2011 No.3 MAY - 公益社団法人 日本航空機操縦士協会

PILOT
Pilotが作る隔月誌
No.326
2011 No.3
2011 No.3 MAY
MAY
JAPAN AIRCRAFT PILOT ASSOCIATION
JAPAN AIRCRAFT PILOT ASSOCIATION
ISSN 0389-5254
東日本大震災で
被災された皆様に心より
お見舞い申し上げます。
今回の地震被害地域は、東北地方から関東地方の広範囲にわたって未曾有の被害をもたらしまし
た。私自身、テレビを始め、色々な報道に接する度にあまりの被害の大きさに息を呑み、涙を禁じ
得ませんでした。
ここに、被災された多くの皆様に心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。
同時に、この大災害の復旧に当たっておられる自衛隊、警察、消防、海保の方々やこれらに関連
する色々な業務に従事している協会員の方々、又諸外国から救援、援助に駆けつけて頂いている
方々、全ての皆様に、敬意を表すると共に感謝申し上げます。
我々 日本航空機操縦士協会は、災害の発生した当初から、当該地域の会員の方々の安否や被害
の状況を確認すべく努力してきましたが、未だに全ての確認は出来ていないというのが現状です。
この地域の会員の方々の現在の状況について、少しでも情報をお持ちの方は協会まで、お知らせ頂
ければ幸いです。
未曾有な大災害を受け、役員を中心に協会として何をすべきか、何が出来るのか、議論を重ねて
きました。その結果、一つは会員の皆様に募金をお願いすると共に、協会の財務状況が大変厳しい
折ではありますが、事の重大性に鑑み義援金として、50万円を支出し、皆様方の募金と合わせて日
本赤十字社等へ寄付する事といたしました。
又、今回大変な被害を受けた、航空大学校仙台分校では、人的被害こそ免れたものの学生の教材
等は、全て失われてしまったということで、航大当局と調整し、AIM-JAPAN 等の教材を提供す
る事、加えて必要に応じて訓練中断中の技量保持のために、協会のシミュレーターを活用して頂く
事といたしました。
原発の問題も含めて、今回の大災害は、全世界に大きな衝撃を与えました。経済の問題を始め、
今後の日本社会への影響は、計り知れません。当然、航空界も大きな影響を受けるでしょう。財務
状況を改善中の当協会の運営も先行き不透明さが増すものと思います。
今後相当厳しい状況が予測されますが、協会としては会員の皆様と共に、心と力を合わせ大波を
乗り切り、パイロットの日本唯一の協会として存在感を発揮していきたいと考えています。共に頑
張りましょう。
社団法人 日本航空機操縦士協会
会長 大 内 学
平成23年5月2日
会 員 各 位
社団法人 日本航空機操縦士協会
会 長 大 内 学
第 46 回 通 常 総 会 開 催 通 知 書
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、平成23年度通常総会を下記のとおり開催いたしますので、ご出席賜りたくご通知申し上げ
ます。
正会員の方で、当日出席いただけない場合は、別封ハガキで通知いたしました議案事項について
書面表決権行使書により表決をお願いいたします。また他の正会員を代理人として総会で表決され
る場合は同じく委任状をご提出下さいますようお願い申し上げます。
*総会後の懇親パーティーにつきましては、今般の大震災の状況を鑑み、開催を中止させて頂きます。
会員各位におかれましては何卒ご理解を賜りますよう申し上げます。
なお、総会関係費用の中から義援金を拠出し、会員の方々からの寄付金と併せて「日本赤十字社」を通じて
被災された皆様にお役立て頂くことと致します。
記
1.日 時 平成23年5月30日
(月)15時~16時30分
2.場 所 航空会館 201会議室
東京都港区新橋1-18-1
(Tel. 03-3501-1272)
会場が変更となっております。ご注意下さい。
3.総 会 15時~16時30分
新橋駅 日比谷口(機関車の
ある出口)徒歩5~6分前後
JR
東京メトロ(旧営団)
新橋駅 ⑦出口
銀座線/都営浅草線
都営三田線
地下鉄内幸町駅 A2出口
至 東京
日比谷公園
国会通り
N
みずほ銀行
(都営三田線)
交番●
旧・第一勧業銀行本店
× 内幸町交差点
地下鉄 内幸町 駅
日比谷シティ
日比谷
セントラルビル
第一ホテル
● A2
りそな●
アイワ徽章●
入口→
JTB●
旧・新日本石油
至虎ノ門
(都営浅草線)
07
ミニストップ●
航空会館
I
⑦
紳士服・ビックビジョン
西新橋交差点
地下鉄新橋駅
外堀通り
新橋駅
日比谷口 機(関車 )
●マクドナルド
●ドコモ
●みずほ銀行 新・橋
至 三田
●東京スター銀行
●三井住友銀行
日比谷通り
「議案」
第1号議案
平成22年度事業報告及び
決算報告について
第2号議案
平成23年度事業計画
及び予算案について
第3号議案
会員資格の変更および新設について
第4号議案
役員の一部交代について
第5号議案
公益社団法人認定取得に向けた
定款変更案について
交 通 案 内
JR
ゆりかもめ新橋駅
至品川
【お願い】
別封ハガキの【総会出席届】
【書面表決権行使書】【委任状】について、該当される部分にご記入の上、
5月27日(金)必着でご郵送下さい。但し、所属される会社等のメールボックスをご利用いただいている方
はメールボックス付近に置いてあります投票箱に5月26日(木)までに投函いただいても結構です。
第46回通常総会への第46期出席予定理事
(役 職)
会 長
副
会
長
副
会
長
副
会
長
専務理事
常務理事
常務理事
常務理事
常務理事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
(氏 名)
大 内 学
小 林 宏 之
薬師寺 進
大 畑 隆
中 村 俊 治
池 田 晃 二
楠 本 晋 一
蔵 岡 賢 治
吉 田 徹
有 野 達 也
池 内 宏
石 井 清
大 澤 一 朗
大 関 春 樹
大 塚 敬 久
大 村 大
木 村 貴 文
早乙女 一 成
酒 井 文 彦
佐 藤 香
白 石 豊 樹
管 聖
菅 原 弘 行
鈴 木 英 明
中 野 計 人
根 本 裕 一
野 口 義 博
蓮 康 夫
馬 場 良 直
平 山 開 偉
『日本航空機操縦士協会のめざすもの』
1.私達の活動の目的は、定款に定められた通り「航空技術の向上を図り、航空の安全確保
につとめ航空知識の普及と諸般の調査研究を行い、もって我が国航空の健全な発展を促
進する」ことです。
2.私達は、定款の目的を踏まえ、将来のあるべき姿として「安全で誰からも信頼され、愛
される航空を実現する」というビジョンを描いています。
3.私達は、目的・ビジョンを達成するために下記を基本的指針に掲げて活動して行きます。
⑴ 航空の安全文化を構築する。
(組織と個人が安全を最優先する気風や習慣を育て、社
会全体で安全意識を高めて行くこと)
⑵ 地球環境と航空の発展との調和を図る。
⑶ 航空に携わるものどうしが心を通わせ共存共栄を図る。
第46期(平成22年度)重点施策
本協会は、引き続き航空の安全に資する事業を推進し、航空関係者の知識と能力を育
み、大きな変化が顕在化してきた状況の下、事業の公益性を一段と高め、移行認定(公
益認定)の手続きを進めます。あわせて財政の安定化を図り、事業に要するコストの効
率化を進めます。
本協会が行なっている事業は、公共性を有していると判断できます。操縦士としての
経験と知識を活かし、日本の空の安全と発展に資するために活動を続けています。安全
情報の提供、制度の解説、知識の普及は空の安全に役立っています。行政との関わりは、
安全講習会の開催や、安全関連検討会への委員の派遣、専門書の監修依頼など多岐に亘っ
ています。今後も公益社団法人の役割を担う事と考えます。
この様な環境を踏まえ、私たちは航空機の運航と空中における豊富な経験と培った知
見を活かし、次の事業を行ないます。
航空の安全文化の普及と啓発
安全対策(制度と運用)
情報伝達と提供
技能習熟の支援
情報収集及び調査研究
その他、本協会の運営に必要な事項
CONTENTS
No.326 2011 No.3 MAY
6
7
13
20
26
32
39
災害に立ち向かう機長達
40
緊急報告
47
副会長 薬師寺 進
「希望の松」
街が消えた日
2011.3.11 東日本大震災
~被災地に灯る絆という明かり~
村山眞寿雄
相馬 直将
伊藤 康太
48
50
第5回航空気象シンポジウム
講演のダイジェスト
又吉 直樹
57
特別寄稿
大量高速輸送時代の雄、ジャンボへの郷愁
徳田 忠成
役立つ! 運航・技術講座
CrossWindLanding考察
蔵岡 賢治
Aviation Café
GCAは計器飛行のはず?
駆出しパイロット
恐怖のポーポイズ現象
徳田 忠成
-×-=+
湧井カレン
老眼鏡のおはなし
UNK
フライトプラン? ?
ロートルパイロット
60
安全の分水領
アクシデント・インシデント概要
FAI ニュース
奥貫 博
第2回 全日本曲技飛行競技会
「誌上ジャッジスクール⑶」
髙木 雄一
GA:ジェネアビ情報
飛行機の視界と空中衝突
開催予告
YesICan夢は叶う
一緒にイベントを盛り上げませんか!
第2回全日本曲技飛行競技会開催案内(予定)
開催報告
西日本支部だより
63
JAPA 通信
65
第46回通常総会議案書
91
JAPA SHOP
93
94
奥貫 博
JAPA で飛行訓練を!
FlightTrainingDevice
FTD 訓練室
JAPA Aerial Photo Exhibition
1回完結のフリーサイト 投稿ブログ
月面サバイバル クイズ
湧井カレン
社団
法人
日本航空機操縦士協会
JAPAN AIRCRAFT PILOT ASSOCIATION
災害に立ち向かう機長達
社団法人 日本航空機操縦士協会副会長
薬 師 寺 進
初めて経験する大きな揺れに「すぐ止むだろう」と多寡を括っていたが、揺れは益々大きくなり、
いつしか机の引き出しが飛び出すのを抑えるのが精一杯でした。
揺れの最中に緊急連絡等の件が浮かべばまだしも、揺れの後のイメージが描けず成す術も浮かば
ず、ただ静まる事しか考えが浮かびませんでした。
我に返るのに数分掛り、やっとの思いで緊急対応連絡の一報を取る事が出来ました。操縦士協会
の事務所での出来事でした。
未曽有の災害に遭われた方々に衷心よりお悔やみお見舞いを申し上げます。
また、仙台空港、松島基地、仙台市消防航空隊基地が津波に呑まれてしまい関係者としては悲し
いニュースばかりでした。
操縦士協会として会員の安否も確実に掌握が出来ていないのが現状です。
仙台空港内には航空大学校がありますが、水没した空港にも関わらず教職員、訓練生は無事との
知らせには一条の光を見いだした思いです。
これまで小型航空機の運航は(ヘリコプター、飛行機)は直接、国民との接点はありませんがラ
イフラインを支える活動を通して社会や産業に寄与してきました。この度の災害ではライフライン
を支える活動に寄与できたことは大きな意義があります。
東京へリポートは新木場地区に位置し、埋立地なので道路は到る処で液状化現象が起き、道路の
穴に落ちた車や、泥水で動けなくなった車等が放置され、東京ヘリポートは夜中まで、大方の運航
者の事務所には明かりが灯り、ヘリコプターのエンジン音が唸りをあげて一機また一機と夜空に吸
い込まれて行くのを見ると「頑張れや!」とエールを送らずにはいられませんでした。
救助救援活動には国の航空機
や民間の航空機が総力を挙げて
取り組んできました。活動の一
部ではありますが、家族、親族、
友人の安否も気になる状況下で、
ライフラインを懸命に支えた
方々の思いを記事にしていただ
きましたのでパイロット誌に掲
載し広く会員や国民の皆様にご
案内したいと思います。
6
2011 MAY
緊急報告
「希望の松」
岩手県警察航空隊長
平成23年3月11日(金)午後2時46分。
築50年の航空隊事務所が崩れるか、と思われ
るような長く激しい横揺れ、
「隊長、早く出ない
と建物が崩れますよ!」と叫ぶ部下パイロット
を尻目に、フライトプランを緊急ファイルする。
同時に、格納中のヘリをエプロンに出するよ
う指示した。
マグニチュード9.0の「東日本大震災」の幕開
けの瞬間だった。
村山 眞寿雄
まだ地面の揺れを感じながらエンジンを始動
し離陸しようとしたが、被害確認中で滑走路が
使えないため、誘導路上の緊急用ヘリパッドか
ら離陸。
約20分後、沿岸南部の町に到着、地震による
被害は上空からはほとんど認められず、国道45
号線上を普段と変わらず車も走っているのを見
て内心安堵した。
いや違う、これがよく聞く「引き波」なのだ
……と知るのは、さらに北約5 km の町の入り
江に作られた湾港防波堤を乗り越えて加速度的
に大きな波が押し寄せているのを見た時だった。
波と言うよりも、海全体がせり上がっている
と言った方が適当かも知れない。
直後、さきほどの町の方向に反転して下を見
ると、来たときは全く異なる景色が広がった。
その町には日本百景にも数えられる美しい松
原と海岸線があり、さらに市街地との間には高
い防潮堤が砦のように築かれている。
しかし、眼下に今広がるのは、それらを難な
くひと呑みにして進む、まるで巨大な生き物の
ような荒れ狂う海の姿である。
折しも国道を猛スピードで走り抜けようとし
ている車、
「止まれ!引き返せ!頼む、助かって
くれ!」
その叫びも虚しく、目の前で瓦礫の波の中に
ただ……海岸は普段に比べると少し干上がっ
ている?
呑み込まれていく。
家屋が倒壊する瞬間に立ち上る激しい土煙と
においの中、それでも必死にヘリテレ映像を撮
影する。
通常、映像は最寄りの中継局を経由して各方
面に配信されるが、この時は地震による停電で
使えず、リアルタイムで送ることができないと
分かり、乗員全員が茫然と為すすべを失ってい
た。
それでも何かやらなければと思い、気を取り
直して撮影を続けた、いや続けさせた。
映像はビデオに収録し、その後、悪天候の中
希望の松
を何とか災害本部へ手渡すことができたが、そ
2011 MAY
7
れを見た県庁では全員が愕然としたのは言うま
でもなかった。
まさに混乱の極みを呈したわけだが、この時
の教訓から、その後、県の担当者がリーダーシッ
その夜は一睡もできないまま朝を迎え、再び
被災地上空を飛んだ。
そこにはあまりにも虚しい変わり果てた荒野
プを取り「ヘリコプター運用調整会議」を設置、
粘り強く各機関の意識統一を図っていた。
そして、はからずも震災ではこれが大いに功
が広がり、各機関の航空機多数がすでに救助活
動をしていた。
ヘリテレをやっているよりも、目の前で助け
を奏したわけである。
一例をあげれば、駐機スポットの指定を円滑
にするため、CAB 情報官室に空港(管理)事務
を求める人たちを救助する方が重要ではないか、
という迷いと衝動を抑えてひたすら映像を送っ
た。
所員、県防災航空隊員が常駐、ここからエプロ
ンのランプコーディネーターの隊員に無線で指
示を出すことで即時に処理できた。
今はこれが自分たちの役目なのだと信じて。
ただ、こうした日々の中にも、思いがけない
発見があった。
「いわて花巻空港」は、日頃は発着数もわずか
で、のんびりしたローカル空港である。
そこに日本中から警察、消防・防災、海上保
事前に各飛来航空機の情報を各部で共用し、
燃料搭載の優先順位を指定することで混乱を避
けることができた。
また、航空機用燃料は12キロリットルのロー
リー1台のみであったが、これに通常は旅客機
に給油する別の業者と協定を締結し、災害時の
供給を可能としていたことで、期間中、航空機
燃料の心配することなく、全機関の航空機が飛
行に専念できた。
さらに、新ターミナルビルが従来の場所から
滑走路反対側に移転したことから、新ターミナ
ル地区には自衛隊、米軍等を集約、旧エリアは
その他の救難救助航空機を駐機させることとし
て、スペースの問題が解決された。
また、滑走路は地震による被害はなかったも
のの、一定期間、定期旅客機を運休とし、救難・
救援航空機の一大基地としての位置付けで24時
間運用体制が取られたことも大きかった。
東北地方の基幹空港である仙台空港が津波に
安庁、陸海空自衛隊機そして米軍や他の海外か
らの支援航空機など、一日最大122機が殺到し
より水没して使えなかったことにもよるが、こ
れらは、各担当者の日頃からの準備や危機意識
た。
当然、混乱して機能しなくなることを覚悟し
ていたが、実際にはほとんど混乱なく、終始整
然と行われているのを見て正直驚いた。
の高さによるものであり、素晴らしいと感じた。
わが警察ヘリが、ヘリテレを始め、不明者捜
索、物資搬送、被災者搬送など多岐にわたる業
務を安心、安全に行うことができたのは、こう
3年前「岩手・宮城内陸地震」の際には、3
日間の対応だったが、駐機スポットは飛来する
機体で溢れかえり、1台の燃料ローリーを各機
したバックアップ体制に依るところが非常に大
きかった。
その意味で、
「いざというときに自分は何がで
関で奪い合い、その結果、緊急度の高い医療搬
送ヘリに燃料が入れられない事態を生じさせて
しまった、という苦い経験があった。
きるか、何をすべきか」を常々考えている人た
ちがこれほど多かったことは嬉しい誤算である
と同時に、今後の希望の光でもあると感じた。
以来約1ヶ月間、警察ヘリ14機により延べ115
回の飛行を実施、まさに不眠不休の日々が続い
た。
そんな毎日の中で、私を含む乗員は、これま
で経験したことのない PTSD(心的外傷後スト
レス障害)に苦しめられることになる。
普段、
「個人の生命・身体・財産」を守る仕事
をしていながら、目の前で無数の命が消えてい
くのを見ていることしかできないジレンマに、
乗っている者全員がやり切れないものを感じて
いたのである。
8
2011 MAY
あの日、吠える海に呑まれた多くの命はいま
だ発見されていないが、そんな中でも被災地は
いつ死ぬかなんて誰にも分からないのさ。
だから、その日、その時を大切にして生きる
日々、立ち上がる逞しさを増しつつある。
それでも、被災地上空を飛ぶとき、今も津波
に呑み込まれる情景を思い出し、自分の無力さ
こと、そして、亡くなった多くの命に恥じない
生き方をすることが残された者の努めなのさ」
と。
にさいなまれることがある。
そんな時、7万本もの高田松原がすっかり流
された跡に、たった1本だけ残った松の木が語
この木は「希望の一本松」と呼ばれ、今日も
私をはじめ、被災地の人たちの心のよりどころ
となっているのである。
りかけてくる気がする。
「私たちはみんな自然の中で生かされている。
そして、季節は着実に春へと変わりつつある。
(4月14日入稿)
街が消えた日
東邦航空株式会社 花巻事業所
岩手県防災航空隊担当
相馬 直将
平成23年3月9日11:45
三陸沖を震源とする地震が発生、県内の最大
震度は4であったものの、沿岸に津波注意報が
発令された。
岩手県防災ヘリ「ひめかみ」は、県庁の指示
により沿岸部の偵察のため離陸、沿岸南部から
北上し、被害状況調査を行う。
総延長674km、直線でも約170kmあるリアス
いる。
揺れが収まり、慌てて飛行準備を整え格納庫
に走る。通常は救助仕様であるため、1時間半
分の燃料しか搭載しておらず、広域な沿岸を調
査するには給油しなければならない。しかし、
燃料業者への電話がつながらない。何とか連絡
を取り、満タン後離陸。眼下に見る道路上の車
列の動きがおかしい。停電により、信号機が動
式海岸を、約1時間半かけて調査。
異状は確認できず、安堵した。
いていないためだ。
沿岸へ向かう経路上は降雪域が広がり、峠は
これが未曾有の津波災害の序章であり、沿岸
住民に油断を与える出来事であったのか……。
そして2日後-
私たちは、臓器移植コーディネーターと臓器
ふさがりつつある。飛行空域を内陸に切り替え、
市街地の状況を調査する。倒壊建物はないよう
だ。
しばらくして、いち早く離陸した県警ヘリか
搬送に関するミーティング中であった。聞き覚
えのある人工音が部屋のあちこちで鳴り出し、
それが緊急地震速報であると思い出す前に尋常
ら隊長の声で無線が入る。
「R市、壊滅!」
県警航空隊長は私の3年先輩で、昔からコッ
ではない揺れが始まる。
事務所内のほとんどの机の引き出しが開き、
駐車場の車が今にも動き出しそうなほど暴れて
クピットでは沈着冷静。その隊長の声がうわずっ
ている。
「壊滅」の意味が理解できなかった。
2011 MAY
9
広範囲で床上浸水があるという意味か。
翌日、R病院に取り残されている入院患者等
む暇もなく救助・救急のため県内に散らばる。
心強い。当初16機の消防防災ヘリが県内で活動
の救助のため向かった現場でその意味が理解で
きた。
街がない。一般住宅が根こそぎ持って行かれ、
し、1ヶ月経過した今も3航空隊が残り、活動
をしている。
現在の主な任務は、満床となった沿岸の病院
基礎部分しか残っていない。悪夢か。いや、悪
夢なら覚めるかも知れない。まだましだ。
原爆投下後の広島・長崎、東京大空襲後又は
から内陸への転院搬送と、今の季節特有の林野
火災対応。
ヘリによる転院搬送は、搬送時間の短縮によ
関東大震災後の東京を思わせる地獄絵が広がる。
病院には既に自衛隊の救難ヘリが到着し、屋
上からの救助を行っていた。航空機相互連絡用
る傷病者の負担減だけではなく、同乗を求めら
れている医療関係者や、救急車搬送であれば往
復で半日以上かかる救急隊の負担減、また、救
周波数122.6MHz により連携を図る。3年前の
岩手・宮城内陸地震の教訓から「岩手県ヘリコ
プター等安全運航確保計画」により、共通周波
数での運用を他機関にお願いしたのが功を奏し
た。
ホバリングによる救助は時間がかかると判断
し、瓦礫に注意しながら廃墟と化した病院の前
に着陸。隊員が傷病者を搬送する間、辺りを見
渡す。視界を遮るものは、ほとんど無い。
映画のワンシーンに放り込まれたような錯覚
に陥る。
その日の夕方までに、約100名といわれた入院
患者と病院関係者の避難を救難ヘリとともに完
了させた。道路がないため、車両による搬送は
不可能な状態。
その間に、北海道から南は宮崎まで、全国か
ら続々と消防防災応援機が花巻空港へ集結、休
急車が管轄外に出ることによる消防力の低下を
防ぐ。
林野火災は、自衛隊ヘリの統制の下、陸空の
大型ヘリと連携した消火活動。大型ヘリは7ト
ンもの海水を一気に山へ。消防防災機は小回り
を利かせてピンポイントで火点を狙う。
天候が目まぐるしく変化するのも今の季節の
特徴。
地勢、気象に慣れない他県の航空隊が安全に
活動できるよう、ネットで気象情報・ライブカ
メラを頻繁にチェック、そして観天望気。自分
が飛ぶ時よりも入念に。安全運航前提での災害
対策活動でなければならない。
岩手は間もなく桜の季節を迎える。桜が開花
する頃には、少しでも復興の兆しが見えてくる
ことを願ってやまない。
(4月13日入稿)
2011.3.11 東日本大震災
~被災地に灯る絆という明かり~
航空大学校 56回生Ⅱ期
◆まえがき
今回、私は東日本大震災の被災者となりまし
10
2011 MAY
伊藤 康太
た。地震発生時、仙台で生活をしていたからで
す。
この地震は1923年(大正12年)の関東地震(関
東大震災)の M7.9や1994年(平成6年)の北海
した。しかし、自然の脅威を感じ、長い時間が
始まるのはここからでした。
道東方沖地震の M8.2を上回る日本国内観測史上
最大の規模であり、世界第4位の巨大地震でし
た。本震および余震による建造物の倒壊・地す
◆避 難
べり・液状化現象・地盤沈下などの直接的な被
害のほか、津波、火災、そして、福島第一原子
力発電所事故に伴う放射性物質漏れや大規模停
電などが発生し、記憶にも残る自然災害である
と思います。
しかし、私は事の悲惨さを伝えるためにこの
文章を寄稿させていただいたわけではありませ
ん。被災したからといって、下を向かず懸命に
前を向こうとする強さと、人々の持つ協調性に
裏付けられた「絆」がそこにはあったのです。
この文章では地震のことも含めて、協調につ
いて書こうと思います。
◆地震の発生
2011年3月11日14時46分、太平洋三陸沖を震
源とするマグニチュード9.0の地震が発生しまし
た。この地震が来たとき、私は学生寮にある自
分の部屋で過ごしていました。しかし、午後3
時前、事態は急変します。警戒を促すエリアメー
ルが携帯電話に届き、ほぼ同時に揺れがやって
きました。この時の地震は地鳴りも含めて、そ
れまでのものとは違うものであることがすぐに
わかるほどのものでした。かろうじて机の下に
入り、収まるどころか振幅を大きくする揺れに
対して、同じ部屋に住む同期の学生に「大丈夫
か?」と問いかけるのが精いっぱいで、部屋の
中にある棚や物品が飛び交い、潜った机も引出
しが大きく動いて物が散乱、飛散し、早く収まっ
て欲しいと思うばかりでした。
しばらくして、長かった地震がやっと収まり
ます。その後、部屋や廊下の電気は消え、足の
踏み場もないほど物が散乱していました。そし
て、外では車は路肩に寄り、電線は大きく揺れ
たままであり、地面にも部分的に隆起している
ことが確認できました。まだこの段階では、周
囲の人の無事が確認できたこともあり、実際、
物が散乱した部屋のことなどを気にするのみで
建物の外に避難していると、隣接する航空機
の整備会社の方から、大津波警報が出ているか
ら、学生も避難するようにという声が聞こえま
した。その避難の指示に従い、整備会社のビル
に避難をさせて頂き、この時には学生の持ちだ
した非常用救命袋の他、整備会社の方が水や食
料をくださり、ある程度の長期化を覚悟しまし
たが、目線を仙台空港(太平洋側)に向けると、
ビルの屋上から見た目線に等しい高さの波を目
撃しました。
こちらに向かう波は現実かどうかも信じられ
ない高さで、目に涙を浮かべる者、最後になる
かもしれないからと挨拶を交わす者もいる中、
波はあっという間に避難していたビルの下まで
来ました。多くの車や飛行機、瓦礫を押し流し
ながら……見ているだけで何もできない無力感、
ひたすら増え続ける水位に対する恐怖感、雪も
降り始め、寒さを感じる中、過ぎる時間がとて
も長く感じられました。そして、日は暮れ、発
生した火災による炎の明かりだけが辺りを照ら
し、音もない不気味な時間が続きます。建物の
中で食料はありましたが、余震や地鳴りが収ま
ることはなく、長い一夜を明かします。
そして翌日、整備会社の方の支援によりボー
トで脱出し、地域の避難所まで徒歩で数時間の
移動をします。この道の途中では一変した景色
を目の当たりにしながらも、地元の方の炊き出
しにより、食物や飲物を頂きました。笑顔での
応援と、この状況下でも励ましてくださる地域
の方から優しさと強さを頂きました。
そして、避難所でも多くの方の支えや励まし
を受け、色々な方の支援によって無事に避難を
し、生き延びることができました。
この時の感謝の気持ちや、自然と流れた涙を
私は忘れません。また、この時に発揮された先
輩を中心とする学生同士の連携も今回の経験を
考えるうえで大切なものであると思っています。
2011 MAY
11
◆まとめ
今回の経験で協調することの大切さと、人々
が触れ合う中で生まれる温かさや絆を感じまし
た。何の予告もなく、今までに経験したことの
ない規模の地震が日常生活を襲い、津波も襲っ
てきました。この時、誰もが今までにない不安
や恐怖を感じたことと思います。しかし、その
体験を後にした人々の対応は、とても冷静なも
のであり、本心からの優しさや温かさに満ちた
行動ばかりでした。
今の私が平穏無事な生活を送ることができて
いるのは、この時の支援や行動があったからだ
と確信しています。未曾有の事態を目のあたり
にしても、動じずに、冷静に行動し手と手を取
り合い、一瞬一瞬を生き抜くこと。そこでは自
然と協調性のある行動をとるようになり、笑顔
や気力がわいてきます。そして、人と人の結び
つきが強くなり、絆が生まれていくのだと思い
ます。
普段、学生を見守りながら訓練機を整備して
頂いている整備会社の方には避難中とても多く
の支援をしていただき、安全に対するプロ意識
が生命の関わる状況に立たされた学生を助けて
下さったのだと思います。そして、避難中にお
世話になった宮城県岩沼市の方々にはあらゆる
優しさを頂きました。自身の生活があるにもか
かわらず、笑顔で支援してくださり、励まして
いただきました。言葉では表せないほどの感謝
の気持ちでいっぱいです。
私は今回学んだ事を、そして無事に生き延び
た事実を大切にし、日々を過ごしていこうと思
ます。このことを胸にとどめたうえで生活する
ことが大切だと考えています。
小さな行動や思いであっても、積み重ね、波
及することで大きな力になると思うからです。
そして、そのヒントは少し視点を変えるだけ
います。被災地では今という時間を生き延びる
ことにすべてを注いでいらっしゃる方が多くい
でも、日常生活の中に多く隠れているのです。
(4月18日入稿)
12
2011 MAY
第5回航空気象シンポジウム
講演のダイジェスト
乱気流検知技術の研究:レーダー/ライダー
による地形性乱気流、晴天乱気流の検知
(独)宇宙航空研究開発機構 航空プログラムグループ 又吉 直樹
●前書き
2010年11月29日に開催された第5回航空気象シンポジウムにおいて報告した「乱気流検知技術の
研究:レーダー/ライダーによる地形性乱気流、晴天乱気流の検知」の概要を紹介する。なお、講
演後の研究成果に基づき、一部内容を追記・修正している。
●はじめに
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(以下、
JAXA)では、航空機搭載型のドップラーライ
ダーによる晴天乱気流の検知、および地上設置
型の小型ドップラーレーダーによる地形性乱気
流の検知の研究を進めている。また検知技術に
加えて、検知情報を基に乱気流の航空機への影
響を定量化する、さらに影響を低減するという
乱気流検知情報の利用技術の研究を行っている。
本稿では、これらの研究開発の進捗状況を、
ドップラーライダーによる晴天乱気流の検知技
術、小型ドップラーレーダーによる地形性乱気
流の検知技術の順に報告する。
図1 ドップラーライダーの原理
JAXA が開発を進めている航空機搭載型ドッ
プラーライダーは、光アンプ方式を採用してお
り、欧米で主に開発されている固体レーザー発
振器を光源とするシステムに比べて、
・小型・軽量・低コスト化が可能。
・機外に露出する必要のある送受信光学系とレー
ザー光の発生・検出を行うレーザー送受光部
を光ファイバーを介して分離できるため、航
ドップラーライダーは、装置から放射したレー
ザー光が波長の十分の一程度以上の大きさを持
空機への搭載が容易。
・アイセーフ・レーザー光(波長1.5μm)を使
用しているため、地上付近で使用した場合で
も人体(眼)に対する安全性が高い。
つ微粒子により散乱(ミー散乱)され戻ってく
る光を捉え、そのドップラーシフトからレーザー
放射方向の微粒子の移動速度、すなわち気流の
・豊富な光通信用の光学部品を利用可能なため、
製作が容易で量産性が高く、また信頼性、耐
環境性に優れている。
速度を検出する装置である(図1)
。レーザー光
の散乱源が雨粒ではなく微粒子であるため、晴
天時において風が観測できるのが特長である。
などの特長を有している。ただし、ジェット旅客
機が飛行する成層圏では微粒子の濃度が低く、既
存の装置ではレーザー光の出力が不足して観測距
地上設置型のライダーは既に実用化されている
が、航空機搭載型のライダーはまだ実用化され
ていない。
離が極端に短くなるため、航空機に搭載可能なサ
イズを維持しつつ高出力化することが課題とな
る。JAXA で開発してきたライダー試作モデル
●航空機搭載型ライダーの開発
2011 MAY
13
分の図がライダーの計測結果、下のグラフがライ
を表1、図2に示す。10年間で約200倍の高出力
化(パルスエネルギー)を達成する一方、総重量
ダーを搭載した航空機の揺れ(上下加速度の変動
幅)を示している。いずれの図も横軸が時間であ
り、ライダー観測結果の図の縦軸は航空機前方の
は1.5倍増に抑えられている。また JAXA では、
ライダーの高出力化以外にも、観測分解能の最適
化やフィルタリングによる観測ノイズ低減などの
距離(ライダーは航空機前方を監視している)
、
揺れのグラフの縦軸は航空機の揺れの大きさであ
る。ライダー観測結果の色は、ライダーで観測し
改良を進め、ライダーの観測距離向上に努めてい
る。最終的には、ジェット旅客機の巡航高度(高
度1万m程度)において9km(5NM)の観測距
た乱気流指標(水平風速の変化率:Fh -ファク
ター)の強さを表しており、色が白くなるに従っ
て乱気流が強くなることを表す。図3は、時間60
離を達成することを目標としている。
●ライダーによる晴天乱気流の検知例
秒前後に航空機が遭遇した弱い乱気流が航空機の
前方9km 付近から近づいてくる様子が、時間ゼ
ロ秒の時点からライダーにより検知されているこ
とを示している。このように、微粒子濃度が高い
低高度では、目標とする9km 先の乱気流検知は
既に達成されており、現在は高高度での性能向
上・確認を進めている段階である。
JAXA では、表1、図2に示したライダーの
各試作モデルを実際に航空機に搭載して飛行試験
を行っており、最新の高高度モデルは、ビジネス
ジェット機に搭載して飛行試験を行っている(図
2)
。ライダーにより高度2000ft の低高度で晴天
乱気流を検知した事例を図3に示す。図中の上半
表1 JAXA で試作した航空機搭載型ドップラーライダーの諸元
2001年度
1NM 級モデル
2006年度
3NM 級モデル
2007年度
5NM 級モデル
2008年度
高高度モデル
ピークパワー
10W
90W
323W
1745W
パルスエネルギー
4.5μJ
58μJ
179μJ
960μJ
データレート
1Hz
1Hz
1-10Hz
1-10Hz
光学系有効径
50mm
110mm
110mm
150mm
消費電力
420W
306W
374W
1380W
総重量
105kg
51kg
82kg
152kg
2001年度
1NM 級モデル
2006年度
3NM 級モデル
観測距離2km
B-65
2002年9月
2007年度
5NM 級モデル
観測距離6km
B-65
2007年5月
観測距離9km
Do228
2009年3月
2008年度
高高度モデル
観測距離9km
(高高度)
目標値
G-Ⅱ
2010年1月
図2 JAXA で試作した航空機搭載型ドップラーライダーと飛行試験時期
14
2011 MAY
図3 航空機搭載型ライダーによる晴天乱気流の検知例
表2 乱気流検知時の対処法とライダーの目標性能の関係
飛行
フェイズ
離陸
乱気流検知時の対処法
離陸待機
ライダー目標性能との比較
・目標性能で対処が可能
・地上設備が有効
乱気流事故の
発生比率*
0%
高度変更前に変更先高度を事前
乱気流が途切れる場所を探し、
観測することにより、目標性能
上昇・降下
で対処が可能
45%
巡航
・シートベルトサイン点灯
・客室サービスの中断
・回避飛行は、現行ルール上は
困難
・目標性能では対処時間が不十
分(30秒程度)
・素早い対処を可能にする航空
機側の対応が必要
34%
着陸
復航
目標性能で対処が可能
21%
高度変更
*1990~2008年に国内で発生した乱気流事故29件中の比率
図4 ライダーの風情報を用いた乱気流遭遇時の航空機の揺れ低減制御
2011 MAY
15
●航空機搭載型ライダーの利用技術
目標とする9km の観測距離が達成されたと
仮定して、飛行中の各フェイズで航空機搭載型
ライダーにより乱気流を検知した場合に想定さ
れる対処法、およびライダーの目標性能がその
対処法を行うのに十分か検討した結果を表2に
示す。国内の乱気流事故の7割弱を占める高度
変更時、および着陸時の乱気流事故は、ライダー
による乱気流検知で防ぐことが可能と考えられ
る。一方、残り3割強を占める巡航時の乱気流
事故は、巡航時の飛行速度が速いため、ライダー
で乱気流を事前に検知しても遭遇までの時間が
最大30秒程度と短く、シートベルトの装着、客
室サービスの中断などの対処が完了できない可
能性が高い。これを解決するには、ライダーの
観測距離の向上が最も有効であるが、現在の目
標値である9km 以上の観測距離の向上は技術
的目処が立っていない。従って、短い対処時間
の中で有効な事故防止策を講じることが必要と
なる。
JAXA では、ライダーの風観測情報を航空機
の制御(オートパイロット)に用いることで、
乱気流遭遇時の航空機の揺れ(上下加速度の変
動幅)を低減する技術の研究を進めている。机
上シミュレーション段階では、ライダーの風観
測情報を活用することで、航空機の揺れが数分
の一以下に低減できることが確認されている(図
4)
。また、オートパイロットを改修しないまで
も、客室サービスに使われるワゴンを通路上で
も固定できるようにする、立っている人がつか
まることができる手すりを設置する、などの比
較的小規模な改修によっても、より短い時間で
事故防止に有効な対処ができるようになると考
えられる。JAXA では、これらを含むライダー
の搭載・利用技術について、米ボーイング社と
共同研究を進めている。
●小型ドップラーレーダーによる
地形性乱気流観測
次に、地上設置型の小型ドップラーレーダー
による地形性乱気流の検知について紹介する。
16
2011 MAY
近年、従来の気象レーダーに比べて小型・低コ
ストでありながら、高解像度を有する小型ドッ
プラーレーダー(図5、表3)の開発が進んで
おり、JAXA では同レーダーを開発する大阪大
学と共同で、同レーダーを用いた低層風擾乱の
情報提供システムの研究開発を行っている。低
コストで情報提供システムの整備ができれば、
地方空港への展開も可能になると考えられる。
図5 小型ドップラーレーダー
表3 小型気象ドップラーレーダー諸元
項目
性能
送信周波数
15.75GHz(±40MHz)
送信出力
10W(最大)
観測範囲
約0.1~15km
ビーム幅
3度
距離分解能
約5m
(従来レーダーは50~100m)
アンテナ
回転速度
30~40RPM
(全天を1分未満でスキャン)
寸法
約1.5×1.5×1.6m
重量
約500kg
消費電力
4kVA(単相3線式200VAC)
観測項目
エコー強度(降雨、降雪)
視線方向風速、風速幅
この研究の一環として、山形県庄内空港に小
型ドップラーレーダーを展開し、風観測を行っ
た。同空港は、西寄りの季節風が強まる冬期に
RWY27の進入経路上に乱気流が発生しやすいこ
とが知られており、レーダーは RWY27進入経
路が見渡せる滑走路 RWY27端脇に設置した(図
6)
。また運航会社の協力を得て、観測期間中に
着陸した旅客機の揺れの情報も併せて収集し、
風観測データとの相関評価を行った。
●レーダーによる地形性乱気流の検知例
レーダーによる地形性乱気流の検知例を図7
に示す。本事例は、降雪と強風が原因で旅客機
が着陸できなかった事例である。強い北西風が
吹き、滑走路北側の丘の風下となる RWY27進
入経路上で強い乱気流が検知されている。高度
200ft から100ft に降下するわずかな間に正対風
が約20kt 減少すると共に、高度300ft で30kt 近
くあった横風も高度100ft までに10kt 以下に減
少する様子が捉えられている。このように、小
型ドップラーレーダーは地形性乱気流の検知に
十分な性能を有しており、同レーダーを用いた
低層風擾乱の情報提供システムの成立性が確認
された。
●乱気流の航空機への影響の定量化技術
正対風の変化はウィンドシアーとして航空機
の速度・高度変化を引き起こし、横風の変化は
経路の左右方向のずれと共にバンク角を始めと
する姿勢変動を引き起こすと考えられる。JAXA
では、レーダーの風観測情報を基に、乱気流に
よって航空機が受ける影響を定量化する研究を
進めている。速度・高度変化については、航空
機搭載型ウィンドシアー警報装置の警報ロジッ
クを採用し、レーダーの風観測結果を用いてウィ
ンドシアー警報指数を生成する。これにより、
航空機の立場から考えると、ウィンドシアーに
入る前に警報を受けることができる、すなわち
プレディクティブ型のウィンドシアー警報装置
を搭載した場合と同じ効果を得られる。さらに、
乱気流により生じる航空機姿勢の変化幅をレー
ダーの風観測結果を用いて推定する技術を、庄
内空港での観測事例を基に開発した。
具体例として、図7に示した観測事例におい
て予想される航空機への影響を推定した結果を
図8に示す。ウィンドシアー警報指数からは、
ウィンドシアーの強度が高度250ft 付近から要注
意領域に入り、高度200ft 付近では警報領域に達
する、すなわち機上のウィンドシアー警報装置
が作動する可能性が高いことが読み取れる。ま
た姿勢変化については、高度150ft 以下でピッ
チ、ロール共に変化幅が大きくなり、接地時の
姿勢維持が困難になることが予測される。結論
として、この事例では、航空機の着陸は困難で
あることが定量的に示されている(実際、航空
機は着陸していない)。このように、乱気流の航
図6 庄内空港における風観測
2011 MAY
17
空機への影響を定量的に推定して提供すること
で、的確な運航判断を支援することができると
考えている。この乱気流の影響の定量化技術は、
気象庁が提供する低層ウィンドシアー情報への
活用を目指して、気象庁と共同研究を開始して
いる。
●おわりに
今回紹介した乱気流検知・利用技術を実用化
するためには、関係者、特に情報を利用する運
航者との情報交換が必須であり、シンポジウム
で発表の機会を頂けたことを契機に、さらなる
情報交換を進めていきたい。
図7 小型ドップラーレーダーによる地形性乱気流の検知例
図8 乱気流による航空機への影響の定量化例(図7の事例)
18
2011 MAY
日本気象学会公開気象講演会のお知らせ
日本航空機操縦士協会の航空気象委員会では、協会の内外を問わず講演等の活動を行っています。
今回、日本気象学会春季大会、公開気象講演会において、中山先生(顧問)、田畑氏(航空気象委
員)
、山本氏(航空気象委員長)が講演を行うことになったので、お知らせします。
公開気象講演会のお知らせ
※公開気象講演会への参加は事前申込みが必要です。
詳しくは大会ホームページ(http://msj.visitors.jp/)をご覧ください。参加は無料です。
日 時:2011年5月21日(土)(大会第4日)13:30~17:00
場 所:国立オリンピック記念青少年総合センター
309会議室(センター棟 3F)(大会B 会場)
テーマ:
「航空安全のための気象学」
主 催:社団法人 日本気象学会
教育と普及委員会・航空気象研究連絡会
後 援:一般社団法人 日本気象予報士会
趣 旨:日本気象学会2011年度春季大会の開催に合わせて、一般市民の方々に気象に関する最近の
研究成果や気象情報の利用についてわかりやすく解説することを目的とした公開気象講演会を開催
しています。今回は教育と普及委員会・航空気象研究連絡会との共催で「航空安全のための気象学」
をテーマに取り上げます。航空機の安全運航のためには気象情報が必要になります。また、飛行場
や航空路の大気現象を対象とした航空気象は、一般を対象とした気象観測や天気予報とは異なる特
殊性や困難性を持っています。講演会では、航空気象の研究や、情報の発信、管制や運航の現場で
の利用等、さまざまな立場から航空気象に携わられている方々から、航空気象の歴史・概要や、最
新の研究・技術を紹介していただくとともに、情報が実際にどのように状況判断に用いられるか、
今後どのような情報が出るのか、また必要なのかを議論いただきたいと思います。ふるってのご参
加をお願いします。
テーマおよび講演者:
1.
「進化した飛行機にはメソスケールの智識が必要である」 日本航空機操縦士協会顧問 中山 章氏
2.
「航空機の安全運航を支援する気象庁の航空気象情報」 気象庁総務部航空気象管理官 田畑 明氏
3.
「TBD(To Be Determined)」
国土交通省航空局担当官(予定)
4.
「気象情報の利用と安全運航 ~運航管理の視点から~」日本航空株式会社気象グループ 浦 健一氏
5.
「気象情報の利用と安全運航 ~パイロットの視点から~」
日本航空機操縦士協会航空気象委員長 山本秀生氏
問い合わせ先:氏家将志(気象庁)
TEL:03-3212-8341(内線 3309) E-mail:[email protected]
[交通手段]
○小田急線:
「参宮橋」駅下車徒歩7分
○地下鉄千代田線:
「代々木公園」駅下車徒歩10分
○京王バス:
1.新宿駅西口16番より
「代々木5丁目」下車
2.渋谷駅西口14番より
「代々木5丁目」下車
2011 MAY
19
◦特別寄稿
大量高速輸送時代の雄、
ジャンボへの郷愁
徳田 忠成
さようなら、ジャンボ
大量高速航空輸送時代の雄として、世界の空
に君臨してきた B747型機(愛称「ジャンボ」)
が、日本航空(JAL)から消えていった。去る
3月1日昼過ぎ、ホノルルからの国際線、そし
て同じ日、国内線は沖縄から成田空港に到着、
格納庫で約800人の JAL 社員による退役セレモ
ニーがおこなわれた。
日航はジャンボを昭和46年(1971年)6月か
ら路線に投入、当初の -100 series から、-200、
-300の第3世代機、そして第4世代機の -400と
変更、総計109機(在来型65機、-400型44機)を
使用した。
分)である。
世界の航空界を席巻したジャンボとの付き合
いは、私の総飛行時間の6割を占めている。愛
して止まないジャンボが現役を引退することは、
時代の流れとはいえ、惜別の念余りあり、なに
か限りない郷愁を覚えずにはいられない。
今は親しみをこめて呼ばれている『ジャンボ』
の呼称は、当初、英国人レポーターによって盛
んに書き立てられた。決して褒め言葉ではない。
大きくて不格好というほどの意味からだ。ボー
イング首脳陣はこれを嫌ったが、やがてこれが
定着していった。今はむしろ親しみをこめて大
きなモノへの代名詞のように扱われている。
「さようなら、ジャンボ!」
ジャンボ機の出現
1960年代にダグラス DC-8やボーイング B-707
のジェット・フリートが航空輸送業界の主流と
して飛んでいたとき、次の1980年代は誰もが SST
時代がくると思っていた。当時、ボーイング社
のエリート技術者たちは SST 開発に力を注いで
いたが、その『つなぎ役』と考えられたのがジャ
ラスト・フライト終了時の筆者、右は中島機長
私は昭和47年(1972年)12月から定年の平成
8年(1996年)3月までの約23年間、ジャンボ
と共に過ごした。この間の飛行時間11,479時間
54分(在来型8,306時間15分、-400型3,173時間39
20
2011 MAY
ンボであった。
米空軍からの次期大型航空輸送計画の要求仕
様競争に敗れたボーイングは、1966年4月、パ
ン・アメリカンの剛腕社長ホアン・トリップか
ら超大型輸送機25機の発注を受けたことで、ジャ
ンボの開発をスタートさせた。主任設計者はア
レン社長による指名で、ジョー・サターに決ま
り、テスト・パイロットはジャック・ワデルと
ブライアン・ワイグルとなった。
ジャンボ原型初号機 N7470(機体登録番号)
の初飛行は、1969年2月9日(日)、シアトルの
ペインフィールド飛行場で実施された。飛行時
間1時間16分、飛行中のワデルは地上で待機す
る技術陣へ、何度も「Fantastic !」を連発し
た。サターが B747の図面を頭に描いた時から3
年が過ぎていた。
ちなみに米空軍大型輸送機はロッキードの提
案を採用し、C-5A ギャラクシーとして開発さ
れ、今に至っている。
これは怪物だ!
昭和45年3月11日、パン・アメリカンのロゴ
を付けた噂のジャンボが、羽田国際空港に初飛
来した。この時はニュースにもなったが、いず
れ日航も導入するジャンボを一目見ようと、送
迎用展望所に行った私は、その大きさに驚いた。
B747-100型(JA8103)
それまでの DC-8や B-707クラスが凄いジェッ
ト旅客機と思っていたから、その巨大さに驚い
た。近くに駐機している日航の DC-8と比較す
ると、ますますジャンボの巨大さが分かる。
〈こ
れは怪物だ! それにしても、こんな化け物を
創りだすアメリカ人も凄い!〉
。偽らざる気持ち
だった。
日航はパン・アメリカンをはじめ、欧米主要
航空会社12社と伍していくために、山積する多
くの課題をこなしていった。その一つがパイロッ
ト経験であった。運航本部は、投入するパイロッ
トの条件として、飛行時間3,000時間以上、DC-8
機長3年以上とした。第1陣16名(CAPT&F/
E)は、昭和45年4月22日、シアトルで B747
(JA8101)を受領、そのまま飛行訓練所のあるワ
シントン州モーゼズレイクへ直行、ボーイング
社教官によって飛行訓練が実施された。結果的
に、日航はパン・アメリカン、ルフトハンザに
次いで第3番目の発注会社となった。そして日
航ジャンボ2号機(JA8102)が東京国際空港(羽
田)に到着したのが、この年6月1日であった。
第3世代機ジャンボの革新性
速度こそ DC-8よりやや速い程度ながら、今
までの輸送機に数倍するジャンボの輸送量は、
航空輸送の大衆化をもたらした。
それまでブルジョアの特権でしかなかった国
際線へ、一般大衆の目が向けられたキッカケと
なった。エンジン推力は高バイパス比ターボファ
ン・エンジン4基で、低燃費および低騒音を実
現した。コックピットの前面に配置されている、
基本的なアナログ計器類は従来と大差はないが、
革新的ともいえる INS(慣性航法装置)が導入
され、より高精度の航法を可能にしたから、国
際線での天測やロラン操作が不要になり、航法
士(空の航海士)が不用になった。
さらに機上電子器機の進歩による安全性の向
上が図られた。自動推力制御装置の開発は、モ
ニター・タスクが乗員の負担に加わったが、初
期の FMS(PMS)装置は、巡航速度の効率化、
燃料制御、さらには降下速度、降下地点等々の
マネージメントを可能にした。
INS と FMS の導入は、第3世代機の二大特
徴であり、多くの航空会社が採用し、ライン就
航以来、約20年の長きにわたって、空の王者と
して君臨した。弟分の第4世代機 B747-400型が
出現するまで続いたのである。
ジャンボの訓練開始
私がジャンボの訓練に投入されたのは36歳の
とき、昭和47年8月からだった。場所は海老取
川の空港側からあなもり橋を渡った左サイドに、
45年3月に開設された乗員訓練センターであっ
た。それまで DC-8でお山の大将で飛んでいた
から、午前9時から午後5時の8時間、膨大な
資料を相手のグランド・スクール(G/S)は苦
労の連続だった。しかし、逆に規則的な生活を
しているため体調はよかった。
ドッサリ学習資料をもらって G/S がスタート
2011 MAY
21
ワシントン州モーゼズレイク市街のホールマー
ク・インに宿泊、そこから専用バスで15分くら
B747-300型の計器パネル
いのグランド・カウンテイ空港にある日航モー
ゼズレイク・ジェット機訓練センターで、飛行
訓練が実施された。ここは、かつて米戦略空軍
した。すべてが新しく耳に響いた。今一番印象
に残っているのは、ボーイングが考え出した
の B-52が常駐していた所で、とにかくだだっ広
い。メイン R/W は13,500ft ×300ft と、ジャン
ボ級でも Stop & Go ができる。ジェネラル・ア
SBO(Specific Behavioral Objectives; 特定行動
目標)方式といって、コックピット内の、機長、
F/O、F/E それぞれの任務が、限りなく独立し
ビエイション機が、時折、飛んできたり、ボー
イング社のテスト飛行に使用されている。
教官はノースウエスト航空に委託されていた。
ていることである。お互いは最小限のコーディ
ネイションで飛行機が運航され、各自の間隙を
埋めるものは、リダンダンシィ(多重安全装備)
によってバックアップされる。それは今までの
機長→ F/O → F/E という伝統的命令系統から
外れるから、必要な知識だけを吸収すればよい。
いわゆる運航するために、組織の全てを知る
必要はなく、Nice to Know と Need to Know が
ハッキリ区別されているのが特徴である。Check
List(操作手順)も、この考えに沿って作られて
いた。ある訓練生は、この期間、わざわざ訓練セ
ンターの近くにアパートを借りて頑張っていた。
約1カ月の G/S を終え、学科試験直前、外部
点検という形での実機見学がスケジュール・イ
ンされた。まだジャンボを近くで見たことがな
い訓練生は、皆わくわくしていた。巨大なハン
ガー内に鎮座している定期点検中のジャンボは、
流石に貫禄があった。近づいていくと小山のよ
うな胴体、それを支えている2本のノーズ・タ
ランプに佇んでいる訓練機は貫禄充分だ。コッ
クピットの左席に座り、タクシー・アウトでス
ロットルを恐る恐る出したとき、機体がグラッ
と前に出た感触が今でも頭をよぎる。とにかく
感激、やがて R/W に正対、この時、緊張のな
かにも、不思議な感覚が頭をよぎった。かつて
飛んでいた DC-8の高さから見る視界と余り変
わらないのだ。とにかく“デカイ”という先入
観があったから、尚更であった。しかし、よく
考えてみると、R/W の幅が300ft もあり、一般
の R/W 幅は150ft なので、相対的に違和感がな
いのである。
このことは随分と訓練の助けとなった。飛行中
の機体の動きは軽快で、その大きさを感じさせな
い。すばらしい。着陸テクニックは、視覚による
高度の曖昧さを補うため、右席による電波高度計
の「50」
「30」
「20」のコール・アウトを聞きなが
らフレアしたが、思いのほか楽であった。
私のジャンボ機初飛行は、47年10月24日、1
イヤとメイン・タイヤ16本、そのタイヤを格納
するスペースは見上げるほどである。デカイ! 時間20分。教官からは、PF(Pilot Flying)を
ハッキリさせるため、
「You have control」と「I
その時、
〈こんなデカイ飛行機、外部点検で歩く
だけでも大変だ〉というのが、率直な気持ちだっ
た。機内に入って地上9m の機長席に座って窓
外を見る。
〈うーむ、高い。本当に操縦できるの
have control」を、厳しく指摘された。訓練時
間は実地試験を入れて7回、9時間41分。この
初飛行以来、在来機と約17年間を共に歩んだ。
そして B747-400型へ移行した。在来機飛行時間
かいな〉
、これも実感。
FFS は12回で22時間25分、PNF を入れるとお
は約8,300時間である。日航での在来機数は、最
盛期で65機を保有していた。
よそ倍の時間になる。これまでの試行錯誤の結
果に生み出されたものである。さらに実機訓練
に入る前、ジャンボのオブザーブ席に座っての
羽田・香港間往復の OBS が実施された。
第4世代機、B747-400型機の特徴
22
2011 MAY
第4世代機、ボーイング社の B747-400原型初
号機が初飛行したのは1985年4月29日である。
外形は従来のジャンボとほぼ同じであるが、中
味は大きく変わっていた。
これらのデジタル表示に慣れるまでは、相
当の時間を要した。
④結果的に、アドバンスド・フライト・デッキ
(Advanced Flight Deck)となり、基本的な
デジタル表示である各システムのデザイン、
パネルの配置によって、システムの異常に対
応すべく、計器の統合と各自の手順の簡素化
が図られた。
B747-400型
まず -400型が出現した背景には、1972、3年
以来、ヒューマン・ファクターに起因する事故
が全体の70%前後という現実を、少しでも改善
するための専門家たちの涙ぐましい試行錯誤が
あったといわれる。
コックピットは2 Men Crew になり、エンジ
ンも燃費が5~6%改善、相対的な重量軽減、
ウイング・レット装備で翼端が6ft 延長、空力特
性が改善された。なお、搭載燃料の増加により、
航続距離は8,100nm(15,000km)と延長、東京・
ニューヨーク直行を可能にした。
さらに -400型のコックピット・デザインの概
念を列記する。
①自動化によるパイロット・タスクの軽減と、
適切な Man-Machine Interface。
②重要なシステムや緊急事態での、バックアッ
プ・システムの充実、いわゆるリダンダンシー
の充実がある。例えばオートパイロット3台、
IRS が3台装備された。
③表示方式の進化。各パイロットの前には、デ
ジタル表示された CRT(Cathode Ray Tube)
が2台、中央センター CRT にはエンジン計
器類、その真下にある Lower CRT は EICAS
(Engine Indication & Crew Alerting System)として使用される。通常はダークの状
態で、システムに故障が発生したときは、橙
色や赤色がポップアップし、パイロットに異
常を知らせる。アナログ計器は、スタンバイ
的存在になり、中央 CRT 左に、水平儀、高
度計、RMI(無線磁方位指示計)があるだけ
である。
アナログ計器のデジタル化
パイロットが仕事でコックピットに入ったと
き、わが家のような空気が漲っているほどの親
しみを覚える。ところが最初の頃の -400型機
は、まるで子供が開店前のゲーム・コーナーに
迷い込んだような感覚だった。今までは、アナ
ログ計器が所狭しと並んでいたが、CRT 上の
ディスプレイは真っ黒で、無味乾燥である。
ところが電源を ON にした途端に、前方6個
の CRT は命を吹き込まれたように、カラフル
にディスプレイが浮き上がってくる。とくに正
副各座席前方に並列に配置されている PFD(Primary Flight Display)と ND(Navigation Display)は素晴らしい。かつてのアナログ計器が
デジタル化され、インテグレイト(統合)され、
魔法のようにクッキリと浮き上がってくる。幾
何学的であり、芸術的でさえある。
その両 PFD & ND の間、つまり中央にセン
ター CRT があり、その真下の6ッ目の CRT
は、EICAS が装備されている。センター CRT
は、アナログ時代のエンジン計器、つまり EPR
計、N1回転数、排気温度計、燃料流量計がデジ
タル表示され、EICAS は、ほぼ全てのシステム
の異常をポップ・アップによって表示されるア
ラート装置になる。第4世代機の基本的 CRT 配
置であり、第5世代の B777型機も同じである。
アイル・スタンド両サイドには、機体の頭脳
ともいえる FMS
(Flight Management System)
、
つまり在来機の INS(慣性航法装置)と、FMS
による航法機能を拡張し、コンピューター管理
された MCDU(Multi-Purpose Control & Display Unit)が装備されている。航法の中心だっ
た INS は、より精度の高いレーザー使用の IRS
2011 MAY
23
いて触れてみよう。従来のコックピット任務は
権威主義型で、機長→ F/O → F/E の指揮系統
が基本になっていた。そしてトラブル発生時は、
6個の CRT を備える B747-400型の計器パネル
システムに関しては F/E が中心になって実施さ
れる。そのためのシステム計器がコックピット
右側にビッシリと張り付いていたが、それが無
くなったことは、何か不自然さを感じたものだ。
第4世代機であっても、機長は基本的に操縦に
専念する必要があるから、トラブル発生時は主
に F/O が F/E 任務を担当した。
しかし、F/E タスクの大半が自動化になった
ことで、仕事量は相対的に減少した。
F/O 側の PFD(右)と ND(左)
(Inertial Reference System)に替っている。
さらに若干目的を異にする3台目の MCDU
が、アイル・スタンド後方にあるが、これは主
にエンジンなどのシステム系統データの記録や、
気象データの収集に使用されるもので、CMCS
(Central Maintenance Computer System)や
ACARS(Automatic Communication Addressing & Reporting System)によって、必要な資
料をタイムリーに取得できる。ACARS とは、
通信衛星を利用した、データ・リンク・システ
ムである。
フライト・オペレーション
ND と MCDU は、パソコンのディスプレイと
キー・ボードとの関係にあり、この操作は F/O
の担当になっている。プリフライトでの F/O
は、当日の飛行に関するデータ、つまり離陸空
港の略号、その標高、気圧、使用滑走路、駐機
ゲート、離陸推力、STAR、アプローチ方式、
それから予定された航路のチェック・ポイント
等々が、手際よく MCDU にインサートされる。
そして外部点検を終えた機長と共に、これらの
エリア・オブ・リスポンシビリティ
2 Men Cockpit では、在来機の F/E タスクを
補って、2人で効率よく仕事をやろうとする考
えが出てくるのは当然である。その結果、両者
の仕事分担(Area of Responsibility)が、より
明確になった。
つまり、今までシステムの知識とか、フライ
ト・テクニックに力点がおかれていたが、F/O
の仕事分担に加え、Cockpit 内でのコミュニケー
ション能力をたかめ、2人で安全運航に寄与し
ようじゃないかというものだ。これは簡単なよ
うで、なかなか容易ではない。とくに機長の意
識改革が重要になってくる。
この対応のために、各航空会社は CRM/LOFT
(Crew Resource Management/Line Oriented
Flight Training)という訓練手法を取り入れる
ようになった。日航でも昭和61年春からこれを
取り入れた。私も日航成田ホテルに缶詰状態に
なって、4日間受講した思い出がある。一言で
いうなら、これによって Cockpit Crew の今ま
での考え方の欠点を洗いだし、必要ならば、そ
れを矯正し定着
させていこうと
いうものであ
データが正しくインサートされていることを、
相互に確認する。これには両サイドに装備され
ている EFIS(Electronic Flight Instrument System)が使用される。
さて運航中の機長と F/O とのタスク分担につ
24
2011 MAY
る。たしかに、
CRM セミナー修了証
権威主義的な機
長が少なくなっ
たように思われ
る。
飛行訓練
日航も B747-400型を発注、当時、査察運航乗
員部に所属していた私は、査察要員として -400
の導入にかかわった。
すでに国内線用として、B767が昭和60年夏以
降から導入されていた。それは F/E が不要な2
Men Crew Operation である。F/E の仕事はコ
ンピューターが受け持った。コックピット・デ
サインは、今までのアナログ計器のほとんどが、
CRT ディスプレイにとってかわり、いわゆるグ
ラス・コックピットになった。
昭和63年11月28日-12月18日まで、アムステ
ルダムにあるオランダ航空(KLM)乗員訓練所
へ出張、Ground Training Course の Differences
コースを受けた。そして CBT、FBS、FFS を実
施、何とか消化することができた。しかも、FBS
か FFS か忘れたが、教官が私より10歳ほど年上
の女性だったのには驚いた。
帰国後、中島 B747乗員部長をリーダーとする
ボードが数十回も開かれ、試行錯誤をしながら、
いろいろな手順や規則を作っていった。在来機の
飛行スケジュールをこなしながらの仕事だったか
ら、さすがに疲れたが、大変よい勉強になった。
64年10月-12月まで、シアトルのボーイング・
フィールドで、FFS 12回24時間の訓練と審査が
実施された。この時期のシアトルは、毎日、ブ
ルー・スカイで私生活は快適だったし、訓練の
合い間にゴルフを楽しめたほどである。しかし、
航空局乗員課から派遣された試験官は、事前の
アドバンス訓練がなかったから、さぞ大変だっ
たことと思う。しかし、ほぼ毎日、宿泊してい
るホテルの近所をジョギングして体調を整えら
れていたことが、印象に残った。
帰国後、FFS での場周径路を訓練、平成2年
2月4日、モーゼズレイク飛行場で無事 -400型
の初飛行を実施した。機体はボーイングから受
領した1号機(JA8071)を、1月29日にボーイ
ング教官がフェリーしてきた。さすがに実機で
の飛行は緊張した。
しかし、最初の実機での着陸の感触、それは
グランド・カウンテイ空港での記念写真(平成2年1月29日)
前列左から5番目が筆者
揚力が在来より大きい分だけ、ややフローティ
ングする感覚以外は、まったく同じだった。わ
ずか1回、1時間10分の慣熟飛行、そして2月
8日、日航査察機長と相互チェック、航空局か
ら2人の試験官でチェックを終了した。
フラッシュ・バック
1号機は、無事、第1グループの訓練飛行と
チェックを終了、モーゼズレイクから太平洋を
越えて直行、平成2年2月14日、成田空港に到
着した。その後、我々は国内線で所定の Line
OJT をこなした。飛んでいく各空港関係者は、
ウィング・レットのある独特の機体への関心が
高く、皆、歓迎ムードにあふれていた。
私は3月6日に路線審査を終えた。機体の愛称
は「スカイ・クルーザー」となった。以来、平成
8年3月定年まで、-400型を乗り続けた。飛行時
間約3,200時間、最後の頃は、欧米への長距離飛
行が主であり、マルチないしダブル乗務が多かっ
たが、1回の事故もなく定年を迎えた。ときに
は、boredom & Panic Syndrome(退屈およびパ
ニック症候群)の不安に晒されるほど、信頼性の
高いナイス・ガイ、ジャンボと定年まで飛行を共
に出来たことは、この上ない喜びである。
その昔、初めてまじかに見たジャンボの巨大
さに驚いたが、現役中のジャンボは“気はやさ
しくて力持ち”の性格をいかんなく発揮してく
れた。ジャンボよ、本当にありがとう。
さようなら !!
2011 MAY
25
再発見! そんな技
ࢫᇌếὲẅᢃᑋ Ὁ ২ᘐᜒࡈ
我々パイロットは飛行機の Manual に従って運航しています。しかし、それ以外に先輩・同輩
に加え後輩からの「技術の伝承」で培われた部分が大きいのも否定できません。一人前の刀鍛冶
になるのは、少なくとも5年はかかります。炎に照らされた鉄の色合いなどを見て判断する名工
の一挙手一投足から、技術を盗む「技術の伝承」で一人前になります。
この新企画は、刀鍛冶とまではいきませんが、「技術の伝承」「技術の研究」を目指す読者のサ
ロンのコーナーです。運航の現場などからお寄せ頂くお役立ち情報や知識を集約したコラムです。
皆様からの「技術に関する情報」等々、その他有益な投稿をお待ちします。
1回完結のフリーサイト 投稿ブログ
Cross Wind Landing 考察
蔵岡 賢治
Cross Wind 時の Approach では、WCA(Wind Correction Angle)と Bank は相関関係がありま
す。Normal TKOF や ENG Fail TKOF を考えるには、その前に Cross Wind Approach を理解しな
ければなりません。LDG と TKOF の Control は別物ではなく、Cross Wind LDG の Control の逆が
Cross Wind の TKOF とも言えるのです。Cross Wind の Approach の Maneuver を Data(検証値
や実験値を含む)から検証してみます。
※この稿の Bank や Control Wheel の角度はイメージを容易にするための目安です。
〈AUTO-LAND〉
Cross Wind Landing を理解するには、Auto Land の特性が参考になります。ここでは経験機種の
B767について述べます。他機種の方は自分の機種でイメージしてください。
〈CRAB APPROACH〉
Auto-land は、ある高度(B767は1500ft AGL)から Gain Program Mode になります。これは、
降下するに従いより精密に Localizer と Glide Slope に Follow する Mode です。しかし最終的な Autoland の Mode になる Align Mode(500ft AGL)に至るまでは、Aileron Control で ILS Localizer の
Center を守ります。つまり Crab Approach です。
図-①は、TAS 140kts、Cross Wind 20 kts、Wing Level、WCA はトラック・アップの指示から
風上に約8度の Crab APP で
図-②は、操舵のイメージです。ILS Localizer を Tracking するために Control Wheel は、Neutral
の水平位置を中心に Control され、左右の Rudder Pedal は Neutral の位置です。
26
2011 MAY
図-①
図-②
CONT Wheel(0度)
Wing Level
WCA 8度
Rudder Neutral
〈CRAB-LOW APPROACH〉
さて機体は、1500ft AGL から Gain Program Mode の Crab Approach に続いて、500ft AGL で
Align Mode に移行します。この時、Autopilot は Rudder を踏込み、Cross Wind 20kts に対し約8
度とっていた Crab Angle を5度 注 に戻します。当然、Autopilot は機が風下に流されない様に風
上に Bank、つまり Autopilot は Crab Angle3度に釣合う様に風上に Side Slip させます。言わば、
Crab Approach と Wing Low Approach を併用し ILS Localizer を維持して Approach します。
以後、この併用した Combine 方式を『 Crab-Low Approach 』と称します。
表-① Cross Wind 成分(kts)
TAS-Crab Angle
TAS
Side Slip Angle(Crab Angle)
TAS
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
120
0.0
2.1
4.2
6.3
8.4
10.5
12.5
14.6
16.7
18.8
20.8
22.9
24.9
27.0
120
125
0.0
2.2
4.4
6.5
8.7
10.9
13.1
15.2
17.4
19.6
21.7
23.9
26.0
28.1
125
130
0.0
2.3
4.5
6.8
9.1
11.3
13.6
15.8
18.1
20.3
22.6
24.8
27.0
29.2
130
135
0.0
2.4
4.7
7.1
9.4
11.8
14.1
16.5
18.8
21.1
23.4
25.8
28.1
30.4
135
140
0.0
2.4
4.9
7.3
9.8
12.2
14.6
17.1
19.5
21.9
24.3
26.7
29.1
31.5
140
145
0.0
2.5
5.1
7.6
10.1
12.6
15.2
17.7
20.2
22.7
25.2
27.7
30.1
32.6
145
150
0.0
2.6
5.2
7.9
10.5
13.1
15.7
18.3
20.9
23.5
26.0
28.6
31.2
33.7
150
※表-①およびグラフは、計算 Data 並びに検証値や実験値を基に作成した。
2011 MAY
27
※注 Auto-Land:Crab Angle が5度を超えると、最大2度の Bank Angle で Side Slip をさせ風に流されるのを防
ぐ。この Crab Angle5度と Bank2度の量は、Auto-Land の Max Cross Wind Limit 25kts と概
略同じである。その量を超える Cross Wind には2度 Bank を保ち,更に Crab Angle を増加さ
せるが、Auto-Land は出来ない。
図-③は、20kts の横風に対し、Crab Approach から、Crab と Wing Low の Bank を併用した
Crab -Low Approach に移行した状態で、図-④は、その時の Aileron と Rudder を示しています。
Align Mode にはいると Localizer を Rudder と Aileron で5度の Crab 角を確立し、Cross Wind
20kts の Crab 角8度との差3度の Side Slip を発生させる Bank 角をとっていきます。その Bank 角
や Control Wheel の角度は、表-①のグラフで8度と5度の差または Side Slip 角3度を見ると、右
Bank1.6度、Control Wheel 右約8度です。
図-④
図-③
WCA 5度
Bank 1.6度
CONT Wheel 8度
≒横風成分×1/2
Left Rudder
Bank が判ると、Crab と Wing-Low の併用で Localizer を Tracking するための Control Wheel の
傾きも概略予想できます。在来 B747や B767等の Boeing 系は似ていて、必要な Bank1度に対し約
5度の Control Wheel(≒横風成分と同じ角度)が目安になります。そこを中心に左右に Control
Wheel を操作し Center Line を守ります。
※ Auto Land の Crab Low APP 時の Control Wheel の傾きの目安は、横風成分の半分、20ktss の時は約10度になり
ます。
〈WING-LOW APPROACH〉
さて次に図-⑤、Autopilot を Off にして、Crab-Low Approach の WCA5度を完全に Runway
Center Line と一致させる Manual Control を述べてみましょう。
① この WCA5度を0度にするには、左 Rudder を更に少し踏み、同時に Control Wheel は更に風
上側へ切り Bank を増し Center Line を守ります。
② 強い横風になるほど一回の操作で機軸を合わせるのは難しく、若干の Track のずれを完全に無
くす様に、Rudder および Control Wheel の修正操作を繰返し Center Line を守ります。この間
は風の変化に対しての修正も必要です。
20kts の横風に対し Rudder と Control Wheel の操舵量を示したのが図-⑥です。表-①のグラフ
から、Cross Wind 20kts に対し、WCA は8度、Bank は4.4unit、Control Wheel は約22度(横風成
28
2011 MAY
図-⑥
図-⑤
Bank 4.3度
WCA 0度
CONT Wheel 22度
≒横風成分と同じ角度
Left Rudder
分とほぼ同じ角度)になります。かなり左 Rudder を踏込み、Bank と Control Wheel の傾きが大き
い状態での Drag 増に対し SPD を守るためには Thrust Control の増加が必要です。
〈TOUCHDOWN-LANDING ROLL〉
Auto Land は、Crab Low Approach で Touch Down した後、Rudder と Nose Gear Steering で
Localizer Center を Follow し、Aileron で Wing Level を維持する Rollout Mode に移行します。
強い Cross Wind の時の Manual Landing では、Crab Approach から接地後 Nose Tire が着地す
る前に、機軸を大きい WCA から Center Line に合わせ、同時に Control Wheel で風下に煽られな
いようにする必要があります。空中で数回に分けて機軸を合わせる操作よりはるかに難しい操作で
す。WCA が小さくなる『 Crab-Low Approach 』が望ましいのは言うまでもありません。
機軸を合せる途中で Nose Tire が接地すると、構造的に強くない Nose Gear に横向きの力を与え
てしまいます。実際に外国で Nose Gear への横方向の力で破損し Tire が外れた事故も起きていま
す。
図-⑦
図-⑦、また Touch Down 後の短時間に、大きな Crab Angle に対し、機軸を合わせる急激な
Rudder を使うと、Vertical Tail と Rudder で Lift が生じ、その Moment で風上側に Rolling する場
合があります。その時 Control Wheel の傾きを風下に緩め過ぎると、風下に煽られ、それに対し慌
てて風上側に必要以上に大きく操舵する恐れもあります。風上側の Engine 等の機体接触が多い理
由の一つです。
2011 MAY
29
〈CROSS WIND VARIATION〉
表-①、Cross Wind 29 kts(29.1kts)140kts(Vref30+10kts)、Wing Level の Crab Approach で
の WCA は12度です。完全に Runway Track と HDG が一致した状態、つまり機軸が合った状態で
は、表-①から Bank は約6.5度、Control Wheel の傾きは約6.5unit=33度とかなり大きく135kts
(Vref30+5kts)では、WCA 約13度、Bank 約7.2度、Control Wheel の傾きは約7.2unit=36度です。
Speed が小さい程 Bank と Control Wheel の傾きは増加します。
この様な大きな Bank で Approach して Center Line を守る Control はかなり難しいでしょう。
以上から、強い横風には、Wing Crab Approach や Wing Low Approach ではなく、それらを併
用(Combine)した『Crab Low Approach』が望ましいでしょう。
Cross Wind 29kts の Crab Low Approach を考え
ます。140kts で、WCA5度は Cross Wind12.2kts、
図-⑧
29kts との差は17kts で、対する Bank の差は3.8度で、
Control Wheel の傾き約3.8unit=19度と WCA5度を併
㻞㻜
㻞㻜
用した Crab Low LDG となります。
F
㻝㻜
㻝㻜
WCA と Bank も小さく Touch down 後機軸を合わ
せる操作も比較的容易でしょう。
図-⑧、3度の Bank は、Control Wheel は傾きます
が、ADI では、殆ど Wing Level と思えるほど僅かで
㻝㻜
㻝㻜
S
す。
Crab Low Approach では、Runway Center Line
LOC
G/S
を守るためには、Rudder を踏む量に応じて Control
Wheel は そ れ な り に 増 減 さ せ る 必 要 が あ り ま す。
Control Wheel の傾きの目安は横風成分の半分程度、そこを中心に Center Line を守ります。Wing
Low だから!と傾けると Cross Wind に対して Over Bank となり勝ちです。あまり Wing Low を意
識せず Rudder に Pressure を加えた後は、常に Center Line を意識した方が良いでしょう。
DH200
150
GS130
今度は、TAS 140kts、Cross Wind 25kts の Crab APP から Crab Low APP/LDG、LDG Roll ま
で Image して見ます。
Cross Wind 25kts に対する Data は、表-①から WCA は約10度強、対する Bank は約5.5度、
Control Wheel の傾きは約5.5unit=27度です。WCA5度で接地すると、対する Bank は2.8度、Control Wheel の傾きは約2.8unit=14度です。
① Short Final まで WCA 約10度の Crab App で降下し、WCA 5度で接地するために Rudder に
少し Pressure を加えた後、Aileron・Control Wheel で Center Line を守ります。
② 同じ操作を数回繰返し WCA が約5度になった時、Bank は2.7度(=5.5度-2.8度)Control Wheel
の傾きは14度(Bank 2.7度=約2.7unit )です。言換えれば Crab Low APP に切替えたら約14
度≒3unit を中心に Center Line を守る Aileron Control とも言え、
「Control Wheel の目安の
角度≒横風成分×1/2 」とも言えます。
但し、HSI を見て WCA 5度を正確にとる必要はなく、Runway や Center Line を見て5度程
度の Crab Approach(HAT 200ft で WCA 5度方向は PAPI 付近)を経験で掴んで下さい。
③ その Aileron で Touch Down 後、Nose Tire の接地前に Rudder で機軸を合わせ、LDG Roll で、
30
2011 MAY
Control Wheel の傾き27度(WCA10度≒ Bank 5.5度≒5.5 unit)を中心に Wing Level を Control
し、Rudder で Center Line を守れば良い事になります。
※ Approach で Crab Angle を一度は確認する !!!
※1度 Bank ≒約1 unit ≒約5 kts Cross Wind ≒5度 Control Wheel(≒横風成分と同じ角度)
Wing Low や Crab Low APP/LDG では、Rudder と Aileron の Cross Control を開始した途端、
Drag が増えます。その結果、SPD が、計器に現れる以前に、減速が起こり Path が下方に下がる事
が予想されます。また大きな Crab の Crab APP では GND SPD も小さくなっています。このため
Path を守るには Pitch Up や Thrust の増加が避けられません。このため、Wind Additive を考慮し
ても良いでしょう。
また LDG Flare も Touch Down Point を意識した Flare をしないと、Wind Additive や Thrust 増
加に対し High Flare の Flare 過多や、SPD や Thrust が小さく Flare 不足等々、になる恐れがあり
ます。
〈最後に〉
以上、B767を主に、Data や Simulator の検証値等々から述べてみましたが、他機種の方にも、考
え方や必要な Data の求め方や利用等々、共通の部分が含まれているのではないでしょうか?
最近の航空機は Autopilot が発展し、それに頼るばかりに、基本3舵の Control に関し十分な経験
や教育が為されているでしょうか?
Cross Wind Landing は基本3舵の一つ、Rudder の使い方が重要です。使い過ぎても足りなくて
も飛行機の安定を損ないます。微妙な Rudder は、いわば『一味違う一流の料理人の隠し味 』とも
言えます。この稿が『 一味違う Pilot の Control 』を目指し、Cross Wind の Control に参考になれ
ば幸いです。
お詫びと訂正
前号(2011No.2MAR)の5ページ最下段の「LA701磁気観測後席図」は「LA701磁気観測航跡図」
の誤りでした。お詫びして訂正します。
編集委員会
〈正解〉
酸素、水、食料、航法用具、救急キットの順で重要です。
燐酸マッチは酸素がないので使えない、パラシュート傘は空気がないので使えない、ピストルは反動が
大きく危険、自動膨張救命いかだは爆発の危険あり、磁気コンパスは磁場がないので無意味。
2011 MAY
31
航空に携わる方々の、チョットした一コマなどを紹介する、皆さまからの投稿で成り立つ、
Café で気楽に読める様な投稿コーナーです。日常的な事ごとや思い出など、色々なジャンルの
読物をお寄せ下さい。
GCA は計器飛行のはず?
駆出しパイロット
その日は、晴れ渡った瀬戸内海を眼下に見て、
その美しい景色に目を奪われていた。
「よーし! フードを付けろ!」前部席の教官
の声が響く、そして我に帰った。
その日の訓練科目は計器飛行で、今は民間機
では殆ど行われない GCA(Ground Controlled
Approach)であった。つまり、地上から管制官
が Radar を見て飛行機を滑走路間近まで誘導す
る進入方式である。
この科目は、前後席の訓練機の後部席に訓練
生が着座し、操縦席から外が見えない様にすっ
ぽりとフードで囲み、計器だけを見て地上の誘
導管制官の指示に従い進入する、科目である。
全身汗まみれになった。
Missed Approach は教官が行い、再度の進入
である。同期の一人が言っていた「チョットだ
けフードを開けて見たら飛行機が落着く!」
悪魔のささやきが頭を過ったのだ。
飛行機の操縦が落着かなくなったらチョット
だけフードを上げ、滑走路を見たら閉める。
確かにうまくいった。そして味をしめた。
ところが、である。フードの開け閉めを2~
3回した後、フードを少しだけ開け前方を見る
と、滑走路ではなく、教官のにやりと笑う目と
カチあったのである。教官は後ろ向きにフード
の開くのを待ち構えていたのだ。
地上誘導着陸方式で、左右は Heading が指示
され、上下は高い低いで誘導され Vertical SPD
で Control するのだ。
飛行後、カミナリがブリーフィングルームに
こだましたのは言うまでもない。悪魔のささや
きを言った同期は首をすくめていた。
Power を増減すればプロペラ機特有のトルク
が加わり、Heading はずれ、Vertical Speed も
変化する。まったく初めての科目でうまくいく
悲劇はこれだけではなかった。有難く進度不
良を示す赤紙を頂戴したのだ。しかも、教官全
わけなど無い。しかもすっぽり覆われたフード
に陽が当たり、Attitude Indicator を見ていても
上下左右の感覚が混乱する。5分程の進入でも
員に知れ渡り、この日以降、教官は後ろのフー
ドを、覗く事が出来なくなった訓練生を、確認
していたらしい。
32
2011 MAY
事の顛末がここで終わったらパイロットでは
ない。
たが、Power Lever を固定し、多めは少しだけ
無視したのだ。
赤紙を頂戴した私はどうしたか?
パイロットは従順さと反骨精神が必要と言わ
Missed Approach ! 教官が代わって Control するはずだった。しかし、Control しない。
れる。従順さだけでは操縦技術は育たないのだ。
反骨精神が自分を振り返り、操縦技術を磨く。
途端に、体の汗に加え、顔面にも汗が噴き出し
た。
顔面まで汗に覆われ、Missed Approach の計
その反骨精神で定年までパイロット人生を生
きた今がある。
器飛行に夢中になる視野の端に、あの時とは逆
に、フードが僅かに開き、ニヤリとする教官の
目が見えたのだ。
僅か数カ月の飛行訓練しかないパイロットの
卵の頭が、反骨精神で考えたのだ。
「如何にして GCA を飛ぶか?」パイロットの
卵の頭も生からゆで卵になったかも知れない。
「フードを外せ!」
眼下に瀬戸内海の点在する島々が広がり、ま
つ毛には一滴の水玉が見え、そして落ちた。
プロペラ機はトルクが伴う。Power の変化は
トルクが変化し Pitch や HDG に現れる、がヒン
トであった。
汗まみれの顔面から落ちた汗のしずく? 達
成感の感激の涙? そのどちらだったか? 40
年経た今となっては思いだせない。
数日経ち、再び訓練科目は GCA であった。
「フードを付けろ!」前部席の教官の声が響
く。
フードを付けると、目の前にある計器は、
Attitude・HDG・高度・SPD の Indicator に加
え Power Lever がある。
SPD をやや多めで Power Lever を固定し、
Trim をとり切り、Rudder を両足で押さえる。
Pitch は1度、Rudder はチョンチョンで GCA
管制官の言葉に従った。SPD を切る事は無かっ
恐怖のポーポイズ現象
徳田 忠成
私は航空自衛隊小牧基地に在籍し、ノースア
メリカン F86D ファイターの教官をしていた。
家のようなものだった。
チョット触れておくと、F86F はデイ・ファ
昭和36年秋のある日、夜間要撃訓練で飛び立っ
た。訓練空域は熊野灘、すでに F86D を数百時
間乗りこなしていたから、コックピットはわが
イターで、一方、F86D は機上レーダーで策敵
し、要撃するので、闇夜に一閃、戦国時代なら
ばまことに卑怯な辻斬りのようなものだ。
2011 MAY
33
訓練高度2万フィートでレベル・オフして索
敵準備に入る。先に離陸している T-33A により
曳航しているデルマーが仮想ターゲットで、そ
の位置近くまでレーダー・サイトに誘導しても
らう。機上レーダーでターゲットを確認、絶妙
な操作でロックオン、コンピューターによる計
算地点で、自動的に腹に抱えているマイティ・
マウスが火を吹く、すかさずプルアップ……。
ノースアメリカン F86D
要撃訓練はことのほか満足のいくものだった。
上記の一連の操作を数回繰り返して帰投、天候
は申し分ない。下界の遠州灘には、漁火がポツ
リポツリと浮き上がっている。大都市名古屋の
街々の明かりが遠望される。伊勢湾に入って高
度約1万フィート、速度計はバーバーポールぎ
りぎりの500kts を指している。
〈すこし突っ込
みすぎたわい〉と、スロットルを引き、操縦桿
をわずか手前に引いた。と突然、機首が下がっ
た〈むむ、おかしいぞ!〉。操縦桿を本能的に引
くと、さらに下がった。
操縦桿に追随しない逆の現象が起こったのだ。
操縦桿に抗して、機首のピッチング運動の振幅
はますます大きくなり、機体は完全にアウト・
オブ・コントロールになっていった。ファイター
には珍しいポーポイズ(いるか)現象に陥って
しまったのだ。
へ導かれているような不思議な気分が体全体を
おおった。いつの間にか恐怖感が消えていた。
まじかに迫る暗い海上に目をやった。
〈あの暗い
海に突っ込んでわが短い一生も終わりか〉と、
夢心地になっていた。
おそらく1分に満たない時間だったと思う。
ふと我にかえると、さきほど暴れまわっていた
機体は静かに降下していた。高度は約6000フィー
ト、恐るおそる操縦桿に手をかけてユックリと
引いてみたら、機首が上向く。さらにスロット
ルを出したら手ごたえがあるではないか。〈助
かったっ!〉、トタンに、どす黒く波打っている
目の前の海上が三途の川のようにみえたから、
これまた不思議である。
〈だめだっ!〉
、操縦桿から手をはなした瞬間、
自分の過去が閃光のように頭を駆けめぐった。
激しいピッチング・モーメントの負荷でいか
れてしまったエンジンを緊急制御用に切り替え
た。その後、レーダー・サイトの誘導によって、
小牧基地滑走路34に滑りこんだトタンに、それ
親兄弟のこと、悪ガキのころ、仲間と泥んこに
なって遊んだことなどなど……直後、平和の園
までの緊張がほぐれ、ブレーキを踏む足がガタ
ガタと震えて止まらなかった。
-×-=+
湧井 カレン
業界の安全誌で定説として述べられる航空事
故(航空に限りませんが)の発生メカニズムに、
エラー(あるいは不具合)の連鎖、Error Chain
と言うものがあります。事故に至る過程を分析
すると、必ずしも一つの因子だけではない。
34
2011 MAY
①ある故障・エラーが起きた時に、連鎖して
他の異常が起きる(起きていた)。
②ある故障・エラーが起きた時に対応を間違っ
た、通常より悪い環境下にあるなど不利な
条件が重なる。
以下は筆者が経験した事例ですが、上記の定
説が逆に働いて本来事故に至ったかもしれない
着陸重量と Vref(滑走路末端を通過する時の速
度、通常は失速速度の1.3倍に選ぶ)です。Vref
ことが相殺されたと思われる例です。まったく
ラッキーな出来事でありました。
は重量、温度(密度高度)で決まります。その
フライトの Vref を読み上げるのはフライトエン
ジニア、コパイロットはもちろん性能チャート
当時私はあるジェット輸送機の飛行試験に携
わっていました。ご存じのように、同じ型式の
飛行機でも Version と言うものがあって、製造
で Vref の値を確かめる義務があるのですが、見
張りや ATC に忙殺されていて、それをやらな
かった。毎日一緒に仕事をするベテラン FE を
初期のカタチから改良が重ねられ、性能や取り
扱い方が少し変わります。一般には○○A型と
か-200型などと言われるものです。
信用して任せきっていました。FE の指示した
Vref は109kt でした。機長はもちろん Threshold
(滑走路末端)が109kt になるようにアプローチ
この飛行機は「先行量産型」と呼ばれていま
した。量産に入る前に2機作られた型式で、飛
行実験機として運用されていたものです。目立っ
た違いは主翼の前縁スラットに隙間が多く、失
速が量産型(スラットを改良した)より12knot
ほど 速く起きる特性がありました。実験機の特
質上、臨時の計装を行うので計器板にもやたら
あちこちに注意書きがある、穴があいていたり
特殊なスクロールタイプの checklist には手書き
の注記まであるようなのが備っていました。ま
るで食堂の日替わりメニューのような checklist
ですね。
余談ですが日本の航空機製造会社で働くパイ
ロットの悩ましさは、何種類もの飛行機(ヘリ
コプタにも及ぶ)をひとりのパイロットが同じ
時期に扱うことが多かったことです。午前にヘ
リコプタを飛んで、午後にはジェット機に乗る
をプランします。
Final に入った時、タワーから後続に F4(戦
闘機)がアプローチしていることを知らせてき
ました。ATC は我々に特別な要求をしませんで
したが、気働きの出来るわが機長は、この着陸
をホット(接地点を遠くに)に着け、離陸エン
ドで滑走路を出ようと思い立ちました。3000m
の滑走路は我が機には長すぎる、いつものよう
に intersection で滑走路を離脱すると減速に時
間がかかり、滑走路をフルに使う後続の F4が迷
惑すると思ったのです。
そこで機長は Threshold を100ft 以上の高さに
イメージしてアプローチしました。そしてその
ように機は100ft と思しき高度で Threshold に来
たのですが、その瞬間、にわかに失速警報が作
動しました。操縦輪に付いているバイブレーター
が震えてバフェット(失速Gブレーク直前の振
動)の起きる5kt 手前であることを教えてくれ
るのです。
ような事が日常だったのです。
109kt が1.3Vs で通過している飛行機は想定
さて、ある日くだんの飛行機をテストしまし
た。先輩機長とベテランのフライトエンジニア、
実験担当スペシャリストの4人のクルーです。
私はまだその機種の機長に Qualify される以前
84kt が失速速度のはずなのですが、実際は104kt
で失速すると警告しているのです。慌ててパワー
を足したのですが、接地とバフェットと Nose
Over(機首の落着)が一緒に起きてしまいまし
のコパイロット。機内には備えつけの性能資料
がありましたが、各クルーの飛行鞄にはもちろ
ん先行量産型の性能チャートも入っています。
た。運よく滑走路の上に居たので難を逃れたの
です。セスナ機では見事な着陸と評価されるの
でしょうか。
そしてその日の飛行メニュはほとんど終わり、
着陸態勢に入りました。ここで読み上げるのが
これは Vref を参照した性能チャートがこの飛
行機のものではなく、量産型機のものだったの
2011 MAY
35
が原因でした。本来この機の Vref は124kt であ
るべきことが、この飛行機の性能チャートで符
落着気味で)してしまったのです。
もし通常の Threshold 高度(対地35ft)でア
合していました。普段は量産型機を飛ぶことが
多いクルーは、109kt という Vref に不自然を感
じなかった。
プローチしていたら、あるいは運悪く Gust に
振られて滑走路手前に落着していたかも知れな
い。乗客を乗せるような定期便の機長には許さ
ベテラン FE が異なる Version の性能表を参
照すると言うエラーを犯したこと、コパイロッ
れないホットランディングを機長に決めさせた
タワーと、その元になった後続の F4機に感謝を
したいフライトでありました。
トの私も Vref を確かめずに、FE の言う数値を
信用したことで15%から20%の余裕を持って接
地させるところを、失速(正しくは g break= 高
マイナス×マイナスがプラスに転じてくれた
幸運なお話でした。
度を維持できない状態)と同時に接地(幾分か
老眼鏡のおはなし
UNK
私は、名古屋で小型のヘリコプターにのる48
歳の者です。現在ご多分に漏れず老眼鏡を必要
とし、無しでは航空身体検査の近距離視力が通
りません。
誰にでも訪れる老眼のお話です。若い頃、周
りの年配者にホームセンターなどで、
「これなん
て書いてある」なんてよく聞かれて、なんで見
えないのか不思議な思いをした覚えがあります。
自分がその立場になってみて、なるほど逆立ち
しても見えません。
直しも入れれば9作目になります。VFR チャー
トの細かい数字などが見えて、QNH の数字も見
えて、10マイル先も見える。
もちろん、遠近両用ですが遠方は度が入って
いません。サングラスと日常用の2本持ってま
す。夜間飛行が比較的多いので、日常用の眼鏡
は夜間のコントラストが強調されるように薄い
黄色が入ってます。予備眼鏡は、8作目を携行
します。
だんだん老眼の自覚ができてきて、我慢して
目を凝らして見る → 市販の老眼鏡をかける 今まで、度の入った眼鏡を使用したことがな
かったので、いろいろと問題というか勝手がわ
からず苦労しました。
→ 眼鏡屋さんで作る → 自分に合った眼鏡
を作るという段階を経て ON・OFF いずれの
★目線(目の玉)だけで横を見ると、レンズを
シーンでもぴったりの眼鏡と出会い、今に至っ
ております。
医療の発達に伴い、ラジオ波のコラーゲン組
織収縮による回復術もあるようですが、もちろ
ん航空身体検査においては認められておらず、
1にも2にも自分に合った眼鏡を作ることです。
現在、私が使用いている眼鏡は、度の進行で
はなく納得できるものにするためレンズの作り
36
2011 MAY
外れて度が合わない。
☆首振り首振り、目はまっすぐ前方をみて顔の
向きを変える。
(眼鏡愛用者には当たり前のこ
とでしょうが初めての人にはとっても不思議
な感覚です)
★ヘリの場合、飛行機と違いフロントから下部
の町並みが見える。当然、老眼鏡の近距離部
分(レンズ下部)にあたり、町がぼける(特
に夜間に感じます)。すごく嫌な気持ちになり
ます。
もちろん、先ほどの首振りで解決しますが、
このような方、とにかく眼鏡屋さんへ出向い
て、納得いくまでお店の人と自分の眼鏡を作っ
正面外部や計器を見たときに視野にぼけが
入ってくるためです。
てください。大げさですがバラ色の人生が戻っ
てきます。
☆解決策としては、眼鏡を上目にかけてレンズ
中の下部からさらに下は、レンズフレームか
ら外れ(くっきり見える)て町並みが視野に
P.S. レンズメーカーによって、遠近両用といっ
てもかなり近距離の度の入りかたが違います。
根気よく眼鏡屋に出かけましょう。とことんお
入ってくるので、楽です。
店の人とお話しましょう。
今まで、視力で苦労したことの無い者が老眼
それでは、セーフティーフライトで。
が始まって、よくわからないまま中途半端に市
販の千円程度の老眼鏡を入手して、それでも細
かい字が見えるようになるものですからこんな
ものだと勝手に誤解し、不便さを感じてしまし
あきらめムードに陥りやすい。
名古屋で首を振り振り9本目の老眼鏡でヘリ
に乗っている UNK さん! ご本職はメガネ屋
さん? ともあれお名前をお知らせください。
編集委員会
フライトプラン ??
ロートルパイロット
場所は関東平野。その昔、とある河川敷離着
陸場での早朝のこと。
関東平野には小型機が自由に使える公共飛行
場が無いので、このような河川敷離着陸場の登
場となるのです。管制塔などとは無縁ですから、
半径5 Nm 以内であればフライトプランを入れ
ることもなく自由に飛び、またフライトプラン
を入れる場合は携帯電話で、となります。
で小さなトラブルが発見され、到着予定時刻を
過ぎてもまだ出発できない状況です。しかし、
焦りは禁物。ようやく修理を完了し、試運転も
良好、これで出発できます。
早速、携帯電話を取り出し、フライトプラン
のファイルを、となったのですが、大昔のこと
ですから、何とエリア外。これから公衆電話を
探しにいったのでは、何時になったら出発出来
るのか、わかったものではありません。
さて、その日は、朝早くから機体のフェリー
を頼まれていました。
しばらく河川敷に野ざらしの機体ですから、
カウリングの中や、スピンナーの中の鳥の巣の
仕方ないのでそのまま離陸して、無線で当時
の AEIS に事情を話し、フライトプランのエア・
ファイルを申し入れましたが、
「決まりですから
地上の電話でファイルしてください。」とのこ
有無までを含め、飛行前点検は念入りに行わな
ければなりません。また、しっかりと水抜きを
行い、隅から隅まで調べてからでなければ、安
と。何としても受け付けていただけません。
心して飛ぶことはできません。
では20分もあれば着いてしまう程の距離です。
フライトプランのエア・ファイルの押し問答を
しているうちに、もう経路の半ばを過ぎ、目的
ただでさえ大変なのに、その日は飛行前点検
しかし、そこは関東平野内のこと。目的地ま
2011 MAY
37
地が見えるあたりまで進んでしまいました。
結局、無線でのフライトプランのファイルは
許可されず、根負けした挙句、「わかりました、
では着陸して電話でファイルします。
」となった
のですが、そこは既に、ほぼ目的地の上空。
当然、皆が待っている目的地の場外離着陸場
にそのまま着陸して、「トラブルで遅れました、
お待たせしました」のあいさつですが、
「ご苦労
様です、フライトプランのクローズをしておき
ましょうか、」の有難いお言葉。
普段でしたら、
「よろしくお願いします」とな
るのですが、この日は違っていました。
「あ、ちょっと待ってください、訳があって、
……自分でやりますから……」。
それから、おもむろに携帯電話を取り出し、
「もしもし JA ○○○○ですが、フライトプラン
のファイルをお願いします」と始めたものです
から、皆さん、目を白黒されています。
河川敷滑走路
担当官との「燃料搭載料は?」
「ゼロです!」
といった問答が始まります。動力の無いグライ
ダーでは、経路も飛行可能な時間も気流次第で
すが、「巡航速度は?」「経路は?」「到着時刻
は?」と言った問いにはきちんと答え、フライ
トプランをファイルしなければなりません。
この日本では動力装置を持たないグライダー
と言えども、離着陸場から5Nm 以遠を飛ぶ場
合は、フライトプランをいれなければならない
決まりなのです。
電話が終って事情を話し、大笑いされたので
すが、こちらはまじめです。飛行予定ボードに
「フライトプラン提出中」の表示を行ってクロー
ズの予定時刻を記入し、後できちんとクローズ
をしておきました。こうしておかないと、離着
陸場間を移動したことにならないのです。
また、グライダーの場合は、飛行が継続でき
なければ安全な場所を選んで場外着陸すること
が法的に認められていて、河原等の平坦地に場
外着陸することもあるのですが、この場合のフ
ライトプランのクローズは更に厄介です。
今では、河川敷の場外離着陸場にもフライト
サービスが設置され、このような笑い話はなく
固いことを言えば、デスティネーション・チェ
ンジなのでしょうが、降りた場所が河原という
なったのですが、それでも、フライトプランに
まつわる話はまだまだあります。
のでは、フライトプランのクローズをどう伝え
たらよいのやら、いやはや大変です。
その代表格はグライダーのフライトプランで
それで結局、着陸の時刻だけを伝えて、
「お世
しょう。ローカル飛行中のグライダーが、良い
条件で遠くまで飛べそうな時は、機上からフラ
イトサービス局に「フライトプランのファイル
話になりました」。となるのは、お互いのためと
言うべきものでしょう。
をお願いします」となって、概略の飛行予定を
伝えてくるのですが、それからが大変です。
今回もまた、古い、ローカルな話題でした。
38
2011 MAY
1回完結のフリーサイト 投稿ブログ
月面サバイバル クイズ
古い資料なのでご覧になった読者もおられるでしょうが、
頭の体操にパイロットの立場でちょっと科学してください
湧井 カレン
あなたは小型探査船で月面の裏側の調査に出かけたクルーの船長だ。200マイルほどの目的地
まで飛んでアプローチしたところ、ちょっとした不注意があってハードランディングし、船を
壊してしまった。その着陸で探査船とほとんどの機材は壊れてしまったけれど、以下のリスト
にある15点の用品だけが使えそうだ。
200マイル離れた母船へ帰還するにあたり、リストの何点かを役立てるためクルーに持ち帰り
を指示しなければならない。さて、そのサバイバル・トリップに必要度の高い順序で番号をつ
けるとすると……?
( ) 燐酸マッチ 一箱
( ) 携帯食料
( ) ナイロン・ロープ 50m
( ) パラシュート傘
( ) 太陽発電携帯ヒーター
( ) 45口径ピストル 2丁
( ) ドライ・ミルク 1ケース
( ) 100lbs タンクの携帯酸素 2個
( ) 天体地図(月面用)
( ) 自動膨張式救命いかだ
( ) 磁気コンパス
( ) 飲料水 5ガロン
( ) 信号弾
( ) 注射針入りの救急キット
( ) 太陽発電 FM 送受信機
(このクイズは“NASA”資料から転載しました)
正解は 31ページに
2011 MAY
39
“安全の分水領 ”
アクシデント ・ インシデント概要
フライト・ セイフティ・ファウンデーション(FSF)2011年1月号より
訳 佐藤 裕
ここに示す文書は、読者の皆さんが飛行中の遭遇するかも知れない困難な状態を切り抜けるうえ
で、何らかの手助けになれば、と思い掲載し続けています。
なお、この文書は各国の運輸安全委員会が発行した、正式な報告書をもとにまとめてあります。
:FSF 編集部
2010年5月26日、チャーターされ乗客113名を
乗せたこの航空機はアラブ首長国からインドに
向かってフライト・レベル370(約37,000フィー
ト)を飛行していたが、キャプテンは前方にあ
るトイレットに行くため、コクピットを離れる。
あいにくトイレットは使用中だっため、コク
ピットに戻ろうとしたが、この時ボーイング737
機は、機首を大きく下げた姿勢になっているこ
仕方なくキャプテンは、緊急時に使用するコー
ドを使用し、ドア開けようとしたが、この操作
に30秒ほど費やしてしまった。
ドアを開けたキャプテンは“どうしたんだ?”
と叫びながら、大急ぎでコクピットに入る。
そして機首を26度ほど下げ、しかも左に5度
ほど傾けた姿勢のまま、速度も高速側の限界を
示す赤色のライン近く指示している状態に気付
いた、とも報告書は書いている。
キャプテンは手動操縦に切り替え、航空機を
指示されているフライト・レベルとコースに戻
す。
このインシデント発生中、乗客は全てシート
に座っていたものの“恐怖のあまり、大声で叫
んでいた”が、負傷者は出なかった、と報告書。
とに気付く、とインド民間航空総局(Indian
Directorate General of Civil Aviation)の報告
書は書く。
前方のギャレー近くいたチーフ・キャビン・
この状態を知ったキャプテンは機内放送を通
じ乗客に“飛行中、エアー・ポケットに遭遇し
ました……現在は安全に飛行し続けています”
と伝えた。
アテンダントも機体が急降下していることに気
付いた。
この後機体は無事に飛行し続け、1時間30分
ほど後、予定通りインド、マハトラシュトラ州
彼女はインターフォンを使い、コクピットと
連絡を取ろうとしたが、応答は無い。
キャプテンもコクピットに戻ろうと合図をし
たがドアは開かず、仕方なくインターフォンで
プーンに着陸する。
着陸後、機体を目し点検したが、特に破損し
た部分は発見されなかった。
しかし飛行中機体には、航空機の整備マニュ
コーパイロットに、コクピットのドアを開けて
くれ、と頼む。
アルに機体構造の検査が必要とされる、+2.2g
(重力加速度の2.2倍)から-0.2g の加重が加わっ
ジェット
パニック、回復操作の妨げに
ボーイング737-800NG:損傷なし、負傷者なし
40
2011 MAY
ていた。
点検が行われ、特に異常は見られなかったた
いる。
事故調査官の聞き取り調査に対し、キャプテ
め、機体は飛行可能な状態へ戻される。
記録されているフライト・データを分析した
結果、キャプテンがコクピットを離れた後、コー
ンは、25歳で飛行時間1,310時間、この機種で968
時間飛行しているコーパイロットに対し、あれ
ほど合図したのに、何でコクピットのドアを開
パイロット側の操縦桿は前方に押されているこ
とが判る。
“コーパイロットはシートの位置を調節しよう
けなかったのかを問いただすと、彼は“パニッ
クに襲われていた”と言っていた、と説明した。
コーパイロットは事故調査官に、キャプテン
と、前方にスライドさせたが、この時、不注意
から操縦桿を押してしまった”と報告書。
このように無意識の操作により、操縦桿が前
がコクピットを離れた時、書類に記入していた、
と話す。
突然、コントロール・ステアリング・モード
方に押されてしまった結果、機体は機首を5度
下げた姿勢になり、オートパイロットのモード
も操縦桿の動きに従う方式に替わってしまう。
無意識の操作により、操縦桿には20ポンド(9
kg)の力が加わり、その後に抜け、機体は何度か
は不明だが4秒間ほど機首を上げた姿勢となる。
報告書は、機首が上がったことに気付いたコー
パイロットは急いで操縦桿を前方に操作した、
と書いている。
この時操縦桿を前方に操作するために加わっ
た力は、60ポンド(27kg)だった。
降下し、高度32,900フィートを通過する時点
での速度は限界マッハ0.82を超過し、限界を超
えていることを警告するオーバースピード・
ウォーニングが鳴り響く。
FDR には、キャプテンがコクピットに戻り、
操縦桿を反対側、つまり機首上げ操作をした力
が記録されている。
操縦桿を操作したキャプテンの操舵力につい
がエンゲージされてしまい、速度が増加したの
でスラストを減少し、オートパイロットをアル
ティテュード・ホールド・モードにした。
高度、そしてオーバースピードを警告する警
報音が鳴り響き“彼(コーパイロット)はパニッ
クに襲われてしまい……航空機を操縦すること、
そしてキャプテンの合図に応えコクピットのド
アを開けること、そしてインターフォンの呼び
かけにも応えることができなくなってしまった”
と報告書は書いている。
コクピットのドアを開け、キャプテンが入っ
てくるまでの間、30から40秒間コーパイロット
はパニック状態に陥り、機体を操縦することが
出来なかった。
コーパイロットについて“この種の緊急状態
(パニックに襲われた状態)を解決する方法を知
らなかった。
シミュレーターを使用し、オートパイロット
をマニュアル・モードにしてこの種の訓練は行
て報告書は“約125ポンド(57kg)であった”
と書いている。
われているが、オートパイロットをエンゲージ
した状態での訓練は行っていなかった”と報告
キャプテンが回復操作を取る、高度30,200
フィートに降下してしまうまでに、速度はマッ
ク0.9、重力加速度も最大に達していた。
さらに報告書は、そのまま急降下が継続して
書はまとめている。
いたなら、致命的な機体の構造破壊が発生した
可能性が考えられる、と書いている。
さらに報告書は“キャプテンは機体の姿勢を
戻すため、かなり力を加え操縦桿を手前に引い
ているが、短時間、この時ピッチ・コントロー
ルの操作性が失われた可能性もある”と書いて
除氷液、キャビン・エアーを汚染
エアバス A320-233:損傷なし、負傷者なし
2009年3月2日夜、この A320航空機は激し
い雪の降るなか、スエーデンのストックホルム・
ハセロヴェステラーゼ空港のランプに駐機して
いる。
この航空機のキャプテンは、曖昧な英語で除
氷液をスプレイする車両の作業員に、機体にタ
2011 MAY
41
イプⅠ除氷液及びタイプⅡ防氷液をスプレイす
るように依頼する。
大限にして行っただけで、さらに空調装置の冷
房を最大にして換気を行えば、より効果的に行
スプレイ車両の作業員は“今すぐに開始しま
すか?”とキャプテンに尋ねると“いつでも良
いよ”とキャプテンは答える。
えたのではないか”と報告書はまとめている。
疲れていたクルー、タクシー・ウェイに着陸を
ボーイング767-300ER:損傷なし、負傷者なし
スエーデン事故調査委員会(SHK)の報告書
は、英語に不慣れなこの作業員はキャプテンの
言葉に、すぐ作業に取り掛かっていいんだなと
2009年10月19日夜、ブラジル、リオデジャネ
イロからアトランタ・ハーツフィールド国際空
思った、と書いている。
スプレイ作業をする場合には停止させるのだ
が、この時 A320機の APU は停止状態になって
港に向かう便には、航空規則により3名のパイ
ロットが必要だった。
フライト・クルーは、チェック・エアマン、
いたので、作業員は機体右側からスプレイし始
める。
作業中、除氷液は APU そして空調装置内に
も入り込んでしまう。
除氷液の臭いに気付いたフライト・クルーは、
スプレイ作業を中止するように指示した。
“機体の全ドアを開いて換気した上、空調装置
を高温にセットし、20分ほど臭いの除去に努め
た。
その後、離陸前に規定されている機体の除氷
作業を再度行った”と報告書。
ハセロヴェステラーゼ空港で乗客79名を乗せ
て離陸し、ポーランドのポツナンに向かい飛行
している最中コクピット内で“異臭”に気付い
たフライト・クルーは、飛行している高度を考
慮し、酸素マスクを使用する。
乗客1名、キャビンアテンダント2名は目の
痛み、そして息苦しさを訴える。
彼らにも、症状を和らげようとポータブル酸
キャプテンそしてコーパイロットで編成されて
いる。
飛行前のブリーフィング時、このチェック・
エアマンは胃の痛みに襲われていた。
NTSB の報告書は“短い時間フライト・デッ
キから離れたこのチェック・エアマンは再びフ
ライト・デッキに戻り、他のクルーに大丈夫だ
から、と伝えた”と書いている。
乗客182名、クルー12名の乗る767機の出発は
30分ほど遅れた。
キャプテンは左席に、右席にはチェック・エ
アマン、そしてファースト・オフィサーはオブ
ザーバー・シートに位置する。
巡航に移り、クルーは休息時間をどのように
しようかと話し合った結果、まずチェック・エ
アマンが2時間50分の休息を取ることにしよう、
と決まる。
“休息時間を終えたチェック・エアマンの顔色
は悪く、何らかの症状に侵されている様子に見
素マスクを付けさせた。
キャプテンは最寄の代替空港へ向かうことを
え、キャプテンは同機に乗り合わせている医療
関係者をフライト・デッキに招きいれ、彼の助
考えたが、悪臭が飛行に危険性を及ぼさないこ
と、代替空港までの所要時間等を考慮し、当初
の目的地に向かおうと判断した。
この後特に変化は無く、無事 A320航空機は
けを求める。
彼の意見を聞いたうえ、キャプテンはアトラ
ンタに向け飛行し続ける判断をするとともに、
同機の到着にあわせ、緊急医療チームを手配し
ポツナン空港に着陸する。
SHK の報告書は、出発前に機内に立ち込めて
いる除氷液の悪臭を取り除くため換気を十分に
てくれるよう、管制機関に伝えた。
クルー2名は、規則に定められている休息時
行ったが、クルーの取ったこの行為について“適
した方法であった”と書いている。
“ただし、換気をする際、空調装置の暖房を最
42
2011 MAY
間を取ることなしに、夜通し飛行し続ける。
飛行中、クルーはお互いに疲れたな、と話し
合い、そしてアプローチ中、彼ら2人の疲労は
限界に達していることに気付いているにもかか
わらず、この影響を最小限にとどめる方法につ
いては話し合っていない”と報告書。
と ILS が使用できない状態にあったこと、かな
り遅い時期に指示された着陸するランウェイの
アトランタ周辺の気象状態は快晴で、風も弱
かったため、クルーはランウェイ27L に着陸す
るブリーフィングをした。
変更、これを受け止めたクルーの判断等が重な
り合い、タクシー・ウェイに着陸してしまう結
果を招いてしまった。
しかしこの少し後管制官から、着陸するラン
ウェイは26R を予定している、との送信が入る。
直ちにクルーは、手短にランウェイ26R へア
しかし NTSB は着陸する場所を間違えてし
まった原因について、クルーの疲労が挙げられ
る、と結論付けている。
プローチするためのブリーフィングを行ったが、
両パイロットは調査官に“再びランウェイ27L
へ変更となり、アウター・マーカーに接近した
このインシデントは、767航空機がリオデジャ
ネイロを出発した14時間30分以上経過した後、
アメリカ東部時間06時05分に発生しており、こ
時、今度は27R に変更となり、私たちもこれに
同意した”と話した、と報告書。
直ちにファースト・オフィサーは ILS 周波数
を27R に変更する。
クルーは27R へアプローチするためのブリー
フ ィ ン グ を 行 わ な か っ た う え、 ラ ン ウ ェ イ
27RILS 及びアプローチ・ライト・システムが使
用できない状態にあることに気付かない。
このキャプテンは事故調査官に、機体をラン
ウェイ27R に正対させ、PAPI も視認出来たう
え、センター・ラインにライン・アップすると
“点灯しているライトが見えた、エッジ・ライト
とセンター・ラインのライトである”と報告書
は書いている。
しかし767航空機は、幸いなことに当時他の航
空機のいない、ランウェイ27R と平行に設けら
れているタクシー・ウェイMに着陸してしまう。
アプローチ・ライト及び ILS を使用できない
状態で、実際に航空機を飛行させてテストを行っ
の事実からキャプテン、コーパイロットとも22
時間以上起きた状態にあったことを示している。
ターボプロップ
ランウェイ上で鉢合わせ
ボンバルディア Q400:損傷なし、負傷者なし
2009年9月30日の夜、150度9ノットの風が吹
くイングランド、デボンにあるエクゼター空港
の管制官はこの航空機のクルーに、ランウェイ
08エンドにあるホールディング・ポイントAへ
のタクシーを許可する。
クルーのリード・バックは正しかったものの、
プッシュバック中に交わされた管制官がボーイ
ング737に対し、ランウェイ26への着陸許可を出
したことを気にも留めなかった。
た事故調査委員会は、ランウェイ27R にアプロー
チする場合、誤視認させる可能性のある点が幾
乗客58名、クルー4名の乗る Q400航空機が08
に接近した時、コーパイロットはキャプテンに、
つか存在している事実を突き止める。
報告書は“これら見誤らせるものの中には、タ
クシー・ウェイM沿いに数多く設置されているタ
クシー・ガイドがあり、これはアプローチしてい
ランウェイ上を移動する灯火が見えます、と伝
える。
“キャプテンは、きっと車両だろう、とこのア
ドバイスに答えた。
る航空機から白っぽく見え、あたかもランウェ
イ・エッジ・ライトのように見えてしまう。
ILS に設置されている緑及び黄色の交互灯火
違います、航空機のように見えますが、とコー
パイロットは否定的に話している”とイギリス
も、ランウェイのセンター・ライン・ライトの
ように見えてしまう”と書いている。
これらのライト、そしてアプローチ・ライト
航空事故調査委員会(AAIB)の事故報告書は
述べている。
機体をランウェイまでタクシーさせたキャプ
テンは、ホールディング・ポイントまでのタク
2011 MAY
43
シーしか許可されていないことに気付いた。
737機の着陸滑走を見守っていた管制官は Q400
がランウェイに進入した事に気付かなかった。
この時点で、パイロット2名のみが搭乗して
いる737機は50ノットほどまで減速していたが、
タクシー速度近くまで減速するまで Q400機を視
認できなかった。
真正面の Q400に気付いた737機のクルーは、
すぐ近くにあるタクシー・ウェイに進入し、
Q400機を避ける。
このインシデントの原因として、Q400航空機
のクルーがこの空港に慣れていなかったこと、
交信を良くモニターしていなかったこと、そし
て Q400クルーは疲れていたこと、これらが挙げ
られている。
Q400航空機の両パイロットは当日、これまで
に遅れの生じていた3フライトをこなしたがこ
の間“仮眠を取っただけだった”ので、集中力
が欠けていたという。
“仮眠したとはいえ、遅れを取り戻し、何時も
通りのスケジュールに戻そうとしていた両クルー
とも、疲労は限界に達して筈である”と報告書
は書いている。
視認したらアプローチを、の規則は
ランウェイを飛び出す結果で終わる
ビーチ・キングエアー B200:中破、負傷者なし
2010年1月19日の朝、フライトプランをファ
イルしたパイロットは合衆国アイオワ州デ・デ
モインからアイオワ州スー・シティへビジネス
飛行をしていたが、この時、目的地及び代替空
港とも、気象状態は連邦航空規則(FAR)91に
示すビロー・ミニマムであった。
社の運航規程によると、ミニマム以下では視
認した上でアプローチすること、と示してある
にもかかわらず“この航空機が目的地へ向かっ
て飛行している最中も、空港の自動気象観測シ
ステムはビロー・アプローチ・ミニマム以下で
ある、と報じ続けていたが、クルーは飛行し続
けてしまう。
視認しながらアプローチすると言う方法は、
報じられている気象状態がアプローチ・ミニマ
44
2011 MAY
ム以上の場合に限り、認められている”と NTSB
の報告書。
クルーはスー・シティにあるゲイトウェイ空
港、ILS ランウェイ31へのアプローチを要求し、
許可を得るが、当時空港の気象状態は視程0.5マ
イル(800m)、垂直視程100フィートであった。
従って空港の管制官は接地点での滑走路視距
離1,800フィート(550m)である、ともクルー
に伝えている。
このキング・エアー航空機が高度100フィート
以下に降下した時、コーパイロットはキャプテ
ンに、ランウェイにアラインしていません、と
告げた。
この言葉に対しキャプテンは“ああ、これは
エッジ・ライトだ……今(センター・ライン上
へ)戻そうとしているんだ”と答えている。
パワーを増加させ、キャプテンは機体をセン
ター・ライン上に戻そうとするが、キング・エ
アー機は9,000フィート(2,743m)あるランウェ
イの端から2,800フィート(853m)ほどの地点、
しかも左メイン・ランディング・ギアを草地に
めり込ませて接地してしまう。
機体はランウェイの左側へ飛び出してしまっ
た。
ノーズ・ランディング・ギアは折れ、機首及
び胴体下面の外皮も破損したが、両パイロット
及び乗客2名は負傷することなく機外へ逃れて
いる。
防音材、火災の原因に
コンベアー580:小破、負傷者なし
2010年1月7日夜、訓練中オーストラリア、
ニューサウスウェールズ州タムワースに着陸す
るため、アプローチしていたクルーは計器盤の
下側から煙が発生し始めたことに気付く。
“クルーは酸素マスクを装着したが、セイフ
ティ・パイロット用マスクのホースはポータブ
ル酸素ボトルから外れていた。
煙を避けようとセイフティ・パイロットは機
体の後部へ移動した”とオーストラリア運輸安
全委員会の報告書は書いている。
煙は濃くなり、やがて炎も出始めてしまう。
ポータブル式消火器で消火しながらエマージェ
ンシーを宣告し、コンベアー航空機を着陸させ
る。
事故調査官は、計器盤照明用ライトのレオス
タット及び配線に絡み付いている防音材の燃え
パイパー・セネカ航空機でこの同乗者のトレー
ニングを担当していたインストラクターは、こ
の同乗者の飛行経験では、IMC の中でパイパー・
ナバホ機を操縦できなかったであろう、と話し
ている”と AAIB の報告書はまとめている。
残りに気付く。
レオスタットは熱を発生する部品であり、こ
れに絡まった防音材に熱が蓄えられ、この熱が
雪の積もったランウェイ上で操縦不能に
セスナ402C:中破、負傷者なし
配線へ伝わって煙、及び炎を発生させてしまっ
た、と報告書はまとめている。
2009年12月22日の午後、合衆国ユタ州、モア
ブにあるキャニオンランズ空港から荷物輸送を
ピストン航空機
テスト飛行中、操縦不能に
パイパー・ナバホ:大破、2名死亡
2010年1月15日、整備終了後のテスト飛行に
向かおうと、与圧装置を持つナバホ航空機がイ
ングランドのオクスフォードを離陸した当時、
現地の気象状態は IMC であった。
パイロットはエアラインで訓練を担当してい
るキャプテンで、飛行時間は12,500時間以上、
小型航空機を運行する会社でも飛行している。
同乗者は最近この航空機を購入したプライベー
ト・パイロットで飛行時間は93時間、多発機及び
計器飛行証明取得するため、訓練を受けていた。
ATC レーダーの映像記録によると、このナバ
ホ機は1,500フィートへ上昇した後急速に降下
し、900フィート以下になり、レーダーの映像か
ら消えている。
ATC は何回も同機に呼びかけたが、応答は無
い。
目撃者の話によると、当時200フィート程だっ
た雲の底部から現れたこの機体は、農地に向か
い急降下し続け激突し、炎上したという。
“事故後遺体の検死をした結果、54歳のパイ
しようとしていたパイロットは、ランウェイ上
に薄く積もっている雪を気にしていた。
しかし空港の担当者そして目撃者はランウェ
イを覆う4~5インチ(10~13cm)の積雪及び
降雪状態について、へビィだった、と調査官に
話している。
NTSB 報告書によると、除雪作業は定期的に
行われていなく、しかもランウェイ・エンドか
ら限られた部分のみしか実施されていなかった
と言う。
離陸滑走中雪の深い部分に入り、402航空機の
方向を維持できなくなったため、パイロットは
離陸を中断した、と話している。
ランウェイの左側に飛び出してしまった機体
のノーズ・ランディング・ギアは折れてしまう。
空港の運航承認基準には、ランウェイ上の積
雪が2インチ(5cm)あるいはこれ以下の場
合、除雪作業を終えるまで認められず、積雪が
2インチ以上の場合には空港を閉鎖する、と示
してある。
空港の担当者は、除雪作業を行ったものの降
雪が激しいため、空港の閉鎖を準備している最
中このパイロットから“除雪が済むまで待機す
る”と送信してきた、と話している。
フリージング・レイン、
ウインドシールドを覆ってしまう
ビーチ58バロン:中破、負傷者なし
ロットは飛行中に急性心筋梗塞を発症していた
2009年1月3日の午後、チャーターされて飛
ことが判明し、墜落する以前に発症により、操
縦不能な状態に陥ってしまった、あるいは死亡
したためではないか、と推定されている。
行していたこのバロン航空機は、予報されてい
なかったフリージング・レインと遭遇し、機体
に激しい着氷が発生してしまう。
2011 MAY
45
機体への着氷が急速に増加するにつれ、速度
も減少し始めたため、パイロットは最寄りのミ
ネソタ州ブレイナード空港へダイバートしよう
とする。
NTSB の報告書は“パイロットは空港上空を
2度ローパスし、何とかウインドシールドの氷
を落とそうとした。
アルコール噴射方式の除氷装置を作動させた
が、着氷は増すばかりであった”と書いている。
パイロットは調査官に、サイド・ウインドウ
から外を見て、何とかバロン航空機をランウェ
イにアプローチさせたが、吹き付ける雪にラン
ウェイが溶け込んだ状態で、機体の高度を判断
できなかった、と話している。
機体はランウェイに落着したものの、無事ラ
ンプまでタクシー出来た、とも話している。
バロン航空機を結果、右主翼のスパーは曲がっ
た上、翼も胴体に押し込まれていた、と言う。
離陸直前のチェック項目として、パイロット
には両エンジンのスイッチが‘FLIGHT’位置
になっていることを確認することが義務付けら
れているものの、機体に搭載されている記録装
置によると離陸中、No.2メイン・エンジン・ス
イッチは‘IDLE’位置になっていたことが判明
している”と報告書は書いている。
警報装置の誤作動は腐食に原因が
アグスタ・ウエストランド139:損傷なし、負傷者なし
2008年12月23日、このヘリコプターは IMC の
中、グレイト・ヤーマス近郊のノース・ディー
ン・ヘリポートから8名の作業員を北海の原油
掘削プラットフォームへ向かっていたが飛行中、
多くのフライト、エンジン及びシステムのディ
スプレイが消えてしまった。
同時にクルーはいくつかのエンジン・コーショ
ン・メッセージ、そして後部荷物室の火災発生
警報に気付いた、と2010年10月発行の AAIB 報
告書は書く。
クルーはエマージェンシーを宣告し、ヘリポー
トへ戻り始める。
ヘリコプター
この状態は続いたため、ヘリポート周辺で予
測されている雲底高度1,200フィート以下に降下
スイッチの操作ミス、事故を招く
することを決めた。
ユーロコプター EC135-P2:中破、3名軽傷
高度200フィートほどで雲の下に出たクルーは
2008年5月30日の夜、合衆国ペンシルバニア “海面の状態に注意し、不時着水に適した状態と
州ポッツビルを離陸し、自動車事故現場に向か
判断し、状況が悪化した場合には不時着水しよ
い、飛行中の急患輸送に従事するヘリコプター
うと決めた”とも報告書は書く。
のパイロットは異常な状態に気付く。
同社に所属する他のヘリコプターに自分たち
“機体はいつもどおりに上昇しないばかりか、 の AW139を観察してもらったが、煙や炎の発
加速もしなかった”と2010年10月に発行された
生は見られない、と言う報告を受ける。
NTSB の報告書は書く。
報告書は“警報装置の誤作動及びディスプレ
ヘリコプターは下り斜面に沿って降下し、ヘ
リパッドから100フィートほど離れた場所に駐車
していたトラックの屋根部分に衝突、この後地
面に落下、左側に横倒しとなってしまう。
機内のパイロット、フライト・ナースそして
パラメディックはともに軽傷を負った。
“墜落する前、ヘリコプター、エンジン及びエ
ンジンに関連するスイッチに異常は全く発見さ
れなかった。
46
2011 MAY
イが消えてしまった原因は、アビオニクス・モ
ジュール内に発生した腐食によるものであった。
腐食の発生した原因は、胴体下面にある空気
吸入口から取り入れているモジュール・キャビ
ネット冷却用空気を、フィルターを通さず、し
かも空調しないまま使用し続けたためである。
洋上で飛行することの多いヘリコプターには、
このような異常が発生する可能性が高いと言え
る”とまとめている。
奥貫 博
今年も FAI の各部門では、世界レベルの競技
会が計画されています。競技に参加の常連国に
は、歴史の中で根付いた航空スポーツの文化が
存在します。それは単に愛好者のみのものでは
なく、それぞれの国の航空界に認められた存在
として、定着しています。
日本においても、徐々にではありますが、出
来る所からの前進を続けて行きたいと考えてい
ます。この FAI ニュースも、その第一歩になれ
ばと思います。では今月の情報です。
◉ロータークラフト(ヘリコプター)
3月に実施された FAI ロータークラフト部門
の年次総会の主要議決事項は以下の通りです。
表彰関係
FAI ゴールドメダル:Irina GRUSHINA
(RUS)
競技会等
新規インターネット競技会の承認
(細部決定次第ウエブサイトで紹介の予定)
役員改選
任期2年(2012年まで)のため今回は該当な
し
技術、特命事項、ワールドエアゲーム担当:
Wolfgang PERPLIES
次回総会
2012. 3. 1~2 於、ローザンヌ(スイス)
尚、次回のロータークラフト競技世界選手権
は、2012年8月にロシアの Drakino Airfield で
開催の予定です。
またそのプレ大会が、今年の8月に、ロシア
の同じ会場で予定されています。
10月16日~22日 練習日(任意参加)
23日 オープニングセレモニー
24日 公式練習(航法競技)
25日 公式練習(着陸競技)
26日 航法競技(第1回)
27日 航法競技(第2回)
28日 着陸競技(第1回)
29日 着陸競技(第2回)
細部情報と連絡先は以下の通りです
http://www.wpfc2011.co.za/
[email protected](Antony Russell)
◉エアロバティックス(FAA-CIVA)
昨年11月の CIVA 総会で、2011年の世界選手
権は以下のとおり決定しました。
・14th FAI World Glider Aerobatic Championship, Torun(Poland)7/26~8/7
・2nd FAI World Advanced Glider Aerobatic
Championships, Torun(Poland)7/26~8/7
・26th FAI World Aerobatic Championships,
Ravenna(Italy)8/31~9/11
しかし、イタリアでの WAC 開催場所が3月
に入って急遽 Foligno-Perugia に変更となりま
した。昨今の緊迫した北アフリカ・中東情勢に
より、飛行場の使用に影響が出たようです。
選手の選考についてですが、日本では現在の
ところ国の代表を決める日本選手権が開催され
ていないため、書類選考が行われています。申
請の流れは、参加申請の JAPA への提出→ JAPA
での審査→日本航空協会へ推薦→競技会エント
リーとなります。JAPA での審査は、原則とし
◉GAC:ジェネラル・アビエーション
(飛行機)
て主催者への予備エントリーの前(競技会の約
2ヶ月前)に行われます。
今年は第20回世界精密飛行競技会が10月23日
から29日の間に、南アフリカのブリッツで開催
されます。詳細日程は以下の通りです。
詳しくは JAPA の担当部署にお問い合わせ下
さい。
2011 MAY
47
第2回全日本曲技飛行競技会
「誌上ジャッジスクール⑶」
髙木 雄一
ここでは米国 IAC のルールに則り、2011年度
のスポーツマン、ノウンプログラムが理解でき
ることを目標に進め、それぞれのフィギュアに
共通する要素について説明します。
●フィギュアの判定と採点方法
競技者は複数のフィギュアをシークエンスと
して、可能な限り連続的に飛行します。ジャッ
ジはプログラムを持ち、実際に行われたフィギュ
アが正しいか、ラインの長さや角度、円の半径、
その他フィギュアの対称性などにより、0.5点刻
みで10点からの減点法で採点します。
●ターンについて
ヘディングを変更するターンには、90度、180
度、270度、360度があり、60度以上のバンクで
行われます。通常の旋回と異なる点は、ロール
イン、ターン、ロールアウトと分けられている
ことです。ロールイン時はヘディングを維持、
60度以上のバンクを得ると同時に旋回を開始し、
バンクと旋回率は一定。定められたヘディング
に到達後、ロールインと同じロールレートで、
ヘディングを維持しロールアウトとなります。
逸脱は5度=1点減点(2.5度=0.5点)で、仮に
ロールイン時に5度ヘディングがずれれば1点
の減点です。
●フィギュアを構成するライン
ラインの角度は、水平、垂直、そして45ライ
ン(45度)があり、逸脱は5度=1点(2.5度=
0.5点)での減点となります。水平ラインは航空
機の C.G の軌跡で判定し、迎角は判定対象外で
す。垂直ラインは主翼が ZLA(Zero Lift Angle
=無揚力角)であること、そして45ラインは垂
直から45度と定義されています。
●フィギュアの判定の基礎
曲技飛行も基礎は水平直線飛行です。旋回中
を除き、航空機の機軸はボックスのX軸又はY
軸に平行、高度は CG の軌跡が水平、主翼も水
平でなくてはなりません。ヘディング、水平ラ
イン、バンクの逸脱には5度につき1点(2.5度
では0.5点)の減点になります。速度や機種の
AOA(迎角)の差や、横風によるドリフトは減
点対象ではありません。
48
2011 MAY
機種毎に ZLA を航空力学的に確かめること
は難しいため、一般的には主翼の前縁と後縁を
結ぶ直線を基準に判定されています。ヘディン
グとバンクも引き続き5度=1点ルールで減点
●スピンについて
対象とし、しかし垂直と45ラインは風によるド
リフトは減点にはなりません。
スピンは1旋転から最大2旋転の間で、必ず
水平直線飛行から行われます。開始時には減速
と失速が見られ、3軸の動きが同時に発生して
いることが必要です。スピン中はピッチングに
加え、機首がスピン方向へのヨーイングし、ス
●ループの判定方法
フルループ(1回転の縦の旋回)だけでなく、
フィギュア中のラインの角度が変化する部分に
は常にパーシャルループが存在します。ループ
の判定には航空機の CG の軌跡を用い、半径が
一定であることと規定されています。
フルループの判定では、最初の1/4ループの半
径を確認し、半径に差が見られる毎に減点する
ことが一般的です。フルループでは開始と終了
が同高度、向い風や追い風の影響も防ぐことが
求められます。奇妙なことですが、半径と高度
の変化に関する採点方法には明確な取り決めが
ありません。ジャッジが各々設定した方法を、
競技者や競技機種に関わらず、常に公平に行う
ことと指示されています。
●フィギュア中のロールの指示
ロールはロールレートと CG の軌跡が一定で
あること(変化につき1点減点)、ヘディングの
変化とバンクの逸脱は5度=1点ルール、ロー
ルの停止時揺れは大きさに応じ0.5点の減点で
す。ハーフキューバンのように、ラインの中心
でロールを行うことがあり、この場合ロールの
ピン方向へ翼端が落下しローリングしていなく
てはなりません。
開始時に3軸の動きが同調しない場合は、そ
の量に応じて5度=1点の減点となります。ス
ピンは指定の回数を行い、停止後は最低でも胴
体長の垂直のダウンラインを保ちます。競技の
スピンは、緊急機動訓練のスピンとは異なるこ
とに注意し、危険回避のために競技者はどちら
にも熟練しているべきでしょう。
●ハンマーヘッド
ストールターンとも呼ばれ、基本形は水平ラ
インから垂直アップラインで上昇、速度を失っ
たところで180度のピヴォット旋回を行い、垂直
ダウンラインで加速後、水平ラインに戻るもの
です。それぞれの1/4ループは同半径、角度の逸
脱は5度=1点の減点です。
ハンマーヘッドで特に注目するところは、や
はりピヴォット旋回時の旋回半径です。CG が
主翼の翼幅の半分以内に収まれば減点はなし、
それ以降は翼幅の半分ごとに1点の減点が追加
されます。
前後の45ダウンラインの長さは同じであること
が求められています。
次回は、2011年度のスポーツマンの、ノウン
プログラムの要点について説明します。
2011 MAY
49
GA:ジェネアビ情報(第53回)
飛行機の視界と空中衝突
奥貫 博
航空事故の中でも空中衝突は両機の乗員の命
のみでなく、直下の住民の生命の危険、家屋損
壊等、極めて悲惨な結果を招きます。
日本でも、最近の例では平成9年と平成13年
に、空中衝突が各1件発生しています。またそ
の他に昭和46年の全日空 B727と航空自衛隊
F86F 戦闘機の空中衝突以降、計6件の空中衝
突に関する事故報告があります。そのうち5件
は、小型機によるものです。
旅客機をはじめとする大型機は、航空交通管
制の他、空中衝突防止装置の装備義務化等、様々
な面からの対策が講じられていますが、有視界
飛行の小型機では、視認による空中衝突の回避、
即ち、操縦者の意識と行動が何よりも重要とな
ります。
従って有視界飛行の小型機の操縦者は、以下
の内容を強く意識し、空中衝突の防止を図る必
要があります。
・人間の視覚の特性に対する理解と対策
・機体の視界と死角に対する認識及び対策
・意識に基づく視認による衝突の回避
進行方向、あるいは交差する経路にあって、
見えていない他の航空機、あるいは、見えてい
るのに気がつかない航空機がいかに危険である
かは言うまでもありません。
何かが起きてからでは手遅れです。空中衝突
防止の視点に立ち、人間の視覚の特性や、搭乗
する機体の視界のことを良く認識し、見えない
範囲の安全を積極的に確認するようにする意識
とその実行の習慣付けが必要です。
50
2011 MAY
人間の視覚の特性に対する理解と対策
最初は人間の視覚の特性に対する理解と対策
です。空中衝突の事故報告を見ますと、乗員の
視力や視野は問題とされていません。
航空身体検査に合格したパイロットですから、
それは当然なのですが、見えているはずなのに、
なぜ空中衝突に至ってしまうのでしょうか。
空中衝突を避けるには人間の目の特性を理解
した上で、適切なテクニックによる見張りを実
施する必要があります。
人間の視野は左右約200度ありますが、最高視
力の部分は目の中心部約2度以下のごく狭い部
分です。視力が1.0の人なら、中心約2度以内の
視力が1.0で、そこから10度外側の視力は0.2まで
低下と言われています。
また目の中心で7マイル先の航空機が視認で
きた場合、その外側では0.7マイルまで接近しな
ければ見えないとも言われています。
更に視野に何かが映ってから、そこに目を向
け、最高視力の部分で見て認知するまで約1秒、
事象の認識と対処の判断に約2秒、対処操作へ
の機体の応答までに約2秒を要しますから、計
5秒以上が必要となります。120Kt の機体では
約300mの移動距離になります。
視力はまた対象物にピントを合せた状態で発
揮されますから、そのピント合せの時間も必要
になります。遠くの目標から計器盤に目を移し、
焦点を合せて計器を読み取るまでには約1.5秒を
要します。
逆に計器盤から機外の遠方に焦点を合せるの
には約1秒を要します。その対策として、計器
盤から主翼前縁へ目を移し、更に主翼から遠方
へ目を移すのが良いとされています。
機外に目を移した後も、漫然と見るのではな
く、10度毎の区切りで目を移動して、その範囲
を約1秒かけてしっかりと見るのが良いとされ
ています。
また目の中心のやや内側には視神経を集めて
脳に送る部分があり、この部分は、視細胞が無
い盲点となっています。左右の目で補い合って
いますから盲点に気がつくことは無いのですが、
その方向で見た視力は、両目で見た場合よりは
下がっています。
このように、人間の視覚には注意を要する特
性があります。またその他にも、強い陽光、夕
方の太陽、複雑な背景、機体の色、形等、視認
を困難にする様々な要素が存在しますので注意
が必要です。
機体の視界と死角に対する認識及び対策
有視界飛行方式の基本は、目で見て飛行の安
全を確保することですから、視界に対する正し
い認識が必要です。見えていない部分の危険性
をしっかりと認識することが必要なのですが、
視界の制約からその確認がおろそかになること
があります。搭乗する機体の視界を良く認識し、
見えない範囲を積極的に見るようにする努力と
その習慣付けが必要です。
一般に、小型単発固定翼機の視界は、機首のエ
ンジンと主翼にさえぎられ、決して広くはありま
せん。限られた視界に慣れてしまい、普通の飛行
では、不自由と思うことが無いとしても、見えて
いない部分には常に危険が存在しています。
先ずは、おなじみの高翼機、セスナ172の視界
と死角を再確認してみたいと思います。
主 翼 による左 右 上 方 の死 角
胴 体 による左 右 下 方 の死 角
右 主 翼 による死 角
左 主 翼 による死 角
主 翼 による
死角
胴体後方の
死角
胴 体 による前 方 ・後 方 の死 角
(航 空 事 故 調 査 報 告 書 より引 用 )
高翼機セスナ172の左席からの死角
上の図を見てみますと、頭を固定した状態で
は、以下のような死角(視認出来ない危険領域)
の存在が明らかになります。
高翼機・低翼機それぞれの視界に対する認識が必要
・機首の前下方
・左右主翼の上方及び上部後方
・機体直下、右下方
・後方上方、後方下方
2011 MAY
51
旋回中の高翼機の場合は進行方向が主翼に遮
られて見えませんから、注意が必要です。低翼
意識に基づく視認による衝突の回避
機の場合は、主翼による死角は上下逆になり、
旋回中の視界は良好なのですが、主翼に遮られ
て下方の視界が得られません。それ以外の胴体
冒頭にも述べましたが、進行方向、あるいは
交差する飛行経路にあって、見えていない他の
等による死角は、ほぼ同様に存在します。
航空機、あるいは見えているはずなのに気がつ
いていない航空機の存在は、非常に危険です。
そのような危険を回避するためには、空中衝
突に対する危機意識を強く持って、漫然と見た
だけでは見えない範囲も含め、安全を積極的に
確認することが必要です。
では、そのような事例を2件紹介したいと思
います。
事例1:着陸前のファイナル確認
ノーマルアプローチ
旋回中の高翼機の側方視界
低翼機(上)
お互いに
滑走路
高翼機(下)
見えていない
ショートアプローチ
高翼機と低翼機の同時進入
低翼機の側方視界
ある管制塔の無いローカル離着陸場で、高翼
機が低いベースからショートカットでファイナ
ルに進入しようとしていました。一方、反対側
の通常のベースからは、低翼機が通常の高度で
高翼機、低翼機は、上の写真のような側方視
界ですので、接近した飛行の場合は、相互に見
ファイナル旋回をしていました。そして低い位
置の高翼機からは主翼の上の低翼機が見えず、
えない位置関係になることがあります。
低翼機からは機首の下から主翼の下へと移動す
る高翼機が見えないまま、お互いに視認するこ
となく上下に重なった状態でのファイナル進入
になってしまいました。
主翼に隠れて見えない
低翼機
高翼機
お互いに見えない可能性がある位置関係
52
2011 MAY
そして上側の低翼機は滑走路に入ってパワー
を絞った頃、直下の高翼機に気付きますが、既
にどうしようも無く、そのまま上にのしかかる
形での着陸になってしまいました。運良く双方
に怪我は無かったにしろ、両機とも大破となっ
たことは言うまでもありません。
事例2:離陸前のファイナル確認
滑走路
セスナ機が
見えてない
複葉アクロ機が
高翼機
見えていない
ショート
アプローチの
複葉アクロ機
滑走路への同時進入
小型機の前方視界
またある日、高翼のセスナが滑走路の入口で
ファイナル方向に機首を振って、通常のファイ
ナル経路を見ながら、離陸前の最終点検をして
いました。そこへ複葉のアクロ機が、セスナの
右後ろ側にあたるダウンウィンドから、半円状
のベース経路で進入してきました。このアクロ
機は、滑走路に正対してしまうと滑走路が見え
なくなるので、このような経路で、機首の脇か
ら滑走路を視認して斜めに進入することが多い
のです。もちろんそのむねボイスは入れていた
のですが、高翼のセスナから見ると、半円を描
いて滑走路に進入するアクロ機は主翼の影に隠
れ、視認できません。そして、そのセスナは通
常のファイナルのみを確認し、
「ファイナルクリ
ア」とコールして滑走路に進入してしまいまし
た。
アクロ機の方は、着陸直前の滑走路にセスナ
1.前方視界
最近の、装備が充実した背の高い計器板には
注意が必要です。飛ぶことに支障無いとはいえ、
有視界飛行にとって前下方視界の不足には警戒
心が必要です。
前方視界について、大型機では 3 second of
visible ground の概念を聞いた事があります。
接地の姿勢で3秒後に到達する地上が見えるよ
うに前下方視界を確保というものですが、着陸
速度、姿勢等を反映した人間工学に基づく基準
として感心したことを覚えています。
小型機では、尾輪式機体のように地上姿勢で
は前が全く見えない機体もありますが、少し機
首を振る等すれば、進行方向の安全を確かめる
ことが可能です。また、紹介したような事例も
ある訳ですから、進行方向の安全を常に確かめ
る習慣は、基本中の基本です。
の進入を発見し、大慌てでゴーアラウンドです。
セスナのパイロットは、頭上をかすめるように
してゴーアラウンドしていくアクロ機を見て、
肝を冷やしました。もう少しタイミングが悪け
2.側方視界
次は側方視界です。側方視界は、旋回時の進
行方向の安全確保に必要となります。この場合、
れば危ないところでした。
この例ではローカルの無線送信は行われてい
サイドバイサイド座席では、左右の側方視界の
状況は全く異なります。左側は、窓が近いため、
たのですが、目で見た範囲に機体がなかったの
で、
「大丈夫だろう」といった判断になってし
まったのです。ひとつ間違えばこういった事態
になりますから、注意が必要です。
上下、左右、前後共十分な側方視界が得られま
すが、操縦席から遠い右側の窓では、上下、左
右、前後共かなり限られた視界になってしまい
ます。特に旋回時に傾けてしまいますと、水平
2件の事例を紹介したところで、改めて視界
のことを考えてみたいと思います。
方向右側の側方視界は得られない状態になって
しまいます。
2011 MAY
53
従って、右旋回の時は、旋回の前に右の窓か
ら覗きこむようにして安全を確認しておくこと
4.死角への対策
死角は、そのままでは見えない範囲ですので、
が必要となります。また、大きく旋回するとき
は絶えず側方の安全確認を続けるか、少なくと
も方向が90度変わる毎に、側方の安全の再確認
頭を動かして覗く、又は機体の姿勢を変えて見
る等の方策が必要です。
眼の近くにある窓枠等は、頭を動かさない状
をする必要があります。
操縦免許取得の頃は、こういったことがきち
んと行われていたとしても、ともすれば最初の
態では大きな死角となりますが、逆に、少し頭
を動かすのみで、広く見張ることが可能になり
ます。
旋回開始時にチラッと横を見る程度のことで済
ませがちです。要は習慣ですから、常に意識を
働かせ、首を動かして、しっかりと側方を見る
また、胴体の前下方、主翼の陰等の見えない
部分は、機体の姿勢を変えて視認することが有
効です。
ようにすることが大切です。
また側方視界は、お互いに側面から接近する
衝突コース状態での衝突防止に、極めて重要な
要素になります。前方と同様にしっかりと見張
ることが必要です。
低翼機では、旋回方向の視界は広く確保され
ますが、右旋回の場合、あるいは急な降下旋回
の時などは、死角の範囲内に隠れた他機がいな
いか、注意が必要です。高翼機とは逆に、大き
なバンクをとって覗くことにより、進行方向の
安全を確認することが出来ます。
操縦席が並列の場合で、機長席の反対側に座っ
ている人がいる場合は、死角は大きくなります
から、特に注意が必要です。同乗者がパイロッ
トであるなら、声を出して、見張りを依頼する
ことが必要です。
要は、進行方向の安全を見張りによって確保
することですが、他機が近くにいるような状況
では、死角の存在を認識した上で、意識して見
張ることが必要です。
3.後方視界
一般的に後方視界が必要なケースは、ダウン
ウインドレグから、ベースレグに回りこむ位置
の45度斜め後方の確認までが多いと思います。
飛行訓練では、教官から真後ろを見て滑走路中
心の延長を飛んでいるかの確認をするように指
示されたことがあると思います。FA200, セスナ
150,152,172といった機体は、真後ろにも窓があ
りますから、後方を見ることが可能です。
チェロキーやボナンザ等の、後方の窓が無い
機体では無理ですが、後方窓がある機体の場合
は、後方視界の範囲を確認しておくことをお勧
めします。
衝突コース(実際の空中衝突事故の例)
空中衝突に至る要因として、衝突(コリジョ
ン)コースの存在が知られています。
衝突コースとは、自機と相手機が共に直進飛
行を行っていて、その相対方位が常に変わらず
に、ある1点に向かって近づく状況とされてい
ます。人間の視野は左右約200°あるのですが、
視野の周辺部は視力が大きく低下して、動く物
体には気付いても、静止して見える物体には気
付きにくいのです。衝突コースの相手機は、そ
の位置が変わらないので、発見が遅れることに
注意が必要です。
小型機 FA200の後方視界
54
2011 MAY
実際、最近の2件の空中衝突事故は、いずれ
も衝突コースに入って衝突に至ったものと報告
両機とも、訓練飛行のため名古屋空港を離陸
して現地に向かったものですが、この場合も、
されています。
その最初の例は平成9年8月に茨城県竜ヶ崎
市 上 空 で 発 生 し た パ イ パ ー PA-28-140 型 と
両方の機体は、お互いに視認できる位置関係に
ありながら、気付くことなく接近し、衝突して
墜落、全員死亡というものです。
ヒューズ369D(OH-6D)型ヘリコプターの空中
衝突です。PA-28は単独での訓練飛行中、ヒュー
ズ369D(OH-6D)ヘリコプターは、移動のため
ではこの三重県での空中衝突事故に至る状況
を図で見てみたいと思います。
の航法中でした。
両方の機体は、お互いに気付くことなく、そ
れぞれの機首方位を維持して飛行した結果、ほ
ぼ直角に交わる衝突コースに入って空中衝突に
至り、全員死亡というものです。
PA-28の機長席は左席ですし、ヒューズ369D
(OH-6D)ヘリコプターの機長席は右席ですか
ら、それぞれ、窓枠による死角はあるにしても、
下の図で明らかなように、十分に視認可能な位
置関係であったのですが、それでも空中衝突に
至ってしまいました。
この事故の原因は「両機の見張りが不十分で
あったため」とされています。
C172P
1500Ft
約 3.2Km
2000Ft
約 1.8Km
2000Ft
2000Ft
AS332L1
2100Ft
2100Ft
桑名市の空中衝突に至る両機の飛行経路
ほぼ直 角
TAS90Kt 真 方 位 285 度
航空事故調査報告書
より引 用 (以 下 同 )
TAS120Kt 真 方 位 010 度
龍ヶ崎の空中衝突における位置と時間の状況
次の例は平成13年5月に三重県桑名市上空で
発生した、アエロスパシアル AS332L1ヘリコプ
ターとセスナ式172P 型の空中衝突です。
衝突コースにおける位置と時間の状況
2011 MAY
55
おわりに
空中衝突と視界に関する様々な事を述べてき
ましたが、有視界飛行では、飛行におけるリス
クを考えて見張ることが必要です。
決して目が先ではなく、意識が先でなければ
なりません。漫然と目を開けているだけでは危
C172P
AS332L1
ローターの
回転方向
空中衝突時の位置関係
訓練中の両機は、衝突の約1分前から衝突コー
スの位置関係に入っています。この時、セスナ
機は、ヘリコプターをほぼ左真横に見る位置関
係で直進、また、ヘリコプターは、セスナ機を
右前方約2時の方向に見る位置関係で直進して
いました。
このケースの場合は衝突コースに入る前にも
接近して飛行していたことから、相手機を視認
する機会は十分にあったものと判断されますが、
結果としては相互に気づくことなく、衝突コー
スに入ってしまったものです。
この事故の原因は、同一訓練空域で訓練飛行
中、両機の教官及び訓練生の見張りが不十分で
あったため、両機が接近し、衝突、墜落に至っ
たものとされています。
またその要因としては、訓練に集中して見張
りがおろそかになっていたこと、及び、特有の
死角に対処した見張りの方法がとられていなかっ
たことがあげられています。
2件の空中衝突事故を紹介させていただきま
したが、これらに共通していることは、いずれ
も有視界飛行のヘリコプターと小型の単発プロ
ペラ機によるもので、飛行機は右側、ヘリコプ
ターは左側から、衝突コース上を互いに気付く
ことなく直線飛行して衝突に至ったというもの
です。
56
2011 MAY
険は回避できません。
危機意識を持ち、頭を動かして覗く、機体姿
勢を変えて見る、といった習慣が相手機の発見
と衝突回避につながります。また、良い見張り
のためには、充実した準備で飛行中のワークロー
ドを減らす心がけも重要です。
ともすれば前方上下10度、左右60度程度の見
張りになりがちですが、事故例は、それでは不
十分なことを示しています。
レーダーの監視があっても、グライダー等が
把握されている保証はありません。有視界飛行
中の空中衝突防止は、自分自身で見て確かめる
ことが基本中の基本です。
日本では小型機の数が少ないこともあって、
空中衝突の例は少ないのですが、それでも時々
発生しています。その多くは相手機を視認可能
な状態で発生しているとともに、極めて悲惨な
結果となっていることも事実です。
空域の航空交通に応じた危険の予測と共に、
目の特性、機体の視界等に応じた空中衝突防止
のことを改めて考えてみたいと思います。
参考文献
1.PILOT 誌2004 Mar. P24-27
ジェネアビ情報「小型機の視界」
2.航空医学入門「飛行とからだ」
第10章 飛行と視覚 黒田 勲
3.MID-AIR COLLISION AVOIDANCE
374th Airlift Wing Yokota Air Base
4.航空事故調査報告書 1998-4
茨城県竜ヶ崎市 JA3361/JG31206
5.航空事故調査報告書 2002-8
三重県桑名市 JA4201/JA6787
開催予告
Yes I Can 夢は叶う 現地スタッフ(ボランティア)募集
一緒にイベントを盛り上げませんか!
Yes I Can は、30年以上の歴史あるイベントです。
空に興味がある、航空業界に就職したいという学生の皆さんを対象に、全国(北海道、東京、愛
知、大阪、福岡、北九州、鹿児島、沖縄)で開催しています。
高校生、大学生、専門学生を対象に開催しますので、内容は就活に直結、厳しい場面もあります
が、参加した学生さんから「刺激になった」
「甘い気持ちではだめだ」などと言った声も聞こえてお
ります。
平成23年度は、多くの会員の皆様と一緒に Yes I Can を更に盛り上げたいと考えております。
開催準備、運営など、一緒に活動して頂ける、現地スタッフ(ボランティア)を募集します。
【募集概要】
対 象:操縦士協会会員の皆様
(特に20代、30代会員の皆様からのご応募をお待ち
しております)
内 容:開催準備運営サポート、アンケート集計など
予 定:6月26日(大阪国際空港星の間会議室)
7月11日(新千歳空港国際線ターミナル セタナリア)
※各回共通10時から17時予定
※9月以降の開催は次号または、ホームページにてご確認ください。
若者は航空業界の宝物!
多くの学生の皆さんに素晴らしい空の世界を紹介しませんか!
〈お問い合わせ〉
YesICan「夢は叶う」担当まで
社団法人日本航空機操縦士協会 齋藤 幸雄
TEL03-3501-0433 E-MAIL:[email protected]
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開催予告
第2回全日本曲技飛行競技会開催案内(予定)
3月に発生しました東日本大震災の被災者の皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大地震、大津波、そして原発事故の国難大災害に風評被害までが重なる大変な状況ですが、国民の
総力と世界の暖かい支援でこの苦難を乗り越え、共に生きる新しい生活が来ることを信じております。
全日本曲技飛行競技会は、開催地福島県の原発問題が、8月末までに一定の安定を公的機関から
発表された場合を前提とし、福島地域の復興支援と航空スポーツの振興を目指し、エアマンシップ
で行うこととして準備を進めて参りたいと思います。ふくしまスカイパークの皆様は、困難な状況
下にあっても、地域と航空の発展を目指し、希望を失うことなく前進しています。皆様の御支援を、
よろしくお願いいたします。
1.日 時:平成23年10月8日(土)、9(日)、10(月)(予定)(競技は10分/1スロットで実施)
第1日 AM フライイン/ブリーフィング/公式練習/ PM 競技会
第2日 競技会
第3日 AM 競技会/ PM 競技会(予備)ディブリーフィング&表彰式/フライアウト
2.場 所:福島県 ふくしまスカイパーク
3.競技の内容:Primary(Known) Known は、予め主催者から公表された規定課目。
Sportsman(Known, Free) Free 課目は各自で設定。Sportsman では Known の実施でも良い。
Intermediate(Known, Unknown, Free ) Unknown 課目は競技会の現地にて公表。
本誌に、誌上ジャッジスクール、実施上の注意事項等を連載の予定。
4.参加機体:曲技飛行競技への参加は、曲技飛行の実施が承認された飛行機とする。
5.安全対策:飛行開始前にパイロットブリーフィングを実施し、安全対策確認の署名を得る。
6.主 催 等:主催:全日本曲技飛行競技会実行委員会(予定) 大会名誉会長:瀬戸孝則(申請中)
共催:福島市(予定)
後援:(未定)
7.連絡先等:株式会社パスファインダー 福島市北沢又日行壇7-48
TEL 024-558-8318 担当:青島信介
URL:http://teamdeepblues.jp/championship/
曲技飛行競技規定科目(Known)
Primary Class
Sportsman Class
Intermediate Class
K = 63(60+3)
競技は IAC(International Aerobatic Club)の2011年の Known
(規定)競技科目及び、IAC のルール
に準拠して実施する。
58
2011 MAY
K = 133(127+6)
K = 201(193+8)
2011 MAY
59
180
5
6
エルロン ロール(10K)
ループ(10K)
4
3
45
風 向
フィニッシュ
易度に対応した基準点を示す
*7K等とあるのは、各課目の難
ハーフ キューバンエイト(14K)
1/2ロール
スピン1旋転(15K)*
施されます。
定するフリー競技が、インターミディエイトクラスでは、直前に競技課目を公開するアンノウン競技が実
ディエイトクラスを実施します。また規定課目の他、スポーツマンクラス以上では、自分で競技課目を設
第2回全日本曲技飛行競技では、初級のプライマリー、その上のスポーツマン、及び、中級のインターミ
了方向を間違えて、以降の競技の方向が逆になってしまった場合等は、全て零点になります。
た場合は零点になります。また、指示された課目とは異なる課目を実施してしまった場合。あるいは、終
競技に先立ち、当日の風向を反映した実施方向(Official Wind)が定められます。この方向を守らなかっ
の評価基準で厳正に評価され、集計されます。
円を描くものは、その正確な形が評価の対象になります。演技の結果は、審判員のチームによって、一定
基本的には、水平、垂直、45度のライン又は姿勢を基準とし、そこからの逸脱が減点の対象になります。
掛けて課目の点数とし、全ての点数の合計に、全体のプレゼンテーション点数を加えて得点とします。
個々の課目の難易度に対応した基準点がK点として定められています。このK点に、10点満点の達成度を
ボックスからの逸脱は減点の対象になります。また高度が下がり、危険と判断された場合は失格になります。
曲技飛行競技は、一辺1000mの空中のボックス内で実施します。実施位置は地上にマーキングされ、
Hiroshi Okunuki:Japan Aircraft Pilot Association(http://www.japa.or.jp/)
180度水平急旋回(4K)
1
スタート
45 上昇(7K)*
2
IAC:米国 International Aerobatic Club ルール準拠にて実施
第2回全日本曲技飛行競技会 プライマリークラス規定課目
4
5
1/2ロール
9
8
2
7
1/4ロール
45 背面降下
10
フィニッシュ
270
270°水平急旋回(5K)
易度に対応した基準点を示す
*7K等とあるのは、各課目の難
6
1/2ロール
ハーフ キューバンエイト(10K)
1/4
3
ハンマーヘッド ターン
1/4垂直降下ロール
(19K)
Hiroshi Okunuki:Japan Aircraft Pilot Association(http://www.japa.or.jp/)
(背面姿勢で一瞬停止)
2ポイント エルロン ロール(11K)
45 背面上昇
ループ(10K)
1/4
1 旋転と1/4のスピン(14K)*
風 向
IAC:米国 International Aerobatic Club ルール準拠にて実施
ハンプティ バンプ(13K)
リバース ハーフキューバンエイト(16K)
垂直降下
45 上昇
1/2ロール
リバース シャークス トゥース(18K)*
1
スタート
45 上昇(7K)*
2
第2回全日本曲技飛行競技会 スポーツマンクラス規定課目
開催報告
◦ 西日本支部だより
西日本支部
●小型航空機安全セミナー・支部総会・懇親会報告
西日本支部主催の小型航空機安全セミナーと支部総会が、3月6日、ドーンセンター(大阪市)
で開催されました。
セミナーには29名が参加。主催者あいさつの後、講師にお招きした JAPA 小林宏之副会長から
「わざと事故を起こす人はいない ヒューマンファクターを理解し事故回避を」、JAPA 西日本支部
大久保重和委員から「八尾周辺空域の解説・復習」、JAPA 西日本支部植野廣園委員から「知識の
アップデートで安全運航!最近の法改正等について」、JAPA 楠本晋一常務理事から「VOR 縮退の
今後について」のお話しを伺い、参加者一同安全への意識をあらたにしました。
支部総会では支部枠選出理事、支部委員、平成22年度支部事業報告及び決算、平成23年度支部事
業計画及び予算についてご審議いただき、すべての議案が可決されました。
懇親会では空港や会社等の枠を越えて会員同士の交流・情報交換・親睦が図られました。
●第1回関西ブロック合同管制技術交流会報告
関西・大阪・八尾・神戸・高松・岡山・高知の各空港事務所と航空保安大学校が合同で開催する
第1回関西ブロック合同管制技術交流会報告が、2011年1月28日に、関西空港事務所で開催され、
西日本支部委員2名が参加しました。
内容を一部ご紹介します(詳細は西日本支部 HP http://japawest.exblog.jp/ に掲載しております)。
「開会あいさつ」
関西空港事務所 銭亀 隆英 先任航空管制官
交流会の目的は管制官とパイロット・運航者の意思疎通。
高知進入管制区が今年関西進入管制区に統合される。来年は高松も。統合後も同様なサービスを
提供できるよう努力する。
「航空管制の安全性向上について」 日本ヒューマンファクター研究所 本江 彰 研究主幹(元 JAL 機長)
日本航空機同士のニアミス事故の最高裁判決で裁判長は「本件は、そもそも、被告人両名が航空
管制官として緊張感をもって、意識を集中して仕事をしていれば、起こりえなかった事態である」
としている。実際は逆で緊張しすぎるとエラーが発生する。平常時もエラーは普通に発生する。最
高裁は人間を理解しておらず、ヒューマンエラーの捕らえ方を根本的に誤っている。
全スレットの内1/4が ATC に関するもの。その内10%がエラーになった。管制官とパイロットが
相互にスレット理解することが必要。ATC スレットを防ぐにはパイロットに働きかけることが重要。
「関西空港における経路の遵守について」
関西空港事務所 水本 亮一 主幹航空管制官
関空は環境に優しい空港。住居騒音の影響等を考え、努めて海上を飛行し、陸地上空を低高度で
飛行しない。大阪府・兵庫県・和歌山県の陸域上空ではベクターは行わない(一部(LILAC ARRIVAL
の北側、Y544の南側)除く)。
観測局が31ヶ所あり、騒音・経路・高度を測っている。逸脱すれば報告書を作成する。
60
2011 MAY
交通安全・効率に加え、周辺環境に配慮し、約束を守り、真摯に向き合い、丁寧に説明すること
で、飛行可能な陸域エリアを拡大してきた。経路・高度の遵守を(逸脱に注意を)。
「GBAS(衛星航法による精密進入着陸システム)の概要と開発動向」
独立行政法人電子航法研究所 福島荘之助 研究員
GBAS(ジーバス)とは衛星を利用した進入着陸システム。地上装置1式で複数の滑走路に複数
の進入方式を設定できる。十数年後には ILS から GBAS へ完全移行。
機上装置 GLS(GNSS Landing System)は、B787に標準装備、B737NG・A320等にオプション。
関空へ GBAS プロトタイプを設置し、今年2月から3月にかけ飛行実験を行う。
「質疑応答」
[関西空港関係]
運航者:関西 RWY24時、淡路 VOR あたりから200kt にスピードコントロールされると3~4分到
着が遅れる。
管制官:先行機との間隔の関係がある。
運航者:関空の TAXI の経路が R → L-TWY → P-TWY と、離陸前の忙しい時にクランクが続く。
海外では到着機は滑走路側、出発機はターミナル側が一般的である。
管制官:出発機を L-TWY に入れると、J4東の貨物エリアでプッシュバック機があると待つことに
なる等の理由で、P-TWY に入れた方が良い。
運航者:短い A-RWY を出発用、B RWY に着陸用にしている理由は?
管制官:場面の管制処理利便性(地上滑走距離。パラレルの数(A-RWY 端は他機を追い越せるが、
B RWY は追い越せない))。周辺上空の管制処理(RWY06R MAIKO FIVE DEP は2500ft
以上の高度制限が付いていて、神戸出発機を1500に押さえたら1000ft の間隔で同時リリー
スできる。RWY06L は2500FT 以上の高度制限がないため、時間差で出さざるを得ない。
また KNE R-318にどこで乗るのかが決まっておらず、ヘビー機がゆっくり曲がると、神戸
機とのレーダー間隔取りにくい。RWY24時、RWY24R 出発機と LILAC ARRIVAL が競
合。RWY24R 出 発 機 と RWY24L の ミ ス ト ア プ ロ ー チ が 競 合。RWY24R の VISUAL
APPROACH 機が GO AROUND した場合、どこへ逃がすかが問題。270°でベクターする
と次の VISUAL APPROACH 機と競合等)。
[TCA アドバイザリー関係]
運航者:TCA アドバイザリー中の高度変更は通報が必要?
管制官:VFR の高度を指示する立場にないが知っておきたい。義務はないが VFR 機同士も含めて
管制間隔を取っていることが多い。TCAS RA 防止、他の席との調整にも有用。
[大阪空港関係]
運航者:大阪空港の管制官にとって ILS と RNAV どちらが都合良い?
管制官:ILS の方が都合良い。RNAV は天気が悪いと32L に振りにくいが、ILS からなら32L・32R
どちらでもいける。RWY32L 到着機が5NM なら、出発着出せる。出発機がなければ32L、
出発機があれば32R に振れる。RWY32R 対象機はパフォーマンスが許せば32R をアクセプ
2011 MAY
61
トしてほしい。そうすれば出発機を早く出せる。
運航者:OHDAI 13,000FT からショートベクター、MUGIE FL190からショートベクター、事前に
知らせてほしい。
管制官:OHDAI 13,000FT が高いという認識はある。しかし OHDAI の東は12,000FT までセントレ
アの空域。セントレアと調整し早めに降下させることがある。NATCH 11,000FT で ACC
からセントレアに移管される。セントレア RWY36の時はどんどん降ろすが、RWY18の時
はまだ高い。
管制官:明らかに5分遅れる。高い方が良いか、低い方が良いか? 分かっているなら高いほうが
燃費良い?
運航者:B767・B777はすぐ降下するが、B737-8は降りにくい。機体パフォーマンスを見ながら。
「レーダーシミュレーター体験」
関西空港事務所内で最新式レーダーのシミュレーターを体験。
大阪到着機、OHDAI から1機、南から2機という設定。
まずどの順番に降ろすかを決める。
その順番になるようベクターする(到着機を並べるためにベクターで使えるエリアは思うより狭
かった)
。
MVA を考慮しながら降ろす(金剛山付近は MVA まで降ろすと GPWS が鳴るため、直径数マイ
ルの円が表示され、そこを避けるようにベクターする)。
MIDOH に近づいたら、アプローチクリアランスを出し、大阪タワーにコンタクトさせる。その
時 6NM 間隔に並んでいるのが理想。
ライン機はレーダー上をゆっくり動くが、3機をベクターしたり高度を降したりで、結構バタバタ。
そうしているとあっという間に MIDOH 手前までやってきてしまう。
そこに IFR のルートを理解していない VFR がフラ~ッと割り込んできたら、私が管制官だった
ら「勘弁してよ」と思うはず。
また IFR 機にからむ場所で撮影時、待たされるのも納得できたような気がする。
でも実際はラインの隙間を見つけてそこに航測機等を差し込もうと管制官が努力してくれている
ことを私たちは知っている。
管制官がプロの対応をしてくれているのだから、航測機もプロの対応が必要だと思う(見やすい
飛行要望書だとか、短い無線とか、無線を聞き逃さないとか、タイミングを逃さない飛行とか……)。
「感 想」
関西進入管制区内及び周辺の空港を離着陸する航空機
が関西進入管制区を多数飛行しており、混雑した空域で
ある。
各空港の出発経路・到着経路がいろんな所で競合して
おり、高度制限を付ける等して間隔を保っている。
VFR 機は TCA アドバイザリーやレーダーアドバイザ
リーを受けて、IFR 機の経路と競合しないよう注意が必
要である。
第1回関西ブロック合同管制技術交流会
62
2011 MAY
協会活動スケジュール
[活動報告]
-平成23年3月-
3月1日
編集委員会
3月16日
航空保安協会理事会
3月2日
小会議室(学科講習)
3月17日
第40回管制協会理事会
FTD 定期検査(CAB 乗員課)
3月22日
航空医学研究センター第76回理事会
航空保安施設信頼性センター理事会
3月3日
JAPA ホームページ会議
3月4日
滑走路誤進入防止対策推進チーム会議
3月23日
航空振興財団理事会
FTD 定期検査(CAB 航空機安全課)
3月25日
航空保安研究センター理事会
航空保安施設信頼性センター評議員会
3月5日
東日本支部総会
3月6日
西日本支部総会
3月30日
第208回常務理事会
3月8日
航空身体検査証明審査会
3月31日
航空保安大学校卒業式
3月15日
航空機安全運航センター理事会・評議員
学科試験問題検討会
会
-平成23年4月-
4月2日
航空安全講習会
4月19日
帝京大学準会員説明会
4月4日
法政大学説明会
4月20日
技量維持連絡会
4月5日
航空身体検査証明審査会
4月21日
学科試験(計器)小会議室
4月8日
航空医学研究センター 第77回理事会
4月9日
航空安全講習会
4月22日
JAPA 講座
ATS 委員会
4月23日
航空気象委員会
航空保安無線システム協会(第38回評議
4月24日
航空安全講習会
会)
4月25日
編集委員会
JAPA ホームページ会議
4月26日
ASI - NET 会議
4月15日
編集委員会
4月27日
経理委員会
4月16日
航空安全講習会
4月28日
第260回理事会
4月14日
GA 委員会
[活動計画]
-平成23年5月-
5月10日
航空身体検査証明審査会
5月21日
航空安全講習会
5月11日
編集委員会
5月24日
日本航空宇宙工業会
5月12日
FTD 教官会議
5月25日
第100回通常理事会(航空振興財団)
5月16日
第209回常務理事会
5月26日
経理委員会
5月17日
FTD 採用試験座学
5月27日
航空保安協会 第85回理事会
5月20日
FT 委員会(予定)
ヘリコプター教本 WG
2011 MAY
63
5月28日
航空安全講習会
第59回評議員会(ATEC)
5月30日
第46回通常総会・第261回理事会
-平成23年6月-
ター)
6月7日
航空身体検査証明審査会
6月10日
第262回理事会
6月21日
航空安全情報分析委員会
6月11日
航空安全講習会
6月25日
航空安全講習会
6月16日
第1回理事会(航空機安全運航支援セン
6月26日
Yes I Can 大阪
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事務局だより
PILOT・AIM-J 等確実にお届けするために、自宅・勤務地・mail box 等、変更された場合は速やかに
協会事務局までご連絡下さい。また郵便振替にて会費を納入いただいております会員の皆様には、便利な
口座自動引落による納入についてご案内致しますので、協会事務局までご連絡下さい。申込書をお送りさ
せていただきます。
~ 結婚祝金を給付しております ~
正会員の方(60歳未満の方)が対象となりますが、結婚祝金を給付しております。
(給付額は20,000円)
給付申請には戸籍抄本1通(原本)、 振込口座の書類提出が必要となります。なお、 婚姻届の届出より
6ヶ月以内に申請いただくこととなっておりますので、 予めご了承願います。JAPA ホームページ
(http://www.japa.or.jp)会員限定ページより申請書をダウンロード出来ますので、是非ご利用下さい。
64
2011 MAY
第 46 回 通 常 総 会 議 案 書
第1号議案 平成22年度事業報告及び決算報告について
第2号議案 平成23年度事業計画及び予算案について
第3号議案 会員資格の変更および新設について
第4号議案 役員の一部交代について
第5号議案 公益社団法人認定取得に向けた定款変更案について
平成23年5月30日
社団法人 日本航空機操縦士協会
2011 MAY
65
第1号議案
平成22年度事業報告について
年度末の3月11日に起きた東日本大震災で、被災された皆様、ご家族の皆様に心よりお見舞いを申し上
げますと共に、一日も早い復旧、復興をお祈りいたします。
日本航空機操縦士協会としては、事の重大性に鑑み、平成23年度予算になりますが50万円を拠出し、会
員の皆様からの募金と合わせ日本赤十字社等へ寄付する事とし、又、甚大な被害を蒙った航空大学校仙台
分校の在校生に対して、教材等を提供する事といたしました。
今期、操縦士協会は平成22年5月27日開催の第45回通常総会において大幅な理事の交代を行い、大内新
会長の下、新体制で出発しました。この間、我が国経済は、リーマンショック以降の最悪期を脱し、ゆっ
くりとしたテンポながら回復基調となり、航空需要もアジア地域を中心として回復して来ました。しかし、
今回の大震災で状況は一変し、先行きは不透明になってきています。又、今期は平成22年の初頭に JAL の
経営破綻があり、協会においては会員の大幅な減少が危惧された中での出発でした。そして予想以上に、
年度を通して会員の退会が相次ぎ、結果会員の減少は400人近くにも及ぶ大幅なものと成りました。これに
加えて、AIM-J 等の出版物についても予想を上回る落ち込みとなり、両方合わせて1,000万円に近い大幅
な減収となりました。このような状況の中、年度当初から理事全員で協会運営の要となる会員の獲得にも
取り組み、GA や使用事業を中心に50名を超える会員に登録を頂き、数社の法人賛助会員の皆様にも登録し
て頂きました。又、印刷費用の削減や、監査方法の変更、事務局の人件費のカット等々のコスト削減にも
取り組み実効を挙げましたが、上記の減収を補うまでには至らず大幅な赤字決算となりました。
公益法人化への取り組みについては、公益社団法人を目指す事は既に決定しており、昨年の第45回通常
総会において新公益法人における新しい定款の変更を決議して頂きました。
これ迄、この定款の変更や財務体質の改善等公益法人に合致する為の努力を積み重ねて来ていますが、
主務官庁の方針もあり今期の中で申請する迄には至りませんでした。平成23年に入り主務官庁から“公益
法人化に向けて鋭意準備するように”との話がありました。
今後詰めの作業を行い、平成23年度中の申請を目指す事と致しております。又、前総会後の公益認定等
委員会との数度に渡る折衝の中で、総会で決議を頂いた定款について変更する必要が生じましたので、平
成23年5月30日に開催予定の通常総会において再度停止条件付の新しい定款の決議をお願いする事が必要
になりました。会員各位のご理解をお願い致します。
航空の安全文化の普及と啓発
各種行事を予定通り開催し、参加者に直接働きかけることにより、航空に対する理解を得るよう努めて
きています。航空に関心を持つ方々に、航空教室、セミナー等を通じて航空との出会いと触れ合いの場を
提供し、航空に対する興味と期待に応えることが出来たと考えております。特に青少年に対しては、社会
教育の一環として、航空という新たな世界を紹介し、青少年の健全な育成に努めてきています。又、関連
諸団体と協力し、各種イベント(行事)への参加者を募り、航空の実情と課題を社会に紹介すると共に、
地域社会の健全な発展と調和に力を注いできています。参画した団体及び担当者相互で連携を密にし、今
後とも航空全体の「安全に資する」活力を育んで参ります。
イベント:SLJ(Sky Leisure Japan)in 福井/小型航空機セーフティーセミナー
航空安全セミナー/青少年航空教室(Yes I Can)
シンポジウム:ATS /航空気象
地域活性化:北海道/東日本/中部/西日本/九州/沖縄
66
2011 MAY
安全対策(制度と運用)
例年通り、航空局、関連諸団体に係わる委員会、検討会などに引き続き担当者を派遣し、経験に基づい
た知識と長年航空界で育んだ知見を提供することにより安全対策及び災害の防止に寄与してきています。
安全対策、運航方式、国家試験問題(英語能力、学科試験)などを検討するに当たり、実際の運航に即し
た内容が反映されるように努力しています。今後も、航空関係者と連携し、多様な情報を共有すると共に、
事故の防止及び災害対策に積極的に寄与していきます。
航空安全講習会/航空英語能力試験問題/学科試験問題
AIM-J 関連事業/航空法英語版/区分航空図
航空関連の会議への参加
情報伝達と提供
航空の安全を高めるため、航空関連情報を広く多くの人々に伝えてきています。協会に集う操縦士が、
その専門知識を持ち寄り、技術の向上を図ることにより航空界の発展に寄与しております。特に、会員へ
の情報提供は、パイロット誌・ホームページなどを活用しタイムリーな情報提供を心がけています。安全
かつ地球環境に配慮した健全な航空を目指し、情報伝達には会員の皆様にも窓口となってきていただいて
います。
ホームページ/ Pilot 誌/学科試験スタディーガイド/パイロットハンドブック
Take Off / Pilot Guidance /ヘリコプター操縦教本
空中衝突/航空気象
技能習熟の支援
機材更新された FTD(飛行訓練装置)を使用し、年度想定よりかなり多くの訓練を実施できています。
経験豊富な操縦士が、操縦体験・計器飛行方式等の教育訓練を担当し、多くの操縦士やライセンス取得希
望者の皆さんに支持されてきています。今後も、知識と技能の向上を目指し、より優れた教育訓練を提供
し、飛行の安全に貢献していきます。技能のリフレッシュや資格の維持、あるいは新たな雇用機会へのチャ
レンジを支援します。機長養成講習会では、航空局審査官、試験官の協力を仰ぎ、実態に即した内容の講
習会を実施し、受講者からは大いに評価されております。
知識(機長養成講習会)
技術(FTD 訓練)
情報収集及び調査研究
「運航の信頼性」の向上にむけて、操縦士の経験と実績の集大成を図ることも重要な使命です。操縦士の
種々の基礎データを纏め、記録として遺す作業を進めてきています。操縦士の世界を客観的な指標をもと
に表現できること、文字として遺していくことは、操縦士の風土作りに貢献します。それは、企業あるい
は事業分野などの垣根がない、私たちの協会の役割と考えています。その目的達成のために、国際機関を
活用して世界的に情報を収集し、懇談会や委員会等の航空関係者が定期的に集う場を通じ、将来への航空
の安全と発展のために研究を続けていきます。
事故調査:研修/ ISASI
国際:FAI(総会)/ FAI 分科会/ FSF 資料の入手と翻訳
航空医学海外調査
2011 MAY
67
その他、本協会の運営に必要な事項
JAL の経営破綻の影響を大きく受けてスタートした平成22年度は、先ず大掛かりな財務体質の改善とい
う至上命題を抱えての日々でした。多くの会員の皆さんが当協会から去ることになり、財務的に大きなイ
ンパクトを受けました。又、長きにわたる経済情勢の落ち込みも、協会販売物の落ち込みとなって現れ、
協会の財務状況の悪化に拍車をかけました。そういった情勢の中で平成22年度をボトムとして回復軌道に
乗せるべく財務体質改善策を展開し、会員、役員の皆さん、そして協会関連団体、企業等の協力を得て、
収支改善を行い、平成23年度を黒字で予算化をするまでに至りました。
・平成23年3月末現在 会員数 6,331名
〈内訳〉
(単位:人)
正 会 員
定期
2,939
賛助会員
個人
122
準 会 員
917
事業用
867
法人
43
自家用
554
シニア
889
5,249
165
917
・共済規程に基づく弔慰金・結婚祝金の支払
弔慰金 (3名)2,100,000円
結婚祝金(61名)1,220,000円
・褒章・表彰関係受賞者一覧
春季黄綬褒章(2010年5月14日)4名
田村 貞雄(全日本空輸)
、増田修一(全日本空輸)
森 薫治(日本トランスオーシャン航空)、湯浅髙義(川崎重工業)、
秋季黄綬褒章(2010年11月12日)4名
四分一 英幸(全日本空輸)
、浜岡 豊(全日本空輸)、
福森 孝二(エアーニッポン)
、進藤 和比古(北海道国際航空)
国土交通大臣表彰(2010年9月21日)17名
長江 幸夫、野中 邦敏、森田 猛、角城 健次、三澤 毅史、青木 秀夫、高原 博、若松 伸一、
藤田 整(以上 全日本空輸)
、大和 茂夫(エアージャパン)、佐賀 要二(エアーニッポン)、
又吉 松男(琉球エアコミュータ)
、渡辺 充、小井戸 弘(スターフライヤー)
、高井 学(オリエ
ンタルエアブリッジ)
、倉増 和治(朝日航洋)、友枝 正徳(朝日新聞社)
大阪航空局長表彰(2010年10月1日)1名 *東京航空局は表彰者なし
見神 嘉尊(川崎重工)
日本航空協会賞表彰(2010年9月21日)
国際航空連盟(FAI)賞 エアスポーツメダル 野村 達夫
操縦士協会表彰(5名)
内山 雅雄、原 秀行、横川 博己、大谷 弥一、池田 泉
68
2011 MAY
平成22年度
決 算 報 告 書
自 平成22年4月 1日
至 平成23年3月31日
Ⅰ. 財務諸表
貸借対照表
正味財産増減計算書
財産目録
Ⅱ.収支計算書
2011 MAY
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Ⅰ.財務諸表
貸借対照表
平成23年3月31日現在
科
目
Ⅰ 資産の部
1.流動資産
現金預金
現金
普通預金
郵便振替口座
定期預金
売掛金
未収入金
商品
貯蔵品
流動資産合計
2.固定資産
(1) 基本財産
(2) 特定資産
共済基金積立預金
事務所移転等積立金
活性化事業積立金
退職給付引当資産
減価償却引当資産
FTD事業安定化基金
参加型イベント促進基金
特定資産合計
(3) その他固定資産
建物付属設備
工具器具備品
リース資産
ソフトウエア
差入保証金
電話加入権
その他固定資産合計
固定資産合計
資産合計
Ⅱ 負債の部
1.流動負債
未払金
リース債務
未払法人税等
未払消費税等
前受金
預り金
賞与引当金
流動負債合計
2.固定負債
長期リース債務
退職給付引当金
固定負債合計
負債合計
Ⅲ 正味財産の部
1.指定正味財産
指定正味財産合計
2.一般正味財産
(うち特定資産への充当額)
正味財産合計
負債及び正味財産合計
70
2011 MAY
前年度
(単位:円)
増 減
12,159,715
378,609
7,837,807
529,990
3,413,309
4,301,465
1,999,750
6,406,800
378,070
25,245,800
12,939,932
270,351
11,689,421
980,160
0
3,796,520
9,341,050
8,311,260
2,205,000
36,593,762
-780,217
108,258
-3,851,614
-450,170
3,413,309
504,945
-7,341,300
-1,904,460
-1,826,930
-11,347,962
0
0
0
16,595,740
10,143,783
41,307,317
11,258,426
12,536,344
4,000,000
4,000,000
99,841,610
20,000,000
10,133,813
46,307,317
10,339,666
12,231,616
5,000,000
5,000,000
109,012,412
-3,404,260
9,970
-5,000,000
918,760
304,728
-1,000,000
-1,000,000
-9,170,802
964,897
549,732
13,634,345
339,987
11,414,250
92,242
26,995,453
126,837,063
152,082,863
1,220,584
899,790
17,429,591
493,245
11,414,250
92,242
31,549,702
140,562,114
177,155,876
-255,687
-350,058
-3,795,246
-153,258
0
0
-4,554,249
-13,725,051
-25,073,013
6,637,638
3,795,246
70,000
0
244,500
333,105
0
11,080,489
9,648,130
3,795,246
157,100
438,100
569,800
139,459
1,832,000
16,579,835
-3,010,492
0
-87,100
-438,100
-325,300
193,646
-1,832,000
-5,499,346
9,839,098
11,258,426
21,097,524
32,178,013
13,634,344
10,339,666
23,974,010
40,553,845
-3,795,246
918,760
-2,876,486
-8,375,832
0
119,904,850
(88,583,184)
119,904,850
152,082,863
0
136,602,031
(98,672,746)
136,602,031
177,155,876
0
-16,697,181
(-10,089,562)
-16,697,181
-25,073,013
当年度
正味財産増減計算書
平成22年 4月 1日から平成23年 3月31日まで
科
目
Ⅰ 一般正味財産増減の部
1.経常増減の部
(1) 経常収益
受取会費
正会員会費
賛助会員会費
事業収益
航空の安全文化の普及と啓発
安全対策への貢献
情報伝達と提供
技術習熟の支援
情報収集及び調査
その他事業収益
特定資産運用益
経常収益計
(2) 経常費用
事業費
航空の安全文化の普及と啓発事業費
安全対策への貢献事業費
情報伝達と提供事業費
技術習熟の支援事業費
情報収集及び調査事業費
その他事業費
管理費
給与手当
法定福利費
福利厚生費 賞与引当金繰入
退職給付費用
会議費
旅費交通費
通信運搬費
消耗品費
図書製本費
賃借料
諸謝金
支払負担金
委託金
支払手数料
光熱水料費
修繕費
減価償却費
租税公課
研修費
交際費
支払利息
雑費
経常費用計
当期経常増減額
2.経常外増減の部
(1) 経常外収益
経常外収益計
(2) 経常外費用
固定資産除却損
過年度損益修正損
終身会費返戻金
経常外費用計
当期経常外増減額
当期一般正味財産増減額
一般正味財産期首残高
一般正味財産期末残高
Ⅱ 指定正味財産増減の部
当期指定正味財産増減額
指定正味財産期首残高
指定正味財産期末残高
Ⅲ 正味財産期末残高
当年度
前年度
(単位:円)
増 減
80,227,200
76,204,700
4,022,500
47,688,808
1,752,300
31,458,950
6,597,375
5,725,000
191,575
1,963,608
370,405
128,286,413
84,890,300
81,099,900
3,790,400
70,189,582
1,801,850
39,728,400
9,163,460
3,595,000
4,050,000
11,850,872
584,595
155,664,477
-4,663,100
-4,895,200
232,100
-22,500,774
-49,550
-8,269,450
-2,566,085
2,130,000
-3,858,425
-9,887,264
-214,190
-27,378,064
98,209,189
14,348,375
33,774,720
31,388,463
4,303,776
9,597,681
4,796,174
46,765,315
15,236,794
2,279,304
440,996
0
1,696,390
250,435
6,507,300
1,053,455
901,831
755,601
6,840,005
44,444
452,000
4,922,096
563,301
367,166
0
2,272,580
528,500
150,000
902,903
394,254
205,960
144,974,504
-16,688,091
120,695,075
18,692,748
38,170,953
32,944,661
4,381,633
18,233,602
8,271,478
57,854,160
18,568,429
1,998,314
494,856
1,832,000
1,632,336
445,149
6,517,770
1,049,159
2,219,032
1,567,016
7,006,459
615,120
757,000
7,375,421
666,187
332,417
99,120
828,440
2,134,200
0
1,189,068
88,267
438,400
178,549,235
-22,884,758
-22,485,886
-4,344,373
-4,396,233
-1,556,198
-77,857
-8,635,921
-3,475,304
-11,088,845
-3,331,635
280,990
-53,860
-1,832,000
64,054
-194,714
-10,470
4,296
-1,317,201
-811,415
-166,454
-570,676
-305,000
-2,453,325
-102,886
34,749
-99,120
1,444,140
-1,605,700
150,000
-286,165
305,987
-232,440
-33,574,731
6,196,667
0
0
0
0
0
0
9,090
9,090
-9,090
-16,697,181
136,602,031
119,904,850
0
76,840
2,160,000
2,236,840
-2,236,840
-25,121,598
161,723,629
136,602,031
9,090
-76,840
-2,160,000
-2,227,750
2,227,750
8,424,417
-25,121,598
-16,697,181
0
0
0
119,904,850
0
0
0
136,602,031
0
0
0
-16,697,181
(注)事業区分の見直しに伴い前年度(1)経常収益、事業収益額、(2)経常費用、事業費額は、組み替えて表示している。
2011 MAY
71
財務諸表に対する注記
1.重要な会計方針
(1)有価証券の評価基準及び評価方法
満期保有目的の有価証券は、金額の重要性が無いものを除き、償却原価法(定額法)によっている。
(2)棚卸資産の評価基準及び評価方法
商品および貯蔵品は最終仕入原価法によっている。
(3)固定資産の減価償却の方法
①有形固定資産
建物付属設備及び工具器具備品・・・定率法によっている。
②無形固定資産・・・定額法によっている。
③リース資産
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産については、
リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとする定額法によっている。
(4)引当金の計上基準
①退職給付引当金
職員の退職給付に備えるため、当期末における退職給付債務に基づき、当期末において発生していると
認められる額を計上している。
なお、退職給付債務は期末自己都合要支給額に基づいて計算している。
(5)リース取引の処理方法
リース会計基準の適用に伴い平成20年度以前の所有権が借主に移転すると認められるもの以外の
ファイナンス・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理によっている。
(6)消費税等の会計処理
消費税等の会計処理は、税込方式によっている。
2.基本財産及び特定資産の増減額及びその残高
基本財産及び特定資産の増減額及びその残高は、次のとおりである。
(単位:円)
科目
前期末残高
基本財産
特定資産
当期増加額
0
当期減少額
当期末残高
0
0
0
共済基金積立預金
20,000,000
0
3,404,260
16,595,740
事務所移転等積立金
10,133,813
9,970
0
10,143,783
活性化事業積立金
46,307,317
0
5,000,000
41,307,317
退職給付引当資産
10,339,666
1,423,163
504,403
減価償却引当資産
12,231,616
304,728
FTD事業安定化基金
5,000,000
0
1,000,000
参加型イベント促進基金
5,000,000
0
1,000,000
4,000,000
小 計
109,012,412
1,737,861
10,908,663
99,841,610
合 計
109,012,412
1,737,861
10,908,663
99,841,610
11,258,426
12,536,344
4,000,000
3.基本財産及び特定資産の財源等の内訳
基本財産及び特定資産の財源等の内訳は、次のとおりである。
(単位:円)
科目
基本財産
特定資産
72
(うち指定正味財産 (うち一般正味財産 (うち負債に対応
からの充当額)
からの充当額)
する額)
当期末残高
0
(0)
(0)
共済基金積立預金
16,595,740
(0)
(16,595,740)
事務所移転等積立金
10,143,783
(0)
(10,143,783)
活性化事業積立金
41,307,317
(0)
(41,307,317)
退職給付引当資産
11,258,426
(0)
(0)
減価償却引当資産
12,536,344
(0)
(12,536,344)
FTD事業安定化基金
4,000,000
(0)
(4,000,000)
参加型イベント促進基金
4,000,000
(0)
(4,000,000)
小 計
99,841,610
(0)
(88,583,184)
(11,258,426)
合 計
99,841,610
(0)
(88,583,184)
(11,258,426)
2011 MAY
(0)
(11,258,426)
4.固定資産の取得価額、減価償却累計額及び当期末残高
固定資産の取得価額、減価償却累計額及び当期末残高は次のとおりである。
(単位:円)
科目
取得価額
減価償却累計額
当期末残高
建物付属設備
11,287,450
10,322,553
工具器具備品
2,337,220
1,787,488
964,897
549,732
リース資産
18,976,230
5,341,885
13,634,345
ソフトウェア
合 計
766,290
33,367,190
426,303
17,878,229
339,987
15,488,961
5.満期保有目的の債券の内訳並びに帳簿価額、時価及び評価損益
満期保有目的の債券の内訳並びに帳簿価額、時価及び評価損益は次のとおりである。
(単位:円)
科目
帳簿価額
時 価
評価損益
特定資産
活性化事業積立金
第267回利付国債
21,313,138
22,136,374
823,236
合 計
21,313,138
22,136,374
823,236
6.ファイナンス・リース取引関係
(1)ファイナンス・リース取引関係
①所有権移転外ファイナンス・リース取引
1)リース資産の内容
その他の固定資産・・・飛行訓練装置、サーバー(工具器具備品)である。
②リース会計基準適用初年度開始前のファイナンス・リース取引
1)リース物件の取得価額相当額、減価償却累計額相当額及び期末残高相当額
科目
(単位:円)
工具器具備品
取得価額相当額
4,924,500
減価償却累計額相当額
4,514,125
期末残高相当額
410,375
2)未経過リース料期末残高相当額
科目
1年以内
434,700
未経過リース料期末残高相当額
(単位:円)
合計
1年超
0
434,700
3)当期の支払リース料、減価償却費相当額及び支払利息相当額
(単位:円)
科目
支払リース料
減価償却費相当額
支払利息相当額
金額
1,043,280
984,900
23,353
4)減価償却費相当額の算定方法
定額法によっている。
5)利息相当額の算定方法
リース料総額とリース物件の資産計上価額との差額を利息相当額とし、
各期への配分方法については、利息法によっている。
7.退職給付債務及びその内訳
①採用している退職給付制度の概要
確定給付型の制度として退職一時金制度を設けている。
②退職給付債務及びその内訳
・退職給付債務
・退職給付引当金
11,258,426 円
11,258,426 円
③退職給付費用に関する事項
・勤務費用
・退職給付費用
1,696,390 円
1,696,390 円
④退職給付債務等の計算の基礎に関する事項
退職給付債務の計算に当たっては、退職一時金制度に基づく期末自己都合要支給額を基礎として
計算している。
2011 MAY
73
財産目録
平成23年 3月31日現在
(単位:円)
科
目
Ⅰ 資産の部
1.流動資産
現金預金
現金手許有高
普通預金
三菱東京UFJ銀行新橋支店
みずほ銀行新橋支店
定期預金
三菱東京UFJ銀行新橋支店
郵便振替口座
売掛金
出版刊行物収入
販売物品収入
未収入金
会費
航空英語能力証明受託金
その他
商品
出版刊行物
販売物品
貯蔵品
航空安全DVD教材
流動資産合計
2.固定資産
(1) 基本財産
(2) 特定資産
共済基金積立預金
定期預金(三菱東京UFJ銀行新橋支店)
事務所移転等積立金
中期国債ファンド(大和証券株式会社)
活性化事業積立金
第267回利付国債(10年)
定期預金(三菱東京UFJ銀行新橋支店)
普通預金(三菱東京UFJ銀行新橋支店)
退職給付引当資産
定期預金(三菱東京UFJ銀行新橋支店)
普通預金(三菱東京UFJ銀行新橋支店)
減価償却引当資産
普通預金(三菱東京UFJ銀行新橋支店)
FTD事業安定化基金
定期預金(三菱東京UFJ銀行新橋支店)
参加型イベント促進基金
定期預金(三菱東京UFJ銀行新橋支店)
特定資産合計
(3) その他固定資産
建物付属設備
工具器具備品
リース資産
ソフトウエア
差入保証金
借室の保証金差入(小里金属工業株式会社)
電話加入権
その他固定資産合計
固定資産合計
資産合計
Ⅱ 負債の部
1.流動負債
未払金
経費
会員共済
会員共済補填
災害共済
災害共済補填
ロス共済
リース債務
未払法人税等
前受金
会費前納
預り金
所得税給与
住民税
健康保険
厚生年金
所得税報酬
賞与引当金
流動負債合計
2.固定負債
長期リース債務
退職給付引当金
固定負債合計
負債合計
正味財産
74
2011 MAY
金
額
12,159,715
378,609
7,837,807
6,236,999
1,600,808
3,413,309
3,413,309
529,990
4,301,465
4,295,865
5,600
1,999,750
485,000
992,250
522,500
6,406,800
6,400,434
6,366
378,070
378,070
25,245,800
0
16,595,740
16,595,740
10,143,783
10,143,783
41,307,317
21,313,138
14,994,179
5,000,000
11,258,426
10,339,666
918,760
12,536,344
12,536,344
4,000,000
4,000,000
4,000,000
4,000,000
99,841,610
964,897
549,732
13,634,345
339,987
11,414,250
92,242
26,995,453
126,837,063
152,082,863
6,637,638
6,064,000
53,233
54,249
62,575
10,760
392,821
3,795,246
70,000
244,500
244,500
333,105
23,520
53,100
61,936
97,151
97,398
0
11,080,489
9,839,098
11,258,426
21,097,524
32,178,013
119,904,850
Ⅱ.収支計算書
収支計算書
平成22年 4月 1日から平成23年 3月31日まで
科
目
Ⅰ 事業活動収支の部
1.事業活動収入
(1)会費収入
正会員会費収入
賛助会員会費収入
(2)事業収入
航空の安全文化の普及と啓発事業収入
安全対策への貢献事業収入
情報伝達と提供事業収入
技術習熟の支援事業収入
情報収集及び調査事業収入
その他事業収入
(3)特定資産運用収入
共済基金利息収入
事務所移転利息収入
活性化事業利息収入
退職給付引当資産利息収入
減価償却引当資産利息収入
事業活動収入計
2.事業活動支出
(1)事業費支出
航空の安全文化の普及と啓発事業支出
安全対策への貢献事業支出
情報伝達と提供事業支出
技術習熟の支援事業支出
情報収集及び調査事業支出
その他事業収入
(2)管理費支出
給与手当
法定福利費支出
福利厚生費支出
退職金支出
会議費支出
旅費交通費支出
通信運搬費支出
消耗品費支出
図書製本費支出
賃借料支出
諸謝金支出
支払負担金支出
委託金支出
支払手数料支出
光熱水料費支出
租税公課支出
研修費
交際費支出
雑費
事業活動支出計
事業活動収支差額
予算額
決算額
(単位:円)
差 異
85,500,000
81,526,000
3,974,000
54,164,000
1,310,000
38,919,000
7,985,000
3,650,000
400,000
1,900,000
500,000
60,000
24,000
413,000
2,000
1,000
140,164,000
80,227,200
76,204,700
4,022,500
47,688,808
1,752,300
31,458,950
6,597,375
5,725,000
191,575
1,963,608
370,405
34,000
9,970
294,188
24,909
7,338
128,286,413
5,272,800
5,321,300
-48,500
6,475,192
-442,300
7,460,050
1,387,625
-2,075,000
208,425
-63,608
129,595
26,000
14,030
118,812
-22,909
-6,338
11,877,587
101,186,996
14,779,008
38,640,000
25,964,480
3,216,500
11,649,008
6,938,000
41,509,800
19,200,000
2,550,000
490,000
0
400,000
1,600,000
900,000
1,000,000
675,000
6,912,000
20,000
350,000
4,900,000
600,000
312,800
1,400,000
0
0
200,000
142,696,796
-2,532,796
91,915,964
13,666,601
33,187,094
29,448,758
4,303,776
6,710,907
4,598,828
45,300,977
17,068,794
2,279,304
440,996
777,630
250,435
6,507,300
1,053,455
1,191,087
755,601
6,840,005
44,444
452,000
4,922,096
563,301
367,166
528,500
150,000
902,903
205,960
137,216,941
-8,930,528
9,271,032
1,112,407
5,452,906
-3,484,278
-1,087,276
4,938,101
2,339,172
-3,791,177
2,131,206
270,696
49,004
-777,630
149,565
-4,907,300
-153,455
-191,087
-80,601
71,995
-24,444
-102,000
-22,096
36,699
-54,366
871,500
-150,000
-902,903
-5,960
5,479,855
6,397,732
2011 MAY
75
Ⅱ 投資活動収支の部
1.投資活動収入
(1)特定資産取崩収入
活性化事業積立資産取崩収入
退職給付引当資産取崩収入
共済基金取崩収入
FTD事業安定化基金取崩収入
参加型イベント促進基金取崩収入
投資活動収入計
2.投資活動支出
(1)特定資産取得支出
退職給付引当資産取得支出
減価償却引当資産取得支出
事務所移転等積立金取得支出
投資活動支出計
投資活動収支差額
Ⅲ 財務活動収支の部
1.財務活動収入
財務活動収入計
2.財務活動支出
リース債務返済
財務活動支出計
財務活動収支差額
Ⅳ 予備費支出
当期収支差額
前期繰越収支差額
次期繰越収支差額
9,000,000
5,000,000
0
2,000,000
1,000,000
1,000,000
9,000,000
10,908,663
5,000,000
504,403
3,404,260
1,000,000
1,000,000
10,908,663
-1,908,663
0
-504,403
-1,404,260
0
0
-1,908,663
2,100,000
1,800,000
300,000
0
2,100,000
6,900,000
1,737,861
1,423,163
304,728
9,970
1,737,861
9,170,802
0
0
4,300,000
4,300,000
-4,300,000
0
67,204
15,124,913
15,192,117
4,189,500
4,189,500
-4,189,500
0
-3,949,226
15,124,913
11,175,687
362,139
376,837
-4,728
-9,970
-2,270,802
-2,270,802
0
0
0
0
110,500
110,500
-110,500
0
4,016,430
0
4,016,430
収支計算書に対する注記
1.資金の範囲
資金の範囲には、現金預金、未収入金、売掛金、未払金、前受金、預り金、未払法人税等
及び未払消費税等を含めている。なお、前期末及び当期末残高は下記2に記載するとおりである。
2.次期繰越収支差額に含まれる資産及び負債の内訳
(単位:円)
科目
現金預金
売掛金
未収金
76
前期末残高
12,939,932
3,796,520
9,341,050
当期末残高
12,159,715
4,301,465
1,999,750
合計
未払金
未払法人税等
未払消費税等
前受金
預り金
26,077,502
9,648,130
157,100
438,100
569,800
139,459
18,460,930
6,637,638
70,000
0
244,500
333,105
合計
10,952,589
7,285,243
次期繰越収支差額
15,124,913
11,175,687
2011 MAY
。
2011 MAY
77
第2号議案
平成23年度事業計画について
日本航空機操縦士協会は継続して航空の安全に資する役割を果たすと共に今年度は次の二点を重点目標
として取り組みます。
1.公益社団法人の認定を取得し、円滑に新体制に移行すること
2.健全な財務体質を確立すること
まず、公益法人化については、平成18年度に協会制度検討会を立ち上げ、準備討論を始めてから、財務
面の検討、公益事業比率の検討、新定款案の作成等々申請に関する課題について問題を一つずつクリアし、
着々と申請の準備を重ねて来ました。昨今行政官庁の新しい方針もあり、我々と関係のある各法人も準備
を加速させています。当協会としても、明確なスケジュールを作成し、詰めの作業を行なって本年度中の
申請、認可を目指すこととし、円滑に公益法人への移行を実施したいと考えています。
次に、健全な財務体質の確立についてです。公益法人化のために、過去数年に亘って取り組んで来た内
部留保の適正化を達成した今、取り組むべきことは、今後協会が永続的に発展していくための裏付けとな
る、健全な財務体質を確立する事です。そのために、今年度はまず事務所の賃借料の大幅なカット、印刷
費の更なる削減、パイロット誌の発行回数の変更、印刷物の発行に関する各種契約の見直し、事務局人件
費の更なる削減、委員会や支部運営費の見直し、事務経費の削減等々を実施し支出の抑制を図ります。又、
収入面では、AIM-J を含む印刷物の値上げや、FTD 利用料の見直し、書籍の外税化等を実施し、抜本的
に収支の改善に取り組みます。これらの施策については、航空関係者のご理解を頂かなければならないも
のや、委員会や支部の皆様を中心に痛みを伴うものも多くありますが、協会の更なる飛躍のためには欠く
べからざるものであり、皆様のご協力をお願いする次第です。
我が国経済は、昨年来ゆっくりとしたテンポながら回復基調にあり、航空界でもリーマンショック以後
の需要の低迷から脱し持ち直しつつありましたが、3月11日に東日本に起こった大震災と、福島第一原発
の被災は今後も我が国の経済活動に大きな影を落としていくであろう事は容易に想像できます。当然のこ
ととして平成23年度の予算は、そういった情勢を加味せずに作成されております。従って、今後、予算と
の乖離を注視し、必要に応じ適切な対応を取って行くこととします。
航空の安全文化の普及と啓発
今年度は、SLJ(Sky Leisure Japan)の開催見送りや、航空教室の規模縮小等、経済情勢悪化の影響を
強く受けております。しかしながら、航空に関心を持つ方々が直接参加できるような様々な行事を、可
能な限り開催し、航空に対する理解を広めるよう働きかけていきます。特に青少年の方々には、社会教
育の一環として、航空という新たな世界を紹介し、青少年の健全な育成に努めることは、当協会にとっ
て大きな意義のあることと考えております。又、航空関連団体と協力し、各種イベントや行事を通じて、
航空の実情と課題を社会に紹介するとともに、航空文化の振興を図り、航空全体の「安全に資する」活
力を育んでいきます。支部活動は、航空を通じて地域社会の健全な発展に取り組んでいきます。
イ ベ ン ト:小型航空機セーフティーセミナー/航空安全セミナー/青少年航空教室(Yes I Can)
シンポジウム:ATS /乗員養成/航空気象
地 域 活 性 化:北海道/東日本/中部/西日本/九州/沖縄
78
2011 MAY
安全対策(制度と運用)
航空局、関連諸団体に係わる委員会、検討会などには引き続き担当理事を派遣し、豊かな経験に基づ
いた知識と、実体験に裏づけされた知見を持って助言又は提言を行い、事故の未然防止や災害の防止に
努めていきます。安全対策、運航方式、そして国家試験問題などを検討するに当たっては、安全の見地
から実際の運航に即した内容が反映されるように尽力します。航空関係者と定例的な意見交換の場を持
ち、タイムリーな情報の把握につとめ、安全に資する対策の一助となるよう積極的に取り組んでいきま
す。又、安全講習会等を全国で開催し、自家用操縦士の安全意識の向上、技量維持方策にも積極的に関
与していきます。
航空安全講習会/航空英語能力試験問題/学科試験問題
学科試験スタディーガイド/航空法英語版/区分航空図
外部の航空関連会議への参加
情報伝達と提供
空の安全を高めるため、航空に関する安全、技術を含むあらゆる情報を、航空関係者のみならず、広
く航空に興味をもつ方々に伝えていきます。協会に集う操縦士が、その専門知識を持ち寄り、技術の向
上を図ることにより航空界の発展にも寄与していきます。情報提供は、AIM-J、パイロット誌、ホーム
ページ等を活用し、会員だけでなく社会全般に広く発信していきます。ホームページでは、安全情報の
公開、航空局通達その他の迅速な伝達など、社会全体の安全を考えた取り組みを行っていきます。航空
関連の職業への勤労意欲のある方々には、様々なライセンス取得のための参考書を用意し、就労支援を
行います。
AIM-J /ホームページ/ Pilot 誌/パイロットハンドブック
Take Off / Pilot Guidance /ヘリコプター操縦教本
空中衝突/航空気象
技能習熟の支援
航空に関心のある方々が、種々の操縦士ライセンスを取得するための技術的支援をしていきます。そ
して、就職支援のための情報提供も同時に行っていきます。FTD(飛行訓練装置)の機材更新により、
緻密な訓練シラバスに沿った訓練ができるようになっており、更に、経験豊富な操縦士が、操縦体験・
計器飛行方式等の教育訓練を担当できる体制を制度化し発展させていきます。新しい知識と技能の向上
に励み、優れた教育訓練を実施し、飛行の安全に貢献していきます。技能のリフレッシュや資格の維持
にも FTD を活用していきます。航空局審査官、試験官の協力を得て、機長養成講習会を各地で開催しま
す。それにより優れた機長の養成を手助けし、公益法人としての安全面からの支援をしていきます。
技術(FTD 訓練)
知識(機長養成講習会)
情報収集及び調査研究
国際機関を活用して世界的に情報を収集し、また懇談会や委員会等の航空関係者が定例的に集う場を
有効に活用し、事故防止の観点から調査研究に役立てていきます。海外の事故調査報告書の中から抜粋
した邦訳文を、事故の再発防止に役立てるため PILOT 誌、ホームページ等に掲載していきます。行政・
航空身体検査機関の担当者と操縦士が、航空身体検査の制度と運用について情報交換し、法制度を含め、
現状の改善に寄与していきます。
事故調査:研修/ ISASI
国 際:FAI(総会)/ FAI 分科会/ FSF 資料の入手と翻訳/航空医学海外調査
2011 MAY
79
その他、本協会の運営に必要な事項
今年度は協会役員、会員その他関連団体等の理解を得て、事業ベースではプラスの予算を組ませてい
ただいております。しかしながら、福島原発の被災状況や東京電力の電力供給力等からして、今後の電
力需給関係の崩れは社会全体に大きな影響を残し、今後の情勢が全く読めない状況になってきておりま
す。当協会としては、今後の財務状況を注視しながら、必要な対策を講じていく必要があると認識して
おります。各委員会については、その多くは活発に活動しているものの、制度疲労も認められることか
ら、公益認定後の絵姿を描きながら再編し、より活性化するような体制を築いていきます。支部につい
ては、より現実的な活動を機動的に行えるよう見直しをしていきます。公益認定については、平成18年
より準備を進めておりますが、漸く全ての条件が整ってきたこともあり、今期に完全移行を目指します。
事務局管理費の適正化は引き続き行っていきます。同時に、理事及び会員の皆様から信頼されるようス
キルアップに取り組んでいきます。最後に、会員の獲得は当協会の安定的な運営に欠くことが出来ませ
ん。これまでにも増して、協会の宣伝、勧誘を色々な媒体を通じて行い、多くの新規会員に参加してい
ただくことにより、公益を担う団体としての地歩を固めて行きます。
80
2011 MAY
平成23年度
予 算 案
自 平成23年4月 1日
至 平成24年3月31日
Ⅰ.収支計算書
2011 MAY
81
収支予算書
平成23年 4月 1日から平成24年 3月31日まで
科
Ⅰ 事業活動収支の部
1.事業活動収入
(1)会費収入
目
正会員会費収入
賛助会費収入
(2)事業収入
航空の安全文化の普及と啓発事業収入
安全対策への貢献事業収入
情報伝達と提供事業収入
技術習熟の支援事業収入
情報収集及び調査研究収入
その他事業収入
(3)特定資産運用収入
共済基金利息収入
事務所移転利息収入
活性化事業利息収入
退職給付引当資産利息収入
減価償却引当資産利息収入
事業活動収入計
2.事業活動支出
(1)事業費支出
航空の安全文化の普及と啓発事業支出
安全対策への貢献事業支出
情報伝達と提供事業支出
技術習熟の支援事業支出
情報収集及び調査研究支出
その他事業支出
(2)管理費支出
給与手当
法定福利費支出
福利厚生費支出
会議費支出
旅費交通費支出
通信運搬費支出
消耗品費支出
図書製本費支出
賃借料支出
諸謝金支出
支払負担金支出
委託金支出
支払手数料支出
光熱水料費支出
修繕費支出
租税公課支出
研修費支出
交際費支出
支払利息
雑支出
事業活動支出計
事業活動収支差額
82
2011 MAY
予算額
前年度予算額
(単位:円)
増 減
76,380,000
85,500,000
-9,120,000
72,000,000
4,380,000
81,526,000
3,974,000
-9,526,000
406,000
54,750,650
54,164,000
586,650
1,055,000
19,782,000
25,530,400
5,907,000
400,000
2,076,250
1,310,000
38,919,000
7,985,000
3,650,000
400,000
1,900,000
-255,000
-19,137,000
17,545,400
2,257,000
0
176,250
470,000
500,000
-30,000
54,000
0
413,000
2,000
1,000
60,000
24,000
413,000
2,000
1,000
-6,000
-24,000
0
0
0
131,600,650
140,164,000
101,196,035
101,186,996
-8,563,350
0
9,039
14,188,250
30,664,286
33,794,178
8,162,943
7,136,307
7,250,071
14,779,008
38,640,000
25,964,480
3,216,500
11,649,008
6,938,000
-590,758
-7,975,714
7,829,698
4,946,443
-4,512,701
312,071
23,525,893
41,509,800
-17,983,907
6,800,750
962,500
137,500
400,000
4,934,000
440,000
655,000
647,500
4,009,768
0
432,000
1,285,625
165,000
206,250
0
1,400,000
200,000
650,000
0
200,000
19,200,000
2,550,000
490,000
400,000
1,600,000
900,000
1,000,000
675,000
6,912,000
20,000
350,000
4,900,000
600,000
312,800
0
1,400,000
0
0
0
200,000
-12,399,250
-1,587,500
-352,500
0
3,334,000
-460,000
-345,000
-27,500
-2,902,232
-20,000
82,000
-3,614,375
-435,000
-106,550
0
0
200,000
650,000
0
0
124,721,928
6,878,722
142,696,796
-2,532,796
-17,974,868
9,411,518
収支予算書
平成23年 4月 1日から平成24年 3月31日まで
科
目
Ⅱ 投資活動収支の部
1.投資活動収入
特定資産取崩収入
協会活性化事業積立資産取崩収入
FTD事業安定化基金取崩収入
参加型イベント促進基金取崩収入
福利厚生事業積立資産
事務所移転等積立金取崩収入
投資活動収入計
2.投資活動支出
特定資産取得支出
退職給付引当資産取得支出
減価償却引当資産取得支出
FTD事業安定化基金取得支出
参加型イベント促進基金取得支出
固定資産取得支出
工具器具備品取得支出
ソフトウェア購入支出
投資活動支出計
投資活動収支差額
Ⅲ 財務活動収支の部
1.財務活動収入
財務活動収入計
2.財務活動支出
リース債務返済支出
財務活動支出計
財務活動収支差額
予備費支出
当期収支差額
前期繰越収支差額
次期繰越収支差額
14,000,000
0
1,000,000
1,000,000
2,000,000
10,000,000
14,000,000
9,000,000
5,000,000
1,000,000
1,000,000
2,000,000
0
9,000,000
2,120,000
1,550,000
570,000
0
0
0
0
0
2,120,000
11,880,000
2,100,000
1,800,000
300,000
0
0
0
0
0
2,100,000
6,900,000
(単位:円)
増 減
0
0
5,000,000
-5,000,000
0
0
0
10,000,000
5,000,000
0
20,000
-250,000
270,000
0
0
0
0
0
20,000
4,980,000
0
0
0
4,300,000
4,300,000
-4,300,000
1,000,000
13,458,722
11,175,687
24,634,409
4,300,000
4,300,000
-4,300,000
0
67,204
15,124,913
15,192,117
0
0
0
1,000,000
13,391,518
-3,949,226
9,442,292
予算額
前年度予算額
収支予算書に対する注記
1.公益目的事業の見直しにより下記事業については、事業区分を変更した。
(1)AIM-J関連事業
安全対策への貢献事業 → 情報伝達と提供事業
(2)学科試験スタディガイド
情報伝達と提供事業
→ 安全対策への貢献事業
2.公益認定取得のため管理費支出から事業費支出への配賦基準の見直しを行った。
3.旅費交通費支出について、前年度は事業推進に係る事業(総会、理事会等)について、その
他事業費支出として計上していたが、今年度は予算段階から管理費支出として計上した。
4.協会活性化事業積立資産について、今年度の取崩は実施しない。
5.事務所移転等積立金について、公益認定取得にあたり、期日が明確でないため認定が難しい
と判断し、取崩を実施する。
2011 MAY
83
第3号議案
会員資格の変更および新設について
1.個人賛助会員Bの新設について
公益社団法人として不特定多数の方に門戸を開放することを目指し、また航空教室(Yes I Can)などか
ら寄せられた若年層からの要望を踏まえ、これまでの個人賛助会員を個人賛助会員Aとし、新たに個人賛
助会員Bを設定致します。加入資格は、操縦士技能証明書を持たない満13歳以上の方とし、会費は年額6,000
円と致します。
2.準会員会費の変更
準会員については、操縦士養成機関(航空大学校、指定養成施設、またはこれに準じる施設)で操縦訓
練を受けている訓練生を対象にこれまで会費を無償とし、配布物についても正会員と同等の供与を行って
参りました。今回準会員から一部会費を徴収することによって、公益社団法人認定に向け特定人への利益
供与を見直し、会費は年額9,000円と致します。実施は公益社団法人登録後の新会計年度と致します。
3.名誉会員の新設
当協会の発展に特に寄与した者または学識経験者等を推挙し、当協会の公益活動を広く一般にアピール
することを目的として新たに設定致します。公益社団法人登録をもって発効となります。
84
2011 MAY
第4号議案
役員の一部交代について
理事辞任の申し出により、下記の理事候補者が選出されました。
記
広井 秀次(定期航空)
(池内 宏 理事辞任の申し出により)
2011 MAY
85
第5号議案
公益社団法人認定取得に向けた定款変更(案)について
第45回通常総会で承認された新定款(案)は、今回第46回通常総会で再度変更の承認をうける事が、円
滑な公益認定を目指す上で必要となりました。公益認定等委員会事務局との面談を行った結果、担当者の
指摘を判断した場合、当初の懸念材料であった事業の一覧(公益事業として認められること)については
前向きな反応を示し、機関設計と運営、とりわけ定款の内容に細かく触れてきました。
新たに定款変更する内容の大きな変更部分は、①決議用件の緩和(過半数が原則)②公益目的所得財産
残額の算定の追加になります。
なお、申請時に本定款の一部変更が必要な場合は常務理事会に委任することと致します。
86
2011 MAY
第 5 号議案
45回総会(㍻ 22 年度)承認内容
第1章
総
則
第2章
会
員
改定案
改訂主旨
(種別)
第5条
第5条(種別)
本協会の会員は、次の通りとし、正会員を
もって一般社団法人及び一般財団法人に関する
本協会の会員は、次のとおりとし、正会員をもって民
法律(以下、法人法という)上の社員とする。
法上の社員とする。
(1) 正会員
本協会の目的に賛同して入会した者
(1) 正会員
(2) 賛助会員
本協会の事業を賛助するため入会した
(2) 準会員
本協会の目的に賛同して入会した者
➝準会員の会費
のうち会費の一部を免除された者
者
(3) 準会員
本協会の目的に賛同して入会した者
本協会の目的に賛同して入会した者の
(3) 賛助会員
本協会の事業を賛助するため入会し
た者または団体もしくは法人
うち会費を免除された者
(4) 名誉会員
本協会が推薦し、理事会及び総会の
➝名誉会員の新設
承認を受けた者
(決議)
第20条(議決)
総会の議決は、この定款で別に定めるもののほ
第 20 条
➝決議基準の緩和と明確化
総会の決議は、総正会員の議決権の過半
か、出席した正会員の過半数をもって決し、可否同数の
数を有する正会員が出席し、出席した正会員の議
ときは、議長の決するところによる。
決権の過半数をもって行う。
2.以下の議案の場合は、正会員総数の4分の3以上の
賛同を必要とする。
1
(1)定款の変更
(2)協会の解散
(3)残余財産の処分
3.以下の議案の場合は、正会員総数の3分の2以上の
賛同を必要とする。
(1)会員の除名
(2)役員の解任
4.以下の議案の場合は、出席正会員の3分の2以上の
賛同を必要とする。
(1)事業計画および予算
(2)事業報告および決算
(3)長期借入金
第4章
役
員
等
➝理事数の削減
(役員)
第23条(役員)
本協会に、次の役員を置く。
第 23 条
本協会に、次の役員を置く。
(1)理事
30 人以上 35 名以内
(1)
理事
(2)監事
3名以内
(2)
監事
20 名以上 30 名以内
3 名以内
2.理事のうち、1 人を会長とし、3人以内の副会長、
2.
理事のうち、1 人を会長とし、3 人以内の副会長、
1人の専務理事、5人以内の常務理事を置く。
1 人の専務理事、5 人以内の常務理事を置く。
3.本協会の会長を法人法上の代表理事とし、副会長、
3.
専務理事、常務理事を法人法上の業務執行理事とする。
し、副会長、専務理事、常務理事をもって同法 91
本協会の会長をもって法人法上の代表理事と
条第 1 項第 2 号の執行理事とする。
2
2011 MAY
87
(役員の職務)
第25条(役員の職務)
会長は、本協会を代表し、会務を総理する。
第 25 条
定款で定めるところにより職務を執行する。
2.副会長は、会長を補佐し、会長に事故があったとき
または欠けたときは、会長があらかじめ定めた順位に従
2.
代表理事は、法令及びこの定款で定めるところ
い、その職務を行なう。
により、この法人を代表し、その業務を執行し、
3.専務理事は、会長および副会長を補佐して、本協会
業務執行理事は、理事会において別に定めるとこ
➝代表理事と業務執行理事
の代行はできない
ろにより、この法人の業務を分担執行する。
の会務を掌理し、会長および副会長に事故があったとき
または欠けたときは、その職務を行なう。
➝役員の適格要件を追加
理事は、理事会を構成し、法令及びこの
3.
代表理事及び業務執行理事は、毎事業年度に 4
4.常務理事は、専務理事を補佐し、会務を処理する。
カ月を超える間隔で 2 回以上、自己の職務の執行
➝常務理事会は定款に定め
5.理事は、理事会を構成して会務執行の決定に参画す
状況を理事会に報告する。
る機関として位置づけない
4.
る。
6.会長、副会長、専務理事、常務理事は、常務理事会
を構成し会務を執行する。
監事は、次に掲げる職務を行なう。
(1) 理事の職務の執行を監査し、法令で定めると
ころにより、監査報告を作成すること
7.会長は、毎事業年度に4カ月を超える間隔で 2 回
(2) 本協会の業務及び財産の状況を監査すること
以上、自己の職務の執行状況を理事会に報告する。
(3) 理事会に出席し、必要があるときは意見を述
8.監事は、次に掲げる職務を行なう。
(1)理事の職務の執行を監査し、監査報告書を作成する
べること
(4) 理事が不正の行為をし、若しくは不正の行為
こと
をする恐れがあると認められたとき、又は法令
(2) 本協会の業務、経理及び財産の状況を監査するこ
若しくは定款に違反する事実、若しくは不当な
事実があると認められたときは、遅滞なくその
と。
(3) 各会議に出席し、必要があるときは意見を述べる
旨を理事会に報告すること
(5) 前号に規定する場合において、必要があると
こと
3
(4) 理事が不正の行為をし、若しくは不正の行為をす
る恐れがあると認められたとき、又は法令若しくは定
款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると
認められたとき、会長に対し理事会の招集を請
求すること
(6) 前号に規定により請求した日から 5 日以内
認められたときは、遅滞なくその旨を理事会に報告す
に、その請求をした日から 2 週間以内の日を理
ること
事会の日とする招集通知が発せられない場合
(5) 前号に規定する場合において、必要があると認め
られたとき、会長に対し、理事会の招集を請求するこ
は、直接理事会を招集すること
(7) 理事が本協会の目的の範囲外の行為その他法
と
令、若しくは定款に違反する行為をし、又はこ
(6) 前号に規定により請求した日から5日以内に、そ
れらの行為をするおそれがある場合において、
の請求をした日から2週間以内の日を理事会の日とす
その行為によって本協会に著しい損害が生ず
る招集通知が発せられない場合は、直接理事会を招集
るおそれがあるときは、その理事に対しその行
為をやめることを請求すること
すること
(7) 理事が本協会の目的の範囲外の行為その他法令若
(8) その他法令に定められた業務を行うこと
しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為を
するおそれがある場合において、その行為によって本
協会に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、その
理事に対し、その行為をやめることを請求すること
(8) その他法令に定められた業務を行うこと
4
88
2011 MAY
第5章
理事会
第5章
理事会
第6章
委員会
第6章
委員会及び支部
第36条(委員会)
本協会の事業を推進するために必要あるときは、理事
(委員会および支部)
第 36 条
はその決議により、委員会を設置することができる。
行政サイドの動向
本協会の事業を推進するために必要ある
ときは、理事会はその決議により、委員会及び支
2.委員会の任務、構成及び運営に関し必要な事項は、
理事会の決議により別に定める。
➝支部を現行に戻す
部を設置することができる。
2.
委員会および支部に関する必要な事項は、理事
会の議決を経て、会長が別に定める。
第7章
事務局
第7章
事務局
第8章
資産および会計
第8章
資産および会計
(事業計画および予算)
第43条(事業計画および予算)
第 43 条
本協会の事業計画及び収支予算等(事業
本協会の事業計画およびこれに伴う予算に関する書類
計画、収支予算、資金調達及び設備投資の見込み
は、会長が作成し、総会において出席正会員の3分の2
を記載した書類)は、毎事業年度の開始の日の前
以上の議決を経て、国土交通大臣に届け出なければなら
日までに理事会が作成し、総会に報告するものと
ない。これを変更しようとする場合も同様とする。
する。これを変更しようとする場合も同様とす
る。
2.
前項の書類は、毎事業年度の開始の日の前日ま
でに、行政庁に提出しなければならない。
(公益目的所得財産残額の算定)
➝新設
5
第 45 条
会長は、公益社団法人および公益財団法
必須事項
人の認定等に関する法律施行規則第 48 条の規定
に基づき、毎事業年度、当該事業年度の末日にお
ける公益目的所得財産残額を算定し、前条第 3 項
第 4 号の書類に記載するものとする。
第9章
定款の変更および解散
第9章
➝内容の簡略化
定款の変更および解散
(定款の変更)
第48条(定款の変更)
この定款は、第50条の規定を除き、総会において、
総正会員の議決権の4分の3以上の議決により変更す
第 48 条
この定款は、第 50 条の規定を除き、総会
において総正会員の議決権の 4 分の3以上の議決
により変更することができる。
ることができる。
2.「公益認定法」第11条第1項各号に掲げる事項に
係わる定款の変更(軽微なものを除く)をしようとする
ときは、その事項の変更につき、行政庁の認定を受けな
ければならない。
3.前項以外の変更を行った場合は、遅滞なく行政庁に
届け出なければならない。
第 10 章
情報公開及び個人情報の保護
第 10 章
情報公開及び個人情報の保護
➝第 10 章から分離
第 11 章
公告の方法
➝電子公告を削除
別の章建て
第54条(公告)
本協会の公告は電子公告による。
(公告)
実行が難しい
6
2011 MAY
89
2.やむを得ない事由により、電子公告によることがで
第 54 条
きない場合は、官報に掲載する方法による。
る。
附
本協会の公告は官報に掲載する方法によ
附
則
➝法人登記に併せ
則
3.この定款は、一般社団法人及び一般財団法人に関す
3.
る法律の施工に伴う関係法律の整備に関する法律第 106
関する法律の施行に伴う、関係法律の整備に関する
新しい理事の就任承諾書
号第 1 項に定める公益法人の設立の登記日現在の理事及
法律第 106 条第 1 項に定める、公益法人の設立の登
が必要となる
び監事は、次に掲げるものとする。
(別表1)
記日現在の理事および監事は、次に掲げるものとす
この定款は、一般社団法人及び一般財団法人に
理事全員の辞任届
る。
代表理事
大内 学
業務執行理事
小林 宏之
薬師寺
進
大畑 隆
中村 俊治
池田 晃二
楠本 晋一
蔵岡 賢治
吉田
徹
7
90
2011 MAY
JAPA SHOP
※正会員には無償配布(送料込)
2011年4月より順次価格改定
JAPA 販売商品
定価(一般)
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AIM-JAPAN 英 語 前期版・後期版
学科試験スタディーガイド
TAKE-OFF 安全飛行への招待
前年度版は旧価格)
パイロットガイダンス 改訂版(
ヘリコプター操縦教本 改訂版 (前年度版は旧価格)
航空気象
空中衝突
※
PILOT 誌 (4冊発行/年) ※
パイロット手帳(1冊発行/年) ※
ライセンスケース 手袋
5,250円
5,250円
5,250円
5,250円
5,250円
5,250円
2,500円
2,300円
1,050円
1,575円
5,250円
5,250円
4,725円
4,725円
4,725円
4,725円
4,725円
4,725円
2,250円
2,070円
945円
1,417円
4,725円
4,725円
380円
380円
420円
380円
380円
380円
380円
380円
240円
280円
280円
280円
JAPA 取扱商品
定価(一般)
会員定価
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2,600円
2,600円
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2,340円
2,340円
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280円
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直販の場合は代金先払いとなりますのでお近くの郵便局よりお振込みください。
(お振込前に必ず在庫確認をお願いいたします。)
振込口座:郵便局00180-9-88490 社団法人 日本航空機操縦士協会宛
お問い合わせ先:TEL 03-3501-0433 FAX 03-3501-0435
E-Mail:[email protected]
2011 MAY
91
潜在リスクを可視化する
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Appar eo Syst ems 社製フライトデータ・モニタリングシステム
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検索
Simulating Reality
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イベント解析ソフトウェア
〒224-0025 横浜市都筑区早渕 1-42-2 E-1
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TEL
045- 591- 8381
R
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ホームページ大幅リニューアル!
2011年4月1日、操縦士協会ホームページをリニューアルしました。
新たに JAPA メルマガを新設、会員の皆様を中心に情報をタイムリーに配信することが可能となりました。
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登録は簡単! クイックアクセス「メルマガ」を選択、パソコンまたは、携帯電話より簡単登録!
登録方法 [email protected] 宛てにメール送信をお願いします。
携帯電話で受信を希望する方は QR コードをご利用ください。
92
2011 MAY
当協会の FTD は国土交通省の「模擬飛行装置等認定要領」の規定による
<飛行訓練装置レベル3>に認定されています。
当機による訓練で FlightLogBook への飛行時間の記入が可能です。
FTD訓練を体験して
エアーセントラル株式会社
乗員部
神保 航一
JAPA FTD では大変お世
話になりました。
訓練では知識や技術だけ
でなくエアラインの考え方など幅広く教えて
いただきとても勉強になりました。
お蔭様で志望していた航空会社に入社する
ことができました。
学んだ事を活かして今後の訓練を頑張って
いきたいと思っております。
ありがとうございました。
平成23年4月1日より新料金により訓練を行っております。
より充実した訓練を提供するよう関係者一同お待ち致しております。
≪訓練A≫ Flight Log Book へ飛行時間の記入が可能です(技能証明が必要)。
メニュー
技量維持訓練
計器飛行(180日)
計器飛行訓練
会員
18,000円
15,000円
18,000円
一般
25,000円
20,000円
25,000円
訓練時間
FTD 80分
FTD 60分
FTD 80分
・技量維持訓練
航空局乗員課通達国空乗第2077号(自家用操縦士の飛行の安全確保について)にて推奨されている技量維持を行う訓練
・計器飛行(180日)
航空法施行規則第161条(計器飛行を行うために必要な最近180日の飛行経験)を満たすための訓練
・計器飛行訓練
全15回の訓練
≪訓練B≫ Flight Log Book へ飛行時間の記入は致しません。
メニュー
ポイントレッスン
試験前訓練
体験搭乗
会員
12,000円
12,000円
6,000円
一般
16,000円
16,000円
8,000円
訓練時間
FTD 60分
FTD 60分
FTD 30分
2011 MAY
93
ANA Boeing737-800 「心をひとつに がんばろう ニッポン」
JAL Boeing737-800 「がんばろう日本」
東日本大震災復興「がんばろう日本」塗装機
東日本大震災からの復興を応援する「がんばろう日本」塗装機です。この他、英語表記のもの
には、「Forward together as one JAPAN」等がみられました。
94
2011 MAY
編集委員会では、PILOT 誌の表紙を飾る皆様からの航空機の写真を募
集しています。
尚、応募写真は編集委員会で審査の上、掲載いたします。
下記応募要領をご了承の上、ふるってご応募ください。
・写真はカラー・白黒・DigitalData を問いませんが、投稿者が撮
影されたものに限ります。撮影日時・場所・説明等の添書きも添
付してください。
尚、Digital 写真の場合はできるだけ大きな画素数で撮影したもの
として下さい。
・応募写真の取り扱いは日本航空機操縦士協会に属し、お返しでき
ませんのでご了承ください。
・PILOT 誌の表紙に採用させて頂いた場合、謝礼として2万円
(複数写真で表紙構成となった場合は分割)、表紙に掲載とならな
かった場合でも優秀な写真は本誌に掲載し薄謝を進呈いたします。
・住所、氏名、年齢、職業、電話番号、E-MailAddress 等を明記
してください。
※個人情報に関しては当協会で厳重な秘守扱いと致します。
送付・お問合せ先
社団法人 日本航空機操縦士協会 編集委員会
〒1050003 東京都港区西新橋1-18-14
TEL 03(3501)0433 FAX 03(3501)0435
E-mail:[email protected]
2011 MAY
95
編集後記
ISSN 0389-5254
2011 No.3 MAY
JAPAN AIRCRAFT PILOT ASSOCIATION
東日本大震災の復興を応援する鶴丸マークの
JAL B737-800「がんばろう日本」塗装機体
です。全日空の B737には「心をひとつに がん
ばろう ニッポン」と書かれていて、仙台を始め
とする全国で飛行しています。
(奥貫)
●元々なかったと言われればそれまでだがあの
地震以来、思考能力が極端に下ってしまった。
被災地の復旧、復興もだが、早く原発をコン
トロール下にして欲しい。
(T.A.)
●震災による行方不明者の捜索は今も続いてい
ます。航空機による捜索、救助で、多くの人
命を救っています。
Rescue Pilot の皆さん。今後も共に頑張り
ましょう。
(H.Y)
No.326 2011年 5 月号/平成23年5月発行
発行 社団法人 日本航空機操縦士協会
(Japan Aircraft Pilot Association)
〒105-0003 東京都港区西新橋1-18-14
禁無断転載
落丁・乱丁本がありましたら
お取替えいたします
編集人 蔵 岡 賢 治
TEL 03-3501-0433(代) ホームページ URL http://www.japa.or.jp/
発行人 中 村 俊 治
FAX 03-3501-0435 E-Mail:[email protected] JAPAWEB:20110501
定価 1050円(税込)
振替口座/00180-9-88490
96
Pilotが作る隔月誌
JAPAN AIRCRAFT PILOT ASSOCIATION
●今月のジェネアビ情報のテーマは「空中衝突」
です。大災害は忘れた頃に……とも言います。
絶対にあってはならない「空中衝突」に目を
向け、意識を新たにしたいと思います。
(奥貫)
●東日本大震災では度々想定外と言われています
が、航空機事故でもまれに想定外の状況に陥っ
た事例もあります。それらを考慮して、Pilot
には CRM/LOFT の訓練が行われています。
国のレベルでの CRM(Country Resource
Management)の無さにイライラを感じてい
る国民のなんと多いことか。
公僕であることを忘れ、党利党略に走る政治
家達や何のアイディアも出さない官僚達は、
日本丸という船が沈没の危機にあることが判
らないのか? と問いたい。
タイミングの良い正確な情報開示や、未来
の展望を示すリーダーシップを発揮してもら
いたいと切に望むものです。
(KEN)
●花巻の GA パイロットは、マスコミが行かな
いへき地の避難所へ、トラックに肉、野菜、
鍋、鉄板、プロパンガス、おわん、はし等を
積んで行き、やきそばと豚汁を提供し3箇所
回ったという。町長をはじめとする避難者は
皆大喜びをしてくれたとのこと。このことが
嬉しく2回目も行ったとの話を聞いたので、
少しばかりの支援をさせてもらった。被災地
の早い復興を祈ってます。
(K.A)
●情報分析能力と決断力のないリーダーでは将
来がない。
(RYU)
No.326 2011 No.3 MAY
不明の方々に哀悼の意を、被害を受けた方々
に心よりお見舞いを申し上げます。
PILOT
-編集委員会から-
(編集長 蔵岡)
東日本大震災により亡くなられ、或いは行方
2011 MAY
印 刷 株式会社イーフォー
www. japa.or.jp
www.japa.or.jp
PILOT
No.326
2011 No.3
MAY
JAPAN AIRCRAFT PILOT ASSOCIATION