インターネットトラブルの現状と対策 The present conditions and

インターネットトラブルの現状と対策
The present conditions and measures of the Internet trouble
松本 絵里, 金子 恵実
Eri MATSUMOTO, Emi KANEKO
大東文化大学 経営学部
Daito Bunka University Faculty of Business Administration
Email: [email protected]
あらまし:現代はネット社会となり,成人だけでなく未成年者もスマートフォンなどを通してネット利
用者が増え続けている.そんな中,インターネットに関わるトラブル被害に巻き込まれる人は多く,調
査した結果,被害者はおよそ 10%もいることがわかった.原因として不正サイト,違法広告へのアクセ
スがあげられる.このように未成年者が被害に遭っていることは問題であるため,防止のために家庭な
どでもインターネット利用について話合うなどが必要であろうと考える.
1.
はじめに
2011 年から急速に普及したスマートフォンの所
持率は,今も伸び続けている.インターネットに至
っては今やどこを見渡しても使用している人がいる
ほどであり,まさにネット社会の時代である.ネッ
トの便利さは世代を問わず誰もが使えるものとして
普及しており,
“未成年”もその枠に含まれる.むし
ろ未成年である 10 代のスマートフォン,インターネ
ットの使用率は増え続けている.
普及率が上がり便利になる中で,インターネット
の世界は安全であるとは言い難い.むしろ危険の方
が多く,実際インターネットを巡る問題や事件は後
を絶たない.例えば,アダルトサイトを閲覧してク
リックしたところに高額請求画面が出てしまい詐欺
被害に遭ってしまうワンクリック詐欺,掲示板利用
していて女性同士で会話していて実際会ってみたら
男性だったという成りすまし詐欺,またプロフやゲ
ームサイトで知り合った人とともだちになる,掲示
板で悪口を言われる,個人情報を書いてしまうなど
と様々あるだろう.
私たちは,未成年が巻き込まれるインターネット
トラブルに焦点を当て,その要因,現状,解決策を
見出すことを目的とする.
2.
はい
12.3%
いいえ
87.7%
図 1. インターネットトラブル経験
被害の内容としては,ワンクリック詐欺,知らな
い他サイトに勝手に登録されてしまう,登録した覚
えのないサイトから大量の迷惑メールが送られてく
る,ゲームのコインを盗まれた,など様々であった.
被害に遭ってしまう一つの原因として,不正サイ
トにアクセスしてしまうことが原因と考え,次に「不
正サイトにアクセスしたことがあるか」について質
問したところ,26%の人が”はい”と答えた(図 2).
はい
26.1%
アンケート調査結果
今回は,高校生と大学生(未成年者)の男女 65 名を
対象にアンケートを実施した.
まず初めに,
「インターネット使用において,トラ
ブル被害にあったことがあるか」と質問したところ,
12%の人がトラブルに遭ったという結果になった
(図 1)
.調査人数を 100 人とすると,10 人に 1 人以
上の割合で被害に遭ったことになる.これは少ない
割合ではなく,むしろ予想より多くの人達が被害に
あっていることに驚いた.私たちの気が付かないす
ぐ近くで,インターネットトラブルは発生している
ことが分かる.
いいえ
69.6%
無回答
4.3%
図 2. 不正サイトアクセス経験
そこで,不正サイトと知っていてアクセスしたの
か質問したところ,67%もの人が不正であると知
っていながらもアクセスしていたことが分かった
(図 3)
.
ちなみにここでいう不正サイトとは,無料を謳う
アダルトサイトや違法音楽ダウンロードサイトなど
の非公式なサイトである.インターネットの被害と
違って,自分の意思,安易な気持ちだけでアクセス
できてしまう為,多くの人がアクセスをしてしまっ
ている現状である.
はい
66.7%
いいえ
33.3%
図 3. 不正サイトに対する認知度
その中で不正サイトと知らずにアクセスしてしま
う原因として私たちは,違法広告をクリックしてし
まう事が原因と考え「違法広告をクリックしたこと
があるか」と質問したところ,クリックしたことが
あるのは 6%と予想よりも少ない割合であった(図
4).つまり何らかの他の方法で,不正サイトへアク
セスしてしまっていることになる.違法と知りなが
らアクセスしている人には,トラブルに巻き込まれ
る恐れがあるという認識をもっているかが問題であ
り,また,違法ダウンロードが刑罰化されることを
認識しているかという事も問題である.
更にインターネットトラブル被害に遭ったこと
がある人に「どのようにして解決したか」質問した
ところ,誰にも相談せず一人で解決,知り合いの専
門家に相談,両親に相談した,などこちらも様々で
あった.割合では両親に相談した人が 30%と 1 番多
かったので,相談しやすい家庭環境があることも垣
間見えた.
はい
6.2%
いいえ
89.2%
無回答
4.6%
図 4. 違法広告のクリック経験
3.
今後の課題
今回の調査では,予想より多くの未成年者がイン
ターネットトラブル被害に遭っており,多くの人が
不正,違法であると知りながらサイトへアクセスし
ていることが分かった.不正サイトへアクセスして
しまうことで,インターネットのトラブル被害につ
ながるのは確かである.
そして,未成年者がここまでトラブルに遭ってい
るのは確実に問題である.スマートホンやインター
ネット環境が充実してきた今こそ,親子,家族でイ
ンターネットの使い方や交友関係について話し合う
べきだと,それによってトラブルも軽減されると,
私たちは考える.
参考資料
(1) 総務省 HP, 教育情報化の推進, インターネットトラ
ブル事例集ダウンロードページ,平成 23 年度版
http://www.soumu.go.jp/main_content/000173731.pdf
(2) 独立行政法人国民消費生活センターHP, インターネ
ットトラブル
http://www.kokusen.go.jp/topics/internet.html