中年期のフィットネスが健康な老年期の決め手に

中年期のフィットネスが健康な老年期の決め手に
中年期の適正なフィットネスが老年期の慢性疾患減少につながる
ことが、米国の研究で報告された。報告によると、フィットネスレベル
の高い人では、寿命の延長だけでなく、慢性疾患の発症も遅延してお
り、その結果一生のうち疾患に悩む期間が短くなっていた という。
対象は、男女約 1 万 9,000 例。1970 年の登録時年齢は 49 歳(中央値)で、
大半が白人であり、教育レベルが高く、健康だった。
追跡期間(中央値)は 26 年。対象のフィットネスレベルはトレッドミル(ベルト
式歩行機能テスト)でどの程度速く、長く走れるかにより評価された。
その結果、
●中年期のフィットネスレベルがもっとも高い人では、もっとも低い人に比べ、 70 歳以
降の慢性疾患(アルツハイマー病、大腸癌、肺癌、うっ血性心不全、慢性腎疾患、慢性
閉塞性呼吸疾患[COPD]、2 型糖尿病、心疾患)の罹患率が低かった。
●フィットネスレベルが高いほど、平均寿命が長く、無病期間が長く、罹患する慢性疾患
の数が少ない傾向も認められた。
また、追跡期間中に死亡した約 2,400 例を分析すると、
●フィットネスレベルの高い人では死亡前 5 年間に慢性疾患に罹患する率が低い傾向
があった。
●フィットネスレベルがもっとも高い群では、もっとも低い群に比べて 4 つ以上の慢性
疾患を合併して過ごす期間が 50%短い。
●フィットネスレベルがもっとも高い群では、逆に慢性疾患が 1 つまたはゼロという状
態で過ごす期間は 34%長かった。
では、中年期の健康状態を向上させるにはどうすればいいのか?
具体的にはトレッドミルで測定される METs (活動・運動を行った時に安静状態の何倍のカ ロリーを
消費しているかを表 す 運動量の単位 ) を上昇させることだろう。MET が 1 上昇するごとに慢性
疾患の発症リスクは 6%低下する。座って生活することの多い人が中~高度の運動プ
ログラムを始めた場合、MET は 1 ないし 2 も上昇する。
今回の結果について、「同じ遺伝子を持つ人なら、中年期のフィットネスレベルが高
いほうが長生きできるということだ」と述べている。
津嘉山 H24.9.11