に整備されています。
安定的な給水サービスを維持するためには、老朽化施設の計画的な改修が必要です。また、
未普及地域では、地下水の利用により飲用水を確保していますが、一部地域では鉄分が多
いなど飲用に適さない水源の地域もあるため、公衆衛生の観点から計画的に整備を行う必
要があります。
■施策の方向
安全で良質な水道水を安定供給するため、地震、災害等に強い水道づくりを目指して、
老朽管の布設替工事を下水道工事と併せて実施し、効率的な整備を推進します。
また、各家庭や事業所、各工場等に対して今後とも安定した水の供給を図るため水源の
確保を図り、渇水に強い水道施設の整備に努めます。さらに、水道未普及地域については、
地域の特性を考慮しながら、効率的な水道整備を図ります。
■取組施策
○水道施設の整備
老朽化した配水管の布設替工事を下水道工事及び道路改良工事と併せて実施し、効率的
な整備を進めるとともに、経費の節減に努めます。また、地域に適した効率的な給水区域
の拡大を進めるとともに、他事業と連携を図りながら事業を行います。
○水の安定供給
地震、災害、渇水等に強い水道施設(予備水源の確保)の整備を推進します。また、機械・
電気・計装の各設備の整備を計画的に推進し、水道水の安定供給を図ります。
主要な取組事業
水道施設の整備
●老朽化施設の改修整備
●給水区域の拡大
水の安定供給
●渇水・災害時の水源の確保
●水道施設の適正な維持管理の推進
85
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 生活環境の整備 —
5−2 生活排水の適正処理
■現状と課題
高田処理区においては、昭和 52 年度より公共下水道の整備がなされ、平成5年度には
終末処理場が供用を開始しました。以来、平成 22 年度末で整備率は約 71%、普及率は
35.4%となっています。また、真玉処理区、香々地処理区も特定環境保全公共下水道によ
り整備が進められ、平成 19 年度に浄化センタ-の供用が開始され、整備率は 95. 9%と
なりました。さらに、臼野地区では農業集落排水、松津地区では、漁業集落排水による汚
水処理が行われており、本市全体の下水道普及率は 50.3%となっています。
処理区域外においては、未だに単独槽の利用が残っているところもあり、生活排水の適
正処理を進めるためにも、合併処理浄化槽107の推進を図る必要があります。
また、雨水対策として、市街地や住宅地の浸水及び主要幹線道路の冠水を防ぐため排水
かんきょ
ポンプ場施設や雨水管渠108の整備を計画的に行う必要があります。
■施策の方向
快適でうるおいのある生活環境及び公共用水域の水質保全のため、下水道は不可欠な施
設です。汚水処理や雨水排除など本市の健全な発展と市民が衛生的・文化的な生活を営む
ため、公共下水道及び農業・漁業集落排水施設109、さらに合併処理浄化槽等による適正な
生活排水処理対策を推進します。
■取組施策
○公共下水道の整備
公共下水道区域の整備を図り、普及率の拡大、水洗化の普及促進を図るとともに、大分
北部中核工業団地への企業立地や、面整備の進捗に伴う汚水量の増大に対処し、効率的な
かんきょ
終末処理場110の施設整備を行います。また、排水ポンプ場施設や雨水管渠の整備を計画的
に推進し、住宅地の浸水防除や主要幹線道路の冠水防除を図ります。
○その他汚水処理施設の普及
農業・漁業集落排水処理区域での水洗化の普及促進に努めるとともに、下水道等計画区
域以外の地域においては、合併処理浄化槽の普及促進を図り、快適な生活環境づくりや公
共用水域の水質保全を図ります。 107
合併処理浄化槽:し尿と生活雑排水を一緒に浄化し、きれいな水にして放流する設備。
雨水管渠(うすいかんきょ):雨水を自然流下させ排水するための管による水路。
109
農業・漁業集落排水施設:農業や漁業への依存度が高い集落で、下水道と同じように整備された、汚水
管や汚水処理場などの施設のこと。
110
終末処理場:下水処理場ともいう。下水を人工的に浄化し、河川や海などに放流するための施設。沈殿
物の除去、微生物による有機物の分解、化学薬品による消毒などを行う。
108
86
基本計画
主要な取組事業
公共下水道の整備
かんきょ
●管渠施設、終末処理場の整備
●公共下水道への加入促進
●雨水排除施設の整備
その他汚水処理施設の普及
●農業集落排水及び漁業集落排水施設への加入促進
●合併処理浄化槽の普及促進
5−3 廃棄物処理
■現状と課題
本市のごみ処理施設は、供用開始以来 30 数年が経過し老朽化が著しく、ごみ質の高カ
ロリー化への対応や維持補修費の高騰、ランニングコストの増大から施設全般にわたり社
会的・物理的・経済的耐用度の限界が近づいており、施設の更新は喫緊の課題です。
こうした状況を踏まえ、平成 19 年9月に宇佐市・豊後高田市・国東市の一般廃棄物を
共同処理するため設立された宇佐・高田・国東広域事務組合が、平成 28 年度末の完成を
めざし、新ごみ処理施設の建設事業に着手しています。この事業計画には、最終処分場111・
リサイクルセンターの併設が含まれており、事業の完成により一般廃棄物全般にわたる処
理体系の確立が期待されます。
■施策の方向
広域一般廃棄物処理場の平成 28 年度末の完成を目指し、宇佐・高田・国東広域事務組
合と連携し、協働して事業の推進を図ります。
■取組施策
○廃棄物処理施設の整備
広域の新たな一般廃棄物処理施設の建設に向け推進を図ります。
主要な取組事業
廃棄物処理施設の整備
●広域一般廃棄物処理場の建設推進
111
最終処分場:不要品のうちリユース(再利用)
、リサイクル(再資源化、サーマルリサイクルを含む)が
困難なものを処分するための施設のこと。ごみ処分場、ごみ埋立地、埋立処分場などとも
呼ばれる。
87
第 1 章 安心して暮らせるふるさとづくり — 生活環境の整備 —
5−4 施設のバリアフリー化の推進
■現状と課題
本市の公共施設は、新たに建築される施設においては大分県の定める「大分県福祉の
まちづくり条例112」に基づきバリアフリー化が進んでいますが、老朽化した建物の多く
は、障がいのある人や高齢者などが安心して利用できる施設であるとはいえないのが現状
です。また、車いすなどの通行に支障となる歩道の段差や障害物なども多く存在しており、
バリアフリー化が望まれています。
今後の社会基盤整備として、あらゆる人が利用しやすいユニバーサルデザインの導入を
図ることが必要となっています。
■施策の方向
高齢者や障がいのある人に配慮し、手すりや段差解消など日常生活が送りやすいよう身
近な生活環境のバリアフリー化を推進します。また、誰もが安心・快適に利用できる人に
やさしいユニバーサルデザインのまちづくりを推進します。
■取組施策
○バリアフリー化の推進
ハートビル法113や交通バリアフリー法114などに基づき、公共・民間建築物や車両などの
公共交通機関、道路や公園などの都市施設について、主に高齢者や障がいのある人などが、
安全かつ快適に生活できる環境の整備を推進します。
○ユニバーサルデザインの導入
ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、あらゆる人が利用しやすい施設・設備の整
備の普及啓発を促進します。
主要な取組事業
バリアフリー化の推進
●公共施設等のバリアフリー化
ユニバーサルデザインの導入
●ユニバーサルデザインの普及啓発
112
大分県福祉のまちづくり条例:すべての人々が自由に行動し、あらゆる分野の活動に参加することがで
きる福祉のまちづくりを進めていくことを目的に施行された条例。バリ
アフリー法の整備基準より範囲を拡大している。
113
ハートビル法:高齢者や障がい者が円滑に利用できる建築物の建築の促進を図るための法律。
114
交通バリアフリー法:高齢者の方、身体障がい者の方、妊婦の方などの公共交通機関を利用した移動の
利便性や安全性の向上を促進する法律。
88
基本計画
5−5 火葬場の運営管理
■現状と課題
本市では、これまで 3 箇所の火葬場(千部火葬場、真玉火葬場、香々地火葬場)におい
て火葬炉を運営してきましたが、設備の老朽化のため新たな火葬場を新設し、平成 23 年
10 月から供用開始となりました。
新しい火葬場の管理運営には、市民ニーズを反映し民間活力を活かした効率的な運営が
求められるとともに、旧施設の跡地及び未利用地の有効活用が求められています。
■施策の方向
新施設は、民間活力を活かし、市民が人生の終焉を迎える場にふさわしい施設運営を行
います。また、千部、真玉の旧火葬場については取壊しを行い、香々地の旧施設及び新火
葬場の周辺については有効活用を検討します。
■取組施策
○火葬場の適正管理
新火葬場の管理運営については、指定管理者制度115の導入などにより、利便性の高い施
設運営を図ります。
○遊休施設等の有効活用
旧千部、旧真玉の火葬場については、取り壊しを行うとともに、旧香々地火葬場及び新
火葬場の未利用地の有効活用を検討します。 主要な取組事業
火葬場の適正管理
●指定管理者による効率的な運営体制の確立
遊休施設等の有効活用
●旧火葬場施設の有効活用
●新火葬場周辺の整備
115
指定管理者制度:地方自治体の設置する公共施設を、指定を受けた民間企業・公益法人、NPO法人な
どが管理者として運営していく制度。
89
第2章 キラリと光るまちづくり — 交通ネットワークの整備 —
第2章 キラリと光るまちづくり
1 交通ネットワークの整備
1−1 広域・幹線道路の整備
■現状と課題
自動車が主要な交通手段である地方都市において、地域産業・経済の振興を図るうえで
広域高速交通体系へ接続することは地域間競争を勝ち抜くうえで欠かせないものです。
しかし、現状では、東九州自動車道(宇佐別府道路)の最寄りのインターチェンジまで
市内中心部から 30 分程度かかっており、アクセス道路の整備が必要となっています。
また、六郷満山文化に代表される多くの文化財施設や恵まれた自然、豊かな山海の幸、
温泉等の観光資源を活用するうえでも、道路網の整備は重要です。
■施策の方向
市内の各地域間の連携強化と交流促進、域外からの交流人口116増加に向けた広域、幹線
道路の整備を関係機関に働きかけます。また、ダイハツ九州関連企業の誘致促進や大分空
港へのアクセス向上を図るため、交通の安全確保と移動時間短縮のための道路整備を促進
します。
■取組施策
○広域高速交通体系への整備
東九州自動車道路(宇佐別府自動車道路)へ接続する地域高規格道路(宇佐国見道路)
の整備促進を強く要望します。
○主要道路の整備
大分北部中核工業団地への誘致促進や観光客の集客に向け、自動車関連企業等が多く集
積する中津市や宇佐市及び大分空港など他地域とのアクセスの利便性、立地条件の向上に
向けて国道 213 号、県道(中津高田線、豊後高田国東線、豊後高田安岐線、新城山香線、
小河内香々地線)や市道の整備を促進します。
116
交流人口:住所地の人口(定住人口)とは異なり、通勤・通学、スポーツ、買い物、観光などさまざま
な人々の交流によりその地を訪れた人口をいう。
90
基本計画
主要な取組事業
広域高速交通体系への整備
●地域高規格道路(宇佐国見道路)建設促進
主要道路の整備
●国道 213 号改良推進
●県道(中津高田線、豊後高田国東線、豊後高田安岐線、新城山香線、
小河内香々地線)の改良推進
●生活道路の改良推進
1−2 地域交通体系の整備
■現状と課題
本市では、国道 213 号沿線以外は交通空白地域となっており、高齢者や障がいのある
人などの交通弱者117の交通手段の確保は、日常生活や交通安全対策の面からも重要な課題
です。
本市では、路線バスの赤字路線廃止後の公共交通の確保と高齢者の通院・買い物等の利
便性の向上を目的として、平成 18 年度から「市民乗合タクシー118」の運行を開始し、現
在の運行路線は 14 路線 15 経路となっています。
さらに、高齢運転者の事故増加が問題化し公共交通の重要性が増しており、平成 22 年
度より 70 歳以上の市民を対象とした「70 パス119」の活用により、路線バスとの乗り継
ぎでも片道 200 円の料金体系を実現しました。
しかし、市民乗合タクシーの乗客は平成 20 年をピークに減少に転じており、利用者の
ニーズに対応した公共交通サービスの体系化及び見直しが課題です。
■施策の方向
住民のニーズの変化を的確に把握し、「市民乗合タクシー」の改良や「70 パス」の充実
を進めるとともに、高齢者等の交通弱者がより利用しやすい新たな交通体系の整備につい
て市内全域を対象に検討し、より良い交通体系の構築を目指します。
117
交通弱者:子ども、高齢者や障がい者などのように、自家用車の運転が困難で、公共交通機関以外に移
動手段を持たない人。
118
市民乗合タクシー:地域の公共交通として通院、買い物など地域の利便性の向上を図ることを目的に行
政が主体となって運行を行っている交通機関の1つ。
119
70 パス:市内の 70 歳以上の方を対象とした路線バスの割引利用券で、「路線バス」を利用又は「市民
乗合タクシー」と「路線バス」を乗り継ぐ場合に、割安で乗降ができる。
91
第2章 キラリと光るまちづくり — 交通ネットワークの整備 —
■取組施策
○利便性の高い交通システムの構築
地域の特性を考慮して、市民乗合タクシーと既存の路線バスを組み合わせた公共交通網
の維持・改良を進めるとともに、公共交通機関の主な利用者である高齢者等の交通弱者に
とって利便性が高く、より利用しやすい公共交通体系の検討を進めます。
主要な取組事業
利便性の高い交通システムの構築
●市民乗合タクシーの改良及び「70 パス」の充実
●利用者のニーズにあった公共交通体系の調査研究
92
基本計画
2 ICTを活用したまちづくり
2−1 ユビキタス社会の実現
■現状と課題
本市では、市内外の情報格差の是正及びテレビ難視聴地域の解消と地上デジタル放送120
移行の対策、ICT を活用した地域振興及び市民福祉の向上を目的に、平成 18 ~ 20 年度
にわたり市内の全世帯を対象としたケーブルネットワーク施設(FTTH 網121)の構築を行
いました。
平成 23 年 11 月末時点の加入率は、概ね 90%に達しており、これにより市内のどこ
でも高速インターネットサービスが受けられる情報通信環境が整うとともに、緊急通報や
安否確認サービスなどの福祉サービス、遠隔画像診断などの医療サービスなどを放送・通
信分野で提供しています。
今後は、商店街振興や宅配サービスなど地域産業の振興に貢献できるシステム整備を行
うことに併せ、ケーブルネットワーク施設の各種機器更新について研究する必要がありま
す。また、地理情報システム(GIS)122 は、随時更新を重ねシステムの構築を図っており、
都市計画、農業、災害対策など多様な分野で利活用されています。今後も福祉分野などさ
らに幅広い分野で活用されるよう整備が期待されます。
■施策の方向
ケーブルネットワーク施設を市民の情報通信基盤として活用するとともに、公衆無線
LAN やスマートフォンなどの携帯情報端末を活用したサービスなど、市民ニーズの変化に
対応した「いつでも、どこでも、だれでも」ICT を活用した快適な情報サービスが受けら
れる環境(ユビキタス社会123)を目指します。
また、統合型 GIS の構築により、行政内の各分野(防災・公有財産管理・上下水道・都
市計画・道路管理・農振管理・森林管理・福祉関係等)の情報を地図データに付加し、幅
広い分野で情報が活用できるようなシステムの構築を目指します。
120
地上デジタル放送:地上のテレビ鉄塔などからデジタル化したテレビ信号での放送。従来のアナログ方
式に比べて高品質な映像や音声を受信でき、デジタル技術を活用した双方向サービ
スも利用できる。
121
FTTH網:「Fiber To The Home」網の略。光ファイバーによる家庭向けの通信サービス。
122
地理情報システム(GIS):Geographic Information Systems の略。文字や数字、画像などを地図と
結びつけて、コンピューター上に再現し、位置や場所からさまざまな情
報を統合したり、分析したり、分かりやすく地図表現したりすることが
できる仕組みのこと。
123
ユビキタス社会:「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークに簡単につながる社会。
93
第2章 キラリと光るまちづくり — ICTを活用したまちづくり —
■取組施策
○ケーブルネットワーク施設の活用
市内全域に整備されたケーブルネットワーク施設を活用し、市民ニーズに対応した情報
を提供するため、各種情報サービスや地域イベント情報などの自主放送番組や、データ放
送を活用したお買い物情報の提供など、地域の情報コンテンツ124の充実を図ります。
○地域情報化の推進
あらゆる分野で利用できる統合型 GIS の構築を推進し、行政サービスの向上を目指すと
ともに、市民が利用しやすい地理情報を活用した各種システムの構築に取り組みます。
また、今や日常生活になくてはならない携帯電話の不感地域の解消に取り組むとともに、
スマートフォン125などの携帯情報端末等の利用環境を整備するため、Wi-Fi 通信126など各
種高速無線通信サービス等の情報環境を整備し、地域産業の振興に活用できるシステムの
構築に取り組みます。
主要な取組事業
ケーブルネットワーク施設の活用
●自主放送(各種行政・防災情報、イベント情報等)の充実
●データ放送など地域情報コンテンツの活用
●ケーブルネットワーク施設を活用した情報サービスの推進
●次世代ネットワークシステムの調査・検討
地域情報化の推進
●行政サービス事務処理の向上
● GIS の利用分野の拡大
●携帯電話不感地域の解消
● Wi-Fi アクセスポイント127整備
●スマートフォンなどの新たな情報サービスへの対応
124
コンテンツ:内容物。中身。書籍の目次。インターネットやケーブルテレビなどの情報サービスにお
いて、提供される文書・音声・映像・ゲームソフトなどの個々の情報のこと。デジタルコ
ンテンツ。
125
スマートフォン:音声通話以外に、インターネット接続、スケジュール管理、メモ機能など、PDAと
同等の機能をもつ多機能型携帯電話。スマホ。
126
Wi‐Fi 通信:Wireless Fidelity の略。無線LANアダプターのブランド名。米国の業界団体、Wi-Fi
アライアンスが機器間の相互接続性を認定したことを示す通信。
127
アクセスポイント:ネットワークで、ホストコンピューターと端末を接続するための中継点。接続点。
サービスポイント。
94
基本計画
3 「住んでみたい」まちづくり
3−1 若者世代の定住促進
■現状と課題
全国的な人口減少、急速な少子高齢化に伴い、本市でも過疎化・少子高齢化が進行し、
これまで先人たちから受け継いできた地域の伝統文化・行事の継承者が不足するなど、地
域社会を支えるコミュニティの喪失が懸念されています。
本市は、大分北部中核工業団地等への企業誘致により雇用の場がある程度確保され、県
北地域の自動車産業の集積も進んでいます。しかし一方で、若者の流出もあり、本市の住
みやすさや魅力、県内でもトップクラスの教育環境や子育て支援の取り組みなどが十分に
情報発信できていないのが現状です。
また、本市の合計特殊出生率128は 1.64 と大分県全体を若干上回っていますが、人口
30,000 人の目標達成のためには、安心して子どもを産み、育てやすい環境整備が重要課
題です。特に、合計特殊出生率の低下の要因として未婚率の上昇が指摘されており、婚姻
数の増加に向けた取り組みも必要となっています。
■施策の方向
若者世代は、現在および将来にわたって地域の活力を担う存在です。本市が将来にわたっ
て発展していくためには、少子高齢化や過疎化の流れに歯止めをかけ、定住人口を増やす
対策が最重要課題といえます。
現在、本市で暮らす若者や子育て世代、さらに近隣市から本市へ通勤する若者を対象に、
賃貸住宅や空家情報、優良分譲宅地等の定住に関する情報提供を積極的に図ります。また、
本市の住みやすさ、子育て環境の魅力を市内外に積極的に情報発信していきます。
さらに、少子化の要因の1つでもある未婚率上昇の抑制を目指して、市全体で「婚活」
支援129に取り組んでいきます。
■取組施策
○若者世代の定住促進と受け入れ体制づくり
時代に即した住環境整備を図るとともに、インターネット等を利用し本市の暮らしやす
さ、アパート等の賃貸物件、優良分譲宅地、空き家情報など各種住宅情報の提供を積極的
に行うとともに、定住相談窓口や定住後の暮らしをトータルでサポートする体制の充実を
128
合計特殊出生率:15 歳から 49 歳までの女性の年齢別出生率を合計した数値で、1人の女性が生涯に生
む子どもの数の平均を示す。豊後高田市の合計特殊出生率 1.64 は平成 16 ~ 20 年平
均で大分県が算出した値。
129
「婚活」支援:婚活は「結婚活動」の略。理想の相手を見つけ、幸せな結婚をするためのさまざま活動
を支援すること。
95
第2章 キラリと光るまちづくり —「住んでみたい」まちづくり —
図ります。
また、大分北部中核工業団地を中心とした市内企業に勤務する市外在住者をターゲット
とした転入促進対策を進めます。
○「婚活」推進事業
未婚率の抑制と若者婚姻世帯の増加を目指して、平成 23 年 11 月に設立した「婚活推
進協議会」を中心に、民間企業などで構成する「婚活応援隊」との連携など官民一体となっ
て、
「街コン」などの未婚者の出会いの場の提供に取り組み、結婚と本市への定住を促進し
ます。
主要な取組事業
若者世代の定住促進と受け入れ体制づくり
●定住相談窓口及び定住後のサポート体制の充実
●定住関連情報の発信
「婚活」推進事業
●婚活推進協議会などの支援団体の活動促進
●仲人養成支援事業
●婚活イベント等の出会いの場の提供
3−2 市外居住者の定住促進
■現状と課題
近年、健康志向や環境意識の高まり、ゆとり・安らぎを求めるなど価値観の多様化が進
んでおり、都市生活者の農山漁村における自然環境などに対するニーズが高まっています。
また、東日本大震災を契機に、安心して暮らせる環境へのニーズも高まっています。
本市は瀬戸内海式気候に属しており、一年を通じて温暖な気候で比較的災害も少なく、
山・川・海、そして温泉など、自然環境に大変恵まれた地域です。この恵まれた自然から
育まれる農産物や魚介類も新鮮で美味しいことから、田舎暮らし希望者にとっては、大変
住み心地の良い魅力的な地域であると言えます。
定住促進を目指し、大分北部中核工業団地を中心とした雇用の場や新規就農希望者への
サポート体制の充実を図るとともに、子育て支援や定年後の帰農に対する支援環境の整備
が重要です。また、UJI ターン130や定住に関する様々な最新情報の提供をはじめ、受け入
れ態勢の充実等を図る必要があります。
130
UJIターン:Uターンは、都市等で生活している人が、出身地に戻って定住すること。J ターンは、
出身地までは戻らず途中あるいは同じ県内の都市などへ移住すること。Iターンは、出
身地以外の地方へ移住すること。
96
基本計画
■施策の方向
本市の気候・風土・自然環境の良さや災害の少なさ、都市と変わらない情報通信環境、
子育て支援の充実、教育環境など住みやすいという特徴を、インターネット、マスコミ、
イベントなどあらゆる媒体を活用し積極的に情報発信し都市在住の若者世代の UJI ターン
を促進します。
また、
「団塊の世代」や田舎暮らし希望者など多様なニーズに対応した優良宅地の整備や
空き家バンクの充実を進めるとともに、遊休農地の斡旋や「アグリチャレンジスクール131」
の開催による生産技術向上、定年帰農の促進など総合的な受け入れ態勢の整備を推進しま
す。
■取組施策
○受け入れ態勢の充実
UJI ターン者のニーズに対応できるように、優良住宅地の整備や「空き家バンク」の充
実を進めるとともに、空き家の改修支援など総合的な住環境の整備を推進します。
また、
「定年帰農者」や自然や農業に生きがいを求める方が安心して農業に取り組めるよ
うに「アグリチャレンジスクール」など農業未経験者でも農業ができるサポート体制づく
りに取り組みます。
○定住情報の充実と情報発信
市のホームページ上で、空き家や市が所有する分譲宅地などの「住む情報」や市内にお
ける「働く情報」などのほか、新規就農を希望する方への支援策や遊休農地に関する情報
など、定住に関する様々な情報をわかりやすく掲載した定住情報サイトの充実を図り、本
市への定住を促進します。
また、UJI ターン者向けの就職説明会の開催やメールによる求人情報の提供など行うと
ともに、都市で開催される UJI ターンイベントや定住情報誌等を活用し、本市の住みやす
さや定住に向けた支援策を PR するなど情報発信に積極的に取り組み都市在住の若者世代
の UJI ターンを促進します。
131
アグリチャレンジスクール:UJIターンや定年帰農などによって新たに農業をはじめる人などを対象
に野菜等の栽培方法などの実習講義を行う市民講座。
97
第2章 キラリと光るまちづくり —「住んでみたい」まちづくり —
主要な取組事業
受け入れ態勢の充実
●空き家バンクの充実
●空き家改修費等の助成
●新規就農希望者へのサポート体制の確立
定住情報の充実と情報発信
●定住情報サイトの充実
● UJI ターンイベントの活用
●多様な情報媒体を活用した情報発信
3−3 住環境の整備
■現状と課題
本市は、560 戸(市営 440 戸、県営 120 戸)の公営住宅を有していますが、築 20
年以上を経過している老朽物件が多く、維持管理費用の増加が懸念されています。 また、住宅設備に関しても現在の生活様式に対応しにくい面もあり、住宅水準の向上が
求められています。
今後は、若者や UJI ターン希望者等の定住を促進するため、地域の特性を活かした多彩
な分譲宅地の整備など住環境整備が求められています。
■施策の方向
本市の民間も含めた住宅事情を踏まえ、耐用年数を超過した老朽化住宅については、ス
トックマネジメント132の観点も取り入れながら、長寿化対策を行い、安全性や入居実態等
を勘案し、廃止、又は建替の検討を行います。
さらに、定住人口の増加を目指して、子育て世代をターゲットとした宅地開発や賃貸住
宅等の開発を促進し住環境の整備に取り組みます。
■取組施策
○公営住宅の整備
耐用年数を大幅に超過している公営住宅については、廃止又は建替を検討するとともに、
子育て世代のニーズに合った賃貸住宅の整備に取り組みます。
132
ストックマネジメント:既存の建築物(ストック)を有効に活用し長寿命化を図る体系的な手法のこと。
98
基本計画
○優良分譲宅地等の供給
定住促進を図るため、利便性の良い立地や地域特性を活かした立地など安価で優良な分
譲用宅地整備を促進します。
また、民間事業者による優良賃貸住宅の整備や宅地開発などを推進し、市外からの転入
促進を目指します。
主要な取組事業
公営住宅の整備
●老朽化公営住宅の廃止又は建替えの検討
●子育て世代のニーズに合った賃貸住宅の整備
優良分譲宅地等の供給
●地域の特性にあった多彩な優良宅地の整備
●民間事業者の住宅開発及び宅地開発の推進
3−4 公園等の整備
■現状と課題
本市では、都市公園及び農村公園、史跡公園等が整備され、市民の憩いの場として活用
されています。平成 22 年度に中央公園が全面リニューアル133され、公園内には広大な芝
生の広場と大型コンビネーション遊具が設置されました。
公園等は、都市防災機能としての役割があり緑地全体を取り込んだまちづくりが求めら
れています。
市の中心地を流れる桂川についても、過去の水害の教訓から水害対策は施されたものの、
一方で人々が近づきがたい川となっています。また、生活排水による水質の悪化や流域内
の雑木等の繁茂などの問題もあり、本来の人々の憩いの場である故郷の川としての姿を取
り戻すためにも、環境整備が必要です。
■施策の方向
市民にうるおいや癒し、やすらぎを与える公園を整備するとともに、適正な維持管理に
努めます。また、市の中心地を流れる桂川を大いに活かし、公園と同様に和みの空間とし
て再生に向けた取り組みを進めます。さらに公園や河川の維持活用には市民の協力は不可
欠であり、自主的活動に取り組む団体等の育成と連携についても進めます。
133
リニューアル:新しくすること。一新すること。再生。また、改装。
99
第2章 キラリと光るまちづくり —「住んでみたい」まちづくり —
■取組施策
○都市公園等の整備
図書館整備に伴い廃止された公園に代わる新しい都市公園等を中心市街地に整備し、
「裸
祭り」や「ホーランエンヤ」などのお祭り広場として、また、玉津プラチナ通りと一体となっ
た高齢者の健康づくりの場とします。また、その他の公園については、子どもからお年寄
りまで遊びや安らぎを与える空間として、公園の適正な維持活用を図るため、地域住民と
の協働を推進します。
○河川周辺環境の整備
市のシンボルである桂川については、中心市街地の「昭和の町」に架かる桂橋を中心軸
にして、賑わいのある「まち空間」に合致した河川環境整備の検討を図ります。
また、ジョギングロードやポケットパーク等既存施設を活用し、川を通して気軽に自然
と触れ合える空間づくりを推進します。また、河川愛護団体との協働を進めるとともに、
流域で活動する各種団体等との交流を推進します。
主要な取組事業
都市公園等の整備
●公園の整備・充実
●公園の維持管理
●地域住民との協働
河川周辺環境の整備
●河川敷及び河川環境整備の推進
●河川愛護団体との協働
3−5 魅力ある中心市街地の整備
■現状と課題
本市の中心市街地エリア及びその周辺には、商店街はもちろんのこと、学校や中央公民
館、市庁舎、警察署、消防庁舎など各種公共施設が集積しているほか、病院などの医療機
関も立地しています。また、商店街周辺には住宅地が集積しており、各種都市機能や住宅
が集積されたコンパクトシティ134が形成されています。また「昭和の町」を核として、観
光客によるまちなかの賑わいも生まれています。
人口減少や高齢化の進展を踏まえると、本市が将来にわたって活力を持続させるために
は、都市機能を強化し「元気のあるまちなか」を創出し続ける必要があります。
134
コンパクトシティ:「住む」も含めた様々な諸活動(「働く」「集う」「学ぶ」「憩う」「発信する」)を都
市の中心部にコンパクトに集積したまち。
100
基本計画
地域の活力源でもある中心市街地は、
「にぎわいと憩いの創出を図り、観光客にも市民に
も愛される中心市街地」へと発展することが求められています。
■施策の方向
“まちなか”の賑わい創出が市全体の活性化をけん引し、市全体の定住促進に繋がるよう
に中心市街地の魅力をさらに高める取り組みを行います。
観光振興と商業活性化に定住促進の視点を盛り込んだ「第2期豊後高田市中心市街地活
性化基本計画135」に基づき、年間 40 万人以上の観光客が訪れる「昭和の町」や「高齢者
が楽しい“おまち”」玉津プラチナ通りなどを核にして、公共機関等が集まる中心市街地の
活性化を図ります。さらに、徒歩や自転車で生活ができるコンパクトシティの特徴を活か
した利便性の高い生活空間の基盤整備を推進します。
■取組施策
○まちなかの魅力向上
コンパクトシティの特性を持った中心市街地の魅力をさらに高めるため、道路及び歩道
の改良整備や定住促進を図るために若者層や子育て世代向けの飲食施設等の誘致促進、空
き店舗を活用した企業誘致と地域特産品を使った起業支援に取り組みます。
また、市民の利便性向上を図るため新図書館や新庁舎を整備し、都市機能の向上に取り
組みます。
主要な取組事業
まちなかの魅力向上
●歩きたくなる道づくり
●若者が集える場の創出
●空き店舗等を活用したテナント誘致と起業支援
●公共施設の整備促進
135
中心市街地活性化基本計画:「中心市街地の活性化に関する法律」に基づき、市町村が中心市街地の活
性化に関する施策を総合的かつ一体的に推進するために作成する計画。
101
第2章 キラリと光るまちづくり — 人と自然の共生 —
4 人と自然の共生
4−1 地域リサイクルの推進
■現状と課題
地球温暖化防止や東日本大震災に伴う省エネルギー対策など地球規模の環境問題への対
策が、自治体や地域、各家庭でも求められています。
本市においても様々なリサイクル活動の支援を行い、「エコマネー136事業」などの啓発
事業を展開するなど市民のリサイクル意識の高揚を図っているところです。
ごみ減量化の取り組みのひとつである「マイバック運動」や簡易包装の推進については、
「レジ袋有料化」により、概ね定着しつつあり、「段ボールコンポスト137」による「生ごみ
減量化」を推進しています。
平成 18 年度には、「豊後高田市環境美化に関する条例」を制定し、市民、事業者そして
行政のそれぞれの立場で、清潔で美しいまちづくりを推進していますが、依然として、ポ
イ捨てや不法投棄の撲滅には至っていない状況です。今後とも、「ごみゼロのまちづくり」
を目指し、市民、事業者そして行政が協働し、また、より踏み込んだ形で自主的な取り組
みを推進していく必要があります。
■施策の方向
地域で循環型社会を構築するため、一般廃棄物の発生を抑制し、資源を有効活用する地
域循環システムの形成を目指します。また、
「ごみゼロぶんごたかだ条例」をもとに「ごみ
のない美しい豊後高田市」を目指した取り組みを積極的に進めます。
また、「エンジョイ・エコクラブ138」の取り組みを通じて、楽しみながら清潔で美しい
まちづくりの推進と地球温暖化防止対策の啓発を進めます。
■取組施策
○一般廃棄物の発生抑制の推進
身近な家庭から出る「生ごみ」の減量化を促進するため、
「段ボールコンポスト」の使用
を積極的に推進するとともに、家庭ごみの分別の徹底と、地域におけるごみの減量化、再
利用、再資源化を図ります。
136
エコマネー:様々なボランティア活動に対して支払われる地域通貨のこと。「エコマネー」という名前
の由来は「エコノミー ( 経済 )」と「エコロジー ( 環境 )」「コミュニティー ( 共同体 )」
が一体となった「エコミュニティー」で流通するお金「エコミュニティーマネー」を略し
た造語。
137
段ボールコンポスト:家庭から出る生ごみを土壌改良材とともに段ボール箱に入れ、その中で減量・堆
肥化を行うもの。
138
エンジョイ・エコクラブ:普段の生活の中で自分たちのできるエコアクションに取り組んだり、エコイ
ベントに参加することにより、ごみの減量、省エネ、CO 2 削減などの環境
問題に関心を持ち、楽しみながら活動するクラブ。
102
基本計画
また、自治会や子ども会等の組織による資源回収推進団体による自主的な地域リサイク
ル活動を支援していくほか、各種イベント開催時には、ごみ減量化・分別・リサイクルの
実践を促すために、「ごみ分別ナビゲート」といった「来場者参加型」の取り組みを通じ、
幅広く市民等に対してリサイクル意識の高揚を図ります。
○環境美化活動の推進
景勝地等の清掃活動を定期的に行う「ごみゼロスタンプラリー」を継続的に実施し、市
民等の美化意識・マナーアップを図ります。また、ポイ捨て防止や不法投棄未然防止と早
期発見のため「ごみゼロぶんごたかだ条例」に基づき、「ごみゼロ G メン」による指導・
パトロールを通じて、自治会や民間団体等とも協力・連携を深めながら、取り組みの強化
を図ります。
○地球温暖化防止対策の推進
環境に優しいまちづくりを推進するために、国、県と一体となって、市民や事業者等に
対し地球温暖化防止や地球環境保全の啓発事業の推進を図ります。
省電力化やグリーンカーテンの推進など事業所における「エコオフィス活動」や家庭で
手軽にエコを楽しむ「エンジョイ・エコクラブ」の取り組みを推進し、地球温暖化防止対
策を積極的に進めます。
主要な取組事業
一般廃棄物の発生抑制の推進
●ごみ減量化、資源化などリサイクル活動の推進
●資源の回収、再生利用の推進
●段ボールコンポストの普及促進
●資源回収推進団体の活動支援
環境美化活動の推進
●環境美化に関する取り組み
●清掃活動団体への支援
●ポイ捨て・不法投棄防止対策の推進
地球温暖化防止対策の推進
●エコオフィス活動の推進
●エンジョイ・エコクラブの推進
103
第2章 キラリと光るまちづくり — 人と自然の共生 —
4−2 再生可能エネルギー導入の推進
■現状と課題
地球温暖化防止策や東日本大震災に伴う原子力発電のリスクの高さから、太陽光や風力
など自然環境に優しい再生可能エネルギーに対する関心がこれまで以上に高まっています。
本市では、一部公共施設において、太陽光発電や太陽熱利用による再生可能エネルギー
を導入していますが十分とはいえず、具体的な取り組みが必要です。
また、市民の環境問題やエネルギー問題に対する意識の高揚を図る観点から、多くの市
民が利用する公共施設に太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入を図る必要があります。
さらに、本市の主要産業でもある畜産廃棄物を活かしたバイオマス発電139などは、循環
型社会を構築するうえで有効な再生可能エネルギーの1つと考えられます。
■施策の方向
本市の気候や風土に適合するような自然エネルギーや廃棄物等を活用した再生可能エネ
ルギーなど環境負荷の少ない再生可能エネルギーの活用促進を進め、持続可能な循環型社
会の形成を目指して、再生可能エネルギーの導入の検討や省エネルギーの普及啓発を推進
します。
■取組施策
○再生可能エネルギー・省エネルギーの推進
環境に優しいまちづくりを進めるため、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入を推
進するとともに、本市のポテンシャル140を活かしたメガソーラー141発電や風力発電、畜
産系・木質系バイオマス発電などの導入についての調査・研究を推進します。
また、市民の環境問題やエネルギー問題に対する意識の高揚を図るため、市民や事業者
に対し、省資源・省エネルギー意識の普及啓発に努めます。
主要な取組事業
再生可能エネルギー・省エネルギーの推進
●再生可能エネルギーの導入推進
●メガソーラー等の再生可能エネルギー導入の調査研究
●省資源・省エネルギーの普及啓発
139
バイオマス発電:動植物に由来する有機物であるバイオマスを燃焼あるいはメタン発酵させ、取り出し
たエネルギーにより発電する方法。
140
ポテンシャル:潜在能力。可能性。
141
メガソーラー:電力会社等が建設を進めている 1 メガワット(1,000 キロワット)を超える大規模な商
業用太陽光発電施設のこと。
104
基本計画
4−3 自然環境の保全と景観づくり
■現状と課題
本市は、美しい自然環境に恵まれ、その中で農山漁村生活が営まれています。そして、
千年の歴史を刻む耕地・村落の基本形態が、現在まで継承されている価値が認められ、「田
染荘小崎(たしぶのしょうおさき)の農村景観」が、平成 22 年 8 月、国の重要文化的景
観142に選定されました。今後は、これら本市独自の自然景観を次世代へと受け継ぎ、育ん
でいくことが課題でもあります。
一方、市全体をみると過疎化や高齢化等の影響により農山漁村集落自体の維持が難しい
状況にあり、今後は農地の荒廃防止や集落機能の低下に対する取り組みが必要となってい
ます。
■施策の方向
森林の維持・保全や海・河川環境の整備など自然環境を保全するため、自然と共生する
まちづくりに努めます。
また、自然とのふれあいの場づくりや環境教育を推進し、自然環境に対する意識の高揚
を図るとともに、不法投棄の監視に努め、企業や開発を行う事業者に対し自然環境の保全
と公害防止を促します。
さらに、
「花いっぱい運動」や荒廃地における花木の植栽推進、緑化団体への支援等、身
近な自然の創造を市民・事業者・行政が一体となって進め、自然を生かした景観づくりに
努めます。
■取組施策
○自然環境保全の推進
市内に残された豊かな自然を将来の世代へ継承していくために、自然環境の保全を目的
とする団体の育成や市民の参画による環境美化活動を推進します。
また、自然とのふれあいの場づくりや環境教育を推進し、自然環境に対する保全意識の
高揚を促進します。
加えて、騒音・大気・水質の監視体制の充実と、これらに関わる公害の防止に努めると
ともに、一般廃棄物や産業廃棄物の不法投棄のパトロール強化などの監視強化を行います。
142
重要文化的景観:文化的景観のうち、文部科学大臣が当該都道府県または市町村がその保存のため必要
な措置を講じているもののうち、とくに重要なものとして選定したもの。
105
第2章 キラリと光るまちづくり — 人と自然の共生 —
○自然景観の保全
自然景観の保全や美しいまちづくりのため、集落の美化運動、農地の景観運動、遊休農
地や山林に花木、広葉樹木の植栽を行い誇れる郷土づくりを推進し、四季を通じた花の咲
くふるさとづくりに努めます。
主要な取組事業
自然環境保全の推進
●環境保全団体の育成
●環境美化活動の推進
●環境教育の推進
●公害監視の充実
自然景観の保全
●田園空間の保全
●農地・遊休地を活用した景観づくり
●花木・紅葉樹木の植栽
●植栽ボランティアや地域コミュニティ活動組織の育成
106
基本計画
5 行政機能の向上
4−1 地域リサイクルの推進
■現状と課題
本市では、市民の利便性の向上を図るため、窓口業務については、全ての庁舎において
ワンストップサービスの推進に取り組んでいます。
合併後、多様化する市民ニーズに対応するとともに、効率的な行政運営を実現するため
市の行政機構の見直しを随時行ってきましたが、今後についても不断の組織再編の検討が
必要です。また、公共施設等については、これまで保育所の統廃合や学校給食センターの
新設など重複した類似施設の統廃合等を進めるとともに、老朽化した火葬場については平
成 23 年 10 月に3カ所を統合した新しい火葬場を設置しました。
今後も行政サービス水準の維持・向上や管理経費削減を目指して、施設の統廃合や民間
委託、指定管理者の活用など民間活力の活用促進を図ることが必要です。
■施策の方向
窓口業務のワンストップサービスの充実や、市民の利便性を追求した市民目線の行政組
織の配置などに努めます。また、定員適正化の観点から内部組織の縮小や定数の削減を行
うとともに、市民の誰もが利用しやすいバリアフリーの新庁舎を整備します。
さらに、事務事業の見直しを進めるとともに、民間企業等でもサービス提供が可能なも
のについては、民間委託等を推進しスリムな行政体制を目指します。
■取組施策
○効率的な行政サービスの実現
老朽化した高田庁舎を取り壊し、市民の誰もが利用しやすい新庁舎を整備します。
整備にあったては、事業費の抑制と既存施設の有効活用の観点から、大分県豊後高田総
合庁舎を活用し、新庁舎の建設規模を抑制するとともに、大分県豊後高田土木事務所等の
関係機関との共同利用を進め、市民の利便性の向上を図ります。
さらに、庁舎移転に合わせて、現在、実施している窓口業務のワンストップサービスの
内容の充実に努めます。
また、スリムで効率的な行政運営を目指し、行政組織の見直し及び人員の適正配置を随
時行うとともに、事務事業の改廃を推進します。
○公共施設等の有効活用
行政機構の見直しや行政改革に伴い発生した遊休施設の有効活用を図るため、民間企業
等への賃借などの検討を促進します。
107
第2章 キラリと光るまちづくり — 行政機能の向上 —
○民間活力の活用
施設の管理運営や業務等に民間事業者等のノウハウ143を活用することによりサービスの
維持・向上や管理経費の節減が見込まれるものについては、業務の委託、移管や指定管理
者制度など民間活力の積極的な活用を推進します。
主要な取組事業
効率的な行政サービスの実現
●新しい発想による新庁舎の整備
●ワンストップサービスの充実
●事務事業の見直しの推進
公共施設等の有効活用
●遊休施設の活用促進
民間活力の活用
●民間への委託事業等の推進
●指定管理者制度の導入促進
5−2 情報公開の推進
■現状と課題
近年、市政の施策の草案の段階から市民参加が求められるなど、市政の透明化と市民と
の協働化が課題となっています。市民の知識とアイデアを市政に反映し、行政能力の向上
を図るためには、市政情報の積極的な公開が必要となっています。
また、個人情報の保護に関する法律や条例の施行により、個人情報及び個人の権利利益
の保護及び適正な取り扱いが求められています。
■施策の方向
個人情報などプライバシーの保護に十分留意しながら市民の知る権利を尊重し、積極的
な情報公開に取り組みます。
また、パブリックコメント制度の充実を図り、各種施策への市民参加を推進します。
143
ノウハウ:ある専門的な技術やその蓄積など。
108
基本計画
■取組施策
○情報公開の推進
情報公開請求に対し、速やかに対応できるよう、文書管理システムを活用した適正な文
書の管理に努めます。また、インターネット等による情報提供を推進し開かれた市政を推
進します。
主要な取組事業
情報公開の推進
●情報公開の充実
●インターネット等による情報提供の推進
●パブリックコメント制度の充実
5−3 人材の育成
■現状と課題
地方分権社会の中で社会情勢の変化に柔軟に対応できる組織になるため、職員一人ひと
りが市民全体の奉仕者であると改めて自覚し、意欲を持って職務に取り組むことが必要と
なっています。さらに、少数精鋭による効率的かつ独創的な行政運営が求められており、
また、多様化かつ高度化する行政ニーズへの対応が求められています。
平成 23 年 3 月に改訂された「豊後高田市人材育成基本方針」は、職員の一人ひとりの
意欲の向上を図り、その能力や可能性を引き出し、組織としての総合力を高めるための人
材育成を図る指針です。
また、人事評価制度の導入や年功序列的な制度の見直しなど、職員の適正評価の実施と
ともにやる気や意欲などを引き出し、職員の能力向上を図ることが必要です。
■施策の方向
市民感覚及び経営感覚並びに高い倫理観を持ち、市民から信頼され、改善意欲やチャレ
ンジ精神を持ち続けるような職員を養成するとともに、高度な専門知識を備えた人材の育
成に努めます。また、各種研修等により、政策形成能力や法務能力、情報化対応能力の向
上を推進します。さらに、能力・実績を重視した人事評価制度の導入により、職員の資質
向上を推進します。
109
第2章 キラリと光るまちづくり — 行政機能の向上 —
■取組施策
○人材育成体制の構築
平成 23 年 3 月に改訂された人材育成基本方針に基づき、求められる職員像及び職員の
能力を定め、人材育成のための各種方策を実施します。職員の能力開発については、多く
の職員に各種研修の受講機会を与え、自発的な資質向上の取り組みを促進します。
また、人事評価制度の導入など職員個々の適正・能力・実績を正当に評価する手法により、
組織の活性化に取り組みます。
主要な取組事業
人材育成体制の整備
●各種研修の機会の拡充
●チャレンジ精神を持つ人材の育成
●高度な専門知識を備えた人材の育成
●人事評価制度の導入
110
基本計画
第3章 あす(将来)を担うひとづくり
1 夢を描き、実現できる子どもの育成
1−1 確かな学力の育成
■現状と課題
たいせいどう
豊後高田市は、大分県最古の寺子屋として知られる「戴星堂」や近代に多くの偉人を輩
かんようしゃ
出した「涵養舎」をはじめ多くの寺子屋が存在するなど昔から教育が盛んな地域です。
本市では、「教育のまちづくり」をスローガン144に掲げ、「確かな学力」「豊かな心」「健
やかな体」の調和のとれた「高田っ子」の育成に全市をあげて取り組んでいます。
本市では、完全学校週5日制の導入以来、基礎・基本の定着や学力の向上のための指導
方法の工夫・改善はもとより、基本的生活習慣の確立や健康教育の充実を図っています。
また、基礎基本定着度調査により、児童生徒の「読み・書き・計算」などの基礎的内容の
習熟度合いや思考力・判断力・表現力などの定着状況を把握分析し課題の克服につなげる
よう努めています。
一方で、幼稚園から小学校、小学校から中学校への進学の過程では、児童生徒に学習面・
生活面で戸惑いもあり、幼稚園と小学校、小学校と中学校間での交流連携が必要となって
います。
また、特別支援学級145に在籍している児童生徒やLD146、ADHD147、高機能自閉症
等により学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対する適切な指導と
必要な支援は、学校教育において喫緊の課題となっています。
今後は、変化の激しいこれからの社会を生き抜くための「確かな学力」や「生きる力」
を身に付けるために、教育現場でのよりきめ細かな対応が求められています。
■施策の方向
「確かな学力」の定着状況を把握し、個に応じたきめ細かな授業の充実や指導方法の工夫
改善、指導と評価の一体化を行い、児童生徒の学力向上への取り組みを推進します。さらに、
幼・小・中・高の連携推進体制の整備により、児童生徒のスムーズな進学支援と学習意欲
の向上、学ぶ楽しさを実感できる教育環境の充実を図り、加えて教職員の指導力向上に努
めます。
144
スローガン:団体や運動の主張や目標を強く印象づけるために、効果的に要約した文章、標語のこと。
特別支援学級:特別支援教育を行う学級。
146
LD:学習障がい。
147
ADHD:注意欠陥多動性障がい。
145
111
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 夢を描き、実現できる子どもの育成 —
また、学力向上と関連の深い基本的な生活習慣の育成や食育の推進を含む健康教育の充
実を図るため、自ら学ぶ意欲を持たせるための地域人材の積極的な活用を推進していきま
す。
各学校において、特別支援教育を必要とする児童生徒の校内支援体制を確立し、保護者
や関係機関と連携をとりながら子どもの社会自立のための適切な指導ができる体制の整備
を図ります。
■取組施策
○学力向上対策
児童生徒一人ひとりの学力の向上を目指して、個に応じたきめ細かな指導、ティーム・
ティーチング148や子どもたちの学習状況にあった習熟度別指導、課題解決学習を実施し、
学習意欲を更に喚起するような授業を行う中で、お互いに認め合い、学びを楽しめる子ど
もを育む教育環境をつくります。また、児童生徒の自ら学ぼうとする意欲(学習力)を育
てるために、地域の人材を学習サポーターとして積極的に活用していく取り組みを推進し
ます。
さらに、児童生徒にどんな力がついたかを、評価規準により、適正に一人ひとりに応じ
て評価し、教師が指導を見つめ直すことが大切です。そのための指導と評価の一体化を推
進するとともに、児童生徒が自分の学びを実感できる自己評価の充実を推進します。
○基本的生活習慣の確立
児童生徒が意欲的・主体的に学習するためには、学びの基礎となる基本的生活習慣の確
立が大切です。児童生徒の生活実態を把握するとともに、家庭との連携による基本的生活
習慣の確立、栄養教諭等を活用した食育の推進や健康教育の充実を図ります。
○幼稚園と小学校、中学校及び高校との連携
幼児教育から学校教育へのスムーズな移行が行われるよう、幼稚園児と小学生の交流や
教職員の教育活動への相互参加等、互いの教育への理解を深める取り組みを行います。ま
た、小学校には中学校教諭を派遣し、児童に教科担任制を経験させることで進学時の不安
を軽減するとともに、中学校教諭による専門的な授業により興味と関心を持たせ、理解を
深められる教育環境を整備します。また、中学校に小学校教諭を派遣し、小学校からの系
統的な授業が行えるように取り組みます。さらに、高等学校教諭を中学校へ派遣し、中学
校と高校との連携を深めます。
148
ティーム・ティーチング:複数の教師が協力して教育指導にあたる方式。協力教授組織ともいわれる。
112
基本計画
○特別支援教育の推進
特別支援教育149を推進するため、就学指導委員会の充実に加え、教育委員会や学校関係
者、医療、福祉、保健等の関係機関と連携し、学習障がい児等への支援のあり方を研究し
実施する体制を整備します。また、各学校における特別支援教育コーディネーター150を中
心とする校内支援体制を確立し、教育的ニーズに応じた支援をするとともに、巡回相談や
専門家チームを活用し、的確に児童・生徒を支援できる体制を整備します。
主要な取組事業
学力向上対策
●学力向上ネットワーク組織の整備
●基礎基本定着度の調査
●指導方法の工夫改善(複数指導、習熟度別指導等)
●学習サポーターとしての地域人材の活用
●個に応じた評価(指導と評価の一体化)
基本的生活習慣の確立
●栄養教諭等を活用した食の指導・健康教育
●児童生徒の基本的生活習慣の実施実態把握
幼稚園と小学校、中学校及び高校との連携
●幼稚園・小学校連携推進体制の整備
●モデル校(園)指定による成果の活用
●小学校・中学校教諭による交流授業の実施
●小学校・中学校連携推進体制の整備
●中学校・高校の連携推進体制の整備
特別支援教育の推進
●地域関係機関との連携
●支援体制の整備
149
特別支援教育:障がいのある幼児・児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援すると
いう視点に立ち、幼児・児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を
高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行う
もの。
150
コーディネーター:いろいろな要素を統合したり調整したりして、一つにまとめ上げる人や職業。
113
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 夢を描き、実現できる子どもの育成 —
1−2 心豊かな子どもの育成
■現状と課題
本市では、学校・家庭・地域と連携し、一体となって「昭和の町は教育のまちです」事
業を進め、「学びの 21 世紀塾」をはじめ、伝統文化の継承、学力・体力の向上に取り組み、
自ら学び、自ら考える力を養うとともに、正義感や倫理観を身につけた幼児・児童生徒の
育成を図っています。
特に、幼児期については、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期で
あり、地域社会の中で幼稚園と家庭が十分な連携をとり、望ましい発達を促していくこと
が必要です。
一方で現在の幼児・児童生徒の傾向として、基本的生活習慣の欠如や人との関わりあい
の回避、自制力や規範意識等の欠如が見られます。このような問題を解決するためにも、
地域と家庭、学校の連携によるボランティア活動などの社会奉仕体験活動・自然体験活動
等の豊かな体験活動を通して地域全体での子育てが必要となっています。
■施策の方向
幼児・児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むためには、生命を尊重する心と他者への
思いやり、正義感や倫理観、美しいものや自然に感動する心の育成が必要です。
道徳教育の充実を図るため、人間としての在り方や生き方を学ぶ心の教育を推進し、豊
かな感性とあたたかい心、広い視野とたくましさを持った個性的な子どもたちを育んでい
くため、家庭、地域との連携による体験を通した「生きる力」の育成に努めます。
■取組施策
○豊かな体験活動の推進
「生きる力」のもとになる「豊かな人間性」を育むため、道徳教育の充実を図り、ボランティ
ア活動等の社会奉仕活動や自然・文化・芸術の体験活動、職場体験学習などの活動を通して、
地域全体で子育てに取り組みます。
○学校・家庭・地域との連携
保護者と学校、地域が協働して子育てを語り、行動できる場を設定します。また、未来
の郷土を創る心豊かでたくましい子どもを育むため、
「子育て講演会」など各種講演会の実
施や社会教育との連携を図り「やる気」と「自信」のもてる教育に地域協働で取り組みます。
114
基本計画
○幼児教育の充実
各幼稚園での創意工夫により、幼児の心身の発達と幼稚園及び地域の実態に即応した適
切な教育課程を編成するとともに、多様化した保護者のニーズに対応するため、各種学習
教室や豊かな自然体験・社会体験活動の充実を図り、家庭と地域、行政が一体となった幼
児教育を推進します。
主要な取組事業
豊かな体験活動の推進
●道徳教育の充実
●ボランティアなど社会奉仕に関わる体験活動
●自然・文化・芸術に関わる体験活動
●勤労に関わる体験活動
学校・家庭・地域との連携
●家庭や地域との連携推進体制づくり
●地域の協働による子育て啓発活動の推進
●モデル校指定による成果の活用
幼児教育の充実
●幼児の実態に即した適切な教育課程の編成
●各種学習教室の充実
1−3 健やかな体の育成
■現状と課題
社会環境や生活様式などの変化により、運動の機会の減少や生活習慣の乱れが生じてお
り、子どもの体力・運動能力の低下をはじめ、自分の体をうまくコントロールできない子
どもが増加しています。
本市においても、平成 20 年度から始まった全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結
果から、児童生徒の体力の低下が明らかになりました。子どもたちの運動の「量」「質」と
もに、低下が指摘されています。
そこで、日常的に子どもが体を動かし、睡眠や食生活など基本的な生活習慣を確立する
ためには、家庭での取り組みが欠かせないことから、保護者が子どもの体力や健康に対す
る意識を高めることが必要です。また、学校においても、体育の授業をはじめ、学校の教
育活動全体を通じた健康・体力づくりを図ることが大切です。
食に関する指導については、全体計画や年間指導計画を作成し、教職員が関係機関と連
携をとりながら、給食の時間、各教科などにおいて組織的、計画的、系統的に指導を行っ
ています。 115
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 夢を描き、実現できる子どもの育成 —
■施策の方向
児童生徒が運動の楽しさや喜びを味わうとともに、自己の能力に応じた運動課題を解決
できる授業を展開します。また、授業の充実を図るため、学ぶ意欲を持たせるための地域
人材の積極的な活用を推進していきます。
体力づくりや体力向上のための研究推進校を中心に、特色ある学校体育についての実践
研究に取り組み、その成果を市内全体に広め、体力向上についての啓発と取り組みの拡大
を図ります。
中学校においては、新教育課程で必修となった武道やダンスの指導の充実を図ります。
また、児童生徒が自ら健康管理ができるように食に関する指導の充実を図り、健康増進
に向けての取り組みを計画的に推進していきます。
■取組施策
○体力・運動能力の向上
児童生徒の体力・運動能力の実態を把握し、運動の楽しさや喜びを味わえる授業の展開
を目指すとともに、教師の指導力の向上及び指導方法の改善を行い、体育授業の充実を図
ります。
また、運動量の確保、運動の質の向上、効果的な場の設定、学習カード等の活用などを
取り入れた授業展開を推進していきます。
さらに、特別活動、総合的な学習の時間、運動部活動など、学校の教育活動全体を通じて、
体力の向上に取り組みます。
○地域指導者との連携の推進
小中学校において、体育授業の充実を図るため、地域における競技団体等との連携を進
め、専門的指導者を外部指導者として積極的に活用するよう努めます。
○家庭や地域と連携した食育の推進
食に関する情報の収集と積極的な情報発信により、学校、家庭、地域の間で児童生徒の
食生活の状況や基本的な生活習慣の課題を明確にし、学校だよりや学校給食だよりなどの
活用、PTA懇談会や食育講演会等の開催により共通理解を図ります。
116
基本計画
主要な取組事業
体力・運動能力の向上
●体育授業の充実
●体育集会(全校遊び)
、ふれあい集会(伝承遊び等)
、体育的行事の充実
●新体力テストの実施
地域指導者との連携の推進
●小学校の専門的な技術や指導力を有する地域のスポーツ指導者の活用
●中学校部活動や武道・ダンス授業の充実を図るための外部指導者の活用
家庭や地域と連携した食育の推進
●食育の指導体制と指導内容の充実
●家庭と地域が連携した食育を通じた健康教育の推進
1−4 特色ある学校づくり
■現状と課題
児童生徒及び保護者のニーズの多様化や学区の弾力的運用など特色ある学校づくりが求
められています。また、保護者や地域に対し学校運営等に関する説明責任が強く求められ
ています。
現在、本市では教育課程の見直しや指導方法の工夫・地域の人材活用等、特色ある学校
づくりに取り組んでいます。今後も、家庭・地域と連携しながら、地域に信頼される、魅
力ある学校づくりを推進していく必要があります。
■施策の方向
家庭や地域からの学校評価の活用や学校評議員制度や学校運営協議会(コミュニティ・
スクール)制度などの学校運営システムの更なる充実を図り、児童生徒や保護者、地域住
民などの意見を十分に把握していきます。 また、積極的に ICT を活用し学校情報の提供を行うなど地域に開かれた特色ある学校づ
くりを推進するとともに、教職員の意識改革にも取り組みます。
さらに、社会生活に必要な協調性や社会性を身につけた豊かな人間育成を図るために児
童生徒数の推移を注視しながら、学校の適正配置や適正規模の推進を図ります。
■取組施策
○学校運営のシステムの構築
学校が保護者や地域住民等の信頼に充分に応えられ、学校としての説明責任を果たすた
め、学校評価を積極的に行う体制を充実します。特に、開かれた学校づくりを推進する観
点から、学校運営に関して保護者や地域住民の意向を把握・反映するため学校評議員制度
117
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 夢を描き、実現できる子どもの育成 —
や学校運営協議会(コミュニティ・スクール)制度の更なる充実を図ります。また、教職
員評価システムを導入し、教職員の能力開発、資質向上と学校組織の活性化を目指します。
○学校規模の適正化の推進
児童生徒が互いに刺激しあい、学習効果を上げるためには、適正な人数で学習すること
が必要です。学校規模の適正化を図り、学習環境を整えて、より充実した教育を進めます。
また、過疎化・少子化で児童生徒が減少する中、校区の弾力的運用や都甲小学校と都甲
中学校の統合を図り、新たな教育課程の編成など先進的かつ地域に即した特色ある学校づ
くりに取り組みます。
○情報の提供
学校・家庭・地域が連携し協力して開かれた特色ある学校づくりを実現するため、学校
の教育方針や行事などの情報を提供し、家庭や地域と情報を共有するための事業を推進し
ます。
主要な取組事業
学校運営のシステムの構築
●学校の自己評価の充実
●地域住民等外部評価の充実
●学校評議員制度・学校運営協議会制度の充実
●教職員評価システムの導入
学校規模の適正化の推進
●幼・小・中学校の適正配置
●適性規模化の推進
●校区の弾力的運用
●都甲小中一貫校の創設
情報の提供
●ホームページの作成
●各学校広報誌の作成
1−5 学校・園の施設整備の充実
■現状と課題
これまで市内の各学校施設については耐震診断や耐震補強工事など整備改修に取り組
み、一定の整備を行いました。しかし、各学校を個別に見ると築 30 年を越える施設も多く、
設備や内装等の大規模な改修も必要となっています。
118
基本計画
今後は、平成 23 年 2 月に豊後高田市総合教育計画審議会から答申された「公立小中学
校の規模の適正化について」を考慮しつつ、児童生徒が安全に安心して快適に過ごせる学
習環境の整備に努める必要があります。
また、本市の学校施設のパソコン機器の整備状況は、児童・生徒 2.9 人に1台と県下トッ
プクラスのレベルですが機器等の老朽化も進んでおり、時代やニーズに即した環境整備を
検討し、技術革新のスピードに対応した人材育成を図る必要があります。
■施策の方向
老朽化した施設の改修、改築等により児童生徒の安全・快適な教育環境の整備を図りま
す。また、目まぐるしく進歩する ICT 社会に対応した情報化教育を積極的に推進します。
■取組施策
○学校・園の施設の充実
建築年数が古く耐震構造が備えられていない学校・園の施設について、計画的な大規模
改修等を行い、施設の耐震化と長寿命化を図ります。さらに、老朽化による危険な施設等
の点検を行い、必要に応じた安全対策を講じます。
○情報化教育の推進
既設パソコンの経年劣化や老朽化した機器の計画的入れ替え・更新、新たなソフトウェ
ア151の導入を検討します。
デジタル機器を活用した効果的な授業を実施するため、学校現場の研修、講習会を実施
し、個々の技量の向上を図っていきます。
主要な取組事業
学校・園の施設の充実
●学校施設の耐震化
●学校施設の長寿命化
情報化教育の推進
●パソコン整備事業
●パソコン研修の実施
151
ソフトウェア:コンピューターの処理の手順を示すプログラムの総称。ワープロソフトや表計算ソフト
が代表的なもの。
119
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 子育てにやさしいまちづくり —
2 子育てにやさしいまちづくり
2−1 児童福祉の推進
■現状と課題
核家族化による家族形態の変化や近隣との人間関係の希薄化、共働き家庭の増加に伴い、
地域社会との交流の機会が減少傾向にあるなかで、育児不安や子育てなどの相談が気軽に
でき、親子が集う場や世代間の交流の場が必要となっています。少子化は本市の将来に大
きな影響を与える問題であり、少子化に歯止めをかけるため、地域で子どもを安心して生
み育てるための総合的な施策の実施が求められています。
本市では「子育て支援」を最重点施策の一つとして位置づけ、平成 17 年の1市2町の
合併と同時に総合的な子育て支援の窓口を設置し、子育て中の親子が自由に集える「つど
いの広場“花っこルーム”」を実施してきました。また、多様化する子育て支援ニーズに対
応するため、関係機関や専門機関との連携により子育て支援総合コーディネート事業を実
施しており、保護者の方が仕事や病気等で育児に困ったときに対応した「地域子育てサポー
ト事業」及び「一時保育促進事業」や病後の児童を預かる「病後児保育152事業」を展開し
ています。さらに、地域社会との交流の機会が少ないことから子育ての不安や悩みを抱え
孤立した家庭の支援策として、
「家庭訪問型子育て支援事業」を開始しています。また「放
課後児童クラブ153」の拡充や幼稚園、保育園での延長保育や休日保育の実施、そして、保
育料の低減や就労支援などを含めた総合的な子育て支援の充実を図っています。
しかし、少子化傾向を止めるまでには至っておらず、今後は、子育てをしている全ての
家庭の支援を「子育ての社会化」として地域社会全体で、子育てを支えていくことが求め
られています。
また、平成 18 年 2 月に「豊後高田市要保護児童対策地域協議会」を設置し、児童虐待
防止法の改正に伴い、さまざまな相談や通告に対応する一義的な窓口として家庭相談室を
設置しています。関係機関と連携を密にすることにより、今後とも虐待の未然防止や早期
発見に努めていきます。
■施策の方向
子どもを安心して生み育てられる「子育て環境大分県一のまち」の実現に向けて、家庭
と地域の連携、関係機関、そして民間事業者との連携を強化するとともに、NPO団体や
ボランティアなどの子育て支援組織の育成に努め、地域で子育てを支えあう体制づくりを
推進します。
152
153
病後児保育:病気回復期の児童を保育すること。
放課後児童クラブ:両親が勤めに出ている学童を、放課後、保護者に代わって保育すること。学童保育
などともいう。
120
基本計画
また、多様化する個々のニーズに対応できるよう保育サービスのさらなる充実を図りま
す。
加えて、児童虐待防止等の子どもの安全な環境の確保と危機管理に積極的に取り組みま
す。そのため子育ての情報提供や相談体制づくり、地域交流機会の充実、子育てサポーター
制度の整備に取り組みます。
■取組施策
○保育サービスの充実
保育料の低減に加え、乳幼児保育や延長保育、休日保育、一時保育、障がい児保育、さ
らに保護者の急用に対応した一時預かり保育や病後児保育事業など、多様化する保育ニー
ズに柔軟に対応できる体制の拡充を図ります。
○子育て支援の体制強化
本市における子育て支援サービス等に関する情報の収集や一元化を図るため、家庭相談
室や家庭児童相談員・母子支援員の配置及び、子育て支援事業の総合カウンター的役割を
果たすコーディネート事業を実施していますが、さらに相談体制の充実・強化を図ります。
また、地域住民の助け合いによる「子育てサポーター制度」の整備を図り、地域で子育て
に関する助言や子育て家庭、高齢者など幅広い世代の交流事業の企画・推進をはじめ、子
育てネットワークの運営などの活動を担う人材(子育てサポーター)の養成を図り、子育
ての環境づくりを推進します。
○子どもを健やかに育む環境整備
地域全体での子どもの見守り体制の整備など児童育成環境の整備を進め、家庭、地域、
行政が一体となって児童の健全育成に努めます。
○児童虐待防止ネットワークシステムの構築
地域と子育て家庭の交流事業を進める中で子育ての悩み、子どもが有する問題または子
どもの真のニーズを的確に掴み、虐待の未然防止や早期発見に努めるとともに、児童相談
所との連携を密にし、情報交換・研修等を積極的に行います。
地域や専門機関による児童虐待防止ネットワークシステムの機能充実及び児童虐待防止
に対する意識啓発や、児童虐待の疑いがあるときの相談や通報先などに関する広報・啓発
に積極的に取り組みます。また、万が一被害にあった子どもの保護や相談体制の充実を図
ります。
121
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 子育てにやさしいまちづくり —
主要な取組事業
保育サービスの充実
●保育サービス拡充
●休日保育、病後児保育など多様化する保育ニーズへの対応
子育て支援の体制強化
●つどいの広場事業の拡充
●地域子育てサポート事業の充実(子育てサポーターの養成)
●家庭訪問型子育て支援事業(ホームスタート)の充実
●NPO団体、ボランティア等との連携強化
●子育て支援情報の提供及び相談体制の充実
子どもを健やかに育む環境整備
●地域子ども見守りネットワークの強化
●放課後児童クラブの運営支援
児童虐待防止ネットワークシステムの構築
●要保護児童対策の強化
●関係機関との連携強化
2−2 母子(寡婦・父子)福祉の推進
■現状と課題
母子、父子家庭などひとり親家庭や寡婦の多くは、生計の維持や子育てと仕事の両立な
ど様々な問題を抱えています。特に就労面で不利な状況に置かれており、その生活は極め
て厳しいものです。
ひとり親家庭の親と子が社会的に自立し生きがいに満ちた生活を送るためには、経済的
な安定を図るための就労機会の確保や生活支援が特に求められています。児童扶養手当の
支給や医療費の助成など、今後とも母(父)子家庭等ひとり親家庭に対する経済的支援や
相談業務の充実が必要となっています。
■施策の方向
生活や福祉、教育などひとり親家庭の各種相談体制を充実し、生活安定を支援します。
児童扶養手当をはじめとする各種手当・医療費の助成・各種貸付制度等により、ひとり
親家庭に対する経済的支援や就労支援、さらに母子自立支援員による相談支援体制の充実
を図ります。
122
基本計画
■取組施策
○生活支援体制の充実
生活の安定化を支援するために生活福祉資金の貸付などの経済的支援をするとともに、
関係機関と連携しながら母子自立支援員による相談業務や就業支援等の充実を図ります。
主要な取組事業
生活支援体制の充実
●ひとり親家庭相談の充実
●公的支援制度の活用
●各種貸付制度
2−3 共働きに優しい環境づくり
■現状と課題
全国的な少子化を抑制するため、国・県及び市を挙げて様々な子育て支援対策が講じら
れていますが、安心して、子どもを産み育てるためには、日々の生活を支える収入の確保
が欠かせません。本市では、企業誘致を積極的に進めるとともに、
「延長保育」、
「病後児保
育」、「放課後児童クラブ」など、子育てと仕事の両立を支援するため施策を積極的に進め
てきましたが、長引く景気低迷の影響もあり、子育て中のお母さん方が気軽に働けるパー
トタイマー職場などは十分とはいえない状況にあります。
市民の誰もが安心して、子どもを産み育てられるように、パート就労機会の拡充などの
就労支援を積極的に進め、共稼ぎがしやすい環境整備に努めます。
■施策の方向
商業、軽作業及び事務など、子育て世帯が働きやすい短時間勤務が可能な事業所の誘致
に取り組むとともに、既存事業所へのパート雇用の拡充や子育て世代が働きやすい職場環
境の整備を要望するともに、Eメールによる就労情報の提供や講習会の実施などの就労支
援に取り組みます。
主要な取組事業
共働きしやすい環境づくり
●パート就労職場の充実
●子育て世帯が働きやすい職場環境の推進
●就労支援のための講習会の開催
123
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 生涯学習の推進 —
3 生涯学習の推進
3−1 新図書館の整備
■現状と課題
現在の図書館は昭和 62 年に開館し、市民の読書活動の場として親しまれています。し
かし、中央公民館に併設されていることから書庫・閲覧スペースともに狭く蔵書冊数も
52,000 冊程度と少ない状況です。また、老朽化も進んでおり、バリアフリー化も十分で
ない状況となっています。現在、この課題を解消し利便性をさらに高めるために、新図書
館を建設中です。
「教育のまち」として次世代人材育成に取り組み、高齢者層の生きがいなど生涯を通じて
学び、地域を育てていくためには、時代に即した新しい図書館の整備は必要不可欠となっ
ています。
■施策の方向
平成 24 年度に開館予定の新図書館を市民の文化と教育の拠点として、積極的な活用を
図ります。新図書館の開館後は、レファレンスサービス154の充実や読書活動推進プログラ
ムなどを実施します。また、蔵書の充実や憩いのスペースを確保するなど、市民の「学び」
と「集い」の拠点、情報発信機能を有した図書館づくりに取り組みます。
併せて、子どもの健やかな成長に欠くことのできない読書活動推進のため「子ども読書
活動推進計画(第 2 期計画)」の策定とその推進に取り組みます。
■取組施策
○時代に即した図書館の整備
また、市民の高度化・多様化する学習、研究・調査活動の要求に対応するため、ICT を
活用した情報機能を有する新しい図書館の整備を推進します。新図書館の開館時の目標蔵
書数は約 8 万冊、全体の蔵書規模は約 14 万冊とし、市民の誰もが気軽に多くの書籍文献
等と触れ合えるように取り組みます。
さらに、時代に即した利用者ニーズに合わせて蔵書を中期的・計画的に整備し、地域の
課題解決支援につなげていきます。
154
レファレンスサービス:日常の疑問の解明から、仕事上必要な統計・情報の調査まで、図書館の資料や
データを使って、「司書」が調べものや資料探しのお手伝いをするサービス。
124
基本計画
主要な取組事業
時代に即した図書館の整備
●蔵書の充実
● ICT を活用した新しい図書館サービスの提供
●読書活動推進プログラムの実施
●レファレンスサービスの充実
3−2 生涯学習の推進
■現状と課題
余暇時間の増大や少子高齢化社会への移行、科学技術の高度化、産業構造の変化、国際
化や情報化の急速な進展など現代社会は急激に変化し続けています。このような社会変化
の中で、地域社会が抱える課題は複雑多様化し、従来の学校教育で得た知識・技術では対
応が困難になってきています。そのため、
「いつでも、どこでも、だれでも」主体的に学習
を続け、知識・技術を自ら習得し、生きがいのある人生を創造できる生涯学習社会の形成
に向けて、社会教育の充実が必要です。
本市では、中央公民館や図書館、地区公民館(13 箇所)の社会教育関係施設を持ち、
各種講座や教室、講演会等を開催しています。しかし、市民の学習ニーズが多様化、高度
化しており、学習需要に積極的に応え得るカリキュラムの提供が必要となっています。
■施策の方向
生きがいづくり、地域づくり、福祉・介護、環境問題、ICT 関連など、日常生活に関連
の深いテーマに沿った講座など、多様な市民のニーズを把握し、生涯学習講座の充実に努
めます。さらに、市民の能力や経験などを活かし、新たな指導者として育成する人材バン
クの整備を図りつつ、登録者の活躍の場の拡大を図ります。
■取組施策
○生涯学習講座及び研修の拡充
市民の多様な知的欲求に応えられるよう学習ニーズを把握し、
「いつでも、どこでも、だ
れでも」主体的に学べる生涯学習機会の提供及び内容の充実に努めます。また、学習成果
の発表の場を開催し、学習意欲の向上を図るとともに、人づくり、地域づくりのため、各
種団体と連携協力し、地域に根付いた公民館の環境づくりに取り組みます。
125
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 生涯学習の推進 —
○生涯学習指導者の養成
市民の資格や能力、経験を活かして互いが高めあえるよう、生涯学習の講師や指導者と
なる人材の登録制度である人材バンクを整備します。
さらに、高度な学習ニーズを満たすためにも、社会教育職員の資質向上のため計画的に
研修を実施し、専門的な知識を有する指導者の養成・確保に努めます。
主要な取組事業
生涯学習講座及び研修の拡充
●公民館活動の充実
●生涯学習機会及び内容の充実
●学習内容のニーズ把握
生涯学習指導者の養成
●人材バンクの整備
●指導員の人材育成
3−3 人権教育の推進
■現状と課題
同和問題をはじめ、女性、子ども、高齢者、障がい者、外国人等をめぐる問題など様々
な人権に関する問題が依然として存在しています。また、インターネット上での差別的内
容を含む誹謗中傷など新たな人権問題も発生しており、今後も一層の人権教育や人権啓発
の推進が必要です。
本市では、人権学習や啓発に関して市民の学習活動を指導し、助言できる人材育成に取
り組み、
「豊後高田市人権教育啓発推進協議会」への人材登録制度を活用しています。今後
とも学校現場や公民館などの社会教育施設、企業等の中で学習機会の拡充支援に努め、家
庭や学校、地域社会が連携した人権教育の啓発の推進が必要です。
■施策の方向
学校・家庭・地域・職場等の様々な場を通じて、平和で差別のない人権尊重社会の確立
を目指して、人権・同和教育の推進を図ります。
■取組施策
○人権教育の充実
学校教育における人権教育と連携・協力することにより、効果的かつ実践的な人権教育
の推進体制の充実を図ります。
地域ぐるみで促進を図るための組織である「豊後高田市人権教育啓発推進協議会」の活
126
基本計画
動と十分連携しながら、推進体制の整備に努めます。
社会教育計画に基づく各種学級において、人権教育を位置づけた取り組みを推進すると
ともに、研修会の実施等により指導者の養成と資質の向上に努め、その活用を図ります。
また、広く市民に対しての広報活動については、広報やケーブルテレビ、街頭啓発等を活
用し創意工夫を凝らした啓発活動を行っていきます。
主要な取組事業
人権教育の充実
●学習・研修機会の拡大
●広報・啓発活動の充実
127
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 地域とともに歩む教育 —
4 地域とともに歩む教育
4−1 青少年の健全育成
■現状と課題
近年、非行や犯罪、いじめの多発など子どもをめぐる問題が深刻になっています。青少
年の社会力を育み、自立した青少年を育成するためには、大人が自らの役割や影響力の大
きさを自覚し、地域、学校、家庭が連携した子育てを推進する必要があります。
また、地域や家庭の教育力の低下が指摘される中で、子どもの居場所としての家庭や地
域の役割が重要となっています。本市では 「 学びの 21 世紀塾 」 を通じて放課後や週末に
おける子どもの居場所づくりの推進に取り組んでいます。
■施策の方向
家庭は人格形成の最も基本的な部分を育てる場として、極めて重要な意味を持っていま
す。「相互のぬくもりを分かち合う」
「自然体験」
「親子ふれあい活動」等の親子の心がふれ
あう活動を通じて、家庭が「憩いの場」「教育の場」「明日の力を生み出す場」であること
を啓発し健全な家庭づくりを推進します。
さらに、学校、家庭、地域社会が協働して地域の子ども達の成長を支える「地域協育155
ネットワークシステム」を構築し、あいさつ運動の推進や通学路の交通安全活動など地域
総参加の「子育てのまちづくり」を推進します。
■取組施策
○健全な家庭づくり活動の推進
「あいさつ運動」を通じたこどもの規範意識を育む基礎づくりや家庭教育力の向上を図る
ため、親学講座や小中学校入学前講座を実施します。また健全育成市民会議や市 PTA 連
合会との連携により、家庭教育の向上と次代の親の育成に関する啓発活動を推進します。
○地域ぐるみ育成活動の推進
「学びの 21 世紀塾」での週末における「子どもの居場所づくり事業」や「スポーツ少年
団等の育成」の充実を図り、放課後や週末の子どもの安全・安心な活動場所の確保に努め
ます。
また、地域住民の学校支援ボランティア活動を推進し、学校・家庭・地域のネットワー
ク体制の構築や「青少年健全育成市民会議」への支援に努めます。
155
協育:「協働して育てる」という意味の造語。県では「学校、家庭、地域が連携して、それぞれの教育
機能を補完・融合し、協働して子どもを育てていくこと」と位置づけている。
128
基本計画
○青少年を非行・犯罪から守る運動の推進
青少年を非行や犯罪から守る運動を、警察をはじめ、学校関係者や少年補導員、地域防
犯組織等と連携し、補導や街頭指導などの予防活動を進めます。併せて、子どもたちの登
下校時の通学路等での安全活動を地域の関係者と協力して推進します。
主要な取組事業
健全な家庭づくり活動の推進
●あいさつ運動の推進
●家庭教育の啓発活動の充実
●次代の親の育成
地域ぐるみ育成活動の推進
●子どもの居場所づくりの推進
●地域協育ネットワークシステムの構築
●青少年の健全育成の啓発活動の充実
青少年を非行・犯罪から守る運動の推進
●青少年の社会参加活動の推進
●補導・街頭指導の強化
●通学路の安全対策
129
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 歴史的文化遺産の活用と芸術文化活動の充実 —
5 歴史的文化遺産の活用と芸術文化活動の充実
5−1 歴史・文化財の保護と伝承
■現状と課題
本市は、古くから国東半島で栄えた六郷満山文化の文化的遺産など優れた文化財を擁し、
保存・収集に努めています。
しかし、それらの貴重な文化財を展示、披露する機会は少なく、充分に有効活用されて
いないのが現状です。歴史的文化遺産の展示や公開等のイベントの開催により、観光交流
への活用や、市民が気軽に地域の歴史を学ぶ生涯学習の機会の提供、活用を図ることが必
要です。
また、若者の都市への流出、活動の場の減少により、特に貴重な伝統的な芸能や祭りな
どの民俗文化財は後継者不足となっており、地域全体で保存・継承することが望まれてい
ます。
さらに、本市には、地蔵や石碑など国東半島の石造文化にゆかりのある文化財が、道路
脇などに散在していることから、これらの歴史的文化財を適切に保存していくことの検討
が必要となっています。
■施策の方向
「仏の里」と呼ばれる本市の歴史・風土を子どもたちに教え伝えるとともに、千年以上に
わたり受け継がれてきた「まつり」等の民俗文化財等の継承を支援します。
また、市内各地にある文化財の保護を検討するとともに、文化財を活用した地域交流の
活性化に努めます。
■取組施策
○文化財等の保護・伝承
過疎化による散失などの恐れがある文化財の保護が必要となっており、古来から受け継
いだ貴重な遺産の保存と次世代への伝承に努めます。
また、本市の歴史・風土や地域にある文化財を市民に周知するため、地域活動を通して
の普及活動や学校教育、生涯学習の場等、文化財とふれあう機会をつくります。
○伝統文化・行事の伝承
千年を超えて伝わる「修正鬼会」や裸祭りとして有名な「若宮八幡社秋季大祭」、「ホー
ランエンヤ」など地域に残る伝統文化行事の伝承について、市全体で取り組み、保存会等
伝承団体への支援・育成を図ります。文化行事の存続を図り、新たな地域文化の活性化を
目指します。
130
基本計画
主要な取組事業
文化財等の保護・伝承
●文化財愛護思想の普及・育成
●文化財の保存
●学習機会の充実
伝統文化・行事の伝承
●伝承団体への支援
●広報活動の推進
5−2 芸術文化活動の推進
■現状と課題
本市の芸術文化活動については、都市部と比較すると芸術文化を鑑賞する機会が少なく
限られています。したがって、生涯にわたって文化活動に親しむ基盤づくりとして、芸術
文化鑑賞の機会の拡充を図る必要があります。
また、単に芸術文化の鑑賞に留まらず、地域活性化のためには市民が芸術文化を創造す
る場や機会も重要であり、誰もが興味ある芸術文化活動に参加できる活動体制の整備が必
要です。
■施策の方向
市民生活がより楽しめる文化的環境づくりを目指し、市民の芸術に親しむ心を育み、活
動意欲の高揚のために芸術文化鑑賞機会の拡大に努めます。
また、
「草地踊り」や「真玉歌舞伎」等の伝統文化活動を支援するとともに、改修した中
央公民館、各地域における公民館やミニコンサートホールを拠点とした芸術文化活動を推
進するなど活動基盤の整備や情報提供に努めます。
■取組施策
○文化団体組織の活性化
地域で活動する文化団体の組織を把握するとともに、文化団体の活動を支援します。
また、芸術文化祭の開催などにより、日頃培った伝統文化・芸能の発表や交流の場を提
供し、市民への芸術文化情報の提供を行うとともに、近隣市町村との文化交流を推進しま
す。
131
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — 歴史的文化遺産の活用と芸術文化活動の充実 —
主要な取組事業
文化団体組織の活性化
●文化団体活動の支援
●芸術文化祭の開催
●伝統文化・芸能等の練習、公開の場の提供
●芸術文化情報の提供
132
基本計画
6 スポーツ・レクリエーションの振興
6−1 スポーツのまちづくりの推進
■現状と課題
スポーツ・レクリエーションは、健全な心身の発達を促し、豊かな心を養う上でも重要
な役割を果たしています。本市では、毎年 5 月に市民参加型スポーツイベントチャレンジ
デーを全市的に開催し、スポーツや運動の習慣化を図ると同時に運動のきっかけづくりに
取り組んでいます。
一方、体育施設は市内に点在しており、大規模なスポーツ大会が開催できる屋内体育施
設が不足しており老朽化も進んでいます。
また、継続的なスポーツ活動を通じて地域のコミュニティづくりを推進することを目的
として「総合型地域スポーツクラブ(特定非営利活動法人 TMK チャレンジクラブ156)」
が平成 18 年 3 月に発足しています。市民の健康及び体力を維持増進するとともに、さら
なる加入促進に向けスポーツ・レクリエーションの啓発活動が必要となっています。
■施策の方向
誰もがスポーツ・レクリエーションを気軽に楽しめるよう、既存施設の改修や充実を図
るとともに、スポーツ振興の拠点施設の整備を検討します。
さらに、日常的に健康づくりに取り組めるよう、スポーツを通じた地域交流を促進し、
「ス
ポーツのまちづくり」を進めます。
■取組施策
○施設の改修・整備
市民のスポーツ・レクリエーション活動に対する多様なニーズに対応するため、既存施
設の点検・整備を定期的に実施し、学校体育施設の開放を積極的に行います。さらにスポー
ツ振興の拠点となる施設の整備を検討するとともに、丘の公園多目的広場を陸上競技場へ
改修整備します。
○スポーツ・レクリエーション活動の推進
「総合型地域スポーツクラブ(TMK チャレンジクラブ)」の育成・強化を図り、より多
くの市民が日常生活の中でスポーツ・レクリエーションを定期的・継続的に行うことので
きる環境の整備とともに、指導者並びに審判員等を育成し、関係団体の育成強化に努めま
す。また、各種スポーツの競技力の向上を目指し、競技スポーツの強化を図ります。
156
TMKチャレンジクラブ:市内にある総合型地域スポーツクラブで、子どもから高齢者までだれでも参
加でき、スポーツを通じた地域活動を行う特定非営利活動法人。
133
第3章 あす(将来)を担うひとづくり — スポーツ・レクリエーションの振興 —
主要な取組事業
施設の改修・整備
●丘の公園多目的広場の改修整備
●既存施設の改修・充実
●スポーツ・レクリエーション施設の充実
スポーツ・レクリエーション活動の推進
●総合型地域スポーツクラブの育成・強化
●関係団体の育成・強化
●指導員・審判員等の育成・強化
●スポーツ・レクリエーションの啓発活動
●各種大会の開催、誘致
134
基本計画
第4章 ふるさとを興す産業づくり
1 地域資源を活かしたふれあい観光の振興
1−1 観光資源のネットワーク整備
■現状と課題
本市には、昭和 30 年代をテーマにしたレトロな町づくりで年間 40 万人以上が訪れる
「昭和の町」や千年以上の歴史を誇る「神仏習合」という特徴的な文化が根付いた六郷満山
ゆかりの寺院や石仏などの歴史的遺産、海や山などの自然景観、さらに泉質の異なる六つ
の温泉などの貴重な観光資源を有しています。
しかし、現状では、その魅力が十分に発揮されていない状況です。これら観光資源が相
乗効果を発揮できるようネットワーク化を図り、周遊観光ルートを構築し、点から面へと
観光地づくりに取り組む必要が生じています。
また、観光地が中山間部に多く点在しているため、アクセス環境の充実改善に向けた取
り組みが課題となっています。
観光の形態が団体旅行から個人主体の旅行へと変化する中で、観光に対するニーズも十
人十色から一人十色へと多様化しており、時代のニーズに即した対応が必要となっていま
す。
さらに、中国、韓国など近隣諸国から日本への旅行者が急増していることから、外国人
旅行者への対応や取り込みも重要な課題であるといえます。
■施策の方向
本地域には千年の時を越えて受け継がれてきた美しい自然と六郷満山の貴重な歴史遺産
や田園・農村風景、昔ながらの商店街の町並みなどが今なお残されています。それらの観
光資源の有効活用を図り多様化する観光ニーズに対応するとともに、未活用の観光資源の
発見と既存の地域資源を有機的に結びつけ、地域活性化に貢献する魅力ある観光地の形成
を推進します。
各地域の特色を活かし、ストーリーやテーマ性を持った観光拠点づくりを図るとともに、
様々な観光資源の活用を図りながら拠点間のルート化やネットワーク化を図ります。
また、古代の仏教遺跡から中世の荘園集落、そして「昭和の町」につながる「千年ロマン」
や「時間旅行」をコンセプトに観光推進を図るとともに、通過型観光から滞在型観光157
157
滞在型観光:様々な観光地を巡る周遊型観光と異なり、滞在地で静養や体験型レジャー等を楽しんだ
り、滞在地を拠点としながら、周辺の観光を楽しんだりすること。
135
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 地域資源を活かしたふれあい観光の振興 —
への脱皮を図るため、グリーンツーリズムやそば打ち体験、そして寺院での座禅や写経な
どの体験型観光を推進します。
さらに、県や広域連携による観光圏事業などの取り組みにより、中国や関西そして首都
圏等に加え、中国、韓国といった海外からの誘客促進を進めます。
■取組施策
○観光拠点の整備
長崎鼻リゾートキャンプ場での「花の岬」をコンセプトとした菜の花、ひまわり、コス
モス、椿などの花いっぱいの観光拠点づくりや真玉海岸の「夕陽」をテーマにした拠点整
備など、各地域の観光資源を最大限に活用した観光拠点づくりを推進します。また、
「スパ
ランド真玉」や「夷谷温泉」など既存観光施設の適正管理を進めます。
さらに、
「昭和の町」の新たな観光拠点施設や、地産地消及び情報発信拠点として観光交
流拠点施設の整備を推進します。
また、田染地区など既存の観光拠点の連携を図り、一体的な独自施策に取り組むことで、
新たな魅力づくりを推進します。
○地域ブランドの確立と整備
激化する地域間競争の中で観光地づくりを推進するため、独自性のある地域ブランドの
確立が必要となっています。
千年ロマンの観光地を結ぶボンネットバスを活用し“古代~中世~近代 千年ロマン時
空の旅”のコンセプトに基づき観光交流空間としてのイメージの統一化を図り、ストーリー
やテーマ性のある観光拠点づくりや周遊ルートの整備を行い、観光振興を進めます。あわ
せて、長崎鼻の「花の岬 香々地」を活用した「なたね油」、
「ひまわり油」などの収穫により、
食の提供と加工品の推進など特徴的な施策を展開します。
また、全国的に認知されつつある“昭和の町”ブランドを活かしたツアーや土産物など
の観光商品の開発を進め、魅力ある観光地づくりを推進します。 ○体験・滞在型観光の推進
近年修学旅行を中心としてニーズが高まっている農家民泊や漁業体験などのグリーン
ツーリズム・ブルーツーリズムを推進するとともに、「貝掘り」「魚釣り」「カヌー」等のマ
リンレジャーによる体験・滞在型観光による誘客促進を図ります。
また、仏の里と呼ばれる国東半島の特徴を活かし、地形を活かしたトレッキング158や写
経や座禅などの「六郷満山文化」をベースにした「癒し型」の体験観光を推進します。
158
トレッキング:健康やレクリエーションを目的とした山歩き。
136
基本計画
○ネットワークの活用
市内に点在する各観光地を周遊させる市内観光ルートを構築するとともに、近隣市町村
と連携し国東半島の総合力を活かした誘客促進を図ります。県や大分県北部「豊の国千年
ロマン観光圏」を核とする広域ネットワークを活用し、多様化したニーズに対応すること
で、九州のみならず、広島、大阪さらには首都圏・海外をターゲットにした誘客を促進し
ます。
○訪日外国人旅行者の取り込み
観光需要の拡大が見込める中国や韓国を中心とした近隣諸国からの誘客促進を図るた
め、観光パンフレットや観光案内板等の多言語化159やホームページやスマートフォンなど
の ICT を活用した観光案内の検討を進めるとともに受け入れ側の研修等を推進します。
主要な取組事業
観光拠点の整備
●観光資源を活用した個性ある観光拠点の整備促進
●観光施設の適正管理の推進
●「花の岬 香々地」等の観光交流拠点施設の整備
●田染地区観光拠点の一体的取り組みの推進
地域ブランドの確立と整備
●“千年ロマン”を活用した観光商品の推進
●“昭和の町”ブランドの戦略的活用
●“花の岬 香々地”の「なたね油」、「ひまわり油」の商品化の推進
●ボンネットバスを活用した観光商品の推進
体験・滞在型観光の推進
●グリーンツーリズム、ブルーツーリズムの推進
●マリンレジャーの推進
●六郷満山文化を活かした「癒し型観光」の推進
ネットワークの活用
●周遊観光の推進
●広域連携による誘客促進
●観光圏事業の推進
訪日外国人旅行者の取り込み
●観光パンフレット等の多言語化
● ICT を活用した案内等の検討
●海外観光客に対応した研修会の開催
159
多言語化:複数の言語を併存・併記すること。
137
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 地域資源を活かしたふれあい観光の振興 —
1−2 受け入れ態勢の整備
■現状と課題
観光振興を進めるうえで交通網は極めて重要な要素です。本市は、JR 線、高速道路、
高規格道路といった広域交通網が未整備で、さらにバス等の公共交通機関も幹線道路のみ
という極めて厳しい状況です。点在する観光地の相乗効果を生むためにも、道路網や公共
交通など各地を結ぶアクセス体制の整備が課題となっています。
また、観光客の利便性向上に向け、駐車場整備や観光案内板等の整備など観光環境の整
備や情報発信機能などの充実・改善が求められています。
■施策の方向
地域資源の再発見や新しい魅力の創造により、観光交流人口の増加と地域活性化を図る
ために、市民と一体となって受け入れ態勢の整備に努めます。
観光客の回遊性を高めるため、アクセス道路など交通基盤の整備を推進します。また、
観光客の利便性の向上を図るため、駐車場、観光案内板等の充実・改善など観光環境の整
備に努めます。
さらに、本市を訪れる観光客の多様なニーズに対応するため、観光案内拠点の整備や観
光パンフレットの拡充、インターネットを活用した情報発信など、観光情報の充実を図り
ます。また、リピーター160を増加させるため、当地ならではの「おもてなしの心」の醸成・
向上といったソフト面での受け入れ態勢の整備を推進します。
■取組施策
○アクセス環境の整備
本市を訪れる観光客が、安全で快適に観光を楽しめるようにするため、道路網や公共交
通などの交通基盤の整備をはじめ、駐車場等の環境整備を図るとともに、統一した観光案
内板等の充実・改善に努めます。また、観光タクシー運行やレンタカーの活用など幅広い
観点からアクセス環境の整備を検討します。さらに、四季折々の花などの植栽活動や環境
美化活動を推進し、沿道景観の整備に努めます。
○インフォメーション機能の充実
増大する個人客の多様な観光ニーズに対応するため、様々な目的に応じた観光パンフ
レット等を整備します。さらに、ホームページ、ブログ161、スマートフォンなどの ICT の
160
161
リピーター:旅行などで同じ地を再び訪れる人、また、同じ商品を気に入って再度購入する人。
ブログ:インターネット(ウェブ)上の記録を意味する「ウェブログ」の略。個人の日記などを、簡便
な方法で作成し、公開することができるウェブサイトの総称。パソコンだけではなく、携帯電
話などを使って更新できるものもある。
138
基本計画
活用や新聞・雑誌、テレビ等のマスコミなど多種多様な媒体の活用に加え、広域連携によ
る情報発信体制の強化を推進します。
○観光ガイドの活用
地域資源の素晴らしさや貴重さを観光客に伝える媒体として、ボランティアガイドを専
門的に、「インタープリター162」として育成し、観光ガイド講習会の実施と組織化の推進
を図ります。
○当地ならではの「おもてなしの心」の醸成
地域全体で観光地としての再訪率を高めるため、観光客が「また訪れたい」と思う「お
もてなしの心」の醸成・向上を目指して、観光ボランティアガイド等の研修会の開催や意
識啓発を進めます。
主要な取組事業
アクセス環境の整備
●道路網整備、公共交通体系の整備
●駐車場等の整備
●観光案内板等の整備
●沿道景観の整備
インフォメーション機能の充実
●多様なニーズに対応した観光宣伝資材の整備
● ICT を活用した観光情報提供機能の強化
●観光案内所の機能強化(職員研修など)
●広域観光案内に向けた連携・情報交換の推進
観光ガイドの活用
●インタープリター(観光地ガイド)の育成
●組織体制の確立
当地ならではの「おもてなしの心」の醸成
●観光客サポート運動の推進
●研修会の開催
162
インタープリター:語り部、説明者。観光地ガイドのこと。
139
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 地域資源を活かしたふれあい観光の振興 —
1−3 地域イベントの活用
■現状と課題
地域イベントは、その地域独特の文化や伝統の情報発信や次世代の継承、地域コミュニ
ティの活性化など重要な役割があります。本市では、九百年以上の歴史を誇る「若宮八幡
社秋季大祭(裸まつり)」、四百年以上の歴史を誇る「ホーランエンヤ」などの伝統行事や
「五月祭」
「長崎鼻サマーフェスティバル」
「豊後高田よっちょくれ祭り」など集客力のある
多種多様な地域イベントが年間を通じて開催されています。しかし、市外からの誘客促進
や各観光施設への波及効果が十分に図られていないという課題があります。
また、少子高齢化、過疎化の進展により各地のお祭りが開催困難になるなど、伝統行事
の継承が課題となっています。
■施策の方向
伝統行事の継承を支援するとともに、創意工夫を活かした特徴のある誘客イベントの実
施により活力と賑わいを創出します。また、既存イベントの特徴を活かして、より広範囲
な地域からの誘客促進に努めるとともに地域のイメージアップを図り、戦略的なPR活動
の推進により観光客の増加を図ります。
■取組施策
○伝統行事等の継承及び既存イベントの充実
伝統行事等の継承及び活性化に向けた取り組みを支援するとともに、既存イベントの集
客力向上を図るため、企画内容・組織形態を再検討します。
○新規イベントの創造
通年の観光客誘致に効果を上げるとともに、農産物・海産物をはじめとする地場産業を
観光分野へも活かし、新規イベントの創造を図るとともに、市民から斬新なアイディアを
求める企画立案機能の充実に努めます。
○ PR 活動の充実
広域からの誘客促進を図るため、チラシ、ポスターや新聞・雑誌・テレビ等のマスコミ
やインターネットのホームページに加え、フリーペーパー163やブログ、ツイッター164、スマー
163
フリーペーパー:身近な生活情報などを掲載し、限定した地域の家庭などに無料で配布する新聞や雑
誌。また、駅頭や街角に置いて、自由に持ち帰ることができる新聞や雑誌。発行や配
布にかかる経費は広告収入でまかなわれる。特に、雑誌の形態をしたものはフリーマ
ガジンとも呼ばれる。
164
ツイッター:小鳥のさえずり・おしゃべりの意。インターネット上で、不特定多数の人に向けてごく短
い文(つぶやき)を発信したり、また他の人の文を読んだりすることができるサービス。
140
基本計画
トフォンなどあらゆる媒体を活用し、各イベントに合わせて戦略的にPR活動を実施し年
間を通じた情報発信に努めます。
主要な取組事業
伝統行事の支援及び既存イベントの充実
●伝統行事の継承、活性化の支援
●既存イベントの再検討、充実
新規イベントの創造
●誘客効果の高いイベントの検討
●地域資源を活かしたイベントの検討
PR 活動の充実
●様々な情報媒体を活用した戦略的 PR 活動の実施
1−4 「食」の観光推進
■現状と課題
近年の「B級グルメブーム」など「食」をテーマにした観光イベントは、強力な集客効
果を発揮するとともに、リピーターによる経済波及効果が期待され全国的に注目が集まっ
ています。今や「地域特産グルメ」は観光目的の1つとなっており、個人旅行が主体となっ
た現代においては観光振興の柱のひとつとなっています。
本市では、
「手打ちそば」や「岬ガザミ」などが特産グルメとして定着してきていますが、
その他にも数多くの埋もれた「食」が存在し、十分に活用されていない状況です。今後、
それらの「食」を活用した誘客促進を図るため、あらゆる面から活用方策を検討する必要
があります。
■施策の方向
本市の特産品である「白ネギ」
「岬ガザミ」
「合鴨」、そして「手打ちそば」を活用した「食・
グルメ」観光による誘客促進を積極的に進めるとともに、
「岬かき揚げ丼」のような地元の
食材を活用した新たな特産グルメ商品の開発を図ります。
また、既存の食品や料理、スイーツ165などを“昭和の町”ブランドと組み合わせること
により新たな魅力を創造します。
165
スイーツ:甘いもの。菓子。
141
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 地域資源を活かしたふれあい観光の振興 —
■取組施策
○特産グルメの活用促進
「手打ちそば」や「岬ガザミ」やの認定店の拡大を進めるとともに「そば祭り」や「食べ
歩きスタンプラリー166」など、多彩な誘客イベントを開催します。
また、
「岬かき揚げ丼」のような地域の食材を活用した新たな特産グルメを開発するとと
もに、「花の岬 香々地」の「なたね油」、「ひまわり油」を活用した料理や幅広い加工品の
開発を支援します。
○“昭和の町”ブランドの活用
今や全国的に有名になりつつある“昭和の町”ブランドを活用して、既存の食材(料理、
菓子、スイーツ、調味料等)等の商品力の活性化を図るとともに、新たな「食」の開発を
推進します。それらの「地域特産グルメ」の情報発信や品質の維持管理を徹底することで
地域ブランド化による観光振興を目指します。
主要な取組事業
特産グルメの活用促進
●特産グルメを活用したイベントの開催
●地元食材を活用した新たな特産グルメの開発
●「なたね油」、「ひまわり油」等幅広い食材の活用促進
“昭和の町”ブランドの活用
●“昭和の町”等の地域ブランドの活用
●新しい「食」の開発促進
●地域特産品の品質管理の徹底
166
スタンプラリー:決められた鉄道の駅(または観光名所)のスタンプを集めながら、一定コースを回っ
てくる遊びの一種。
142
基本計画
2 農業の振興
2−1 地域農業を支える担い手づくり
■現状と課題
農業情勢が厳しさを増す中で、農業の担い手は高齢化が進み、専業、兼業農家とも著し
く減少しています。このような中、地域農業を支える人材確保が急務であるため、集落営
農167や認定農業者168の育成を進め、現在では認定農業者 264 経営体、集落営農組織16918
組織があります。 特に兼業農家や高齢者の多い集落など担い手が不足する地域では、集落営農体制の確立・
育成は喫緊の課題です。今後、望ましい農業構造を確立するためには、効率的かつ安定的
な農業経営を目指し、経営改善に取り組む認定農業者の育成・確保とともに、集落営農組
織の経営体への発展を促進していくことが急務となっています。
また、生産性と農業所得を向上させるため関係機関が一体となり、適切な助言や指導、
研修、情報提供が行える体制を確立し、地域農業の安定化を図る必要があります。
■施策の方向
認定農業者の経営安定を図るとともに、集落営農体制の確立を推進します。また UJI ター
ン等による新規就農者の確保に向けた取り組みを積極的に実施するとともに、地域農業の
継続のため女性や高齢者、兼業農家等、多様な担い手の確保など小規模農家育成を図りま
す。
■取組施策
○担い手の育成・確保
認定農業者の効率的かつ安定的な企業的農業経営並びに後継者の育成が可能な経営の実
現の支援を行います。また、専門的技術を持った農業アドバイザーを中長期的な生産・流
通指導者として活躍を促し、企業的、専業的農業者及び多様な担い手の育成を図ります。
また、地域農業の継続に向けて、後継者や UJI ターン等の新規就農者の確保が必要です。
就農しやすい環境整備を進めるため、家族経営協定や学習活動、仲間づくりなどの支援を
するとともに教育環境や住居などの生活環境情報の提供、就農相談活動を通じて制度資金
167
集落営農:集落など地縁的にまとまりのある一定の地域内の農家が、農地利用あるいは農業生産過程の
一部または全部について、共同化・統一化に関する合意のもとに実施する営農形態。
168
認定農業者:農業経営基盤強化促進法に基づき、経営改善のために農業経営改善計画を申請し、市から
認定された農業者のこと。低利融資制度、農地流動化対策、農業者年金の保険料助成等の
各種施策が重点的に実施される。
169
集落営農組織:集落など地縁的にまとまりのある一定の地域内において、農業生産を協働して行う組織
のこと。転作田の団地化、共同購入した機械の共同利用、生産から販売までの共同化な
ど、その形態や取り組み内容は多様である。
143
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 農業の振興 —
や農地バンク制度を活用した農地の斡旋、遊休ハウスの情報提供、技術の習得などを行い
ます。
○集落営農の育成・確保
農業は、集落形成の基本です。集落を維持発展させるために、多様な市民がそれぞれの
役割を分担する集落営農システムの確立と組織の安定的確保、農地の集積促進、農業生産
の拡大を図るための取り組みを推進します。
地域農業は、認定農業者のみでは成り立たず、高齢者や女性、兼業農家などがその能力
に応じて農業に従事し、地域農業の一端を担うよう育成支援します。また、リーダーの養
成と併せて集落営農の経理・経営管理面での充実とフォローアップ170のための施策・体制
を整備します。
さらに、集落営農組織の法人化をはじめ、より大型の集落型経営体を目指した複数集落
の組織合併など、集落営農の効率化・規模拡大の取り組みを支援します。
主要な取組事業
担い手の育成・確保
●多様な担い手の育成
●新規就農の促進
●認定農業者の確保
●企業的農業者の育成
●農業アドバイザーの活用
●農地バンク等の充実
集落営農の育成・確保
●農地の利用集積の促進
●集落営農のネットワーク化
●集落営農体制の確立
●集落営農組織の法人化
●農地の保全
170
フォローアップ:ある事柄を徹底させるために、あとあとまでよく面倒をみたり、追跡調査をしたりす
ること。
144
基本計画
2−2 農業生産・環境基盤の整備
■現状と課題
本市の農業は、海岸部から中山間地域まで広い地域で営まれており、地域の特色を生か
した農業生産活動を展開しています。しかし、高齢化等による影響により担い手づくりと
生産体制を強化する必要があります。そのために農業生産の拡大と農用地の流動化をいか
に推進していくかが大きな課題となっています。
ほ
農業の生産条件が不利な中山間地域は、圃場171整備や溜池などの農業生産基盤の整備水
準が低く、生産性も低いため、非効率、不安定な農業経営となっている上、景観保全が大
きな課題となっています。また老朽化が著しい農業用施設についての改修や洪水などの災
害に備えた設備の増強が必要になってきています。
さらに、生産面についてみると、近年では化学肥料・農薬への過度の依存による環境の
悪化がみられているため、環境と調和のとれた持続的な農業生産が求められています。そ
のため、家畜排せつ物等の有効利用による堆肥等を活用した土づくりと化学肥料・農薬の
使用の低減を行う農業生産方式の浸透を図ることが急務となっています。また、消費者に
おいては食生活の多様化が進む中、健康に対する意識が高まり、安全性や本物志向の基準
を満たした農産物の需要が増える傾向にあります。
■施策の方向
水稲や野菜、畜産、果樹など基幹作物を中心に生産活動を支援するために、農地などの
生産基盤の整備や農業の近代化・合理化を図り、農業の生産性の向上や効率的かつ安定的
な農業経営の確立を目指します。
また、自然災害による被害を未然に防止するため農業用施設の危機管理対策を推進しま
す。
さらに、適切な農業生産活動を通じて国土・環境保全に資するという観点から、人と環
境にやさしい環境保全型農業172を推進し、安全・安心な農作物の生産に取り組みます。
■取組施策
○農業生産基盤の整備促進
ほ
土地基盤や防災のため圃場整備、溜池や排水対策事業等による条件整備を推進し、農業
近代化施設の整備や産地形成、農業の生産性の向上を図り、効率的かつ安定的な農業経営
の確立を目指します。
171
172
圃場(ほじょう):田畑。
環境保全型農業:農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を
通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷軽減に配慮した持続的農業。
145
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 農業の振興 —
○農業用施設の保全対策
地域と連携した農業用施設の維持管理体制の強化を図り、農業用施設の保全・補修の支
援を行います。
○農業用施設の危機管理対策
危険度の高い農業用施設の改修を行い、自然災害による被害を未然に防止することに
よって、農業生産の維持及び農業経営の安定化を図ります。具体的な農業用施設の補修と
して干拓地域を中心に、経年劣化した排水機場、樋門、防潮堰、井堰、用排水路や老朽溜
池等の補強や改修の改良整備を進めます。
○生産体制の強化
農業情報支援システム173を活用し、認定農業者等の経営規模拡大に向け、農地の流動化
や有効利用を推進します。また、担い手等による農作業受託体制の確立を推進します。
米に代わる作物の定着化を図るため、水田の排水対策や条件整備で汎用化を図り、花き
や野菜の施設化を推進するとともに労働力にあった作物を推進します。
さらに、麦、大豆、そばの団地化を進め、基本技術の実施により転作作物の品質向上、
増収に努め、新規品目の導入や6次産業化174など経営の多角化を推進します。
○環境保全型農業の推進
農業生産活動において発生する稲ワラや家畜堆肥などの有機物の利用を促進し、土づく
りや化学肥料の低減を図るなど環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業を推進します。ま
た、循環型農業175の普及定着を図るため、エコファーマー176の育成を促進します。
173
農業情報支援システム:地図情報(GIS)とリンクした圃場情報管理を核に、農業にかかわるさまざ
まな業務に対応したシステム。
174
6次産業化:1次産業 ( 農林水産業 ) が2次産業・3次産業と連携し、生産だけでなく加工・流通・
販売等を総合的に行うことで、事業の付加価値を高めること。1次産業+2次産業+3次
産業=6次産業 または1次産業×2次産業×3次産業=6次産業。
175
循環型農業:家畜の糞尿や稲わらを堆肥に用いるなど、農業で発生する廃棄物をできるだけ農業生産に
再利用する手法。
176
エコファーマー:「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」により、都道府県知事に認
定された環境保全型農業を行う農業者のこと。
146
基本計画
主要な取組事業
農業生産基盤の整備・維持管理
●農地の整備
●農道の維持管理
●農業用排水路の維持管理
●排水対策事業
●ため池等の整備
●農業近代化施設の整備
農業用施設の保全対策
●農地・水・環境保全向上活動支援事業
●土地改良区、管理人への維持管理の指導徹底
●管理台帳の整備、緊急点検の実施
●農業用施設原材料支給事業
●海岸保全事業
農業用施設の危機管理対策
たんすい
●湛水177防除事業
●土地改良施設維持管理適正化事業
●農地災害危機管理対策事業
生産体制の強化
●農業の生産拡大
●農用地の流動化と有効利用
●水田の汎用化
環境保全型農業の推進
●有機・減農薬農業の促進
●家畜糞尿等の利用促進
●エコファーマーの育成
177
湛水(たんすい):水田などに、水をたたえること。
147
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 林業の振興 —
3 林業の振興
3−1 鳥獣被害対策
■現状と課題
近年、イノシシやシカなどによる鳥獣被害は深刻化しています。これは、過疎化・高齢
化が進展している中山間地域で、耕作放棄地が増加し里山の荒廃が進んでいることや地球
温暖化の影響で冬期でもエサの確保が容易になっているため、農産物等に被害を与える野
生鳥獣が増加していることが考えられます。イノシシやシカなど有害鳥獣対策は、中山間
地の維持や農林産物の被害を防ぐために、積極的に取り組まなければなりません。
「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」及び大分県が定めた「特定鳥獣保護管理計
画」に基づき、喫緊の課題となっている有害鳥獣による農林水産物被害の軽減や人身被害
の回避を図るとともに、長期的な視野に立ち「棲み分けによる人と野生鳥獣との共生」の
実現を図る必要があります。
■施策の方向
イノシシやシカをはじめとする有害鳥獣の被害は年々増加傾向にあることから、鳥獣被
害をなくすため、被害対策研修会や狩猟免許取得講習会を開催し、狩猟免許取得者の増加
を図ります。また、狩猟免許取得者に箱わなを貸し出すとともに、被害の多い集落には、
防護柵の設置を推進し、個体数の減を図ります。また、県や他市町村との連携を図り、狩
猟免許の弾力化の検討や狩猟期間の延長を行い、有害鳥獣駆除班の活動を支援します。
■取組施策
○有害鳥獣対策活動の支援
有害鳥獣被害を未然に防ぎ、適正な繁殖を促すための有害鳥獣駆除活動を、県や他市町
村等と連携し、狩猟免許制度の弾力化について検討を行うとともに、狩猟期間延長や人材
育成などの支援活動に取り組みます。
○地域ぐるみでの対策
有害鳥獣被害をなくすため、地域ごとに被害対策研修会等を開催し、地域ぐるみでの対
策に取り組みます。
148
基本計画
主要な取組事業
有害鳥獣対策活動の支援
●県や他市町村との連携
●狩猟免許制度の弾力化、猟期の延長検討
●人材育成
地域ぐるみでの対策
●防護柵の設置
●地区研修会の開催
3−2 森林資源の保全
■現状と課題
本市の 56.5%を占める森林は、治山治水や水資源のかん養178、景観保全、自然環境保
全等の公益的機能、観光や木材生産等の経済的機能、自然体験学習など教育機能、さらに、
近年「森林セラピー179」等の森林の持つ癒し効果が注目されるなど多面的機能を持ってお
り、その保全は重要です。
また、林業は路網整備や施業の集約化の遅れから生産性が低く、木材価格の低迷による
生産意欲の低下、過疎化・高齢化による労働力不足等を背景に、森林の適正な管理の維持
が困難な状況が危惧されています。この結果、間伐などの森林施業が十分に行われない人
工林が発生するなど、このままでは森林の持つ多面的機能が発揮できなくなるおそれがあ
るため、森林・林業に関わる人材育成や施業技術の継承支援が必要です。
■施策の方向
森林の多面的機能を確保し活用する観点から、地域の実情に考慮し、効率的かつ効果的
な森林整備を推進します。具体的には、「水源かん養機能維持増進森林」「山地災害防止 /
土壌保全機能維持増進森林」
「快適環境形成機能維持増進森林」
「保健機能維持増進森林」
「木
材等生産機能維持増進森林」のそれぞれの森林の機能区分に応じた多様な森林整備を図り、
公益的機能の高度発揮に努めます。
178
水資源のかん養:森林の土壌が、降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和すると
ともに、川の流量を安定させること。
179
森林セラピー:森林の持つ効用による治療。療法。
149
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 林業の振興 —
■取組施策
○機能に応じた森林の整備
水源のかん養の発揮に資する森林整備や自然とのふれあいの場としての森林整備を推進
します。さらに、森林保全のため針葉樹、広葉樹の植栽を奨励するとともに「癒しの場づ
くり」など環境整備を推進します。
○森林の適正な管理推進
健全な森林資源の保全と循環利用を図るため、育林180・除間伐など造林作業の合理化を
図り、森林の適正な管理に努めます。また、森林施業の推進を通じて森林が持つさまざま
な機能を持続的に発揮させるため、森林の施業に不可欠な現況調査や歩道整備などの地域
における取り組みを支援します。
主要な取組事業
機能に応じた森林の整備
●人工林の整備拡大
●広葉樹等植栽奨励
●森林環境の整備
森林の適正な管理推進
●育林・除間伐支援
●森林整備地域活動支援
3−3 林業基盤づくり
■現状と課題
本市では、一戸当たりの林業経営面積が極めて小規模であるため、複合経営の柱として、
椎茸を中心とする特用林産物181が生産されています。特に椎茸は銘柄産地として評価が高
く、農林家の収入源として重要な役割を果たしており、今後も引き続き高品質化を図るこ
とが期待されています。しかし、生産者の高齢化や後継者不足といった課題に直面してお
り、高齢化に対処した原木生産作業の分業化・共同化の推進、気象変動に対処した生産施
設整備の支援が求められています。
180
育林:有用な樹種の苗木を植え付けたり、切り株からの萌芽(ほうが)や、自然落下した種子または人
工的に播(ま)いた種子などによって林をつくり育てること。
181
特用林産物:普通の林産物である用材や薪炭材に対し、それ以外の林産物をよぶ総称。樹木からの産物
だけでなく、草本類や菌類からの産物も含む。
150
基本計画
■施策の方向
林業経営の改善と森林の有効利用を促進するために、林地内における作業道整備を推進
します。また、特用林産物の振興を図るとともに、後継者の人材育成支援を推進し、森林
組合の支援を図ります。
■取組施策
○生産基盤の整備
森林施業の団地化と高密度路網化、高性能林業機械化を三位一体で推進し、低コスト林
業の実現に努めます。また、竹林のほとんどが利用されることなく放置されており、観光
資源である美しい景観の阻害や森林破壊の危険性、農地への悪影響、生活環境の悪化をも
たらしており、タケノコ生産を目的とした優良竹林化や竹資源の有効活用の支援を図って
いきます。
○林業経営の強化
椎茸をはじめとする特用林産物の振興強化のため、品質の向上、ほだ場等の生産施設整
備の支援を図るとともに、従事する後継者の人材育成を推進します。また、森林組合等の
経営基盤の強化を支援します。
主要な取組事業
生産基盤の整備
●林地内作業道の開設
●竹林の整備
林業経営の強化
●特用林産物の振興
●人材育成
151
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 水産業の振興 —
4 水産業の振興
4−1 地域資源を活かした漁業の振興
■現状と課題
本市の海岸線は、浅海地域の干潟漁業やリアス式海岸地域の漁船漁業、沖合いでは小型
底引き網漁や牡蠣・赤貝の養殖など、規模は小さいが多岐にわたる漁業が展開されていま
す。しかし、近年では漁獲量の減少と魚価の低迷、燃料の高騰など水産業を取り巻く環境
は年々厳しさを増しています。
加えて就業者の高齢化と後継者不足の問題もあり、より一層、資源管理型漁業182を推進
し漁業経営の安定化を図っていく必要があります。そのような中、種苗放流183(マコガレ
イ、ガザミ、アワビ)や重要魚介類である二枚貝(アサリ)の放流を行い、水産資源の維
持増大と漁場の保全に取り組んできました。また、本市の地域ブランドである「岬ガザミ」
は関西、岡山市場を中心に高い評価を受けており、安定的な出荷施設や一層の知名度の向
上の取り組みが望まれています。
今後も水産資源確保、蓄養184施設による常時安定供給などによる漁業経営の安定化が重
要な課題です。
■施策の方向
水産資源の確保・育成や漁獲量の調整などの資源管理に取り組み、種苗放流や重要魚介
類育成事業の推進、海域の特性に応じた蓄養・養殖魚種の普及開発などにより魚介類の育
成、保護、干潟の資源回復を図るなど、守り・育てる漁業を推進します。
また、蓄養施設により付加価値を付け、出荷の調整、安定供給を図り、特産品については、
その知名度を活かし産地化・ブランド化を強化します。
■取組施策
○守り・育てる漁業の推進
古くから二枚貝の宝庫と言われた真玉、高田の干潟の資源回復として、アサリの放流事
業の推進、また保護区を計画的に設け育成に努めます。また乱獲を防止し、漁獲量を調整
するなど資源管理型の漁業を推進します。
182
資源管理型漁業:漁業の主役である漁業者が主体となって地域や魚種ごとの資源状態に応じ、資源管理
を機動的に行うとともに、漁獲物の付加価値向上や経営コストの低減などを図ること
により、将来にわたって漁業経営の安定、発展を目指す漁業のこと。
183
種苗放流:育てた稚魚を放流すること。
184
蓄養:魚類、甲殻類、貝類などの水産動物を、竹籠(たけかご)、網、舟の生け簀(す)、またはよく水
の交換する小さな池に入れ、短期間飼育すること。
152
基本計画
○水産物流通の効率化とブランド化の推進
海から水揚げされた漁獲物(ガザミ、サザエ、ナマコ、タコ、魚類)の蓄養施設整備に
より付加価値を向上させ、出荷調整や安定供給に努めます。また、
「岬ガザミ」のブランド
化を図るため地域団体商標185登録を目指します。
○漁業経営の安定化
漁業経営の安定化を図るため経営の近代化を促進するとともに、青年漁業者の生活環境
の改善など不足する後継者の育成・確保を支援します。
主要な取組事業
守り・育てる漁業の推進
●資源管理型漁業の定着化推進
●海域の特性に応じた蓄養・養殖魚種の普及開発
水産物流通の効率化とブランド化の推進
●畜養施設の整備
●特産品としての産地化・ブランド化
●安定した出荷体制の確立
漁業経営の安定化
●後継者の育成
●経営の近代化
4−2 漁業生産基盤の整備
■現状と課題
漁獲量の減少により漁業所得も低迷しつつあります。安定的な漁業を維持するために、
水産資源を確保するなど栽培型・資源管理型の漁業推進が重要な課題です。
また、本市には現在、市管理漁港が5港あり、また県管理漁港が3港あります。しかし、
台風時や冬場の北西風の影響による強風や土砂の堆積、入波による港内の静穏が保てず、
係留作業等漁業活動に支障をきたしています。さらに施設の老朽化も進み更新を必要とす
る施設が増加してきており、これらの問題への早急な対策が必要です。 185
地域団体商標:地域名と地域特産の商品名とを組み合わせた商標。出願者は事業協同組合などの団体。
商標法の改正により、平成 18 年から導入された。
153
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 水産業の振興 —
■施策の方向
効率的・効果的な漁業の生産基盤づくりを行うため、人工漁礁などの漁場づくりを検討
します。また、漁港の安全性、機能性、利便性を向上させるため、漁港施設の維持管理に
努めます。
■取組施策
○漁場の整備
水産資源の保護育成と漁獲量の向上に努め、干潟漁場の回復及び保全を図るとともに、
新たな漁場の開発に向け、人工漁礁の設置を検討します。また、漁業者自らの資源管理型
漁業を促進します。
○漁港施設の整備
台風や低気圧等の荒天時後における泊地内の土砂等推積は、出漁日数の減少、漁業所得
の減少を引き起こします。漁業生産の安定化を図るために、施設の機能診断を行い保全計
画を作成するとともに、漁船などが安全に停泊できるよう防波堤の整備を推進します。
主要な取組事業
漁場の整備
●干潟漁場の回復及び保全
●人工漁礁の検討
漁港施設の整備
●防波堤の整備
●水産基盤ストックマネジメント事業
154
基本計画
5 地域特性を活かした農林水産業の振興
5−1 グリーン・ブルーツーリズムの推進
■現状と課題
地域の自然や風土や食材、歴史・文化等を活かした地域交流を図り、活力ある地域づく
りを進めるグリーンツーリズム、ブルーツーリズムなどの都市と農山漁村との交流・体験
型の余暇活動が、全国的な広がりを見せています。本市には、恵まれた自然と風土・文化・
歴史並びに豊かな農林水産物等の地域資源があり、
「豊後高田市グリーンツーリズム推進協
議会」、「香々地地域ツーリズム協議会」を中心に、これらを活かした都市と農山漁村交流
を推進しています。
しかしながら各地域での活動に限定されており、今後は点から面的な拡がりのある滞在
型の観光プログラムへの発展や観光客の的確なニーズ把握、効果的な情報発信が必要です。
海と山(農)の豊かな自然環境と多様な地域資源を活かし、戦略的な都市間交流を展開す
ることは、これからの地域発展には欠かせないものです。
■施策の方向
本市における多様な資源は、自然志向の高まりを背景に都市生活者にとって魅力的なも
のとして映ります。これらの恵まれた資源を生かして、都市間交流型産業の推進体制を整
備するとともに、都市部への情報発信の充実を図り、農協・漁協等の関係組織との連携強
化など、グリーンツーリズム・ブルーツーリズムに関する事業の戦略的展開を図ります。
■取組施策
○推進体制の充実
グリーンツーリズム・ブルーツーリズムの持続的な振興のため、組織体制の充実を図り
ます。さらに、多様なツーリズム組織や他団体との連携を強化し、体験型観光など魅力的
な交流プログラムを検討します。
○都市との交流事業の戦略的展開
恵まれた自然環境と田園風景の中で、グリーンツーリズム・ブルーツーリズムとして農
林漁業・農山漁村体験や自然探求、歴史文化の散策など滞在型の交流事業を図ることで都
市住民との交流を進めます。さらに、近隣市町村との連携により、修学旅行などの団体需
要に対応するなど、より広域からの誘客を促進し、都市との交流を図ります。
155
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 地域特性を活かした農林水産業の振興 —
主要な取組事業
推進体制の充実
●推進団体への支援
●体験型観光交流プログラムの検討
都市との交流事業の戦略的展開
●農家民泊の推進
●修学旅行の誘致
5−2 農商工連携の推進
■現状と課題
本市では、消費者の求める生産者の「顔の見える関係」を通して安全・安心を感じる生
産販売体制、多様な流通システムによる農産物の高付加価値化、地元の食材を使った学校
給食の提供、農林水産物の銘柄化と地産地消186の推進が今後大きな課題となっています。
地域の特産品の中でも、「そば」は西日本有数の産地化に成功するとともに、「手打ちそ
ば店」の認定制度や関連商品の開発で「豊後高田そば」として知名度をあげつつあります。
今後は「そば」の取り組みのように、単に生産するだけでなく、関連商品の開発や商業・
観光と結び付けた多面的な地域振興の取り組みが求められています。
■施策の方向
近年、食に対する「健康・安全志向」「本物志向」等はますます高まっています。顔の見
える農林水産物の流通を目指して、農林水産物直売所などの設置をはじめ、相互に連携で
きる環境を整備します。
地域特産作物の生産から商品開発、流通販路の拡大など農商工連携187を積極的に推進し、
さらに新たな特産品開発に取り組みます。また、品質管理の徹底、高付加価値化・ブラン
ド化により地域の生産物のイメージアップを図り、消費拡大・安定生産を推進します。
■取組施策
○安全・安心を感じる流通システムづくり
生産者の顔が見える安全・安心な農林水産物の流通を目指して、農林水産物直売所など
の拠点づくりを進めます。また、拠点を軸にしたネットワーク化を進め、地域資源を活用
186
187
地産地消:「地場生産―地場消費」を略した言葉で、地元でとれた生産物を地元で消費すること。
農商工連携:農林漁業者と商工業者等が通常の商取引関係を超えて協力し、お互いの強みを活かして売
れる新商品・新サービスの開発、生産等を行い、需要の開拓を行うこと。
156
基本計画
した販売体制を確立するとともに、魅力ある店舗づくりの実践と、店舗改善や出荷体制の
整備等を図り、小規模農業者や女性、高齢者の所得拡大の支援を行います。
加えて、給食センターと連携し学校給食への市内農産物の供給拡大を図り、地域の人に
愛される農林水産物となるよう地産地消を推進します。
○特産品を活用した6次産業化の推進
市を代表する特産品となった「そば」を始めとして、
「落花生」や「おべん柿」、長崎鼻の「な
たね油・ひまわり油」等の地域の特産品を活用した、新たな加工品の開発や、観光との連
携による特産品の6次産業化を推進することにより地域振興を目指します。
主要な取組事業
安全・安心を感じる流通システムづくり
●直売所など拠点の整備・連携
●流通の多チャンネル化の推進
●地産地消の推進
特産品を活用した6次産業化の推進
●新たな地域特産品の開発
●観光と連携した特産品づくり
5−3 「そば」が興す∞(無限)のまちづくり
■現状と課題
本市では、平成 15 年に「豊後高田そば生産組合」を設立し官民一体となって「そば」
の産地化に努めてきました。この結果、現在では 200 haを超す西日本でも屈指の産地
となりました。全国的にも珍しい春と秋の年2回の栽培しており、中でも「春まきそば」
は、日本一の面積を誇っています。また、農業者自らが加工・販売まで行う、いわゆる「農
業の6次産業化」に当初から取り組み、平成 20 年には生産者 100%出資による「豊後高
田そば株式会社」を設立しました。加工品については、当初「乾麺」のみでしたが、その
後、豊後高田観光まちづくり会社と連携して「豊後高田そば焼酎 六郷」を企画販売、平
成 23 年には「そば茶」や地域の商店等と連携した土産物品の開発など農商工連携が進ん
でいます。また、
「そば打ち職人養成講座」を開講し、そば屋が無かったまちに、現在では、
10 軒の手打ちそばを提供する店舗が誕生しました。
その他「豊後高田そば祭」の開催や学校でのそば打ち体験などを行った結果、本市を代
表する特産品となりました。しかし、
「そば」は、台風や長雨等の気象による影響を受けや
すく、収量の増減が大きいため、農家所得の安定が図られていません。また、県内ではあ
る程度認知されつつありますが、九州内、更には全国的には知名度がほとんどありません。
157
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 地域特性を活かした農林水産業の振興 —
そのため、福岡、東京などでの販売促進活動を行ったところですが、浸透するまでには
至っておらず、継続的なそば産地としてのPRが必要となっています。
■施策の方向
「豊後高田そば」が定着するためには、まずその礎である生産面を確立しなければなりま
せん。「そば」は、嗜好品であり、より高品質で美味しい“モノ”が求められます。このた
め、振興にあたっては、種子や肥料の選定から耕起、播種、乾燥調整、貯蔵に至るまで生
産に係る全ての面について、マニュアル化188を図ります。
また、平成 23 年から本格的に始めた県外へのPR活動を積極的に実施するとともに様々
な新規加工品を開発し、「豊後高田そば」のブランド化を目指します。
■取組施策
○そば産地としてのランクアップ
市の特産品となった「そば」の産地化を推進するため、そばの団地化を進め、生産性の
向上、付加価値の高い特産品開発に取り組みます。
また、
「春まきそば」は、九州を始め、西南暖地を中心に栽培が拡大していますが、産地
ごとのロットが小さく、本格的な流通には至っておりません。このため、本市が中心とな
り九州、中国・四国地方の春まき栽培ネットワークの構築を目指します。
さらに、ワンランク上のそば産地を目指し、近年の健康ブームを踏まえ、
「ダッタンそば189」
の産地化について調査検討します。
○「豊後高田そば」の流通拡大
「豊後高田そば」を全国展開しブランド化を図るために、福岡都市圏及び首都圏を始めと
して、より効果の高い地域や施設で、イベント内容を検証しつつ、多面的かつ積極的な販
売促進活動を展開します。
○新たな食文化の発信
「豊後高田そば」の振興には、栽培面はもちろん6次産業化の確立に加え、今後、更なる
発展を図るためには、新たな施策や新しいニーズの取り込みが必要となります。
その一つが「そば道場の整備と段位制度の確立」です。これにより、団塊の世代を中心
とした、
「そば打ち」を趣味とするアマチュアを取り込み、そば人口の増加及び文化の普及
を目指します。
188
189
マニュアル化:作業などの手順を体系的にまとめること。またはその冊子をつくること。
ダッタンそば:蕎麦の一種。広くアジアの高山地域に生育する。実に一般の蕎麦よりも多くのルチンを
含むことから、健康効果が注目される。苦みが強いため苦蕎麦 ( にがそば ) とも呼ばれる。
158
基本計画
また、学校における「そば栽培」や「そば打ち」を通じての「食農教育」への取り組みや、
「そば」による市民の健康増進、さらには、定住対策にも寄与できる豊後高田の新たな「食
文化」の創造を目指します。
主要な取組事業
そば産地としてのランクアップ
●そばの団地化推進
●そば生産のマニュアル化
●春まきそばの栽培ネットワークの構築
●「ダッタンそば」導入実験事業
「豊後高田そば」の流通拡大
●都市圏での販路拡大のためのPR活動の強化
新たな食文化の発信
●「豊後高田そば道場」開設実験事業
●「豊後高田そば祭り」など誘客イベントの開催
●「豊後高田そば」による新たな食文化の創造
159
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 工業の振興 —
6 工業の振興
6−1 企業誘致の推進
■現状と課題
本市には、「大分北部中核工業団地」「 美和工業団地 」「城ノ下工業団地」「大村工業団
地」の4箇所の工業団地があります。企業誘致の促進によって、雇用の場の拡大や UJI ター
ン者の就業の場の確保による若者の定住、誘致企業と地場企業との連携による地域産業基
盤の底上げなど、地域づくりや地域経済など様々な波及効果が期待できます。しかし、円
高等の影響による産業の空洞化が懸念されるなど企業誘致を取り巻く状況は厳しい状況に
あります。一方、近隣の中津市にダイハツ九州が進出したことを始め、自動車産業の九州
への集積の動きにあわせ、本市を含む周辺地域には自動車関連企業の進出が相次いており、
大分北部中核工業団地への企業進出が今後も期待されます。
■施策の方向
自然環境との調和を念頭に置き、
「大分北部中核工業団地」への企業誘致を目指し、幅広
い情報収集や効率的なPR活動を行い、大分県及び中小企業基盤整備機構と一体となって、
企業の投資ニーズを的確に把握し、積極的な誘致活動を推進します。
■取組施策
○大分県及び中小企業基盤整備機構との連携
大分県及び中小企業基盤整備機構と連携し、
「大分北部中核工業団地」への企業誘致を促
進します。また、誘致後のアフターフォローに努めます。
○誘致活動促進のための各種助成制度等の活用
大分北部中核工業団地への誘致を促進し、立地企業の設備投資を促進するために、豊後
高田市企業立地促進奨励金や工業用水補助金、ふるさと融資など各種助成制度の活用を図
ります。
160
基本計画
主要な取組事業
大分県及び中小企業基盤整備機構との連携
●県及び中小企業基盤整備機構との情報交換
● PR 活動の推進
誘致活動促進のための各種助成制度等の活用
●各種助成制度等の充実
●広報活動の推進
6−2 地場企業の支援・育成
■現状と課題
中小企業は、創造性や機動性を発揮しやすい反面、その企業規模ゆえに成長・発展に必
要な資金や人材、情報といった経営資源の全てを備えることが困難な面もあります。地場
中小企業の振興を図るため、不足している経営資源を補い、意欲ある中小企業経営者の自
助努力に対して積極的な支援を図る必要があります。
■施策の方向
県や商工会議所などの各種関係機関との連携を図りながら、経営資源の支援等を行い地
場中小企業の経営基盤強化に努めます。
また、新規起業や新分野への進出に必要な情報提供や自助努力の支援を図り、経済環境
や産業構造の変化など地域特性に応じた発展を促すため、設備の効率化や経営の効率化支
援を図ります。
■取組施策
○経営基盤の強化
県や商工会議所など各種関係機関との連携を図り、各種融資制度の紹介など情報提供を
行います。また、地場中小企業の経営基盤強化を支援するための情報提供と相談体制づく
りを行います。
○経営効率化の推進、起業や新分野進出の促進
経済的社会的変化へ円滑に適応するため、幅広い情報の提供や情報の高度化への支援を
図り、ICT 化を推進します。また、創業・経営革新等を図るには、経営・マーケティング
等に通じた優れた人材が不可欠であり、企業の中核を担う人材の育成や研修機会の拡大に
努めます。
161
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 工業の振興 —
地場中小企業がこれまでの経験を生かして、新商品の開発による新市場分野への進出や
新事業の展開、また、地域において優れたアイデアで新たなビジネスに挑戦する起業を支
援します。
主要な取組事業
経営基盤の強化
●各種関係機関との連携
●制度融資の活用
経営効率化の推進、起業や新分野進出の促進
●情報の提供
●人材育成・研修機会の拡大
● ICT 化の推進
●起業・新分野進出の支援
162
基本計画
7 商業の振興
7−1 魅力ある商業・商店街の整備
■現状と課題
消費者のニーズの多様化や自動車社会の定着に加え 、 コンビニエンスストアやドラッグ
ストア等の進出による競争の激化や、郊外型大型店舗の出店や他地域への購買力の流出な
ど、地域商業を取り巻く環境は厳しい状況にあります。さらに、全国的な少子高齢化の進
行により商業分野においても後継者不足が大きな課題となっています。
こうした状況を克服するために商業者等の活性化意欲を喚起し 、 商店街の個性や、個々
の店舗の特徴を最大限に活かすとともに 、 商いの原点である人と人との触れ合いによるき
め細かいサービスに心がけ大型店舗との差別化を図ることが必要です。さらに、農業・水
産業・観光とも連携を図り、魅力ある商店街づくりを推進していかなければなりません。
そのためにも 、 全国的な注目を集め 、 年間 40 万人以上の観光客で賑わい、地方の商店
街再生のモデルになりつつある“昭和の町”をコンセプトにした商店街を中心に市内全域
で連携を図り、商業の活性化を図る必要があります。
特に、中央通商店街では、
「昭和の町」の他の商店街に比べ高齢化率が高く、後継者もい
ないことから空き店舗が目立ってきています。また、宮町商店街は、平成 23 年 10 月の
同地域へのビジネスホテル開業に伴い、宿泊客へ夕食の場所も含めた地域の情報発信が課
題となっています。
■施策の方向
既存の商店街内に留まらず、商業、農林水産業、福祉分野等の従来の枠組みにとらわれ
ない柔軟な発想による異業種との横断的な連携を図り、農水産物のブランド化や地産地消
の推進と合わせて、地域商業基盤の強化を図ります。
また、地域商店街再生のモデルとして注目されている「昭和の町」については、「昭和」
というコンセプトに基づいたハード・ソフト両面の整備を継続的に行うことによって、商
店主のやる気と意欲の向上と個々の店舗の特徴を最大限に活かした魅力ある商店街づくり
を推進します。
中央通商店街では、旧共立高田銀行などの地域資源や空き店舗を市民や観光客が集まる
コミュニティの場として活用を検討し、宮町商店街では、飲食店の魅力の情報発信を推進
します。
163
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 商業の振興 —
■取組施策
○異業種連携による商店街振興
玉津地区における、商業、観光、農業、福祉という異業種の連携による“高齢者が楽し
いおまち”をキーワードとした「玉津プラチナ通り」や多目的な福祉施設「玉津座銀鈴堂」
や地域特産品加工販売所「夢むすび」など新たな発想による商店街振興を推進します。また、
このような異業種連携による商店街振興を促進します。
○魅力ある商店街づくり
商工会議所と連携して商業者に対し「豊後高田“昭和の町”」のコンセプトを徹底すると
ともに、商業者自らが建築再生や歴史再生、商品再生、商人再生に積極的に取り組んでい
ける環境づくりを推進するとともに、地産地消など地域特産品の販売体制の整備など魅力
ある商店街づくりを目指します。
主要な取組事業
異業種連携による商店街振興
●商業、観光、農業、福祉など異業種との連携
●新たなまちづくりによる商店街振興
●高齢者が楽しいおまちの推進
魅力ある商店街づくり
●店舗等の修景・再生、一店一宝等展示
●空き店舗の活用
●昭和の商人のコンセプトの徹底(おもてなしの徹底)
●地産地消の活用による商店振興
●コミュニティの場づくり
●情報発信事業
7−2 商店街の観光拠点化
■現状と課題
市内の中心商店街及びその周辺には、昭和の歴史を物語る建築物等が残されています。“昭
和の町づくり”においては、これらの施設を「昭和ロマン蔵」同様に集客・交流のための
拠点施設として整備する必要があります。
164
基本計画
また、持続可能な“昭和の町づくり”のためには、誕生から 10 年を経過した“昭和の町”
ブランドの品質管理やまち全体のマネジメント190機能の強化と新規の観光客とリピーター
客確保に向けた戦略が必要です。
■施策の方向
「昭和の町」を観光拠点として、また市民の交流の場として位置付け、中心市街地に賑わ
いの場を創出するなど商店街の自主的な取り組みを支援し、商店街の活性化を図ります。
「昭和の町」を促進するための街並み再生につながる各店舗の修景事業の推進や、誘客イ
ベントを定期的に実施します。また「昭和の町」のプロデュース機関である「観光まちづ
くり会社」の活動支援に取り組むとともに、市民、商業者、商工会議所、行政などで連携・
協働によるまちづくりを推進します。
■取組施策
○「昭和の町」拠点施設整備
「昭和の町」における観光交流拠点施設である昭和ロマン蔵の魅力アップに取り組むとと
もに、商店街の中心部に位置する旧金融機関跡地に「昭和を学べる」新たな観光拠点施設
を整備し、修学旅行客の誘致に取り組みます。また、地産地消、地域文化の情報発信拠点
となる施設の整備及び充実を推進していきます。
併せて、若年層が気軽に集える店舗の誘致や子育て世代が子どもとともに過ごせる施設
など住民ニーズに応じた拠点づくりを進めるとともに、
“高齢者が楽しいおまち”を目指し
ている玉津地区との連携など、地域の特徴を活かし、世代間交流のできる拠点の整備を進
めます。
○“昭和の町”ブランドの活用
「昭和の町」は商店街の再生の成功例として全国的に認知されつつありますが、現状では
そのブランド力を有効に活用しきれていません。“昭和の町”ブランドを積極的に活用し、
既存の特産品の魅力アップを図るとともに、ブランド力を活かした新たな商品づくり進め
ます。
また、
“昭和の町”にマッチした誘客イベントの定期的な開催により、継続的な誘客促進
を図ることで商店街の振興を目指します。
190
マネジメント:経営・管理すること。
165
第4章 ふるさとを興す産業づくり — 商業の振興 —
主要な取組事業
「昭和の町」拠点施設整備
●新たな観光拠点施設「昭和館(仮称)」の整備
●空家、空店舗を活用した交流拠点施設の整備
“昭和の町”ブランドの活用
●“昭和の町”ブランドの活用
●“昭和の町”イベントの開催
166
資 料
1 策定体制
策定体制
諮問
提案
豊後高田市
総合開発審議会
市
豊後高田市議会
「基本構想」
長
議決
答申
計画案
提出
各種団体意見交換会
提言
市民意向調査
(高校生アンケート)
アンケート
パブリックコメント 意見
意見
策定検討委員会
(副市長・課長)
協議
各課
事務局
(企画政策課)
169
2 策定の経緯
豊後高田市総合計画(改定版)策定の経緯
取り組み内容
平成 23 年
7月
4日
8月
上中旬
第1回 総合計画策定検討委員会 市民意向調査(抽出調査2千人)
(高校生アンケート)
11 月
1日
第2回 総合計画策定検討委員会 22 日
第1回 豊後高田市総合開発審議会
総合計画(改訂版)の諮問等
基本構想(素案)の概要等を審議
12 月
29 日
総合計画に係る若者懇談会
19 日
第3回 総合計画策定検討委員会
22 日
第2回 豊後高田市総合開発審議会
基本構想(案)及び基本計画(素案)を審議
平成 24 年
1月
30 日
2月
6日
13 日
第4回 総合計画策定検討委員会
パブリックコメントの実施
第3回 豊後高田市総合開発審議会
基本構想(案)及び基本計画(案)を審議
総合計画(改訂版)(案)の答申
3月
23 日
豊後高田市市議会
基本構想(改訂版)の議決
総合開発審議会
総合計画策定検討委員会
170
企第 1122002号
平成23年11月22日
豊後高田市総合開発審議会
会長 野 田 洋 二 様
豊後高田市長 永 松 博 文
豊後高田市総合計画(改訂版)「基本構想(案)、基本計画(案)」
について(諮問)
本市における総合的かつ長期的な市政の基本的方向を定める豊後高田市総合
計画(改訂版)の策定にあたり、貴審議会の意見を求めます。
171
平成24年2月13日
豊後高田市長 永 松 博 文 様
豊後高田市総合開発審議会
会長 野 田 洋 二
豊後高田市総合計画 ( 改訂版 )「基本構想 ( 案 )・基本計画 ( 案 )」について(答申)
平成 23 年 11 月 22 日付け企第 1122002 号で諮問のありました、豊後高田市総合
計画 ( 改訂版 )「基本構想 ( 案 )・基本計画 ( 案 )」について、当審議会において慎重審
議した結果、適当と認めましたので、豊後高田市総合開発審議会条例第2条の規定
により答申します。なお、計画の遂行にあたっては、次の事項に配慮されますよう
要望いたします。
記
1.本計画の趣旨や内容をわかりやすい形で市民に周知するとともに計画の
推進にあたって、広く市民の理解と協力を求めること。
2.本計画の実現に向けて、市民と行政との協働によるまちづくりを推進す
るとともに、時代変化に即応して計画の効果的な実施に努めること。
3.厳しい財政状況を踏まえ、行政改革を進め堅実な行財政運営を行うとと
もに、本市の最重点課題である「定住人口」の増加対策を重視した計画
の実施に努めること。
172
3 例規及び委員会名簿
豊後高田市総合開発審議会条例
平成 17 年 7 月 1 日
条例第 158 号
( 設置 )
第1条 市の総合的な開発、振興及び発展に必要な事項に
ついて調査及び審議を行うため、豊後高田市総合開発審
議会 ( 以下「審議会」という。) を置く。
( 所掌事務 )
第2条 審議会は、市長の諮問に応じて審議し、その結果
を市長に答申するものとする。
( 組織 )
第 3 条 審 議 会 は 、 委 員 12 人 以 内 で 組 織 し 、 次 に 掲 げ る 者
のうちから市長が委嘱する。
(1) 学 識 経 験 者
(2) 市 議 会 議 員
(3) 前 2 号 に 掲 げ る も の の ほ か 、 市 長 が 必 要 と 認 め る 者
( 任期 )
第4条 委員の任期は、当該諮問に係る審議が終了したと
き ま で と す る 。 た だ し 、 前 条 第2号 に 掲 げ る 委 員 は 、 任 期
中であっても、その職を離れたときは、委員の職を失う
ものとする。
2 補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
( 会長及び副会長 )
第5条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によ
りこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又
は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
173
( 会議 )
第6条 審議会の会議 ( 以下「会議」という。) は、会長が
招集し、会長がその議長となる。
2 会議は、委員の半数以上が出席しなければ、これを開
くことができない。
3 会議の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否
同数のときは、議長の決するところによる。
4 会長は、必要があると認めるときは、会議に委員以外
の者の出席を求め、説明又は意見を聴くことができる。
( 庶務 )
第7条 審議会の庶務は、企画政策課において処理する。
( 委任 )
第8条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関
し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
附 則 ( 平成 23 年 3 月 25 日条例第 2 号 ) 抄
( 施行期日 )
1 この条例は、平成 23 年 4 月 1 日から施行する。
174
平成 23 年度 豊後高田市総合開発審議会委員名簿
氏 名
所 属
会 長
野 田 洋 二
豊後高田商工会議所会頭
副会長
永 松 康 士
学識経験者
委 員
野 中 良 仁
学識経験者
北 崎 安 行
学識経験者
宮 崎 みゆき
学識経験者
村 上 和 人
市議会議長
松 本 博 彰
市議会副議長
大 塚 仁
自治委員会連合会会長
成 重 勝 博
自治委員会連合会副会長
松 永 大 介
自治委員会連合会副会長
松 原 幸 範
大分県漁業協同組合
香々地支店 運営委員長 小 川 由 美
NPO 法人
アンジュ・ママン代表
175
○豊後高田市総合計画策定検討委員会設置要綱
(設置)
第 1 条 豊後高田市総合計画の策定に関し調査及び検討を行うため、
豊後高田市総合計画策定検討委員会 ( 以下「委員会」という。) を
設置する。
(所掌事務)
第 2 条 委員会は、次に掲げる事項について調整し、及び検討する。
(1) 基 本 構 想 に 関 す る 事 項
(2) 基 本 計 画 に 関 す る 事 項
(3) そ の 他 総 合 計 画 の 策 定 に 関 す る 重 要 な 事 項
(組織)
第 3 条 委員会は、会長、副会長及び委員をもって組織する。
2 会長は副市長を、副会長は総務課長をもって充てる。
3 委員は、市長が指名する者をもって充てる。
4 会長は、会務を総理し、委員会を代表する。
5 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を
代行する。
(会議)
第 4 条 委員会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。
(部会)
第 5 条 第 2 条に規定する事項のうち、専門的な事項について調査及
び検討を行わせるため、委員会に部会を置くことができる。
(庶務)
第 6 条 委員会の庶務は、企画政策課において処理する。
(委任)
第 7 条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事
項は、会長が別に定める。
附 則
この訓令は、公示の日から施行する。
176
豊後高田市総合計画策定検討委員会名簿
平成 23 年7月1日現在
番号
職氏名
備考
1
副市長
鴛海 豊
会長
2
総務課長
桑原 茂彦
副会長
3
情報推進課長
中嶋 栄治
4
財政課長
増田 正義
5
税務課長
渡辺 功司
6
市民課長
谷下 幸二
7
保険年金課長
佐藤 清
8
子育て・健康推進課長
甲斐 智光
9
人権・同和対策室長
伊東 文夫
10
環境課長
都甲 賢治
11
商工観光課長
佐藤 之則
12
農林振興課長
井上 晃一
13
農地整備課長
新田千代蔵
14
建設課長
筒井 正之
15
都市建築課長
河野 義雄
16
上下水道課長
近藤 博人
17
会計課長
奥田 秀穂
18
福祉事務所長
野村 信隆
19
議会事務局長
安藤 隆治
20
選挙管理委員会事務局長
久保 健一
21
教育委員会総務課長
安東 良介
22
教育委員会学校教育課長
瀬口 卓士
23
地域総務二課長
渡邊 和幸
24
消防本部消防長
門岡 博通
25
企画政策課長
宮崎 敦夫
177
事務局長
4 総合計画体系図新旧比較表
改定前 豊後高田市総合計画体系図 (平成 18 年9月)
コミュニティ活動の推進
住民参画システムづくり
NPO・ボランティアとの連携
1 住民が主体の地域づくり
シルバーパワーを活かせる環境づくり
人権が尊重されるまちづくり
基本目標1 思いやりとふれあいの地域づくり
男女共同参画社会の実現
高齢者福祉
障がい者福祉
2 社会福祉の充実
児童福祉
母子(寡婦・父子)福祉
生活困窮者福祉
地域保健・医療サービスの充実
3 保健・医療の充実
温泉とスポーツ施設を利用した健康づくり
健康相談体制の強化
地域リサイクルの推進
4 循環型社会の形成
新エネルギー導入の取り組み
効率的で便利な行政体制の構築
5 行政機能の向上
情報公開の推進
人材の育成
6 「ふるさとで暮らしてもらう」まちづくり
UJI ターンによる定住の促進
広域・幹線道路の整備
1 交通ネットワークの整備
地域交通体系の整備
基本目標2 安全で快適な生活舞台づくり
2 高速情報ネットワークの整備
地域情報システムづくり
住環境の整備
上水道・簡易水道の整備
生活排水の適正処理
3 生活環境の整備
施設のバリアフリー化の推進
公園・緑地の整備
火葬場の整備
廃棄物処理
防災体制の確立
消防・救急体制の確立
4 安全で安心して暮らせる基盤づくり
防犯体制の確立
交通安全対策の推進
自然環境の保全
5 自然環境の保全と創造
自然を活かした景観づくり
土地利用対策
178
基本目標3 郷土を愛し地域を支える担い手づくり
確かな学力の育成
心豊かな子どもの育成
1 自ら学ぶ「生きる力」を身につけた児童・生徒の育成
わかる楽しさを実感できる教育の創造
特色ある学校づくり
学校・園の施設整備の充実
生涯学習の推進
2 生涯学習の推進
人権教育の推進
青少年の健全育成
3 地域とともに歩む教育
地域教育力の向上
歴史・文化財の保護と伝承
4 歴史的文化資源の活用と芸術文化活動の充実
芸術文化活動の推進
5 スポーツ・レクリエーションの振興
スポーツ・レクレーションの充実
観光資源のネットワーク整備
受入れ態勢の整備
1 地域資源を活かしたふれあい観光の振興
地域イベントの活用
基本目標4 交流と活力にあふれた産業づくり
マリンレジャーの振興
地域農業を支える担い手づくり
2 農業の振興
農業生産・環境基盤の整備
森林資源の保全
3 林業の振興
林業基盤づくり
地域資源を活かした漁業の振興
4 水産業の振興
漁業生産基盤の整備
グリーンツーリズム・ブルーツーリズムの推進
5 新時代に対応した農林水産業の振興
顔の見える農林水産物の流通
企業誘致の推進
6 工業の振興
地場企業の支援・育成
魅力ある商業・商店街の整備
7 商業の振興
商店街の観光拠点化
重点戦略プロジェクト
■高速交通ネットワーク推進プロジェクト
■「昭和の町」
(中心市街地活性化)推進プロジェクト
■高速情報ネットワーク推進プロジェクト
■教育のまちづくり推進プロジェクト
■海辺のふれあいネットワーク推進プロジェクト
■健康のまちづくり推進プロジェクト
■里山観交ネットワーク推進プロジェクト
■若者定住対策推進プロジェクト
179
改定後 豊後高田市総合計画体系図 (平成 24 年3月)
コミュニティ活動の推進
住民参画システムづくり
1 市民が主体の地域づくり
シルバーパワーを活かせるまちづくり
人権が尊重されるまちづくり
基本目標1 安心して暮らせるふるさとづくり
男女共同参画社会の実現
高齢者福祉
2 人にやさしい福祉の推進
障がい者福祉
生活困窮者福祉
地域保健・医療サービスの充実
3 保健・医療の充実
健康なまちづくりの推進
防災体制の確立
消防・救急体制の確立
4 安全で安心して暮らせる基盤づくり
防犯体制の確立と消費生活の安心
交通安全対策の推進
上水道・簡易水道の整備
生活排水の適正処理
5 生活環境の整備
廃棄物処理
施設のバリアフリー化の推進
火葬場の運営管理
広域・幹線道路の整備
1 交通ネットワークの整備
地域交通体系の整備
基本目標2 キラリと光るまちづくり
2 ICT を活用したまちづくり
ユビキタス社会の実現
若者世代の定住促進
市外居住者の定住促進
3 「住んでみたい」まちづくり
住環境の整備
公園等の整備
魅力ある中心市街地の整備
地域リサイクルの推進
4 人と自然の共生
再生可能エネルギー導入の推進
自然環境の保全と景観づくり
効率的で便利な行政体制の構築
5 行政機能の向上
情報公開の推進
人材の育成
180
確かな学力の育成
心豊かな子どもの育成
1 夢を描き、実現できる子どもの育成
健やかな体の育成
特色ある学校づくり
基本目標3 あす将来を担うひとづくり
学校・園の施設整備の充実
児童福祉の推進
2 子育てにやさしいまちづくり
母子(寡婦・父子)福祉の推進
共働きにやさしい環境づくり
新図書館の整備
3 生涯学習の推進
生涯学習の推進
人権教育の推進
4 地域とともに歩む教育
青少年の健全育成
歴史・文化財の保護と伝承
5 歴史的文化遺産の活用と芸術文化活動の充実
芸術文化活動の推進
6 スポーツ・レクリエーションの振興
スポーツのまちづくりの推進
観光資源のネットワーク整備
受け入れ態勢の整備
1 地域資源を活かしたふれあい観光の振興
地域イベントの活用
「食」の観光推進
基本目標4 ふるさとを興す産業づくり
地域農業を支える担い手づくり
2 農業の振興
農業生産・環境基盤の整備
鳥獣被害対策
3 林業の振興
森林資源の保全
林業基盤づくり
地域資源を活かした漁業の振興
4 水産業の振興
漁業生産基盤の整備
グリーン・ブルーツーリズムの推進
5 地域特性を活かした農林水産業の振興
農商工連携の推進
「そば」が興す∞(無限)のまちづくり
企業誘致の推進
6 工業の振興
地場企業の支援・育成
魅力ある商業・商店街の整備
7 商業の振興
商店街の観光拠点化
重点戦略プロジェクト
■健康なまちづくり推進プロジェクト
■定住対策推進プロジェクト
■教育のまちづくり推進プロジェクト
■千年ロマン観光推進プロジェクト
■まちなか魅力向上推進プロジェクト
181
豊後高田市総合計画(改訂版)
平成 24 年 3 月
発行/大分県 豊後高田市
豊後高田市御玉 114 番地
tel.0978-22-3100
URL : http://www.city.bungotakada.oita.jp/
編集/豊後高田市企画政策課