これからの 加賀市の観光のあり方 - 北海道大学観光学高等研究センター

これからの
加賀市の観光のあり方
地域で観光創造力を育てる
金沢工業大学情報フロンティア学部 敷田 麻実
Copyright © 2005 SHIKIDA and MORISHIGE. All rights reserved.
観光とのかかわり
石川県ツーリズムセミナー(卒業論文作
成指導)
東京都自然ガイド認定講習「エコツーリ
ズム概論」教科書執筆
エコツーリズム・自律的観光の研究
民族学博物館の観光研究に参加
「自律的観光の総合的研究」
「ヘリテージの所有と利用に関する観光文明
学的研究」
本日のお話し
変化した収益のあげ方
創造性の重視とその意味
観光創造の背景
観光創造のための専門家の使いかた
よそ者とのつき合い
観光は変化している
SIT(目的志向の観光)へ
これまでの観光
これからの観光
主体と形態
企業や自治体等の団体、グルー
プ
10人以上の団体旅行(パッケー
ジ)
個人、家族、友人グループ
少人数の個人旅行(フリー)
観光客自身が内容を選択したり、ルー
トを決定したりする観光
観光対象
史跡や名所、大型の祭りが中心
春は名所旧跡、夜は温泉と宴会
という物見湯山
特別なテーマを持った観光
名所旧跡に加えて、文化財的価値の
高い遺産、自然環境、独自の景観、食
材、生活空間など、目的地は多様化
エコツーリズム、ヘリテージ・ツーリズ
ムなど
観光地の条件
名所や旧跡、温泉地を持つ
団体旅行客を受け入れられる大
型の宿泊施設
名所旧跡や温泉がなくても、独自性や
個性のある自然や食材、景観、イベン
トなどで集客可能
観光空間の考え
方
特定の空間(名所旧跡や温泉街、 まち全体、地域全体が「観光・交流空
施設)だけが「観光空間」
間」
観光に関わる主
体
観光産業の関係者(旅館、みや
げ物店、旅行業者)と行政(観光
セクション)
観光関係者や行政だけでなく、農林水
産業や地域住民(観光ボランティア
等)までが、観光に関与
エコツーリズムとマスツーリズム
SITは「Special Interest Tourism」
「しかたなしに行く観光」
から「死んでも行きたい観光」へ
マスツーリズム
道具(ツール)としての観光
目的から手段へ
=客の技量向上
エコツーリズム
地域外でデザインされたツアーという商
品に、自然環境や地域資源という部品を
提供
地域で完成品をデザインする
必ずしも部品をすべて地域で調達しなくてOK
主体的にデザインできるかどうかがより重要
差を生み出す観光創造へ
他者との違い、他地域との違いを創
り出す=観光創造
その差が収益源
その差が人を惹きつける
しかし、 「とにかく差別化」はあやまり
創造するところに人は来る
創造性が高い人が集まる
地域が豊かになる
創造性が高い人がいる所
に、生産性の高い企業が集
まる
アメリカの労働人口の
30%がこの階層
企業誘致は無駄?
Florida, R.(2002)
The rise of the creative class: And how it's
transforming work, leisure, community and everyday life
ではどうやって差を創るか?
誰が作るか
自分で創る
人に作ってもらう
どうやって実現するか
投資は誰がするか、支援は得るのか
そもそもアイディアは出るのか
創造するとは
新しいものをつくり出すことではなく、組
み合わせを考えること
模倣と紙一重
小林製薬の 熱さまシート、サカムケアなど
クロネコヤマトの宅急便のコピー
モーツアルトの例
種(知識)がないと出てこない創造
創造性が求心力
しろうと による究極の創造
creativity(創造性)
システムを変える力
創造的破壊・イノベーション
インプロビゼーション(improvisation)
・即興、アドリブ、即席に作ったもの、行き当たりばっ
たり、ジャズの演奏
・インプットしていない曲は弾けない
では専門家は不要か?
専門家のかかわりの分類
タイプ
増え続ける専門家のかかわり・・・・・
①地域の人材不足
④科学的調査、住民への説明機会の増加
容
①出前(ビジター)モード
専門家が対象地域で行う講演やシンポジウムへ
の参加、技術指導などの「専門的知識の伝授」
②調査・研究対象モード
専門家が地域を調査・研究対象として認識し、'短
期から中期にわたり、調査者として地域にかかわ
る
③一体同化モード
専門家が地域住民といっしょにさまざまな活動を
進め、問題解決に邁進し、地域のネットワークに
深くかかわる
④解決力向上モード
地域が主体的に問題解決できるように、解決力そ
のものの向上を専門家が支援する
地域住民が環境問題を①見出し、②調査し、③解
決策を創出するプロセスに、専門家として「参加」
する
②地域外からの利用者・お客の増加
③地域内での問題の複雑化・高度化
内
「出前(ビジター)モード」
専門家が対象地域で行う講演やシンポジウムへ
の参加、技術指導などの短期的な「専門的知識の
伝授」
形態的には「知識の出前」
専門家は「ビジター」
必要性が低下している
インターネット情報などの充実により
「一体同化モード」
専門家が地域住民といっしょにさまざまな活動を進
め、問題解決に邁進し、地域のネットワークに深くか
かわる
「調査・研究対象モード」
短期から中期にわたり、地域を専門家が調査場所
や研究対象とする
専門家が客観的に「観察」する
地域側にはメリットが少ない
研究が終了するとその地域から興味を
失いやすい
地域外、論文や学会発表で終了
「解決力向上モード」
地域が主体的に問題解決できるように、解決
力そのものの向上を専門家が支援する
専門家の分野によって知識が限定
地域主導で解決プロセスに専門家が「参加」
地域側は不完全な知識での判断
知識欠如モデルではなく、問題解決のための
「学習システム」の構築を専門家が支援
専門家が不得意な分野にも言及
地域側は誤った、また不確かな知識で判断
専門家の労力の割にメリットは少ない
相互にメリットがある持続可能型
目前にある環境問題、例えば被害が発生してい
る問題の解決には不向き
地域への専門家のかかわり
タイプ
「まちづくりには終わりがない」
わかりやすい説明
①出前(ビジター)モード
医者が診察なしで処方箋を出す
②調査・研究対象モード
医者が診察だけして患者から離れる
③一体同化モード
医者が診察はするが、患者と相談せずに
一方的に治療を進める
④解決力向上モード
医者が患者の体質改善を試みながら、治
癒力そのものを高めていく
湯布院のような先進地の地域リー
ダー(中谷健太郎)の言葉
アドバイザーが去ってしまえば元に
戻ってしまうような地域づくりはだめ
よそ者とは何か 1
よそ者とは何か 2
「よそ者、ばか者、若者」
「風の人」 (「土の人」に対する)
「他者のまなざし」を持つ(菊地,2002)
「トリックスター」
セルバンテスの『ドンキホーテ』
「超える部分」・「他者性」を過剰に示す
内部で通用する常識のウソを示す
「外部の視点」は、自意識を高める媒体
(菊地、1999)
「見えない境界」を越えること
(篠原、003)。
「田中真紀子トリックスター論」
田中外務大臣(当時)を評価した矢野
絢也(2002)
よそ者に対する見方
「招かれざる客」
否定的な評価
地域の自給自足主義
よそ者効果
①技術や技能などの知識の地域への移転
②地域の持つ創造性の励起
③地域の持つ知識をわかりやすく表現
「現実的な考え方」
優れた者であれば受け入れる積極的な視点
最近のまちづくりに見られる肯定的な評価
「無縁」という立ち位置
網野善彦の無縁の研究
権力から一定の距離があるものによる
決定
佐藤・山田(2004)の企業研究
組織文化に一定の距離をおくメンバー
が「変革」の担い手となる
④地域(や組織)の変容の促進
⑤しがらみ抜きの問題解決の提案
よそ者賞賛の是非と地域
地域ガバナンス(地域経営)に参加
するには、「正当性」が必要
地域のアクターたちが持つ既得権益
を侵し、反主流となったアクターから
「しっぺ返し」をくらう
網野 (2002)の渡来技術優位否定
太田(2001)のトランスポジション
大陸の渡来人が日本に技術を持ち込
んだという発想を否定
閉じた体系を持つ地域の固有文化が、も
との状態から外部の影響を受けて変化す
るのではない、
もともと日本側に技術や知識の基盤が
あって、入ってきた技術を上手に消化し
て、それ以上のものを創り出した
それは外部との接触によって起こる積極
的な文化の創造
北海道の木彫りの熊の例
地域とよそ者が相互変容する
「自立した地域」のうそ
自律的な依存
地域側がよそ者という「資源」を有効
に使う力を持つ必要
店を開く「よそ者」
「書店」は多いほどよい
多様性と試行錯誤
「大手スーパー」や「出前」ではだめ
開店のリスクを下げる
知識を開く場所は「劇場」
地域内外部空間としての宿
地域づくりの場は「宿」が多い
旅行や宿の効用
非日常空間
文人・作家の逗留と文化伝達
ある意味で羽目を外せる「非日常的
空間」
中世の「無縁」たちが集まる場所とし
て「宿」の存在=ある種の「アジール」
これからの地域と観光
地域で観光創造するために
専門家とのお付き合いの洗練
次世代の育成
チームで考える
リスクをとる(リスクの共有)
魯山人の山代温泉の旅館への逗留
旅館の子息のメリット
湯布院の例
宿での過ごし方
インプットを止めると知識創造
中谷健太郎氏のハーフプライベート
テレビを見ない
旅先で俳句や短歌が良くできる
旅のメモを付ける=創造
ま と め
変化した収益のあげ方
創造性の重視とその意味
観光創造の背景
観光創造のための専門家の使いかた
よそ者とのおつき合い
学習のコーン
今日の
お話しの
読む
10%
聞く
30%
ビデオを見る、実物を見る
50%
話をする
70%
体験する、きちんと発表する
90%
END
敷 田 麻 実
金沢工業大学 情報フロンティア学部 情報マネジメント学科
E-mail [email protected]
ホームページのご案内
http://www.geocities.jp/yumebouken2000/index.htm
または 「敷田麻実」で検索するとすぐ出てきます
ならば効果的・・・・・・
を一部修正して作成
渚であそぶ
石川県白山市の海岸