第4章 緑地の保全及び緑化の目標

第4章
緑地の保全及び緑化の目標
第4章 緑地の保全及び緑化の目標
4-1. 都市の概況
本町は知多半島の北東部に位置し、温暖な気候の町である。かつては農業を主要産業
とする町であったが、先端産業の誘致が進み工業都市としてさらに名古屋圏の住宅需要
を受け止める大規模な住宅団地開発も行われ住宅都市として発展を遂げている町である。
愛知用水の通水以降、農地開発が進み、北部の丘陵地には果樹園が、南部の丘陵地・
東部の平地には水田が広がっている。市街地は、まちの東を南北に延びる国道 366 号と
JR 武豊線沿いに形成されている。
本町では、農地を主体として緑の面積は町のほぼ半分を占めており、比較的緑豊かな
環境が残っているものの、農地開発や住宅開発などが進められてきた結果、本来の自然
植生を残す樹林地は案外少ないのが実状である。住みよい生活環境の条件として自然環
境の豊かさがますます重視されるようになり、貴重な自然としての緑の保全・整備の必
要性は一層高まっていくものと予想される。
今後は、都市緑地の整備を推進するとともに、身近な自然環境を保全する住民意識の
高揚を図りながら、市街地を中心に新たな緑の創出を積極的に進める必要がある。また、
そうした緑を点的に整備するだけではなく、線でつなぎ、面的に広げていくことが必要
となっている。
4-2. 基本理念
第4次東浦町総合計画において、本町がめざすべき都市像を「やすらぎとにぎわいの
ある健康都市」と設定し、ひともまちも自然も健康で、健やかに伸び続けるまちづくり
をめざしている。
めざすべき都市像
「やすらぎとにぎわいのある健康都市」
キャッチフレーズ
ひと・まち・自然 健康都市
第4次東浦町総合計画(2001~2010)
緑の基本計画は、緑の保全・創出からのアプローチによって、
「やすらぎとにぎわいの
ある健康都市」の実現に寄与するものでなくてはならない。
今後予想される都市的な土地利用の需要拡大と貴重な自然環境との調和を実現すると
ともに、身近なところから町民とともに緑を大切に育て、豊かな緑のなかで人が健康的
に暮らすことのできる都市を目標としていくため、緑の将来像を次のように定める。
限りある自然との調和を図り、身近な緑を大切に育てるまち
69
4-3. 緑の将来像
図4-1
緑の将来図
70
第4章
緑地の保全及び緑化の目標
4-4. 計画の基本方針
緑の将来像を実現していくため、計画の基本方針として5つの基本方針を定める。
《4つの基本課題》
①貴重な自然の積極的な保全
②二次的な自然の保全と創出
④住民意識にまで浸透した緑化促進
③緑の連携軸の形成
の取り組み
《緑の将来像》
限りある自然との調和を図り、身近な緑を大切に育てるまち
《5つの基本方針》
1.自然との共生
2.豊かな緑の保全
3.新たな緑の創出
4.水と緑のネットワーク
5.緑を守り育てる活動の普及
71
基本方針1
自然との共生
○町内に残る貴重な自然を積極的に保全する。
→自然植生を残す樹林地や動植物の生息地であるため池、干潟を保全す
る。
○自然の緑とのふれあいを深める。
→人が自然とふれあい、自然への理解を深めることのできる空間を整備す
る。
基本方針2
豊かな緑の保全
○郷土の歴史が育んできた伝統ある緑を後世に伝え残す。
→社寺、史跡地の伝統ある緑の保全を進める。
○町の個性である農用地の緑を健全な姿で保全する。
→優良農地の保全を進めるとともに、遊休農地の活用を図る。
基本方針3
新たな緑の創出
○緑の豊かさを高めていくために、緑の絶対量を増やす。
→公園・緑地の整備を進める。
→公共施設や民有地の一層の緑化を推進する。
○緑の量的な拡大とともに、緑の質を高める。
→町のシンボルとなるような優れた緑の空間や景観を育てる。
基本方針4
水と緑のネットワーク
○水系のネットワークを進め、動植物の生息環境の再生をめざす。
→河川を軸とした水辺環境の再生を進める。
→ビオトープの整備を進める。
○拠点となる緑をつなぐネットワークの整備を進める。
→緑と緑をつなぐ緑道、遊歩道、並木の整備を進める。
基本方針5
緑を守り育てる活動の普及
○町民が主体となって取り組む緑のまちづくりを活発化させる。
→緑のまちづくりに向けた意識啓発を進める。
○緑のまちづくりに取り組むグループを育て活動を支援する。
→町民の主体的な取り組みを支援する体制、制度を整備する。
72
4-5. 施策の体系
公園緑地の拠点
をつくる
目標を達成するための施策の体系を図 4-2 に示す。
公園緑地の整備
既設公園・緑地のリフレッシュ
緑の拠点をつくる
水辺の拠点
をつくる
河川やため池、海岸の
親水空間の整備
学校・官公庁施設等の緑化
緑をつくる
公共施設の緑を
ふやす
道路や鉄道施設の緑化
身近な緑をふやす
住宅地・集合住宅の緑化
民間施設の緑を
ふやす
工場・事業所等の緑化
店舗やビルの緑化
寺社境内地の緑化
公園緑地の整備推進
借地方式による公園整備
特徴のある公園や緑地の整備
公園施設のリフレッシュ
植栽基盤の整備、植栽管理
公園管理への住民参加
親水公園の整備
散策路の整備
接道部緑化の推進
シンボルツリーの植栽
国・県等の施設への緑化要請
緑化ガイドラインの作成
一般道の緑化(既設・新設道路の緑化、国・県への要請)
ポケットパークの設置等
駅前広場の緑化
73
接道部緑化の推進
緑地協定の締結
駐車場周囲の緑化
接道部緑化の推進
緩衝緑地の形成
セットバックによる緑化の推進
「緑化地域」の指定
駐車場の緑化
壁面緑化の推進
オープンスペースの公開
大径木・樹林の保存指定
接道部の生垣化
緑化指導の実施
緑化推進重点地区の指定
緑 と 緑 を 結 ぶ
道路の緑で結ぶ
緑道等の緑で結ぶ
河川沿い・海岸沿いの緑化
休憩スポットの設置
街路樹の整備
休憩スポットの設置
緑道の整備
遊歩道、サイクリングロード等の整備
ため池の保全・活用
樹林地の保全
残された緑をまもる
文化財等と一体の緑の保全
開発における緑の保全指導
市街地内農地の保全・活用
農 地 を ま も る
優良農地の保全
緑の教育の推進
緑に親しむ心を育てる
緑を育てる
住民参加の促進
緑化活動の推進
緑の育成に参加する
計画の推進
図4-2
施策の体系図
生産緑地地区の指定、市民農園等による利用
災害時の一時避難場所としての活用
農業振興地域の整備
計画的な土地利用に基づいた農地の転用
ポスター、パンフレット、機関紙等の発行
コンクール、顕彰の実施
イベント等の開催、苗木の配布等
緑の相談所の設置やガイド要員の配置等
学校、幼稚園等での緑化教育
町民グループによる見学会等の開催
緑化推進重点地区の活動
等
ボランティア活動による維持管理の推進
子供会等による緑化活動
緑化活動グループの育成、支援
委員会制度の拡充
基金制度の設立、補助金、奨励金等制度の設立
行政執行体制の組織化
計画の進行管理
緑地保全計画の策定
緑に関する条例や協定等の制定
緑地のメンテナンスや情報管理に対する住民参加体制の整備
等
緑地の保全及び緑化の目標
緑の普及啓発
緑地保全地域の指定、里山利用林の設定
市民緑地制度等の活用
保全条例等の制定
第4章
緑をまもる
東浦町緑の基本計画
河川等で結ぶ
74
第4章
緑地の保全及び緑化の目標
4-6. 計画のフレーム
東浦町都市計画マスタープランに基づき次のように定める。
(1) 計画対象区域
「東浦町都市計画区域」である東浦町の全域を対象とする。
表 4-1
計画対象区域
計画対象市町村名
都市計画区域名
東浦町の全域
東浦町都市計画区域の全域
(3,108ha)
(2) 都市計画区域内の人口の見通し
表 4-2
都市計画区域内の人口の見通し
年次
現況
(平成 12 年)
開始年次
(平成 17 年)
中間年次
(平成 22 年)
目標年次
(平成 32 年)
人口
45,360 人
49,000 人
53,000 人
58,000 人
資料:住民基本台帳・都市計画課
(3) 将来市街地の規模
表 4-3
将来市街地の規模
現況
開始年次
中間年次
目標年次
(平成 12 年) (平成 17 年) (平成 22 年) (平成 32 年)
年次
将来市街地人口
38,044 人
42,000 人
46,000 人
51,000 人
将来市街地の規模
719ha
719ha
748ha
915ha
52.9 人/ha
58.4 人/ha
61.5 人/ha
55.7 人/ha
人口密度
資料:住民基本台帳・都市計画課
(4) 住区の構成
本町を構成する6地域区分に基づき住区を設定する。
表 4-4
住区の構成
住区番号
住区名称
位
置
1
森岡
森岡地域の市街地
442ha
2
緒川
緒川地域の市街地
888ha
3
緒川新田
緒川新田地域の市街地
392ha
4
石浜
石浜地域の市街地
655ha
5
生路
生路地域の市街地
289ha
6
藤江
藤江地域の市街地
442ha
計
地区面積
3,108ha
75
4-7. 計画の目標水準
目標年次(平成 32 年度)における緑地の確保目標量は表 4-5 のとおりである。
(1) 緑地の確保目標水準
表 4-5
目標年次における
緑地確保目標量
(平成 32 年度)
目標年次における緑地の確保目標水準
将来市街地面積に対
する割合(A値)
都市計画区域面積に
対する割合(B値)
将来市街地とこれに接し
た周辺地域の緑地を含め
た場合(C値)
概ね 96.6ha
概ね 1,688.8ha
概ね 138.6ha
10.6%
54.3%
14.5%
【A値】
A値
=
=
将来市街地内の緑地確保目標量
将来市街地面積
96.6ha(将来市街地内の緑地確保目標量)
915.0ha(将来市街地面積)
=
10.6%
【B値】
B値
=
=
緑地の確保目標量
都市計画区域面積
1,688.8ha(緑地の確保目標量)
3,108ha(都市計画区域面積)
=
54.3%
【C値】
C値
=
将来市街地内の緑地確保目標量+将来市街地に接した周辺地域の緑地面積
将来市街地面積+将来市街地に接した周辺地域の緑地面積
=
96.6ha(将来市街地内の緑地確保目標量)+42.0ha(※1)
915.0ha(将来市街地面積)+42.0ha(※1)
=
14.5%
※1:将来市街地に隣接する於大公園(12.08ha)、あいち健康の森公園(14.06ha)
、
高根の森(5.06ha)
、飛山池(10.76ha:新規整備)の計
〔参考〕
A値(現状) =
81.9ha(市街化区域内の緑地量)
719ha(市街化区域面積)
=
11.4%
B値(現状) =
1,710.7ha(緑地の現況量)
3,108ha(都市計画区域面積)
=
55.0%
C値(現状) =
81.9ha(市街化区域内の緑地量)+31.2ha(※2)
719ha(市街化区域面積)+31.2ha(※2)
=
15.1%
※2:現在の市街化区域に隣接する於大公園(12.08ha)、あいち健康の森公園(14.06ha)、
高根の森(5.06ha)の計
資料:表 2-16 参照
76
第4章
緑地の保全及び緑化の目標
(2) 都市公園等の施設として整備すべき緑地の目標水準
本町では、目標年次において都市公園では 10.2 ㎡/人、グラウンド等の公共施
設緑地を含めて 30.5 ㎡/人を目標とする。
表 4-6
都市公園等の施設として整備すべき緑地の目標水準
年次
開始年次
(平成 17 年度)
中間年次
(平成 22 年度)
目標年次
(平成 32 年度)
都市公園
都市公園等
6.6 ㎡/人
21.1 ㎡/人
7.0 ㎡/人
21.1 ㎡/人
10.2 ㎡/人
30.5 ㎡/人
(3) 緑化の目標
公共主導により、道路、河川、都市公園、広場、官公庁施設などの公共施設の緑
化を積極的に推進する。
また、公的な支援施策を展開するなどにより、住民や企業と協働し、町全体の緑
化推進を図る。
77
78