読書のために - 京都聖母女学院短期大学

読書のために
京都聖母女学院短期大学図書館
2011
No. 50
読書は「あなたの魅力を輝かせる宝物」
こうりゅう
図書館長 松本 好 隆
本離れ、活字離れ、学生が本を読まないと世を挙げて嘆かれる時代となった。もともとダーウィン流に
うかが
た
言えば、動物の生存闘争そのものにとって「読書する行為」などどうでもよいこと、当たり前だが犬も猫
も読書などしない。
『我輩は猫である』の主人公の猫も主人の顔色を 覗 うことに長けているだけで本を読
んだりはしない。
ではなぜ人間という動物は「読書」するのであろうか。私自身、他人に読書を勧められるほどの読書家
、書
、好
、き
、になった若い時の体験のほんの一つをご披露したい。
ではないが、読
サウジアラビアでの在勤当時のこと
(日本がオイルショックで油乞い外交をしていた当時の一九七二年、
私は中東、アラビア半島の紅海に面したジェッダという町にいた)
、なぜか大使館には当時駐在勤務し終え
こんせき
て帰国された日本人の方々の置いていかれた本がうずたかく積まれてあった。これらの本は、日本から遠
く異国の地にあって人々がむさぼり読んだ痕跡でもあった。なぜならある人は、遠く祖国を離れて望郷の
念を持ちながら寸暇を惜しんで読まれたであろうし、またある人は、娯楽もなく異文化の日常の中で生き
たいまつ
るよすがとされた方も多かったはずである。だからこれらの本は『名著百選』というようなお薦め本では
はっと
ない。彼らにとって明日をも知れぬ命をつなぎとめる松明となった本ばかりであった。何千冊という本の
ジャンルは森羅万象なんでもござれ、森鴎外から村上春樹まで多岐にわたった。
ほぼ年間を通じて、日中摂氏四十度を越えるアラビアでは、午後は他人の家に訪問することはご法度、
すべての人々は、家に戻り夕方まで眠りにつく。私は、この時間にクーラーを全開にしてただひたすら読
こんじょう
んで読んで読みまくった。読んで頭が賢くなったとはまったく思わない自信がある。しかし、何事にもう
まくいかないとき、何かに迷ったとき、今 生 の別れに立ち会うとき、あらゆる場面でささやかな知恵を
与えてくれたものが「書物」であった。
わが図書館にはそんな珠玉の本の数々が十一万冊もあり、
君たちを輝かせたいとその出番を待っている。
(2)
京都聖母女学院短期大学図書館
好き な 詩
学長
沼野 元義
山 の麓 の
( 臨 床 計量 心理 学 )
夢 は い つ も か へ つて 行 つ た
さ び しい 村 へ
水 引 草 に 風 が 立ち
草ひ ば り のう たひ やま ない
し づま り か へ つた 午 さ が り の林 道 を
こ れ は 、 私 の 最 も 愛す る 詩 人 、 立 原道
うた
造の「のち のおもひ に」と題された 詩
の 冒 頭 の 一 節 で あ る 。 そ し て こ の 詩は 、
次 の よ う に 結ば れ る。
本に親しむ
身近 に感じる歴史
早瀬 亮 子
(ラ イフサポ ート スキル他 )
田口 邦 子
( 基 礎 栄養 学 、 調 理 実 習 Ⅰ ・ Ⅱ 他 )
我 が 家 で は 、 お 正月 と 年 に 数 回 、 百 人
一首を出し、取った枚数を競い合います。
初 め て 本学 の 図 書館 に 足 を 踏 み入 れ た
感 想 は 、明 る く て 清 潔 で あ っ た 。
ま せ んで し た 。 し かし 、 家 族 で 百 人 一 首
私 が 小学 生 の 頃 には 、 学 校 行 事 の 百 人
人 に は 色 々 な 図 書 館 の 利 用 目的 が あ る
を す る よ う に な り 、 ま ず は 五 七五 七 七 の
私 は ま ず 、 新 聞 コ ー ナ ー で 各 種の 記 事
だろう。調べ物をするための資料を探す、
韻律の読み方。日頃使わない抑揚を 声に
一 首 大 会 の 為 に 意 味 も よ く わ から ず 、 た
読 みた い文 学 書 を 借 り に 行 く 、 そ し て 、
出し「む」を「 ん」と「ゑ 」を「え」な
に 目 を 通 し た 。 そ して 、 ど の 棚 に ど ん な
試 験 勉 強 に 利 用 す る と き も あ るだ ろ う 。
ど 、 子 ど も 達 は 聞き 慣 れ な い 言 い 方 に 少
だ 覚 え るだ け の 特 別 楽 し い も の で は あ り
目 的 は 違っ て も 、 知 的 満 足 感 を 満 た し て
し困りながらも読んで楽しんでいます。
本が 並べて あ るのか巡 って みた。
く れ 、 そ し て 何 よ り 活 字 に 親 しむ こ と の
私はといえば、小学生の時に覚えた十
八 番 を 取ら れ な い 様 に 位 置 を 確 認 。 そ し
で き る 場 所で あ る 。
自 分 の 好き な ス タ イ ル で 本 に 接 す る こ
真 冬 の 追 憶 の う ち に 凍 るで あ ら う
て 、 句 の 解 説 を 読む と 、 今 更 なが ら 書 か
夢は
と で 自 分 に 向 き 合 い 、 感 性 は 刺激 さ れ 、
そ れ は 戸を あけ て 寂 寥 の な か に
そ して
れ た 時 代 背 景 や 想 い の 深 さ を 感じ と る こ
時 に は 歴 史 を 感 じ る の も い いで す ね 。
ようになりました。
と が で き る よ う に な り 、 今で は 楽し め る
言 葉 セ ン ス を 磨 く 事が で き る と思 う 。
書 館 を 友 と し て 欲し い 。
常 に 活 字 に 触 れ る 時 間 を 大 切 に し 、図
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう
青 春 の 詩で あ る 。哀 し い 詩で あ る 。だ
がひ たすら に美 し い。
~インタビュー~
【ノーバディーズ・パーフェクト】
本 学 で ノ ー バ デ ィー ズ ・ パ ー フ ェ ク ト
( N P ) プ ロ グラ ム 活 動 を 続 け て お ら れ
る 平 松 紀 代 子 先 生 に 、 プ ロ グラ ム と の 出
会いや育児についてインタビューしまし
た。
*プログラムとの出会いは?
育 児 に 不 安 を 感 じ る お 母 さ んた ち を サ
ポー トする方法として 何が いいのか 考え
て き ま した 。 そ ん な 時 に 『 地 域か ら 生 ま
れる支えあいの子育て』 小(出まみ著、一
九九九年 を)読み、カナダの子育て支援に
関 心 を 持 つ よ う に な り ま し た 。そ し て さ
ま ざ ま な 情 報 を 収 集 す る よ う にな り 、 N
P に 出 会い ま し た 。
*カナダの子育ての印象は?
お 母 さ ん が 育 児 のし ん ど さ を抱 え こ む
のでは なく、 地域 全体で 子どもを 受け入
れ 、 育 て て い る 様 子が 本 当 に す ば ら し い
と 思 い ます 。
*子育て中に一番欲しいと感じた事は?
私が 育児中 に 一番欲しかったのは 睡眠
時 間 。 と く に 乳 児 期は 三 時 間 す ら 続 け て
眠れないまま出勤するのは過酷でした。
温 か い コ ー ヒ ー も ゆ っ く り 飲 みた い と 思
って いました 。
*活動を続けていて感じることは?
こ の プ ロ グラ ム に 参 加 さ れ る お 母 さ ん
は みな さ んとて も明る く 素 敵な方 々 で す 。
図書館ニュース
【ピックアップコーナー】
雑 誌コ ー ナ ー 中 に 「 ピ ッ ク ア ッ プコ ー
ナ ー 」 がで き ま し た 。 マ ナ ー 習 得や 就 職
活 動 に 役 立 つ 本 な どを 置 い て いま す 。
に は 、 関 連 の 問 題 集 な ど も あ りま す 。
また、閲覧室内の「就職関係コーナー」
れ ぞ れ 深 い し ん ど さ を 抱 え て おら れ た り
どうぞご利用下さ い。
で も 、 じ っ く り心 開いて 話を す る と 、 そ
し ま す 。 N P を 通 し た 出 会 い をき っ か け
に 、 そ の 先 の し ん ど い 場 面 で 支え あ っ て
もらえたら嬉しいです 。
*学生さんへのメッセージを!
完 璧 な 親 も 、 完 璧 な 教 員 も 学 生 も いな
い。ありのままのよさを認め合い信じて、
前 向 き に 努 力す るこ と が 大 切 だ と 思 い ま
す。前期の火曜日午前に子どもの(泣き)
声が 聞こえ るか も しれ ませ んが、 温 か く
受け入れて もらえたら嬉し いです 。
いろ いろ な 人々 と 支え あ って 充 実した
時間を一人一人が過ごせるとよいです
ね ! 平 松先 生 あ り が と う ご ざ い ま し た 。
《ピックアップコーナー》
《就職関係コーナー》
(3)
京都聖母女学院短期大学図書館
(4)
京都聖母女学院短期大学図書館
ソ ー ド と共 に 紹 介 し ま す 。 本 との 素 敵 な
本学の先生方の思い出の文庫本をエピ
し た 。 見学 後 の ア ン ケ ー ト に よ る と 短 大
四 名 ) が 、 短 期 大 学 図 書 館 を 見学 さ れ ま
六月十三日、学院小学校の図書委員(十
【学院小学校図書委員が見学に!】
前 期 に 開 催 さ れ た 展 示 を 紹 介し ま す 。
出 合 い が あ り ま す よ う に 。 期 間中 は 「 思
図書館の印象は「本がたくさんある」、開
*思い出の文庫本
見 逃 し て し ま っ た 方は 、 紙 面 で 雰 囲 気 を
い 出 の 文庫 本リ ス ト 」 を 希 望 者 に 配 布 し
【展示のお知らせ】
お 楽 し みく だ さ い 。
た。
「またじっくりと本を見たい」などの
催 中 の 展示 の 感 想 は 、
「おもしろい」でし
七 月 一 日 ~ 九 月 三 十 日)
メ ッ セ ー ジ も 寄 せ られ 、 約 三 十 分 の 短 い
間 で し た が 、 お 気 に入 り の 本 や 絵 本 を 見
つ け 、 楽し いひ と 時を 過 ご し て い た だ け
た よ う です 。
プ を 配 布 。 良 く 利 用さ れ る 分 野 の 関 連 書
委員
館長
藤岡
松本
道子
好隆
古田
智子
薫
◆ 二〇一一年度図書委員
の 見 学 と図 書 館 の 利 用 手 続き や 蔵書 検 索
武村
株式会 社
図 書 印刷
山成
同 朋舎
昭世
京都聖 母女学院短期 大 学図書館
第 五十 号
内藤 智香 子
印刷
本文カット
編 集 発行
二 〇一 一年 七 月
読書のた めに
館員
来館学 生対象に、今年も七月にアンケ
館報
の 方 法 な ど に つ いて お 知 ら せ し ま し た 。
た 。 学 科 、 専 攻 、 コ ー ス ご と に館 内 マ ッ
四 月 十 四 日 、 四 月 二十 一 日 に 実 施 し ま し
新 入 生 対 象 に 館 内 ツ アー を 四 月 七 日、
【館内ツアー報告】
(期間
ます。夏休みの読書の参考にして下さい。
復 刻 絵 本 絵 ば な し集
四 月 十 八日 ~ 五 月 十 四 日 )
幸 いで す 。
じとって いただけたら
母校 の 歴 史 の 重 み を 感
本を展示しました 。
ベルナデ ッタに関す る
聖 母 女 学 院 の 記 念 誌や
* 聖 母 女学 院 の 移 り 変 わ り
(期間
*貴重図書
明 治 時代 か ら 戦 後 間 も な い 期 間 に 刊 行
いただいた方からは、和綴じ本やローマ
ー ト を 実 施 し て い ます 。 昨 年 は ア ン ケ ー
【利用者アンケート実施中】
字 表 記 の 本 な ど 様 々 な 絵 本 が 同じ 時 代 に
ト 結 果 を 基 に 美 術 、 宗 教 、 小 説、 料 理 に
さ れ た 貴 重 な 絵 本 の 復 刻 版 を 展示 。 ご 覧
刊 行 さ れて い た こ とが わ か り 、 お も し ろ
選 書 を 予 定 し て い ます 。
関 す る 本 を 購 入 し まし た 。 今 年 も 同 様 に
五 月 十 六 日~ 六 月 三 十 日 )
か っ た と の お 声 も いた だ き ま し た 。
(期間